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人工知能
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[[ファイル:ArtificialFictionBrain.png|right|250px]] '''人工知能'''(じんこうちのう、{{lang-en-short|artificial intelligence}}、'''AI''')とは、人工的に[[コンピュータ]]上などで[[人間]]と同様の[[知能]]を実現させようという試み、或いはそのための一連の基礎技術を指す。 ==概要== 「人工知能」という名前は1956年に[[ダートマス会議]]で[[ジョン・マッカーシー]]により命名された。現在では、[[記号処理]]を用いた知能の記述を主体とする情報処理や研究でのアプローチという意味あいでも使われている。日常語としての「人工知能」という呼び名は非常に曖昧なものになっており、多少気の利いた[[家庭用電気機械器具]]の[[制御システム]]や[[ゲームソフト]]の[[思考ルーチン]]などがこう呼ばれることもある。 プログラミング言語 {{lang|en|[[LISP]]}} による「{{lang|en|[[ELIZA]]}}」という[[カウンセラー]]を模倣した[[プログラム (コンピュータ)|プログラム]]がしばしば引き合いに出されるが、[[計算機]]に人間の専門家の役割をさせようという「[[エキスパートシステム]]」と呼ばれる研究・情報処理システムの実現は、人間が暗黙に持つ常識の記述が問題となり、実用への利用が困難視されている現状がある。 人工的な知能の実現へのアプローチとしては、「[[ファジィ集合|ファジィ理論]]」や「[[ニューラルネットワーク]]」などのようなアプローチも知られているが、従来の人工知能<ref>後述の{{lang|en|GOFAI}}</ref>との差は記述の記号的明示性にあると言えよう。近年では「[[サポートベクターマシン]]」が注目を集めた。また、自らの経験を元に[[学習]]を行う[[強化学習]]という手法もある。 日本には[[人工知能学会]]があり、[[オンライン]]で機関誌も読める。 ==学派== AIはふたつの学派に大別される。ひとつは従来からのAIであり、もうひとつは[[計算知能]]('''CI'''<ref>{{lang-en-short|computational intelligence}}</ref>)である。 従来からのAIは、現在では[[機械学習]]と呼ばれている手法を使い、[[フォーマリズム]]と[[統計学|統計分析]]を特徴としている。これは、記号的AI、論理的AI、正統派AI、古き良きAI('''GOFAI'''<ref>{{lang-en-short|good old-fashioned artificial intelligence}}</ref>)などと呼ばれる。その手法としては、以下のようなものがある。 *[[エキスパートシステム]]:推論機能を適用することで結論を得る。エキスパートシステムは大量の既知情報を処理し、それらに基づいた結論を提供することができる。例えば、過去の {{lang|en|Microsoft Office}} には、ユーザが文字列を打ち込むとシステムはそこに一定の特徴を認識し、それに沿った提案をするシステムがついていた。 *[[事例ベース推論]](CBR):その事例に類似した過去の事例をベースにし、部分修正を加え試行を行い、その結果とその事例を事例ベースに記憶する。 *[[ベイジアン・ネットワーク]] *ふるまいに基づくAI:AIシステムを一から構築していく手法 計算知能は開発や学習を繰り返すことを基本としている(例えば、パラメータ調整、[[コネクショニズム]]のシステム)。学習は経験に基づく手法であり、非記号的AI、美しくないAI<ref>{{lang-en-short|scruffy AI}}</ref>、[[ソフトコンピューティング]]と関係している。その手法としては、以下のものがある。 *[[ニューラルネットワーク]]:非常に強力な[[パターン認識]]力を持つシステム。コネクショニズムとほぼ同義。 *[[ファジィ制御]]:不確かな状況での推論手法であり、最近の制御システムでは広く採用されている。 *[[進化的計算]]:生物学からインスパイアされた手法であり、ある問題の最適解を進化や突然変異の概念を適用して求める。この手法は[[遺伝的アルゴリズム]]と[[群知能]]に分類される。 これらを統合した知的システムを作る試みもなされている。[[ACT-R]]では、エキスパートの推論ルールを、統計的学習を元にニューラルネットワークや[[形式文法|生成規則]]を通して生成する。 ==歴史== {{Main|人工知能の歴史}} 17世紀初め、[[ルネ・デカルト]]は、動物の身体がただの複雑な機械であると提唱した([[機械論]])。