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漆喰
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[[画像:蕾のシモクレンと古民家.JPG|thumbnail|180px|民家の壁に使われた漆喰]] '''漆喰'''(しっくい)とは、[[瓦]]や[[石材]]の接着や目地の充填、[[壁]]の上塗りなどに使われる、[[水酸化カルシウム]](消石灰)を主成分とした[[建築材料|建材]]である。 == 概要 == 漆喰は、水酸化カルシウム・[[炭酸カルシウム]]を主成分としており、もとは「'''石灰'''」と表記されていたものであり、漆喰の字は当て字が定着したものである。 風雨に弱い土壁そのままに比べて防水性を与えることが出来るほか、不燃素材であるため外部保護材料として、また調湿機能に優れているため、古くから[[城|城郭]]や寺社、商家、[[民家]]、[[土蔵]]など、木や土で造られた内外壁の上塗り材としても用いられてきた建築素材である。面土や鬼首などの瓦止めの機能のほか、壁に使用される場合には、通常で3 - 5ミリ程度、[[モルタル]]などへの施工の場合は10数ミリ程度の厚さが要求されている。塗料やモルタルなどに比べ乾燥時の収縮は少ないものの、柱などとの取り合い部に隙間が生じやすいため、施工の際には留意が必要である。 [[二酸化炭素]]を吸収しながら硬化する、いわゆる気硬性の素材であるため、施工後の水分乾燥以降において長い年月をかけて硬化していく素材でもある。 近年では化学物質過敏症の原因の主たるものとされる、[[ホルムアルデヒド]]の吸着分解の機能があるものとして注目を浴びている。 [[顔料]]を混ぜない(で用いる)白い漆喰のことを、「白漆喰」という<ref>『大辞林』三省堂。</ref>。 == 分類 == 日本における漆喰は現在、大きく5種に分けられる。 ; 本漆喰 : 旧来漆喰とされてきたもの。現地にて昔ながらに海藻([[フノリ]])を炊いてのりを作り、麻すさ(麻の繊維)と塩焼き消石灰を混合して作られる。 ; 土佐漆喰 : 3ヶ月以上発酵させた藁と塩焼き消石灰と水を混合し、1ヶ月以上熟成させたもの。そのため藁の成分が発色し、施工直後から紫外線で退色するまでは薄黄~薄茶色の姿に仕上がる。練り状の製品しか存在しない。 ; 既調合漆喰 : いわゆる「漆喰メーカー」が製造した漆喰製品。一般に塩焼き消石灰と麻すさ、粉末海藻のり、炭酸カルシウムなどの微骨材が配合された粉末製品。水を加え練ることで漆喰として使用される。近年では海藻のりに加え、合成樹脂を使用した製品や、化学繊維を使用した製品、顔料を混ぜて色をつけた製品もある。また、練り置き済み製品も存在する。 ; 琉球漆喰(ムチ。[[沖縄方言]]で「餅」の意) : 藁と生石灰を混合したものに水を加え、生石灰に消化加熱反応を起させることで藁を馴染ませ、さらにそれを擂り潰し熟成させたもの。土佐漆喰に比べ藁の混入量が多いため、[[紫外線]]で退色するまでは濃黄~薄茶色の姿に仕上がる。練り状の製品しか存在しない。[[沖縄県|沖縄]]の屋根瓦工事を中心に用いられる。 ; 漆喰関連製品 : 近年上市されている、漆喰の機能を有するとされる塗料や海外製の消石灰が配合された塗り壁材など。現状は既調合漆喰との区別をする規定がない。 上記5種以外に、本漆喰から派生した地域独特の漆喰が存在する(肥後漆喰など)。 == 原料 == ; 消石灰 : 漆喰の主成分となる。コブシ大程度に砕かれた[[石灰岩]]を土中窯や徳利窯と呼ばれる竪窯で、[[石炭]]や[[コークス]]を燃料として塩を加えながら焼かれる「塩焼き」で焼成された生石灰から作られた消石灰。一般に「塩焼き灰」と呼ばれる。 ; すさ : 収縮防止やつなぎ(補強)効果を与える。[[アサ|麻]]に類する植物繊維が主に使われてきたが、現在では豆類や[[香辛料]]が輸入される際に包材となる[[南京袋]]を加工して作られているものが大半である。歴史的には大麻、苧麻のほか、[[近世]]に輸入されるようになった綱麻、亜麻、マニラ麻、サイザル麻などが使われている。土佐漆喰や琉球漆喰のすさには藁が用いられるほか、上級の上塗り漆喰には紙繊維も用いられる。また、[[関東地方|関東]]地域を中心として「つた」とも呼称される。 ; 海藻のり : 「のり」と呼称されるが、壁に使用される場合、漆喰へ混入される一番の目的は「接着」ではなく「保水効果」による作業性の向上である。さらに粘度調整効果も求められる。 : 歴史的には布海苔、銀杏草、角叉などの海藻を煮炊きして抽出したものが使われていた。現在は加熱後乾燥、粉末化された粉末海藻のりが主流となっている。その原料のほとんどに銀杏草が用いられている。