ロタキサンのソースを表示
←
ロタキサン
移動先:
案内
、
検索
あなたには「このページの編集」を行う権限がありません。理由は以下の通りです:
要求した操作を行うことは許可されていません。
このページのソースの閲覧やコピーができます。
[[Image:Rotaxane.jpg|thumb|240px|ロタキサンの模式図]] '''ロタキサン''' (rotaxane) とは、大環状の[[分子]](リング)の穴を棒状の分子(軸)が貫通した構造の分子集合体である。 ==概要== '''ロタキサン''' (rotaxane)は、大環状分子を棒状分子が貫通し、軸の両末端に嵩高い部位を結合させることで、[[立体障害]]でリングが軸から抜けなくなったものである。その嵩高い部位は、'''ストッパー'''または'''キャップ'''、'''末端基'''と呼ばれる。ストッパーがない場合や、ストッパーがあっても嵩高さが不十分な場合は、リングと軸が分かれることがあり、'''擬ロタキサン''' (pseudorotaxane) と呼ばれ、ロタキサンとは区別される。ロタキサンの名前はラテン語の rota (輪)と axis (軸)に由来する。[[超分子]]化学で取り扱われる分子である。環状分子、軸状分子共に有機分子によって構成されることが一般的である。また天然物の中にロタキサン構造を有する分子が存在することもわかっている。 一般にリング分子および軸分子の数の合計を "[ ]" の中に入れて「'''[n]ロタキサン'''」と表す。例えば「'''[2]ロタキサン'''」はリング1個、軸1個の合計2個から構成されていることを示す<ref>「リング1個に軸2個」のものや「リング2個に軸1個」のものは、ともに'''[3]ロタキサン'''である。</ref>。「軸1個とリング十数個」など、多数の構成分子からロタキサンが形成される場合'''ポリロタキサン''' (polyrotaxane) と呼ばれる。 環状分子としては、[[シクロデキストリン]]、[[クラウンエーテル]]、[[シクロファン]]、[[カリックスアレーン]]、[[ククルビットウリル]]、環状[[アミド]]等が用いられる。軸分子としては、[[ポリエチレングリコール]]、[[アルキル|アルキル鎖]]、アミド、[[アンモニウム]]などが用いられることが多い。 ==合成== 人工のロタキサンは[[1967年]]にハリソンらによって合成されたが<ref>Harrison, I. T.; Harrison, S. "Synthesis of a stable complex of a macrocycle and a threaded chain" ''J. Am. Chem. Soc.'' '''1967''', ''89'', 5723-5724. DOI: [http://dx.doi.org/10.1021/ja00998a052 10.1021/ja00998a052]</ref>、このときは環状分子の中を偶然に軸状分子が貫通することを期待して合成したものであり、収率はきわめて低く、なかなかこの分野の研究は発展しなかった。その後、[[合成化学]]や超分子化学、そして[[分析化学]](特に[[質量分析]])の発展に伴い、徐々にロタキサンの効率的な合成法が進歩していった。 初期においては、環状分子前駆体と軸状分子前駆体を共有結合によって連結しておいて、ロタキサン構造を形成させた後でこれらを切り離す手法がもちいられた。 ロタキサン構造の形成は、一般に[[エントロピー]]が減少して不利である。ロタキサンを形成させるためにはリングと軸の分子間に何らかの[[相互作用]]を働かせて合成する方法が効率的であり、今日ではこの分子間相互作用をもちいる手法によって、ほとんどのロタキサンが合成されている。棒状分子と環状分子の組み合わせによりロタキサン形成の主たるドライビングフォースは異なり、よく用いられる相互作用として、[[水素結合]]、[[π-π相互作用|スタッキング]]、[[配位結合]]、[[疎水性相互作用]]などがある。 初めて分子間相互作用にもとづくロタキサンの合成を行なったのは荻野博で、このときはαおよびβーシクロデキストリンとメチレン鎖の間に働く疎水性相互作用を利用して、擬ロタキサンを溶液中で発生させた後、軸状分子の両末端にコバルト錯体を配位させて、末端を封鎖する方法であった<ref>Ogino,H. "Relatively high-yield syntheses of rotaxanes. Syntheses and properties of compounds consisting of cyclodextrins threaded by .alpha, omega-diaminoalkanes coordinated to cobalt(III) complexes" ''J. Am. Chem. Soc.'' '''1981''', ''103'', 1303-1304. DOI: [http://dx.doi.org/10.1021/ja00395a091 10.1021/ja00395a091]</ref>。 ククルビットウリルもシクロデキストリンと同様に疎水性の内孔を有する環状化合物であり、Kimoon Kimによって選択的な合成法が開発されて以来、彼らのグループによって飛躍的に研究が進められた。ただし、環状分子の修飾が困難であるという特徴もある。 ==発展・応用== シクロデキストリンは、疎水性の内孔を有する環状分子であり、水溶媒中において疎水性分子を取り込む性質を利用する。