四字熟語のソースを表示

{{Otheruses|狭い意味での四字熟語という用語|本来の意味での四字熟語を含め、全般的な内容|熟語|故事成語に由来する四字熟語|故事}}

'''四字熟語'''（よじじゅくご、しじじゅくご{{#tag:ref|「四」は[[助数詞]]と結合する際、「よ」あるいは「よん」と通常訓読みする<ref>NHK放送文化研究所『NHK日本語発音アクセント辞典 新版』日本放送出版協会、1998年。</ref>。ただし仏典などにおいては「四字」を「しじ」と読む例も存在する<ref>「[http://www.ogaki-tv.ne.jp/~enshoji/houwa/hougo-ohumi5.html 蓮如・御文五帖目]」真宗大谷派圓勝寺、2012年10月27日閲覧。</ref>。|group="註"}}）とは、[[日本]]において[[漢字]]4文字で作られた[[熟語]]を指す[[用語]]。学術的な用語ではなく、4字の熟語や[[成語]]を指す概念として自然発生的に現れた比較的新しい用語である。最広義には漢字4字で構成される[[言葉]]の全てを指すものとして解釈できるが、最近では、より狭い範囲をもって四字熟語とすることも一般的であり、しかもその[[定義]]は人によって一定でない。本項目では、この狭義の四字熟語について解説する。

[[ファイル:西郷南洲翁之書.gif|thumbnail|320px|right|'''四字熟語の一例'''<br />[[:wikt:敬天愛人|敬天愛人]]（けいてんあいじん） - 「天を敬い人を愛する」という意味。画像は[[西郷隆盛]]の書。]]
<!--[[ファイル:春夏秋冬.jpg|thumbnail|110px|right|[[春夏秋冬]]]]冒頭節に置くには若干特筆性が低いかと。-->

'''四字漢語'''<ref name="高島2009.p.18">[[#高島2009|高島(2009)]], p.18</ref>、'''四字成語'''<ref name="高島2009.p.15">[[#高島2009|高島(2009)]], p.15</ref>、'''四文字熟語'''（よんもじじゅくご）とも呼ばれる。<!--数え方は「…条（條）」である<ref name="高島2009.p.15" />。-->

== 概要 ==
漢字4文字で構成される言葉は、ほぼ無数と言えるほど膨大に存在する<ref name="高島2009.p.17">[[#高島2009|高島(2009)]], p.17</ref>。このうち、より狭い範囲で「四字熟語」と総称される言葉は、一般に[[慣用句]]的に用いられる言葉であると認識される<ref name="高島2009.p.14,p.38">[[#高島2009|高島(2009)]], p.14,p.38</ref>。慣用句とは、複数の語が堅固に結びついた特定の言い回しのことである。例えば「[[武蔵坊弁慶#弁慶の泣きどころ|弁慶の泣きどころ]]」という慣用句は「弁慶」＋「泣きどころ」という構成成分に分けて考えても、それが[[向こう脛]]を意味する言い回しであることを類推することは難しい。また「弁慶の急所」とか「豪傑の泣き所」などと同義の他の語の組み合わせを考えても、向こう脛という言い回しにはならない。[[言語学]]においては、このように語と語の結びつきの強さを「熟合度」（idiomaticity）と呼ぶ。「[[四面楚歌]]」や「波瀾万丈」などは、四字熟語として広く認識されているが、これらも高い熟合度をもつ慣用句の1種とみなすことができ、4字が強く結びついて1つの意味になっている<ref group="註">四字熟語は、1つの単語であるという意識が強いので、「慣用語」と呼ぶ立場もある。「[[句]]」は、複数の語から形成される文章上の単位である。</ref>。逆に、例えば「[[株式会社]]」のような語が四字熟語として認識されにくいのは、この語の「株式」＋「会社」という成分が強く意識され、熟合度が低い[[複合語]]に過ぎないと認識されるからである{{#tag:ref|この立場をとる国語辞典に『小学館日本語新辞典』がある。同辞典によると「経済」や「政策」は[[熟語 (漢字)|熟語]]であり、「[[経済政策]]」は、複合語ないし[[合成語]]であるという<ref>【熟語】『小学館日本語新辞典』 松井栄一、小学館、2004年11月</ref>。|group="註"}}。しかし、結局のところ、これらは人々がどう認識するかに依存してくるものなので、四字熟語を明確に定義することは大変困難である（[[#四字熟語の範囲]]を参照）。

このような狭い意味での「四字熟語」という用語が用いられるようになったのは、1985年以降であるという（[[#四字熟語の歴史]]を参照）。同様の概念を中国語圏では'''[[#成語|成語]]'''（せいご、{{ピン音|chéng yǔ}}）と呼び、ごく少数の例外を除き、4字で構成される（[[#中国語圏における成語との比較]]を参照）。

ある物事に対し、それに関連する[[故事]]や[[仏典]]などに由来する四字熟語を用いた場合は、文字数に比べて情報量が多く、共通知識のある者同士では意志伝達の助けとなったり、表現の幅を広げることができる。また、[[日本漢字能力検定]]の5級から1級までの出題範囲にも四字熟語は含まれているように、適切に使用することが、一つの[[教養]]であるとみなされ、中学、高校の国語の入試問題あるいは有名企業の入社試験で出題されたり、[[漢字パズル]]として利用されることがある。さらに、[[#創作四字熟語|創作四字熟語]]のように新たに四字熟語を創作する例もある（[[#四字熟語の現状]]を参照）。

人によって、知っている四字熟語の量には開きがあり、日常見かけない四字熟語を多用することには批判もある。また、そもそも「四字熟語」という区分を用いて特別視する現状に懐疑的な見方もある（[[#批判]]を参照）。

== 四字熟語の範囲 ==
[[ファイル:Flag of Furinkazan.svg|thumbnail|120px|right|[[武田信玄]]の旗指物（[[軍旗]]）。この「疾如風 徐如林 侵掠如火 不動如山」というフレーズは、後に「[[風林火山]]」という有名な四字熟語として慣用されるようになった。]]

[[小学校]]や[[中学校]]など[[初等教育]]において、「[[熟語 (漢字)|熟語]]」と言えば、複数の漢字が結合して1つの語となっているものと教えられることが多い{{#tag:ref|例えば『ベネッセ表現・読解国語辞典』の「熟語」の項目には、第一義として「二字以上の漢字を結合して一語の漢語としたもの」と定義されている<ref>沖森 卓也、中村 幸弘『ベネッセ表現・読解国語辞典』ベネッセコーポレーション、2003年5月</ref>。和語に関しても「月日（つきひ）」のように複数の漢字で表記されるものは熟語として扱われることが多い<ref>『類語大辞典』講談社、2002年11月。</ref>。|group="註"}}。この解釈に従えば、4つの漢字が連結した語は全て四字熟語である。これは、四字熟語という語における最も広い意味とされ、二字熟語、三字熟語、五字熟語などは、これと同様に広い意味で定義されることが多い。一方で「熟語」という語は「[[ことわざ]]や[[慣用句]]として用いられる表現」という意味もしばしば同時に含蓄する{{#tag:ref|この「ことわざや慣用句」といった意味を排除するため、「[[漢字語|四字漢字語]]」などという表現が用いられることもあるという<ref name="岩波書店辞典編集部2007.p.106">[[#岩波書店辞典編集部2007|岩波書店辞典編集部(2007)]], p.106</ref>。|group="註"}}。特に「四字熟語」と聞いて想起される漢字の結合の範囲は、狭いものであることが多い。漢字の結合のうち、四字のものは特別の意味をもつ語が多く、現状で特別視されることが多いからである（[[#成語]]を参照）。「広い意味での『四字の熟語』と、狭い意味での『四字熟語』は異なる概念である」という主張がなされることさえある<ref name="高島2009.p.17" />。この「狭義の四字熟語」をどう定義するべきかがしばしば問題となる。

漢字4文字で構成される、広い意味での四字の熟語は、無数に挙げることができる。このうち「[[高速道路]]」「[[介護保険]]」「[[内閣改造]]」「[[児童虐待]]」など、現代の事象に関する語の多くは、熟語の構成成分を見ただけで、その意味を把握することができるという性質がある。この性質を[[言語学]]的には、「熟合度（idiomaticity）が低い」と言う（[[イディオム]]を参照）。このような性質をもつ語は、[[慣用句]]という意味での四字熟語から除外できるという<ref name="高島2009.p.17" /><ref name="別役2005.p.11">[[#別役2005|別役(2005)]], p.11</ref>。ただ、「現代における語」で熟合度が比較的高い語、すなわち「一見して意味を把握しにくい」という語も「[[学級崩壊|教室崩壊]]」{{#tag:ref|字面からは「教室の建物が崩れ落ちる」などと誤解されかねないという<ref name="taka-gokai">高島 pp.17-18</ref>。|group="註"}}や「[[援助交際]]」{{#tag:ref|字面からは「中国に[[ODA]]を援助して外交に臨む」などと誤解されかねないという<ref name="taka-gokai"/>。|group="註"}}などのようにやはり無数に存在するという。このような議論はかなり古くからなされていたらしく、1941年に[[技術院]]が設置について審議された際、当局は「『科学技術』は一熟語であり、『科学』、『技術』の単なる並列ではない」と回答したという<ref>「多田禮吉「『科学技術』は一熟語」朝日新聞1942年2月13日付朝刊。4頁。」</ref>。

