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[[数学]]、とくに[[位相幾何学]]において、''n'' 次元の'''単体'''(たんたい、''simplex'')とは、「''r'' ≤ ''n'' ならばどの ''r'' + 1 個の点も ''r'' − 1 次元の超平面に同時に含まれることのない」ような ''n'' + 1 個の点からなる集合の凸包のことで、[[点]]・[[線分]]・[[三角形]]・[[四面体]]といった基本的な図形の ''n'' 次元への一般化である。<!--位相多様体の三角形分割(単体分割)などにも言及できると良いのだけれど--> 単体は、頂点の位置さえ決めればそれのみによって一意的に決定される。さらに単体は[[単体的複体]]や[[鎖複体]]などの概念を与えるが、これらはさらに抽象化されて、幾何学を[[組合せ論的位相幾何学|組合せ論的]]あるいは[[代数的位相幾何学|代数的]]に扱う道具となる。また逆に、抽象化された複体の概念から単体が定義される。 == 素朴な定義 == ''r'' + 1 個の点(の位置ベクトル) '''a'''<sub>0</sub>, '''a'''<sub>1</sub>, ..., '''a'''<sub>''r''</sub> があり、これらすべての点が '''R'''<sup>''n''</sup> の ''r'' − 1 次元以下の部分空間に含まれることはない(これを'''一般の位置にある'''という)ものとする。このとき、 :<math>\left\{ \sum_{i=0}^r \lambda_i \mathbf{a}_i \mid \lambda_i \in \mathbb{R}, \ \sum_{i=0}^r \lambda_i=1,\ \lambda_0, \dots, \lambda_r \ge 0 \right\}</math> を、'''a'''<sub>0</sub>, '''a'''<sub>1</sub>, ..., '''a'''<sub>''r''</sub> によって生成される(あるいは張られる) ''r'' 次元'''単体 ''' (''r''-dimentional ''simplex'') あるいは単に ''r'' '''単体''' (''r''-''simplex'') という。また、'''a'''<sub>0</sub>, '''a'''<sub>1</sub>, ..., '''a'''<sub>''r''</sub> をこの単体の'''頂点''' (vertex) といい、''V'' = {'''a'''<sub>0</sub>, '''a'''<sub>1</sub>, ..., '''a'''<sub>''r''</sub>} を頂点集合とよぶ。 二つの単体が頂点を共有し、一方が他方に含まれるとき、含まれる単体を他方の単体の'''面''' (''face'') であるという。特に、''m'' 次元単体であるような面を ''m'' 次元の面 (''m''-''face'') という。たとえば、頂点は 0 次元面である。また特に 1 次元面を'''辺'''と呼び、余次元 1 の面を'''ファセット'''(''facet''、切子面)と呼ぶ(ここで「余次元」というのは、含む単体の次元とその面の次元との差のことである)。 == 例 == * 0 次元単体は、点。 * 1 次元単体は、線分。 * 2 次元単体は、三角形。 * 3 次元単体は、四面体。 * 4 次元単体は、五胞体。 == 性質 == * 頂点の位置ベクトルが '''a'''<sub>0</sub>, '''a'''<sub>1</sub>, ..., '''a'''<sub>''r''</sub> で与えられる ''r'' 次元単体の容積(volume, ''r'' 次元体積)は[[行列式]] det を用いて以下のように与えられる: *:<math>{1\over r!}\det( \mathbf{a}_0 - \mathbf{a}_1, \mathbf{a}_1 - \mathbf{a}_2, \ldots, \mathbf{a}_{r-1} - \mathbf{a}_r ).</math> * 単体は凸な図形であり、一般の位置にある頂点の組を与えれば、その頂点を含む''最小の凸図形''([[凸包]])として一意に決定される。また、単体の頂点集合から幾つかの頂点を選ぶならば、選んだ頂点の張る単体はもとの単体に面として含まれる。これらの性質から、単体(一般に複体)は[[組合せ論]]的対象となる。特に ''n'' 次元単体(''n+1''個の頂点をもつ)の ''r'' 次元面(''r+1''個の頂点をもつ)の総数は、[[組合せ]]の数 <sub>''n+1''</sub>C<sub>''r+1''</sub> である。 == 抽象化 == 単体は頂点集合の凸包であるということ、単体の面は頂点集合の部分集合を選ぶことと対応しているという性質から、「頂点集合を決めれば、単体はそれが含む全ての面とその包含関係まで込めて特定される」ことが理解される。もう少し正確には、単体が他の単体に面として含まれることを'''面関係''' (face relation) と呼ぶことにすると、「ある単体の面全体の成す集合に面関係による順序を入れたものは、頂点集合の[[冪集合]]が包含関係に関して作る[[順序集合]]とみなすことができる」ということである。 なお、位相幾何学的には凸性はあまり意味を持たないが、各面を連続的に動かして移りあう図形を区別しないため、やはり頂点を決めれば(それらをあらゆる次元ですべて繋ぐことで)単体は一意的に決定され、上と同じことを考えることができる。重要なことは、単体を、それが含む面の全体を考えて、頂点集合の部分集合の族とみなすことである。 == 関連項目 == * [[複体]] {{DEFAULTSORT:たんたい}} [[Category:位相幾何学]] [[Category:多胞体]] [[Category:自己双対多胞体]] [[Category:組合せ論]] [[Category:数学に関する記事]]
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