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'''単細胞生物'''(たんさいぼうせいぶつ)とは、1個の[[細胞]]だけからできている[[生物]]のこと。体が複数の細胞からできている[[多細胞生物]]に対する言葉である。 [[原核生物]]と、[[原生生物]]に多く、[[菌類]]の一部にもその例がある。 単細胞生物には寿命が無いと思われがちだが、[[接合]]による[[遺伝子]]交換をさせないよう注意深く[[ゾウリムシ]]を培養するとやはり死に至る<ref>[http://www.obihiro.ac.jp/~rhythms/LifeRh/02/98Bio02Paramecium.html ゾウリムシの生命サイクル]</ref>。 ==歴史的概況== [[顕微鏡]]観察の発達によって、'''生物は細胞からなる'''との認識が確定する中で、[[微生物]]には細胞に分かれていないものが多々あることがわかってきた。これらを細胞構造を持たないものだと判断する説もあり、'''非細胞性生物'''という言葉もあるが、やがて、それらの体内に多細胞生物の細胞内と共通する構造があることが判明し、単独の細胞で生活する生物であるとの認識が確定した。 なお、後に原核細胞と[[真核細胞]]の差、[[古細菌]]と[[真正細菌]]の違いが判明した。それらの差は単細胞生物と多細胞生物の差より遙かに重要なので、現在では単細胞生物をひとまとめにする[[分類学]]的意味はない。 ==様々な単細胞生物== 単細胞ということで、単純な生物だと判断するのは大きな間違いである。単一の細胞だけで世渡りする彼らは、多細胞生物の細胞より遙かに複雑で、全体の多様性も極めて広い。また、原生生物の場合、個々の機能のための特別な[[器官]]のようなものを発達させるものも少なくない。'''細胞器官'''という言葉は、元来このような構造に対して用いられたようである。 運動して餌を漁る、[[動物]]的な性格のものでは、特に[[運動]]のための器官と、[[摂食]]のための器官が発達する。広く見られるものには、[[鞭毛]]、[[繊毛]]、それに[[偽足]](仮足)がある。鞭毛、繊毛はほぼ同じ構造で、[[鞭]]のように動かして水をかいて移動に用いる。鞭毛は長くて数が少ないもの、繊毛は短くて一面に生えているものが普通である。偽足は[[アメーバ]]の運動に見られるもので、細胞内の[[原形質流動]]によって、細胞の一部を前にのばし、その中へ細胞内容が流れ込むことで移動する。 また、固着する[[ツリガネムシ]]などでは、伸び縮する柄を発達させたものもある。 摂食のために、明確な[[口]]を持つものもある。[[繊毛虫]]では、口の周辺に繊毛が特有の配置で並び、水流を起こして口へ[[微粒子]]を流し込むものもある。 [[細胞壁]]があり、[[光合成]]をし、特に運動器官を持たない[[珪藻]]や[[ユレモ]]などでも、移動能力を持つものがある。 また、複数の単細胞敵体が集まった、[[群体]]を形成するものもある。 ==単細胞生物の限界== 単細胞では、体を大きくするのが困難と考えられる。 実際には、単細胞生物であっても、大きいものは[[肉眼]]的なものがある。普通の単細胞生物では、[[アメーバ]]、イエ[[シロアリ]]の腸内微生物に1mm近いものがある。それ以上大きいと、体の形を支えるのが困難なのであろう。しかし、固い殻を持つ[[有孔虫]]では現生の[[ゼニイシ]]が直径1cm、[[化石]]種にはもっと大きなものがある。[[深海]]に生息する[[クセノフィオフォラ]]の1種、<i>Syringammina fragillissima</i>は、直径が20cmにもなる。さらに、細胞の仕切がない点だけを問題にするならば、もっと大きいものが存在する。[[藻類]]では、細胞壁があり、さらに細胞内に支える仕組みを持っているものがあり、[[オオバロニア]]は球形で直径3cm以上、[[カサノリ]]は長さ5cm、[[マガタマモ]]は10cmにも達する。[[ミル (海藻)|ミル]]は細かい[[糸状体]]が絡まった構造で1m。さらに[[粘菌]]の変形体は薄く広がるため場合によっては3mを超える。このような大型のものは、細胞内に多数の[[細胞核|核]]を持つ[[多核体]]である。どうやら、単細胞で大きくなることの問題点の一つは、大きくなると核の支配を細胞全体に行き渡らせることが難しい点にもあるらしい。 また、[[乾燥]]への対応も難しいようだ。しかも陸では体を支えるのがさらに困難である。単細胞で大きなものはなく、乾燥に対しては[[休眠]]で耐えるもの以外にはないようである。 ==脚注== <references /> [[Category:生物|たんさいほうせいふつ]] [[Category:原生生物|たんさいほうせいふつ]]
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