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'''杞'''（き）は、古代[[中国]]の[[殷]]代から[[戦国時代 (中国)|戦国時代]]にかけて存在した国。国姓は'''姒'''であり、[[禹]]の末裔と称した。殷末周初に一時滅亡するが、[[周|周初]]に再興され、史料では[[東楼公]]より20代の王が記録されている。[[紀元前445年]]、[[楚 (春秋)|楚]]によって滅ぼされた。

杞は小国であったため、史書での記述は極めて限定的である。『[[史記]]』には「陳杞世家」の記述があるが、杞についての記述は僅か270字であり、「杞小微、其事不足称述（杞は小微にして、其の事称述するに足らず）」と扱われている。このように国力も十分でない小国であったため、周辺諸国との外交関係の中で遷都を繰り返している。当初は[[河南省]][[杞県]]一帯に位置していたが、その後[[山東省]][[新泰]]に、更に[[昌楽]]、[[安丘]]と都城が移動した。

小国の杞であるが、杞が[[夏 (三代)|夏]]王室の末裔であり、夏礼を保存していることから儒家にとっては大きな意義があった。[[孔子]]も夏礼を学ぶために杞を訪問した記録がある。

現在まで考古学の成果による杞の出土品は限定的である。しかし[[殷墟]]より発掘された[[甲骨文字]]の中に杞の文字を記したものが発見されており、殷代には杞が存在していた証拠とされるが、杞県での考古学上の発見は未だなされていない。新泰では[[清]]代の[[道光]]年間及び[[光緒]]年間に青銅器が、[[2002年]]には周家庄で杞の貴族墓葬群が発見され、新泰に杞が存在していたことを証明している。

後に杞の公子の一人が[[斉 (春秋)|斉]]に仕え、鮑の地を与えられた事から'''鮑氏'''を名乗り、賢臣として名高い[[鮑叔]]を輩出している。

== 歴代君主 ==
#[[東楼公]]
#[[西楼公]]
#[[題公 (杞)|題公]]
#[[謀娶公]]
#[[杞伯每亡]]
#[[武公 (杞)|武公]]（在位[[紀元前750年]] - [[紀元前704年]]）
#[[靖公 (杞)|靖公]]（在位[[紀元前703年]] - [[紀元前681年]]）
#[[共公 (杞)|共公]]（在位[[紀元前680年]] - [[紀元前673年]]）
#[[徳公 (杞)|徳公]]（在位[[紀元前672年]] - [[紀元前655年]]）
#[[成公 (杞)|成公]]（在位[[紀元前654年]] - [[紀元前637年]]）
#[[桓公 (杞)|桓公]]（姑容、在位[[紀元前636年]] - [[紀元前567年]]）
#[[孝公 (杞)|孝公]]（匄、在位[[紀元前566年]] - [[紀元前550年]]）
#[[文公 (杞)|文公]]（益姑、在位[[紀元前549年]] - [[紀元前536年]]）
#[[平公 (杞)|平公]]（鬱、在位[[紀元前535年]] - [[紀元前518年]]）
#[[悼公 (杞)|悼公]]（成、在位[[紀元前517年]] - [[紀元前506年]]）
#[[隱公 (杞)|隱公]]（乞、在位[[紀元前506年]]）
#[[釐公 (杞)|釐公]]（遂、在位[[紀元前505年]] - [[紀元前487年]]）
#[[湣公 (杞)|湣公]]（維、在位[[紀元前486年]] - [[紀元前471年]]）
#[[哀公 (杞)|哀公]]（閼路、在位[[紀元前470年]] - [[紀元前461年]]）
#[[出公 (杞)|出公]]（敕、在位[[紀元前460年]] - [[紀元前449年]]）
#[[簡公 (杞)|簡公]]（春、在位[[紀元前448年]] - [[紀元前445年]]）

== 杞憂 ==
極端な心配性や取り越し苦労のことを'''杞憂'''と言うが、これは杞に住むある男が、「いつか天が落ち、地が崩落して身の置き所が無くなってしまうのではないだろうか（中国では昔、大地は正方形で、四隅を[[天柱穴|天柱]]という柱が支えていると考えられていた）」と心配して、夜も眠れず食事もとらなかったという故事に由来する。出典は『[[列子]]』。

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[[Category:夏殷周]]
[[Category:春秋戦国]]
[[Category:河南省の歴史]]
[[Category:山東省の歴史]]