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拍子
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'''拍子'''(ひょうし)は、一般には、[[拍節|拍]]や拍の連なりのこと。[[西洋音楽]]では強拍に連なるいくつかの拍の集まりの繰り返しを言う。日本では「三三七拍子」という言葉でわかるように、この言葉は、西洋音楽の定義の「拍子」とは異なる使われ方をする。アラブ古典音楽のイーカーア(イーカー)やインド古典音楽のターラ(サンスクリット読み)を「何々拍子」と表現することがあるが、これも西洋音楽の定義の「拍子」とは異なる。 以下、本項においては、西洋音楽のそれについて述べる。 == 西洋音楽における拍子 == [[西洋音楽]]において'''拍子'''とは、拍の連なり([[拍節]])において、拍に重軽が生じたとき、ひとつの重である拍(「強拍」という)とそれに後続する1つないしいくつかの軽である拍(「弱拍」という)の集まりが(原則として)周期的に繰り返され、強拍から次の強拍まででひとつのまとまりを感ずることをいう。 ひとつの強拍に連なる拍の数によって、2拍子、3拍子、4拍子などと呼ぶ。また、ひとつの拍を示す[[音価]]を添えて、4分の2拍子、2分の3拍子と呼ぶ。[[楽譜]]には、五線の下半分に音価、上半分に拍数を書く。これを'''拍子記号'''という。なお楽譜上では、ひとつの拍を示す音価が付点[[音符]]の場合、便宜上本来の拍子と異なる数字を書き記すことがある。なお、2分の2拍子を[[画像:二分の二拍子001.png]]、4分の4拍子を[[画像:四分の四拍子001.png]]と書くことがある。これはかつて音価の分割において、3分割を完全分割、2分割を不完全分割とし、完全分割による3拍子を完全を意味する正円「○」で表し、不完全分割による2拍子や4拍子は正円の一部が欠けた「C」によって表したことに由来する。中には「Common time (ありふれた拍子) の頭文字Cを図案化したもの」と解説する書もあるが<ref>{{Cite book|和書 |author=C.F.グース |coauthors= W.アイゼンハウアー |others=杉原道夫訳 |year=1998 |title=ラーントゥプレイ 最新フレンチホルン教本 BOOK1&2 |publisher=全音楽譜出版社 |isbn=978-4115481152 }}</ref>、これは誤りである。 楽譜に書くとき、ひとつの強拍に連なる拍のまとまりを、[[小節]]と呼ぶ。 == 西洋音楽における拍子の歴史 == [[ルネサンス音楽]](15世紀から16世紀頃)以前は、曲全体に統一された拍子を与えることは一般的でなかった。一つの曲の中で拍の強弱の周期は様々に変化し、[[ポリフォニー|多声音楽]]では強拍の位置が声部ごとに異なるのが普通であった。しかし、[[舞曲]]ではステップを踏むために必要であったため、拍子がつけられていた。[[バロック音楽]](17世紀から18世紀半ば頃)以後は舞曲のスタイルが踏襲されたため、西洋音楽は拍子をもつようになった<ref>{{Cite book|和書 |author = 笠原潔 |authorlink = 笠原潔 |title = 西洋音楽の歴史 |year = 1997 |publisher = [[放送大学教育振興会]] |series = 放送大学教材 |isbn = 4-595-87722-6 |pages = 17-19 |chapter = 1 西洋音楽の時代区分と時代様式の変遷 }}</ref>。 {{節stub}} == 単純拍子 == 西洋音楽においては、すべての拍子を2拍子ないし3拍子の組み合わせに適用する傾向があり、これを単純拍子と呼ぶ。また、2拍子の複合拍子である4拍子を単純拍子に加えることもある。 === 2拍子 === ひとつの強拍とひとつの弱拍から成る拍子で、人間の歩行から発生したと考えられている。