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'''藻菌類'''(Phycomycetes)とは、[[鞭毛菌門]]と[[接合菌門]]をまとめた分類群の名称として、かつて使われた言葉である。現在ではみかけることはまずないが、中学校・高等学校の理科においては資料集等に使われている例が見られ、[[植物病理学]]など応用分野で使われることもある。科学用語としてはほとんど[[廃語|死語]]であるが、若干記述しておく。 [[生物の分類]]で[[二界説]]が現役であった頃、[[菌類]]は[[植物]]とみなされていた。植物は[[光合成]]をするが、菌類は光合成をしない。したがって、菌類は光合成能力を失った、哀れな植物だと言うような認識であった。しかしながら、実際に光合成能力を失って、[[寄生]]生活する[[藻類]]は実在するから、これは荒唐無稽な発想と言うものではない。 とにかく、植物のどれかが光合成能力を失って、菌類としての[[進化]]を歩みはじめたと考えた訳である。それでは、菌類の起源になった植物は何か、というような過程を経て、[[黄緑藻類]]の[[フシナシミドロ]]あたりが菌類の先祖の候補にあがってきた。なぜなら、[[ミズカビ]]類は[[胞子]]に[[鞭毛]]を持つ[[カビ]]であり、これは菌類の中では原始的な特徴と見られ、それとフシナシミドロ類が、[[栄養体]]の形や、[[有性生殖]]の形等、実によく似ていたからである。栄養体は両者共に糸状で隔壁がなくて[[多核体]]である。 そこで、これを起源として菌類の進化を考えると、[[胞子]]が[[鞭毛]]を持つ[[鞭毛菌門]]と、鞭毛は持たないが、多核体の[[菌糸]]を形成する[[接合菌門]]がこれに該当する。そう言う訳で、この2つの菌類が、藻類に近い菌類と言う意味から、藻菌とよばれることになった。 しかしながら、その後[[鞭毛菌門]]は解体され、[[ミズカビ]]類は実は菌類ではない事が現在では確実視されている。そのため、藻菌類という言葉は成立する基盤を失った。 ただし、[[ミズカビ]]を含む[[卵菌]]類は、現在では、実は菌類と別系統で、むしろ[[黄緑藻]]類と近縁である([[ストラメノパイル]])とされている。全てが間違っていた訳ではないと言えよう。 == 参考文献 == *前川文夫、『植物の進化を探る』、(1969)、岩波書店(岩波新書)p.46-64 {{DEFAULTSORT:そうきんるい}} [[Category:菌類]] [[Category:原生生物]]
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