多賀城のソースを表示

{{日本の城郭概要表
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{{座標一覧}}

'''多賀城'''（たがじょう、たがのき）は、[[日本]]の[[律令制|律令時代]]に、[[陸奥国]]に設置された[[城]]である。

[[宮城県]][[多賀城市]]市川[[小字|字]]城前ほかに位置し、[[陸奥国|陸奥]][[国府]]や[[鎮守府 (古代)|鎮守府]]として機能した。現在、国の[[特別史跡]]に指定されている。

== 概要 ==
[[奈良盆地]]を本拠地とする[[大和]]朝廷が[[蝦夷]]を制圧するため、軍事的拠点として蝦夷との境界となっていた[[松島丘陵]]の南東部分である塩釜丘陵上に設置した。創建は[[724年]]（神亀元年）、按察使[[大野東人]]が築城したとされる。[[8世紀]]初めから[[10世紀]]半ばまで存続し、その間大きく4回の造営が行われた。第1期は[[724年]] - [[762年]]、第2期は[[762年]] - [[780年]]で[[762年]]（天平宝字6年）[[藤原朝狩|藤原恵美朝狩]]が改修してから[[780年]]（宝亀11年）伊治公砦麻呂の反乱で焼失するまで、第3期は[[780年]] - [[869年]]で砦麻呂の乱による焼失の復興から[[869年]]（貞観11年）の大地震（[[貞観地震]]）による倒壊まで、第4期は[[869年]] - [[10世紀]]半ばで震災の復興から廃絶までに分けられる<ref>[[多賀城碑]]、今泉隆雄「律令国家と蝦夷」55ページ（渡辺信夫・今泉隆雄・大石直正・難波信雄『宮城県の歴史』山川出版社 1999年3月）</ref>。
[[ファイル:Tagajou_stereo.jpg|thumb|350px|多賀城の[[ステレオグラム|ステレオ]]空中写真（1975年） {{国土航空写真}}]]

多賀城創建以前は、[[郡山遺跡]]（現在の[[仙台市]][[太白区]]）が陸奥国府であったと推定されている。<!--すなわち[[仙台地方]]は、古代から「[[東北地方]]の政治的中心地」であった。-->陸奥国府のほか、鎮守府が置かれ、政庁や寺院、食料を貯蔵するための蔵などが置かれ、城柵で囲み櫓で周囲を監視していたと考えられる。多賀城が創建されると、国府が郡山遺跡から移され、黒川以北十群（黒川・賀美・色麻・富田・玉造・志太・長岡・新田・小田・牡鹿）に城柵・官衙とその付属寺院が設置・整備された。これらの設置・整備は律令制支配の強化を図るものであり、多賀城はそれらの拠点を後援する為の根拠地であった<ref>今泉隆雄「律令国家と蝦夷」53-54ページ（渡辺信夫・今泉隆雄・大石直正・難波信雄『宮城県の歴史』山川出版社 1999年3月）</ref>。

これにより、[[奈良時代|平城時代]]の（狭義の）日本では、[[平城京]]を中心に、南に[[大宰府]]、北に鎮守府兼陸奥国府の多賀城を建てて一大拠点とした。

[[多賀城政庁]]に隣接し、陸奥国内100社を合祀する[[陸奥総社宮]]を奉ずる。陸奥国一宮[[鹽竈神社]]（塩竃神社）を精神的支柱として、[[松島湾]]・千賀ノ浦（塩竃湊）を国府津とする。都人憧憬の地となり、[[歌枕]]が数多く存在する。政庁がある丘陵の麓には[[条坊制]]による都市（後に多賀国府（たがのこう）と呼ばれる）が築かれ、[[砂押川]]の河川交通と[[奥大道]]の陸上交通が交差する土地として長く繁栄した。

[[建武新政]]期と[[南北朝時代 (日本)|南北朝時代]]初期、多賀城には[[陸奥将軍府]]が置かれた。奥州将軍府は、多賀城の陥落後、将軍府の中心的武将、[[伊達行朝]]の所領である[[伊達郡]]の[[霊山 (福島県)|霊山]]に移転した。

== 歴史 ==
* [[724年]]（神亀元年） - 創建。陸奥国府が[[郡山遺跡]]（現在の[[仙台市]][[太白区]]）より北進移転。なお、文献上の出現は『[[日本後紀]]』の[[839年]]（承和6年）の記事である。
* [[762年]]（天平宝字6年） - [[藤原朝狩]]によって修繕されている。
* [[780年]]（宝亀11年） - [[伊治呰麻呂]]の乱で一時焼失した後に再建された事が書かれている。
* [[802年]]（延暦21年） - [[坂上田村麻呂]]が蝦夷への討伐を行い、戦線の移動に伴って鎮守府も[[胆沢城]]（[[岩手県]][[奥州市]][[胆沢町|胆沢区]]）へ移されて、[[兵站]]的機能に移ったと考えられる。
* [[869年]]（貞観11年） - 陸奥国で巨大地震（[[貞観地震]]）が起こり、多賀城でも多くの施設が被害を受けた。この後復興していったが[[10世紀]]後半頃には維持、管理されなくなり、多賀城は次第に崩壊していった。
* [[11世紀]]後半の[[前九年の役]]や[[後三年の役]]においても軍事的拠点として機能し、[[1097年]]（承徳元年）にも陸奥国府が焼失している。[[南北朝時代 (日本)|南北朝時代]]には、[[後醍醐天皇]]率いる[[建武の新政|建武政府]]において陸奥守に任じられた[[北畠顕家]]、父の[[北畠親房]]らが義良親王（[[後村上天皇]]）を奉じて多賀城へ赴き、多賀城に東北地方、および北関東を支配する東北地方の新政府、[[陸奥将軍府]]が誕生した。
* 近年では、[[曲水の宴|曲水宴]]遺構が出土し、その編年の再検討も含めて注目されている。現在は特別史跡に指定され、政庁跡や城碑、復元された塀などが残されている。
* [[2006年]]（平成18年）4月6日 - [[日本100名城]]（7番）に選定された。

