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'''体液'''(たいえき)は、[[動物]]がなんらかの形で体内に持っている[[液体]]である。生物学的には、動物の体内にあって、組織間や[[体腔]]内、あるいは全身に広がった管や[[循環系]]の中を満たしているものだけを指す。 一般的には、[[唾液]]・[[汗]]・[[精液]]・[[尿]]など、体内外に分泌・排泄される様々な液体も体液と呼ばれることがある。 == 分類 == 体液は大きく'''[[細胞内液]]'''(ICF)と'''[[細胞外液]]'''(ECF)に分けられるが、細胞内液は体液に含まないことが多い。 細胞外液には、血液やリンパ液、血管の外の細胞間を満たす'''組織液'''、および体腔内の'''体腔液'''などが含まれる。 === 狭い意味での体液 === *[[血液]] *[[リンパ液]] *[[組織液]](組織間液、細胞間液、間質液) *体腔液 **漿膜腔液 ***胸水 ***[[腹水]] ***心嚢液 **[[脳脊髄液]](髄液) **関節液(滑液) **眼房水(房水)(→[[眼圧]]) === ときに体液と呼ばれるもの === *消化液 **[[唾液]] **[[胃液]] **[[胆汁]] **[[膵液]] **[[腸液]] *[[汗]] *[[涙]] *[[鼻水]] *[[尿]] *[[精液]] *[[膣液]] *[[羊水]] <!-- 母胎にとっては体腔液? 羊膜で囲ってはあるが、体外でしょう。 なるほど。 --> *[[乳|乳汁]] == 体液量 == {| class="wikitable" style="float:right" |+ 体重70Kgの男性の体液の内訳<ref>[http://www.jhf.or.jp/senmoni/q&a/na.html 血圧と血中ナトリウム量の関係について教えてください(日本心臓財団)]</ref> |- |rowspan="3" |全水分量42ℓ |rowspan="2" |[[細胞外液]]14ℓ |[[血漿]](血管内)2.8ℓ |- |[[間質液]]11.2ℓ |- | colspan="2" |[[細胞内液]]28ℓ |} ヒトの成人男性において、健常時の全体液(細胞内液+細胞外液)は体重の60%を占める。 内訳は、体重に対して細胞内液が40%、組織液が15%、血液([[血漿]]のみ)・リンパ液が4.5%・体腔液などが0.5%である。 [[脂肪]]組織はほとんど水を含まないため、男性に比べて脂肪が多い成人女性では、体重に対する体液の比率が小さくなる(男性の8割ほど)。 体液比は年齢とともに減少していく。新生児で最も高く約78%であるが、これは細胞外液量が多いためである。4歳くらいで成人とほぼ同じ比率になる。一方、老人の体液比は約50%で、これは細胞内液量が減少したことによる。 === 体液量の測定法 === 生体の水分代謝の異常を知るためには体液量を測定する必要がある。 日常的には、尿量や尿比重、血液組成などから体液量を推測する間接的な方法を用いるが、より正確に知りたい場合には直接的な方法で測定する。 直接法の中で臨床的に使われる方法としては希釈法がある。これは、すみやかに体内に拡散して代謝や排泄が行われにくい標識物質を一定量投与し、平衡状態に達したときの濃度から各体液量を算出する方法である。 全体液量の測定には、標識物質として細胞内外に均一に分布する[[アンチピリン]]や[[重水]]が使用される。また細胞外液量測定には、細胞内に移行しない[[イヌリン]]、[[マンニトール]]、[[チオ硫酸]]塩、[[チオシアン酸ナトリウム]]などが標識物質となる。細胞内液量は直接測定できないため、全体液量と細胞外液量との差から求める。 血液量の測定には、[[アルブミン]]と結合して血中に長時間残留する色素Evans blueや、<sup>51</sup>[[クロム|Cr]]などの[[放射性同位体|放射性同位元素]]を用いる。組織液量も直接測定できないため、細胞外液量と血液量の差から求める。 == 体液の組成 == 細胞内液は[[細胞質基質]]として、生命活動の基本となるさまざまな代謝の場となる。 その組成は細胞の種類によってさまざまであるが、[[電解質]]に関しては[[陽イオン]]として[[カリウム]]イオン、[[陰イオン]]として[[リン酸]]イオンと[[タンパク質]]が多い。 一方、細胞外液は細胞が生きるための環境である。 陽イオンとして[[ナトリウム]]イオン、陰イオンとして塩化物イオンが多く含まれ、ほぼ0.9%の[[食塩水]]である('''生理的食塩水''')。これは、生命が生まれた当時の海の環境を体の中に持ち込んだものとみなせるため、内部環境とも呼ばれる。 これらの電解質バランスは一定に保たれ、細胞の[[浸透圧]]が維持されている。 またその濃度勾配は、[[神経細胞]]の興奮や[[筋肉]]の収縮などの際に[[活動電位]]を生じさせるために必要となる。 ==脚注== <references /> == 関連項目 == *[[体液説]] *[[循環系]] *[[輸液]] == 参考文献 == *『岩波生物学辞典』第4版 *金井正光編 『臨床検査法提要』改訂第32版 [[Category:体液|*]]
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