大熊町のソースを表示

{{日本の町村
|画像       = Fukushima-1.JPG
|画像の説明 = 爆発前の[[福島第一原子力発電所]]<br>（2002年7月20日）
|紋章 =[[ファイル:Flag of Ōkuma, Fukushima.svg|center|100px]]大熊[[市町村旗|町旗]][[ファイル:Okuma Fukushima chapter.JPG|center|75px]]大熊[[市町村章|町章]]
|紋章の説明 = [[1969年]]（[[昭和]]44年）[[11月10日]]制定
|自治体名=大熊町
|区分=町
|都道府県=福島県
|支庁=
|郡=[[双葉郡]]
|コード=07545-1
|隣接自治体=[[田村市]]、<br />[[双葉郡]][[浪江町]]、[[双葉町]]、[[富岡町]]、[[川内村]]
|木=[[モミ]]
|花=[[ナシ]]
|シンボル名=町の鳥
|鳥など=[[トビ]]
|郵便番号=979-1308
|所在地=双葉郡大熊町大字下野上字大野634番地<br /><small>{{ウィキ座標度分秒|37|24|16.1|N|140|59|0|E|region:JP}}</small><br/>[[ファイル:Okuma town office.jpg|center|250px]]
|外部リンク=[http://www.town.okuma.fukushima.jp/ 大熊町役場]
|位置画像={{基礎自治体位置図|07|545}}
|特記事項=
}}
'''大熊町'''（おおくままち）は、[[日本]]の[[福島県]][[浜通り]]の中央部、[[双葉郡]]（[[1896年]]以前は[[標葉郡]]）にある[[町]]。

[[福島第一原子力発電所]]（[[東京電力]]）の1号機から4号機の所在地である。なお、5号機および6号機は北隣の[[双葉町]]に立地している。[[2011年]][[3月12日]]<!--1号機水素爆発-->から[[3月15日]]<!--4号機建屋爆発-->までに亘って発生した[[福島第一原子力発電所事故]]の発生地として、全世界に衝撃を与えた。

== 地理 ==
[[阿武隈高地|阿武隈山系]]の東に開けた[[浜通り]]地方の中央に位置しており、東は[[太平洋]]に開ける。行政上では、北に[[浪江町]]と[[双葉町]]、西に[[田村市]]、南に[[川内村]]および[[富岡町]]と隣接する。

* 山 ：三郡森（さんぐんもり）、日隠山（ひがくれやま。[[高さ#地理|標高]]601.5[[メートル|m]]）
* 川 ：[[熊川 (浜通り)|熊川]]

=== 隣接する自治体 ===
* [[双葉郡]] ：[[浪江町]]、[[双葉町]]、[[富岡町]]、[[川内村]]
* [[田村市]]

== 交通 ==
=== 道路 ===
; 一般国道
* [[国道6号]]
* [[国道288号]]
; 主要地方道
* [[福島県道35号いわき浪江線]]
; 一般県道
* [[福島県道166号大野停車場大川原線]]
* [[福島県道251号小良ヶ浜野上線]]
* [[福島県道252号夫沢大野停車場線]]
* [[福島県道391号広野小高線]]

=== 鉄道 ===
; [[東日本旅客鉄道]]
* [[常磐線]]：[[大野駅]]

== 歴史 ==
かつて「'''苦麻'''」と呼びならわされてきた時代から近現代に至るまで、大熊は南北の勢力がせめぎ合う「境界地帯」という歴史を歩んで来た。歴史地理学的には、大熊は「''[[関東地方|関東]]と[[東北地方|東北]]の境界地帯''」の北口という色が濃い。

=== 「苦麻」時代 ===
*''特徴：「苦麻」の村''

[[7世紀]]前半の[[国造]]の時代には、現在の大熊は[[石城国造]]の北限、[[多賀郡|多珂国]]の北限であり、「'''苦麻'''（くま）の村」と呼ばれていた<ref>『日本歴史地名大系　福島県の地名』205頁</ref>。又、助川（現在の[[日立市]]）が「[[道口岐閉国造|道口岐閉]]（みちのくちのきへ）」と呼ばれたのに対して、苦麻の村は「'''道尻岐閉'''（みちのしりのきへ）」と呼ばれていた。多珂国は、[[高国造]]・[[道奥菊多国造|菊多国造]]・[[石城国造]]の3地域が統合されて成立した地域国家であり、これが[[20世紀]]前半には[[日立鉱山]]と[[常磐炭田]]によるエネルギー源地帯になるなど、地理的・歴史的同一性を有する地域である。

