海上における遭難及び安全に関する世界的な制度のソースを表示

'''海上における遭難及び安全に関する世界的な制度'''（{{Lang-en|Global Maritime Distress and Safety System, '''GMDSS'''}}<ref>{{Cite web|author=[[海上保安庁]]|url=http://www.kaiho.mlit.go.jp/info/gmdss/gm02.htm|title=GMDSS用語解説|accessdate=2013-03-03}}</ref>; ''世界海洋遭難安全システム''とも）は、国際航海に従事する[[旅客船]]・[[総トン数]]300トン以上の[[貨物船]]に、安定した遭難・非常通信を確保するとともに、[[航行警報]]・[[気象警報]]等などの海上安全情報を自動で伝達できる通信システムである。[[1999年]][[2月]]より実施されている。

完全実施まではFGMDSS（FはFuture―“近未来型”の意）と呼ばれていた。

== 特徴 ==
*自動化・[[デジタル]]化で船舶局の負担を軽くし、[[船舶]]の[[省人化]]を行う。
*[[モールス信号|モールス符号]]の送受信などの特殊技能を不要とし（特別な表示をつけたボタンやスイッチの操作だけで済むようにする）、緊急時に乗組員の誰もが対応できるようにしている（[[通信士#GMDSSの導入]]）。
*[[人工衛星]]などを利用し安定した通信の確保を行う。
*航海中の無線設備の整備の負担を軽くするため、予備機の装備が定められている。
*海岸局が救助の統制などで主導的な役割を果たすという考えで構成されている。

== 航行海域区分 ==
*A1 : ディジタル選択呼出(DSC : Digital Selective Call)対応の[[国際VHF|国際VHF電話]]海岸局へ[[遭難信号|遭難通信]]が到達する海域（20～30海里）
*A2 : A1を除いたDSC[[中波]]無線電話海岸局へ遭難通信が到達する海域（150[[海里]]程度）
*A3 : A1・A2を除いた[[インマルサット]]静止[[通信衛星]]を利用して遭難通信を送出できる海域
*A4 : A1・A2・A3以外の海域（緯度70度以上の両[[極圏]]）

== 航行海域区分による装備の基準 ==
<TABLE BORDER=1>
<TR>
<td>設備</TD><td>航行区域</TD><td>A1</TD><td>A2</TD><td>A3</TD><td>A4</TD>
</TR><TR>
<TD colspan="2">[[持ち運び式双方向式無線電話装置]]</TD><TD>○</TD><TD>○</TD><TD>○</TD><TD>○</TD>
</TR><TR>
<TD rowspan=3>DSC無線設備</TD><TD>国際VHF</TD><TD>○</TD><TD>○</TD><TD>○</TD><TD>○</TD>
</TR><TR>
<TD>中波</TD><TD></TD><TD>○</TD><TD>○</TD><TD>○</TD>
</TR><TR>
<TD>[[短波]]</TD><TD></TD><TD></TD><TD>*1</TD><TD>○</TD>
</TR><TR>
<TD colspan="2">インマルサット船舶地球局</TD><TD></TD><TD></TD><TD>*1</TD><TD></TD>
</TR><TR>
<TD rowspan=3>海上安全情報受信機</TD><TD>[[NAVTEX]]</TD><TD>○</TD><TD>○</TD><TD>○</TD><TD>○</TD>
</TR><TR>
<TD>インマルサットEGC(Enhanced Group Call)</TD><TD></TD><TD></TD><TD>*2</TD><TD></TD>
</TR><TR>
<TD>短波NBDP([[Narrow Band Direct Printing system]])</TD><TD></TD><TD></TD><TD>*2</TD><TD>○</TD>
</TR><TR>
<TD rowspan=3>[[非常用位置指示無線標識装置]]<br />(Emergency Position Indicating Radio Beacon、略してイーパーブ、イーパブ、イパーブ)
</TD><TD>VHF</TD><TD>*3</TD><TD></TD><TD></TD><TD></TD>
</TR><TR>
<TD>インマルサット[[静止衛星]]</TD><TD>*3</TD><TD>*4</TD><TD>*4</TD><TD></TD>
</TR><TR>
<TD>極軌道衛星</TD><TD>*3</TD><TD>*4</TD><TD>*4</TD><TD>○</TD>
</TR>
</TABLE>

* *1 *2 *3 *4全て　いずれか一つを備える。

== 歴史 ==
*[[1970年代]]より、[[国際海事機関]](International Maritime Organization)を中心にして研究・検討が始まっていた。
*[[1987年]] : WARC MOB-87（[[移動業務]]に関する世界無線通信主管庁会議）で、使用[[周波数]]・運用方法などについて、RR（国際電気通信条約附属無線通信規則）を改定。
*[[1988年]][[11月]] : SOLAS条約の締約国会議で「[[SOLAS条約]]」改定。 
*[[1999年]][[2月1日]] : 完全実施。

== 出典 ==
{{Reflist}}
{{DEFAULTSORT:かいしようにおけるそうなんおよひあんせんにかんするせかいてきなせいと}}
[[Category:無線]]
[[Category:水運]]
[[Category:海難救助]]