心霊主義のソースを表示

{{複数の問題
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'''心霊主義'''（しんれいしゅぎ）は、{{Lang-en-short|spiritualism}}（'''スピリチュアリズム'''）の[[翻訳]]語で、生命の死後存続、霊魂の[[科学]]的根拠に基づく思想および人生[[哲学]]である。

== 歴史的背景 ==
=== 古代エジプト時代 ===
[[File:Ba bird.svg|thumb|left|upright|{{仮リンク|古代エジプト人の魂 (エジプト神話)|de|Ba (Ägyptische Mythologie)|label=バー}}]]

霊や死後の世界という概念が歴史に登場したのは、実に6000年以上前の[[古代エジプト]]の時代までさかのぼる。古代エジプトの[[ヘセプーチ]]王の棺に[[死者の書]]が描かれており<ref name="eziputosisyanosyo 4">[[#1|世界最古の原典 エジプト死者の書]]　P4</ref>、これが発見されている最古の死者の書である。古代のエジプト人たちは霊魂は死後、「バー」という鳥の姿になって、肉体からあの世にとびたち、あの世で永遠の生を送ると考えていた<ref name="eziputosisyanosyo 4">[[#1|世界最古の原典 エジプト死者の書]]　P4</ref>。

{{see also|古代エジプト人の魂}}

このほかにチベット死者の書がある。チベット死者の書は[[チベット仏教]][[ニンマ派]]の経典であり、ラマ僧が臨終を迎えた人の枕元で死の前と死後の49日間読み聞かされる<ref name="tibettosisyanosyo">[[#2|チベットの死者の書]]　</ref>。教典には死者が死後、出会う光景とそれの対処法が書かれている。死者はまず、まばゆいばかりの光に出会い、それに飛び込むと真理に融化し、成仏する。飛び込めなかった場合は7日後に別の光りと遭遇し、ここでも飛び込めなかったらまた7日後に別に光りと遭遇するといった事を7日ごとに、49日まで繰り返す<ref name="tibettosisyanosyo">[[#2|チベットの死者の書]]　</ref>。49日までに光りへの融合が果たせなかった場合、死者の魂は生前の行いによって6つの世界(地獄、畜生、人間、天、修羅、餓鬼)のいずれかにたどり着く。

=== ハイズビル事件 ===
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とくに、[[1848年]]の[[フォックス姉妹]]によるハイズビル事件（[[ニューヨーク]]郊外の民家で起こった[[ポルターガイスト現象]]）以降、霊媒を通した霊との接触や[[心霊現象]]が、西洋では広く受容されてゆく。中でも[[イギリス]]では、階級を問わず社会現象となる。こうした[[19世紀]]後半以降の現象および思想は、'''[[心霊主義|スピリチュアリズム]]'''（心霊主義）と呼ばれる。

スピリチュアリズムは、小説家の[[アーサー・コナン・ドイル|コナン・ドイル]]のような文化人のみならず、{{要出典|範囲=当時の大物科学者からも多数の支持者を輩出し、「霊」は科学研究の対象となってゆく|date=2010年12月}}。一方で、こうした「心霊現象」には、既存の知識で説明できない事例だけでなく、[[奇術]]も大量に含まれていたため、支持派と懐疑派の垣根を越えて、にせ霊媒の告発が盛んになる。例えば、[[ブラヴァツキー夫人]]は、スピリチュアリズムの影響を受け、[[1875年]]に[[神智学協会]]を設立し、その[[オカルト]]信仰を流行させたが、英国の[[心霊現象研究協会]]（SPR）からそのトリックを暴かれている。

[[1857年]]、[[フランス]]の'''[[アラン・カルデック]]'''は、彼が信頼できると判断した複数の霊媒による交信を比較検討し、まとめたものを『[[霊の書]]』として出版した。これは主にラテン諸国で読まれ、400万部を超えるベストセラーとなった。カルデック以後、スピリチュアリズムは、単なる心霊現象の流行ではなく、世界観、人間観を形づくる思想としての性格も持つことになる。カルデックの著作は、とくに[[ブラジル]]において、「[[スピリティズム|カルデシズモ]]」として広く支持され、{{要出典範囲|現在のブラジルは、英国と並ぶスピリチュアリズムの中心となっている|date=2010年12月}}。

