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生物兵器
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{{大量破壊兵器}} '''生物兵器'''(せいぶつへいき)とは、[[細菌]]や[[ウイルス]]、あるいはそれらが作り出す[[毒素]]などを使用し、人や動物に対して使われる[[兵器]]のこと。[[国際法]]([[ジュネーヴ議定書 (1925年)|ジュネーヴ議定書]])で使用が禁止されている。[[化学兵器]]と合わせて貧者の[[核兵器]]と言われる。 主なところでは[[天然痘]]ウイルスや[[炭疽菌]]、[[ボツリヌス毒素]]などがある。治療法があって自分の身を守りつつ敵国にダメージを与えられる細菌やウイルスが適し、治療法が確立していないものは適さない。 使用方法は、多種多様であり、[[砲弾]]や[[弾道ミサイル]]の弾頭に装填する方法、[[航空機]]などより噴霧する方法などがある。 フィクション作品においては「生体兵器([[動物兵器]])」と混同されることがあるが、別物である。 == 特徴 == [[核兵器]]などに比べて簡単に入手ができ(失敗したとはいえ、民間の[[オウム真理教]]が炭疽菌を培養して散布した)、与える被害が大きいことや以下の特徴から[[テロリスト]]などに使われることが危惧されている。 また、[[医学]]や[[細菌学]]の研究、生物兵器に対する防御法の研究という建前でひそかに開発が行われていることがある。 核兵器、生物兵器、化学兵器の3つをあわせて大量破壊兵器またはこれら3つの頭文字を取ってNBC兵器もしくはABC兵器と呼ぶが、この中でも生物兵器はもっとも費用対効果に優れるとされる。 核兵器の開発は高度な技術と施設が不可欠であり、化学兵器も兵器として十分な量を製造するためにはそれに伴う規模の施設と原料が必要となる。 しかし生物兵器の中には、ある程度の知識と技術があれば大がかりな設備がなくても製造することができるものも存在する。反面、使用時の外部条件(例えば気象)に左右される部分が多いことや、与える被害を予測しにくく、その場で効果が現れることもないため、ほかの二つに比べると兵器としては使いにくい。 生物兵器が化学兵器と大きく違うところは細菌兵器を例にすると感染してもすぐには効果が現れず、人から人への感染を起こすことである。 感染の方法、感染力はさまざまであるが、生物兵器の多くは生物から生物へ感染する。化学兵器は風の影響や、付着していた化学兵器の蒸発による二次被害などがあるものの、基本的に被害は散布された周辺のみにとどまる。 しかし生物兵器は感染者が移動することにより広範囲にわたって影響を及ぼす。特に近年は、丸一日あれば世界のどこにでも行けるほど移動手段が発達しているため、被害は想像以上に大きくなる可能性がある。 特にテロに使用されやすいとするもう一つの理由は潜伏期間の問題で、感染してから数日たってから発病するため、感染経路の特定が難しく、その間に実行犯は国外などへの逃走が可能となる。 == 生物兵器の歴史 == ウイルスや細菌を攻撃の手段とする考えは紀元前からあり、実際使用されることもあったが、いずれの場合もこれまでの経験から病気になると考え使用したものであり、科学的な手法に基づくものではない。ウイルスや細菌を人工的に培養して攻撃の手段としての使用を考えるようになるのは[[20世紀]]に入ってからである。 ただし、見方によっては変わる。例えば、中世の[[包囲戦]]において包囲下にある城・都市に[[ペスト]]などの[[感染症]]による死者の遺体を投棄し、感染症の発生を狙ったこと、また[[18世紀]]北アメリカの[[フレンチ・インディアン戦争]]で、英国軍が天然痘患者の使用した毛布を[[インディアン]]に配布し、インディアンの患者の半数が死亡した。天然痘は、患者の使用した物品からも感染することがあり、それを狙ったのである。 == 生物兵器への対応 == 生物兵器に対する最も有効な対応は、兵器として使用する可能性のある国家・組織に生物兵器を保有させないことである。そしてもし生物兵器が使用された場合には感染の拡大を防ぐため、患者の隔離と治療を行う必要がある。 === 保有の禁止 === 生物兵器は従来より戦争で使用する兵器としての保有は[[生物兵器禁止条約]]で禁止されているが、国際的に遵守されていたとは言えない。また研究目的で個人が保有することは多くの国で可能であったため、近年までテロリズムに対しては十分な対応ができていなかった。 [[1995年]]の[[地下鉄サリン事件]]を受け、世界的に生物兵器の保有に関する法体制の整備が進む。特にアメリカは[[2001年]]に[[アメリカ炭疽菌事件|炭疽菌を使用したテロ]]が発生し、法整備がなされた。 日本では[[1982年]]に[[細菌兵器(生物兵器)及び毒素兵器の開発、生産及び貯蔵の禁止並びに廃棄に関する条約等の実施に関する法律|生物兵器禁止法]]が制定されている。自衛隊は対バイオハザードのための訓練も行う。 === 隔離・治療 === {{See also|CBRNE#日本におけるCBRNE災害対処}} 多くのウイルスや細菌は人から人への感染を起こすため、感染者の隔離が必要となる。 通常は患者を隔離し、患者と接触した人への[[ワクチン]][[注射]]を行えば感染を防ぐことができる。しかし、兵器として使用された場合には多くの人が感染することになるため、通常の隔離では対応しきれない。