ロベルト・クレメンテのソースを表示

{{Infobox baseball player
|選手名 = ロベルト・クレメンテ
|英語表記 = Roberto Clemente
|所属球団 = 
|背番号 = 
|選手写真ファイル名 = Roberto Clemente.png
|写真サイズ = 275
|写真のコメント = 
|国籍 = {{USA}}
|出身地 = [[カロリーナ (プエルトリコ)|カロリーナ]]（現：{{PUR}}自治連邦区）
|生年月日 = [[1934年]][[8月18日]]
|没年月日 = {{死亡年月日と没年齢|1934|8|18|1972|12|31}}
|身長 = {{フィートとcm (身長用変換)|5|11}}
|体重 = {{ポンドとkg (体重用変換)|175}}
|利き腕 = 右
|打席 = 右
|守備位置 = [[外野手]]
|プロ入り年度 = 1954年
|ドラフト順位 = 
|初出場 = 1955年4月17日
|最終出場 = 1972年10月3日
|年俸 = 
|経歴 = <nowiki></nowiki>
* [[ピッツバーグ・パイレーツ]] (1955 - 1972)
|選出国 = アメリカ
|選出年 = 1973年
|得票率 = 92.69%
|選出方法 = [http://en.wikipedia.org/wiki/Baseball_Writers_Association_of_America BBWAA]選出
}}
[[File:Roberto Clemente statue.JPG|thumb|300px|[[ピッツバーグ]]市内のクレメンテの銅像]]
'''ロベルト・クレメンテ・ウォーカー'''（'''Roberto Clemente Walker''' , [[1934年]][[8月18日]] - [[1972年]][[12月31日]]）は、[[プエルトリコ]]出身の[[プロ野球選手]]（[[外野手]]）。[[メジャーリーグベースボール|MLB]]における[[ヒスパニック]]系選手の先駆け的存在であり、現在でもプエルトリコ出身の選手から目標とされていることが多い。

シーズンオフにはプエルトリコや[[ラテンアメリカ]]諸国において[[フィランソロピー|慈善活動]]に関与しており、野球道具や食料を必要としている人々に提供していた。1972年12月31日、その年に起きた大地震の被災者への援助物資を提供するために[[ニカラグア]]へ向かう[[チャーター便]]の飛行機に同乗し、その途上で[[航空事故]]に巻き込まれ、亡くなった。{{没年齢|1934|8|18|1972|12|31}}。{{by|1955年}}から{{by|1972年}}までの18シーズンをMLBの[[ピッツバーグ・パイレーツ]]一筋で過ごした。

[[1965年]]に誕生した息子ロベルト・クレメンテJr.（[[w:Roberto Clemente, Jr.|Roberto Clemente, Jr.]]）も野球選手となり[[フィラデルフィア・フィリーズ]]や[[サンディエゴ・パドレス]]のマイナーでプレーしたが、故障が多くメジャーには昇格できなかった。甥の[[エドガルド・クレメンテ]]は1998年から2000年の3年間、外野手としてメジャーでプレーした。

== 経歴 ==
=== プロ入り前、マイナー時代 ===
[[1934年]]8月18日、プエルトリコ[[カロリーナ (プエルトリコ)|カロリーナ]]で生まれる。クレメンテの母親は2人の子供を連れて再婚。その後、5人の子供を産み、ロベルト・クレメンテはその末っ子である<ref>[[#sayama|佐山]] 38頁</ref>。家庭は非常に貧しく、父親は砂糖農園で働き、クレメンテも家計を支えるために幼い頃から仕事をしていた。兄の出場する少年野球リーグ戦について行って、見よう見まねに野球を始める<ref name="sayama42">[[#sayama|佐山]] 42頁</ref>。少年時代からスポーツの才能は抜きんでており<ref name="sayama42"/>、高校時代には[[陸上競技]]、[[やり投]]、[[走高跳]]などで活躍<ref>[[#sayama|佐山]] 44頁</ref>。やり投を得意としていたが、クレメンテ本人によると母親譲りだという<ref name="sayama45">[[#sayama|佐山]] 45頁</ref>。[[モンテ・アーヴィン]]への憧れもあり、最も力を入れていたものは野球だった<ref>[[#sayama|佐山]] 44 - 45頁</ref>。