それ以降、[[英語圏]]においても、『[[ウィリアム・ステイントン・モーゼス|モーゼスの霊訓]]』（[[1883年]]）、『[[ウィリアム・トーマス・ステッド|ジュリアの音信]]』（[[1914年]]）、『[[ベールの彼方の生活]]』（[[1921年]]）、『[[フレデリック・ウィリアム・ヘンリー・マイヤース|マイヤースの通信]]』（[[1932年]]）、『'''[[ホワイトイーグル]]'''』（初刊[[1937年]]）、『'''[[シルバーバーチ|シルバーバーチの霊訓]]'''』（初刊[[1938年]]）といった交信記録が次々と出版された。これら（とくに後二者）は、英国系スピリチュアリズムのテキストとなっている。[[20世紀]]以降は、それ以前に見られたような[[交霊会]]での心霊現象は、あまり見られなくなり、{{要出典範囲|こうした見えざる存在との霊媒を通した交信が、スピリチュアリズムの主流となる|date=2010年12月}}。

これらの通信には、肉体とは別に不死の霊魂とその世界が存在すること、人間は霊魂と交信できること、人間が[[守護霊]]と低級霊の両方から影響を受けること、人知の及ばない無限の愛と知性を「神」として認めること、全ての霊魂は「神」から分化された「兄弟姉妹」として愛し合うべきこと、運命計画の範囲内で人間の自由意思が認められること、自由意思による行為は正負の[[カルマ]]を発生させること、霊魂が利他愛とカルマ清算によって進化すること、生前の困難は進化のための試練であること、死後の世界には進化の程度に応じた上下の階層があること、死後の幸福感は霊魂の進化に比例すること、などといった内容が概ね共通している{{要出典|date=2010年12月}}。スピリチュアリズムとは、こうした理解を人類へ促すために、見えざる世界の上層により計画された運動なのだという{{誰2|date=2010年12月}}。

上記には、スウェーデンボルグおよび古代インド思想・[[仏教]]との共通点も見られるが、イエスを神ではなく偉大な指導者とする点、および地獄の存在を否定する点がスウェーデンボルグと異なる。また、霊魂の進化と階層を認める点、および社会への奉仕を重視する点が、古代インド思想や[[仏教]]とは異なる。さらに、スピリチュアリズムの通信における輪廻は、「[[類魂]]」（グループ・ソウル）説を特徴としており、これもまた、同一人物が生まれ変わるインド的、仏教的な輪廻観とは、似て非なるものである。

また、同じく20世紀以降には、霊媒による'''[[心霊治療]]'''も盛んとなる。これは、「憑依」している霊を霊媒に誘導したり、[[自動書記]]により処方箋を与えたり、手で触れる[[ヒーリング]]などによって、難治性の病気を治療するものである。[[カール・ウィックランド|ウィックランド夫妻]]や[[エドガー・ケイシー]]、[[ハリー・エドワーズ (ヒーラー)|ハリー・エドワーズ]]、[[フランシスコ・カンディド・シャビエル]]などがその著名な例である。{{要出典範囲|とりわけ、ブラジルの「[[ドクター・フリッツ]]」は、麻酔をせずに苦痛の無い外科手術を行うことで知られている|date=2010年12月}}。

スピリチュアリズムはその歴史を通して、主に3つの抵抗勢力と戦わなければならなかった。それは、[[唯物論]]的[[自然科学]]であり、カトリックを始めとするキリスト教会であり、そして、「霊媒」を自称する営利目的の詐欺師であった。

