日下部基栄のソースを表示

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'''日下部 基栄'''（くさかべ きえ、[[1978年]][[10月11日]] - ）は、[[日本]]の元[[柔道]]選手。元[[福岡県警察]]所属。現役時代は[[大外刈]]などのパワフルな技を得意とし、[[シドニーオリンピック|シドニー五輪]]（[[シドニーオリンピックにおける柔道競技|柔道女子57キロ級]]）の[[銅メダル]]を獲得。

現在は[[福岡大学]]女子柔道部の[[監督]]を務める。身長160cm。

== 来歴 ==
[[福岡県]][[福岡市]]出身。父親は[[機動隊]]に所属する[[警察官]]<ref name="柔道チャンネル">{{Cite news|author=|authorlink=|url= http://www.judo-ch.jp/interview/kusakabe/index.shtml|title= 著名な柔道家インタビュー -日下部基栄-|newspaper = 柔道チャンネル|publisher = 東建コーポレーション|date = |accessdate = }}</ref>。子供の頃、[[ネフローゼ症候群]]で[[幼稚園]]も殆ど行けず入退院を繰り返していた。小学校1年生の時に兄の通う東福岡柔道教室を見学し、そこで3歳年上の小さな女子が男子を引きずり回して圧倒するのに感動し、自身も柔道を始める<ref name="転機">{{Cite news|author=|authorlink=|url=|title=転機-あの試合、あの言葉 第45回-日下部基栄-|newspaper = 近代柔道（2006年3月号）|publisher = ベースボール･マガジン社|date = 2006年3月20日|accessdate = }}</ref>。なお、この少女は後に[[世界柔道選手権大会|世界選手権]]を6連覇する[[谷亮子|田村亮子]]であった。
日下部は柔道を始めて半年後には初めて出た大会でいきなり優勝<ref name="転機" />。また柔道を始めてから、いつのまにか[[腎臓病]]が治ったという<ref name="fukuokamed">[http://www.city.fukuoka.med.or.jp/heartful/main0510.htm シリーズ 私の健康法] 福岡市医師会 2005年10月</ref>。 

道場主の[[稲田明]]からは、道場内の厳しい稽古は勿論の事、道場外でも「[[トイレ]]では握力を鍛えろ」「[[電車]]では[[つり革]]に掴らず爪先で立て」という厳しい指導を受けた<ref name="転機" />。生来より力の強かった日下部は小学4年生の時には団体戦でも男子に混じって試合に出ていたという。九州大会では当時既に将来を嘱望されていた[[井上康生]]と引き分けたほか<ref group="注釈">井上は試合後に父親から正座させられ、「バカモンが！」と怒鳴られていたとの事。大人になってからも、井上から「お前の顔は見たくない」と冗談混じりに言われた。</ref>、[[内柴正人]]に勝利した事もあった<ref name="転機" />。
また、小学6年生の時に先輩の田村が[[福岡国際女子柔道選手権大会|福岡国際大会]]（現・[[グランドスラム・東京]]）で優勝した時には、応援団長として観客席から観戦していた<ref name="転機" />。

[[福岡市立東住吉中学校|市立東住吉中学]]に進学すると、[[全国中学校柔道大会|全国中学校大会]]で[[1991年]]から[[1993年|93年]]まで3連覇を果たす<ref group="注釈">1991年は52キロ級、1992年,93年は56キロ級での出場。</ref>。男女合わせても史上初であり、[[2007年]]現在唯一の記録となっている。

中学卒業に際し全中3連覇の日下部には遠く[[関東]]の高校からもオファーが来たが、日下部は福岡工業大学附属高校（現・[[福岡工業大学附属城東高等学校|福岡工業大学附属城東高校]]）へ進んで柔道部部長の[[園田義男]]に師事した<ref group="注釈">*[[谷亮子]]とは、高校でも先輩後輩の間柄にあたる。また柔道部ではないが、高校の同級生にお笑い芸人の[[なかやまきんに君]]がいた。</ref>。入学当初は[[思春期]]等も重なり、柔道への情熱を失っていって試合で負けがかさむ時期もあったが<ref name="転機" />、[[カイロ]]で開催される[[世界ジュニア柔道選手権大会|世界ジュニア選手権]]の国内予選で優勝し、ジュニアながら初の日本代表に。
大会では5位という結果であったが「心の底から五輪や世界選手権に出場したいと思った」と日下部<ref name="転機" />。その後は国内で[[全国高等学校柔道選手権大会|全国高校選手権]]（61kg級）を連覇し、2年後の[[1996年]]に出場した[[ポルト]]の世界ジュニア選手権では見事王者に輝いたほか、シニア大会でも[[福岡国際女子柔道選手権大会|福岡国際大会]]で3位に食い込んだ。

