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胃癌
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{{Infobox_Disease | Name = 胃癌 | Image = Adenocarcinoma of the stomach.jpg | Caption = 胃癌の疑いがあるとして切除された胃潰瘍の標本 | DiseasesDB = 12445 | ICD10 = {{ICD10|C|16||c|15}} | ICD9 = {{ICD9|151}} | ICDO = | OMIM = 137215 | MedlinePlus = | eMedicineSubj = med | eMedicineTopic = 845 | MeshID = D013274 | }} '''胃癌'''(いがん、[[英語|英]]: '''Stomach cancer'''、[[ドイツ語|独]]: '''Magenkrebs, MK''')は[[胃]]に生じる[[悪性腫瘍|癌]]の総称。 == 定義 == 広義の「胃癌」には以下の種類がある。 *胃粘膜上皮から発生した[[癌腫]]:狭義の胃癌(本稿で主に記述) *上皮以外の組織から発生した[[悪性腫瘍]]:[[消化管間質腫瘍|GIST]]・胃[[悪性リンパ腫]]など [[Image:Stomach cancer world map - Death - WHO2004.svg|thumb|2004年における10万人毎の胃がんによる死亡者数(年齢標準化済み)<ref>{{cite web |url=http://www.who.int/healthinfo/global_burden_disease/estimates_country/en/index.html |title=WHO Disease and injury country estimates |year=2009 |work=World Health Organization |accessdate=Nov. 11, 2009}}</ref><div class="references-small" style="-moz-column-count:3; column-count:3;"> {{legend|#b3b3b3|データなし}} {{legend|#ffff65|3.5以下}} {{legend|#fff200|3.5-8}} {{legend|#ffdc00|8-12.5}} {{legend|#ffc600|12.5-17}} {{legend|#ffb000|17-21.5}} {{legend|#ff9a00|21.5-26}} {{legend|#ff8400|26-30.5}} {{legend|#ff6e00|30.5-35}} {{legend|#ff5800|35-40}} {{legend|#ff4200|40-45}} {{legend|#ff2c00|45-50}} {{legend|#cb0000|50以上}} </div>]] == 疫学 == 胃癌は[[中華人民共和国|中国]]、[[日本]]、[[大韓民国|韓国]]など[[アジア]]や[[南アメリカ|南米]]に患者が多く、[[アメリカ合衆国]]をはじめ他の諸国ではそれほど顕著ではない。 [[2003年]]の日本における死者数は49,535人(男32,142人、女17,393人)で、男性では[[肺癌]]に次いで第2位、女性では[[大腸癌]]に次いで第2位であった([[厚生労働省]] 人口動態統計より)。かつて日本では男女とも胃癌が第1位であったが、死者数は年々減少している。 ===ヘリコバクター・ピロリ菌=== 胃癌の発生過程で[[ヘリコバクター・ピロリ]]菌(Helicobacter pylori)による「慢性[[萎縮性胃炎]]」の関与が示唆されている。ヘリコバクター・ピロリ菌の陽性者では、陰性者と比較して胃癌の発生のリスクは5倍となる。さらに、胃の萎縮の程度が進むと胃癌のリスクも上がり、ヘリコバクター・ピロリ菌感染陽性でかつ、萎縮性胃炎ありのグループでは、陰性で萎縮なしのグループと比較して胃癌の発生リスクは10倍となっている<ref>[http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/287.html ヘリコバクター・ピロリ菌感染と胃がん罹患との関係:CagAおよびペプシノーゲンとの組み合わせによるリスク]独立行政法人 国立がん研究センター がん予防・検診研究センター 予防研究部:2012年7月6日閲覧</ref>。