高校を卒業したクレメンテには9以上の[[メジャーリーグベースボール|MLB]]球団から入団交渉が来た<ref name="sayama45"/>。最初に[[サンフランシスコ・ジャイアンツ|ニューヨーク・ジャイアンツ]]から入団交渉が来たが、[[ロサンゼルス・ドジャース|ブルックリン・ドジャース]]は優れた選手をライバル球団に入団するのを防ぎたいこともあり<ref name="sayama45"/>、契約金10,000ドルと年俸5,000ドルをクレメンテに提示。{{by|1954年}}2月19日、クレメンテはドジャースと契約した<ref name="sabr">{{Cite web|last=Thornley|first=Stew|url=http://bioproj.sabr.org/bioproj.cfm?a=v&v=l&bid=1255&pid=2553|title=The Baseball Biography Project Roberto Clemente|work=[[アメリカ野球学会|BIOPROJ.SABR.ORG]]|language=英語 |accessdate=2009年8月5日 }}</ref>。

1954年シーズンはドジャース傘下の[[モントリオール・ロイヤルズ]]でプレイする。選手としての能力は認められたが、ドジャースには当時、メジャー全体の黒人選手20人中5人と、割合として非常に多くの黒人選手が在籍していたため、白人ファンの観客動員に影響を及ぼさないようにドジャースはクレメンテをマイナーでプレイさせた<ref>[[#sayama|佐山]] 47 - 48頁</ref>。マイナーでは出場機会を与えられず、友人に「自軍が初回に5点も入れると、もう私はメンバーから外される。私は監督から好かれていないらしい」と言っている<ref>[[#sayama|佐山]] 46頁</ref>。しかし、これは当時、契約金4,000ドル以上の選手は最初の2年間、メジャー25人ロースターに入っていないと他球団からの引き取りに応じることができるという制度があったからである<ref>[[#sayama|佐山]] 46 - 47頁</ref>。

=== ピッツバーグ・パイレーツ時代 ===
[[File:Roberto Clemente marines shot.jpg|thumb|250px|1958年から1959年にかけてのシーズンオフの時期は[[アメリカ海兵隊]]に在籍した（1958年9月30日撮影）]]
[[ピッツバーグ・パイレーツ]]スカウトは投手補強のため、モントリオール・ロイヤルズの[[ジョー・ブラック]]獲得を狙っていたが、クレメンテを目のあたりにし<ref>[[#sayama|佐山]] 48頁</ref>、クレメンテ獲得を狙うようになった。1954年11月22日、クレメンテは現在の[[ドラフト会議 (MLB)#ルール・ファイブ・ドラフト|ルール5ドラフト]]にあたる制度でパイレーツから指名を受け、移籍。[[1955年]]4月17日にメジャーデビューを果たした。同年、124試合の出場で打率.255・5本塁打・47打点でメジャー1年目を終え、チームはリーグ最下位だったが、[[スポーティング・ニュース]]（1955年7月）によるとパイレーツのファンはクレメンテの守備と強肩に惚れ込んだという<ref>[[#sayama|佐山]] 49頁</ref>。

[[1956年]]にはリーグ3位となる打率.311を記録する。[[1957年]]から3年間は、持病である背中の痛みや、相手投手の研究もあり低迷<ref>[[#sayama|佐山]] 50頁</ref>。[[1960年]]、打率.314・16本塁打・94打点と自己ベストを更新し、[[1960年のMLBオールスターゲーム|オールスター]]初選出を果たした。チームは33年ぶりにリーグ優勝を果たし、[[ニューヨーク・ヤンキース]]との[[1960年のワールドシリーズ|ワールドシリーズ]]では4勝3敗で35年ぶりの世界一となる。クレメンテは全7試合に出場し、チーム最多の9安打を記録した<ref>{{Cite web|url=http://www.baseball-reference.com/postseason/1960_WS.shtml|title=1960 World Series - PIT vs. NYY |work=Baseball-Reference.com|language=英語 |accessdate=2009年8月5日 }}</ref>。