原料海藻は国内では[[東北地方|東北]]~[[北海道]]が産地であるが、収穫量が少ないため、[[大韓民国|韓国]]や[[南アメリカ|南米]]産の海藻も多く使われている。 : また、原料海藻を「ふのり」や「つのまた」と総称して呼ばれてきた歴史があるため、実際の品種とは異なる呼称が使われることも少なくない。 ; 骨材 : 屋根用や壁の中塗り用として川砂などの骨材が混入される。また、主原料となる消石灰に含まれる水酸化カルシウム分が過剰であるなどして収縮力が強すぎる場合には、その緩衝材として微粉骨材が混入されることが多い。 ; 樹脂 : 天然由来であるため不安定とされる海藻のりの効果を補填するために使用され始めたが、現在では接着効果として考えられているケースが多々ある。そのため、最も多く使用されている水溶性樹脂メチルセルロースのほか、[[アクリル樹脂]]や[[酢酸ビニル|酢酸ビニル樹脂]]など様々な樹脂が混入されている製品が存在する。 ; 化学繊維 : [[ナイロン|ナイロン繊維]]や[[ガラス繊維]]など。麻すさの代用品としてだけでなく、強度向上や作業性向上のため混入されている。 ; 着色顔料 : 古くは松煙と呼ばれる油煤を原料とした黒顔料や弁柄など、漆喰に色を着ける目的で使用されてきた。近年ではカーボンや鉱物系顔料など、様々な顔料が用いられている。 ; 油 : 漆喰に練りこむことで、防水効果を向上させる目的に使われてきた。その技法は台風など雨の影響を受けやすい西日本に多く見受けられる。種類としては古くは荏油、鯨油、魚油、桐油などがあるが、現在は菜種油が主流である。 == 歴史 == 建築材料としては、神話の時代から接着剤として知られており、[[バベルの塔]]に関する記述に、「しっくいの代わりに[[アスファルト]]を得た」という記述が残っている<ref>『旧約聖書』創世記11章</ref>。文献上ではなく、考古学的には世界最古の例は5000年前のエジプトとされる<!-- 読売新聞2012年5月8日(木曜)付、記事を一部参考。 -->。 原始的な漆喰(ほぼ石灰)は[[日本]]では、部分的だが、[[縄文時代]]後期、約4000年前の遺跡([[千葉市]]、大膳野南貝塚)から発見されたものが2012年時点では国内最古とされる<!-- 主成分も現代と同じ --><ref>[[読売新聞]] [[2012年]][[5月8日]]付、記事を一部参考。</ref>。炉穴内部や周辺の床に厚さ1センチほどに塗り固められた状態で出土しており、玉川文化財研究所所長は、炉を封じる=住居を放棄する儀式に用いられたのではと考えを示し<!-- 同記事一部参考 -->、この地の縄文人が独自に開発するも広まらなかったのだろうと推測している<!-- 同記事一部参考 -->。のちに漆喰の製法が古墳期に大陸側から渡来し<!-- 同記事参考 -->、[[古墳]]([[高松塚古墳]]壁画等)などにも使われている。 また、多くの城郭の壁に使用されており、[[室町時代]]末([[1565年]])に[[信貴山城]](奈良)を訪れた[[宣教師]]イスマン・ルイス・ダルメイダは、「今日までキリスト教国において見たことがなき甚だ白く光沢ある壁を塗りたり。其の清潔にして白きこと、あたかも当日落成せしものの如く、教国に入りたるの感あり。外より此城を見れば甚だ心地よく、世界の大部分にかくの如く美麗なるものありと思はれず」と、所感を述べている。 他にも、この時代、西洋圏から鉄砲が伝来したため、漆喰にも防弾性が求められた結果、足利家が築いた中尾城では、漆喰に礫(こいし)を混ぜ込んで塗るといった対策も取られており<ref>今谷明 『戦国の世 日本の歴史[5]』 [[2000年]] p.103</ref>、漆喰の城壁にも防御性を高めるための工夫がとられた。 戦後、在来工法建築とともに急速に衰退したが、近年、土蔵の[[海鼠壁]]や古民家の[[鏝絵]]などを通じて文化的に再評価されつつある。また、漆喰の特性を生かした[[タイル]](漆喰タイル)も開発されている。 == 出典 == <references /> == 関連項目 == * [[フレスコ]] * [[土塀]] * [[左官]] * [[珪藻土]] * [[不燃構造用合板]] * [[シラス壁]] * [[化粧しっくい]] == 外部リンク == * [http://www.shikkui.gr.jp/index.html 日本漆喰協会] * [http://www.sanuki-ie.com/event/event-sikkui.htm 漆喰製作風景] * [http://www.blog.rice-ohmori.com のぶヒろぐ〜漆喰について日々考える〜] {{Architecture-stub}} {{DEFAULTSORT:しつくい}} [[Category:建築材料]] [[Category:カルシウム]]
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