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真珠
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[[Image:Akoya pearl.jpg|thumb|350px|right|アコヤ真珠]] '''真珠'''(しんじゅ)あるいは'''パール'''(Pearl)とは[[貝]]から採れる[[宝石]]の一種である。[[6月]]の[[誕生石]]である。石言葉は「健康・富・長寿・純潔」など。 == 概要 == 真珠は貝の体内で生成される宝石である。[[生体鉱物]]([[バイオミネラル]])と呼ばれる。 貝殻成分を分泌する[[外套膜]]が、貝の体内に偶然に入りこむことで天然真珠が生成される。つまり成分は貝殻と等しい。貝殻を作る[[軟体動物]]であれば真珠を生成する可能性がある。 小石や[[寄生虫]]などの異物が貝の体内に侵入したときに、外套膜が一緒にはいり、結果、真珠が生成される。そのため、異物の侵入が真珠の成因だとする説が一般的であったがこれは誤りである。 外套膜は[[細胞分裂]]して袋状になり、真珠を生成する真珠袋をつくる。その中で[[カルシウム]]の結晶([[アラレ石]])と有機質(主に[[蛋白質|タンパク質コンキオリン]])が交互に積層した結果[[真珠層]]が形成されて、真珠ができる。この有機質とアラレ石の薄層構造が[[干渉 (物理学)|干渉]]色を生み出し、真珠特有の虹色([[オリエント効果]])が生じる。真珠層の構造や[[色素]]の含有量などによって真珠の色・照りが決まる。 [[日本]]の養殖真珠の発明とは、球体に削った核を、[[アコヤガイ]]の体内に外套膜と一緒に挿入し、真珠層を形成させる、というものである。 [[巻き貝]]から生成されるコンク真珠やメロ真珠は真珠層を持っていない。従って、上記の真珠と区別されることがある。 真珠の重量の計量単位には、養殖真珠の産業化に成功したのが日本であったことから日本の[[尺貫法]]の単位である[[匁]](3.75[[グラム]])や[[貫]](3.75[[キログラム]])が用いられるが、グラム、[[カラット]](200[[ミリグラム]])や[[グレーン]](通常は正確に64.798 91[[ミリグラム]]だが、真珠の計量については50[[ミリグラム]])も用いられる。真珠の大きさの単位は[[ミリメートル]]であるが、真珠のネックレスの長さは業者間の取引では主に[[インチ]]が使われている。 [[冠婚葬祭]]のいずれの場面でも使える便利な装飾品であるが、[[炭酸カルシウム]]が成分であるため、汗が付いたまま放置すると真珠特有の光沢が失われるので、使用後に柔らかい布で拭くなどの手入れが大切である。 == 歴史 == [[Image:Pearls.jpg|thumb|200px|right|養殖貝による真珠生産]] [[Image:Lüshunkou Pearl Aquaculture旅顺口真珠養殖065399.jpg|thumbnail|200px|[[旅順口区]]の真珠貝養殖]] 天然では産出が稀であり加工が容易で「[[月]]のしずく」「[[人魚]]の[[涙]]」とも呼ばれているほどの美しい光沢に富むため、世界各地で古くから宝石として珍重されてきた。またその希少性から薬としての効能を期待し、服用される例がしばしば見られる。日本でも解熱剤として使用され、現在{{いつ|date=2014年5月}}<!-- See [[WP:DATED]] -->も風邪薬として販売されている。 [[エジプト]]では[[紀元前32世紀|紀元前3200年]]頃から既に知られていたと言われるが、宝飾品としてあるいは薬として珍重されるようになったのは後の時代である。[[クレオパトラ7世|クレオパトラ]]が[[酢]]に溶かして飲んでいたと伝えられる。世界の他の地域でも[[中国]]では[[紀元前23世紀|紀元前2300年]]頃、[[ペルシャ]]で[[紀元前7世紀]]頃、[[ローマ]]では[[紀元前3世紀]]頃から真珠が用いられていたという記録がある。 [[日本]]は古来から、真珠の産地として有名であった。[[日本書紀]]や[[古事記]]、[[万葉集]]には、すでに真珠の記述が見られる。『[[魏志倭人伝]]』にも[[邪馬台国]]の[[台与]]が[[魏 (三国)|曹魏]]に白珠(真珠)5000を送ったことが記されている。