[[1961年]]、打率.351で初の[[首位打者 (MLB)|首位打者]]となる。201安打・30二塁打・23本塁打・100得点と自己記録も更新した。[[1961年のMLBオールスターゲーム|オールスター]]では初の先発出場を果たし、オールスター初安打を記録。[[1964年]]には自己最多の155試合に出場し、打率.339で2度目の首位打者を獲得。同年シーズン終了後にベラ・ザバラと[[結婚]]<ref>[[#sayama|佐山]] 51頁</ref>。翌[[1965年]]も打率.329で3度目の首位打者を獲得した。

[[ハリー・ウォーカー]]監督から[[1966年]]開幕前に25本塁打・115打点を希望されていたが<ref>[[#sayama|佐山]] 69頁</ref>、クレメンテはそれを上回る自己最高の29本塁打・119打点を記録。[[ナショナルリーグ]]の[[最優秀選手 (MLB)|MVP]]を27勝・防御率1.73・奪三振317の成績で投球[[三冠 (野球)|三冠]]となった[[サンディー・コーファックス]]と争うことになったが、投票の結果はクレメンテが218ポイントに対して、コーファックスは208ポイント。10ポイント差で[[ナショナルリーグ]]MVPに選出された<ref>{{Cite web|url=http://www.baseball-reference.com/awards/awards_1966.shtml#NLmvp|title=1966 Awards Voting|work=Baseball-Reference.com|language=英語 |accessdate=2009年8月7日 }}</ref>。

1967年、自己最高の打率.357で4度目の首位打者を獲得。同年5月15日、[[クロスリー・フィールド]]で行われた対[[シンシナティ・レッズ|レッズ]]戦でクレメンテは、5打数4安打（3本塁打、1二塁打）を放ち、打点はチームの全得点である7打点を記録した。守備では本塁打性の打球を好捕する活躍を見せる<ref name="sayama74"/>。しかし、チームは7対8で敗れた<ref>{{Cite web|url=http://www.baseball-reference.com/boxes/CIN/CIN196705150.shtml|title=May 15, 1967 Pittsburgh Pirates at Cincinnati Reds Box Score and Play by Play|work=Baseball-Reference.com|language=英語 |accessdate=2009年8月7日 }}</ref>。同試合は1968年版のパイレーツのメディアガイドで「クレメンテの最も輝かしい試合のひとつ」と評された<ref name="sayama74"/>。また、このメディアガイドはクレメンテがパイレーツ史上最高の選手となったと評している<ref name="sayama74">[[#sayama|佐山]] 74頁</ref>。

クレメンテの活躍をファンと共に祝うため、パイレーツ球団によって[[1970年]]7月24日<ref name="chronology">{{Cite web|url=http://www.baseballlibrary.com/ballplayers/player.php?name=Roberto_Clemente_1934&page=chronology|title=Roberto Clemente from the Chronology|work=BaseballLibrary.com|language=英語 |accessdate=2009年8月8日 }}</ref>に「ロベルト・クレメンテ・ナイト」（Roberto Clemente Night）が催された<ref>[[#sayama|佐山]] 85 - 86頁</ref>。球団などから様々な記念品を贈られる予定だったが、クレメンテは記念品ではなく[[ピッツバーグ]]の[[小児科学|小児科医]]のためのお金を希望。それに賛同してお金は小児科医に寄付された<ref>[[#sayama|佐山]] 87頁</ref>。同年8月22日から23日にかけて1901年以降のメジャーリーグでは初となる2試合で10安打を記録<ref name="chronology"/>。チームは地区優勝を果たし、クレメンテは打率.352を記録した。[[シンシナティ・レッズ|レッズ]]との[[1970年のナショナルリーグチャンピオンシップシリーズ|リーグチャンピオンシップシリーズ]]では3連敗でシーズンを終えた。