現代の事象に関する語を排除して、[[故事]]や[[仏典]]に基づく慣用句のみを狭義の四字熟語と呼ぶと結論付けることもできる。しかし、この場合、四字の故事成語という意味で「四字成語」と言った方が実態をよく反映している<ref name="高島2009.p.16">[[#高島2009|高島(2009)]], p.16</ref>。また、「[[一期一会]]」「[[風林火山]]」のように[[和製漢語|和製]]のもの<ref name="高島2009.p.18" />や、「[[一石二鳥]]」のように明確な典拠を見出せないもの{{#tag:ref|17世紀ごろの[[イギリス]]の諺の “To kill two birds with one stone.” の翻訳であるというが、訳者ははっきりしない<ref name="岩波書店辞典編集部2007.p.112">[[#岩波書店辞典編集部2007|岩波書店辞典編集部(2007)]], p.112</ref>。|group="註"}}も、慣用されている四字熟語であると広く認識されているので、かなり限定的な範囲しかカバーすることができない。

[[道路標識]]にみられる「一時停止」という語のような例もある。これは、本来ならば現代における[[道路|道路交通]]に関する用語であるが、「彼は一時停止のきかない人間だ」などと慣用句的に用いることもあるという<ref name="別役2005.p.10">[[#別役2005|別役(2005)]], p.10</ref>。ところで、ある学生に「（　）肉（　）食」の空欄を補って四字熟語を完成させる問題を出題したところ「焼肉定食」と答えたという[[笑話|小噺]]がある。もちろん想定される正解は「弱肉強食」であり、多くの日本人が「焼肉定食」を狭義の四字熟語であると認識していない以上、常識的に考えればこれは正解とはみなされないであろう<ref name="hayasaka">{{Cite web|author=[[早坂ノゾミ]]|date=2007-03-22|url=http://www.iwanami.co.jp/hensyu/sin/sin_kkn/kkn0704/sin_k352.html|title=新刊の紹介 - 四字熟語ひとくち話|publisher=岩波書店|accessdate=2010-02-28}}</ref><ref name="岩波書店辞典編集部2007.p.109">[[#岩波書店辞典編集部2007|岩波書店辞典編集部(2007)]], p.109</ref>。しかし、前述の「一時停止」の例のような慣用句的用法が存在しないと断言できないので{{#tag:ref|劇作家の[[別役実]]は半ば冗談でこのように言っているが、例えば「弱肉強食の世界にほとんど無関係である」という意味で使われる例を実際に挙げることができる<ref>{{Cite journal|和書|author=[[猪瀬武則]]|year=2008|month=3|title=経済教育は「在り方生き方」に答えることが出来るか?―NCEE教材『経済学の倫理的基礎付けの教授』の場合―|journal=弘前大学教育学部紀要|issue=99|pages=p.33|url=http://repository.ul.hirosaki-u.ac.jp/dspace/bitstream/10129/280/4/AN00211590_99_33.pdf|format=PDF|accessdate=2010-02-10|quote=新古典派経済学をベースとした「市場原理主義」「市場万能」の教育内容が、「弱肉強食」の「血も涙もない」人格を育成するという認定である。〔中略〕もちろん、これもまた極端なまとめ方かもしれない。生徒にとって経済教育の「意味するところ」は、「焼肉定食」程度の意味しか持たないかもしれないし、〔後略〕}}</ref>。|group="註"}}、これを不正解とする確固たる理由を挙げるのは難しい。（「焼肉定食」については、[[焼肉定食 (熟語)]]も参照）。これら「一時停止」「焼肉定食」などの事例に関して劇作家の[[別役実]]によると、「四字熟語というものは、もっと古風で、いかめしさを感じさせるものである」などと言って、四字熟語であるか否かを感覚的に判断する者は、少なくないという<ref name="別役2005.p.11" />。

このように四字熟語を思いつく限り挙げていくときりがない。しかし、書籍に掲載できる数には限界があり<!--高島 p.25によると「数千程度」とのことだが、個人的主観である-->、採用する四字熟語の選定基準が必要になる。多くの四字熟語辞典は、四字熟語を種別に分類し、これを採用基準にしているという。四字熟語の定義のかわりに、辞典の収録範囲のみに言及しているのは、四字熟語辞典でさえも四字熟語のはっきりとした定義を決定することが困難であることを物語っている<ref name="高島2009.p.19">[[#高島2009|高島(2009)]], p.19</ref>。

例えば現状で収録数が最も多いとされる『新明解四字熟語辞典』（三省堂 1998年）は、凡例で以下のように6分類している<ref name="高島2009.p.19" /><ref>また『新明解四字熟語辞典』の凡例はウェブ上で参照できる（[http://dictionary.sanseido-publ.co.jp/dicts/ja/newm_4i/subPage2.html 凡例]）。</ref>。
# [[現代社会]] - [[官官接待]]、[[総量規制]]など
# 日本の[[慣用句|成句]] - 手前味噌、手練手管など（「てまえみそ」「てれんてくだ」のように音読みしないものが多い）
# [[漢籍|中国典籍]] - [[臥薪嘗胆]]、櫛風沐雨など
# [[仏教用語一覧|仏教語]] - 色即是空、[[四苦八苦]]など
# 「之」入り - 背水之陣、一炊之夢など（通常は「背水の陣」「一炊の夢」と表記する）
# [[漢文訓読|訓読語]] - 灯火可親、先従隗始など（通常は「灯火親しむべし」「先づ隗より始めよ」と訓読される）

ただ、現代社会の範疇に属する四字熟語を採用していると謳っているにもかかわらず、「[[駅弁大学]]」「[[昭和#講和後～昭和後期|昭和元禄]]」といったこの種の語がほとんど掲載されていないという批判がある<ref name="高島2009.p.19" />。

この分類を他の辞典にあてはめると、現代語や[[和語]]を含むものをまず除外し、之入り、訓読語に属するものは、四字熟語とみなすかどうかを峻別しないものが多いという<ref name="高島2009.p.19,p.23">[[#高島2009|高島(2009)]], p.19, p.23</ref>。

また、『岩波四字熟語辞典』（岩波書店 2002年）では、前書きの中で「質実剛健」といった2字の熟語を2つ（「質実」と「剛健」）を組み合わせただけのものや、「[[つづら折れ|九十九折]]（つづらおり）」のような和語をもとにしたものは正確には四字熟語とみなさないと明記している。しかし、それにもかかわらず、これらの語も収録しているという自己矛盾がある<ref name="高島2009.pp.25 f">[[#高島2009|高島(2009)]], pp.25 f</ref>。このほかにも同書には、「天手古舞（てんてこまい）」「我武者羅（がむしゃら）」といった[[当て字]]に類するものや「[[試行錯誤]]（trial and error）」「[[門戸開放政策|門戸開放]]（Open-door policy）」と[[英語]]に由来するものなど、突飛な語が多く収録されている<ref name="高島2009.pp.26 f">[[#高島2009|高島(2009)]], pp.26 f</ref>。もちろん前述のように、これらに類する言葉は無数に存在し、全てを網羅するのは不可能であるので、収録語に偏りが生じているという[[#批判|批判]]もあった。この批判に対して、同辞典の編集部が後年著した『四字熟語ひとくち話』（岩波書店 2007年）によると、どの語にもそれぞれにいくばくかの根拠があり、どこまでが四字熟語であるか「侃々諤々の論争」 が予想されたので、編集者が興味深いと判断した語を厳選し、漢字が4つ並んでさえいれば全て四字熟語と認めるという方針で辞典を執筆したという<ref name="hayasaka"/>。この方針でいくと、「四字熟語」という語自体さえも四字熟語であるとみなせることになる<ref name="岩波書店辞典編集部2007.p.109" />。

中国文学者の[[高島俊男]]は、これらの事例を忖度し、狭義の四字熟語であると一般に認識される言葉には、以下の共通点があると指摘している<ref name="高島2009.p.18" />。
* 昔から日本人が使ってきた
* すべて音読み
* 漢製和製ともに含む

さらに[[#創作四字熟語|創作四字熟語]]まで広げれば、「離妻苦留（[[リサイクル]]）」<ref group="註">「心が離れ苦しいが、いろいろな事情で留まっている」という意味。「[[リサイクル]]」とかけた駄洒落。住友生命の1990年の優秀作品。</ref>のような英語に対する当て字や「撤湾跡夢（[[鉄腕アトム|てつわんあとむ]]）」{{#tag:ref|「[[湾岸戦争]]終結後の、[[ジョージ・H・W・ブッシュ|ブッシュ]]大統領の人気は夢の跡の空しさ」という意味。[[手塚治虫]]の「[[鉄腕アトム]]」から。住友生命の1991年の優秀作品<ref name="asahi911226">「創作四字熟語」天声人語『朝日新聞』1991年12月26日付朝刊、1頁</ref>。|group="註"}}のような[[駄洒落]]、「紙面ソ禍（しめんそか）」{{#tag:ref|「[[ソビエト連邦|ソ連]]の激動は連日新聞紙面を埋めた」という意味。「四面楚歌」とかけた駄洒落。住友生命の1991年の優秀作品<ref name="asahi911226"/>。|group="註"}}「長3慕思（ちょうさんぼし）」{{#tag:ref|「[[読売ジャイアンツ]]の監督を辞任した[[長嶋茂雄]]を慕い思う」という意味。「朝三暮四」とかけた駄洒落。なお長嶋茂雄の[[野球の背番号|背番号]]は3である。住友生命の2001年の優秀作品<ref name="asahi011214">「創作四字熟語で1年を振り返る」天声人語『朝日新聞』2001年12月14日付朝刊、1頁</ref>。|group="註"}}のように漢字以外を含むもの、「打打打打（[[いてまえ打線|いてまえだせん]]）」{{#tag:ref|「リーグ優勝した[[大阪近鉄バファローズ]]の[[打線]]」という意味。住友生命の2001年の作品<ref name="asahi011214"/>。|group="註"}}「様様様様（[[ペ・ヨンジュン|よんさま]]）」{{#tag:ref|「様」という字を4（よん）個並べることで、韓国の俳優[[ペ・ヨンジュン]]を表現している。住友生命の2004年の最優秀作品<ref>{{cite news|title=『創作四字熟語』で回顧|author=天声人語|newspaper=[[朝日新聞]]|publisher=朝日新聞社|date=2004-12-10|page=1}}</ref>。|group="註"}}のような[[ジョーク]]など、珍奇なものも多い。

