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'''島井（嶋井） 宗室'''（しまい そうしつ、[[天文 (元号)|天文]]8年（[[1539年]]）- [[元和 (日本)|元和]]元年[[8月24日 (旧暦)|8月24日]]（[[1615年]][[10月16日]]））は、[[戦国時代 (日本)|戦国時代]]から[[江戸時代]]初期にかけての[[博多]][[商人]]、[[茶道|茶人]]。「'''宗叱'''」（読み同じ）とも表記される。名は茂勝。号は虚白軒。[[神屋宗湛]]・[[大賀宗九]]と並び「'''博多の三傑'''」と呼ばれる。

== 出自 ==
島井家の系図には、[[藤原北家]]の血筋をひき、代々藤氏を名乗ったが、次郎右衛門茂久の代に島井姓に改めたとある。また、[[対馬国]]の[[宗氏]]の家臣である島井氏の一族という説もあるが定かではない。

== 生涯 ==
天文8年（1539年）、誕生。神屋宗湛とは親族関係にあたる。

博多で酒屋や金融業を営むかたわら、[[明]]や[[李氏朝鮮]]とも[[日朝貿易]]を行なって巨万の富を築き上げた。[[天正]]元年（[[1573年]]）には、当時の博多を領有していた[[戦国大名]]・[[大友義鎮|大友宗麟]]との取引きを開始し、[[大友氏]]や対馬の宗氏らの軍資金を調達する代わりに、宗麟から様々な特権を得て豪商としての地位を確立してゆく。また、[[堺]]の茶人兼豪商である千宗易（後の[[千利休]]）や[[天王寺屋道叱]]らと懇意になり、数奇者として朝鮮貿易業者として交歓しあった。

[[耳川の戦い]]で大友氏が没落し、代わって[[島津氏]]が台頭してくると、大友氏寄りの宗室は自身の特権が島津氏に奪われることを危惧して当時の天下人・[[織田信長]]に謁見して、その保護を得ようとする。この際に所有していた天下三肩衝の一つである茶器・[[楢柴肩衝]]を信長に譲ることを条件にしたといわれている。信長は諸外国との貿易を前提に宗室を保護しようとしたが、天正10年（[[1582年]]）の[[本能寺の変]]で死去したため、この目論見は露と消えた。なお逸話として、本能寺の変の際に宗室は[[空海]]直筆の『[[千字文]]』を持ち出したといわれており、現在『千字文』は博多の[[東長寺]]に収められている。

信長の死後に台頭した[[豊臣秀吉]]の保護を得て、畿内から博多、さらには[[対馬]]にいたる交通路を築き上げ、これによって南蛮・朝鮮などの貿易品の取引を行ない栄華を極めた。また秀吉の[[九州征伐]]にも協力している。天下統一後、秀吉が朝鮮出兵（[[文禄・慶長の役]]）を企むと、大切な通商国と戦争するという利害からこれに強硬に反対し、[[宗義智]]と協力して渡朝し、朝鮮[[国王]]と戦争回避を図る折衝を行なった。しかしこれは空回りに終わったうえ、秀吉の派兵後も撤兵を強硬に主張したため、遂に秀吉の怒りを買って蟄居を命じられた。後に許された後は、[[五奉行]]の[[石田三成]]と協力して日本軍の後方兵站役を務める一方で、明との和平の裏工作を行なっている。

[[慶長]]5年（[[1600年]]）の[[関ヶ原の戦い]]後、博多が[[黒田氏]]の支配下に入ると、宗室は[[黒田長政]]の[[福岡城]]築城などに協力している。

元和元年（1615年）8月24日、死去。墓地は[[崇福寺 (福岡市)|崇福寺]]瑞雲庵。なお、死の直前、養嗣子の島井信吉に対して17ヶ条の訓戒を送っている。

著作に『島井宗室日記』。肖像画は福岡市立博物館所蔵。

[[福岡高速道路|福岡都市高速]][[呉服町出入口]]近くに島井宗室屋敷跡の石碑がある。また、屋敷の土塀は[[太平洋戦争]]における空襲後も残っていたため、これを保存するため、近くの[[櫛田神社]]境内に移し再現され、「博多べい」として記念碑となっている。<ref>井上精三 『博多郷土史事典』葦書房、2000年、P95</ref>

== 関連項目 ==
* [[実業]]

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[[Category:戦国時代の人物 (日本)]]
[[Category:安土桃山時代の人物]]
[[Category:江戸時代の商人]]
[[Category:筑前国の人物]]
[[Category:1539年生]]
[[Category:1615年没]]

== 脚注 ==
<references />