1971年、チームは11年ぶりに[[1971年のワールドシリーズ|ワールドシリーズ]]へ進出。下馬評では対戦相手の[[ボルチモア・オリオールズ]]が優勢だったが<ref>[[#sayama|佐山]] 93頁</ref>、4勝3敗でパイレーツがワールドチャンピオンとなった。クレメンテは打率.414を記録し、[[ワールドシリーズ最優秀選手|ワールドシリーズMVP]]に選出された。第7戦ではソロ本塁打を放ち、チームは2対1で勝利。クレメンテはワールドシリーズに出場した全14試合で安打を記録しており、当時、[[ハンク・バウアー]]の17試合連続安打に次ぐ連続安打記録だった<ref>{{Cite web|last=Liebman|first=Ronald G.|url=http://research.sabr.org/journals/consecutive-game-hitting-streaks|title=Consecutive-Game Hitting Streaks|work=[[アメリカ野球学会|SABR.ORG]]|language=英語 |accessdate=2010年5月3日 }}</ref>。

3000本安打に残り118安打で1972年シーズンを迎える。クレメンテの実力から達成は容易と思われたが、足首の故障で試合を欠場することもあったため、一時は絶望視された<ref>[[#sayama|佐山]] 95頁</ref>。しかし、9月2日に2971安打を記録し、[[ホーナス・ワグナー]]の球団通算安打記録を更新<ref>{{cite book |title=The Pittsburgh Pirates Encyclopedia|url=http://books.google.co.jp/books?id=1VwOLIVOWvwC&pg=PA168&lpg=PA168&dq#v=onepage&q&f=false|author=David Finoli, Bill Rainer|year=2003|publisher=Sports Publishing LLC|location=[[アメリカ合衆国|United States]]|isbn=9781582614168|pages=p. 168}}
</ref>。9月28日に[[ベテランズ・スタジアム]]で行われた[[フィラデルフィア・フィリーズ|フィリーズ]]戦の2打席目で2999安打を放ち、その次の打席では代打を送られた<ref>{{Cite web|url=http://www.baseball-reference.com/boxes/PHI/PHI197209280.shtml|title=September 28, 1972 Pittsburgh Pirates at Philadelphia Phillies Play by Play and Box Score |work=Baseball-Reference.com|language=英語 |accessdate=2009年8月9日 }}</ref>。

翌日から閉幕までの5戦はすべて本拠地[[スリー・リバース・スタジアム]]で行われた。9月29日の[[ニューヨーク・メッツ|メッツ]]戦の最初の打席で[[トム・シーバー]]から大きくバウンドする打球を放ち、[[ケン・ボスウェル]]二塁手はグラブの先でボールをはじいため、[[公式記録員 (野球)|公式記録員]]はボスウェルの[[失策]]としたが、電光掲示板では「H」が表示されてしまったため、観客は騒然となった<ref>[[#sayama|佐山]] 96頁</ref>。結局この試合は4打数0安打に終わった。クレメンテは試合後に「あれがヒットに判定されなくてよかった。私は文句のつけようのないヒットがほしいんだ」と語った<ref>[[#sayama|佐山]] 97頁</ref>。9月30日のメッツ戦の2打席目に[[ジョン・マトラック]]から二塁打を放ち、[[3000本安打クラブ|3000本安打]]を達成した。
[[File:Pirates Roberto Clemente.png|thumb|250px|パイレーツの永久欠番'''21''']]

