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'''羅教'''('''らきょう''')は、[[明]]の[[正徳 (明)|正徳]]年間([[1506年]] - [[1518年]])に[[羅祖]]が開創したとされる[[中国]]の民間宗教である。また、'''無為教'''('''むいきょう''')とも呼ばれる。 == 五部六冊 == その根本[[経典]]は、『'''五部六冊'''』と呼ばれる[[宝巻]]であり、[[1509年]](正徳4年)の成立である。 # 苦功悟道巻 1冊 # 嘆世無為巻 1冊 # 破邪顕証鑰匙巻 2冊 # 正信除疑無修証自在宝巻 1冊 # 巍巍不動泰山深根結果宝巻 1冊 == 信徒のランク == 信徒には、禅僧や居士が多く含まれていたが、その入信以後の修行の階梯によって、9つのランクに分けられていた。 # 空空 (教主) # 太空 (教区長) # 清虚 (伝道師) # 書記 (文書・記録の担当者) # 大引 (五戒を堅持する者) # 小引 # 三乗 (誦経者) # 大乗 (新参者) # 小乗 (新参者) 書記以下が在家で、清虚以上が出家者である。また、上記の9ランクに入らない職として、「菜頭」があった。菜頭は、斎堂の一切の管理を任された者で、儀式や祭祀の一切を任され、全教徒を管轄していた。 == 教義 == [[仏教]]系の民間宗教においては、[[浄土教]]系に属する[[白蓮教]]に対して、[[禅宗]]系の民間宗教の代表として、羅教が挙げられる。とりわけ『[[金剛般若経]]』に基づいた無為解脱の無為法を説く。その教風は、個人主義的な勤学・清修を特色としている。 当初は、その教徒には、聖典に注釈を施したり、[[宝巻]]や[[語録]]を著述する者が見られたが、やがて、秘密の行法を伝習する秘密宗教化した。明代では、[[雲棲袾宏]]や[[紫柏真可]]に代表される伝統仏教の既成教団から、白蓮教に類した邪教として激しく排斥を受けた。時代が下がって[[清]]代になると、支配者・官憲の手によって取り締まられるようになる。羅教の教線は、[[福建省]]・[[江蘇省]]・[[安徽省]]・[[浙江省]]・[[江西省]]など、[[江南]]地方に拡大していた。 羅教の系統の結社は、各地に斎堂を建立し、そこを中心に活動を行った。斎堂では、教祖の羅祖を祀り、天・地などの諸像と共に信者に礼拝させた。羅教は、その初期から、漕運業者や運搬業者などに信仰されていた。そこから、[[清]]代には、運糧水手が組織した[[秘密結社]]である[[青幇]]との結びつきが生まれることとなった。 == 参考文献 == *[[鈴木中正]]「羅教について」(『東洋文化研究所紀要』1 [[1943年]]) *[[塚本善隆]]「羅教の成立と流伝について」(『東方学報 (京都)』17 [[1949年]]) * 同 「宝巻と近代シナの宗教」(『仏教文化研究』1 [[1951年]]) *[[澤田瑞穂]]「羅祖の無為教」(『東方宗教』1・2 1951年) {{DEFAULTSORT:らきよう}} [[Category:中国の宗教]] [[Category:中国の秘密結社]]
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