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[[File:Mitsui Seiichiro.jpg|thumb|200px|三井清一郎]]
'''三井 清一郎'''（みつい せいいちろう、[[慶応]]3年[[6月19日 (旧暦)|6月19日]]（[[1867年]][[7月20日]]） - [[1949年]][[11月30日]]）は、[[石川県]]出身の[[日本]]の[[大日本帝国陸軍|陸軍]][[軍人]]・[[政治家]]（[[貴族院議員]]）である。[[従三位]][[勲等|勲一等]]で、元[[金鵄勲章|功四級]][[中将|陸軍主計中将]]。[[宇垣一成]][[陸軍省|陸相]]の下で[[宇垣軍縮]]を断行した[[陸軍省#経理局|陸軍省経理局長]]である。

== 陸軍経理部士官になるまで ==
[[能登国]][[鹿島郡]]笠師村（現石川県[[七尾市]]中島町地区）に生まれる。兄には[[議会|石川県会]][[議長|副議長]]となった三井亥三郎などがいる。

[[陸軍士官学校 (日本)|陸軍士官学校]]本科を[[卒業]]（士官候補生第6期）し、明治28年（[[1895年]]）に陸軍[[歩兵]][[少尉]]に任じられる。その後、[[大尉|陸軍歩兵大尉]]となり、[[近衛歩兵第1連隊]][[中隊]]長に補せられる。明治35年（[[1902年]]）には、[[歩兵科]]から[[兵科|経理部]]に転科し、陸軍一等副監督（[[大尉]]相当官）に転ずる。なお、明治36年（[[1903年]]）11月30日に経理部士官の階級名が変更される。

その後は経理部[[士官]]として順調に昇進する。陸軍糧秣敞員、陸軍被服敞大阪支敞長、[[第4師団 (日本軍)|第4師団]]経理部員、[[第1師団 (日本軍)|第1師団]]経理部員などに補せられる。

大正3年（[[1914年]]）[[5月11日]]に陸軍被服本廠長に補せられる。陸軍被服本廠長時代には、同廠付一等[[軍医]]（大尉相当官）が[[赤痢|赤痢病]]患者の発生届出を遅滞した事件（[[伝染病予防法]]違犯）につき大正3年[[12月5日]]に同一等軍医に対して軽謹慎2日の[[懲戒処分]]を行っている。また、大正6年（[[1917年]]）[[9月10日]]に[[皇太子]][[裕仁親王]]（後の昭和天皇）が陸軍被服本廠を行啓した際には奉迎を行っている。陸軍被服本廠長時代の大正3年[[12月25日]]に、陸軍一等主計正（[[大佐]]相当官）に昇任する。

大正6年[[10月8日]]に[[陸軍省]]経理局衣糧課長に補せられる。大正7年（[[1918年]]）1月21日から同年2月26日にかけて[[第4師団 (日本軍)|第4師団]]臨時戦用品検査の検査官首座となっている。

大正8年（[[1919年]]）[[4月1日]]に、主計監（[[少将]]相当官）に任じられると共に、東京陸軍経理部長に補せられる。東京陸軍経理部長時代には、[[支那駐屯歩兵第2連隊|天津駐屯歩兵隊]]の陸軍一等主計（大尉相当官）が、大正9年（[[1920年]]）3月から同年4月までの間に同隊付[[曹長|陸軍一等計手]]に注文[[伝票]]及び[[印章|自印]]を盗用され、また出納官吏職務執行中に官金を詐取される事件が発生する。三井東京陸軍経理部長は大正9年[[12月28日]]に同一等主計の平素部下の監督指導不行き届き・職務執行中不注意であったとして同一等主計に対して軽謹慎2日の懲戒処分を行っている。

東京陸軍経理部長時代の大正9年[[11月1日]]に、勲二等に叙せられて[[旭日章|旭日重光章]]を賜っている。大正11年（[[1922年]]）に[[支那]]方面の軍事状況視察のため[[出張]]する。

大正12年（[[1923年]]）[[5月5日]] - [[10月10日]]に[[陸軍経理学校|陸軍経理学校長]]を務める。補職直後の同年[[5月8日]]に陸軍経理学校高等科卒業生に[[卒業証書]]を授与している（当時正五位勲二等功四級）。同年8月には陸軍経理学校教則を改正している。