=== 事故死 ===
[[1972年]]12月23日、[[ニカラグア]]で[[地震]]が発生。その夜、クレメンテの3000本安打達成を祝うパーティが催され、地震のことが話題となった。クレメンテを中心に救援が検討され、翌24日から救援活動が行われた<ref>[[#sayama|佐山]] 98頁</ref>。救援物資を募ったが、ニカラグアの軍隊の兵士がその物資を盗み、[[モルヒネ]]を売りつけているという情報を知ったクレメンテは、「私がニカラグアへ飛べば盗難はなくなるだろう。このロベルト・クレメンテから物を盗むことはないはずだ」と言い、ニカラグアへ行くことになる<ref name="maj199801">「大リーグ史を彩った”世紀の名場面” カリブ海へ消えたロベルト・クレメンテの飛行機墜落死」『[[月刊メジャー・リーグ]]』1998年1月号、[[ベースボールマガジン]]社、1998年、[[雑誌コード|雑誌]] 08625-1、60 - 61頁。</ref>。

チャーター料が安いため、[[ジェット機]]ではなく[[ターボプロップエンジン|ターボプロップ機]][[DC-7]]に最大積載量を上回る救援物資を積み、クレメンテを乗せたDC-7は12月31日の夜に離陸した<ref name="maj199801"/>。しかしその直後に片方のエンジンの調子がおかしくなり、[[ブラックボックス (航空)|フライトデータレコーダー]]によると操縦士が引き返すと言い、急旋回した直後にカリブ海へ墜落。クレメンテは死亡した<ref name="maj199801"/>。事故後、[[沿岸警備隊]]の捜索や、クレメンテの友人たちによる救助活動が行われたが、機体の一部を回収したのみで、クレメンテの遺体は発見されなかった<ref>[[#sayama|佐山]] 106頁</ref>。
[[File:Roberto Clemente Coliseum.JPG|thumb|300px|クレメンテの功績を称えて建設された[[ロベルト・クレメンテ・コロシアム]]]]
=== 死後の栄光 ===
その死を悼み、[[1973年]]1月3日に[[アメリカ野球殿堂]]入りの選考で特別措置を取ることを発表。通常は引退後5年を経過しないと被投票資格を得られないが、クレメンテは[[ルー・ゲーリッグ]]に次いで史上2人目となる期間短縮の特別措置が取られた。3月20日、[[全米野球担当記者協会]]（BBWAA）による投票結果が発表され、424票中393票が殿堂入りに賛成で殿堂入りが決定した<ref>{{Cite web|date=2007年2月15日|url=http://www.baseballhalloffame.org/news/article.jsp?ymd=20070215&content_id=283&vkey=hof_news|title=When Clemente earned election to the Hall of Fame|work=[[アメリカ野球殿堂|National Baseball Hall of Fame]]|language=英語 |accessdate=2009年8月10日 }}</ref>。残りの31票の内訳は、反対票は29票で、棄権が2票。反対投票の6割は被投票資格を緩めることに反対するものであった<ref>[[#sayama|佐山]] 127頁</ref>。

生前、クレメンテが慈善活動に積極的に動き、事故死したのもその活動中だったことから、メジャーリーグ機構では、これまで慈善活動を行ったメジャーリーガーに贈られる「コミッショナー賞」という名の功労賞を、「'''[[ロベルト・クレメンテ賞]]'''」と改称<ref>{{Cite web|url=http://mlb.mlb.com/mlb/official_info/community/clemente.jsp|title=Roberto Clemente Award|work=MLB.com|language=英語 |accessdate=2009年4月30日 }}</ref>。ロベルト・クレメンテ賞はMVPに匹敵する名誉ある賞となっている<ref name="zatsugaku">{{Cite book|和書|author=日本雑学研究会|year=2005|title=大雑学6ザ・メジャーリーグ|publisher=[[毎日新聞|毎日新聞社]]|isbn=4-620-72096-8|pages=194 - 196項}}</ref>。

[[ボウイ・クーン]][[MLBコミッショナー|コミッショナー]]は、改称後初の選考を前に、「この賞は今から2年前に、コミッショナーの名においてロサンゼルスで始められたものだった。だが私はその名称を気に入ってはいなかった。ピタリとその実を示すものではないからだ。ところで今ここに、私たちは望みを得る最高の名称を得た。『ロベルト・クレメンテ賞』― 今後これはそう呼ばれるものとなる。これは野球の内と外とを問わず、たとえ人の目にはつかなくとも、深く世に尽くしているものに贈られる」と語っている<ref>[[#sayama|佐山]] 132 - 133頁</ref>。

