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千年王国
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{{キリスト教終末論}} '''千年王国'''(せんねんおうこく、[[英語]]:Millenarianism、あるいはMillenarism)は、[[終末論|キリスト教終末論]]の一つ。千年王国説を信じる者は、英語で「millenarian」や「millenary」と呼称されている。 終末の日が近づき、[[神]]が直接地上を支配する千年王国(至福千年期)が間近になったと説く。千年王国に入るための条件である「[[悔い改め]]」を強調する。また、至福の1000年間の終わりには、[[サタン]]との最終戦争を経て[[最後の審判]]が待っているとされる。千年王国に直接言及する聖書の箇所は、[[ヨハネの黙示録]]20章4節から7節。 ==三つの立場== 千年王国に入る時期をめぐって、三つの立場がある。 #[[前千年王国説]](千年期前再臨説-[[イエス・キリスト]]の[[再臨]]の後に千年期があるとする説) #[[後千年王国説]](千年期後再臨説-千年期の後にイエス・キリストが再臨するとする説) #[[無千年王国説]](文字通りの存在ではなく、霊的、天的なものとする説) 1は千年王国を文字通り解釈する。歴史的には[[3世紀]]までの[[初代教会]]がこの立場であった<ref>『子羊の王国』p.175</ref>。キリスト再臨の切迫を強調する傾向が強い。前千年紀説をとる者の多くは、次のように考える。以下は[[患難前携挙説]]の説明である。「まずキリストが空中に再臨し、クリスチャンを空中にひきあげ([[携挙]])、その後大きな困難が地上を襲う([[患難時代]]と呼ばれる)。患難期の最後に[[ハルマゲドン]]の戦いが起こり、そのときキリストは地上に再臨し、サタンと地獄へ行くべき人間を滅ぼし、地上に神が直接統治する王国を建国する。千年が終わった後に新しい天と地(天国)が始まる。」患難前携挙説は[[キリスト教根本主義|キリスト教根本主義者]]のうち、[[ディスペンセーション主義]]の強調点であった。前千年王国説を支持する立場で、患難前携挙説をとらない立場もある。 2は「地上での人間の歴史が進む中でキリスト教化が進み霊的な祝福期間(1000年)に入り、その終わりにキリストが再臨し、最後の審判が行われ、[[サタン]]が滅ぼされる」というものであり、比較的穏健とされたが、二度の大戦を経て廃れた考えである<ref>『聖書の教理』</ref>。だが[[キリスト教再建主義]]の特徴として後千年紀説の強調がある。 3は、[[コンスタンティヌス1世|コンスタンティヌス大帝]]後、[[ローマ帝国]]が国教化し、[[アウグスティヌス]]が『[[神の国]]第2巻』で唱えてから[[カトリック教会|ローマ・カトリック]]で支配的になった考えである<ref>『聖書の教理』</ref>。[[正教会]]、[[プロテスタント]]等、伝統教派は地上の教会が神の国であるとし、前千年王国説を否定している。ただし、アウグスティヌスは初期に前千年王国説を支持していた。 == 新宗教と千年王国 == キリスト教の千年王国説とは区別されてはいるが、[[新宗教]]に独自の千年王国を主張する者がいる。また[[ナチス・ドイツ]]は[[第三帝国]]を千年王国と称したが[[ノーマン・コーン]]等によれば[[マルクス主義]]に千年王国と同様の思想が見られる。この説を受けた三石善吉によれば、中国の[[太平天国の乱]]は元より、仏教の弥勒思想に千年王国思想を刺戟伝播して発生した[[大乗の乱]]等に、千年王国思想<ref>三石善吉 『中国の千年王国』 東京大学出版会</ref>が見られる。千年王国思想は :1. 信徒が享受するもので、 :2. 現世に降臨し、 :3. 近々現れ、 :4. 完璧な世界であり、 :5. 建設は超自然の者による という共通した世界観を持ち、 :a. この世は悪に染まっており、 :b. 全面的に改変する必要があり、 :c. それは人間の力では不可能で、神のような者によらねばならず、 :d. 終末は確実に、そろそろやってきて、 :e. 来るべきミレニアムでは、信徒以外は全員居場所を失う、 :f. そのため、信徒を増やすべく宣伝しなければならない。 という「症状」を伴う。<ref>三石善吉 『中国の千年王国』24頁</ref>これをふまえると、1918年のセイロンの大反乱、1902年のピー・ブンの乱、1930年のサャー・サンの乱、ヴェトナムの宝山奇香も含まれる。というより、「千年王国の影響のない時代を探す方が難しい」(マイケル・バークン)ほどだという。[[安丸良夫]]は、[[出口なお]]の神掛かりによって誕生し大正時代~昭和初期に爆発的発展を遂げた[[新宗教]]「[[大本]]」の原教義は、上記の千年王国思想とよく一致すると指摘する<ref>[[#周縁性の歴史学]]197頁</ref>。[[第一次世界大戦]]以降の大本(当時は皇道大本)は「大正十年立替説」という激烈な[[終末論]]を展開して大反響を引き起こし、[[1921年]](大正10年)の[[大本事件#第一次大本事件|第一次大本事件]]を招いた<ref>[[#周縁性の歴史学]]210-211頁</ref>。弾圧から立ち直った1930年代初頭の大本は教祖[[出口王仁三郎]]の指導により超国家主義運動団体へと変貌する<ref name="周縁性212">[[#周縁性の歴史学]]212頁</ref>。安丸は国家主義的神道説と千年王国救済思想が結びついて発展した大本に対し「日本近代史の特徴を考えるうえで注目に値する」と述べる<ref name="周縁性212"/>。 == 脚注 == {{脚注ヘルプ}} <references /> == 参考文献 == *『聖書の教理』尾山令仁 羊群社 *『子羊の王国』岡山英雄 いのちのことば社 *アンリ・フォシヨン『至福千年』神沢栄三訳、みすず書房 *{{Cite book|和書|author=[[安丸良夫]]|year=1999|month=10|title=一揆・監獄・コスモロジー {{small|周縁性の歴史学}}|publisher=[[朝日新聞社]]|isbn=4-02-257433-x|ref=周縁性の歴史学}}<br/>第Ⅲ章「大本教の千年王国主義的救済思想」 ==関連項目== *[[ヨハネの黙示録]] *[[ミレニアム]] *[[赤い竜]] *[[末法思想]] *[[清教徒革命]] *[[共産主義]] *[[第三帝国]] [[ナチス・ドイツ]] {{デフォルトソート:せんねんおうこく}} [[category:ヨハネの黙示録|せんねんおうこく]] [[Category:キリスト教終末論]]
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