=== 思想の東西交流 ===
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{{観点|date=2010年12月|section=1}} -->
近代霊性のもう一つの主なチャネルは、西洋の'''東洋との交流'''である。古代[[インド]]の経典『[[ウパニシャッド]]』は、[[ペルシャ語]]版を通して[[ラテン語]]に翻訳され、19世紀前半の哲学者[[アルトゥル・ショーペンハウアー|ショウペンハウアー]]は、『ウパニシャッド』や仏典から大きな影響を受けた。この時期から、ヨーロッパへの'''[[インド哲学|インド思想]]'''の影響は増大してゆく。以降、輪廻、[[カルマ]]、[[汎神論]]など、東洋では一般的であるが、キリスト教会からは「異端」とされる概念が、[[ラルフ・ワルド・エマーソン|エマーソン]]など西洋の知識人にも再発見され、受け入れられることになる。

'''[[チベット仏教]]'''は、インド思想に匹敵するインパクトを西洋世界に与えた。19世紀前半に[[ハンガリー]]人研究者[[チョーマ・ド・ケレス]]によって、ヨーロッパの[[チベット学]]の基礎が築かれる。そして、後期の[[大乗仏教]]をオリジナルに近い形で継承してきたチベット仏教への関心が、国際的に高まってゆくのである。

[[1928年]]には、『[[チベット死者の書]]』が、[[エヴァンス・ヴェンツ]]の翻訳により西洋へ伝えられ、大きな反響を呼んだ。死者の書は、[[1960年代]]の[[ヒッピー|ヒッピームーブメント]]の中で、脱物質主義のバイブルとして再び注目され、[[1970年代]]以降には、その臨死体験との共通性が脚光を浴びる。[[中華人民共和国]]の[[チベット侵攻 (1950-1951)]]により、[[ダライ・ラマ]]を筆頭に多くの僧侶が亡命したことを契機に、20世紀後半から、チベット仏教は世界的に支持者を獲得してゆく。

哲学者の[[エドガール・モラン]]は、「西洋は、自身の東洋を抑圧しつつ形成された」と述べている。この視点に立てば、西洋人にとって、東洋思想の受容は、抑圧されてきた内面の解放であったと言える。

=== 現代の動向 ===
==== 科学的アプローチ ====
<!-- {{独自研究|section=1|date=2010年12月}}
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[[1970年代]]から現在にかけては、臨死体験や「生まれ変わり」といった、「死後の生」を示唆し得る事例の収集と研究が進んだ。これらは、主に[[メディア (媒体)|メディア]]を通して、現代人の死生観を変化させている。

[[1975年]]以降、[[レイモンド・ムーディ]]が'''[[臨死体験]]'''を調査報告したことをきっかけに、光の存在との遭遇や、亡くなった親類との再開、[[体外離脱]]など、[[危篤]]状態における同様の神秘体験の報告が、急速に増加してゆく。これは、[[第二次世界大戦]]後の[[救急医学]]の進歩により、危篤患者の蘇生する確率が上がったためである。

その中でも、[[ソ連崩壊]]や[[チェルノブイリ原子力発電所事故|チェルノブイリ原発事故]]、[[湾岸戦争]]など、将来の重大事件を体験中に見せられた[[ダニオン・ブリンクリー]]や、脳機能の完全に停止した状態で体外離脱を経験し、自らの手術の様子を正確に描写した[[パム・レイノルズ]]などは、現在のところ脳内現象説では十分に説明できない特異な事例である。

[[1987年]]、[[イアン・スティーヴンソン]]は、信憑性が高いと見なした多数の「'''生まれ変わり'''」事例を発表する。また、「過去生」への[[催眠|退行催眠]]も、[[アレクサンダー・キャノン]]（1950）を始まりとして、[[ジョエル・ホイットン]]や[[ヘレン・ウォムバック]]らにより、1970年代以降、盛んに研究される。こうして、それまでは[[タブー]]であった「輪廻」事例の研究が、正規の大学に所属する研究者によっても本格化してゆく。
<!-- ==== 新霊性文化 ==== -->

