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古英語
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{{出典の明記|date=2013年4月}} {{特殊文字}} {{Infobox Language |name=古英語 |nativename={{lang|ang|Englisce sprǽc}} |familycolor=インド・ヨーロッパ語族 |states= |region=[[ヨーロッパ]] |speakers= |rank= |fam1=[[インド・ヨーロッパ語族]] |fam2=[[ケントゥム語派]] |fam3=[[ゲルマン語派]] |fam4=[[西ゲルマン語群]] |fam5=[[古ザクセン語|古サクソン語]] |script=[[ラテン文字]] |nation= |agency= |iso1= |iso2=ang |iso3=ang |vitality=extinct }} [[Image:Old norse, ca 900.PNG|right|260px|thumb| [[10世紀]]初頭における、古ノルド語および近縁の言語が話されていた地域の概略図。 {{Legend |#f00| 古西ノルド語 }} {{Legend |#f84| 古東ノルド語 }} {{Legend |#f0f| [[古ゴトランド語]]{{Enlink|Old Gutnish|a=on}} }} {{Legend |#00f| [[クリミアゴート語]] }} {{Legend |#ff0| [[古英語]] }} {{Legend |#0f0| その他の[[ゲルマン語派|ゲルマン諸語]]のうち、古ノルド語との{{Enlink|Mutual intelligibility|s=off|p=off}}を保っているもの }} ]] '''古英語'''(古英語:{{Lang|ang|Englisce sprǽc}}, {{Lang-en|old English}})または'''古期英語'''、'''アングロ・サクソン語'''({{Lang|ang|Engle-Seaxisce sprǽc}})は、[[5世紀]]半ばから[[12世紀]]<!-- 英語版の定義を導入、[[10世紀]]はベオウルフを意識した数字か?-->を中心に[[イングランド]]で使われた、[[インド・ヨーロッパ語族]][[ゲルマン語派]]に属し、現代[[英語]]の祖語にあたる[[言語]]。 言語学者によっては[[西ゲルマン語群]]に分類する。現在の[[ドイツ語]]の古語に当たる[[古ドイツ語]]のうち、[[古フランク語]]および[[古ザクセン語]]などの「古低ドイツ語」とは近縁にある。辞書などではしばしば'''OE'''と略記する。現在は[[死語 (言語学)|死語]]と化している。 バイキングによりイングランドに古ノルド語が持ち込まれ、古英語に影響を与えた。他のゲルマン諸語と古ノルド語はまだ相互理解可能であった。古英語は均一の言語ではなく、方言があり、時期によっても異なる。ゲルマン人の一派である[[アングル人]]と[[サクソン人]]の言葉が、[[グレートブリテン島]]移住に伴い、[[イングランド]](アングル人の地)へ持ち込まれたことに始まる。のちイングランドに来襲した[[ヴァイキング|デーン人]]の言語であるデーン語([[古ノルド語]]の一種)などの要素も、入り込んだ。 古英語に対して、古英語以降16世紀までの英語を[[中英語]]、17世紀頃までを[[初期近代英語]]それ以降を現代英語と言う。古英語の使われた時期を確定することは困難である。おそらく4世紀半ばにはグレートブリテン島での古英語の使用は始まっていた。古英語と中英語の境として、[[ウィリアム1世 (イングランド王)|ウィリアム1世]]によって[[ノルマン語|ノルマン・フランス語]]の語彙が大幅に流入した[[1066年]]の[[ノルマン・コンクエスト]]を採用することが多い。しかしこのことはこの時期以降、古英語が使われなくなったことを意味しない。 == 方言 == [[ノーサンブリア]]({{Lang|en|Northumbrian}})、[[マーシア]]({{Lang|en|Mercian}})、[[ケント王国|ケント]]({{Lang|en|Kentish}})、[[ウェセックス]]({{Lang|en|West Saxon}})の4方言に大別される。これらは当時の王国の境界に対応するが、このうちノーサンブリアとケントは[[9世紀]]に[[ヴァイキング]]の侵略により衰えた。マーシアも侵略を受けたが、一部は防衛に成功し、ウェセックス王国に編入された。ノーサンブリアとマーシアは[[アングル人]]の王国、ケントは[[ジュート人]]の王国、ウェセックスは[[サクソン人]]の王国とされる。 ウェセックスでは[[878年]]に[[デーンロー]]地方以外の[[アングロ・サクソン人]]のイングランドを統一した[[アルフレッド大王]]のもと、聖書の翻訳や過去の伝承や史実の蒐集が盛んに行われた。アルフレッド大王自らも[[ラテン語]]を解し、翻訳に従事したと思われる。ウェセックス方言は9世紀末には古英語の標準語となり、また今日残る古英語資料の大半を占めている。