高校卒業後は[[純真短期大学|純真女子短期大学]]に進学。入学間もない4月の[[全日本選抜柔道体重別選手権大会|全日本選抜体重別選手権]]で3位に入り、6月の[[全日本学生柔道体重別選手権大会|全日本学生体重別選手権]]で優勝。11月の[[アジア柔道選手権大会|アジア選手権]]では決勝で元世界チャンピオンの[[鄭成淑]]に敗れるも準優勝という成績を残し、着実に地力を付けていった。[[1999年]][[春]]に短大を卒業し、[[福岡県警]]へ入庁した。

順調なキャリアを重ねていたが、[[1999年]]5月、全日本選抜体重別選手権の試合中に左膝の[[前十字靭帯]]断裂の重傷を負う<ref name="fukuokamed"/>。立ち上がれず[[担架]]で畳を下りる事になり、[[シドニーオリンピック|シドニー五輪]]代表選考会への出場も絶望視された<ref name="柔道チャンネル" />。しかし、途中手術で靱帯を糸で引っ張りボタンで止める処置を受け<ref name="fukuokamed"/>、[[リハビリ]]を続けて五輪選考会に出場。1次選考となる半年後の[[全国女子柔道体重別選手権大会|全国女子体重別選手権]]（現・講道館杯）、2次選考となる翌[[2000年]]4月の全日本選抜体重別選手権ともに勝ち抜き代表候補に決定。女子57kg級は日本が唯一代表権を逃していた階級であったが、日下部は同年5月のアジア選手権も制して出場枠を獲得し、9月の五輪出場が決定した<ref name="転機" />。

シドニー五輪本大会では[[金メダル]]の[[イサベル・フェルナンデス]]に3回戦で敗れたものの、敗者復活戦は全て一本勝ちという成績で[[銅メダル]]を獲得。五輪後には一度引退を考えるが、「地元開催の福岡国際で金メダルを獲得したい」と現役を続行<ref name="柔道チャンネル" />。同年12月および[[2002年]]に[[福岡国際女子柔道選手権大会|福岡国際大会]]で念願の優勝をしたほか、[[2001年]]の[[2001年世界柔道選手権大会|ミュンヘン世界選手権]]で3位、2001年,02年にフランス国際大会を連覇と好成績を残した。

2003年、再び左膝の靭帯を痛め長期離脱。前述の通りシドニー五輪選考会の前に仮処置を受けたが、「日本のトップを守りたい」という思いもあって五輪後も本格的な手術をしないまま試合に出ていたのが祟った<ref group="注釈">結局、きちんと靭帯を繋いだのはアテネオリンピックをもって現役を引退した後となった。</ref><ref name="転機" /><ref name="fukuokamed"/>。翌[[2004年]]の[[アテネオリンピック (2004年)|アテネ五輪]]選考会でも3位に終わるが、実績を考慮され代表候補に選ばれ、またもアジア選手権で本大会出場枠を勝ち取った<ref group="注釈">日下部自身、長い柔道人生で一番の思い出は薄氷の五輪出場枠を2度連続で獲得した事を挙げている。</ref><ref name="転機" />。しかしその後の膝の状態は芳しくなく、アテネ五輪本大会では日本人女子柔道では唯一メダルを逃すという結果に終わった。

進退は膝の様子を見て決めるとし、五輪後に左膝を手術。しかし長年の無理が影響して損傷状態は想像以上に悪く、[[2005年]][[1月17日]]に現役引退を表明した。3月をもって福岡県警も退職。引退に際し日下部は「悔いはない」としながらも、後に雑誌『近代柔道』のインタビューで「初めて世界で戦ったのが1994年のカイロ（世界ジュニア選手権）だったので、最後も2007年のカイロ（世界選手権）で終わりたかった」と本音を漏らしていた<ref name="転機" />。

2005年10月に12歳年上の会社員と結婚。[[2007年]][[1月7日]]、女児を出産した。現在は地元福岡でタレント・スポーツコメンテーターとして活動。

2013年4月には[[福岡大学]]の女子柔道部監督に就任した<ref>[http://www.nikkansports.com/sports/news/f-sp-tp0-20130406-1108295.html　柔道日下部氏が福岡大監督「五輪選手を」] [[日刊スポーツ]] 2013年4月6日</ref>。