=== 日本の場合 ===
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{{観点|date=2010年12月|section=1}} -->
日本においても、西洋でのスピリチュアリズムの台頭とほぼ同じ時期の[[幕末]]、『[[仙境異聞]]』や『[[神界物語]]』など、[[平田篤胤]]とその門下による死後世界の研究や、[[天理教]]、[[金光教]]、[[黒住教]]など、「神がかり」による[[教派神道]]の成立が相次ぐ。[[明治]]以降には、[[鈴木大拙]]により'''禅'''が西洋に紹介され、また、やはり鈴木によりスウェーデンボルグなど西洋の神秘思想が日本にも伝えられる。[[大正]]期には、{{要出典範囲|スピリチュアリズムと共通点のある[[大本]]|date=2010年12月}}が巨大教団へ成長し、後の[[新宗教]]の源流の一つとなった。時代が[[昭和]]に入ると、大本を離れた[[浅野和三郎]]の[[心霊科学研究会]]を中心に、西洋のスピリチュアリズムが日本へ本格的に紹介されてゆく。

== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
{{Reflist}}

== 参考文献 ==
* <div id="1">{{Cite book|和書|author = [[ウォーリス・バッジ]]|translator = [[今村光一]]|title = 世界最古の原典エジプト死者の書|origyear = |year = 1994|publisher = [[たま出版]]|id = |isbn = 4884818067|oclc = |page = |chapter = }}</div>
* <div id="2">{{Cite web|author = |date = |url = http://www.osoushiki-plaza.com/anoyo/takai/takai5.html|title = チベット死者の書|work = |publisher = <!-- ウェブサイトを設置している組織・団体・企業・官公庁など -->|accessdate = 2013-5-16}}</div>
* {{Cite book|和書
|author = [[磯村健太郎]]
|title = 〈スピリチュアル〉はなぜ流行るのか
|year = 2007
|publisher = [[PHP研究所]]
|series = [[PHP新書]]
|isbn = 978-4-569-69036-0
|oclc = 
|page = 
}}
* {{Cite book|和書
|author = [[櫻井義秀]]
|title = 霊と金 : スピリチュアル・ビジネスの構造
|year = 2009
|publisher = [[新潮社]]
|series = [[新潮新書]]
|isbn = 978-4-10-610315-5
|oclc = 
|page = 
}}
* {{Cite book|和書
|author = [[井形慶子]]
|title = 生活大国イギリスの知られざる習慣 : 大人のためのスピリチュアルライフ
|year = 2003
|publisher = [[大和書房]]
|isbn = 4-479-01166-8
|oclc = 
|page = 
}}
* {{Cite book|和書
|author = [[三浦清宏]]
|title = 近代スピリチュアリズムの歴史 : 心霊研究から超心理学へ
|year = 2008
|publisher = [[講談社]]
|isbn = 978-4-06-214675-3
|oclc = 
|page = 
}}

* {{Cite book|和書
|author = [[ジャネット・オッペンハイム／和田芳久訳]]
|title = 英国心霊主義の抬頭
|year = 1992
|publisher = [[工作舎]]
|isbn =978-4-87502-191-9
|oclc = 
|page = 
}}

== 関連項目 ==
{{ウィキポータルリンク|スピリチュアリティ}}
<!-- {{Wiktionary}} -->
{{Commonscat|Spiritualism}}
* [[スピリチュアリティ]]
* [[スピリティズム]]
* [[シルバーバーチ]]
* [[近藤千雄]]
* [[金城寛]]
* [[超心理学]]
* [[霊魂]]
* [[臨死体験]]

== 外部リンク ==
* {{Cite web
|author = 
|date = 
|url = http://www.ehara-hiroyuki.com/guest/spiritualism/spiritualism.html
|title = 「スピリチュアリズムとは」江原啓之公式サイト
|accessdate = 2014-01-16
}}

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{{Reli-stub}}
{{Philos-stub}}
{{デフォルトソート:しんれいしゆき}}
[[Category:心霊主義|*]]
[[Category:心]]
[[Category:スピリチュアリティ]]
[[Category:疑似科学]]