万葉集には真珠を詠み込んだ歌が56首含まれる。当時は[[三重県]]の[[英虞湾]]や[[愛媛県]]の[[宇和海]]でアコヤガイから採取されていたが、日本以外で採れる真珠に比べ小粒だった。日本の真珠の美しさは[[ヨーロッパ]]まで伝えられ、[[クリストファー・コロンブス|コロンブス]]も憧れたという<ref name="nhk20140107">{{cite news |title=視点・論点 「知られざる真珠王国 日本」 |newspaper=[[日本放送協会|NHK]] |date=2014-1-7|url=http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/400/177417.html |accessdate=2014-1-11}}</ref>。 == 養殖貝による真珠生産 == 養殖貝による真珠生産の歴史も古く、[[11世紀]]の中国などで既に行われているが量産することは難しかった。[[スペイン人]]たちは、[[スペインによるアメリカ大陸の植民地化|アメリカ大陸を侵略]]していた時、[[ベネズエラ]]という真珠の一大産地を見つけたが、その採掘のために現地の[[先住民]]を酷使し、絶滅させた。20世紀初頭には、ヨーロッパ資本が真珠の価格をコントロールしたため、真珠は[[ダイヤモンド]]より高価な宝石となった<ref name="nhk20140107" />。 そんな最中、[[1893年]]に[[日本]]の東大三崎臨海実験所[[箕作佳吉]]の指導をうけた[[御木本幸吉]]が[[英虞湾]][[阿児町神明|神明浦]]で養殖アコヤガイの半円真珠の生産に成功し、[[1905年]]、英虞湾の多徳島で[[真円真珠]]の生産に成功している。 養殖貝による真珠生産の発明者は、日本では[[西川藤吉]]・[[見瀬辰平]]の2人があげられる。[[1907年]]見瀬辰平が、はじめて真円真珠に関し「介類の外套膜内に真珠被着用核を挿入する針」として特許権を獲得した。続けて西川藤吉が真円真珠生産に関し真珠形成法の特許を出願する。この一部が前述の見瀬辰平の特許権に抵触するとして紛争が起こる。調停の結果、西川籐吉の名義で登録し特許は共有とすることとなった。この養殖貝による真珠生産の特許技術は日本国外では[[Mise-Nishikawa Method]]として知られている。 また[[1916年]]および[[1917年]]に西川藤吉の特許が4件登録された。西川藤吉は既に物故していたため、息子の[[西川真吉]]が権利を受け継いだ。現在の養殖貝による真珠生産の技術は西川藤吉のこれらの技術に負うところが多い(西川藤吉は御木本幸吉の次女の夫である)。 その後、様々な技術の改良を経て養殖貝による真珠生産は広まり、英虞湾、[[宇和海]]、長崎県[[対馬]]などで生産が行われた。 後に[[イギリス]]で養殖貝による真珠が偽物だという吹聴があり[[パリ]]で真珠裁判が行われたが、[[1924年]][[5月24日]]、天然と養殖貝による真珠には全く違いが無かったので全面勝訴した。養殖真珠が市場に出回るようになって、真珠価格は暴落した。 1930年代に[[クウェート]]や[[バーレーン]]など真珠を重要な産業としていた国は、養殖貝による真珠の出現と、それに伴う真珠価格の暴落によって真珠産業が成り立たなくなり、世界恐慌の時期と重なったこともあり経済に大打撃を受けた。特に食料自給率が低く輸入に依存する割合が高いクウェートでは多数の餓死者を出すほどの惨事となった。その後、油田の開発によりクウェート経済は発展し、真珠産業は実質的に文化保存事業のレベルにまで縮小してしまったが、現在でも[[真珠広場]]など真珠に由来する場所や真珠を採取する文化などが数多く残っている。 一方、真珠の養殖技術と、それを売り込むビジネスモデルを確立した日本は、それまでヨーロッパ資本によって牛耳られていた真珠市場に進出、ヨーロッパ勢に取って代わり、世界の9割のシェアを誇るようになり、御木本の「真珠のネックレスで世界中の女性の首をしめる」という言葉を現実のものとした。しかし、1967年を境に、[[ミニスカート]]が流行するなど、従来のファッションの流行が変わり、世界の真珠の需要が激減したため、日本の真珠業者は国内市場を主戦場とするようになった<ref name="nhk20140107" />。 