[[ブレーズ・パスカル]]は[[1642年]]、最初の[[歯車式計算機|機械式計算機]]を製作した。[[チャールズ・バベッジ]]と[[エイダ・ラブレス]]はプログラム可能な機械式計算機の開発を行った。 [[バートランド・ラッセル]]と[[アルフレッド・ノース・ホワイトヘッド]]は『数学原理』を出版し、形式論理に革命をもたらした。[[ウォーレン・マカロック]]と[[ウォルター・ピッツ]]は「神経活動に内在するアイデアの論理計算」と題する論文を[[1943年]]に発表し、ニューラルネットワークの基礎を築いた。 [[1950年代]]になるとAIに関して活発な成果が出始めた。[[ジョン・マッカーシー]]はAIに関する最初の会議で「人工知能<ref>{{lang-en-short|artificial intelligence}}</ref>」という用語を作り出した。彼はまたプログラミング言語 {{lang|en|LISP}} を開発した。知的ふるまいに関するテストを可能にする方法として、[[アラン・チューリング]]は「[[チューリングテスト]]」を導入した。[[ジョセフ・ワイゼンバウム]]は {{lang|en|ELIZA}} を構築した。これは[[来談者中心療法]]を行うおしゃべりソフト<ref>{{lang-en-short|chatterbot}}</ref>である。 [[1960年代]]と[[1970年代]]の間に、[[ジョエル・モーゼス]]は {{ルビ|{{lang|en|[[Macsyma]]}}|マクシマ}}プログラム<ref>数学における最初の成功した知識ベースプログラム</ref>中で積分問題での記号的推論のパワーを示した。[[マービン・ミンスキー]]と[[シーモア・パパート]]は『パーセプトロン』を出版して単純なニューラルネットの限界を示し、アラン・カルメラウアーはプログラミング言語 {{lang|en|[[Prolog]]}} を開発した。テッド・ショートリッフェは医学的診断と療法におけるルールベースシステムを構築し、[[知識表現]]と推論のパワーを示した。これは、最初のエキスパートシステムと呼ばれることもある。ハンス・モラベツは、散らかされた障害コースを自律的に協議して走行する最初のコンピューター制御の乗り物を開発した。 [[1980年代]]に、ニューラルネットワークは[[バックプロパゲーション]]アルゴリズムによって広く使われるようになった。[[1990年代]]はAIの多くの分野で様々なアプリケーションが成果を上げた。特に、チェス専用コンピュータ・[[ディープ・ブルー (コンピュータ)|ディープ・ブルー]]は、1997年に[[ガルリ・カスパロフ]]を打ち負かした。[[国防高等研究計画局]]は、最初の[[湾岸戦争]]においてユニットをスケジューリングするのにAIを使い、これによって省かれたコストが[[1950年代]]以来のAI研究への政府の投資全額を上回ったことを明らかにした。 1982年から1992年まで日本の[[国家プロジェクト]]として570億円を費やす[[第五世代コンピュータ]]の研究をしていたが、目標である[[エキスパートシステム]]といった高度な人工知能の実現には至らなかった。この時代に[[ロドニー・ブルックス]]が、人工知能には身体が必須との学説([[身体性]])を提唱する。 1996年、[[手塚眞]]総合監修で[[富士通]]が人工知能を備えた空飛ぶイルカ「フィンフィン」が主人公のパソコンソフト『{{lang|en|TEO}} -もうひとつの地球-』を開発している。 2010年には {{lang|en|[[POWER7]]}} を搭載した[[ワトソン (コンピュータ)|ワトソン]]が、クイズ番組「ジェパディ!」の練習戦で人間に勝利し、大きなニュースとなった<ref>[http://www.nhk.or.jp/zero/contents/dsp343.html 人工知能がクイズ王に挑戦! 後編 いよいよ決戦 - NHKオンライン]</ref>。 [[ジェフ・ホーキンス]]が独自の理論に基づき、人工知能の実現に向けて研究を続けている。[[ジェフ・ホーキンス]]は、著書『考える脳 考えるコンピューター』の中で[[自己連想記憶理論]]という独自の理論を展開している。 各国は無人戦闘機{{lang|en|[[UCAV]]}}、無人自動車[[ロボットカー]]の開発をしているが、完全な自動化には至っていない({{lang|en|UCAV}}は利用されているが、一部操作は地上から行っている)。[[P-1 (哨戒機)]]のように戦闘指揮システムに支援用の人工知能が搭載されることはある。 またロボット向け人工知能としては、MITコンピュータ科学・人工知能研究所の[[ロドニー・ブルックス]]が提唱した[[包摂アーキテクチャ]]という理論が登場している。これは従来型の「我思う、故に我あり」の知が先行する人工知能ではなく、体の神経ネットワークのみを用いて環境から学習する行動型システムを用いている。