東京府のソースを表示

[[ファイル:Tokyo Prefectural Office and Tokyo City Hall.JPG|thumb|250px|東京府庁（東京市役所との合同庁舎）]]
'''東京府'''（とうきょうふ/とうけいふ）は、[[1868年]]（[[慶応]]4年、[[明治]]元年）から[[1943年]]（[[昭和]]18年）までの間に存在していた日本の[[都道府県|府県]]の一つである。現在の[[東京都]]の前身に当たる。
{{Main2|旧東京府地域の、現状および東京府が存在しない時期の歴史|東京都}}

== 歴史 ==
{{See also|東京都の歴史|東京都}}
=== 府制施行 ===
[[1868年]]（慶応4年、明治元年）、[[江戸]]は東征軍の軍政下に置かれた。同年[[4月24日]]（[[4月2日 (旧暦)|4月2日]]）に江戸開府事務が始まる<ref name=shokusei>東京都公文書館編『東京都職制沿革』東京都情報連絡室情報公開部都民情報課、1986年</ref>。軍は同年[[7月1日]]（[[5月12日 (旧暦)|5月12日]]）に'''江戸府'''を、同年[[7月8日]]（[[5月19日 (旧暦)|5月19日]]）に「江戸鎮台」を設置する<ref name=shokusei/>とともに[[町奉行|北町奉行所、南町奉行所]]を廃し町奉行管轄地を管掌する[[市政裁判所]]を旧南町奉行所に設けた。同年[[9月3日]]（[[7月17日 (旧暦)|7月17日]]）の「[[江戸ヲ称シテ東京ト為スノ詔書]]」により、江戸府は'''東京府'''に、江戸鎮台は「鎮将府」に改称された<ref>[http://hakusyo1.moj.go.jp/jp/9/nfm/n_9_2_3_2_1_0.html 昭和四十三年版犯罪白書第三編第二章一] - 法務省</ref>。改称当時の読みは「とうきょう」ではなく「とうけい」で、字画は「'''東亰'''」であった<ref>[[TBSラジオ&コミュニケーションズ|TBSラジオ]]『[[話題のアンテナ 日本全国8時です]]』[[2007年]]（[[平成]]19年）[[7月17日]]放送分より</ref>。同年[[10月2日]]（[[8月17日 (旧暦)|8月17日]]）に、[[大和郡山藩]]上屋敷を接収して東京府庁が開庁し、同年[[10月17日]]（[[9月2日 (旧暦)|9月2日]]）に、東京府職制が公布され、市政裁判所から府へ事務が移された<ref name=shokusei/>。

[[1869年]][[4月8日]]（明治2年[[3月16日 (旧暦)|3月16日]]）に、[[朱引]]内町地の人口1万人を1区として区分けしたうえ区を「番組」と名づけ、既市街地約90[[平方キロメートル|km&sup2;]]に50番組を置いた<ref name=shokusei/>。

1869年[[4月2日]]（明治2年[[3月10日 (旧暦)|3月10日]]）に、[[名主]]227名全員[[罷免]]<ref name=shokusei/>。代替として翌日に「中年寄」および「添年寄」を、同年[[6月27日]]（[[5月8日 (旧暦)|5月8日]]）に、朱引外の群政方支配所村町であった荒廃地および農村部190町89村を地方5番組に統括し各区に中年寄および「大年寄」を置き、同年[[8月10日]]（[[6月22日 (旧暦)|6月22日]]）「町年寄」を新設<ref name=shokusei/>し、東京府の準[[官吏]]として任命。名主業務を新設の各「町用取扱所」に移管させた。

1869年（明治2年[[9月 (旧暦)|9月]]）に、府民550人を[[渡島国|函館]]、[[根室国|根室]]および[[北見国|宗谷]]へ移植し、[[1870年]][[7月10日]]（明治3年[[6月12日 (旧暦)|6月12日]]）に、失業対策として[[北海道]][[花咲郡]]（後の[[色丹郡]]を除く）、[[根室郡]]、[[野付郡]]を領有（[[北海道の分領支配]]）したが、これは同年[[12月1日]]（[[10月9日 (旧暦)|閏10月9日]]）に解消した<ref name=shokusei/>。