== 四字熟語の歴史 ==
本来「四字熟語」といえば、漢字4字が並ぶ語の全てを指すものとして差し支えなかった。狭い意味での「四字熟語」という用語が定着したのは、元[[ジャーナリスト]]の[[真藤健志郎]]の著、『「四字熟語」の辞典-活用引用自由自在』（[[日本実業出版社]]、1985年）以降であるという<ref name="高島2009.p.13">[[#高島2009|高島(2009)]], p.13</ref>。[[実業家]]の[[稲葉通雄]]は同書が書店で平積みされているのを見て「四字の活字から成る『読む辞典』が静かに売れている」と評した。稲葉によると、当時の書店には故事熟語辞典、ことわざ辞典、蘊蓄字典などが並んでいたが、「四字熟語辞典」と称する書籍はこれ以外に見当たらなかったという<ref>稲葉通雄「出版流通の感覚的解釈」『ぶっくれっと』三省堂1985年10月。稲葉通雄『本、それはいのちあるもの』影書房、1985年11月、80-86頁に収録。
</ref>。
もちろんこの著以前でも「四字熟語」という語の用例は見つけることができる<ref>「おじんも愛きょう――若者ぶっちゃって、居直れば素敵」男と女の家庭論(38)『日本経済新聞』1982年6月17日付夕刊、13頁。“子供をしかるのに、「若いころは」が枕詞（まくらことば）になり、根性論を持ち出す。日常会話の中に、ことわざや四字熟語がひんぱんに登場、最初はその気がなかったのに、いつのまにか教訓めいてくる。”</ref>が、これが特に決まった呼び方ではなく、人それぞれに「故事成語」や「故事熟語」あるいは単に「成語」や「成句」などと呼んでいたらしい<ref name="高島2009.p.14">[[#高島2009|高島(2009)]], p.14</ref>。真藤は著書を「四字熟語」と[[括弧#鉤括弧|カギカッコ]]付きで表記し、これが暫定的に命名した用語であることを強調していた。しかし、現在ではこの用語はすっかり定着し、四字熟語を紹介する本が数多く出版されている。

この現状を中国文学者の[[高島俊男]]は自身の[[エッセイ]]の中で次のように表現している<ref name="高島2009.p.13" />。

<blockquote>この命名がうまかったのか、ネコもシャクシも、[[岩波書店|岩波サン]]も[[三省堂|三省堂サン]]もみんなまねをして、いまや『四字熟語ナニナニ』の洪水だ。〔中略〕「四字熟語」というコトバは日本語として天下公認、というあつかいである。</blockquote>

四字熟語という用語がその概念を含め、一般に流布していった明確な要因は定かではない。パズルファンが四字熟語に注目し、それがブームになり定着したという見解<ref name="高島2009.p.22">[[#高島2009|高島(2009)]], p.22</ref>や、何かの拍子に[[中学入試]]に四字熟語が出題されはじめ、受験業界において一定の需要ができたからという見解<ref name="高島2009.p.23">[[#高島2009|高島(2009)]], p.23</ref>もある。いずれにせよ、四字熟語に対する需要が四字熟語に関する本を産み、それによって四字熟語に興味をもつ人々がますます増え、雪だるま式に四字熟語が普及していったのだと高島は推測している<ref name="高島2009.pp.23 f">[[#高島2009|高島(2009)]], pp.23 f</ref>。また、高島は、1990年代以降、特定の著名人が好んで四字熟語を用いていることも、その後、四字熟語が注目を集める一因となったのだろうと指摘している{{#tag:ref|例えば、[[貴乃花光司]]が「不惜身命」という言葉を用いている姿が滑稽で印象的であったとしている<ref name="高島2009.p.16">[[#高島2009|高島(2009)]], p.16</ref>。わざわざ難しい四字熟語を引用したことに関して「評判はいまいち」と毎日新聞にも取り上げられている<ref>「誤読と言葉遣い」毎日新聞、1995年1月9日付朝刊、1頁。
</ref>。|group="註"}}。1998年の時点で[[毎日新聞]]では「最近、なぜか関心が高まっている四字熟語」と評されている<ref name="mai_san">「情報『新明解四字熟語辞典』 - 三省堂」毎日新聞、1998年2月22日付朝刊、10頁。</ref>。

暫定的な[[新語]]に過ぎなかった四字熟語という用語を[[国語辞典]]として収録するようになった事例として『集英社国語辞典（初版）』（[[集英社]] 1993年）、『[[大辞林]]（第二版）』（[[三省堂]] 1995年）が挙げられる<ref name="高島2009.p.18" />。日本語として定着した用語のみを収録の方針とする『[[広辞苑]]』では、第五版（1998年）まで四字熟語の項目はなかったが、第六版（2008年）には「漢字四字で構成される[[慣用句|成句]]や[[熟語 (漢字)|熟語]]」という定義で項目が新設されている。

== 四字熟語の現状 ==
=== 四字熟語の利用 ===
[[ファイル:「春夏秋冬」と「季節」.gif|thumb|right|150px|「春夏秋冬」と「季節」はほぼ同義の語であるが、漢字4字で構成される前者の方が力強い印象を受ける。]]

本来、四字熟語（中国語では[[#成語|成語]]）は、[[漢民族]]独特の表現体系であった。しかし、慣用句（慣用語）として、古来から日本語の言語文化にも広く浸透し、軽視できぬ存在意義を示しているという。ときに、四字熟語は、力強い印象を持たせることができるため、文章の表題などとしてよく引用される。また、同じ意味の言葉でも、漢字四字で構成される語の方が好まれる例もある。例えば、「[[地方自治体|広域地方自治体]]」よりも「[[都道府県]]」という表現の方が好まれているが、この理由として、この語がもつ四字熟語性が挙げられるという<ref name="奥平＆和田1991.p.206">[[#奥平＆和田1991|奥平＆和田(1991)]], p.206</ref>。

1990年代以降の[[日本語#日本語ブーム|日本語ブーム]]の状況下で、四字熟語を勉強する若者が増えているという。四字熟語には、歴史や教訓の膨大な累積がたった4文字に圧縮されていると認識されているからである。ある大学生によると四字熟語などの聞きなれない言い回しに「知性を感じる」という<ref name="aera">佐藤栄邦「漢字で差つける若者たちの教養 コンビニで漢字検定を申し込む時代」『AERA』1999年6月28日、62頁、朝日新聞出版</ref>。また、意味の分かりにくい[[日本語#外来語の勢力拡大|外来語の勢力が拡大]]していく中で、由緒ある漢語を適切に用いることが、世代間のギャップを埋めるだろうと考える者もいるという<ref name="aera"/>。

一方で、大学生の[[学力低下]]を指摘するために常識とされる四字熟語が用いられた例もある。週刊誌の調査班が[[東京六大学]]に通う大学生に抜き打ちで国語・社会・数学の合計10問の問題を解かせるというものであり、そのうち2問が四字熟語の問題であった。その結果によると「暖衣飽食」を答えさせる問題の正答率が6.7%、「付和雷同」を答えさせる問題の正答率が58.3%であったという<ref>{{Cite journal|和書|author=金子哲士ら|date=2008-05-09|title=「原爆の日」を知ってる学生は半数以下! 週刊朝日独自!東京六大学“おバカ”度調査|journal=週刊朝日|issue=2008年5月9日号|page=42|publisher=朝日新聞出版}}</ref>。評論家の[[大隈秀夫]]によると、最近の若者の文章には四字熟語が数多く用いられるが一方で、誤字が散見され、間違った意味で使われることも少なからずあるという<ref name="ookuma">大隈秀夫『分かりやすい日本語の書き方』講談社、2003年。84-91頁。</ref>。

[[国語教育]]においては語彙力を問う目的で四字熟語が試験などにおいて問われやすい。常識的な四字熟語を試験に採用すれば、故事の知識や漢字の読み書き能力をみる問題の作成が容易になり、さらに次回試験に向けてのプールも行いやすくなることから、中学入試や漢字検定においては、四字熟語の対策が必修とされる<ref name="高島2009.p.23">[[#高島2009|高島(2009)]], p.23</ref>。また、大学入試においても、四字熟語は現代文や小論文の試験問題を解く上で重要な知識の一つに挙げられると、日本語評論家で元予備校講師の[[田村秀行]]の指摘している{{#tag:ref|大学入試で重要になる国語の知識として、第一に[[対義語]]の知識を挙げ、[[同音異義語]]、[[類義語]]とともに四字熟語の知識がこれに次ぐものとしている<ref>{{Cite book|和書|author=田村秀行|authorlink=田村秀行|year=1993|month=7|title=書き込み式 田村の現代文重要語解説|publisher=桐原書店|pages=3-6}}</ref>。|group="註"}}。さらにある参考書によれば、より専門的な知識が問われる教員採用試験においても、四字熟語についての試験対策が必要であるとしており、「月下氷人」といったあまり見慣れない語の知識もしばしば要求されるという<ref>{{Cite book|和書|author=内外教育研究会|year=2000|month=11|title=中高国語の頻出問題|series=教員採用試験V精解シリーズ 4|publisher=時事通信社|isbn=4-7887-0401-3|page=216}}</ref>。

