大台ヶ原山のソースを表示

{{特殊文字}}
{{Infobox 山
|名称=大台ヶ原山
|画像=[[ファイル:Hinokidukaokumine04.JPG|300px]]
|画像キャプション = [[桧塚奥峰]]山頂から撮影
|標高=1,695.1
|座標={{ウィキ座標2段度分秒|34|11|07|N|136|06|33|E|}}
|所在地=<small>[[奈良県]][[吉野郡]][[上北山村]]、[[川上村 (奈良県)|川上村]]、<br />[[三重県]][[多気郡]][[大台町]]</small>
|山系=[[台高山脈]]
|種類=[[地形輪廻#準平原|隆起準平原]]
|地図 = {{Embedmap|136.1092|34.1853|300}}<small>大台ヶ原山の位置</small>{{日本の位置情報|34|11|07|136|06|33|日出ヶ岳|34.1853,136.1092|日出ヶ岳}}
}}
[[ファイル:Odaigahara Yama.jpg|thumb|山頂から見える風景]]
[[ファイル:Odaigahara Hiidedake.jpg|thumb|日出ヶ岳三角点]]
[[ファイル:Odaigahara Shiokara Dani.jpg|thumb|シオカラ谷吊橋]]

'''大台ヶ原山'''（おおだいがはらやま）は[[奈良県]]と[[三重県]]の[[県境]]にある[[標高]]1695.1m<ref name="kijyun">{{Cite web|url=http://sokuseikagis1.gsi.go.jp/ |title=基準点成果等閲覧サービス |publisher=[[国土地理院]] |accessdate=2011-03-21}}</ref>の[[山]]である。[[深田久弥]]によって「[[日本百名山]]」に選ばれたほか、[[日本百景]]、[[日本の秘境100選]]にも選ばれ、山全体が[[特別天然記念物]]に指定されている<ref name=tsukiji77>大和大峰研究グループ著『大峰山・大台ヶ原山　－自然のおいたちと人々のいとなみ－』築地書館 2009年 77ページ</ref>。

== 概要 ==
最高点の一等三角点は基準点名が「大台ヶ原山」であるが、国土地理院による地図には'''日出ヶ岳'''（ひでがだけ）と表記され<ref name="kijyun"/>、三重県の最高峰である。三津河落山（さんずこうちさん）や経ヶ峰（きょうがみね）など、標高1400mから1600mの複数の山<ref name=tsukiji77/>と、これらの山に囲まれた東西5 kmほどの台地状の地帯は'''大台ヶ原'''（おおだいがはら）と呼ばれ、奈良県[[吉野郡]][[上北山村]]と同郡[[川上村 (奈良県)|川上村]]および三重県[[多気郡]][[大台町]]旧[[宮川村 (三重県)|宮川村]]にまたがっている。大台ヶ原は[[吉野熊野国立公園]]の一部として指定され、特に景観を保護するため<ref>[[自然公園法]]第二十一条</ref>に特別保護地区に指定されている<ref>{{Cite web|url=http://www.env.go.jp/park/yoshino/intro/files/area_1.pdf|title=吉野熊野国立公園区域図（北部）|publisher=[[環境省]] |accessdate=2013-11-19|format=pdf}}</ref>。

