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相互作用
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'''相互作用'''(そうごさよう)、'''交互作用'''(こうごさよう)、'''相互交流'''(そうごこうりゅう)、'''インタラクション'''とは、 {{lang-en-short|''''interaction''''}}、 {{lang-de-short|''''Interaktion''''}} 等にあてられた訳語・音写語であり、原語では広義には二つ以上の存在が互いに影響を及ぼしあうことを指している。 ヨーロッパ系の言語では、'''interaction'''(英語)、'''Interaktion'''(ドイツ語)、'''Interaction'''(フランス語) などと表記され、同系統の言葉である。根本にある発想が同一であり、国境や分野を超えてその根本概念は共有されている。一方、日本語には、あくまで前述の語の訳語として登場し、「交互作用」「相互作用」「相互交流」などの様々な訳語、あるいは「インタラクション」などの音写語などもあり、用いられる分野ごとに様々な表記で用いられている。ただし、これらのいかなるの訳語・音写語があてられていようが、等しく重要な概念である。 ヨーロッパ圏の人が'''interaction''' という語を使う時、その語の他分野での用法なども多かれ少なかれ意識しながら使っていることは多い。一方、訳語というものは絶対的なものではなく、同一分野ですら時代とともに変化することがある。原著で同一の語で表記されているものが、訳語の選択によって概念の連続性が分断されてしまい歴史が読み取れなくなることは非常に不便であるし、訳語の異同によって分野ごとに細分化されては原著者の深い意図が汲み取れなくなる恐れもある。よって、これらを踏まえて本項では'''ヨーロッパ諸言語で interaction 系の語(派生語の interactive なども含む)で表記される概念についてまとめて扱う'''こととし、各分野における標準的な和訳と、その分野での具体的な用法や概念の展開について、広く解説することにする。 <!--単純な相互作用が結合することで驚くべき壮大な現象へと構成されうる。--> == 思想 == === 中国思想 === [[ファイル:Five elements.png|right|250px]] 中国において発達した'''[[五行思想]]'''では、森羅万象は木・火・土・金・水の5種類の要素からなるとし、それらの要素が互いに作用しあい、その生滅盛衰によって天地万物が変化し、循環する、と見なし、要素同士の関係を「'''相生'''」「'''相剋'''」「'''比和'''」「'''相乗'''」「'''相侮'''」という種類に分け、詳細に、かつ俯瞰的に分析する手法を編み出した。 中国におけるこのような、要素同士あるいは機能同士の相互作用の分析のノウハウ(西洋風に言うところの"ネガティブフィードバック"や"ポジティブフィードバック"と呼ばれる作用も含んでいるだけでなく、さらに他のタイプの作用も分類した上での、相互作用に関する総合的あるいは一般的な考察)は様々な分野に応用され、東洋諸国(アジア各国)で現代にいたるまで活用されている。一例を挙げると、[[伝統中国医学]]では現在でも、人間の心身全体が持つ機能同士の相互作用を五行の分析手法を用いて把握することがあり、人間の[[自然治癒力]]を援助したり引き出すことに成功している。 == 哲学 == 哲学では interaction には、'''交互作用'''、'''相互作用'''、'''相互行為'''などの訳語があてられる。 二つの実体(もしくは二つ以上の実体)が相互に作用しあうことを指す。 === カント === [[カント]](1724 - 1804)において、関係性の概念としては、まず「実体と内属性」「原因と結果」があるが、interaktion はそれに次ぐ第三の関係性である。人間の行為としての相互行為は、複数の個人が互いに働きかけあう社会的行為、とされる。そしてそれは、自然物を対象にした生産や製作などの行為と対比される。 === フィヒテ === 哲学における相互行為論として著名なものとしては、[[フィヒテ]](1762 - 1814)の『自然法の基礎』において展開された'''相互承認論'''が挙げられる。人は、意識・自己意識ともに形式的条件(能力)が備わっていても、それでは単に「可能的」であるにとどまる、とされ、行為が現実となるためには、他者からの「行為への促し」({{lang-de-short|''Aufforderung''}}) が必要である、とされる。 このような促しというのは、一種の呼びかけであり、人が相互に相手を自分と同類の知的存在と認め合っていることにより起きる、とする。促しによって、ひとたび行為者の自己意識が現実化すると、それ以降は相手を知的存在者の概念に沿って扱うようになる、とする。これが、法的行為あるいは[[道徳]]的行為の基本形式である、とする。 == 心理学 == === ジョージ・ハーバート・ミード === [[ジョージ・ハーバート・ミード]](1863 - 1931)によるこの説は、一般に「'''[[シンボリック相互作用論]]'''」と訳される。ある生物体の動作が、別の生物体にとって刺激となって反応を引き起こし、その反応が元の[[生物]]体にとっての刺激となり、その繰り返し・連鎖が社会的結果となる、とする「刺激-反応」の構図を基礎とする。そして、身振り会話(ボディランゲージ)の相互作用が、やがて、[[記号]]を用いた相互作用となり、さらには文法を備えた[[言語]]によって統制された相互行為へと到達する、という発達の仕組みについて述べている。ミードのこの説は[[プラグマティズム]]と[[社会行動主義]]を総合している、とも言われることがあり、後には(ドイツの観念論系の相互承認論とともに)[[ハーバーマス]]の「[[コミュニケーション]]的行為の理論」に影響を与えることになった。 == 社会学 == {{main|社会的相互作用}} 社会学では、社会の構成単位が社会活動する際の行為・結果を社会的作用と呼び、構成単位間で交わされる社会的作用およびその社会学で扱う結果の総体を「社会的相互作用」と呼んでいる。あるいは、パートナーの行動により行動や応答を変えることで、個人(あるいは集団の)動的に組み変わる社会的行為のこと。社会的相互作用は以下のように分類できる。 * 偶発({{lang-en-short|''accidental''}}) - 予定されるものではなく、反復しない。例としては道案内や、製造物の販売などの場合などである。 * 反復({{lang-en-short|''repeated''}}) - 予定されないが、反復する。例としては道を歩いていて、時々近所の人に出会う場合などである。 * 平常({{lang-en-short|''regular''}}) - 予定されないが、ごく日常的に発生する。ミスが起これば疑問に思ったり、平日の仕事場や夕食時に使うレストランでドアマンや警備員に出会う場合などである。 * 制限({{lang-en-short|''regulated''}}) - 予定されており、指示や法令により制限される。定義が存在するのでミスが発生すると疑念が生じる。(出勤、打合せなど)仕事場での関係、家庭などである。 社会的相互作用は社会関係を基盤にしている、とされる。 == 通信技術 == === インタラクティブ・コミュニケーション === 「双方向コミュニケーション」とも訳される。双方向コミュニケーションは情報源が相互にメッセージの伝達を授受することで発生する。 === インタラクティヴィティ === 「'''双方向性'''」と訳される。通信メディアにおいて、通信メディアに対して質問する機能のことである。メディアのデジタル化と媒体の集約により、メディアの利用量のうち双方向性の度合いが増大した。メディアにおける双方向化は文化的なトレンドである。 == 設計全般 == * [[インタラクションデザイン]] <!-- 色々な Interaction を次に示す: * 色々な種類の'''相互交流'''を Interaction と呼ぶ。例えば二人以上の人々やグループ、組織体、国家、国家集合体の間、あるいは通商、旅客、外交、運輸等で交わされるも のを指す。 * コンピューターや道具などの機械がフィードバック機構を介して動作する様子。例えば、運転手と道路上での車の動きの'''連携'''を Interaction と呼ぶ。すなわち、運転手の舵取りが自動車の動きを決め、状況は運転手に認識される。 --> == 統計学 == [[統計学]]の分野では、「'''交互作用'''」と訳す場合が多い。2つ以上の要因のある実験計画においてある要因が[[従属変数]]に対して与える影響の大きさあるいはその方向が、他の要因の水準によって異なることを指す。 [[実験計画法]]において2要因以上の実験計画を組んだ場合に考慮が必要な事象である。 == 物理学 == [[物理学]]においては、二つまたはそれ以上の物質が互いに力を及ぼしあうという概念を'''相互作用'''と言い表す。 19世紀以前には[[電磁力]]も[[重力]]も[[遠隔作用]]と考えられたが、今日においては4つの基本的な力のいずれも[[場]]が物体に作用することで[[力]]が発生するという[[近接作用]]の機構により発生すると考えられている。すなわち、[[場]]と物体とが近接作用する機構を相互作用と言い表す。 <!--4つの基本的な力は代表的な相互作用であるが、-->その他にも種々の場と物体との相互作用が存在し、その特性は色々な現れ方をする。例えば[[超伝導]]は結晶格子とクーパー対電子とがフォノン場を介して相互作用することで発現すると考えられている。この場合においても結晶格子と電子との間の[[静電相互作用]]が高次的にフォノン場とクーパー対の影響を受けているので、根源的には物理学における相互作用は'''[[基本相互作用]]'''にその源泉を求めることが出来る。 また、場と物体の近接作用以外で二つ以上の対象が互いに影響を及ぼしあった結果を相互作用と呼ぶ場合もある。