そのため状況に応じて地区の[[隔離]]や、最悪の場合その国への渡航を禁止し国まるごと隔離する必要がある。 == 主な生物兵器 == === 炭疽菌 === [[炭疽菌]]は非常に取り扱いやすく、発芽するまでは各種薬品や紫外線などに対する耐性も非常に強い。 しかも、肺に感染する肺炭疽にかかった場合には致死率が90%前後に達する。そのため炭疽菌は従来より生物兵器の代表格とされており、[[2001年]]には実際にアメリカでテロに使用され、死者を出している。日本でも、[[1993年]]に[[オウム真理教]]が[[東京都]][[江東区]][[亀戸]]の新東京総本部(登記上の主たる事務所でもあった)で実際に噴霧している。死傷者こそ出さなかったものの悪臭が周辺に漂う騒動となった([[亀戸異臭事件]])。 自然界における炭疽菌への感染は、炭疽菌が含まれる土壌などへの接触によることが一般的である。この場合炭疽菌は皮膚に感染(皮膚炭疽)するが、この皮膚炭疽は治療を行わなかった場合でも致死率は約20%、適切な治療を受ければ約1%まで下げることが可能で、(兵器としては)それほど問題はない。 兵器として使用する場合は皮膚炭疽では威力不足であるため、空気中に散布して肺に感染させる必要があるが、エアロゾル化にはある程度の技術力が必要である。 炭疽菌に有効なワクチンは存在するが、 # 接種に手間がかかること。 # 1年ほどしか効果がないこと。 # 弱いながらも副作用が発生する可能性が比較的高いことから、一般的には使用されていない。 炭疽菌の兵器としての欠点は感染力が弱いことで、人から人へ感染することはない。他方でこれは、その後にその地へ味方が進出した場合に被害を受けない、と言う面では利点でもある。 === 天然痘 === [[天然痘]]は1980年に撲滅がWHOから宣言され、以降[[種痘]]の接種は行われなくなった。そのため現在では多くの人が天然痘に対する耐性を持っていない。このような状況で天然痘によるテロが起きた場合、速やかな対処は不可能である。 万が一の事態に備え、各国では天然痘に限らず各種ウイルスに対するワクチンの保管をある程度行っている。2004年、アメリカ政府はバイオテロなどに備えて全国民に接種できる量の天然痘ワクチンの備蓄を決定したが、追随する国はない。現状では保険的な意味しか持たないものにそこまで予算をかけるわけもなく、十分な数が確保されているとはいえない。しかも、天然痘ワクチンにはごくまれに重い副作用が起こる場合もあり、万が一のために再び種痘接種を義務化することは好ましくない。 === 人工的に作られたウイルス === 現在、ウイルスの[[遺伝子]]を組み換え、特定の細胞だけを感染・死滅させる研究が特に[[がん治療]]の分野で行われている。この技術を応用すれば、人工的に抗ウイルス剤の効かない[[薬剤耐性|薬剤耐性ウイルス]]、また、[[鳥インフルエンザ]]のように人類がまったく免疫を持たないウイルスの開発が可能である。テロ目的の遺伝子組み換えウイルスの開発・研究は禁止されていても、これを監視するシステムはすべての研究機関にあるとは限らず、世界のどこかで、いつこのような開発が行われていてもおかしくない。また、これらの人工ウイルスに対するワクチンは当然存在せず(テロリスト(開発者)自身は所持している可能性が高い)、流行してから初めてワクチンの開発が可能になるため、ワクチンができるまで早くても3 - 6か月かかる。[[国民]]全員分を用意するにはさらに時間がかかるため、多数の死者が出る恐れがある。 == 生物兵器の種類 == {{Col| * '''ウイルス''' ** [[天然痘]] ** [[オウム病]] ** [[日本脳炎]] ** [[黄熱]] ** [[エボラ出血熱]] ** [[クリミア・コンゴ出血熱]] ** [[マールブルグ熱]] ** [[ラッサ熱]] ** [[南米出血熱]] | * '''細菌''' ** [[炭疽]] ** [[ブルセラ症]] ** [[コレラ]] ** [[ペスト]] ** [[ボツリヌス菌]] ** [[赤痢]] ** [[野兎病]] ** [[鼻疽]] ** [[類鼻疽]] ** [[腸チフス]] | * '''[[真菌]]''' ** クルシディオイドマイセス ** [[クリプトコッカス]] * '''[[リケッチア]]''' ** [[発疹チフス]] ** [[ロッキー山紅斑熱]] ** [[Q熱]] * '''毒素''' ** [[ボツリヌス毒素]] ** [[ブドウ球菌]]性腸毒素 ** [[破傷風]]菌毒素 ** [[リシン (毒物)|リシン]] ** [[貝毒]] }} == 関連項目 == * [[大量破壊兵器]] * [[化学兵器]] / [[核兵器]] / [[放射能兵器]] / [[規制が議論されている兵器#NBCR兵器|NBCR兵器]] * [[731部隊]] * [[防疫給水部]] * [[バイオハザード]] * [[動物兵器]] * [[細菌兵器(生物兵器)及び毒素兵器の開発、生産及び貯蔵の禁止並びに廃棄に関する条約等の実施に関する法律]] == 外部リンク == * [http://www.mhlw.go.jp/houdou/0110/h1015-4.html 厚生労働省] - 生物兵器テロの可能性が高い感染症について 平成13年10月15日 {{weapon-stub}} {{DEFAULTSORT:せいふつへいき}} [[Category:生物兵器|*]] {{Link FA|sl}}
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