<br> メタ解析によると、アジアでの無症状の成人を対象としたヘリコバクター・ピロリの除菌は、胃癌発症率および胃癌死亡率を有意に低下させた。<ref>Ford AC et al. Helicobacter pylori eradication therapy to prevent gastric cancer in healthy asymptomatic infected individuals: Systematic review and meta-analysis of randomised controlled trials. BMJ 2014 May 20; 348:g3174. http://dx.doi.org/10.1136/bmj.g3174 </ref> ===塩分・塩蔵品=== [[2003年]]、[[世界保健機関]](WHO)と[[国連食糧農業機関]](FAO)による「食事、栄養と生活習慣病の予防<ref name="who2003report">Report of a Joint WHO/FAO Expert Consultation ''[http://www.fao.org/docrep/005/ac911e/ac911e00.htm Diet, Nutrition and the Prevention of Chronic Diseases]'', 2003</ref> 」(''Diet, Nutrition and the Prevention of Chronic Diseases'') では、[[食塩]]の摂取は1日5 g以下(ナトリウム2 g以下)とされ、塩や塩蔵の食品は胃癌のリスクが上がることが起こりうるとしている。 厚生労働省による研究では、[[塩分濃度]]の高い食事を日常的に摂取する人たちは、そうでない人たちに比べて胃癌となるリスクが高いことが統計的に示されている<ref>[http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/11/igan_1.html 食塩・塩蔵食品摂取と胃がんとの関連について -- 概要 --]([[厚生労働省]]研究班)</ref>。[[食塩]]の多い食事で、男性の胃癌リスクが上がる。[[いくら]]、[[塩辛]]、練り[[うに]]、[[漬物]]などをよく食べる人で胃癌が多い<ref>[http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/260.html 食塩・塩蔵食品摂取と胃がんとの関連について] | 現在までの成果 | 多目的コホート研究 | 独立行政法人 国立がん研究センター がん予防・検診研究センター 予防研究部</ref>。塩分を多く含む[[食品]]の食べすぎに用心が必要である。動物実験でも食塩での胃癌発症が確認されている。<ref>K Nozaki, and others. Jpn J Cancer Res 93:1083-9, 2002.</ref> ===喫煙・飲酒=== たばこを吸う人は吸わない人に比べて2倍 胃癌になりやすい。[[お酒]]を飲むと2倍から3倍胃噴門部の胃癌になりやすい<ref>[http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/256.html たばこ・お酒と胃がんの関連について] | 現在までの成果 | 多目的コホート研究 | 独立行政法人 国立がん研究センター がん予防・検診研究センター 予防研究部</ref>。 ===コレステロール=== 総[[コレステロール]]低値は、男性の胃癌リスクと関係する<ref>[http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/357.html 総コレステロール値とがん発生リスクとの関連] | 現在までの成果 | 多目的コホート研究 | 独立行政法人 国立がん研究センター がん予防・検診研究センター 予防研究部</ref>。 ===β-カロテン=== 男性では、血中[[β-カロテン]]濃度が高いと胃癌リスクが低いが、女性では関連が見られない<ref>[http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/323.html 血中のカロテノイドと胃がん罹患との関係について] | 現在までの成果 | 多目的コホート研究 | 独立行政法人 国立がん研究センター がん予防・検診研究センター 予防研究部</ref>。 ===緑茶=== [[緑茶]]をよく飲むと女性の胃癌リスクが下がる<ref>[http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/265.html 緑茶飲用と胃がんとの関連について] | 現在までの成果 | 多目的コホート研究 | 独立行政法人 国立がん研究センター がん予防・検診研究センター 予防研究部</ref>。[[喫煙]]状態によって、緑茶[[ポリフェノール]]と胃癌の関係が変わる。緑茶に胃癌予防効果があるとしても、[[たばこ]]を吸っている場合には効果は得られない可能性が高い<ref>[http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/314.html 血中の緑茶ポリフェノールと胃がん罹患との関係について] | 現在までの成果 | 多目的コホート研究 | 独立行政法人 国立がん研究センター がん予防・検診研究センター 予防研究部</ref>。 ===胃癌検診=== 胃癌検診を受けている人では、胃癌による死亡率が低い<ref>[http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/280.html 胃がん検診受診と胃がん死亡率との関係] | 現在までの成果 | 多目的コホート研究 | 独立行政法人 国立がん研究センター がん予防・検診研究センター 予防研究部</ref>。 ===日本人の伝統的食生活=== 日本人の伝統的な[[食生活]]で、胃癌のリスクが高くなる<ref>[http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/262.html 食生活パターンと胃がんとの関連について] | 現在までの成果 | 多目的コホート研究 | 独立行政法人 国立がん研究センター がん予防・検診研究センター 予防研究部</ref>。[[野菜]]・[[果物]]は少量の摂取で胃癌の発生率を下げる<ref>[http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/257.html 野菜・果物摂取と胃がん発生率との関係について] | 現在までの成果 | 多目的コホート研究 | 独立行政法人 国立がん研究センター がん予防・検診研究センター 予防研究部</ref>。 == 病理 == [[組織型]]としては、ほとんどが[[腺癌]]([[胃#粘膜の微細構造と胃腺|胃小窩や胃腺]]に分化する円柱上皮[[幹細胞]]から生ずる)であり、まれに[[ガストリン]]等の[[内分泌]]細胞から生ずる内分泌細胞癌(=高悪性度[[カルチノイド]])が発症する。 病理学的には以下に分類される。 *'''一般型''' **'''乳頭腺癌'''(pap:papillary adenocarcinoma) **'''管状腺癌'''(tub:tubular adenocarcinoma) ***'''高分化型'''(tub1:well differentiated type) ***'''中分化型'''(tub2:moderately differentiated type) **'''低分化腺癌'''(por:poorly differentiated adenocarcinoma) ***'''充実型'''(por1:solid type) ***'''非充実型'''(por2:non-solid type) **'''印環細胞癌'''(sig:signet ring cell carcinoma) **'''粘液癌'''(muc:mucinous adenocarcinoma) *'''特殊型''' **'''腺扁平上皮癌'''(adenosquamous carcinoma) **'''扁平上皮癌'''(squamous cell carcinoma) **'''カルチノイド腫瘍'''(carcinoid tumor) 印環細胞癌と低分化型は、4型の進展となることが多く、胃が硬くなる「硬癌」の状態となることが珍しくない。一般に「scirrhous([[スキルス]])胃癌」として早期発見が困難で予後が悪い胃癌の代名詞として知られる。 [[筑波大学]]・[[東京医科歯科大学]]の病理学教授を勤めた中村恭一名誉教授は、「胃癌の三角」という概念を提唱している。即ち、発生部位(場)・肉眼型・組織型には互いに相関がある。胃底腺領域から発生する癌の95%以上は未分化癌であることなどは、この「胃癌の三角」の臨床診断の一説としている<ref>{{cite web|url=http://www.igaku-shoin.co.jp/nwsppr/n2006dir/n2673dir/n2673_01.htm|title=【対談】胃癌を知る――『胃癌の構造』第3版発刊によせて|date=2006-03-06|publisher=医学書院|accessdate=2013-03-17}}</ref>。また歴史的に、胃癌の他覚的発見にちなんで、転移・浸潤先の病変に名称が付けられており、[[卵巣]]への直接浸潤として「クルーケンベルグ(Krukenberg)腫瘍」、[[ダグラス窩]]([[直腸]][[子宮]]窩)に転移したものは「シュニッツラー(Schnitzler)転移」、左[[鎖骨]]窩リンパ節転移は「ウィルヒョウ(Virchow)転移」と呼ばれている。 <gallery> Image:Well differentiated tubular adenocarcinoma(tub1).jpg|高分化型管状腺癌(tub1)。 Image:Moderately differentiated tubular adenocarcinoma(tub2).jpg|中分化型管状腺癌(tub2)。 Image:Poorly differentiated adenocarcinoma(por2).jpg|低分化型腺癌(por2)。 Image:Signet-ring cell carcinoma1.jpg|印環細胞癌(sig)。 Image:Carcinoma with lymphoid stroma.jpg|リンパ球浸潤癌。 Image:Carcinoma with enteroblastic differentiatin.jpg|胎児消化管上皮類似癌。 Image:Carcinoma with enteroblastic differentiation2-1.jpg|胎児消化管上皮類似癌。左と同症例の別の部位。 </gallery> 写真説明の組織型分類は胃癌取り扱い規約第14版による分類である。 == 症状 == 自覚症状による胃癌の早期発見は難しい。ほとんどの場合、早期癌の段階では無症状であり、癌が進行してからでないとはっきりとした自覚症状が出てこないことが多いからである。胃癌は進行してくると次のような症状が出てくる。 *自覚症状 **[[腹痛]]・上腹部不快感・吐気・嘔吐・胸焼け・食後の腹部膨満感・食欲減退など *理学的症状 **急な体重減少・腹水貯留・黒色便・[[貧血]] == 検査 == 胃癌か否かを決定するのは原則として胃から摂取した細胞の[[病理検査]]である。 === 画像検査 === 他に発見・診断を目的として以下の検査が行われている。 ;上部[[消化管造影検査]] :いわゆる「バリウム検査」「[[胃透視]]」である。内視鏡検査に先んじて、日本で開発・研究された検査であり、現在でもその功績から、多くの癌検診として広く行われている。内視鏡と比較して安全かつ医師でなくても施行出来るため、集団検診で用いられる。内視鏡で診断しにくい[[スキルス]]胃癌の発見に有効なことがある。また、術前検査として正確な位置診断を行うために有用である。 <gallery> Image:Gastric carcinoma2.png|腹臥位やや頭低位による撮影。胃体中部前壁に発生した3型胃癌(低分化型腺癌: por2>tub2) Image:Gastric carcinoma2-1.png|左と同じ症例の内視鏡像。 </gallery> ;[[上部消化管内視鏡]] :現在において最も確実な検査方法。病変部の細胞を採取して診断できるため確実度が増す検査であるが、造影検査よりも費用高価・身体負担が多いため、集団検診には向いていない。多くの医療機関・人間ドックで施行される。 :*胃潰瘍と胃癌の鑑別 :** 形態(円滑 vs 不整) :** 大きさ(3cmを超える潰瘍はまれ) :** 陥凹底の性状(凹凸・不整 vs 平滑) :** 潰瘍辺縁の性状(不整 vs 整、蚕食像など) :** 潰瘍周辺の皺襞先端の性状(ヒダの細まり方のなだらかさ、断崖様の途絶など) :** 周囲隆起の性状(浮腫状 vs 顆粒・結節) :** 病変周囲粘膜の性状(発赤・褪色・陥凹などの有無) :** 病変の場(胃底腺領域 vs 幽門腺領域)<ref>{{cite web|url=http://www.hazamaiin.com/nannkeikai/2005/stomach_cancer.htm|title=胃癌診断の基本と最近の話題|author=中村常哉|date=2005-08-05|publisher=南圭会|accessdate=2013-03-17}}</ref> ;[[CT]]・[[MRI]] :巨大胃癌でない限り、一般にこれらでの胃癌の診断は困難である。リンパ節、肝などへの転移浸潤の評価、粘膜下腫瘍(SMT)の診断に施行される。 <gallery> Image:Early gastric cancer1.jpg|胃体部にみられた早期胃癌内視鏡像(高分化型腺癌) Image:Early gastric cancer2.jpg|左と同じ症例(高分化型腺癌)の[[インジゴカルミン]]染色内視鏡像 Image:Por-sig.jpg|印環細胞を伴う低分化型腺癌の内視鏡像。通常内視鏡像に加え強調画像と色素内視鏡像。左上:通常内視鏡像、右上:通常+FICE、左下:[[酢酸]]染色、右下:AIM染色 Image:Early stomach cancer 2a.jpg|0-IIa, tub1 の早期胃癌。左列は通常光。右列はFICE。一列目は通常。二列目は酢酸染色。三列目はAIM染色。 </gallery> === 検体検査 === ;ヘリコバクターピロリ :[[ヘリコバクターピロリ]]感染は胃粘膜の萎縮を引き起こし、胃の発癌要因となるため、感染陽性であれば除菌療法が望ましいとされている。 ;ペプシノゲン法 :[[ペプシン]]の前駆体であるペプシノゲン(PG)の測定を行うことで胃癌高リスク群を類別するという方法で、検診スクリーニングでの有用性が期待されている。PGIは胃底腺の主細胞・副細胞より分泌され、PGⅡは胃底腺以外より分泌されるが、いずれも胃の慢性萎縮性変化で低値となり、分化型腺癌の発生リスクを類別し、高リスク群に対し内視鏡検査へのサーベイランスを計るというもの。 ;[[腫瘍マーカー]] :進行してくると[[CEA]]、CA19-9等の上昇が見られる。転移等が出てくる場合に高値が認められる。 == 病期 == 胃癌の進行度は、以下に分類し、生存率がほぼ等しくなるようにグループ分けしたのが病期(Stage)であり、数字が大きくなるほど進行した癌であることを表す。国際的にはUICC(International Union Against Cancer)の[[TNM分類]]が用いられるが、日本では胃癌取扱い規約による病期分類が広く使用されている。 画像検査による、臨床診断による病期診断が行われ、手術加療を行う場合には、手術結果によって最終的な病期診断(Final Stage)が確定される。 === 形態 === 肉眼的形態は以下のように分類される。 ; 0型 表在型 : 病変の肉眼的形態が軽度な隆起や陥凹を示すに過ぎないもの。 ; 1型 腫瘤型 : 明らかに隆起した形態を示し、周囲粘膜との境界が明瞭なもの。 ; 2型 潰瘍限局型 : 潰瘍を形成し、潰瘍をとりまく胃壁が肥厚し周堤を形成し、周堤と周囲粘膜との境界が比較的明瞭なもの。 ; 3型 腫瘍浸潤型 : 潰瘍を形成し、腫瘍をとりまく胃壁が肥厚し周堤を形成するが、周堤と周囲粘膜との境界が不明瞭なもの。 ; 4型 びまん浸潤型 : 著明な潰瘍形成も周堤もなく、胃壁の肥厚・硬化を特徴とし、病巣と周囲粘膜との境界が不明瞭なもの。 ; 5型 分類不能 : 上記分類に当てはまらないもの。 また、0型については以下のような亜分類が用いられる。 ; I型 隆起型 : 明らかな腫瘤状の隆起が認められるもの。 ; II型 表面型 : 明らかな隆起も陥凹も認められないもの。 ; IIa型 表面隆起型 : 表面型であるが、低い隆起が認められるもの。 ; IIb型 表面平坦型 : 正常粘膜に見られる凹凸を越えるほどの隆起・陥凹が認められないもの。または肉眼的に病変の存在を認めがたいもの。 ; IIc型 表面陥凹型 : わずかなびらん、または粘膜の浅い陥凹が認められるもの。 ; III型 陥凹型 : 明らかに深い陥凹の存在するもの。 0型では単一の分類型を示さないことも多い(隆起と陥凹が混在する、陥凹の浅い部分と深い部分があるなど)。