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発振回路
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'''発振回路'''(はっしんかいろ、electronic oscillator)は、持続した[[交流]]を作る[[電気回路]]である。その原理により、'''帰還型'''(きかんがた)と'''弛張型'''(しちょうがた)に分類できる。[[電波]]の[[放射]]や、[[ディジタル回路]]における[[クロック]][[パルス]](コンピュータ(またはデジタル回路)が動作する時に、タイミングを取る(同期を取る)ための周期的な信号)の発生が代表的な用途であるが、それ以外にも、[[電子回路]]の動作の基準となる重要な回路である。 ==帰還型と弛張型== '''帰還型'''(Harmonic oscillator)は、増幅回路の出力の一部を入力に帰還(フィードバック)させることにより、規則的な電圧の変動を生じさせるもので、基本的には[[増幅回路]]の特殊例と言えるものである。[[増幅]]の作用を持つ[[真空管|三極管]]で最初は作られ、これが出来たので、高周波を扱う分野では[[超高周波発電機]]が不要になった。 [[増幅回路#負帰還・正帰還|帰還型]]の例として、[[マイクロフォン|マイク]]により得られた音声信号を[[増幅回路|アンプ]]で増幅し、[[スピーカー]]から出力する際に起こる[[ハウリング]]が挙げられる。スピーカーからの出力が十分に大きい場合、マイクをスピーカーに近づけると振幅の大きな規則的な電気信号が得られる。これはスピーカーからの出力の一部がマイクに帰還されたことにより生ずる現象である。この例から分かる通り、増幅を目的とした回路でも、(意図しない)帰還があると発振することがある。 '''弛張型'''([[:en:Relaxation oscillator|Relaxation oscillator]])は、電気的には[[スイッチ]]のオン・オフのタイミングを制御することで断続した電気信号を生じさせるものである。増幅回路を持たないこともある。 弛張型の原理を説明するモデルとして[[ししおどし]]が挙げられる。竹筒に水を注いでゆき、水が竹筒の内部に蓄えられる。内部の水量がある[[しきい値]]を超えると、竹筒が倒れ、内部の水が空になり、同様の動作を繰り返す。これを電子回路に例え、竹筒を[[コンデンサ]]、水を[[電荷]]、水量を[[電圧]]に置き換えると、電圧は周期的な変化をしているといえる。動作が持続するためには、竹筒を倒すタイミングの制御が重要である。 ==帰還型発振回路の例== 増幅回路の出力の一部を入力に帰還する際、その'''時間遅れ'''を決めることにより、[[発振]][[周波数]]が決定される。[[増幅回路#負帰還・正帰還|正帰還]](入力の電気信号と、帰還する電気信号の位相が同じ)である場合に発振する。用いる[[受動素子]]により、いくつかの種類に分類できる。 ===固体振動子発振回路=== [[水晶振動子]]・[[セラミック発振子]]など、電圧を印加することで固有振動を起こす部品(固体振動子)を回路内に接続することにより、発振周波数を決めることができる。特に水晶振動子を用いた回路は、発振周波数の精度が非常に高い。 回路内の接続の方法により、次のように分類される。 *ピアースB-E回路 *ピアースC-B回路 *エミッタ帰還回路 ===CR発振回路=== C([[コンデンサ]])とR([[抵抗器|抵抗]])で構成される[[RC回路]]を用いて帰還するものである。[[正弦波]]を発生する。 *移相形: コンデンサと抵抗による[[ローパスフィルタ]]または[[ハイパスフィルタ]]は、周波数に応じて0から90度の位相のずれが生ずる。その回路を3段もしくは4段接続すると、特定の周波数で180度の位相のずれが生ずるので、反転増幅器の帰還回路に用いることで発振する。 *ウィーンブリッジ形([[:en:Wien bridge oscillator|Wien bridge oscillator]]): コンデンサと抵抗によるバンドパスフィルタを用いて増幅回路に正帰還をかける。出力電圧の振幅が飽和しないよう、その振幅を整流回路、平滑回路、遅延回路などで検出して、負帰還を調整する(増幅率を増減する)。精度が比較的高く、周波数の可変域が広いため、アナログ式の発振器に用いられている。 *ツインT形: コンデンサと抵抗をT字型に接続することで、ハイパスフィルタとローパスフィルタを構成できる。これらを並列にして位相反転形のバンドバスフィルタを構成し、増幅回路の負帰還として用いることで、正弦波を発生できる。調整はやや難しいが、[[トランジスタ]]1石で低周波の正弦波を発生できる数少ない回路であるため、簡便な発振回路として用いられる。 ===LC反結合発振回路=== L([[コイル]])とC([[コンデンサ]])で構成される[[LC回路]]を用いて帰還するものである。出力を逆位相で入力に帰還する(''結合''の位相が''反''対)ことから、この名称がある。 *'''[[ハートレー発振回路]]'''([[:en:Hartley oscillator|Hartley oscillator]]): コイル2個、コンデンサ1個で構成 *'''[[コルピッツ発振回路]]'''([[:en:Colpitts oscillator|Colpitts oscillator]]): コイル1個、コンデンサ2個で構成、実際にはコイルと直列にコンデンサを挿入して安定度を向上することが多く、この変形は'''[[クラップ発振回路]]'''([[:en:Clapp oscillator|Clapp oscillator]])と呼ばれる。クラップ発振回路は[[C/N]]に優れており、無線機に要求される非常に厳しいC/Nを満たすことが出来るため、[[バイポーラトランジスタ]]を使って[[ディスクリート]]で構成される無線機用[[VCO]]の原型の回路になっている。 <gallery> Image:Clapp oscillator.png|クラップ発振回路 Image:Hartley osc.png|ハートレー発振回路 </gallery> ===同調形=== 回路の一部に[[同調回路]]を設け、その電圧の一部を帰還するものである。 *コレクタ同調 *ベース同調 *エミッタ同調 ===マルチバイブレータ=== [[マルチバイブレータ]]([[:en:Multivibrator|Multivibrator]])と呼ばれる回路には、次の3種類がある。 *[[単安定マルチバイブレータ]] *[[双安定マルチバイブレータ]] *[[非安定マルチバイブレータ]] このうち'''非安定マルチバイブレータ'''が発振回路として用いられる。2組の反転増幅回路の入力と出力をそれぞれ互い違いに接続した回路である。 ===リング・オシレータ=== NOTやNORのような反転論理を奇数段用いて、出力を入力へ環状(リング)に接続することで、周期的な方形波([[クロック]])が得られる。これを[[リング・オシレータ]]あるいは、特に論理ゲートのみで構成されるものを、ロジカルオシレーターと呼ぶ。周波数は、R([[抵抗]])やC([[コンデンサ]])の負荷や論理段数の増減、バイアス電流(電圧)の制御を行うことで決められる。 実際の回路においては、他の発振回路に比べ、周波数のゆらぎ([[位相雑音]])や波形の時間的な揺らぎ([[ジッター]])が大きいため、単に内蔵タイマーのクロックのような用いられ方か、さもなくば位相同期回路を加えることで回路全体の基準クロックとして使用する。 ==弛張型発振回路の例== 弛張(しちょう)型発振回路は電流のオン・オフに対して、ある条件を与えることで、断続する電気信号を作り出す回路である。最も簡単な条件に[[ヒステリシス|ヒステリシス性]]がある。「弛」は'''ゆるむ'''、「張」は'''はる'''ことで、それを交互に繰り返し発振する意味である。 ===ネオン管発振回路=== <!--[[ネオン]]管(放電管)は、電荷を蓄える([[充電]]する)性質があり、内部で[[放電]]が起きない場合には内部[[電気抵抗|抵抗]]が高いが、一旦放電が起こると内部抵抗が一時的に低くなる性質がある。ネオン管に高抵抗を通して高い直流電圧を加えると、電荷が蓄えられながら次第にネオン管の端子電圧が高くなる。放電の[[しきい値]]を超えると放電が起こって電圧が低くなり、また電荷が蓄えられる動作を繰り返す。この時ネオン管の端子電圧は周期的に変化しているので、発振出力を取り出すことができる。[[ししおどし]]と同じ原理である。--><!--家庭用の100V交流をダイオードで整流し、1MΩを直列につないで試してみましたが、ゆるやかな放電(電極の端の方だけが光る)が持続するのみで、発振は見られませんでした。