7世紀後半に[[律令制]]が浸透すると、多珂国は[[常陸国]]に編入され、苦麻の村は常陸国の北限になった。しかし、[[奈良時代]]当初の[[718年]]になると、現在の[[勿来|勿来（平潟トンネル）]]を境に[[菊多郡]]以北は常陸国から分離され、勿来から[[亘理町|亘理]]までを範囲とする[[石城国]]に編入され、苦麻の村は石城国の中部に位置する一村落となった。しかし、[[728年]]頃には、石城国は[[陸奥国]]に編入された。

===「熊川」時代===
*''特徴：[[標葉氏]]と[[相馬氏]]の領土の南限''

7世紀の「苦麻の村」は、やがて[[熊川 (浜通り)|当地を流れる川]]から'''熊川'''（くまかわ）と呼ばれるようになり、この時代は[[戊辰戦争]]終結まで続いた。

[[鎌倉幕府|鎌倉]]開府から[[戦国時代 (日本)|戦国時代]]前半までは、熊川は[[標葉氏]]の領土となり、その標葉氏の領土の南限となった。

しかし、戦国時代後半になると、標葉氏は[[相馬氏]]に倒された。[[相馬氏]]による統治は戦国時代後半から[[戊辰戦争]]終結まで続き、熊川は相馬氏の領土の南限となった。そして、戦国時代の相馬氏と[[岩城氏]]の境と、[[江戸時代]]の[[相馬中村藩|中村藩]]と[[磐城平藩]]の境が、現在の大熊町と[[富岡町]]の境に位置する[[夜ノ森]]であった。戦国時代末期に、熊川は、相馬氏・岩城氏・[[田村氏]]の緩衝地帯であり、田村氏領が[[豊臣秀吉]]に逆らって領土拡大を続ける[[伊達政宗]]の属領となると、相馬氏は岩城氏とともに熊川から西進して田村氏の領土へ侵攻した。このルートが、現在の[[国道288号]]である。

徳川幕藩体制下では熊川は中村藩の領内に入り、[[浜街道]]（現在の[[国道6号]]）の宿場町が整備され、熊川宿の宿場町として栄えた。

=== 「大熊」時代 ===
====戊辰戦争と町村制度施行====
*''特徴：[[浜通り]]中部の一村落''

[[1868年]][[9月22日]]に[[戊辰戦争]]で[[相馬中村藩|中村藩]]が[[明治政府]]軍に敗北した結果、熊川など旧中村藩領は[[磐城国]]に入れられた。[[1871年]][[8月29日]]の[[廃藩置県]]では、熊川は当初中村県に属したが、[[1872年]][[1月9日]]には中村県と平県（旧[[磐城平藩]]）が合併して[[磐前県]]となった。しかし、[[1876年]][[8月21日]]には、磐前県は[[福島県]]（[[中通り]]）と[[若松県]]（[[会津]]）と合併され、これ以後は福島県に属している。

*[[1889年]][[4月1日]]：[[町村制]]施行にともない、[[標葉郡]]'''[[大野村 (福島県双葉郡)|大野村]]'''と'''[[熊町村]]'''が発足。
*[[1896年]]4月1日：標葉郡と[[楢葉郡]]が合併し、'''双葉郡'''となる。
*[[1904年]][[11月22日]]：[[常磐線]][[大野駅]]開業。
*[[1954年]][[11月1日]]：大野村と熊町村が合併し、'''大熊町'''が発足<ref>同年10月30日、[[総理府]][[告示]]第884号「町村の廃置分合」</ref>。

==== 高度経済成長期 ====
[[File:Fukushima Ōno Hospital.jpg|right|thumb|225px|大野病院（2011年2月23日）]]
*''特徴：「エネルギー源地帯」の北限''

[[高度経済成長]]の結果、助川（[[日立市]]）から[[夜ノ森]]までに渡る[[鉱業]]地帯（[[20世紀]]前半の[[日立鉱山]]や[[常磐炭田]]）が衰えると、石炭に代わって[[石油]]や[[原子力]]が新しいエネルギー源として注目されるようになった。その高度経済成長期の[[1967年]][[9月29日]]に、大熊にて[[東京電力]]の[[福島第一原子力発電所]]が着工した（開業：[[1971年]][[3月26日]]）。その2日後の[[1967年]][[10月1日]]に、[[いわき駅|平駅 (現：いわき駅)]]⇔[[岩沼駅]]の電化により、[[常磐線]]が全線電化された。こうして、大熊は「エネルギー源地帯」の北限となった。

福島第一原発が開業し、高度経済成長が鎮まると、福島第一原発を描いた「原子力もなか」が大熊の土産として販売されていた。そして、医師不足と[[過疎]]問題を象徴する出来事として、[[2006年]]には[[大野病院事件]]が発生した。

