大原幽学のソースを表示

'''大原 幽学'''（おおはら ゆうがく、[[寛政]]9年[[3月17日 (旧暦)|3月17日]]（[[1797年]][[4月13日]]） - [[安政]]5年[[3月8日 (旧暦)|3月8日]]（[[1858年]][[4月21日]]））は、[[江戸時代]]後期の農政学者、農民指導者。[[下総国]][[香取郡]]長部（ながべ）村（後の[[千葉県]]香取郡[[干潟町]]、現在の[[旭市]]）を拠点に、[[天保]]9年（[[1838年]]）に[[先祖株組合]]という[[農業協同組合]]を世界で初めて創設した。

== 生涯 ==
<!-- {{和暦|1590}}、[[豊臣秀吉]]の[[小田原征伐]]で、松井田城（群馬県安中市）と[[川越城|河越城]]（埼玉県川越市）は落城し、先祖の[[大道寺政繁]]は自害させられた。引き換えに、大道寺政繁の次男・[[大道寺直重|直重]]は[[徳川家康]]に預けの身となり、幕末まで家老職として[[尾張藩]]に子孫達は勤任した。直重の初代から数えて6代目の直長玄蕃の次男が左門である。
しかし、大道寺左門は大道寺家から勘当され、詳しくは伏せられ一切、生い立ちを他言する事を禁じられた。他言禁止の理由は門下生の口伝えで物語られていたという。
大道寺左門（幽学）の武道師範の尾張・柳生厳政を切り果たしたのが原因であった。
左門（才次郎）は1814年の18歳の時、同じ修業中の門弟に、師範が正当な理由なく虐めた事に
抗議した為と言い伝えられている。
左門は文武両道にすぐれた人物であったが、如何に正当な理由での果し合いであっても、結果的に師範を
果たした事は重大事件であり、尾張・柳生の面目を潰し６代目で終わり、更に尾張藩家老である直長玄蕃の
面目をも潰す事になったのである。（霊巌夜話編集後記）-->

[[File:Ōhara Yūgaku's Birthplace.jpg|thumb|240px|大原幽学出生地（愛知県名古屋市中区愛知県図書館）]]
[[File:Grave of Ōhara Yūgaku in Nagoya.jpg|thumb|180px|愛知県名古屋市千種区平和公園の墓所]]
出自は明らかでないが、[[尾張藩]]の家臣[[大道寺直方]]の次男として生まれたとの説もある<ref>中井信彦, 『大原幽学 (人物叢書)』, 吉川弘文館 (1989/05)</ref>。若き頃は大道寺左門と名乗っていたという。号は静香。

幽学の語るところによると、18歳のとき故あって[[勘当]]され、[[美濃国|美濃]]、[[大和国|大和]]、[[京都|京]]、[[大阪]]を長く放浪していたという。はじめは[[武芸 (日本)|武芸]]、のち知友から[[占い]]手法を身に付け、[[易占]]、[[人相占い|観相]]、講説などで[[流浪]]の生活を支えていた<ref>『大原幽学伝』（1949年）高倉テル著、美和書林発行</ref>。

その後、[[神道]]、[[儒教]]、[[仏教]]を一体とする、独自の実践道徳である「性学」（生理学、性理道ともいった）を開いた。天保2年（[[1831年]]）[[房総]]を訪れ性学を講ずるようになり、[[門人]]を各地に増やしていった。そして、天保6年（[[1835年]]）に[[椿海]]の[[干拓地]]の干潟八万石にあった長部村に招かれ農村振興に努力することになった。

幽学は、先祖株組合の創設のほかに、[[農業技術]]の指導、[[耕地整理]]、[[節約|質素倹約]]の奨励、[[博打]]の禁止、また[[子供]]の[[教育]]・[[しつけ]]のために[[換え子]]制度の奨励など、農民生活のあらゆる面を指導した。「[[改心楼]]」という教導所も建設された。[[嘉永]]元年（[[1848年]]）2月に、長部村の領主清水氏は、長部村の復興を賞賛し、領内の村々の模範とすべきことを触れている。嘉永5年（[[1852年]]）、反感を持つ勢力が改心楼へ乱入したことをきっかけに村を越えた農民の行き来を怪しまれ[[勘定奉行]]に取り調べられる。安政4年（[[1857年]]）に押込百日と改心楼の棄却、先祖株組合の解散を言い渡される。5年に及ぶ訴訟の疲労と性学を学んだはずの村の荒廃を嘆き、翌年、[[墓地]]で[[切腹]]。千葉県旭市には旧宅（国の[[史跡]]）が残っており、切腹した場所には[[墓]]が建立された。愛知県名古屋市の[[平和公園 (名古屋市)|平和公園]]にも門人がたてた[[墓碑]]がある。著作に「[[微味幽玄考]]」「[[性学趣意]]」「口まめ草」等がある。

== 同時代の代表的な農民指導者 ==
* [[二宮尊徳]]
* [[大蔵永常]]
* [[渡部斧松]]

== 描かれた作品 == 
* 映画　
** 『[[月の出の決闘]] 』（[[1947年]]） - [[丸根賛太郎]]監督、[[阪東妻三郎]]、[[青山杉作]]他
** 『[[天保水滸伝 大原幽学]]』 （[[1976年]]） - [[山本薩夫]]監督、[[平幹二朗]]、[[浅丘ルリ子]]他
* 小説
** [[高倉輝|高倉テル]] 著, 『大原幽学伝』, 美和書林 (1949)
** 内山朝治  著, 『武士にて候―先覚者大原幽学、その闘い』, 東洋出版 (2002/4/30)
** [[佐藤雅美]] 著, 『吾、器に過ぎたるか』, 講談社 (2003/05)

== 参考文献 ==
* [[中井信彦]] 著, 『大原幽学 (人物叢書)』, 吉川弘文館 (1963)
* [[奈良本辰也]] 他著, 『日本思想大系〈52〉[[二宮尊徳]]・大原幽学』, 岩波書店 (1973/05)
* [[木村礎]] 編, 『大原幽学とその周辺 (日本史研究叢書)』, 八木書店 (1981/10)
* 高橋敏 著, 『大原幽学と飯岡助五郎―遊説と遊侠の地域再編 (日本史リブレット人)』, 山川出版社 (2011/02)

== 脚注 ==
<references/>

== 外部リンク ==
* [http://www.city.asahi.chiba.jp/yugaku/ 大原幽学記念館]

== 関連項目 ==
* [[江戸時代の人物一覧]]

{{DEFAULTSORT:おおはら ゆうかく}}
[[Category:大道寺氏]]
[[Category:江戸時代の農学者]]
[[Category:19世紀の学者]]
[[Category:千葉県の歴史]]
[[Category:下総国の人物]]
[[Category:ちば遺産100選]]
[[Category:1797年生]]
[[Category:1858年没]]
[[Category:自殺した人物]]