養殖貝による真珠生産が始まってからほぼ100年が経過したが、[[1996年]]頃から始まったウイルス感染症によるアコヤガイの大量斃死現象や真珠摘出後の廃棄貝、および諸々の排水による湾の[[富栄養化]]などの要因から日本のアコヤ真珠の生産量は低下している。 == 真珠の種類 == [[Image:Various pearls.jpg|right|200px|thumb|さまざまな真珠]] [[Image:Strombus-gigas-003.jpg|thumb|150px|right|ピンク貝 ''Strombus gigas'']] ;本真珠 :本来は鮑玉(あわびだま、[[アワビ]]の内部に形成される天然真珠)のことを指すが、現在はアコヤガイ(''Pinctada fucata martensii'')の真珠や淡水真珠までをも含めている。その際には貝パールなどのイミテーションではないという意味。 ;[[南洋真珠]] :[[シロチョウガイ]](白蝶貝、''Pinctada maxima'')から産する真珠。主に[[オーストラリア]]、[[インドネシア]]、[[フィリピン]]、[[ミャンマー]]で養殖されている。オーストラリア産の南洋真珠は青みがかった色を呈することが多い。一方、フィリピン産は黄色・金色の珠が多い。近年ではあまり見られなくなったが、真円真珠の養殖が終わった老貝で半円真珠を生産することもある。 ;黒蝶真珠(黒真珠) :[[クロチョウガイ]](黒蝶貝、''Pinctada margaritifera'')から産する真珠。主に[[タヒチ]](仏領ポリネシア)、[[沖縄県]]で養殖されている。タヒチで生産されるものは南洋真珠に分類されることもある。また他の真珠を染色処理し、黒真珠と呼んでいるものもある。 ;マベ真珠 :[[マベガイ]](マベ貝、''Pteria penguin'')から産する真珠。主に[[香港]]、[[台湾]]、インドネシア、[[奄美大島]]で養殖されている。主に半球形であるが近年では養殖技術の向上で、球形も少量であるが産出される。真円の核を挿核して真円の真珠を作ることが難しいため、半円の核を貝殻の内側に貼り付けて半円形の真珠を作る。 ;[[淡水パール]] :[[イケチョウガイ]]やカラス貝といった、淡水生の貝の中に出来る真珠は淡水パール(淡水真珠)と呼ばれる。現在流通している淡水パールのほとんどは養殖によって生産されている。養殖の際に母貝内に外套膜片のみを挿入し、核を挿入しないことから真珠が真円には育たずライス型やドロップ型といったさまざまな形状の真珠が得られる。その色も、オレンジや紫など多岐にわたる。淡水パールのうち、粒が小さく安価なものは[[ビーズ]]として使用される。近年では核を挿入して10mmを超える大玉も産出されるようになった。アコヤガイや他の真珠と同様の核を使う場合と小玉の淡水真珠を使う場合とがある。 ;[[コンクパール]] :[[西インド諸島]]の[[カリブ海]]に生息する[[巻貝]]であるピンク貝(''Strombus gigas'')から産する真珠。[[珊瑚]]のようなピンク色(他に白、黄、茶などもある)をしており、火焔模様が見られるのが特徴である。ピンク貝は巻貝であり人工的に核を挿入することが不可能であるため、コンクパールのほとんどが天然の真珠である(2009年11月、GIAのG&G eBriefにより養殖コンクパールの成功が報告された)。またピンク貝そのものが現地では貴重なタンパク源として食用とされており、積極的にパールが採られているわけではないことから希少とされている。なおコンクパールは真珠層真珠ではなく、交差板構造から成る真珠である。 ;[[メロパール]] :[[南シナ海]]沿岸に生息する[[ハルカゼヤシガイ]](Melo melo shell)から稀に産出する真珠。オレンジ系の色調が特徴。 ;その他の貝の真珠 :基本的に[[真珠層]]を持つほとんどの貝は真珠を産することが可能である。非常に稀であるが、例えば[[ハマグリ]]や[[アサリ]]、[[シジミ]]などでも真珠を産する。 ;模造真珠 :;プラスチックパール ::真珠を模したプラスチック球。軽く、表面は真の真珠層ではないために汗などに強い。 :;貝パール ::養殖真珠の核に人工的に真珠色の塗装を施したもの。 == 世界一長い真珠のネックレス == [[File:The Longest Pearl Necklace in the World.jpg|thumb|250px|世界一長い真珠のネックレス([[阿児ショッピングセンター|イオン阿児店]]で展示された時のもの)]] 「[[世界一の一覧|世界一]]長い真珠の[[ネックレス]]」の[[記録]]は、日本各地で競われている。[[1987年]](昭和62年)に[[兵庫県]][[神戸市]]の「パールシティー神戸協議会」が真珠養殖技術開発から80周年の記念に80[[メートル|m]]のものを製作し、当時話題となった<ref>パールシティー神戸協議会"[http://www.pck.gr.jp/event_01.html パールシティー神戸協議会/イベントニュース]"(2011年5月8日閲覧。)</ref>。その後、[[1995年]](平成7年)に旧三重県[[志摩郡 (三重県)|志摩郡]][[阿児町]]の阿児町観光協会などが108mのものを作製、[[ギネス・ワールド・レコーズ|ギネス]]に認定されたが、[[2006年]](平成18年)に[[愛媛県]][[宇和島市]]で187.25mのものが作られ、記録が更新された<ref>[[朝日新聞社]]"[http://mytown.asahi.com/areanews/mie/NGY201010040012.html asahi.com : みんなでつなぐ真珠 目指すは222メートル 志摩 - マイタウン三重]"(2011年5月8日閲覧。)</ref><ref name="sta">志摩市観光協会"[http://www.kanko-shima.com/new/guinness/shiryo.pdf 『世界一長い真珠のネックレス』]"(2011年5月8日閲覧。)</ref>。 現在{{いつ|date=2014年5月}}<!-- See [[WP:DATED]] -->の世界一は、2010年7月から10月にかけて三重県[[志摩市]]の志摩市観光協会が主催して作ったもので、222mに及ぶ<ref name="sta"/><ref name="iks">伊勢志摩経済新聞"[http://iseshima.keizai.biz/headline/1007/ パールクイーンは誰に? - 「ミズノクラシック伊勢志摩」いよいよ明日から]"2010年11月4日付(2011年5月8日閲覧。)</ref>。同年[[10月22日]]、正式にギネス認定を受けた<ref name="iks"/>。 == 脚注 == {{Reflist}} == 参考文献 == *バイオミネラリゼーション 生物が鉱物を作ることの不思議 渡部哲光 著 東海大学出版会(1997年) ISBN 4-486-01391-3 *真珠の事典 松井佳一著 北隆館(1965年) ASIN: B000JADINC == 関連項目 == *[[宝石]]、[[宝石の一覧]] *[[日本真珠会館]] *[[ミキモト真珠島]] *[[花珠]] *[[天然石ビーズ]] *[[真珠層]] *[[ケイブパール]] *[[ドゥッラーニー朝]] - [[アフガニスタン]]の歴史上の王朝。「ドゥッラーニー」はパシュトゥーン語で「真珠の時代」を意味する。 *[http://ja.wiktionary.org/wiki/%E8%B1%9A%E3%81%AB%E7%9C%9F%E7%8F%A0 豚に真珠](ウィクショナリー) === 「○○の真珠」と例えられる都市 === * [[アテネ]] - 「[[エーゲ海]]の真珠」 * [[ブダペスト]] - 「[[ドナウ]]の真珠」 * [[マニラ]] - 「東洋の真珠」 == 外部リンク == {{Commonscat|Pearls}} *[http://www.fis-net.co.jp/~shinju/index.html 日本真珠振興会] *[http://www.tahitipearl.jp/ タヒチパールプロモーション(旧 日本黒蝶真珠輸入協議会)] *[http://www5.ocn.ne.jp/~jpea/index.html 日本真珠輸出組合] *[http://homepage2.nifty.com/zenshinren/index.html 全国真珠養殖漁業協同組合連合会] {{Link FA|hy}} {{DEFAULTSORT:しんしゆ}} [[Category:真珠|*]] [[Category:生薬]] {{Link GA|lt}}
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