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'''家族史'''（family history）とは、[[家族]]または個人の歴史的な文書となるように構成された、個人または家族について記録された事実および家族の系譜・物語を記載したもので、印刷物や[[電子文書]]、[[口述]]または[[ビデオ]]記録といった形をとる。

[[系譜学]]（Genealogy）と重複する部分が多く、同義に用いられることもあるが、一族の中で各個人の生きた記録を重視する点で区別される。

一般的に家族史を何らかの形で残したいと思う人は、家族がどこからやってきたか（[[移民]]、家族の離散）、家族の成員（[[著名人]]を出した家族など）や[[結婚]]、そしてその歴史を次世代のために残すことにこだわりを持っている。家族史は故人の子孫達のための[[回顧録]]として作られ、その家族の将来の世代のために執筆される。そこからまた[[家系学]]の分野と密接なつながりを持ってくる。

[[16世紀]]以前は、「家族史」と言えばほとんどが王族・貴族のものか、でなければ余程の影響力や権勢を誇った一族のものが相場と決まっていたが、16世紀に入ると、政府が民衆・市民の諸事を次第に詳細に残すようになり、記録簿が地方、地域、あるいは[[国勢調査]]局、[[文書館]]に残されるようになった。そこから、[[ヨーロッパ]]の多くの家族の家族史が再構築できるようになった。
そうした記録の中で家族史を作り出すために用いられるようなものには以下のものがある。

*[[洗礼]]、[[改宗]]の記録
*出生記録
*人口調査、[[国勢調査]]
*[[死亡届]]
*[[遺言状]]、[[遺産]]の贈与記録
 
<!--近年では多くの人が、自分達の家族史を埋めるために古い記録を活用している。しかし、そうした記録のほとんどは、個人の一生についての技術的な情報を留めているに過ぎない。例えば、いつどこで生まれ、結婚し、どんな職業に就き、といった具合である。しかしそこからは、彼らの好みや嫌いな物事、趣味、抱いていた希望や夢といったようなものはほとんど見えてこない。

望ましい家族史は、若い世代に関係しており、「子供達の世代が誰がどこでどのように出会い、どのような経緯でこの職に就き、何故こんなことを趣味とするに至った」といった、親族の物語として見聞きするものを含んだものになるだろう。「親族の誰彼が同様のことをしていた」と聞かされれば、数多くの子供達が普通、学校やその長い人生の中で同じような趣味やスポーツをやってみるということにもなるかもしれない。

社会的に成功した家族は、彼らの家族史を大切にするし、家族の成員が一堂に会す場面では、家族の物語りを語り合ったり、自ら知るところを教えあったりもする。残念ながら、今日、家族の成員が、国や地球上のいたるところに散らばってしまい、自分たちの家族の物語りを持ち続けるのも難しくなってきた。かつて、家族がひとつの国にずっと留まっていれば、その中心には祖父母など家族の礎にして、中核となる人物がいて、それを拠り所に家族の結集が保たれたものである。たとえ、家族の歴史が文書のかたちで存在していなくとも、家族の歴史は常に彼を中心にして、彼らの元に常に存在していた。

何事も順調な家族にあっては、歴史的文書がきちんと整っている必要もない。家族のだれかれに関する質問がいくらあっても、家族の日記やなんらかの書類を見れば分かるし、また写真のアルバムを作ってそれにメモを残しても良いし、あるいは一種の[[タイムカプセル]]のようなかたちで家族の思い出を残しておくこともできるだろう。-->

公共団体や民間団体、あるいは[[非政府組織|NGO]]などには家族史の作成や、保存を希望する人に助言や資料調べのノウハウを提供している所もある。

また以上とは別に、社会における家族の構成・形態や制度・習慣の変遷を研究する[[社会史]]、[[歴史学]]や[[社会学]]の一分野である家族史学を指すこともある。この文脈では上のような記録は「家族誌」ということもある。

==関連項目==
*[[結婚]]
*[[家族]]
*[[家系]]
*[[系譜]]
*[[系譜学]]
*[[歴史的文書]]

==外部リンク==
*[http://wwwsoc.nii.ac.jp/jscfh/ 比較家族史学会]

[[Category:テーマ史|かそくし]]
[[en:Family history]]