== アクセス ==
* 鉄道：[[東日本旅客鉄道|JR]][[東北本線]]・[[国府多賀城駅]]より政庁跡まで[[徒歩所要時間|徒歩]]約10分。
* 駐車場（無料）：
** 東門跡北側に約15台分（{{ウィキ座標|38|18|38.29|N|140|59|30.93|E|region:JP-04|位置|name=駐車場}}）
** 政庁跡北東側に舗装約20台分（{{ウィキ座標|38|18|26.38|N|140|59|19.54|E|region:JP-04|位置|name=駐車場}}）
** 政庁跡南側の南北道路階段下に約20台分（{{ウィキ座標|38|18|17.15|N|140|59|17.96|E|region:JP-04|位置|name=駐車場}}）
** 多賀城南門跡および多賀城碑の近くに6台分（{{ウィキ座標|38|18|10.97|N|140|59|16.37|E|region:JP-04|位置|name=駐車場}}）
* 最寄[[インターチェンジ|IC]]：[[三陸自動車道]]・[[利府塩釜インターチェンジ|利府塩釜IC]]、または、三陸自動車道/[[仙台東部道路]]・[[仙台港北インターチェンジ|仙台港北IC]]
**遺跡群の西側にある[[宮城県道35号泉塩釜線]]（[[都市計画道路]]玉川岩切線）と[[三陸自動車道]]との交差部に（仮称）[[多賀城インターチェンジ|多賀城IC]]が設置予定となっている<ref>[http://www.city.tagajo.miyagi.jp/sisei/keikaku/tosimasu/si-ke-tm-4syou.pdf 多賀城市都市計画マスタープラン「第4章 地域別構想」]（多賀城市）</ref><ref>[http://www.city.tagajo.miyagi.jp/sisei/kouhou/taiwa/si-ko-ta-ob1908.html 多賀城インターチェンジ予定地の利用について]（多賀城市）</ref><ref>[http://www.kahoku.co.jp/news/2009/04/20090421t12023.htm 泉塩釜バイパスあす開通　仙台―多賀城の利便性良く]（[[河北新報]] 2009年4月21日）</ref>。

== 周辺 ==
[[東北歴史博物館]]には出土物の多くが収蔵されている。
* [[多賀城碑]]
* [[鹽竈神社]]（[[塩竈市]]）
* [[御釜神社]]（塩竈市）
* [[陸奥総社宮]]
* [[多賀神社　(多賀城市)]]
* [[浮島神社　(多賀城市)]]
* [[多賀城神社]]
* [[多賀城廃寺]]
* 末の松山
* 沖の石
* 野田の玉川
* おもわくの橋
* [[アラハバキ神社]]
* [[加瀬沼公園|杜の都信用金庫「モリリン加瀬沼公園」]]

== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
{{reflist}}
==参考文献==
* 考古学の世界 第1巻北海道・東北 「城柵(p196～p198)」 株式会社ぎょうせい 1993年4月10日発行 ISBN 4-324-03415-X
* 街道の日本史8 仙台・松島と陸前諸街道 吉川弘文館 2004年11月20日発行 ISBN 4-642-06208-4
* 平凡社大百科事典 タイス～ツン 「多賀城(p192～p193)」 平凡社 1985年3月25日発行

== 関連項目 ==
{{Commonscat|Site of Tagajo}} 
* [[日本の城一覧]] / [[日本の特別史跡一覧]] / [[北海道・東北の史跡一覧]] / [[宮城県の観光地]]
* [[東山道]]
* [[靺鞨]]…[[多賀城碑]]にある外国地名として有名である。
* [[大伴駿河麻呂]] / [[大伴家持]]
* [[蝦夷征討]]…蝦夷側の観点も含め、三十八年戦争と呼称する場合もある。
* [[源頼義]] / [[源義家]]
* [[平泉]]
* [[奥大道]] / [[奥州街道]]…中世奥大道および近世奥州街道（の延長である脇往還）は、多賀城自体は通過していない点に注意のこと。
* [[松尾芭蕉]]
* [[おくのほそ道]]

== 外部リンク ==
* [http://tagakan.jp/ 多賀城市観光協会]
* [http://www.thm.pref.miyagi.jp/ 東北歴史博物館]
** [http://www.thm.pref.miyagi.jp/tagajyo/index.html 多賀城史跡めぐり]（多賀城跡解説/周辺敷地図）
* [http://www.thm.pref.miyagi.jp/kenkyusyo/index.html 宮城県多賀城跡調査研究所]
* [http://www.city.tagajo.miyagi.jp/monosiri/bunkazai/maibun/index.html 多賀城市埋蔵文化財調査センター]
* [http://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/index_pc.asp 国指定文化財等データベース]
* {{PDFlink|[http://www.city.sendai.jp/kyouiku/bunkazai/bunkazai/pdf/panhu60~64/no61%20numamukai.pdf 沼向遺跡]}}（仙台市教育委員会） … 多賀城周辺の微地形環境想定図が記載されている。
{{日本100名城}}
{{DEFAULTSORT:たかしよう}}
[[Category:奈良時代]]
[[Category:平安時代]]
[[Category:宮城県の城]]
[[Category:特別史跡]]
[[Category:宮城県にある国指定の史跡]]
[[Category:多賀城市の歴史]]
[[Category:城柵遺跡]]
[[Category:陸奥国]]
[[Category:日本100名城]]
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