とりわけ「厚顔無恥」（誤答例「厚顔無知」）、「意味深長」（誤答例「意味慎重」）、「五里霧中」（誤答例「五里夢中」）など勘違いしやすい四字熟語は、各種試験において頻出であるという<ref name="岩波書店辞典編集部2007.p.8">[[#岩波書店辞典編集部2007|岩波書店辞典編集部(2007)]], p.8</ref>。この種の語は、コンピュータに入力する際にも、誤入力することは多く、[[日本語入力システム]]の[[ATOK]]には2009年のバージョンから、誤った四字熟語を自動的に指摘する機能が追加されている<ref>{{cite news|title=2009年版ATOKは「感動変換」、英文の入力支援機能など追加|author=鷹木創|newspaper=誠 Biz.ID|publisher=ITmedia|date=2008-12-09|url=http://bizmakoto.jp/bizid/articles/0812/09/news106.html|accessdate=2012-04-14}}</ref><ref>{{cite news|title=英語入力がすごく楽に! ATOK 2009 for Mac発表|author=広田稔|newspaper=ASCII.jp|publisher=ASCII MEDIA WORKS|date=2009-06-02|url=http://ascii.jp/elem/000/000/423/423995/|accessdate=2012-04-14}}</ref>。1964年公開の映画『[[007 ロシアより愛をこめて#タイトル|007 危機一発]]』を発端として「危機一発」の誤字が定着してしまった例もある（本来の表記は「危機一髪」である）<ref name="岩波書店辞典編集部2007.p.7">[[#岩波書店辞典編集部2007|岩波書店辞典編集部(2007)]], p.7</ref>。

四字熟語に親しむ世代には、低年齢の児童や幼児も含まれ、四字熟語をテーマとする玩具も存在する。ある玩具店には、四字熟語が印刷された[[トイレットペーパー]]さえ置いてあるという<ref>{{cite news|title=パーティーグッズ　年代ごとに豊富な品種|newspaper=朝日新聞（夕刊）|publisher=朝日新聞社|date=1990-12-01|page=13}}</ref>。

非漢字圏の外国人でも四字熟語に興味をもつ者もいる。例えば、ハンガリー出身の数学者である[[ピーター・フランクル]]は、「乾坤一擲」「駑馬十駕」など難解な四字熟語を愛好しており、「漢字は確かに複雑だが、複雑なほど人間にとっては恵みになっている」のように評価している<ref name="aera"/>。

[[漫画]]や[[アニメ]]といった題材の中で四字熟語が[[モチーフ]]となる例もある。特に2004年頃から無生物やその他さまざまな概念をキャラクター化した、いわゆる「[[萌え擬人化]]」が一つのジャンルとして一定の地位を獲得してからは<ref>{{cite news|title=漫画・アニメに擬人化ブーム　物の形残さず、性格で表現|newspaper=asahi.com|publisher=朝日新聞社|date=2010-10-03|url=http://www.asahi.com/showbiz/manga/OSK201009290183.html|accessdate=2012-04-14|archiveurl=http://web.archive.org/web/20101006101450/http://www.asahi.com/national/update/0930/OSK201009290183.html|archivedate=2010-10-06}}</ref>、四字熟語でさえも擬人化の対象とした『[[4じてん。]]』（[[角川書店]] 2010年～）のような作品も出てきた<ref>{{Cite web|author=[[宇野智浩]]|date=2010-05-11|url=http://cg.air-nifty.com/blog/2010/05/post-abff.html|title=卒業生の漫画連載開始!―月刊ニュータイプに平尾くん進出!|publisher=大阪デザイナー専門学校コンピュータグラフィックス学科 宇野先生の日記|accessdate=2011-07-23}}</ref><ref>{{Cite web|date=2010-05-13|url=http://www.comptiq.com/top_news/10_05/13_yojiten.html|title=月刊Newtypeで連載中の4コマ漫画『4じてん。』とHotmailがコラボ|publisher=角川書店 コンプティーク編集部|accessdate=2012-10-30}}</ref><ref>{{Cite web|date=2012-10-06|url=http://blog.livedoor.jp/geek/archives/51363558.html|title=4じてん。　「四字熟語の意味がそのままキャラの持ち味なった、斬新奇抜な作品」|publisher=アキバBlog（秋葉原ブログ）|accessdate=2012-10-30}}</ref>。

また、ある物事を表現するのに、四字熟語を挙げさせるというケースもある。あるメーカーがコーヒーを愛飲する男女に「コーヒーを連想させる四字熟語」を尋ね たところ、男性は「閑話休題」「悠々自適」などを挙げ、女性は「悠々自適」「気分転換」などを挙げることが多かったという<ref>{{cite news|title=「コーヒーの印象は「悠々自適」など」PickUp|newspaper=日経流通新聞|publisher=日本経済新聞社|date=1996-10-03|page=19}}</ref>。

=== 漢字パズル ===
{{Main|漢字パズル}}

新聞などに連載している漢字パズルは、専門雑誌が存在するほど人気であり、近年では四字熟語に関する問題も作られている。例えば、<!--教育番組「[[世界一受けたい授業]]」に複数回出演している<ref> {{cite episode|title=漢字で脳を活性化!ザ・ブレインワード|url=http://www.ntv.co.jp/sekaju/class/080308/01.html|series=世界一受けたい授業|serieslink=世界一受けたい授業|credits|network=日本テレビ|airdate=2008-03-08}}<br/>{{cite episode|title=漢字で脳を活性化!ザ・ブレインワード|url=http://www.ntv.co.jp/sekaju/class/080621/01.html|series=世界一受けたい授業|credits|network=日本テレビ|airdate=2008-06-21}}<br/>{{cite episode|title=漢字で脳を活性化!ザ・ブレインワード|url=http://www.ntv.co.jp/sekaju/class/081122/03.html|series=世界一受けたい授業|credits|network=日本テレビ|airdate=2008-11-22}}<br/>{{cite episode|title=見たことあるのに分からない 漢字で脳を活性化!ザ・ブレインワード|url=http://www.ntv.co.jp/sekaju/class/090221/02.html|series=世界一受けたい授業|credits|network=日本テレビ|airdate=2009-02-21}}</ref>-->東北芸術工科大学名誉教授の[[馬場雄二]]は、1970年代から現在にかけて漢字パズルを製作するパズル作家としても有名で、四字熟語に関する書籍や玩具も製作している<ref>{{cite news|title=「楽しく覚える四字熟語、奥野かるた店」新製品|newspaper=日経MJ|publisher=日本経済新聞社|date=2005-04-29|page=12}}</ref>。このうち「四字熟語合わせ」（奥野かるた店、2001年）は、馬場の作品の中でもベストセラーの1つであるという<ref>{{Cite web|author=馬場雄二|date=2005-3-27|url=http://www.ca-inc.co.jp/kanji/news/index.html|title=漢字遊びニュース|language=日本語|accessdate=2010-01-28}}</ref>。

漢字パズルファンの中には四字熟語を蒐集する者も存在し、「青森県警」「青森県内」といったものも含め、「青」ではじまる四字熟語だけで30条に達するリストを作成した者もいるという<ref name="高島2009.p.23" />。このような需要に応じる形で、2009年には、『漢字パズル辞典』（学習研究社、2009年）が刊行されている。同書は、ある漢字を[[漢和辞典]]の要領で調べると、その漢字を用いた熟語を一度に挙げることができるという<ref>{{Cite web|author=[[東田大志]]|date=2010-02-03|url=http://blog.goo.ne.jp/handbill-puzzle/e/84bc8c68fcc571012781c01bf938a151|title=『漢字パズル辞典』感想|publisher=ビラがパズルの人（東田大志）オフィシャルブログ|accessdate=2012-04-14}}</ref><!--信頼できる情報源であるか微妙なところですが、東田氏は漢字パズルの著書もある専門家ということで、出典として挙げておきます-->。

四字熟語の漢字パズルが人気なのは、ことばが根源的に持っている楽しさの要素が、四字熟語の中に見出されるからであるという<ref name="岩波書店辞典編集部2007.（はじめに）ii">[[#岩波書店辞典編集部2007|岩波書店辞典編集部(2007)]], （はじめに）ii</ref>。

=== 創作四字熟語 ===
{{Main|創作四字熟語}}

有名な四字熟語を引用することで、既存の思想を簡潔に表現することができる一方で、時代や世相を言い当てる新造の四字熟語が1980年代後半以降、次々と生まれている。これは、種々の物事をわずか漢字4字で表現することに魅力を感じるからだという<ref name="hayasaka"/>。例えば、1987年当時秩父セメント（現[[太平洋セメント]]）会長だった[[諸井虔]]は「『広興軟超』が必要なのではないか」と言っている。これは、「広く興味を持ち、柔軟な発想で、既存の常識を超越する」という意味らしい<ref>{{cite news|title=今の日本を表現すると…まず四字熟語ありき。|newspaper=日経産業新聞|publisher=日本経済新聞社|date=1987-05-20|page=28}}</ref>。

[[住友生命保険|住友生命]]は、日本における漢字文化を見直すため、1年間の世相を的確に表現した「創作四字熟語」を毎年一般から募集するという企画を1990年から実施している<ref>{{cite news|title=一願危機＝戦争回避のため世界中の人々が祈るような気持ち|author=窓|newspaper=日本経済新聞（朝刊）|publisher=日本経済新聞社|date=1990-12-26|page=35}}</ref>。同企画の審査員で[[歌人]]の[[俵万智]]は、1990年から2009年まで20年間の優秀作品を振り返って、以下のように表現している<ref>『創作四字熟語』で振り返る20年!、1頁</ref>。
<blockquote>あらゆるジャンルのできごとを、こんなに効率よく、一目で振り返れてしまうところに、四字熟語の底力というものを、あらためて感じます。</blockquote>

また、[[日本語#日本語ブーム|日本語ブーム]]の風潮の中、四字熟語の創作をする著名人もいる。[[タレント]]の[[所ジョージ]]は、自由に創作した四字熟語を著書『四字列語』（[[新潮社]]、1999年）で紹介している<ref>{{cite news|title=読みやすい日本語に活気――新しい方法論で読者広がる|author=[[松岡弘城]]|work=ウエーブ|newspaper=日本経済新聞|publisher=日本経済新聞社|date=1999-03-21|page=23}}</ref>。