===原発事故===
[[File:Fukushima I by Digital Globe.jpg|right|thumb|225px|爆発後の福島第一原発（2011年3月16日）]]
*''特徴：原発事故の「[[グラウンド・ゼロ|爆心地]]」''

{{main|福島第一原子力発電所事故}}

* [[2011年]][[3月11日]]の[[東日本大震災]]では、大熊は震度6強を記録する被害を受けた。この震災に誘発され、[[2011年]][[3月12日]]15時36分、[[福島第一原子力発電所事故|福島第一原発1号機で、白煙を伴う水素爆発]]が発生した。
* [[3月13日]]以降：原発事故の影響を受けて住民の退避が必至となり、仮役場が設置された[[田村市]]船引町船引にある田村市総合体育館に多くの住民が移動・避難した<ref>{{Cite web |url=http://www.minpo.jp/view.php?pageId=4107&blockId=9801814&newsMode=article |title=募る疲労、不安　被災者避難所生活 |work=福島民報（ウェブサイト）|publisher=[[福島民報|福島民報社]] |date=2011-03-14 |accessdate=2011-03-29}}</ref>（避難住民・避難場所は他にも散在<ref name="福島放送,03-31" />）。
* [[3月14日]]：11時1分、[[プルサーマル]]を用いている福島第一原発3号機で、黒煙を伴う爆発が発生。
* [[4月3日]]以降 ：上述の仮役場と避難住民は、[[会津若松市]][[栄町 (会津若松市)|栄町]]の会津若松市役所追手町第二庁舎へ再移転・再移動した<ref name="福島放送,03-31">{{Cite web |url=http://www.kfb.co.jp/news/index.cgi?n=2011033112 |title=大熊町、3日に役場機能を若松に移転 |work=（ウェブサイト）|publisher=[[福島放送]] |date=2011-03-31 |accessdate=2011-03-31}}{{リンク切れ|date=2011年4月}}</ref>。
* 4月5日 ：移転先にて、大熊町役場会津若松出張所、開設（出張所は、大熊町社会福祉協議会、大熊町商工会を含む）<ref>{{Cite web |url=http://blog-okuma.jugem.jp/ |title=大熊町役場 会津若松出張所が開設します　安否情報コールセンターも始まります |work=ブログ大熊町（公式ブログ）|publisher=大熊町 |date=2011-04-05 |accessdate=2011-04-05}}</ref>。
* 4月中旬 ：会津若松にて小学校と中学校、幼稚園が開校・開園。（小学校と幼稚園は地元の既存校・既存園を統合した正式名称「大熊町立小学校」や「大熊町立幼稚園」の[[分校|分校・分園]]、中学校は既存校の分校である）<ref name="blog大熊町,04-14">{{Cite web |url=http://blog-okuma.jugem.jp/?eid=27 |title=学校関係まとめ　中学校の準備が進んでいます |work=ブログ大熊町（公式ブログ） |publisher=大熊町 |date=2011-04-14 |accessdate=2011-04-14}}</ref>。{{Seealso|#教育施設}}

;警戒区域指定後
原発事故を受けて、町役場と住民が近隣地域に退避し、2012年12月9日までは除染や瓦礫の撤去作業を行う作業員以外の町民の立ち入りが全面禁止される[[警戒区域]]となっていた。同[[12月10日]]午前0時を期して、「帰宅困難区域」（従来どおり作業員以外の住民の立ち入り・一時帰宅禁止　全体の96%）と「居住制限区域」「避難指示準備解除区域」（日中の時間帯のみ、町からの許可を得ることを前提に立ち入り・一時帰宅できるが、宿泊不可　これらを合わせて全体の4%）に再編された。

== 行政 ==
町長：渡辺利綱（[[2007年]]9月20日就任。2期目）
* 歴代町長
{| class="wikitable"
!代!!氏名!!就任!!退任!!備考
|-
|1||小畑重||1954年12月3日||1962年12月2日||
|-
|2||志賀秀正||1962年12月3日||1979年8月6日||
|-
|3||遠藤正||1979年9月25日||1987年9月||
|-
|4||志賀秀朗||1987年9月20日||2007年9月19日||志賀秀正の息子。
|-
|5||渡辺利綱||2007年9月20日||現職||
|}
*町議会：定数14人（現在の議員の任期は2015年11月19日まで）
<!--
== 経済 ==
※原発事故前の経済・産業と復興後（将来）のそれについては、町の歴史という意味も含めて記述されるべきです。それが記せるような状況になった時にこの節を表示し、内容を記しましょう。
=== 産業 ===
* 主な産業
* 産業人口
-->