とりあえずコメントアウトします--> [[ネオン管]](放電管)は、[[放電]]が起きていない状態では[[電気抵抗|抵抗]]値が高いが、一旦放電が起こると抵抗が低い状態になる性質がある。ネオン管に並列に[[キャパシタ]]を接続し、高抵抗を通して高い直流電圧を加えると、キャパシタに電荷が蓄えられるため、次第にネオン管の端子電圧が高くなる。ネオン管が放電を起こす[[しきい値]]を超えると放電が起こって、キャパシタの電圧が放電終了電圧より低くなるまで放電する。放電し終わると、またキャパシタに電荷が蓄えられる、という動作を繰り返す。この時ネオン管の端子電圧は周期的に変化しているので、発振出力を取り出すことができる。 ネオン管の代わりに、同等の作用を持つ[[サイラトロン]]などのガス放電管や[[ユニジャンクショントランジスタ|UJT]]や[[プログラマブルユニジャンクショントランジスタ|PUT]]などの半導体素子を用いるものもある。このための専用の[[集積回路|IC]]もある。 ===パウルゼンの弧光発振回路=== ネオン管発振回路と同様の原理を用い、[[電波]]の送信を目的とし、各種の放電現象を利用したものとして'''マルコーニの火花送信機'''がある。多くの場合、放電電極と並列にLCの同調回路を接続したものとなっているが、その中でも、陽極に[[銅]]、陰極に[[ニッケル]]からなる電極を用い、[[炭化水素]]あるいは[[水素]]ガスを封入し、管全体に磁場をかけて放電の安定化させたガス放電管を用いる'''パウルゼンの弧光発振回路'''が良く知られている。'''パウルゼンのアーク式高周波発生回路'''とも呼ばれる。 ===リレーによる発振回路=== [[継電器|リレー]]のNC接点と[[コイル]]を直列に繋いだ回路。電圧を印加すると、コイルが励磁して接点が吸引され、電源から切り離される。すると磁力が弱まり、接点は再び電源に繋がれ、最初の状態に戻る。この回路は、発振が直接運動エネルギーとして取り出せる事と、構造が非常に単純な事から、非常ベルやブザーなどに用いられる。 この運動が、接点が付くか付かないかの所で微小な振動をする状態に陥ったりせず、十分な振幅を保つ理由は次のように説明される。コイルは[[電磁石]]であると同時に[[インダクタ]]でもあるから[[インダクタンス]]を持っており、接点が繋がってから、電流が十分に流れるまでに時間的な遅れがある。さらに磁気回路のヒステリシス性もさらに遅れる方向に働く。従って接点が繋がっても、しばらくは吸引は始まらない。次に、接点が離れる時には、電流は強制的に切られ(対策の無い単純な装置の場合は、誘導による高電圧の電気火花を伴って回路が切れる)るが、磁気回路には磁力が十分に弱まるまでの時間的な遅れがやはりあるので、電源が切れても接点はしばらく吸引されたままになる。またベルなどでは振動するハンマー自体の慣性も影響する<ref>[[高橋秀俊|ロゲルギストT]]「呼鈴はなぜ鳴るか」、[[ロゲルギスト]]『続 物理の散歩道』([[岩波書店]])収録</ref>。小学校の理科で電磁石を扱う時、この方式のベルが示されることがあったが、以上のような説明は小学校の理科では不可能なため、適当な説明がなされていた。 == 文献 == <references/> == 関連項目 == {{Commonscat|Oscillator circuits}} *[[交流]] *[[電気回路]]、[[電子回路]]、[[アナログ回路]]、[[ディジタル回路]]、[[RLC回路]] *[[位相同期回路]]、[[電圧制御発振器|VCO]]、[[リング・オシレータ]] *[[LFO (電子楽器)]](LFO;Low Frequency Oscillator) *[[真空管]]、[[トランジスタ]] *[[ネオン管]]、[[サイラトロン]]、[[ダイナトロン]]、[[クライストロン]]、[[マグネトロン]] *[[ユニジャンクショントランジスタ|UJT]]、[[ユニジャンクショントランジスタ|PUT]]、[[サイリスタ|SCR]]、[[ガン・ダイオード]]、[[インパットダイオード]] *[[クロック]](コンピュータ) *[[ハウリング]] *[[フリンジハウル]] *[[ししおどし]] {{DEFAULTSORT:はつしんかいろ}} [[Category:アナログ回路]] [[Category:電子工学]] [[Category:無線工学]] [[Category:ラジオ]] [[fr:Oscillateur]]
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