=== 外国人とのコミュニケーション ===
[[漢字文化圏|漢字文化]]を共有する日本語圏、中国語圏、[[朝鮮語]]圏などの人々の間で、四字熟語を用いてのコミュニケーションが行われることがある。例えば、俳優の[[真田広之]]は、映画『[[PROMISE 無極]]』の撮影の際、[[チェン・カイコー|陳凱歌]]監督からシーンのテーマを四字熟語にして、役である武将の気持ちの説明を受けたという<ref>{{Cite journal|和書|author=[[桑畑優香]]|date=2006-01-02|title=中国でまみえた日韓の2人　チャン・ドンゴン、真田広之 MOVIE・スター|journal=AERA|issue=2006年1月2日号|page=104|publisher=朝日新聞出版}}</ref>。

国際外交について、四字熟語が用いられた例もある。冷え切った日中関係を立て直すため、当時の首相である[[福田康夫]]が訪中したことを、中国のマスコミは「迎春之旅（{{lang|la|yíng chūn zhī lǚ}}）」と表現し、反対に[[国家主席]]の[[胡錦濤]]が訪日したことを「暖春之旅（{{lang|la|nuǎn chūn zhī lǚ}}）」と表現した<ref>{{Cite book|和書|author=岡田実|authorlink=岡田実|year=2008|month=12|title=日中関係とODA―対中ODAをめぐる政治外交史入門―|publisher=日本僑報社|page=186|isbn=978-4-86185-081-3|ref=岡田2008}}</ref>。

また、[[#創作四字熟語|創作四字熟語]]の最優秀作品に「様様様様（よんさま）」という[[大韓民国|韓国]]俳優の[[ペ・ヨンジュン]]にちなむものが選ばれたことは、韓国でも話題になった<ref>{{Cite news|url=http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=58516&servcode=700&sectcode=700|title=「ヨン様」が今年の創作四字熟語に|newspaper=中央日報|date=2008-12-31|accessdate=2004-12-10|language=日本語}}</ref>。反対に、韓国で毎年選定される、1年間の世相を表す四字熟語は、韓国以外のメディアでも取り上げられ、しばしば話題になっている<ref>{{cite news|title=韓国は『密雲不雨』|author=波音|newspaper=日本経済新聞（夕刊）|publisher=日本経済新聞社|date=2006-12-25|page=1}}</ref><ref>{{Cite web|author=畠山栄|date=2009-12-22|url=http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2009&d=1222&f=national_1222_018.shtml|title=日中韓の『今年の漢字』から見る「それぞれの国情と国民感情」|publisher=Searchina|language=日本語|accessdate=2010-01-29}}</ref>。

== 批判 ==
近現代にかけて、日本語の[[言文一致]]が急速に進んでいった中で、四字熟語のみが[[文語]][[文体]]に多用された漢文調の表現を化石的に残しており、時代錯誤な異物感があるという指摘がある。しかし、最近になって「四字熟語辞典」がもてはやされ、本来、古色蒼然であった表現における四字熟語が注目されるようになったのは、それが本来の話し言葉にとって異物、すなわち文語であるという意識が希薄になり、四字熟語の骨ばった字面の手触りと、音韻法則の独自性のみが面白がられるようになったからだと、[[劇作家]]の [[別役実]]は指摘している<ref name="別役2005.pp.12 f">[[#別役2005|別役(2005)]], pp.12 f</ref>。別役によると、情報を正確に伝えるため、言葉が単なる「意味のもつ記号」にされてしまいつつある[[情報化社会]]において、言葉のもつ「意味以外の要素」が逆に注目されはじめているという。別役は、四字熟語の使用頻度が増えているのは、四字熟語のもつ「意味以外の要素」のせいであるとしている<ref name="別役2005.pp.209-212">[[#別役2005|別役(2005)]], pp.209-212</ref>。

中国文学者の[[高島俊男]]は、 難解な四字熟語を高尚で深遠であると盲信する風潮と、それに便乗して次々と四字熟語辞典が出版されていく現状を批判している。表現というものは、何度も目にしているうちに自然と意味と使いどころがわかって、はじめて的確に使うことができるものであり、全然なじみのない語を辞書から探す作業は、あまり程度の高くない者のすることだとしている<ref name="高島2009.p.21">[[#高島2009|高島(2009)]], p.21</ref>。また、編著者を公表していない四字熟語辞典は、公表しているものに比べ、突飛な語を手当たりしだい収録している印象があるという<ref name="高島2009.p.20">[[#高島2009|高島(2009)]], p.20</ref>。

高島は、日本人が常用する四字熟語は、日本語の[[慣用句]]の一部分にすぎず、本来もっと卑近なものであるといい<ref name="高島2009.p.38">[[#高島2009|高島(2009)]], p.38</ref>、四字熟語辞典を次のように評している<ref name="高島2009.p.20">[[#高島2009|高島(2009)]], p.20、[[帯 (出版)|文庫本の帯]]にも同様に紹介されている。</ref>。
<blockquote>そもそも四字熟語辞典というのが、学術的な意義も価値もないものである。〔中略〕ただ、簡単に作れてよく売れるらしいからネコもシャクシも参入してもうけを図る。</blockquote>

このような批判に対し、『岩波四字熟語辞典』（岩波書店 2002年）の編集部は、『四字熟語ひとくち話』（岩波書店 2007年）の中で、「そうかも知れない」と譲歩する一方で、以下のようにも評している<ref name="岩波書店辞典編集部2007.p.106">[[#岩波書店辞典編集部2007|岩波書店辞典編集部(2007)]], p.106</ref>。
<blockquote>世の中は学問だけで成り立っている訳でもないので、学術的に無価値なものが、世間で何かの役に立つことはしばしばある。</blockquote>

同編集部によると、例えば人物を形容するときでも、ストーリー性のある四字熟語を用いれば、人間的な肉付けが可能になるという<ref name="岩波書店辞典編集部2007.p.30">[[#岩波書店辞典編集部2007|岩波書店辞典編集部(2007)]], p.30</ref>。同編集部は、込み入った状況や複雑な気持ちを四字熟語で言い表せたときの快感を味わってほしいといっている<ref name="岩波書店辞典編集部2007.（はじめに）ii">[[#岩波書店辞典編集部2007|岩波書店辞典編集部(2007)]], （はじめに）ii</ref>。しかし、これにも批判的な意見がある。評論家の[[田村秀行]]の指摘によれば、四字熟語のような慣用句にばかり頼っていると、自分で表現を考え、組み立てることをしなくなり、場合に関係なくひとつの言葉で済ませてしまうようになる「思考のパターン化」が起きてしまうという<ref>{{Cite book|和書|author=田村秀行|authorlink=田村秀行|year=2007|month=10|title=日本語力の磨き方 漢検なんか受けるな!|publisher=PHP研究所|pages=22-24|isbn=978-4-569-69652-2|ref=田村2007}}</ref>。


評論家の[[大隈秀夫]]は、難しい四字熟語を頻用するとかえって文章の分かりやすさを損ねるとしている。例えば「一晩じゅう眠れなくて、寝返りばかり打っていた」と書けば済むところを、「輾転反側」のようなあまり一般的でない四字熟語を引用する必要はないとしている。また、「雉兎芻蕘」という難解な語を繰り返し用いた作家を例に挙げ、四字熟語の多用は、衒学的になりがちであり、読者に「嫌み」と受け取られかねないと注意を促している<ref name="ookuma"/>。


== 中国語圏における成語との比較 ==
{{中華圏の事物|タイトル=成語|簡体字=成语|繁体字=成語|ピン音=chéngyǔ}}
=== 成語 ===
中国語圏（[[中華人民共和国|中国]]や[[台湾]]、および[[シンガポール]]など）では四字熟語という用語は用いず、単に'''成語'''（せいご、{{ピン音|chéngyǔ}}）と呼ぶことが多い。成語といえばもっぱら4字で構成されることが大多数であるが、「温良恭倹譲（おんりょうきょうけんじょう、{{ピン音|wēn liáng gōng jiǎn ràng}}）」といった、ごく少数の例外も存在する<ref name="高島2009.p.15" />。このため、4字に特定していう場合、中国語では「四字格成語」と呼ぶ。

漢字は[[表語文字|表語性]]が高い文字であり、原則として1字が1単語を表す。特に古典中国語である[[漢文]]ではこの傾向が強い。また、4字（4語）がひとまとまりになりやすいという性質がみられる<ref name="高島2009.p.34">[[#高島2009|高島(2009)]], p.34</ref>。この例外として「酔眼朦朧（すいがんもうろう、{{ピン音|zuì yǎn méng lóng}}）」のようなものがある。「朦朧」は[[連綿語]]と呼ばれる[[擬態語]]に類するものであり、2字で1語とみなされることが多く、「朦」と「朧」の2字に分けて考えることにあまり意味はない。また、「阿鼻地獄（あびじごく、{{ピン音|ā bí dì yù}}）」のような外国語の語彙を含む例もある。「阿鼻」は、[[サンスクリット語]]の{{lang|la|avīci}}からの音写なので、これも「阿」と「鼻」の2字に分けて考える必要はない。

現在も中国語圏における成語は、日本における四字熟語より早いペースで次々と生まれており、一文字だけ異なるが同じ意味を表すものも多数存在する。歴史的に用例があるものを集めてゆけばその数は膨大となり、実際、日本における四字熟語辞典が最大でも5000項目程度なのに対し、中国語圏の辞典では、『中華成語熟語辞海』（学苑出版、2000年。全4巻）のように全約5万項目の内、4字からなる成語だけで約3万項目を収録するものもある。

