単価記号のソースを表示

{{記号文字|@}}
[[File:@@@.svg|right|100px]]
'''@''' は、記号文字の1つである。[[JIS X 0208]]では'''単価記号'''（たんかきごう）という名称が付けられているが、特に日本では'''アットマーク'''という[[通称]]が一般的である。

「@」は本来[[会計]]での略記として多く一般に用いられる記号であり、[[請求書]]で「商品7個 @ $2 = $14」（商品7個 各単価2[[ドル]] 小計14ドル）のように用いられていた。1990年代後半以降、[[レイ・トムリンソン]]により[[電子メール]]の[[メールアドレス]]の中に用いられたことで身近な記号になった。

「[[a]]」の[[丸囲み文字|丸囲み]]「{{interlang|en|ⓐ}}」ではない。

== 名称 ==
[[ANSI]]/[[ITU-T|CCITT]]/[[Unicode]]の文字符号化標準では、「commercial at」が公式名称である。

[[英語]]では俗にat sign、at symbolあるいは単にatなどと呼ばれ、文章中ではat（アット）と読まれる。

各言語で、以下のような俗称がある{{要出典|date=2012年12月}}。
{| class="wikitable"
! 言語 !! 俗称 !! 意味
|-
| {{Flagicon|ITA}} [[イタリア語]] || {{it|chiocciola, chiocciolina}}
| rowspan="3" | [[カタツムリ]]
|-
| {{Flagicon|UKR}} [[ウクライナ語]] ||{{lang|uk|равлик}}
|-
| {{Flagicon|EPO}} [[エスペラント]] || {{lang|eo|heliko}}
|-
| rowspan="2" | {{Flagicon|NED}} [[オランダ語]] || {{nl|apenstaartje}} || [[サル|猿]]の尾
|-
| || 揺れる猿
|-
| {{Flagicon|GRE}} [[ギリシャ語]] || {{el|παπάκι}} || 小さな[[アヒル]]
|-
| {{Flagicon|SWE}} [[スウェーデン語]] || {{lang|sv|kanelbulle}} || [[シナモンロール]]
|-
| {{Flagicon|SLO}} [[スロベニア語|スロヴェニア語]] || {{lang|sl|afna}} || 猿
|-
| {{Flagicon|SVK}} [[スロバキア語|スロヴァキア語]] || rowspan="2" | {{lang|cz|zavináč}} || rowspan="2" | [[ロールモップ]]（巻き[[ニシン]]）
|-
| {{Flagicon|TCH}} [[チェコ語]]
|-
| rowspan="4" | {{Flagicon|CHN}} [[中国語]] || {{zh|愛他}}（アイ・ター） || 彼を愛す
|-
| {{zh|圈a}} ||
|-
| {{zh|花a}} ||
|-
| rowspan="2" style="line-height:2em" | {{zh|小老鼠}} || rowspan="2" | 小さな[[ネズミ|鼠]]
|-
| {{Flagicon|TWN}} [[中国語]]（[[台湾]]）
|-
| {{Flagicon|CHO}} [[朝鮮語]] || {{lang|ko|골뱅이}} || 巻貝
|-
| {{Flagicon|DEN}} [[デンマーク語]] || {{lang|da|snabel-a}} || [[ゾウ|象]]の鼻のa
|-
| {{Flagicon|DEU}} [[ドイツ語]] || {{de|Klammeraffe}} || [[クモザル]]
|-
| {{Flagicon|JPN}} [[日本語]] || colspan="2" | [[なると]]<!--あいまいさ回避へのリンクになっていますが、リンク先が「鳴門巻き」では説明になりませんので、修正しないでください-->
|-
| {{Flagicon|NOR}} [[ノルウェー語]] || {{lang|no|krøllalfa}} || カールした[[α]]（アルファ）
|-
| {{Flagicon|HUN}} [[ハンガリー語]] || {{lang|hu|kukac}} || [[蠕虫]]
|-
| {{Flagicon|FIN}} [[フィンランド語]] || {{lang|fi|miukumauku}} || [[ネコ|猫]]の鳴き声
|-
| {{Flagicon|BUL}} [[ブルガリア語]] || {{lang|bg|маймунка}} || 小さな猿
|-
| {{Flagicon|ISR}} [[ヘブライ語]] || {{lang|he|שטרודל}} || [[シュトゥルーデル]]
|-
| {{Flagicon|POL}} [[ポーランド語]] || {{lang|pl|małpa}} || 猿
|-
| {{Flagicon|RUS}} [[ロシア語]] || {{ru|собака, собачка}} || [[イヌ|犬]]
|-
| rowspan="2" | {{Flagicon|VNM}} [[ベトナム語]] || {{lang|vn|a còng}} || 湾曲した a
|-
| {{lang|vn|a móc}} || 鈎付きの a
|}

== 起源 ==
{{出典の明記|section=1|date=2011年8月}}

[[File:Ariza1448-2.jpg|thumb|1448年の文書でアローバの記号として使われた @]]
[[File:1674 liten.jpg|thumb|1674年のフランス語文書で {{fr|à}} として使われた @]]
[[File:At-sign evolution.svg|thumb|{{fr|à}} 説に基づく @ の起源]]