例えば[[スピン軌道相互作用]]は、[[電子]]の[[スピン角運動量|スピン]]と[[原子軌道]]等とが互いに影響を及ぼしあう結果を言い表しており、特に場が関与していない例である。[[量子化学]]における[[HOMO-LUMO相互作用]]も同様に[[分子軌道]]間が影響しあう例である。あるいは、[[力学]]的に作用と反作用が対で発生することを相互作用と言い表している場合もある。 <!-- 重複説明になるので割愛する == 物理学・流体力学 == [[物理学]]では、二つ以上の物体間に互いに働く力を相互作用と呼んでいる。マクロな領域では[[力学]]・[[電磁気学]]におけるさまざまな作用、例えば[[クーロンの法則|クーロン相互作用]]などがある。『[[学術用語集]] 物理学編』に規定されている述語の多くは[[物性物理学]]におけるものでなど多くの相互作用が使用されている。相互作用のために使われるエネルギーを[[相互作用エネルギー]]と呼ぶ。これら多くの物理学の相互作用は[[力の統一]]の観点から、[[素粒子]]間に働く四種類の基本的な力に帰着すると考えられている。('''[[基本相互作用]]'''を参照) == 物理学 == [[物理学]]において、相互作用は物理的実体が他の実体との間に作用する特別な関係で、相互作用エネルギーを生じる。この物理的実体は点粒子から量子場までいろいろな物が知られている。例えば、電磁場におかれた荷電粒子の相互作用や、β崩壊を引き起こす実体の[[弱い相互作用]]ある。これらは自然界の基本的な力と考えられている。 --> また、[[流体力学]]では、[[波]]どうしの間で働く作用を相互作用と呼ぶこともある。 === 基本相互作用 === {{main|基本相互作用}} '''基本相互作用'''({{lang-en-short|''Fundamental interaction''}})は、物体に働く[[強い力]]、[[弱い力]]、[[電磁気力]]、[[重力]]が作用する機構を表し、特定の[[素粒子]]と[[場]]とが近接作用することで発現する。あるいは'''自然界の四つの力'''や単に相互作用などとも呼ばれる。 <TABLE BORDER=1 cellpadding=2> <TR> <TH>名称</TH><TH>相対的な強さ</TH><TH>影響範囲(m)</TH><TH>力を媒介する[[ゲージ粒子]]</TH></TR> <TR><TD>[[強い相互作用]]</TD><TD>10<SUP>40</SUP></TD><TD>10<SUP>-15</SUP></TD><TD>[[グルーオン]]</TD></TR> <TR><TD>[[電磁相互作用]]</TD><TD>10<SUP>38</SUP></TD></TD><TD>無限大 (強さは1/r<SUP>2</SUP>に比例)</TD><TD>[[光子]](フォトン)</TD></TR> <TR><TD>[[弱い相互作用]]</TD><TD>10<SUP>15</SUP></TD><TD>10<SUP>-18</SUP></TD><TD>[[ウィークボソン]](W<SUP>±</SUP>,Z<SUP>0</SUP>)</TD></TR> <TR><TD>[[重力相互作用]]</TD><TD>1</TD><TD>無限大 (強さは1/r<SUP>2</SUP>に比例)</TD><TD>[[重力子]](グラビトン)</TD></TR> </TABLE> <!--今日の場の理論においては、これらの相互作用は[[ゲージ粒子]]の交換により発生すると考えられている。また[[素粒子]]の対称性の研究からこれらの相互作用は高エネルギー状態においては、その挙動に違いは無くなると考えられた。最初に[[電磁相互作用]]と[[弱い力]]が[[電弱理論]]により統一的に説明され、高エネルギー物理学の実験により証明されている。さらに重力を除く3つの相互作用を統一して説明づける[[大統一理論]]が探求されており、[[宇宙論]]的な観測による検証が試みられている。--> === 物理学における相互作用一覧 === {{col-begin}} {{col-3}} * [[RKKY相互作用]] * V-A相互作用 * s‐f相互作用 * s‐d相互作用 * [[交換相互作用]] * 残留相互作用 * [[弱強磁性#ジャロシンスキー-守谷相互作用|ジャロシンスキー‐守谷の相互作用]] * 振電相互作用 * [[スピン軌道相互作用|スピン‐軌道相互作用]] {{col-3}} * [[接触相互作用]] * [[双極子相互作用]] * 相互作用吸収 * 相互作用色 * 相互作用定数 * 相互作用表示 * [[超交換相互作用]] * 対相互作用 * [[電子格子相互作用]]([[電子フォノン相互作用]]) * [[電子光子相互作用]]([[電子フォトン相互作用]]) {{col-3}} * 2重交換相互作用 * 配置間相互作用 * 反対称交換相互作用 * フェルミ型相互作用 * フェルミ相互作用 * ミニマルな相互作用 * 湯川型相互作用 * [[電弱相互作用]] * [[相関相互作用]] {{col-end}} == 化学 == [[化学]]では[[分子間力]](つまり'''分子の間の'''相互作用)を、[[共有結合]]に比較して弱いという意味で特に「相互作用」と呼ぶが、そのうち強いものは「結合」ともいう。