宇宙条約のソースを表示

{{条約
|題名 =月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における国家活動を律する原則に関する条約
|画像 =
|画像キャプション =
|通称 =宇宙条約・宇宙憲章
|起草 =
|署名 =1967年1月27日（[[ワシントンD.C.|ワシントン]]、[[ロンドン]]および[[モスクワ]]）
|効力発生 =1967年10月10日
|寄託者 =[[アメリカ合衆国]]、[[イギリス]]および[[ソビエト連邦]]の政府
|番号 =昭和42年条約第19号
|言語 =英語、ロシア語、フランス語、スペイン語および中国語
|内容 =[[宇宙空間]]における探査と利用の自由、領有の禁止、宇宙平和利用の原則、国家への責任集中原則などを定める。
|関連 =
|ウィキソース =
|リンク ={{PDFLink|[http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/treaty/pdfs/B-S42-0651.pdf 月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における国家活動を律する原則に関する条約]}} - 外務省
}}
'''月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における国家活動を律する原則に関する条約'''（つきそのたのてんたいをふくむうちゅうくうかんのたんさおよびりようにおけるこっかかつどうをりっするげんそくにかんするじょうやく）<ref>{{lang-en-short|Treaty on Principles Governing the Activities of States in the Exploration and Use of Outer Space, including the Moon and Other Celestial Bodies}}、英略称：{{lang|en|Outer Space Treaty}}</ref>は、国際的な[[宇宙法]]の基礎となった[[条約]]。[[宇宙空間]]における探査と利用の自由、領有の禁止、宇宙平和利用の原則、国家への責任集中原則などが定められている。通称は'''宇宙条約'''だが、「宇宙憲章」と呼ばれることもある。
 
[[1966年]]12月19日に採択された第21会期[[国際連合総会|国連総会]]決議2222号で、[[1967年]]10月10日に発効した。
== 主な内容 ==
=== 宇宙空間の探査・利用の自由 ===
第1条で規定されている。[[天体]]を含む[[宇宙空間]]の探査および利用は「すべての国の利益のために」「[[国際法]]に従って」全人類が自由に行うことができる。

=== 領有の禁止 ===
第2条で規定。天体を含む宇宙空間に対しては、いずれの国家も[[領有]]権を主張することはできない。

=== 平和利用の原則 ===
第4条で規定。[[核兵器]]など[[大量破壊兵器]]を運ぶ物体（ミサイル衛星等）を地球を回る軌道に乗せたり、宇宙空間に配備してはならない。

また、[[月]]その他の天体はもっぱら平和目的のために利用され、軍事利用は一切禁止される。

=== 国家への責任集中原則 ===
第6条、7条で規定。宇宙活動を行うのが政府機関か非政府団体かに関わらず、自国によって行われる活動については国家が国際的責任を負う。打ち上げられた宇宙物体が他国に損害を与えた場合、打ち上げ国には無限の[[無過失責任]]が発生する。

== 採択・発効 ==
[[Image:Outer Space Treaty.png|400px|right|thumb|
{{legend|green|批准}}
{{legend|yellow|署名のみ}}]]
*1966年12月19日 - 国連総会決議2222号として採択
*1967年1月27日 - 署名のため開放 
*1967年10月10日 - 効力発生

== 締約国 ==
[[2012年]][[12月12日]]現在での批准・署名状況は次のとおり<ref>国際連合宇宙部、[http://www.oosa.unvienna.org/oosatdb/showTreatySignatures.do "Treaty Signatures"（各種条約署名・批准状況）]</ref>。
*[[署名]] - 26ヵ国
*[[批准]] - 101ヵ国

=== 日本 ===
*1967年1月27日 - 署名
**7月19日 - 国会承認
**10月10日 - 批准書寄託、効力発生<ref>1967年（昭和42年）10月11日外務省告示第197号「月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における国家活動を律する原則に関する条約の効力発生に関する件」</ref>
**10月11日 - 公布（条約第19号）

=== 署名国 ===
（アルファベット順）
<div style="width: 33%; float: left;">
* {{BOL}}
* {{BWA}}
* {{BDI}}

* {{CMR}}
* {{CAF}}
* {{COL}}
* {{COD}}
* {{ETH}}
* {{GHA}}
</div>
<div style="width: 33%; float: left;">
* {{GMB}}
* {{GUY}}
* {{HTI}}
* {{VAT}}
* {{HON}}
* {{IRN}}
* {{JOR}}
* {{LSO}}
* {{MYS}}
</div>
<div style="width: 33%; float: left;">
* {{MKD}}
* {{NIC}}
* {{PAN}}
* {{PHI}}
* {{RWA}}
* {{SRB}}
* {{SOM}}
* {{TTO}}
:（計26ヵ国）
</div>
<div style="clear: both;"></div>