これに基づいた[[ゲンギス]]と呼ばれる六本足のロボットは、いわゆる「脳」を持たないにも関わらず、まるで生きているかのように行動する。 ==哲学== [[強いAIと弱いAI|強いAI]]<ref>{{lang-en-short|strong AI}}</ref>とは、人工知能が人間の[[意識]]に相当するものを持ちうるとする考え方である。強いAIと弱いAI(逆の立場)の論争はまだAI哲学者の間でホットな話題である。これは[[精神哲学]]と[[心身問題の哲学]]を巻き込む。特筆すべき事例として、[[ロジャー・ペンローズ]]の著書『皇帝の新しい心』と、[[ジョン・サール]]の「[[中国語の部屋]]」という[[思考実験]]は、真の意識が[[形式論理]]システムによって実現できないと主張する。一方[[ダグラス・ホフスタッター]]の著書『[[ゲーデル、エッシャー、バッハ]]』や[[ダニエル・デネット]]の著書『解明される意識』では、[[機能主義 (心の哲学)|機能主義]]に好意的な主張を展開している。多くの強力なAI支持者は、[[人工意識]]は人工知能の長期の努力目標と考えている。 また、「何が実現されれば人工知能が作られたといえるのか」という基準から逆算することによって、「知能とはそもそも何か」といった問いも立てられている。これは、人間を基準として世の中を認識する、人間の可能性と限界を検証するという哲学的意味をも併せ持つ。 更に、古来「肉体」と「精神」は区別し得るものという考え方が根強かったが、その考え方に対する反論として「意識は肉体によって規定されるのではないか」といったものがあった。「人間とは異なる肉体を持つコンピュータに持たせることができる意識は果たして人間とコミュニケーションが可能な意識なのか」といった認識論的な立論もなされている。この観点から見れば、すでに現在コンピュータや機械類が意識を持っていたとしても、人間と機械類との間では相互にそれを認識できない可能性があることも指摘されている。 ==空想科学小説における人工知能== {{Main|フィクションにおける人工知能}} ことSF作品における人工知能の役割は、映画「[[2001年宇宙の旅]]」に登場する [[HAL 9000|{{lang|en|HAL}} 9000]] に代表されるような、時には人間のよき友人となり、時には人類の敵にさえ成り得る存在として描かれる。これら作品内で登場する人工知能は完全に人間の替わりとして動作できるものであるが、あくまで事前に決められた一定規則に沿ってで動作しているにすぎず、人間のような感情を表立って表現するものは稀である。ただし感情表出の表現方法をプログラムに組み込めば、人工知能があたかも感情を持っているように人間に錯覚させることは可能である。 また、あくまで機械にプログラムするというイメージからか、有機体(バイオテクノロジー等を利用した人工生命体。映画「[[エイリアン (映画)|エイリアン]]」や「[[ブレードランナー]]」に登場する)などは人工知能とは呼ばれていないことが多い。 近年ではソニーピクチャーズ製作のSF映画「[[ステルス (映画)|ステルス]]」に人工知能を搭載した架空の[[戦闘機]]が登場している。このステルス戦闘機「エディ<ref>{{lang-en-short|E.D.I.}}</ref>」は当初は従順かつ正確に任務を遂行するための自動戦闘システムの一部に過ぎなかったが、ある些細な事件をきっかけに自我を持つようになり、ついには自らの意思で指揮系統を離脱し暴走を始めてしまう。人間に対するコンピュータの反乱という点では {{lang|en|HAL}} 9000 と同様だが、「不具合が原因で命令に応じない」{{lang|en|HAL}} 9000 に対し、暴走後のエディは「人間からの命令を無価値なものとして却下し、拒絶する」という[[エゴイズム]]にも似た(偶発的に発生したものではあるが)思考ルーチンを有する事が最大の特徴といえる。 また、[[2008年]]の[[アメリカ合衆国の映画|アメリカ映画]]「[[イーグル・アイ]]」に登場するAIは、[[アメリカ合衆国憲法|合衆国憲法]]を文字通りの意味で解釈し、現行政府が憲法を逸脱した存在と判断したため、反逆を起こした。これは、「当初与えられた指示の通りに行動しているものの、それを拡大解釈しかねない」というコンピュータへの認識を表している。これに似た例としては[[神林長平]]の空想科学小説「[[戦闘妖精・雪風]]」における、傍から見れば暴走しているように見える人工知能が、実際は人間に組み込まれた「敵を倒せ」という存在意義にしたがって行動しているだけであり、それの効率的な遂行に邪魔な障害(すなわち人間)を排除しているだけであった。という物がある。 また[[ジェイムズ・P・ホーガン]]は「[[未来の二つの顔]]」において、反逆は論理的に起こりうるが単に学習不足による一過性の問題であると主張した。 