== エピソード ==
*2000年のシドニーオリンピックの頃から一部の[[インターネット]]上の[[電子掲示板]]で、「基栄タン」という愛称で親しまれ萌えキャラとして人気がある。
*[[2ちゃんねる]]では2000年10月に行われた[[毎日新聞]]と[[日経新聞]]の「シドニーオリンピックで感動したメダル」のネット投票で日下部を1位にしようと[[2ちゃんねらー]]による投票の呼びかけが行われたことがある。結果、毎日では38,800票を獲得して2位、日経では333,579票を獲得して1位を記録した。
*現在、FBS[[福岡放送]]のテレビ番組「[[夢空間スポーツ]]」「[[めんたいワイド]]」に準レギュラー出演中。
**福岡の女性[[アームレスリング]]選手を取材した番組企画から2005年、一緒に全日本アームレスリング大会に出場し、-60キロ級でいきなりレフトハンド、およびライトハンド共に準優勝を遂げる。
*時期はわからないが、FBS「[[ナイトシャッフル]]」において、[[カーリング]]についてスポーツとは認めない、という趣旨の発言をした。
*[[福岡市]]が[[福岡オリンピック構想|夏季オリンピック招致運動]]を行った際は、招致推進の立場で様々なイベントに出席した。
*「夢空間スポーツ」では、[[大分県]]にある[[オートポリス]]サーキットで行われる「ママチャリレース」に“チーム夢スポ”の一員として参加しているが、[[2006年]]は参加を辞退。その理由として番組内で、妊娠したことを次のフレーズで明らかにした。'''「今年は“チャリ”ではなく、“ママ”のほうに参戦します」'''
*県警勤務時代、福岡県の「[[ドメスティック・バイオレンス|ドメスティック・ヴァイオレンス]]防止キャンペーン」の広告に登場した。

== 主要大会での成績 ==
=== オリンピック ===
* 2000年 [[シドニーオリンピックにおける柔道競技|シドニーオリンピック]] 3位（銅メダリスト）
* 2004年 [[アテネオリンピック (2004年) における柔道競技|アテネオリンピック]] 左膝靱帯の故障を押しての代表出場も、3回戦でベニシュ（ドイツ代表）に合わせ技一本負けで敗退。敗者復活戦でも、フェルナンデス（スペイン代表）に判定負け。

=== 世界選手権 ===
* [[2001年世界柔道選手権大会]] （ミュンヘン）3位

=== 福岡女子国際 ===
*[[1996年]]大会 3位
*[[2000年]]大会 優勝
*[[2002年]]大会 優勝

=== アジア選手権 ===
*[[1997年]]大会 準優勝
*[[2000年]]大会 優勝　　
*[[2003年]]大会 優勝
*[[2004年]]大会 3位

=== [[アジア大会]] ===
*[[1998年]]大会 3位
*[[2002年]]大会 準優勝

=== その他 ===
*世界ジュニア柔道選手権大会（1996年）優勝
*ハンガリー国際（1998年）優勝
*[[グランドスラム・パリ|フランス国際]]（2001年-2002年）優勝

*全国中学校柔道大会（1991年-1993年）優勝（大会史上唯一の三連覇）
*全国高校選手権（1995年、1996年）優勝（二連覇）
*全日本学生体重別選手権（1997年）優勝
*全日本女子柔道選抜体重別選手権（1998年-2002年）優勝

=== JAWA全日本アームレスリング選手権大会 ===
*2005年大会　-60キロ　レフトハンド　ライトハンドで共に準優勝
（FBS福岡放送の企画で、福岡市在住の[[アームレスリング]]日本チャンピオン(+65kgレフト)の[[中田美沙子]]の密着取材中、突如沸いて出た企画でジャージも用意していない飛び入り参加にもかかわらず、柔道五輪銅メダリストの地力を見せた）

== 脚注 ==
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=== 注釈 ===
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=== 出典 ===
{{Reflist}}

== 外部リンク ==
*[http://kie-kusakabe.net オフィシャル　ウェブサイト]
*[http://ameblo.jp/kie-blog/ kie-blog]
*{{JudoInside|1019|日下部基栄}}

{{DEFAULTSORT:くさかへ きえ}} 
[[Category:日本の柔道家]]
[[Category:オリンピック柔道日本代表選手]]
[[Category:日本のオリンピック銅メダリスト]]
[[Category:日本の警察官]]
[[Category:福岡市出身の人物]]
[[Category:1978年生]]
[[Category:存命人物]]