1973年開幕戦の4月6日を追悼試合として行われ、クレメンテがつけていた[[野球の背番号|背番号]]'''21'''はパイレーツの[[野球界の永久欠番|永久欠番]]に指定された<ref>[[#sayama|佐山]] 118頁</ref>。クレメンテの影響で、中南米系のメジャーリーガーには背番号を「21」番を付けたがる選手が多く、憧れの対象となっている<ref name="superstar">{{cite book|和書|author=藤澤文洋|authorlink=藤澤文洋|year=2003|title=メジャーリーグ・スーパースター名鑑|publisher=[[研究社]]|pages=54 - 55頁|isbn=4-327-37689-2}}</ref>。{{by|2001年}}に開場した[[PNCパーク]]の右翼のフェンスの高さはクレメンテの背番号にちなみ21フィート（約6.4メートル）である<ref>{{Cite web|url=http://pittsburgh.pirates.mlb.com/pit/ballpark/overview.jsp|title=PNC Park Overview|work=The Official Site of The Pittsburgh Pirates|language=英語 |accessdate=2009年4月30日 }}</ref>。

1973年5月14日に[[議会名誉黄金勲章]]を授与され<ref>{{Cite web|url=http://clerk.house.gov/art_history/house_history/goldMedal.html|title=Congressional Gold Medal Recipients (1776 to Present)|work=Office of the Clerk|language=英語 |accessdate=2009年4月30日 }}</ref>、[[2002年]]に当時のアメリカ大統領[[ジョージ・W・ブッシュ]]から[[大統領自由勲章]]が送られた。{{by|2005年}}10月26日、[[ラティーノ・レジェンズ・チーム]]に選出された<ref>{{Cite web|last=Sanchez|first=Jesse|date=October 26, 2005|url=http://houston.astros.mlb.com/news/article.jsp?ymd=20051026&content_id=1260107|title=Latino Legends team announced|work=MLB.com|language=英語 |accessdate=2010年5月2日 }}</ref>。ピッツバーグ・パイレーツの本拠地[[PNCパーク]]で行われた[[2006年のMLBオールスターゲーム|2006年オールスターゲーム]]では、ロベルト・クレメンテの[[コミッショナー特別表彰]]受賞セレモニーが行われ、遺族のクレメンテ夫人が表彰を受けた<ref>{{Cite web|last=Barry|first=M. Bloom |date=2006年7月12日|url=http://mlb.mlb.com/news/article.jsp?ymd=20060711&content_id=1553135&vkey=allstar2006&fext=.jsp|title=Baseball honors Clemente|work=MLB.com|language=英語 |accessdate=2009年8月11日 }}</ref>。

== 選手としての特徴 ==
{{External media
|width=200px 
|video1=[http://www.youtube.com/watch?v=kjuphRH_T58　ロベルト・クレメンテのプレー（アメリカ野球殿堂公式動画）]
}}
=== 打撃 ===
ナショナルリーグで4度[[首位打者 (MLB)|首位打者]]を獲得し、打率は年間上位10人の中に13度入った。生涯の[[安打|ヒット]]数は3000本である。悪球打ちで有名であり、[[佐山和夫]]もクレメンテを[[ヨギ・ベラ]]とともに「'''バッドボールヒッター'''」の代表格として取り上げている<ref>{{Cite book|author=[[佐山和夫]]|title=[[野球の英語A to Z：佐山和夫が語るアメリカ野球用語]]|publisher=[[三修社]]|page=19|isbn=978-4384051773}}</ref>。