大台ヶ原は[[中央構造線]]の南に位置し、海洋[[プレート]]が[[ユーラシアプレート]]の下へ潜り込む際に、海洋プレートに堆積した[[砂岩]]や[[チャート (岩石)|チャート]]がユーラシアプレートの縁へと押し上げられて隆起した地形であると考えられている<ref>{{Cite web|url=http://kinki.env.go.jp/nature/odaigahara/about/history/1kaitei.html|title=吉野熊野国立公園大台ヶ原｜大台ケ原とは｜歴史｜変遷1～海底の記憶|publisher=[[環境省]] |accessdate=2013-11-18}}</ref>。大台ヶ原は日本では希な非火山性の隆起準平原であるとされている<ref>{{Cite web|url=http://www.env.go.jp/park/yoshino/intro/outline.html|title=自然環境の概要 || 吉野熊野国立公園 [環境省]|publisher=[[環境省]] |accessdate=2013-11-19}}</ref>が、一方で、今から1500万年前に巨大噴火が起こり、大台[[カルデラ]]が形成されていたとする説もある<ref>大和大峰研究グループ著『大峰山・大台ヶ原山　－自然のおいたちと人々のいとなみ－』築地書館 2009年 72-74ページ</ref>。西部と南部は激しい[[谷頭浸食]]によって標高差1，000mの深い谷筋が形成され、硬い岩石で構成された地質が鋭く切り立った地形を作り上げている<ref>{{Cite web|url=http://kinki.env.go.jp/nature/odaigahara/about/nature/chishitsu.html|title=吉野熊野国立公園大台ヶ原｜大台ケ原とは｜自然環境｜地質的特徴|publisher=[[環境省]] |accessdate=2013-11-18}}</ref>。南東方面は熊野灘に面する[[リアス式海岸]]で、大台ヶ原は海岸線からの急峻な斜面の頭頂部にある<ref name=climate>{{Cite web|url=http://kinki.env.go.jp/nature/odaigahara/about/nature/kikou.html|title=吉野熊野国立公園大台ヶ原｜大台ケ原とは｜自然環境｜大台ヶ原の気候|publisher=[[環境省]] |accessdate=2013-11-18}}</ref>。

南東の急峻な斜面を海上から湿った風が吹き上げるため大台ヶ原では年間を通じて降水量が多く、[[屋久島]]に並ぶと言われるほどの多雨地帯である<ref name=climate/>。特に日本列島の太平洋側を台風が通過する際には南東からの風が強くなるため、10月ごろを中心に降水量が多い<ref name=climate/>。1920年（大正9年）には年間8,214ミリの雨量を記録し、1923年（大正12年）9月の台風時には一日に1,011ミリの降水記録がある<ref>大和大峰研究グループ著『大峰山・大台ヶ原山　－自然のおいたちと人々のいとなみ－』築地書館 2009年 81ページ</ref>。

== 周辺の主な山<ref name="kijyun"/> ==
日出ヶ岳山頂や大蛇ぐらから北や西の方向に[[紀伊山地]]を見渡すことができる。
{| class="wikitable"
|-
!山容
!名称
![[標高]]([[メートル|m]])
![[三角点]]等級および基準点名
!釈迦岳からの方角と[[距離]]([[キロメートル|km]])
!備考
|-
|
| [[釈迦ヶ岳 (奈良県)|釈迦ヶ岳]]
| 1,800.0
| 一等「釈迦ヶ岳」
|{{direction|WSW}}西南西
| 日本二百名山
|- style="background-color:#ccc"
|
| '''大台ヶ原山'''
| 1,695.1
| 一等「大台ヶ原山」
|{{direction|O}}　0
| 日本百名山
|-
|
| [[八経ヶ岳]]
| 1,915.1
| 二等「弥仙山」
|{{direction|W}}西
| 大峰山の一部とされる場合もある
|-
|
| [[大峰山]]
| 1,719.3
| 一等「大峰山上」
|{{direction|NW}}北西
| 日本百名山
|}

== 生態系 ==
大台ヶ原の南東部、正木ヶ原や牛石ヶ原では[[トウヒ]]の立ち枯れと笹原が見られる。これは、[[1959年]]（[[昭和]]34年）に近畿地方を襲った[[伊勢湾台風]]が森林を破壊して地表に日光が差し込むようになり、コケ類が衰退してミヤコザサが繁茂し始めたためである<ref name=saisei>{{Cite web|url=http://kinki.env.go.jp/nature/odaigahara/saisei/pdf/shizensaisei_pamphlet/zentai.pdf|title=大台ヶ原自然再生事業|publisher=[[環境省]] |accessdate=2013-11-19}}</ref>。ミヤコザサの繁茂はこれらを主食とする[[ニホンジカ]]の生息数増加を招き、大台ヶ原の森林を構成する樹木の幼木や樹皮がシカに採食されるようになった<ref name=saisei/>。このほかにも人為や地球規模での環境変化など、複合的な要因によって森林衰退が進んでいると考えられている<ref name=saisei/>。[[環境省]]ではシカが環境に与える影響が大きいとして個体数の調整（捕獲）を実施してきている<ref>[http://kinki.env.go.jp/nature/mat/m_2_1.html 大台ヶ原ニホンジカ保護管理計画] 環境省近畿地方環境事務所、2011年2月20日閲覧。</ref>が、自然保護団体からは、シカと環境変化の因果関係は不明であり駆除を行うべきでないという意見も出ている<ref>[http://oodai.net/2005/doc/0615-sika_kyousei.pdf 鹿と原生林との共生のために] 大台ケ原・大峰の自然を守る会、2011年2月20日閲覧。</ref>。