中国語圏においても、成語の範囲は一定ではなく、[[諺]]、[[熟語 (漢字)|熟語]]との区別について扱いはさまざまである。例えば、中国国家語言文字工作委員会のプロジェクトとして編纂された『現代漢語諺語規範詞典』は成語を4字からなるものと扱い、5文字以上のものを収録する方針のはずが「物離郷貴」など4字の「諺」も少数載せている<ref>{{Cite book|和書|editor=[[李行健]]ほか編|year=2001|month=1|title=現代漢語諺語規範詞典|publisher=[[長春出版社]]|page=409|isbn=7806641319|ref=李2001}}</ref>。他にも、「近朱者赤，近墨者黒」(朱に交われば赤くなる)などのように4字ずつの対句からなる諺や「歇後語」と呼ばれるしゃれ言葉では、実際には最初の4字だけを言うこともあり、これらの扱いも問題となる。

=== 意味上の差異 ===
起源を同じとする四字熟語でも、長い年月を経て、日中間で意味に差異を生じた例がある。[[大阪外国語大学]]名誉教授の[[伊地智善継]]は以下のような例を挙げている<ref>{{cite news|title=大同小異、いや雲泥万里　日中で違う4字熟語、研究交流実り辞典|newspaper=朝日新聞（朝刊）|publisher=朝日新聞社|date=1992-12-28|page=22}}</ref>。
{| class="wikitable"
! 例 !! 日本語 !! 現代中国語
|-
! 朝三暮四
| 巧みな言葉で人を欺く || 考えや主張が変わりやすい
|-
! 一刀両断
| 思い切って物事を処理する || きっぱりと関係を断つ
|-
! 七転八倒
| 苦しみもだえる || 非常に混乱しているさま
|}
そもそも日中で共通して日常的に使用する成語自体がごくわずかであるという意見もある。中国文学者の[[高島俊男]]によると、[[漢籍]]に由来する「孟母三遷」や「呉越同舟」などの成語は、日本においては有名であるが、中国語圏ではあまり一般的ではないという<ref name="高島2009.p.36">[[#高島2009|高島(2009)]], p.36</ref>。反対に中国語圏で使用頻度の高い「莫名其妙（{{lang|la|mò míng qí miào}}）」や「乱七八糟（{{lang|la|luàn qī bā zāo}}）」などは日本語において用例がみられない<ref name="高島2009.pp.36 f">[[#高島2009|高島(2009)]], pp.36 f</ref>。また日本語で「奇想天外」というところを、中国語圏では「異想天開（{{lang|la|yì xiǎng tiān kāi}}）」と表現するなど、意味が共通するものでも少しずつ表現の仕方が異なるものも多い<ref name="高島2009.p.38">[[#高島2009|高島(2009)]], p.38</ref>。

=== 音韻構造上の差異 ===
中国語における漢字は原則として1字1音節であり、四字熟語は常に4音節である。一方、日本語では1字1-2[[モーラ]]であり、四字熟語は4-8拍となる。なお、モーラ数は漢字の音読みにおける仮名の内、拗音字を除いた数と等しいが、これは必ずしも音節数とは一致しない<ref group="註">同じ母音が続く場合や[[撥音]]の「ん」や[[促音]]の「っ」が含まれる場合は1音節2モーラである（例：「風土（ふうど）」、2音節3モーラ、「日本（にっぽん）」、2音節4モーラ）。また、話者や速度などによっては二重母音化や母音無声化などでも1音節2拍になる。</ref>。以下の表は、その例である。<!--【執筆者コメント】以下の表で例に挙げた四字熟語は、字音が音節数とモーラ数が一致するよう、撥音・促音・幼音・長音などを含まないものを選んだため、かなりマイナーなものも含まれています。他によい例があれば適宜、置き換えてください -->
{| class="wikitable"
! rowspan="2" | 例 !! colspan="2" | 日本語（音読み） !! colspan="2" | 現代中国語（[[普通話]]）!! colspan="2" | 現代中国語（[[広東語]]）!! colspan="2" | 古典中国語（[[中古音]]）
|-
! 読み方 !! モーラ数 !! 読み方 !! 音節数 !! 読み方 !! 音節数 !! 読み方<ref>{{citation|title=An Etymological Dictionary of Common Chinese Characters
|first=William H.|last=Baxter|year=2000|url=http://www-personal.umich.edu/~wbaxter/etymdict.html|accessdate=2010-01-27}}</ref> !! 音節数
|-
! 是是非非
| ぜぜひひ || 4モーラ || {{lang|la|shì shì fēi fēi}} || 4音節 || {{lang|la|si6 si6 fei1 fei1}} || 4音節 || {{lang|la|dzyeX dzyeX pj&#616;j pj&#616;j}} || 4音節
|-
! 家徒四壁
| かとしへき || 5モーラ || {{lang|la|jiā tú sì bì}} || 4音節 || {{lang|la|ga1 tou4 sei3 bik1}} || 4音節 || {{lang|la|k&#230; du sijH pek}} || 4音節
|-
! 兎起鶻落
| ときこつらく || 6モーラ || {{lang|la|tù qǐ hú luò}} || 4音節 || {{lang|la|tou3 hei2 gwat1 lok6}} || 4音節 || {{lang|la|thuH khiX kwot lak}} || 4音節
|-
! 一衣帯水
| いちいたいすい || 7モーラ || {{lang|la|yī  yī  dài  shuǐ}} || 4音節 || {{lang|la|yat1 yi1 daai2 seui2}} || 4音節 || {{lang|la|&#673;jit &#673;j&#616;j tajH sywyjX}} || 4音節
|-
! 磊磊落落
| らいらいらくらく || 8モーラ || {{lang|la|lěi  lěi  luò  luò}} || 4音節 || {{lang|la|leui5 leui5 lok6 lok6}} || 4音節 || {{lang|la|lwojX lwojX lak lak}} || 4音節
|-
| colspan="9" style="text-align:right" | <small>※中古音の無印は[[平声]]または[[入声]]、-X は[[上声]]、-H は[[去声]]を表す。</small>
|}
中国語では、このような4音節の言葉が最も口調がよく、音声的にも視覚的にも安定感が高い。こうして、4字で構成される無数の表現が自然と作られていく<ref name="高島2009.p.34">[[#高島2009|高島(2009)]], p.34</ref><ref name="奥平＆和田1991.p.207">[[#奥平＆和田1991|奥平＆和田(1991)]], p.207</ref>。日本語でも同様に「デジカメ（[[デジタルカメラ]]）」、「ケータイ（携帯電話）」など4モーラの語が目立つ<ref>{{Cite book|和書|author=佐久間淳一|authorlink=佐久間淳一|year=2007|month=2|title=はじめてみよう言語学|publisher=研究社|page=180|isbn=978-4-327-37699-4|ref=佐久間2007}}</ref>。

=== 文法上の差異 ===
中国語では成句は中国語の文法に則って構成されるため、日本語の[[訓読]]の様に途中で前に戻って読むことはない。例えば「以心伝心」という成句の由来である『[[六祖壇経]]』の「法則以心傳心」は、以下のように読むことになる。
: 原文「法則以心傳心」
: 中国語読み（普通話）「{{lang|la|fǎ zé yǐ xīn chuán xīn}}」

日本語では語順や文法の違いにより「法は則ち心を以て心を伝う」と読み下して解釈するのが一般的である。しかし、訓読に加え「ほう そく いしんでんしん」のように漢文をそのままの語順で発音する[[直読]]も重視する埼玉大学教授の[[安達忠夫]]のような者もいる<ref>{{cite news|title=子らが楽しむ音・訓素読、思考深め外国語鍛える|author=[[安達忠夫]]|work=フォーラム21|newspaper=日本経済新聞（夕刊）|publisher=日本経済新聞社|date=1988-08-18|page=30}}</ref>。

=== 使用者の印象の差異 ===
前掲の「莫名其妙（{{lang|la|mò míng qí miào}}）」「乱七八糟（{{lang|la|luàn qī bā zāo}}）」などは、中国語圏において使用頻度の高い成語であるが、前者は「ちんぷんかんぷん」、後者は「ごたごた」くらいのニュアンスでしか用いられない。これは四字熟語の薀蓄が、一つの教養であるとみなされる日本と対照的である。日本では、ときに「中国三千年の文化の結晶」や「人類の叡智、深遠な意義」などと四字熟語の高雅さを強調することすらある。これに対して、中国語圏における成語は、もっと卑近なものであり、ときに陳腐なものでさえあるという<ref name="高島2009.pp.37 f">[[#高島2009|高島(2009)]], pp.37 f</ref>。

例えば、人物が列をなして建物に入っていく様子を表すときに「魚貫而入（{{ピン音|yú guàn ér rù}}）」<ref group="註">日本で用例がみられない成句。「魚貫して入る」と訓読する。なお、『[[晋書]]』には「皆当魚貫而行（皆当に魚貫して行くべし）」という記述がある。</ref> という成句を用いる。これは、人物を魚に喩えて文章に面白みを与えることが最小限の字数で可能になる一方で、表現として陳腐な印象を持たせてしまう。だから中国において、プロの著述家の場合、このような成語を用いることを避け、もう少し表現を工夫するという。これは、日本におけるプロの著述家が同様のことを表現するのに「金魚の糞のような列をなして……」という陳腐な表現を避けるのと似ている<ref name="高島2009.p.35">[[#高島2009|高島(2009)]], p.35</ref>。原文では「金魚のウンコ」とある。

=== 方言成語 ===
各地の[[方言]]の差異が大きく、かつそれぞれの地方が長い歴史を持つ中国では、[[普通話|中国標準語]]の成語以外に、地方独自の4字構成を中心とした「方言成語」が多数存在する<ref>李小平、「論漢語方言成語的性質」『語文研究』2009年第1期、pp.44-51、山西省社会科学院、太原</ref>。ただし、成語とすべき範囲、すなわち諺との違いや字数、書面性の有無などについてはまだ学会共通の認識には至っていない。

方言成語の特徴は、明確な出典となる書籍がなく、伝承によっていること、成語を使用する場面が、書面語ではなく、口語中で使っており、一般大衆が広く知っていること、語彙が分かりやすく、内容も通俗的であること、同じ大方言区内でも地域差が存在すること<ref>林華東、「閩南方言成語簡論」『福建師範大学学報：哲学社会科学版』2006年第4期、pp.104-107、福建師範大学、福州</ref>、もともと5音節の内容が音の結合で4音節に変化しているものが存在すること、などがある。