=== 守備 ===
[[右翼手]]としても群を抜いた強肩で、その強肩は「'''ライフルアーム'''」と称され、相手走者には恐れられていた。1試合最多[[補殺]]5回はナ・リーグ最多<ref>{{Cite web|url=http://www.baseball-almanac.com/rb_ofas.shtml|title=Outfielder Assist Records|work=Baseball Almanac|language=英語 |accessdate=2009年5月10日 }}</ref>。1961年にはシーズン27補殺を記録し、メジャー生活18年で通算267補殺を記録している。「ペンシルベニアで投げたボールがニューヨークまで届く」「クレメンテの守るライトに打球が飛んだならそれが観客席以外であったら進塁をあきらめろ」ともいわれた。また、クレメンテのプレーを生で見たことのある[[パンチョ伊東]]は「現代メジャーにおいて強肩と言われている選手たちの比ではない」ともいっている。クレメンテは外野手として最多タイの[[ゴールドグラブ賞]]を12回受賞している<ref>{{Cite web|url=http://www.baseball-reference.com/awards/gold_glove_nl.shtml|title=Gold Glove Award Winners|work=Baseball-Reference.com|language=英語 |accessdate=2009年4月30日 }}</ref>。

== 詳細情報 ==
=== 年度別打撃成績 ===
{|{{年度別打撃成績|リーグ=メジャーリーグベースボール}}
|-
|style="text-align:center;"|{{by2|1955}}
|rowspan="18" style="text-align:center;"|[[ピッツバーグ・パイレーツ|PIT]]
|124||501||474||48||121||23||11||5||181||47||2||5||4||3||18||3||2||60||14||.255||.284||.382||.666
|-
|style="text-align:center;"|{{by2|1956}}
|147||572||543||66||169||30||7||7||234||60||6||6||8||4||13||2||4||58||14||.311||.330||.431||.761
|-
|style="text-align:center;"|{{by2|1957}}
|111||475||451||42||114||17||7||4||157||30||0||4||0||1||23||1||0||45||13||.253||.288||.348||.636
|-
|style="text-align:center;"|{{by2|1958}}
|140||556||519||69||150||24||10||6||212||50||8||2||3||3||31||1||0||41||15||.289||.327||.408||.735
|-
|style="text-align:center;"|{{by2|1959}}
|105||456||432||60||128||17||7||4||171||50||2||3||3||3||15||2||3||51||10||.296||.322||.396||.718
|-
|style="text-align:center;"|{{by2|1960}}
|144||620||570||89||179||22||6||16||261||94||4||5||4||5||39||4||2||72||'''21'''||.314||.357||.458||.815
|-
|style="text-align:center;"|{{by2|1961}}
|146||614||572||100||201||30||10||23||320||89||4||1||1||3||35||10||3||59||18||'''.351'''||.390||.559||.949
|-
|style="text-align:center;"|{{by2|1962}}
|144||581||538||95||168||28||9||10||244||74||6||4||1||6||35||9||1||73||18||.312||.352||.454||.806
|-
|style="text-align:center;"|{{by2|1963}}
|152||642||600||77||192||23||8||17||282||76||12||2||4||3||31||6||4||64||'''24'''||.320||.356||.470||.826
|-
|style="text-align:center;"|{{by2|1964}}
|155||683||622||95||'''211'''||40||7||12||301||87||5||2||3||5||51||16||2||87||9||'''.339'''||.388||.484||.872
|-
|style="text-align:center;"|{{by2|1965}}
|152||642||589||91||194||21||14||10||273||65||8||0||2||3||43||14||5||78||17||'''.329'''||.378||.463||.841
|-
|style="text-align:center;"|{{by2|1966}}
|154||690||638||105||202||31||11||29||342||119||7||5||1||5||46||13||0||109||14||.317||.360||.536||.896
|-
|style="text-align:center;"|{{by2|1967}}
|147||632||585||103||'''209'''||26||10||23||324||110||9||1||0||3||41||17||3||103||15||'''.357'''||.400||.554||.954
|-
|style="text-align:center;"|{{by2|1968}}
|132||557||502||74||146||18||12||18||242||57||2||3||0||3||51||'''27'''||1||77||13||.291||.355||.482||.837
|-
|style="text-align:center;"|{{by2|1969}}
|138||570||507||87||175||20||'''12'''||19||276||91||4||1||0||4||56||16||3||73||19||.345||.411||.544||.955
|-
|style="text-align:center;"|{{by2|1970}}
|108||455||412||65||145||22||10||14||229||60||3||0||1||2||38||14||2||66||7||.352||.407||.556||.963
|-
|style="text-align:center;"|{{by2|1971}}
|132||553||522||82||178||29||8||13||262||86||1||2||1||4||26||5||0||65||19||.341||.370||.502||.872
|-
|style="text-align:center;"|{{by2|1972}}
|102||413||378||68||118||19||7||10||181||60||0||0||0||6||29||7||0||49||15||.312||.356||.479||.835
|-
!colspan="2"|通算：18年
|2433||10212||9454||1416||3000||440||166||240||4492||1305||83||46||36||66||621||167||35||1230||275||.317||.359||.475||.834
|}
* 各年度の'''太字'''はリーグ最高

