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'''極性変換'''(きょくせいへんかん)とは、 #[[有機化学]]における用語で、ある[[シントン]]に対応する[[官能基]]を化学変換して、そのシントンとは逆の電荷を持つシントンとして用いることをいう。本記事で記述する。 #電気機器などにおいて電気信号や配線の[[極性]]をスイッチなどにより反転することをいう。 ---- 有機化学において'''極性転換'''(きょくせいてんかん)とは、ある[[シントン]]に対応する[[官能基]]を化学変換して、そのシントンとは逆の電荷を持つシントンとして用いることをいう。対応するドイツ語で '''Umpolung''' (ウムポルンク)とも呼ばれる。 例えばハロゲン化アルキル(R−X: Xはハロゲン)は[[求電子試薬]]であるからアルキルカチオン (R<sup>+</sup>) の合成上の等価体([[シントン]])と考えられる。これを[[マグネシウム]]と反応させ[[グリニャール試薬]] (R−Mg-X) とすると、これは[[求核試薬]]であるからアルキルアニオン (R<sup>−</sup>) のシントンに変換されたことになる。このようにして、求核性を持つ官能基を求電子性を持つ官能基に、あるいは逆に求電子性を持つ官能基を求核性を持つ官能基に変換することを極性変換という。 極性変換は[[逆合成]]を行う際に重要な概念となる。例えば1,4-ジケトン (R−CO−CH<sub>2</sub>−CH<sub>2</sub>−CO−R') を逆合成すると、3-カルボニルカルボカチオン (R−CO−CH<sub>2</sub>−C<sup>+</sup>H<sub>2</sub>) とアシルアニオン (<sup>−</sup>CO−R') に切断できる。ここで3-カルボニルカルボカチオンのシントンとしてはα,β-不飽和カルボニル化合物がすぐにあげられる。しかしアシルアニオンについては、カルボニル基が求電子性を持つ官能基であるという性質と矛盾している。そのため一旦カルボニル基を保護し、さらにその[[保護基]]により極性変換を行う工夫が必要となる。そこでカルボニル基にシアノ基を付加させ[[シアノヒドリン]]エーテルに変換したり、1,3-プロパンジチオールを付加させて[[ジチアン]]へと変換する。ジチアンによる極性変換は[[イライアス・コーリー]]、[[ディーター・ゼーバッハ]]らによって精力的に研究が進められた。 これらの保護基は塩基で処理することによりカルボアニオンを発生するので求核性を持ち、また元のカルボニル基に比較的容易に戻すことができるのでアシルアニオンのシントンと考えることができる。 [[Category:有機化学|きよくせいへんかん]]
極性変換
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