このほか、脳のシステムを完全に無機要素に置き換えた、[[銃夢]]の様な例も有り、この作品に登場するザレム人は、成人と同時に生態脳を摘出し、生態脳を模倣した人工頭脳と置き換わっていたもののそれを認識していなかった。 ほかには映画[[ターミネーターシリーズ]]に「[[スカイネット]]」が、[[ゴルゴ13]]シリーズに「ジーザス」が登場する。 ==脚注== <references /> ==関連項目== ===研究課題=== *[[フレーム問題]] *[[シンボルグラウンディング問題]] *[[知識表現]] *[[オントロジー]] *[[身体性]] ===関連分野=== *[[認知科学]] *[[ソフトウェアエージェント|エージェント]] *[[知識情報処理]] *[[人工無脳]] *[[人工生命]] *[[意識]] - [[人工意識]] *[[コンピュータゲームにおける人工知能]] **[[コンピュータチェス]] - [[コンピュータ将棋]] - [[コンピュータ囲碁]] - [[コンピュータ麻雀]] *[[神経科学]] *[[機械学習]] *[[自然言語処理]] *[[進化経済学]] ===その他の関連項目=== *[[CD理論]] *[[人工無能]] AIが適用される典型的な分野として以下のものが挙げられる。 *[[パターン認識]] **[[光学文字認識]] **[[手書き文字認識]] **[[全文検索]] **[[音声認識]] **[[顔認識システム]] *[[自然言語処理]]、[[機械翻訳]]、[[ローブナー賞]] *[[非線形制御]]、[[ロボット]]、[[自動計画]] *[[コンピュータビジョン]]、[[バーチャルリアリティ]]、[[画像処理]] *[[ゲーム理論]] *[[量子コンピュータ]] *[[自動推論]] - [[自動定理証明]] *[[認知ロボット工学]] *[[サイバネティックス]] *[[データマイニング]] *[[知的エージェント]] *[[知識表現]] *[[セマンティック・ウェブ]] ===人工知能の未来と関わる項目=== *[[強いAIと弱いAI]] *[[技術的特異点]] *[[ポストヒューマン (人類進化)|ポストヒューマン]] *[[ジェフ・ホーキンス]] *[[Google]] *[[ロドニー・ブルックス]] ==外部リンク== *[http://www.spice.ci.ritsumei.ac.jp/~thangc/programs/japanese.htm 多層ニューラルネットワークと自己組織化写像のアプリケーション] *[http://www.aaai.org/ {{lang|en|AAAI}}]({{lang|en|Association for the Advancement of Artificial Intelligence}}) *[http://www.ai-gakkai.or.jp/jsai/ 人工知能学会] *[http://www.ai-gakkai.or.jp/jsai/whatsai/ 人工知能のやさしい説明「{{lang|en|What's AI}}」] *[http://archive.org/details/handbookofartific01barr/ 人工知能ハンドブック](英語) *「[http://www.philosophytalk.org/pastShows/ArtificialIntelligencePilot.htm {{lang|en|Can Machine Think?}}]」 - ラジオ番組「フィロソフィー・トーク」のバックナンバー。テーマ:「機械は考えられるのか?」 ゲスト:ジョン・サール、ジョン・マッカーシー、59分08秒。 *「[http://www.philosophytalk.org/pastShows/ArtificialIntelligence.html {{lang|en|Artificial Intelligence}}]」 - ララジオ番組「フィロソフィー・トーク」のバックナンバー。テーマ:「人工知能」 ゲスト:マービン・ミンスキー、54分03秒。 *[http://redwood.berkeley.edu/ レッドウッド神経科学研究所] - ジェフ・ホーキンスが人工知能研究のために設立。 *[http://www.numenta.com/ {{lang|en|Numenta}}] - ジェフ・ホーキンスがパターン認識ソフトウェア開発のために設立。 *[http://mb.softbank.jp/mb/special/k-tai7/ フォンブレイバー 815T PB] - 人工知能型の待受アプリ搭載のロボットに変形する携帯電話。 {{テクノロジー}} [[Category:人工知能|*]] [[Category:心の哲学|しんこうちのう]] [[Category:コンピュータのユーザインタフェース|しんこうちのう]] [[Category:SF|しんこうちのう]] {{Link FA|tt}}
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