1拍を4分音符とする2拍子を4分の2拍子、1拍を2分音符とする2拍子を2分の2拍子という。 === 3拍子 === ひとつの強拍と2つの弱拍から成る拍子で、馬の歩行から発生したと言われることが多い。[[メヌエット]]や[[ワルツ]]は3拍子であり、このような踊りのリズムに多く見られる。1拍を8分音符とする3拍子を8分の3拍子、1拍を4分音符とする3拍子を4分の3拍子、1拍を2分音符とする3拍子を2分の3拍子という。 === 4拍子 === 一般には2拍子を2つ連ねたものと考えられていて、強-弱-中強-弱の4つの拍から成る。ただし、強-弱-弱-弱と考えられるものもある。1拍を4分音符とする4拍子を4分の4拍子という。 == 複合拍子 == 西洋音楽の楽譜における[[音符]]は2等分系で作られているため、拍を3等分するリズムは3連符を使って記すことになり、表現が煩雑になりがちであるため、拍を3等分するリズムによる曲では1拍の音価を3等分しやすい音符で表すことが考案され、付点音符を付与されるようになった。 付点4分の2拍子や付点2分の3拍子などと呼ばれるものがそれであり、付点音符は付点が付く以前の音符の1.5倍の長さ、すなわち付点が付く以前の音符の半分の長さの3倍の長さを持つために、3等分の概念を表現しやすい。しかしこれは数字だけで示すことができないため、楽譜上では3等分した音価とその音価の小節内の数を、五線の下と上に表現する。すなわち、付点4分の2拍子は付点4分音符を3等分した8分音符を基準として「8分の6」拍子と書かれ、付点2分の3拍子は同様に「4分の9」拍子と書かれる。複合拍子には6、9、12拍子が分類されるが、時に純粋な6拍子、9拍子、12拍子も存在する。それらはひとつの強拍と5、8、11個の弱拍から成る拍子である。 === 6拍子 === 各拍が3等分される2拍子である。8分の6拍子は1拍を付点4分音符とした2拍子であり、4分の6拍子は1拍を付点2分音符とした2拍子である。 === 9拍子 === 各拍が3等分される3拍子である。8分の9拍子は1拍を付点4分音符とした3拍子である。 === 12拍子 === 各拍が3等分される4拍子である。8分の12拍子は1拍を付点4分音符とした4拍子である。 == 変拍子 == <!--1拍子が「その他」にあるのでコメントアウト→以上に分類されない拍子を変拍子と呼ぶ。主として、-->以上の拍子を足し算して組み合わせた拍子を変拍子、特殊拍子、または混合拍子と呼ぶ。ただし、「変拍子」は、いわゆる、拍子の頻繁な変化を指していうこともある。 === 5拍子 === 2拍子+3拍子(強-弱-中強-弱-弱)、3拍子+2拍子(強-弱-弱-中強-弱)、純5拍子(強-弱-弱-弱-弱)の3態に大分される。元来の西洋音楽にはない拍子で、[[スラブ|スラブ音楽]]などの他文化から引用された拍子である。 ==== 5拍子(2+3)の例 ==== *[[ピョートル・チャイコフスキー|チャイコフスキー]]の『[[交響曲第6番 (チャイコフスキー)|交響曲第6番]]』第2楽章 ==== 5拍子(3+2)の例 ==== *ドラマ・映画『[[スパイ大作戦]]([[ミッション:インポッシブル]])』のテーマ *[[デイヴ・ブルーベック]]の[[スタンダードナンバー|ジャズスタンダード曲]]『[[テイク・ファイヴ]]』 *[[モーリス・ラヴェル|ラヴェル]]の『[[ダフニスとクロエ (ラヴェル)|ダフニスとクロエ]]』の最終部分 *:「全員の踊り」の主要リズム部分がこれに相当するが、「全員の踊り」の総体は複数の拍子の複合によって構成されている *[[伊丹十三|伊丹十三監督]]の映画主題歌で[[本多俊之|本多俊之とラジオクラブ]]演奏の『[[マルサの女]]』のテーマ ==== 5拍子(2+3と3+2の混合構成)の例 ==== *[[アルフレッド・リード]]の『[[アルメニアン・ダンス (リード)|アルメニアン・ダンス]] パート1』 ==== 純5拍子の例 ==== *[[フレデリック・ショパン|ショパン]]の『[[ピアノソナタ第1番 (ショパン)|ピアノソナタ第1番]]』第3楽章 === 7拍子 === 2+2+3拍子または4+3拍子(強-弱-中強-弱-中強-弱-弱)、3+2+2拍子または3+4拍子(強-弱-弱-中強-弱-中強-弱)、2+3+2拍子(強-弱-中強-弱-弱-中強-弱)、純粋な7拍子(強-弱-弱-弱-弱-弱-弱)の4態に大分される。 ==== 7拍子(4+3)の例 ==== *[[レナード・バーンスタイン]]の『[[キャンディード]]序曲』の一部 ::曲全体としては7拍子以外の複数の拍子をも混合して構成されている ==== 7拍子(3+4と4+3の混合構成)の例 ==== *[[イーゴリ・ストラヴィンスキー|ストラヴィンスキー]]の『[[火の鳥 (ストラヴィンスキー)|火の鳥]]』終結部(組曲版では終曲の終わりの部分) ::通常の小節線の他に、点線の小節線で3拍子と4拍子の区切りが示されている ==== 7拍子(2+3+2)の例 ==== *[[セルゲイ・プロコフィエフ|プロコフィエフ]]の『[[ピアノソナタ第7番 (プロコフィエフ)|ピアノソナタ第7番]]』終楽章 === 8拍子 === 2+3+3拍子(強-弱-中強-弱-弱-中強-弱-弱)、3+2+3拍子(強-弱-弱-中強-弱-中強-弱-弱)、3+3+2拍子(強-弱-弱-中強-弱-弱-中強-弱)の3態に大分される。 ==== 8拍子(2+3+3)の例 ==== ==== 8拍子(3+2+3)の例 ==== *[[リゲティ・ジェルジュ|リゲティ]]の『練習曲第4番』 ==== 8拍子(3+3+2)の例 ==== === ポリリズム(各声部異拍子) === 同時に合奏ないし合唱される各声部の拍が異なること、またはそのように構成されたリズムのことを[[ポリリズム]] と呼ぶ。各地の民族音楽、現代音楽、一部の指向的なポップスなどに見られる。日本では、[[tipographica]]や[[DCPRG]]などがポリリズムの追求を実践した。 :*[[日本]]の[[テクノポップ|テクノポップユニット]]である[[Perfume]]の「[[ポリリズム (Perfumeの曲)|ポリリズム]]」は、題名に「ポリリズム」を謳ってはいるものの、各節ごとの歌唱者・伴奏の各声部はすべて同じ拍子で構成されており、4分の7拍子と4分の5拍子の循環進行で構成された変拍子の曲ではあるが、ポリリズムの定義にあてはまる楽曲とは言えない。 == その他の拍子 == === 1拍子 === [[オットリーノ・レスピーギ|レスピーギ]]の『[[ローマの祭り]]』の「La Befana」(2分の1拍子)や、[[アレクサンドル・ボロディン|ボロディン]]の『[[交響曲第2番_(ボロディン)|交響曲第2番]]』第2楽章の「Prestissimo」部(1分の1拍子)等がある。また、[[ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン|ベートーヴェン]]の[[スケルツォ]]は3拍子だが、1拍が3等分された1拍子であるといわれることがある。また、他の拍子の間に挿入して特殊な効果を与えるために使われるものを言うこともある。 『1拍子』を拍子の分類に定義すべきかについては、諸説の分かれるところである。 == 可変拍子 == ひとつの楽曲の中で拍子が変わることもある。これを'''可変拍子'''と呼ぶ。特に曲が大きく変容するとき、拍子が変わることはしばしばである。また、近代の楽曲、例えば[[イーゴリ・ストラヴィンスキー|ストラヴィンスキー]]のバレエ音楽『[[春の祭典]]』では拍子が数小節で変わることがあり、周期性が感じられず、楽譜の便宜だけのために拍子記号が用いられるというようなものも見られる。そのようなときには、上に挙げた拍子以外の拍子が見られることもしばしばである。また童謡「[[あんたがたどこさ]]」や民謡「[[炭坑節]]」などのように、メロディー重視の楽曲に対して楽理的に拍子を数えた時に、意図せずして可変拍子になる場合がある。 == 強拍と弱拍 == 記譜法において最初の音より明確に長い音符を意味する。最初の音よりタイと強拍か弱拍に休符によって区切られた場合に超強となる。強拍における重心が確保されると小節が成立し、2つ並んで動機となる。効果はリズムと対位が共に終止の構造をとるまで有効である。ビートと異なり、音量による補強を拍子学に組み込まずに説明される。あくまで音量は波に働く総合力と解釈し、音質とかかわりがあるという立場から来る。 == ビートの分類 == 「強拍」「弱拍」という言葉につられるせいか、「強拍は音の強い拍」「弱拍は音の弱い拍」という説明を(専門書でさえも)見かけるが、これは誤解を招きやすい表現である。実際の音楽ではむしろ、弱拍に強拍よりも強い音が置かれることが多いからである。その顕著なものは[[ジャズ]]の[[ドラム・ビート#4ビート|フォービート]]、[[ロック (音楽)|ロック]]や[[ポップス]]の[[ドラム・ビート#8ビート|エイトビート]]、[[ドラム・ビート#16ビート|シックスティーンビート]]であって、4拍子の2拍目と4拍目に強勢が来るが、それらは決して「強拍」ではない([[バックビート]]参照)。 英語の[[ダウンビート|down beat]]、ドイツ語のAbtakt(いずれも強拍のことだが、下向きの拍の意味である)やup beat、Auftakt(上向きの拍のことで弱拍のこと)のほうがこれらの概念に近い。舞踊におけるステップの重軽は本質に近い。実際の音楽では、[[伴奏]]音形において[[音高|低い音]]が強拍に当たることが多い。 上記2つは相反する立場から語られるため別々に独立した概念であるが、しかし双方とも共通する事柄が有る。近年のコンピュータを用いた研究により、強拍と弱拍は微妙に長さが違うことが肉眼で確認できることが証明された。この違いをメトロノーム記号で厳密にコントロールする作曲家も20世紀後半から増え始める。[[近藤譲]]はMM96から93へといったテンポチェンジを行うが、本人の説明では「ムードチェンジ」と言っている。[[カールハインツ・シュトックハウゼン]]も、[[テンポの半音階]]といった概念は、これら強拍と弱拍の微妙な差異のコントロールが源泉であることを語っている。 == 1拍を表す音価 == 楽譜上で1拍を表す音価には、4分音符ないし付点4分音符が多く使われ、2分音符ないし付点2分音符、8分音符、16分音符がそれに次ぐ。そのほか、稀に付点8分音符や32分音符などがあり、また古い曲などでは全音符を1拍とする拍子(その場合拍子記号の分母は1で表される)もある。(しかし[[福井知子]]や[[川島素晴]]の作品の中には、24や12といった分母を持つ拍子がある。それらは事実上、16分3連や8分3連などの、3連符の長さを持つ音価である。)その音価によって演奏上何らかの違いが生じるわけではなく、4分の3拍子を8分の3拍子で書き直しても、演奏上同じである。一般にはゆっくりしたテンポの曲で大きな音価の拍が使われると考えられがちであるが、[[ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト|モーツァルト]]などでは非常にゆっくりとした8分の3拍子が存在する。 == 関連項目 == * [[リズム]] * [[拍節]] * [[テンポ]] * [[ビート (音楽)]]: 英語版 [[:en:Beat (music)|beat]]の翻訳。 * [[:en:List of musical works in unusual time signatures|変わった拍子の曲リスト]] 英語版。 * [[グルーヴ]] == 参考文献 == <references /> {{音楽}} {{Musical notation}} {{Wikibooks|拍子|拍子}} {{DEFAULTSORT:ひようし}} [[Category:リズム]]
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