{{要出典範囲|date=2013年11月|[[オオルリ]]や[[コマドリ]]、[[コノハズク]]など、野鳥の生息地として重要であるため、面積にして18,054 [[ヘクタール|ha]]が国指定大台山系[[鳥獣保護区]]（大規模生息地）に指定されている。うち1,403 haは特別保護地区である。}}

'''生息種の例'''
* [[オオダイガハラサンショウウオ]]<ref name=amphibia>{{Cite web|url=http://kinki.env.go.jp/nature/odaigahara/about/ikimono/hatyurui.html|title=吉野熊野国立公園大台ヶ原｜大台ケ原とは｜生き物紹介｜は虫類・両生類|publisher=[[環境省]] |accessdate=2013-11-19}}</ref>
* [[アカゲラ]]<ref>{{Cite web|url=http://kinki.env.go.jp/nature/odaigahara/about/ikimono/tyorui.html|title=吉野熊野国立公園大台ヶ原｜大台ケ原とは｜生き物紹介｜鳥類|publisher=[[環境省]] |accessdate=2013-11-19}}</ref>
* ニホンジカ<ref>{{Cite web|url=http://kinki.env.go.jp/nature/odaigahara/about/ikimono/honyu.html|title=吉野熊野国立公園大台ヶ原｜大台ケ原とは｜生き物紹介｜哺乳類|publisher=[[環境省]] |accessdate=2013-11-19}}</ref>
* [[ナガレヒキガエル]]<ref name=amphibia/>

== 登山・観光 ==
大台ヶ原は吉野熊野国立公園のひとつに指定されていて、中心付近の標高1,573.7m地点には大台ヶ原の自然や歴史を紹介する施設として「大台ヶ原ビジターセンター」が建てられている。ビジターセンターには200台以上を収容できる駐車場が整備され、周辺には売店や飲食店、宿泊施設が営業している。登山道はビジターセンターを起点に周回する複数のルートが整備されているほか、東側山麓の[[大杉谷|大杉渓谷]]からのルートが知られている。[[1961年]]に大台ヶ原ドライブウェイが開通してからは、手軽に訪れることができる山となり、登山者や観光客が増加したことも自然に影響を与えていると推定されている<ref name=saisei/>。

=== 東大台 ===
ビジターセンターから東の区域は東大台と呼ばれ、一般登山者向けのコース「東大台ヶ原自然観察路」が整備されている<ref>大和大峰研究グループ著『大峰山・大台ヶ原山　－自然のおいたちと人々のいとなみ－』築地書館 2009年 84ページ</ref>。日出ヶ岳山頂は東大台の北東端にあり、登山道は尾根沿いに南西へ牛石ヶ原（うしいしがはら）や正木ヶ原（まさきがはら）を通りながら大蛇嵓（だいじゃぐら、ぐらの字は[[やまかんむり]]に「品」）<ref>{{独自研究範囲|date=2013年11月|崖をなす地形の名称で横から眺める岩壁を嵓という。}}</ref>まで続いている<ref>{{Cite web|url=http://kinki.env.go.jp/nature/odaigahara/course/east.html|title=吉野熊野国立公園大台ヶ原｜コース案内｜東大台地区|publisher=[[環境省]] |accessdate=2013-11-22}}</ref><ref>大和大峰研究グループ著『大峰山・大台ヶ原山　－自然のおいたちと人々のいとなみ－』築地書館 2009年 78-79ページ</ref>。