=== 廃藩置県 ===
[[1871年]]（明治4年）4月、4ないし5か旧町または7ないし8か旧村をして1区と改めて再び区分けを為して番組を廃す。年寄職を戸長、副戸長に改める。同年[[8月29日]]（[[7月14日 (旧暦)|7月14日]]）、[[廃藩置県]]が実施され、東京府は[[京都府]]、[[大阪府]]とともに[[三府]]の一つとされた。三府は、[[首都]]あるいはその代替地とされていた。

[[1872年]][[1月3日]]（明治4年[[11月23日 (旧暦)|11月23日]]）、[[長浜県]][[世田谷]][[飛地]]（旧・[[彦根藩]]飛地領）が廃され、その一部を併合した（残部は[[神奈川県]]に併合された）。[[1月8日]]（[[11月28日 (旧暦)|11月28日]]）、[[品川県]]、[[小菅県]]、[[浦和県]]は廃止され、[[荏原郡]]、[[葛飾郡]]、[[足立郡]]、[[豊島郡 (武蔵国)|豊嶋郡]]の各郡の一部と[[多摩郡]]のうち[[入間県]]以外の全町村が東京府に編入されることとなった。同時に、新法に基づいて郡・町・村の呼称を廃し、6の大区の下に97の小区を置き「[[大区小区制]]」が敷かれた。なお、多摩郡は横浜に居留する外国人の遊歩区域に含まれるとの神奈川県知事・陸奥宗光の上申により、全域が神奈川県に移管されている。

[[1872年]]（明治5年）、東京府は「[[戸籍法]]」の定めるところにより新府域に繰り込まれながらも地名の判然としなかった旧耕地に「[[有楽町]]」「[[霞ヶ関]]」「[[三田 (東京都港区)|三田]]」など新町名を冠し、地券を交付した。同年5月、神奈川県旧[[多摩郡]]域から32ヶ小区を編入。

[[1878年]]（明治11年）[[1月11日]]、[[静岡県]]から[[伊豆諸島]]を編入<ref>[http://kindai.ndl.go.jp/BIImgFrame.php?JP_NUM=40022968&VOL_NUM=00013&KOMA=33&ITYPE=0 明治11年太政官布告第1号] - [[国立国会図書館]]近代デジタルライブラリー</ref>。同年11月、大区小区制を廃し「[[郡区町村編制法]]」により旧府域に15区を置く。同時に、旧葛飾郡域を「[[南葛飾郡]]」、旧足立郡域を「[[南足立郡]]」、旧多摩郡域を「[[東多摩郡]]」にそれぞれ改称させ、なおかつ旧豊島郡を[[南豊島郡]]と[[北豊島郡]]の南北2郡に分かち旧[[荏原郡]]を復活させて都合6郡を設けた。このうち東多摩郡と南豊島郡は[[1896年]]（明治29年）に合併されて[[豊多摩郡]]となった。

同年12月、第一回府会議員選挙が行われ49名が当選。第一回東京府会が開かれた。

[[1880年]]（明治13年）[[10月8日]]、[[内務省 (日本)|内務省]]から[[小笠原諸島]]を引継ぎ<ref>[http://kindai.ndl.go.jp/BIImgFrame.php?JP_NUM=40022968&VOL_NUM=00015&KOMA=155&ITYPE=0 明治13年太政官布告第44号] - 国立国会図書館近代デジタルライブラリー</ref>、同年[[10月28日]]に[[小笠原支庁|出張所]]を設置する。

=== 多摩地域移管 ===
[[1892年]]（明治25年）、[[内海忠勝]]神奈川県知事と[[富田鐵之助]]東京府知事は、当時は神奈川県に属していた[[西多摩郡]]・[[南多摩郡]]・[[北多摩郡]]の東京府への移管を[[井上馨]][[内務卿]]に建言した。これらの地域は現在の[[多摩地域]]と[[世田谷区]]の一部にあたる。前述の通り多摩地域は当初東京府・入間県に分属していたほか、東京府への移管の議論は以前からあったもので、理由は[[玉川上水]]の[[水利権]]の管理および[[奥多摩]]地域の水源確保のためとされていたが、[[自由民権運動]]が盛んだった多摩地域と現神奈川県地域とを分断するためという噂も立った。このため、神奈川県議会では移管反対派乱入事件が発生した。

[[1893年]]（明治26年）2月、「[[s:東京府及神奈川県境域変更ニ関スル法律|東京府及び神奈川県境域変更に関する法律]]案」が可決した。多摩3郡の各首長は反対の意志を表して県知事に辞表を提出したが、同年[[3月6日]]に同法は公布され、同年[[4月1日]]、多摩地域は神奈川県から東京府へ編入されてほぼ現在の東京都の境域が確定した。

