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[[File:ARPESgeneral.png|thumb|300px|角度分解型光電子分光の模式図。]] '''光電子分光'''(こうでんしぶんこう、photoemission spectroscopy)とは、[[固体]]に一定[[エネルギー]]の[[電磁波]]をあて、[[光電効果]]によって外に飛び出してきた[[電子]]([[光電子]]とよばれる)のエネルギーを測定し、固体の電子状態を調べる方法である。測定対象となる物質は主に金属,半導体であり絶縁体はチャージアップの関係から測定には不向きである. 照射する光に[[X線]]を用いるものを[[X線光電子分光]] (XPS) 、[[紫外線]]を用いるものを[[紫外光電子分光]] (UPS) と呼ぶ。XPSは[[元素]]の内殻電子の状態を、UPSは固体の[[状態密度]]を知る目的などで使用される。 また、光電子の運動量まで測定する方法を'''角度分解型光電子分光''' (Angle-resolved Photoemission Spectroscopy, '''ARPES''') という。2009年現在ではエネルギー分解能 150 μeV、角度分解能 0.1°程度の高精度の測定が可能である。 現在、最先端の研究で用いられている光電子分光装置のアナライザーのほとんどは VG Scienta 社のScientaシリーズである。エネルギー、角度分解能に優れるため市場をほぼ独占している。他に旧 Gammadata Scienta 社(現 VG Scienta 社)から独立した MB Scientific社の装置や、[[奈良先端科学技術大学院大学]]の大門寛が開発した2次元光電子分光器 (DIANA) などがある。光電子を放出するための励起光には、おもにヘリウムランプ(主に21.2 eV)やX線管が用いられるが、 [[SPring-8]] などのエネルギー可変の[[シンクロトロン放射光]]による軟X線や硬X線や真空紫外レーザーを用いるものも開発されている。 通常、光電子分光の実験は、試料表面が汚染されないように、超高真空下(10<sup>−8</sup>Pa程度)の環境で行われる。光電子分光は表面敏感なので、測定する試料は十分に表面出しをする必要がある。[[銅]]などの金属単体ではイオンスパッタやエレクトリックボンバードメント、[[グラファイト]]や[[遷移金属]]ジカルコゲナイド等の層状物質では超高真空中でへき開などを行い表面出しをする。これらの表面の状態は事前に[[低速電子回折]] (LEED) や[[反射高速電子線回折]] (RHEED) などで状態を確認する必要がある。 [[カイ・シーグバーン]] (Kai M. Siegbahn) は高分解能光電子分光法の開発で[[1981年]]の[[ノーベル物理学賞]]を受賞している。 == 角度分解光電子分光 == 角度分解光電子分光は物質の[[バンド構造]]を直接測定する手法である。この手法を用いることにより、物質の[[超伝導]]、[[電荷密度波]]などの特性が精力的に研究されている。 通常、[[光電効果]]により[[光電子]]は物質表面から広い立体角で放出する。このとき光電子の放出方向が物質内部での電子の波数に、運動エネルギーが束縛エネルギーに対応する。 == 関連項目 == * [[放射光]] * [[物性物理学]] * [[分光学]] * [[超高真空]] * [[ARPES]] * [[逆光電子分光法]] * [[柴外光電子分光法]] * [[X線光電子分光]] {{DEFAULTSORT:こうてんしふんこう}} [[Category:固体物理学]] [[Category:分析化学]] [[Category:光学]]
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