=== 批准国 ===
（アルファベット順）
<div style="width: 33%; float: left;">
* {{AFG}}
* {{DZA}}
* {{ATG}}
* {{ARG}}
* {{AUS}}
* {{AUT}}
* {{BHS}}
* {{BRB}}
* {{BGD}}
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* {{BEN}}
* {{BFA}}
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* {{BGR}}
* {{CAN}}
* {{CHL}}
* {{CHN}}
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* {{CZE}}
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* {{FRA}}
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* {{GRC}}
</div>
<div style="width: 33%; float: left;">
* {{GNB}}
* {{HUN}}
* {{ISL}}
* {{IND}}
* {{IDN}}
* {{IRQ}}
* {{IRL}}
* {{ISR}}
* {{ITA}}
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* {{LBN}}
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* {{LUX}}
* {{MDG}}
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* {{MNG}}
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* {{PER}}
</div>  
<div style="width: 33%; float: left;">
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* {{ZMB}}
:（計101ヵ国）
</div>
<div style="clear: both;"></div>

== 問題点 ==
=== 宇宙空間の法的地位 ===
宇宙条約は宇宙空間に特別の地位を与えたものであるが、一方で地球における[[空域]]においては各国が[[領空]][[主権]]を持つ。そのため空域と宇宙空間との境界が問題となっているが、これについて明確には定められていない。境界の確定方法<ref>[[宇宙飛行士]]の認定基準の一つで[[国際航空連盟]]が認める[[カーマン・ライン]]も参照。</ref>をめぐっては学説が対立しているが、境界の確定は不要であるとする論もある。

=== 平和利用原則の不備 ===
天体における軍事利用は明確に禁止されている一方、その他の宇宙空間における軍事利用については条約ではほぼ触れられていないに等しい。[[大量破壊兵器]]についても、第4条にて「地球を回る軌道に乗せないこと、宇宙空間に配備しないこと」となっているため、宇宙空間に到達するものの[[人工衛星の軌道|軌道]]にのらない[[大陸間弾道ミサイル]]については条約の対象外となっている。これらの理由から、宇宙空間の軍事利用は、通常兵器の範囲で"非侵略"という目的であれば禁止されていないとする解釈が一般的である（なお、[[日本]]政府のように"非軍事"という独自の解釈を行っていた国家もある）<ref>[[青木節子]]『{{PDFLink|[http://coe21-policy.sfc.keio.ac.jp/ja/wp/WP67.pdf 宇宙の軍事利用を規律する国際法の現状と課題]}}』、[[慶應義塾大学]]大学院、2005年4月。</ref>。

=== 天体の軍事利用原則の不備 ===
類似の[[南極条約]]とは異なり「軍事的性質の措置」の禁止が明文化されていないため、「平和的目的」であり条約にて明示的に禁止されていない範囲であれば可能であるという解釈が存在する<ref>青木節子『{{PDFLink|[http://coe21-policy.sfc.keio.ac.jp/ja/wp/WP68.pdf 適法な宇宙の軍事利用決定基準としての国会決議の有用性]}}』、慶應義塾大学大学院、2005年4月。</ref>。
 
=== 天体の領有禁止の問題 ===
国家の領有のみを禁止しているなど、曖昧な部分がある。通常、[[所有権]]は[[法令]]の範囲内において効力がある権利と解される為、国家の領有が禁止されている以上、私人の所有においても同様に禁止されると考えられるが、それを否定する考えも存在する。この問題を解消するために[[1979年]]の[[月その他の天体における国家活動を律する協定|月協定]]（月その他の天体における国家活動を律する協定）では天体の領有、天体における[[資源|天然資源]]の所有が私人を含めて一切禁止された。しかし月協定については批准・署名国がきわめて少数にとどまり、現在でも[[ルナエンバシー]]社などが月の所有権を主張している。

== 脚注 ==
<references/>

== 関連項目 ==
{{Wikisource|en:Outer Space Treaty of 1967}}
* [[宇宙法]]
* [[宇宙基本法]]
* [[宇宙救助返還協定]] - 1968年発効
* [[宇宙損害責任条約]] - 1972年発効
* [[宇宙物体登録条約]] - 1975年発効
* [[月その他の天体における国家活動を律する協定|月協定]] - 1979年発効
* [[国連宇宙空間平和利用委員会]]
* [[地球外の不動産]]

== 外部リンク ==
* [http://www.jaxa.jp/library/space_law/chapter_1/1-2-2-5_j.html 条文正訳]{{ja icon}} - JAXA
* [http://www.oosa.unvienna.org/oosa/SpaceLaw/gares/html/gares_21_2222.html 条文原文]{{en icon}} - 国連宇宙部
* [http://www.oosa.unvienna.org/oosa/en/SpaceLaw/outerspt.html 条約解説]{{en icon}} - 国連宇宙部

{{DEFAULTSORT:うちゆうしようやく}}
[[Category:国際宇宙法]]
[[Category:国際連合の条約]]
[[Category:1967年の法]]