起源にはいくつかの説がある。
* ギリシャの水量の単位＠から来ている。
* [[ラテン語]]の「[[アンフォラ]]」（取っ手が付いた[[壺|ツボ]]）という意味の記号である。1つの「アンフォラ」に入る量が「1アンフォラ」とされ、その後に単価を表すマークになった。
* [[スペイン語]]圏・[[ポルトガル語]]圏の質量の単位[[アローバ]] ({{es|arroba}}) の記号。1448年の[[アラゴン]]や、1537年の[[ヴェネツィア]]に用例がある<ref>{{cite news| url=http://www.guardian.co.uk/international/story/0,3604,348744,00.html | work=The Guardian | location=London | title=Merchant@Florence Wrote It First 500 Years Ago | first=Philip | last=Willan | date=2000-07-31 | accessdate=2010-04-25}}</ref>。
* ラテン語の[[前置詞]] {{la|ad}}（英語の {{en|at}} にあたる接頭字）の[[合字]]。
* [[フランス語]]の前置詞 {{fr|à}}（英語の {{en|at}} にあたる）の変形。
* [[英語]]の {{en|each at}} から、e と a の合字。

== 意味 ==
=== 単価 ===
たとえば @$300 と書いて、単価（1個の価格）が300[[ドル]]であることを意味する。ただし英単語の {{en|at}} の意味は「単価」ではなく「～の値段で」で、単価300ドルは正確には {{en|at $300 apiece}} などという。

=== メールアドレス ===
現在では、atの代わりに幅広く使われだしており、特に、[[インターネット]]の[[電子メール]]の[[メールアドレス|アドレス]]で、ユーザ名と[[ドメイン名]]を分けるのに使われる。これは、1971年、[[レイ・トムリンソン]]が、前述のように単価を表す文字として使われていた@を「このユーザーは、ローカルマシン上（at the local machine）ではなく、他のホスト上（at another host）に居る」と言う意味を込めるために採用したことに始まる<ref>http://openmap.bbn.com/~tomlinso/ray/firstemailframe.html</ref>。

=== 自然言語 ===
* 英単語の at の略記に使う。
* メールアドレスでの用法から派生し、[[自然言語]]でも、電子メール中などで「人名@企業・団体名」というような使い方をすることがある。
* 特に[[アメリカ合衆国|アメリカ]]では、スポーツ競技の[[ホーム・アンド・アウェー|ホームアンドアウェイ]]での対戦カードを「アウェイチーム@ホームチーム」で表記することが多い。これは、アウェイチームから見て「相手チームのホームで (at) 試合をする」という意味がある。
* [[Leet]]では「[[a]]」の代わりに使うことがある（「at」のこともある）。
* 日本語では、at（アト）にかけた[[インターネットスラング]]として、「あと」を意味する。例えば、「@3日」は「あと3日」。
* [[スペイン語]]・[[ポルトガル語]]などでは、[[名詞]]の[[母音]]が男[[性 (文法)|性形]]なら -o- ・女性形なら -a- となるとき通性形として -@- を使う。たとえば、amig@sは「amigos（男の友達）またはamigas（女の友達）」を意味する。
* [[File:Atletter.svg|thumb|@の大文字と小文字]] [[コアリブ語]] ({{interlang|en|Koalib language}}) の[[正書法]]では、[[ラテン文字]]の1つとして[[アラブ語]]からの[[借用語]]に使われる。@の[[大文字]]も使う<ref>[http://www.linguistics.berkeley.edu/sei/UTCReports/UTCNov2004.pdf Unicode Technical Meeting #101, 15 -18 November 2004, Cupertino, California]</ref>。文字としての@の大文字・小文字は、[[国際SIL]]によりUnicodeの私用領域に[[外字]]として登録されたが<ref>http://scripts.sil.org/cms/scripts/page.php?site_id=nrsi&item_id=CharisSIL_Technical</ref>、Unicodeには採用されていない。

=== 記法 ===
* [[化学式]]では内包を表す。例えばN@C{{sub|60}}は、C{{sub|60}}（[[フラーレン]]）の中にN（[[窒素]]原子）が入った[[分子]]を表す。
* [[SAMPA]]や[[XSAMPA]]では {{IPA|[[ə]]}} を表す。
* [[スウォッチ・インターネットタイム]]では、時刻を示すプレフィックスとして用いられる。「@500.00」のように時刻を表記する。

=== プログラミング言語等 ===
* [[Pascal]]では、[[アドレス演算子]]「↑」の別表記である。
* [[Perl]]では、[[配列]][[変数 (プログラミング)|変数]]プレフィックスである。例えば、$a は普通のスカラー変数なのに対し、@a は配列変数である。
* [[Ruby]]では、@は[[インスタンス変数]]プレフィックス、@@は[[クラス変数]]プレフィックスである。
* [[Twitter]]では、リプライ（特定のユーザに向けているが公開される発言）の最初に「@ユーザ名」を付ける（例: @utadahikaru ツイート本文）。

== 符号位置 ==
=== Unicode・JIS ===
{| class="wikitable" style="text-align: center;"
!記号!![[Unicode]]!![[JIS X 0213]]!![[文字参照]]!!名称
{{CharCode|64|0040|1-1-87|Commercial At<br />アットマーク}}
{{CharCode|65131|FE6B||Small Commercial At}}
{{CharCode|65312|FF20|1-1-87|アットマーク（全角）}}
|}

=== モールス符号 ===
[[国際電気通信連合]]は[[2004年]][[5月3日]]、国際[[モールス符号]]表に@を追加することを承認した。符号は・－－・－・。

== 評価 ==
[[ニューヨーク近代美術館]] (MoMA) は[[2010年]][[3月22日]]、建築・デザイン部門の永久コレクションに@を追加した。
[http://www.moma.org/explore/inside_out/2010/03/22/at-moma/ @ at MoMA]

== 出典 ==
{{reflist}}

{{Commonscat|At sign}}

{{punctuation marks|@}}

{{DEFAULTSORT:たんかきこう}}
[[Category:約物]]
[[Category:電子メール]]
[[Category:ラテン文字|AT]]