具体的には[[イオン間相互作用]](イオン結合ともいう)、[[水素結合]](これは「結合」の語を用いることが多い)、[[双極子相互作用]]、[[ロンドン分散力]]([[ファンデルワールス力]])があり、これらは[[電磁気学]]的要因([[クーロン力]])に基づく力である。以上に含まれるが特殊なものとして[[電荷移動相互作用]](2分子間で[[電子]]が移動し、クーロン力によって錯体を作る)や[[π-π相互作用]](渡環相互作用:[[芳香環]]の間に働く特に強い分散力)がある。 そのほかに、[[熱力学]]的要因(系をマクロに見たとき[[自由エネルギー]]が低い方が安定化する)に基づく[[疎水相互作用]]がある。これらは[[超分子]]の形成、[[結晶]]構造、[[液体]]や[[液晶]]の物性や、生体高分子([[デオキシリボ核酸|DNA]]、[[蛋白質|タンパク質]]など)の構造に重要な役割を果たす。 また[[生化学]]では[[タンパク質]]などの分子が特異的に会合すること(具体的には上記の各種相互作用による)を相互作用と呼ぶ。[[タンパク質間相互作用]]を参照。 === 関連項目 === * [[渡環相互作用]] * [[HOMO‐LUMO相互作用]] == 薬学 == {{main|薬物相互作用}} 薬学の分野では一般に「相互作用」と訳す。 [[薬理学]]では複数の[[薬物]](あるいは食物などに含まれる成分)が摂取されたとき、その薬効あるいは[[副作用]]などに単独で摂取した場合と比較して相違がある場合、これを相互作用という。この薬理学的相互作用は * ファーマコキネティクス的({{lang-en-short|''Pharmacokinetic''}})相互作用:吸収、体内分布、[[代謝]]、排出においてある薬物が他の薬物の濃度を変化させる。(例:薬物代謝酵素[[シトクロムP450]]に他の薬物・食物([[グレープフルーツ]]など)が影響を与える) * ファーマコダイナミクス的({{lang-en-short|''Pharmacodynamic''}})相互作用:薬効や副作用に直接関わる段階で薬物間の影響がある。(例:[[納豆]]などに含まれる[[ビタミンK]]によって抗凝固剤[[ワルファリン]]の薬効が低下する) の2つに分けることができる。 <!-- == 薬学 == 薬学において、薬剤は他の薬剤とともに安全に処方されうる。しかし特定の組み合わせは'''配合変化'''と呼ばれる Interaction を起こすので医者や薬剤士の監視下に置かれる。 薬剤が陥る一般的な配合変化は主に二つに分類される。薬理学的な Interaction(干渉する二つの薬理作用が発現する)である'''併用禁忌'''と、薬剤学的な Interaction(二つ以上の物質が化学変化を起こして薬剤の体内動態が変化する)である'''配合禁忌'''とがある。 場合によっては、複数の薬剤を使って特別な治療効果をあげる'''併用療法'''と呼ばれる Interaction が利用される。異なる種類の鎮痛剤を組み合わせて完全な疼痛治療を行う例があげられる。この'''併用療法'''は患者は必要以上の効果を期待して薬剤を使ってしまうため、医師の監視下で行う必要があり入院患者に処方される。 べつの場合には、複数の薬剤が逆の作用を示して'''拮抗作用'''と呼ばれる Interaction を生じる場合がある。この拮抗作用は一般には周知されており、 基本的には薬の作用を無効にするものと認識されている。薬剤を処方する際には拮抗作用を生じないように注意して選択される。 他にも薬剤量が多すぎたり少なすぎたりすると、'''副作用'''や'''無効量'''と呼ばれる Interaction が生じる。それ故、薬剤の投与量は注意深く調節することが求められている。 --> <!-- == 脚注 == {{脚注ヘルプ}} {{Reflist}} --> == 参考文献 == {{節stub}} <!-- {{Cite book}} --> <!-- {{Cite journal}} --> == 関連項目 == {{Commonscat|Interaction}} * [[創発]] * [[システムダイナミクス]] * [[フィードバック]] * [[非局所性]] * [[多体問題]]、[[カオス理論]] == 外部リンク == * [http://www.thebiogrid.org/ Bio GRID General - Repository for '''Interaction''' Datasets ]([[システム生物学]] 関連) {{DEFAULTSORT:そうこさよう}} [[Category:力 (自然科学)]] [[Category:物理化学の現象]] [[Category:薬学]] [[Category:社会学]] [[Category:システム]] [[fr:Interaction (sciences sociales)]]
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