=== 西大台 ===
ビジターセンターから西の区域は西大台と呼ばれ、{{要出典範囲|date=2013年11月|[[2007年]]（[[平成]]19年）9月1日から}}、自然環境を保持して自然体験の場を提供するため、環境省により立ち入り人数が制限されている<ref name=nishioodai>{{Cite web|url=http://kinki.env.go.jp/nature/odaigahara/west_odai/west_odai_index.html|title=吉野熊野国立公園大台ヶ原｜西大台利用調整地区｜利用調整地区とは|publisher=環境省|accessdate=2013-11-22}}</ref>（曜日や時期に応じて1日につき30人から100人<ref>{{Cite web|url=http://kinki.env.go.jp/nature/odaigahara/west_odai/riyo_rule.html|title=吉野熊野国立公園大台ヶ原｜西大台利用調整地区｜利用ルール|publisher=[[環境省]] |accessdate=2013-11-22}}</ref>）。また、立ち入りに当たっては事前申請を行って手数料を納付した上、当日までにレクチャーを受けなければならない<ref>{{Cite web|url=http://kinki.env.go.jp/nature/odaigahara/west_odai/enter.html|title=吉野熊野国立公園大台ヶ原｜西大台利用調整地区｜西大台地区に入るには|publisher=[[環境省]] |accessdate=2013-11-22}}</ref>。西大台へはビジターセンターから入るゲートと、南西の逆峠から入るゲートがある<ref name=nishioodai/>。

=== アクセス ===
; 公共交通機関
: 大台ヶ原ビジターセンターの駐車場脇には「大台ヶ原」バス停があり、[[近畿日本鉄道]]の[[吉野線]][[大和上市駅]]から[[奈良交通]]が路線バスを季節運行している<ref>{{Cite web|url=http://jikoku.narakotsu.co.jp/jikoku_pdf/Bsmap.exe?1287+1311+2008+kamiichi.gif+0+hanrei.gif+309+136|title=路線図（上市駅）|publisher=奈良交通株式会社|accessdate=2013-11-22}}</ref>。
: 大杉渓谷の登山口へは[[JR東海]]の[[紀勢本線]][[三瀬谷駅]]付近から、エスパール交通株式会社が「大杉渓谷登山バス」として募集型[[企画旅行]]のツアーバスを運行している<ref>{{Cite web|url=http://エスパール交通.com/oosugikyoukoku/index.html|title=エスパール交通株式会社|publisher=エスパール交通株式会社|accessdate=2013-11-22}}</ref>。
; 自家用車
: [[国道169号]]新伯母峯トンネル付近から[[奈良県道40号大台ケ原公園川上線]]（大台ヶ原ドライブウェイ）を経由して、ビジターセンターまでおよそ20kmの道のりである（冬季通行止）。 
: 大杉谷の登山口へは、[[紀勢自動車道]][[大宮大台インターチェンジ]]から[[国道422号]]や[[三重県道53号大台ヶ原線]]を経由して約47kmの道のりである<ref>{{Cite web|url=http://oosugidani.jp/pdf/kuruma%20pdf.pdf|title=（無題）|publisher=社団法人大杉谷登山センター|accessdate=2013-11-22|format=pdf}}</ref>。

== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
{{reflist}}

== 関連項目 ==
{{Commonscat|Mount Odaigahara}}
* [[各都道府県の最高峰]]（三重県）
* [[松浦武四郎]]
* [[桧塚奥峰]] - 府県境にある山を除いた三重県の最高峰
* [[七ツ釜滝]]　西側斜面の[[大杉谷]]に数ある滝のひとつで、落差120m。[[日本の滝百選]]。
* [[東ノ川]]

== 外部リンク ==
* [http://www.env.go.jp/park/yoshino/ 吉野熊野国立公園（環境省自然環境局）]
* [http://kinki.env.go.jp/nature/odaigahara/odai_top.htm/ 吉野熊野国立公園　大台ケ原（環境省近畿地方環境事務所）]

{{日本百名山}}
{{一等三角点百名山}}
{{関西百名山}}
{{近畿百名山}}
{{Template:奈良百遊山}}

{{DEFAULTSORT:おおたいかはらやま}}
[[Category:奈良県の山]]
[[Category:三重県の山]]
[[Category:日本百名山]]
[[Category:日本百景]]
[[Category:奈良県の自然景勝地]]
[[Category:三重県の自然景勝地]]
[[Category:上北山村]]
[[Category:川上村 (奈良県)]]
[[Category:大台町]]
[[Category:国指定鳥獣保護区]]
[[Category:生物圏保護区]]
[[Category:日本の森林]]