;中国の方言成語の例
* 野山没量 - 野蛮極まりない ([[晋語]][[寧武県|寧武]]方言)<ref>温旭霞、「寧武方言四字格成語的構成特点」『山西煤炭管理干部学院学报』2009年第2期、p.137、山西大学文学院、太原</ref>
* 一天世界 - 散らかり放題 ([[上海語]])
* 猪朋狗友 - 悪友 ([[広東語]])
* 不会暁抽退 - 抜け出す術を知らない ([[ビン南語|閩南語]]。「不会」は boe と1音節で読む)

;日本の方言における四字熟語
なお、特定地域の方言でのみ使われたり、地方独特の事物に関し、かつ和語を含まない四字熟語は日本語においても少数存在する。
* 一軒露次 - 表家と表家との間から細い路地を入った奥にある一軒家 ([[大阪弁|大阪方言]])<ref>[[牧村史陽]]編、『大阪方言事典』p.48、杉本書店、1955年、大阪</ref>
* 器用報恩 - 正月は一日常用の器具を休ませる ([[長崎弁|長崎方言]])<ref>本山桂川、『長崎方言集』、国書刊行会、1976年</ref>
* 千苦万苦 - 多くの苦労 ([[琉球語|琉球語/琉球方言]])<ref>国立国語研究所編『沖縄語辞典』、大蔵省印刷局、1963年</ref>

この他、中国では[[チワン語]]、[[ペー語]]などの多くの少数民族語においても、成語は広く借用され、使われている。

== その他の国の事例 ==
=== 大韓民国 ===
{{韓国の事物|title=成語（朝鮮語）|hangeul=한자성어/사자숙어|hanja=漢字成語/四字熟語}}

古くから[[漢字文化圏|漢字文化]]を受容してきた[[朝鮮語]]（韓国語）を国語とする[[大韓民国]]（韓国）においても同様の概念は存在する。朝鮮語で「四字熟語（{{lang|ko|사자숙어}}）」と言っても通用するが、中国語の「成語」にならって、「漢字成語（{{lang|ko|한자성어}}）」と呼ばれることも多い。その範囲は一定ではなく、日本の四字熟語と同じように、漢語系の4音節語を広く成語と見なし、「利己主義(이기주의)」のような普通名詞や「北斗七星(북두칠성)」のような固有名詞までを含めて解説している例もある。おおむね日本と同様、[[漢籍]]に由来するものが代表的であるが、日本語から借用された「抱腹絶倒(포복절도)」、「八方美人(팔방미인)」や、{{仮リンク|洪万宗|ko|홍만종}}の「賊反荷杖（{{lang|ko|적반하장}}）」<ref group="註">「賊 反って杖を荷う」と訓読する。日本語の「盗人猛々しい」に近い。</ref>のように独自のものもみられる。朝鮮語独自の成語の中には、「門前沃畓(문전옥답)」<ref group="註">
屋敷の前に肥沃な田があり裕福なこと。「畓」は韓国固有語を表記するために作られた[[韓国国字]]。</ref>のように朝鮮固有語を含むものもある。

1970年代ごろまで漢文における成句の意味と用例を答えさせる問題が、大学入試に大きなウェイトを占めていたという<ref>{{Cite news|url=http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=82938&servcode=100&sectcode=100|title=【噴水台】成語|newspaper=中央日報|date=2006-12-27|accessdate=2006-12-20|language=日本語}}</ref>。しかし、1970年代における[[朴正熙]]の漢字廃止政策以降、[[ハングル専用]]が推し進められ、漢字は等閑されている現状である。

ただ、慣用句として四字熟語を引用する例は、現在でも多くみられる。例えば、著名人では、韓国の[[高建]]（コ・ゴン）首相が、自分の政治改革の意志を表現するのに「雲行雨施（うんこううし、{{lang|ko|운행우시}}）」を引用した例<ref>{{Cite news|url=http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=83131&servcode=200&sectcode=200|title=高建氏、来年の話頭は「雲行雨施」|newspaper=中央日報|date=2006-12-27|accessdate=2010-01-27|language=日本語}}</ref>や[[大統領 (大韓民国)|韓国大統領]]府である[[青瓦台]]が、[[李明博]]（イ・ミョンバク）大統領の政策を象徴する四字熟語として「扶危定傾（{{lang|ko|부위정경}}）」<ref group="註">日本で用例がみられない成句。「危うきを扶（たす）け 傾けるを定むる」と訓読する。</ref>を選定した例<ref>{{Cite news|url=http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=109452&servcode=200&sectcode=200|title=青瓦台、新年四字熟語「扶危定傾」|newspaper=中央日報|date=2008-12-31|accessdate=2010-01-27|language=日本語}}</ref>などがある。

また、[[大韓民国|韓国]]の{{仮リンク|教授新聞|ko|교수신문}}は、韓国各地の大学教授に対するアンケートを元に1年間の世相を表す四字熟語を2001年から毎年選定している<ref>{{Cite news|url=http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=22382&servcode=400&sectcode=400|title=今年の漢字成語は「五里霧中」|newspaper=中央日報|date=2001-12-24|accessdate=2010-01-27|language=日本語}}<br/>{{Cite news|url=http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=46844&servcode=400&sectcode=400|title=今年の四字成語「右往左往」|newspaper=中央日報|date=2003-12-19|accessdate=2010-01-27|language=日本語}}<br/>{{Cite news|url=http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=58974&servcode=400&sectcode=400|title=今年の四字熟語は「党同伐異」|newspaper=中央日報|date=2004-12-24|accessdate=2010-01-27|language=日本語}}<br/>{{Cite news|url=http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=70821&servcode=400&sectcode=410|title=今年の熟語「上火下沢」|newspaper=中央日報|date=2005-12-19|accessdate=2010-01-27|language=日本語}}<br/>{{Cite news|url=http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=82847&servcode=400&sectcode=400|title=今年を振り返ると「密雲不雨」…よかったことは半数が「なし」|newspaper=中央日報|date=2006-12-18|accessdate=2010-01-27|language=日本語}}<br/>{{Cite news|url=http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=94130&servcode=400&sectcode=410|title=07年の成語「自欺欺人」|newspaper=中央日報|date=2007-12-24|accessdate=2010-01-27|language=日本語}}<br/>{{Cite news|url=http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=109128&servcode=400&sectcode=400|title=2008年の四字熟語に‘護疾忌医’|newspaper=中央日報|date=2008-12-23|accessdate=2010-01-27|language=日本語}}<br/>{{Cite news|url=http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=124223&servcode=400&sectcode=400|title=今年の四字熟語に「旁岐曲逕」|newspaper=中央日報|date=2009-12-21|accessdate=2010-01-27|language=日本語}}</ref>。最近では、同様の方法で年始にその年の所望を表す四字熟語も2006年から選定している<ref>{{Cite news|url=http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=71294&servcode=400&sectcode=410|title=教授らの新年所望示す熟語「若烹小鮮」|newspaper=中央日報|date=2006-01-02|accessdate=2010-01-27|language=日本語}}<br/>{{Cite news|url=http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=94482&servcode=400&sectcode=400|title=「新年は光風霽月のごとく」|newspaper=中央日報|date=2008-01-03|accessdate=2010-01-27|language=日本語}}</ref>。

=== 朝鮮民主主義人民共和国 ===
[[朝鮮民主主義人民共和国]]（北朝鮮）は、大韓民国と同様、[[朝鮮語]]を国語としているが、1949年に一切の漢字の使用を廃止している。しかし「祖国統一偉業と民族文化遺産継承」や「近隣諸国との科学･文化･経済交流」という目的で漢字・漢文教育は継続されている。

漢字・漢文教育の中で、四字熟語も扱っている。例えば、『漢文教科書高等中学校3』の第29課には、「四字句」という項目があり、その中で「難攻不落（난공부락）」や「以民為天（이민위천）」<ref group="註">「民を以（も）って天と為（な）す」と訓読する。本来は『[[漢書]]』の言葉であるが、[[主体思想]]（チュチェ思想）の象徴的表現として北朝鮮においてよく引用される。</ref>などの軍事や社会主義に関する用語が紹介されている<ref>{{Cite journal|和書|author=[[植田晃次]]|year=2004|month=3|title=朝鮮民主主義人民共和国における漢字教育―1990年代を中心に―|journal=国際開発研究フォーラム|issue=26|pages=163-178|publisher=名古屋大学|url=http://www.gsid.nagoya-u.ac.jp/bpub/research/public/forum/26/11.pdf|format=PDF}}</ref>。

=== ベトナム ===
漢語系語彙の占める割合が高い[[ベトナム語]]においても、中国語を借用した四字の「{{lang|vi|thành ngữ Hán Việt}}」(タイングー・ハン・ベト。成語漢越)や四字からなる慣用表現が多くあり、現在も広く使用されている。漢語系慣用表現の7割以上が4音節語である<ref>ベトナム語版Wikipedia「[[:vi:thành ngữ Hán Việt|thành ngữ Hán Việt]]」、2010年2月6日閲覧</ref>。漢語を含まない4音節語で、漢語を訳したと思われるものあるが、成語ではなく、諺の範疇に入れることが多い。

;漢語のままのもの
* {{lang|vi|đồng bệnh tương lân}} - 同病相憐 (日本語: 同病相憐れむ)
* {{lang|vi|hữu danh vô thực}} - 有名無実
* {{lang|vi|ngư ông đắc lợi}} - 漁翁得利 (日本語: 漁夫の利)
* {{lang|vi|phu xướng phụ tùy}} - 夫唱婦随
* {{lang|vi|toàn tâm toàn ý}} - 全心全意 (日本語: 誠心誠意)