なお、近年の研究では、内海忠勝神奈川県知事の移管同意には異論も多数あり、実際は不明である。

=== 東京市制施行 ===
この間、[[1889年]]（明治22年）[[5月1日]]に東京府内15区を東京府から分立して[[市制]]を施行し[[東京市]]としたが[[市制特例]]により東京市長は府知事が兼ねた（府知事の市長兼務は[[1898年]]（明治31年）[[10月1日]]に廃止）。

1896年（明治29年）、東京市を「都」に改めて官選都長を置く「東京都制案」、府郡部を県とする「武蔵県設置法案」ともに[[帝国議会]]不成立。

[[1897年]]（明治30年）、市長を公選とする「東京市制案」、府郡部を県とする「千代田県設置法案」ともに帝国議会不成立。

=== 関東大震災 ===
[[1923年]]（[[大正]]12年）[[9月1日]]、[[関東大震災]]発生。[[9月8日|8日]]、[[報知新聞]]が「[[大阪]]で[[遷都]]論沸く」と報じる。[[9月12日|12日]]、[[宮内省]]が関東大震災直後ノ詔書「…東京ハ帝国ノ首都ニシテ……」発表。

=== 都制施行 ===
''[[東京市#都制施行]]、[[東京都制]]も参照の事。''

日本が[[日中戦争]]に突入すると[[戦時体制]]構築のため、政府は東京府地域の政治・経済の統制強化を要求するようになった。[[1938年]]（昭和13年）6月、内務省は「東京都制案要綱」を発表したが東京市35区は内務省案反対を決議した。しかし[[1943年]]（昭和18年）1月、政府が帝国議会に提出した「東京都制案」が可決され同年[[7月1日]]、[[東京都制]]によって東京府・東京市が廃止されて「東京都」が設置された。都制により東京府東京市は廃止され、旧市域は東京都35区となった。一方、東京府下で市制を施行していた東京府八王子市と東京府立川市はそれぞれ東京都八王子市と東京都立川市となった。

== 行政 ==
東京府の府庁舎は、1868年（慶応4年、明治元年）の開庁時には[[江戸城]]幸橋門内（現在の[[千代田区]][[内幸町]]1丁目）の[[大和郡山藩]]上屋敷を接収して使用した。[[1894年]]（明治27年）、[[麹町区]][[有楽町]]に新庁舎が完成したため移転した。新庁舎は東京都庁の丸の内庁舎として引き継がれたが、戦災で焼失している。
=== 東京府知事 ===
{{See also|東京都知事一覧}}
{{節stub}}

== 参考文献 ==
* 川崎房五郎『明治東京史話』、1976年、桃源社
* 東京百年史編集委員会編『東京百年史』、1972年-1979年、東京都

== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
{{Reflist}}

== 関連項目 ==
* [[東京]]

== 外部リンク ==
* {{PDFlink|[http://library.jsce.or.jp/Image_DB/mag/gaho/kenchikukouji/15-01/15-01-2737.pdf 土木建築工事画報 東京府施行都市計画道路工事]}} - [[土木学会]]土木デジタルアーカイブス、1939年頃の東京都市計画道路図

{{s-start}}
{{s-bef|before=[[町奉行|江戸町奉行]]（町方）<hr />[[浦和県]]・[[品川県]]・[[小菅県]]の各一部<br />（現在の[[東京都区部]]内）<hr />[[静岡県]]の一部（[[伊豆諸島]]）<hr />[[神奈川県]]の一部（[[武蔵国]][[多摩郡]]）|表記=前}}
{{s-ttl|title=行政区の変遷
|years=[[1868年]] - [[1943年]]<br />|years2=市政裁判所→江戸府→東京府}}
{{s-aft|after=[[東京都]]|表記=次}}
{{s-bef|before=[[平安京]]|表記=前}}
{{s-ttl|title=[[日本の首都]] 
|years=[[1868年]] - 現在<br>|years2=東京府としては1868年 - [[1943年]]}}
{{s-aft|after=東京（[[東京都]]）|表記=次}}
{{end}}
{{府藩県三治制}}
{{日本の廃止された府県}}
{{東京府の自治体}}
{{DEFAULTSORT:とうきようふ}}
[[Category:武蔵国]]
[[Category:東京府|*]]
[[Category:東京都の歴史]]
[[Category:日本の都道府県 (廃止)]]