== 姉妹都市・提携都市 ==
* {{Flagicon|AUS}} [[バサースト市]]（[[:en:Bathurst, New South Wales|en]]。[[オーストラリア]]、[[ニューサウスウェールズ州]]） ：1991年3月<ref>{{cite web|url=http://www.bathurst.nsw.gov.au/community/sister-city|title=Sister City|publisher=Bathurst Regional Council|language=英語|accessdate=2011-04-03}}</ref>、[[姉妹都市]]提携。

=== 人口 ===
{{人口統計|code=07545|name=大熊町}}

== 施設 ==
* 原子力センター
* [[福島第一原子力発電所]]
* 福島県栽培漁業センター
* [[大熊町文化センター]]
* [[双葉病院]]

==観光==
=== 名所 ===
* 温泉
** 玉の湯
* 馬の背岬
* 熊川海水浴場
* 坂下ダム

=== 名産 ===
* [[ナシ|梨]]、[[キウイフルーツ]]
* [[ヒラメ]]
* 翠のしずく（キウイフルーツの[[ワイン]]）
* 原子力もなか

=== 祭事・催事 ===
* 2月 - おおくま駅伝大会
* 10月 - 町内体育祭
* 8月 - 熊川稚児鹿舞（震災後も避難先で復活<ref>[http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201407/20140721_65001.html　福島・大熊の熊川稚児鹿舞、４年ぶりに上演　会津若松]河北新報、2014年07月21日</ref>）　
* 11月 - ふるさと祭り

== 教育施設 ==
[[福島第一原子力発電所事故|福島原発事故]]時の主要な避難場所である[[会津若松市]]に開校された[[小学校]]と[[幼稚園]]は、地元の既存校・既存園を統合した正式名称「大熊町立小学校」や「大熊町立幼稚園」の[[分校|分校や分園]]である。

;高等学校
* [[福島県立双葉翔陽高等学校]]

;中学校
* 大熊町立大熊中学校
** 大熊町立中学校 会津若松分校（使用施設は、会津若松市役所追手町第二庁舎）

;小学校
* 大熊町立小学校
** 大熊町立小学校 会津若松分校（使用施設は、旧会津若松市立河東第三小学校 [[校舎]]）
** 大熊町立大野小学校
** 大熊町立熊町小学校

;幼稚園
* 大熊町立幼稚園 会津若松分園（使用施設は、旧会津若松市立河東第一幼稚園 園舎）

== 脚注・出典 ==
{{脚注ヘルプ}}
{{Reflist}}

== 参考文献 ==
*『大熊町史』第一巻（福島県双葉郡大熊町、1985年）
*「苦麻の村」[[池澤夏樹]]、『新潮』2013年5月号（新潮社、2013年） - 大熊町の元教員の人生を描いた震災文学

== 関連項目 ==
{{commons}}
;大熊関連
* [[熊川 (浜通り)]]
* [[熊川橋]]
* [[夜ノ森]]
* [[福島の原子力発電所と地域社会]]
* [[福島第一原子力発電所事故]]
;浜通りの歴史
* [[相馬中村藩]]：藩政時代の熊川（戊辰戦争後の大熊）についてはこちらも参照。
* [[磐城の戦い]]：熊川での[[戊辰戦争]]についてはこちらも参照。
* [[陸前浜街道]]
* [[常磐炭田]]
;関連市町村
* [[日立市]]：7世紀前半の[[多珂国]]の南限で、「助川」「道の口」と呼ばれた。
* [[相馬市]]：[[相馬氏]]の本拠地で、中村藩の城下町。
* [[会津若松市]]：原発事故後の疎開役場の所在地。
* [[広島市]]：[[ウラン]]爆弾、[[広島市への原子爆弾投下]]。
* [[長崎市]]：[[プルトニウム]]爆弾、[[長崎市への原子爆弾投下]]。
* [[東海村]]：[[日本の原子力発電所]]の第一号。
* [[ハリスバーグ (ペンシルベニア州)]]：[[スリーマイル島原子力発電所事故]]
* [[チェルノブイリ]]：[[チェルノブイリ原子力発電所事故]]

== 外部リンク ==
* {{Cite web |url=http://www.town.okuma.fukushima.jp/ |title=大熊町役場公式ホームページ臨時サイト |work=（[[公式ウェブサイト]]） |publisher=大熊町 |date=2011 |accessdate=2011-04-03}}
** {{Cite web |url=http://blog-okuma.jugem.jp/ |title='''ブログ大熊町''' |work=（公式ブログ） |publisher=大熊町 |date=2011 |accessdate=2011-04-03}}

{{Geographic Location
|Centre    = 大熊町
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|South     = [[富岡町]]
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|image     =
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{{東日本大震災}}
{{福島県の自治体}}

{{デフォルトソート:おおくままち}}
[[Category:大熊町| ]]
[[Category:浜通り]]
[[Category:双葉郡]]
[[Category:福島県の市町村]]
[[Category:合成地名]]