このため現代の研究にとって、ウェセックス方言の占める比重は大きい。 == 発音 == 母音には、短母音・長母音・二重母音があり、長短を区別する。現在出版する書籍では、長母音字の上に長音記号([[マクロン]])を書いて、短母音と区別する。古英語においては y は母音字である。 子音は、現代英語の子音に加えて、[[ð]]/[[þ]](文字の名称はエズ(eth)とソーン(thorn)。表す音は[ð]と[θ])および[[ƿ]](ウィン, win) [w]が用いられる。また、現在の出版では c, gと ċ, ġを区別する場合がある。 === アルファベットと発音 === {| class="wikitable" |-style="white-space:nowrap" !アルファベット!!発音 |- !a |{{IPA|ɑ}} 舌が後ろよりのア、当時の表記ではaとoがときおり混同した。 |- !ā |{{IPA|ɑː}} 上記aの長音 |- !æ |{{IPA|æ}} |- !ǣ |{{IPA|æː}} 上記æの長音 |- !b |{{IPA|b}} |- !c |{{IPA|tʃ}} あるいは{{IPA|k}}と発音する。現代の表記では{{IPA|tʃ}}の音を表すときに上にドットをつけて ċ とすることもある。 |- !cg |{{IPA|dʒ}} |- !d |{{IPA|d}} |- !ð/þ |{{IPA|θ}} 有声音の間に挟まれたときは{{IPA|ð}}と発音する。二者は別の字だが区別なく使われる。 |- !e |{{IPA|e}} |- !ē |{{IPA|eː}} 上記 e の長音 |- !ea |{{IPA|æɑ}} 後母音の前のc, g, scが{{IPA|tʃ}}, {{IPA|j}}, {{IPA|ʃ}}と発音されるのを表すeと混同しないように注意。 |- !ēa |{{IPA|æːɑ}} 上記eaの長音 |- !eo |{{IPA|eo}} eaに同じ |- !ēo |{{IPA|eːo}} 上記eoの長音 |- !f |{{IPA|f}} 有声音の間に挟まれたときは{{IPA|v}}と発音する。 |- !g |{{IPA|g}} 異音に{{IPA|ɣ}}, {{IPA|j}}, {{IPA|dʒ}} がある。{{IPA|j}}と{{IPA|dʒ}}の音を表すときに上にドットをつけてġとすることがある。またアイルランドに由来するȝの字体(yogh、音は同じ)が使われることがある。 |- !h |{{IPA|h}} {{IPA|ç, x}}の異音がある。 |- !i |{{IPA|i}} |- !ī |{{IPA|iː}} 上記iの長音 |- !ie |{{IPA|ie}} |- !īe |{{IPA|iːe}} 上記ieの長音 |- !k |{{IPA|k}} あまり使われない |- !l |{{IPA|l}} |- !m |{{IPA|m}} |- !n |{{IPA|n}} 後ろにgが来て-ngとなったときは{{IPA|ŋg}}と発音する。 |- !o |{{IPA|o}} |- !ō |{{IPA|oː}} 上記oの長音 |- !oe |{{IPA|ø}} 合字の[[œ]]も使われる |- !ōe |{{IPA|øː}} 同上 |- !p |{{IPA|p}} |- !q |{{IPA|k}} 直後に来るuと一組で{{IPA|kw}}の音を表すがあまり使われない。 古英語ではcƿあるいはcwと書く。 |- !r |{{IPA|r}} 詳しい音価は確定していないが現代の英語と同じ{{IPA|ɹ}}か、ふるえ音の{{IPA|r}}とされる。 |- !s |{{IPA|s}} 有声音に挟まれたときは{{IPA|z}}と発音する。 |- !sc |{{IPA|ʃ}} 異音に{{IPA|sk}}がある。 |- !t |{{IPA|t}} |- !u |{{IPA|u}} |- !ū |{{IPA|uː}} 上記uの長音 |- !ƿ |{{IPA|w}} 現代の表記では代わりにwを用いる。 |- !x |{{IPA|ks}} {{IPA|xs ~ çs}}と発音されたという説もある |- !y |{{IPA|y}} |- !ȳ |{{IPA|yː}} 上記yの長音 |- !z |{{IPA|ts}} まれにtsと音が並んだときに使われる(''bezt''と''betst''、意味は''best''{{IPA|betst}}と発音する)。 |} 二重子音のðð/þþ、ff、ssは有声音に挟まれても有声音にならない。 == 音韻 == === [[子音]] === {| class="wikitable" style="text-align:center" !!![[両唇音]]!![[唇歯音]]!![[歯音]]!![[歯茎音]]!![[後部歯茎音]]!![[硬口蓋音]]!![[軟口蓋音]]!![[声門音]] |- ![[閉鎖音]] |{{IPA|p b}}||rowspan="3"| ||rowspan="3"| ||{{IPA|t d}}||||rowspan="3"| ||{{IPA|k g}}||rowspan="3"| |- ![[破擦音]] |||||{{IPA|tʃ (dʒ)}}|| |- ![[鼻音]] |{{IPA|m}}||{{IPA|n}}||||{{IPA|(ŋ)}} |- ![[摩擦音]] |||{{IPA|f (v)}}||{{IPA|θ (ð)}}||{{IPA|s (z)}}||{{IPA|ʃ}}||{{IPA|(ç)}}||{{IPA|(x) (ɣ)}}||{{IPA|h}} |- ![[接近音]] |rowspan="2"| ||rowspan="2"| ||rowspan="2"| ||{{IPA|r}}||rowspan="2"| ||{{IPA|j}}||{{IPA|w}}||rowspan="2"| |- ![[側音]] |{{IPA|l}}|||| |} 括弧内で示されるのは[[異音]]である。 *{{IPA|dʒ}}は{{IPA|j}}の異音で、{{IPA|n}}の後ろあるいは[[子音重複]]となったとき起こる。 *{{IPA|ŋ}}は{{IPA|n}}の異音で、{{IPA|k}}と{{IPA|g}} の前で起こる。 *{{IPA|v, ð, z}}は[[無声音]]{{IPA|f, θ, s}}が[[有声音|有声化]]したもので、[[母音]]あるいは有声子音に挟まれたとき起こる。 *{{IPA|ç, x}}は{{IPA|h}}の異音で、前者は[[前舌母音]]、後者は[[後舌母音]]の後ろでそれぞれ起こるが[[音節]]の末尾であることが条件である。 *{{IPA|ɣ}}は{{IPA|g}}の異音で、母音の後ろで起こる。 === [[母音]] === {| class="wikitable" style="text-align:center" !rowspan="2"|[[単母音]]!!colspan="2"|[[短母音]]!!colspan="2"|[[長母音]] |- !前母音!!後母音!!前母音!!後母音 |- ![[閉母音]] |{{IPA|i y}}||{{IPA|u}}||{{IPA|iː yː}}||{{IPA|uː}} |- ![[中母音]] |{{IPA|e (ø)}}||{{IPA|o}}||{{IPA|eː (øː)}}||{{IPA|oː}} |- ![[開母音]] |{{IPA|æ}}||{{IPA|ɑ}}||{{IPA|æː}}||{{IPA|ɑː}} |} {| class="wikitable" style="text-align:center" ![[二重母音]]!!短音(1[[モーラ]])!!長音(2モーラ) |- !第一[[単音]]が[[閉音]] |{{IPA|iy}}||{{IPA|iːy}} |- !両単音とも[[中音]] |{{IPA|eo}}||{{IPA|eːo}} |- !両単音とも[[開音]] |{{IPA|æɑ}}||{{IPA|æːɑ}} |} == 文法 == {{Main|古英語の文法}} 他の[[インド・ヨーロッパ語族]]の言語と同様、[[屈折語]]である。 名詞は、[[性 (文法)|性]]・[[数 (文法)|数]]の区別を持つ。性は男性・中性・女性の3種、数は単数と複数の2種。双数を持たないことは他のゲルマン諸語に同じである。格は主格(主語を作る他呼びかけに用いる)・属格(所有・起原などを表す)・与格(間接目的語)・対格(直接目的語)の4種。名詞は屈折語尾により強変化名詞と弱変化名詞とに分類される。 [[代名詞]]の性・数・格も名詞と同様に変化する。ただし一人称と二人称では双数が用いられる。形容詞も同様。 動詞は[[人称]]と数に支配される。一般に主語の省略はしない。法・相・時制に従い屈折する。動詞には、[[幹母音]]の交替を示す強変化動詞と、幹母音を変えない弱変化動詞がある。強変化動詞は、常用される動詞に多く、現代英語の不規則動詞はほとんどがこれに由来する。完了形はまだなかった。 == 主な言語資料 == ;『[[ベオウルフ]]』({{Lang|en|Beowulf}}) :作者不詳の英雄[[叙事詩]]。[[頭韻法]]が用いられており、もともとは[[口承文学]]であったとされる。詳細は該当項目を参照。 ;『ユリアナ』({{Lang|en|Juliana}}) :宗教詩人[[キネウルフ]](Cynnewulf)作の宗教詩。[[4世紀]]の初め頃を舞台とし、'''ユリアナ'''という名の女性の殉教を描く。 ;『[[アングロサクソン年代記]]』({{Lang|en|The Anglo-Saxon Chronicle}}) :[[アルフレッド大王]]の命により、イングランドの歴史を、[[1世紀]]頃の[[ローマ帝国]]の襲来から[[1154年]]まで叙述した[[歴史書]]。[[散文]]体で書かれている。各地の[[修道院]]で編纂が行われたとされている。 ;『[[哲学の慰め]]』({{Lang|en|De Consolatione Philosophae}}) :ローマ帝国の哲学者、[[ボエティウス]]の哲学書を、[[アルフレッド大王]]が[[ラテン語]]から古英語に翻訳した。散文訳と、頭韻法を用いた韻文訳が存在する。 == 関連項目 == {{Wikipedia|ang}} *[[古英語の文法]] *[[古英語の前置詞]] *[[英語史]] *[[英語の語彙の変化 (古英語)]] *[[英語]] {{DEFAULTSORT:こえいこ}} [[Category:古英語|*]] [[Category:英語史]]
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