=== 獲得タイトル・表彰・記録 ===
*[[ナショナルリーグ]][[最優秀選手 (MLB)|MVP]] 1回：[[1966年]]
*[[ワールドシリーズMVP]] 1回：[[1971年]]
*[[首位打者 (MLB)|首位打者]] 4回：[[1961年]]（.351）、[[1964年]]（.339）、[[1965年]]（.329）、[[1967年]]（.357）
*[[ゴールドグラブ賞]] 12回：[[1961年]] - [[1972年]]
*[[MLBオールスターゲーム]]選出 12回：[[1960年のMLBオールスターゲーム|1960年]] - [[1967年のMLBオールスターゲーム|1967年]]、[[1969年のMLBオールスターゲーム|1969年]] - [[1972年のMLBオールスターゲーム|1972年]]
*[[ベーブ・ルース賞]]：1971年
*[[ラティーノ・レジェンズ・チーム]]選出：2005年
*[[DHLホームタウン・ヒーローズ]]選出：2006年
*[[コミッショナー特別表彰]]：2006年

== 参考文献 ==
* <cite id="sayama">[[佐山和夫]]著　『ヒーローの打球はどこへ飛んだか：ロベルト・クレメンテの軌跡』（[[報知新聞社]],2001年）ISBN 4-8319-0137-7</cite>

== 脚注 ==
{{reflist|2}}

== 関連項目 ==
* [[現役中に亡くなったプロ野球選手の一覧]]

==外部リンク==
{{Commonscat|Roberto Clemente}}
*[http://bioproj.sabr.org/bioproj.cfm?a=v&v=l&bid=1255&pid=2553 BIOPROJ.SABR.ORG :: The Baseball Biography Project Roberto Clemente]
*{{bbhof|clemente-roberto}}
* {{MLBstats |mlb= |espn= |br=c/clemero01 |fangraphs=1002340 |cube=C/roberto-clemente}}

{{アメリカ野球殿堂表彰者 (右翼手)}}
{{Navboxes|title=獲得タイトル・記録
|list1=
</span>
{{ナショナルリーグMVP}}
{{ナショナルリーグ首位打者}}
{{ナショナルリーグ ゴールドグラブ賞 (外野手)}}
{{ワールドシリーズMVP}}
{{ベーブ・ルース賞}}
}}
{{3000本安打クラブ}}
{{コミッショナー特別表彰}}
{{Pittsburgh Pirates}}
{{1960 ピッツバーグ・パイレーツ}}
{{1971 ピッツバーグ・パイレーツ}}

{{DEFAULTSORT:くれめんて ろへると}}
[[Category:1934年生]]
[[Category:1972年没]]
[[Category:プエルトリコの野球選手]]
[[Category:ピッツバーグ・パイレーツの選手]]
[[Category:MLBオールスターゲーム選出選手]]
[[Category:最優秀選手 (MLB)]]
[[Category:ワールドシリーズMVP]] 
[[Category:ナショナルリーグ首位打者]]
[[Category:アメリカ野球殿堂]]
[[Category:議会名誉黄金勲章受章者]]
[[Category:大統領自由勲章受章者]]
[[Category:航空事故死した人物]]

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