;漢語の一部が変わっているもの
* {{lang|vi|nhập gia tùy tục}} - 入郷随俗 → 入家随俗 (日本語: 郷に入っては郷に従え)
* {{lang|vi|nhất cử lưỡng tiện}} - 一挙両得 → 一挙両便

;漢語を訳したと思われるもの
* {{lang|vi|ếch ngồi đáy giếng}} - 井底之蛙 → 蛙が井戸の底に座る(日本語: 井の中の蛙)

== 読書案内 ==
本文で言及しなかった書籍を列挙する。

;四字熟語辞典・四字熟語集
* {{Cite book|和書|editor=[[田部井文雄]]|title=大修館 四字熟語辞典|year=2004|month=6|publisher=大修館書店|language=日本語|isbn=4-469-02109-1|ref=田部井2004}}
*:同規模の辞典と比較すると収録数は多くはないが、明治時代の作家からの引用など、豊富な出典情報を掲載している<ref>大原望「[http://jitenfeti.jugem.jp/?eid=96 大修館のややレベルの高い四字熟語辞典]」、漢字・字源・漢和辞典のブログ(86)、2005年7月15日。2011年11月1日閲覧。</ref>。「之」入りの四字熟語は掲載されていない<ref>大原望「[http://jitenfeti4.jugem.jp/?eid=17 大漢和辞典の執筆協力者の一人が編者の辞典]」、四字熟語のブログ(17)、2006年7月30日。2011年11月1日閲覧。</ref>。
* {{Cite book|和書|editor=学研辞典編集部|title=用例でわかる四字熟語辞典|year=2005|month=7|publisher=学習研究社|language=日本語|isbn=4-05-301798-X|ref=学研辞典編集部2005}}
*:三省堂の四字熟語辞典に次ぐ規模の辞典である。出版にあたり『漢字源』（学習研究社、2001年）の担当者も編集に参加している<ref>大原望 「[http://jitenfeti.jugem.jp/?eid=46 使いやすい学研の四字熟語辞典]」、漢字・字源・漢和辞典のブログ(41)、2005年7月7日。2011年11月1日閲覧。</ref>。
* {{Cite book|和書|editor=日本漢字教育振興会|title=漢検 四字熟語辞典|year=1997|month=3|publisher=日本漢字能力検定協会|language=日本語|isbn=4-931237-99-1|ref=日本漢字教育振興会1997}}
*:[[日本漢字能力検定]]に準拠した辞典である<ref>大原望 「[http://jitenfeti.jugem.jp/?eid=86 漢検の四字熟語辞典]」、漢字・字源・漢和辞典のブログ(76)、2005年7月13日。2011年11月1日閲覧。</ref><ref>大原望「[http://jitenfeti4.jugem.jp/?eid=8 漢検受験に便利で実用的な四字熟語辞典]」、四字熟語のブログ(8)、2006年7月14日。2011年11月1日閲覧。</ref>。
* {{Cite book|和書|editor=小学館|title=四字熟語の読本|year=1996|month=11|series=小学館ライブラリー 91|publisher=小学館|language=日本語|isbn=4-09-460091-4|ref=小学館1996}}
*:内容は四字熟語集である。比較的、出典が充実している<ref>大原望「[http://ameblo.jp/jitenfeti/entry-10011382229.html ハンディーだが優れた四字熟語の辞典]」、四字熟語と漢字のブログ(484)、2006年4月16日。2011年11月1日閲覧。</ref>。
* {{Cite book|和書|author=須藤隆仙|title=仏教四文字熟語辞典|year=1998|mouth=2|publisher=新人物往来社|language=日本語|isbn=978-4404025715}}
*:仏教に由来する四字熟語を約2000語収録している<ref name="mai_san"/>。
* {{Cite book|和書|author=奥平卓|authorlink=奥平卓|coauthors=[[和田武司]]|title=四字熟語集|year=2002|month=6|publisher=岩波書店|series=岩波ジュニア新書|language=日本語|isbn=4-00-500135-1|ref=奥平2002}}
*:本稿の参考文献『[[#奥平＆和田1991|楽しむ四字熟語]]』（岩波書店、1991年）の姉妹書である。

== 参考文献 ==
=== 四字熟語研究  ===
* {{Cite book|和書|editor=岩波書店辞典編集部|title=四字熟語ひとくち話|year=2007|month=4|publisher=岩波書店|series=岩波新書|language=日本語|isbn=978-4-00-439010-7|ref=岩波書店辞典編集部2007}}
* {{Cite book|和書|author=奥平卓|authorlink=奥平卓|coauthors=[[和田武司]]|title=楽しむ四字熟語|year=1991|month=12|publisher=岩波書店|series=岩波ジュニア新書|language=日本語|isbn=4-00-500199-8|ref=奥平＆和田1991}}
* {{Cite book|和書|author=高島俊男|authorlink=高島俊男|title=ちょっとヘンだぞ四字熟語 お言葉ですが… 10|origdate=2006-03|year=2009|month=3|publisher=文藝春秋|series=文春文庫 た38-11|language=日本語|isbn=978-4-16-759811-2|ref=高島2009}}
<!--* {{Cite book|和書|author=塚本青史|authorlink=塚本青史|date=2012-03-09|url=http://www.php.co.jp/books/detail.php?isbn=978-4-569-77956-0|title=四字熟語で愉しむ中国史|series=PHP新書|publisher=PHP研究所|language=日本語|isbn=978-4-569-77956-0|ref=塚本2012}}-->
* {{Cite book|和書|author=別役実|authorlink=別役実|title=左見右見四字熟語|year=2005|month=11|publisher=大修館書店|language=日本語|isbn=4-469-22173-2|ref=別役2005}}

=== 本文に関連した資料 ===
辞典は、本文で言及したのみ記載する。

;初出
* {{Cite book|和書|author=真藤建志郎|authorlink=真藤建志郎|title=「四字熟語」の辞典――活用引用自由自在|year=1985|month=5|publisher=日本実業出版社|language=日本語|isbn=4-534-01022-2|ref=真藤1985}}

;国語辞典
* {{Cite book|和書|editor=[[森岡健二]]ら 編|title=集英社国語辞典|edition=横組版|year=1993|month=2|publisher=集英社|language=日本語|isbn=4-08-400011-6|ref=森岡1993}}
* {{Cite book|和書|editor=[[松村明]] 編|title=大辞林|edition=第2版|year=1995|month=10|publisher=三省堂|language=日本語|isbn=4-385-13900-8|ref=松村1995}}
* {{Cite book|和書|editor=[[新村出]] 編|title=広辞苑|edition=第6版|year=2008|month=1|publisher=岩波書店|language=日本語|isbn=978-4-00-080121-8|ref=新村2008}}

;四字熟語辞典
* {{Cite book|和書|editor=三省堂編修所|title=新明解 四字熟語辞典|year=1998|month=1|publisher=三省堂|language=日本語|isbn=4-385-13620-3|ref=三省堂編修所1998}}
*:「官官接待」など現代社会を反映したものも掲載されている<ref name="mai_san"/>。2011年時点で収録数が最も多い四字熟語辞典であるという<ref>{{Cite web|author=[[大原望]]|date=2005-07-22|url=http://jitenfeti.jugem.jp/?eid=147|title=語数の多い四字熟語辞典が欲しければ､これ|publisher=漢字・字源・漢和辞典のブログ(134)|accessdate=2011-11-01}}</ref>。
* {{Cite book|和書|editor=岩波書店辞典編集部|title=岩波四字熟語辞典|year=2002|month=10|publisher=岩波書店|language=日本語|isbn=4-00-080204-6|ref=岩波書店辞典編集部2002}}
*:厳密には四字熟語と呼びがたいものも掲載されている。「読んで面白く得する」情報を盛り込んでいるという<ref>「読書 - 充実した四字熟語辞典」毎日新聞、2002年10月13日付朝刊、10頁。</ref>。

;その他辞典
* {{Cite book|和書|editor=学研辞典編集室|title=漢字パズル辞典|year=2009|month=12|publisher=学研教育出版|language=日本語|isbn=978-4-05-302798-6|ref=学研辞典編集室2009}}

;創作四字熟語
* {{Cite book|和書|editor=住友生命|title=創作四字熟語――平成の世相を反映した日本語パロディ|edition=保存版|series=Kawade夢文庫|year=1996|month=2|publisher=河出書房新社|language=日本語|isbn=4-309-49137-5|ref=住友生命1996}}
* {{Cite web|date=2010-01-08|url=http://www.sumitomolife.co.jp/news/100108.pdf|title=『創作四字熟語』で振り返る20年!|format=PDF|publisher=住友生命保険相互会社|language=日本語|accessdate=2010-01-26|ref=住友生命保険相互会社2010}}
* {{Cite book|和書|author=所ジョージ|authorlink=所ジョージ|title=四字列語|year=1999|month=2|publisher=新潮社|language=日本語|isbn=4-10-428701-6|ref=所1999}}

== 脚註 ==
=== 註 ===
<references group="註"/>
=== 出典 ===
{{Reflist|2}}

== 関連項目 ==
{{Wiktionarypar|四字熟語|Wiktionary:四字熟語の一覧}}
{{Wiktionarycat|四字熟語}}
* [[故事]]
* [[ことわざ]]
* [[三字熟語]]

== 外部リンク ==
* [http://sanabo.com/words/ 四字熟語データバンク]
* 前田真彦「日韓四字熟語辞典」（[http://homepage1.nifty.com/maedata/yoji0323.htm 第1巻]、[http://homepage1.nifty.com/maedata/yoji2.htm 第2巻]）
* [http://140.111.34.46/chengyu/ 教育部成語典（中国語）]

{{Good article}}

{{DEFAULTSORT:よししゆくこ}}
[[Category:漢字]]
[[Category:日本語の成句|*よししゆくこ]]
[[Category:熟語]]
[[Category:名数4|ししゆくこ]]