== 陸軍省経理局長として ==
大正12年[[10月10日]]に陸軍主計総監（[[中将]]相当官。昭和12年（[[1937年]]）2月12日勅令第12号により陸軍主計中将に改称される）に任じられ、[[陸軍省#経理局長|陸軍省経理局長]]に補せられる（当時正五位勲二等功四級）。当時の陸軍主計科の最高[[軍隊における階級呼称一覧|階級]]であり、最終の[[補職]]である。この後、昭和2年（[[1927年]]）までの間に[[従三位]]まで陞叙する。

大正13年（[[1924年]]）3月、宇垣一成陸軍大臣の下で宇垣軍縮に着手するため、陸軍省会計経理規定整理委員長に就く。宇垣軍縮では、[[第13師団 (日本軍)|第13師団]]（[[高田市|高田]]）、[[第15師団 (日本軍)|第15師団]]（[[豊橋市|豊橋]]）、[[第17師団 (日本軍)|第17師団]]（[[岡山市|岡山]]）、[[第18師団 (日本軍)|第18師団]]（[[久留米市|久留米]]）を廃止した。その結果、[[歩兵連隊]]16個、[[騎兵連隊]]4個、[[砲兵|野砲兵]][[連隊]]4個、[[工兵]][[大隊]]4個、[[輜重兵]]大隊4個等の定数3万3900人、[[ウマ|馬匹]]定数6000頭を削減した。また、[[病院|陸軍病院]]5個、[[仙台陸軍幼年学校]]など2校を廃止し、[[戦車連隊]]、[[高射砲|高射砲連隊]]、[[兵科#航空科|飛行連隊]]、[[台湾]]山砲連隊を新編し、[[陸軍自動車学校]]、[[陸軍通信学校]]を設置した（詳細は[[宇垣軍縮]]を参照。）。更に、[[航空機]]が活躍する時代の趨勢を見越して、建軍以来初めて[[兵科]]を新設し[[航空兵|航空兵科]]を置いた。

大正14年（[[1925年]]）には第2回化学工業博覧会評議員の委嘱を受けている。

== 予備役編入後 ==
昭和3年（[[1928年]]）12月21日に願いに依り[[予備役]]編入となる。[[現役]]を退いた後は[[国防経済協会]]会長、[[食料協会]]会長、[[満蒙毛織株式会社]]相談役となる。また、[[恩給金庫]]設立委員、同理事、同理事長となり、恩給金庫の運営に尽力する。また、昭和4年（[[1929年]]）に[[糧友会]]理事長及び[[食糧展覧会]]会長を辞任する（後任は[[中村精一]]陸軍省経理局長）。

昭和4年[[2月19日]]、[[貴族院令]]1条4号に依り[[貴族院議員]]に任ぜられ（[[勅選議員]]）、[[貴族院 (日本)|貴族院]]では[[院内会派]]の[[研究会 (貴族院)|研究会]]に所属する。昭和9年（[[1934年]]）[[4月29日]]に勲一等に叙せられ[[瑞宝章]]を賜る。昭和20年（[[1945年]]）[[5月11日]]に石川県[[大覚寺]]で講演を行っている。

[[ポツダム宣言]]受諾後の昭和20年9月14日に、貴族院制度の改革問題について協議を行うために研究会所属勅選会が開催され、三井も[[結城豊太郎]]らと共に出席している。昭和21年（[[1946年]]）[[3月20日]]に貴族院議員を辞任。昭和24年（1949年）11月30日に享年79で逝去する。

== 略歴 ==
{| border="0"
|+三井清一郎略歴
!|日付||経歴
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|慶応3年||誕生
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|明治28年||[[陸軍士官学校 (日本)|陸軍士官学校]]卒業
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|明治28年||任[[少尉|陸軍歩兵少尉]]
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|明治35年||任[[大尉|陸軍一等副監督]]
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|大正3年||補陸軍被服本廠長
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|大正3年||任[[大佐|陸軍一等主計正]]
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|大正6年||補[[陸軍省]]経理局衣糧課長
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|大正8年||任[[少将|陸軍主計監]]・補東京陸軍経理部長
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|大正12年||補[[陸軍経理学校|陸軍経理学校長]]
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|大正12年||任[[中将|陸軍主計総監]]・補[[陸軍省#経理局|陸軍省経理局長]]
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|昭和3年||[[予備役]]編入
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|昭和4年||任[[貴族院議員]]
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|昭和9年||叙勲一等
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|昭和24年||死去
|}

{{DEFAULTSORT:みつい せいいちろう}}
[[Category:大日本帝国陸軍将官]]
[[Category:貴族院勅選議員]]
[[Category:石川県出身の人物]]
[[Category:1867年生]]
[[Category:1949年没]]