そのときはより広い病変から+でつないで表現する(IIa+IIcなど)。 === 深達度 === 組織学的深達度によってT分類は決定される。T分類はクリニカルステージを決定するのに非常に重要な因子である。 *T1:癌の浸潤が粘膜(M)または粘膜下層(SM)にとどまるもの。リンパ節転移の有無を問わず、早期胃癌といわれることが多い。粘膜筋板から0.5mm未満をSM1、それ以降をSM2と細分化することもある。 *T2:癌の浸潤が固有筋層(MP)に至るもの。 *T3:癌の浸潤が漿膜下組織(SS)に至るもの。 *T4a:遊離腹腔に露出しているもの(SE)。 *T4b:癌の浸潤が直接他臓器まで及ぶもの(SI)。 *TX:癌の浸潤の深さが不明なもの。 === 進行 === [[TNM分類]]としてはN:リンパ節転移、H:肝転移、P:腹膜転移、CY:腹腔細胞診、M:遠隔転移がある。 *N: リンパ節転移 **N0:リンパ節転移を認めない **N1:領域リンパ節転移が1~2個 **N2:領域リンパ節転移が3~6個 **N3:領域リンパ節転移が7個以上 **NX:リンパ節転移の程度が不明 *H: 肝転移 **H0:肝転移を認めない。 **H1:肝転移を認める。 **HX:肝転移の有無が不明である。 **P: 腹膜転移 **P0:腹膜転移を認めない。 **P1:腹膜転移を認める。 **PX:腹膜転移の有無が不明である。 **CY: 腹腔細胞診 **CY0:腹腔細胞診で癌細胞を認めない。 **CY1:腹腔細胞診で癌細胞を認める。 **CYX:腹腔細胞診を行っていない。 *M: 遠隔転移 **M0:肝転移、腹膜転移および腹腔細胞診陽性以外の遠隔転移を認めない。 **M1:肝転移、腹膜転移および腹腔細胞診陽性以外の遠隔転移を認める。 **MX:遠隔転移の有無が不明である。 基本的にN3やH1、P1、CY1、M1となれば無条件ステージIVとなり予後は厳しいということになる。以下に病期分類とクリニカルステージの対応を示す。 {| class="wikitable" !!! N0 !! N1 !! N2 !! N3 |-align="center" !T1 ||IA||IB||II|| rowspan="5" | |-align="center" !T2 ||IB||II||IIIA |-align="center" !T3 ||II||IIIA||IIIB |-align="center" !T4 ||IIIA||IIIB||rowspan="2" colspan="2" |IV |-align="center" !H1、P1、CY1、M1 |} == 治療 == 他の[[癌]]の治療と同様に、治療方針は癌の病期によって変わってくる。主に以下にあげられる治療を集学的に行っていく。以下は狭義の胃癌の治療について記述。なお、がん治療には、手術・放射線治療・化学療法の三つがあるが、感染症を原因とする「アジア型のがん」である胃がんの治療には、それが全摘できる例外的な臓器であり、開腹手術で最初に確認できるという点から手術が向いている<ref>[[中川恵一]]『ドクター中川の"がんを知る"』毎日新聞社、2008年。pp.22-23 ISBN 978-4-620-31868-4</ref>。 胃[[悪性リンパ腫]]・[[消化管間質腫瘍|GIST]]の治療については各項を参照。 === 内視鏡治療 === 分化型でリンパ節転移の無い早期胃癌と診断される病変に対し、[[EMR]]・[[ESD]]といった[[内視鏡]]治療が広く行われてきている。詳細は[[EMR]]・[[ESD]]の記述を参照。 === 手術治療 === 以前より、根治術として[[外科学|外科]]的[[手術]]は根幹を成しており、[[胃切除術]]+[[リンパ節郭清]]が根治術の基本である。詳細は[[胃切除術]]の記述を参照。 また、癌の進行が進んでいると術前診断がなされれば、[[大網膜]]・[[脾臓]]・[[胆嚢]]といった周囲他臓器合併切除を行う拡大手術が行われる。 === 化学療法 === 胃癌に対する化学療法は、術後の補助治療や、術後再発、全身転移・周囲浸潤を生じ手術的加療による根治が困難な場合に施行される。化学療法に用いられる薬剤の一部を下記に示す。薬剤の投与量・タイミングの組み合わせによって様々な「レジメ」(レジメン)ともいうが提唱されている。 *[[TS-1|S-1]] *[[CDDP]]([[シスプラチン]])・[[カルボプラチン]] *[[CPT-11]]([[イリノテカン]]) *[[パクリタキセル]]・[[ドセタキセル]] *[[メソトレキセート]] *[[5-FU]] *[[UFT]] など。 === 分子標的治療薬 === 近年、開発が進んだ薬物群である。特定の[[受容体]]・[[酵素]]を低分子化合物もしくは[[モノクローナル抗体]]がある。[[上皮細胞増殖因子]]などの細胞の増殖シグナルの阻害や癌細胞の直接傷害により治療する。現在、治験や研究段階にある。 * [[トラスツズマブ]](抗HER2モノクローナル抗体製剤, 商品名: ハーセプチン) * [[ベバシツマブ]](抗[[血管内皮細胞増殖因子]] (VEGF) モノクローナル抗体製剤、商品名: アバスチン) * [[ゲフィチニブ]]([[チロシン]][[キナーゼ]]阻害剤, 商品名: イレッサ) * [[エベロリムス]](mTOR阻害剤、[[ペプチジル・プロリル・シストランスイソメラーゼ]]である[[FKBP]]を阻害する。現在、治験が進められている) === 放射線治療 === [[腺癌]]が多いため、[[放射線療法]]は多くは行われない。術後病変に対する治療や、未承認治療法として術中照射(intraoperative radiation therapy)が手術の補助として有効かどうか研究されている。 === 生物学的療法(免疫療法) === 生物学的療法([[免疫療法]]とも呼ばれる)は身体の免疫が癌細胞を攻撃するのを補助する治療法であり、他の治療法の副作用から回復させる補助としても施されることがある。未承認治療法として他の治療法と併用して、再発癌の防止する生物学的治療法研究が医者によって進められている。別の生物学的治療法として、化学療法中あるいは治療後に(白血球など)血球が減少した患者に、コロニー刺激因子などを投与して、血球数レベルの回復の手助けをすることがある。ある種の生物学的治療法を受ける患者は入院が必要な場合がある。 == 予後 == 早期に発見され治療が行われれば[[予後]]の良い癌である。国立がんセンター中央病院胃癌グループの統計によると、[[5年生存率]]は胃癌全体で71.4%、StageIで91.2%、StageIIで80.9%、StageIIIで54.7%、StageIVでは9.4%であった<ref>{{cite web|url=http://ganjoho.jp/public/statistics/backnumber/2003_jp.html|title= がんの統計'03|date=2004-12-01|publisher=国立がん研究センターがん対策情報センター|accessdate=2013-03-17}}</ref>。 == 脚注 == <references/> == 関連項目 == * [[日本胃癌学会]] * [[腫瘍学]] * [[悪性腫瘍]] * [[消化器学]] * [[スキルス]] - CDH1遺伝子異常家系に多発したとの報告がある。[[カドヘリン]]との関連が示唆されている。 == 参考文献 == * 『[http://minds.jcqhc.or.jp/n/med/4/med0023/G0000268 胃がん治療ガイドラインの解説 胃がんの治療を理解しようとするすべての方のために 胃癌治療ガイドライン(医師用)2004年]』 日本胃癌学会 ([http://minds.jcqhc.or.jp/ Minds医療情報サービス]) * 『[http://minds.jcqhc.or.jp/n/med/4/med0030/G0000072 有効性評価に基づく胃がん検診ガイドライン 2006年]』 厚労省がん研究班編 ([http://minds.jcqhc.or.jp/ Minds医療情報サービス]) == 外部リンク == * [http://www.jgca.jp/ 日本胃癌学会] ** [http://www.jgca.jp/guideline/ 胃癌治療ガイドライン] * [http://www.ncc.go.jp/jp/ 国立がんセンター] <!-- 宣伝目的なのでコメントアウトします * [http://stomachcancer.web.fc2.com/ 知っておこう!胃がん!] --> {{DEFAULTSORT:いかん}} [[Category:がん (悪性腫瘍)]] [[Category:消化器病]] [[Category:消化器外科学]] {{Medical-stub}}
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