したがって、一般的にシクロデキストリンをもちいるロタキサンの合成は水溶媒中で、疎水性の軸分子とおこなう。[[原田明]]らは軸分子として[[高分子]]に着目し、シクロデキストリンとポリエチレングリコールとを用いることで、'''ポリロタキサン'''を世界に先駆けて合成した<ref>Harada, A.; Li, J.; Kamachi, M. ''[[ネイチャー|Nature]]'' '''1992''', ''356(26)'', 325-327. "The molecular necklace: a rotaxane containing many threaded α-cyclodextrins"</ref>。この研究は'''ナノチューブ'''への展開もなされている。また、導入する環状分子として、シクロデキストリンの二量体をもちいた'''環動ゲル'''の合成が、[[伊藤耕三]]らを中心におこなわれている。環動ゲルは、その応用研究が進められ、携帯電話や自動車の表面塗装として実用化されるにまでいたっている。 類似のシクロデキストリンとポリエチレングリコールを基盤とするロタキサン及びポリロタキサンの研究は多い。 [[クラウンエーテル]]は[[カチオン|カチオン性]]の分子をその内孔に取り込む性質がある。したがってクラウンエーテルはカチオン性の軸状分子とロタキサンを形成する傾向がある。これはイオン性の相互作用を利用する方法であるので、一般的に低極性の溶媒中で反応が行なわれる場合が多い。広範な研究を行っているのは[[フレイザー・ストッダート]]らであり、彼らは24員環のクラウンエーテルが、二級アンモニウム塩を低極性溶媒中で効率よく包接することを利用して、この部分構造を用いたより高次のロタキサン合成も達成している。代表的な応用例として、'''分子エレベーター'''がある。シクロデキストリンの場合と同様な概念によって、ゲルの合成にも利用されている。 現在報告されているもっとも小さなロタキサンは、21員環クラウンエーテルと二級アンモニウム塩によって形成されたものである。 シクロファン(環状分子の中に芳香環を有する化合物の総称)で、ロタキサン合成によく用いられるものとしては、パラコート型と呼ばれる、ビスビオロゲン環状分子がある。この分子はおもにπーπスタッキングによって、電子不足な芳香環を包接する特徴があるので、これをもちいたロタキサン合成がよく行われている。第一人者はStoddartであり、彼はこの分子のことをBlue boxと呼んでいる。代表的な応用例として、'''分子シャトル'''、'''分子モーター'''、'''分子バルブ'''、分子筋肉などがある。[[カテナン]]の例では'''オリンピーダン'''などがある。 ロタキサンや[[カテナン]]は、構成分子の相対的な位置関係によって複数の状態を持ちうる分子であるため、'''単分子スイッチ'''として'''分子コンピュータ'''への応用が期待されている。また'''[[ドラッグデリバリーシステム]]'''や'''分子チューブ'''、'''分子筋肉'''、[[分散系#ゲル|ゲル]]、[[触媒]]、機能性[[表面]]、分子バルブなどへの応用研究もなされている。また、棒状分子上を環状分子が移動できることに着目した'''分子シャトル'''があり、'''[[分子マシン]]'''として研究されている。分子シャトルを初めて発表したのはストッダート (J. Fraser Stoddart) らであり、1991年に[[米国化学会誌]]に発表された<ref>Anelli, P. L.; Spencer, N.; Stoddart, J. F. "A molecular shuttle." ''J. Am. Chem. Soc.'' '''1991''', ''113'', 5131-3. DOI: [http://dx.doi.org/10.1021/ja00013a096 10.1021/ja00013a096] </ref>。その後、1994年に[[ネイチャー]]誌にその制御が発表されて以来<ref>Bissell, R. A.; Cordova, E.; Kaifer A. E.; Stoddart, J. F. "A chemically and electrochemically switchable molecular device". ''[[ネイチャー|Nature]]'' '''1994''', ''369'', 133–137.</ref>、多くのグループによって研究が進められている。 初めての米国化学会誌に発表された分子シャトルは、軸状分子の上を環状の分子が熱運動するだけのものであったが、それが応用されてNature誌に投稿されたものでは、軸状分子の電気化学的あるいは化学的な[[酸化還元反応]]を駆動力として、環状分子の軸状分子に対する位置関係が制御されている。現在では可視光を照射すると、ロタキサンの軸状分子上を環状分子が左右にシャトリングし続ける分子モーターの研究にまで発展している。この分子モーターは、可視光の照射を止めると環状分子の動的な挙動は停止して、あるステーション上に環状分子が位置するようになる。 これら以外にも多くの分子シャトルが今日では合成されており、それを駆動する外部刺激としては、pH、光照射、電圧の引加、添加物、溶媒極性など、様々なものが用いられている。 ==参考文献== <references /> ==関連項目== *[[超分子]] *[[カテナン]] ==外部リンク== *[http://www.org-chem.org/yuuki/rotaxane/rotaxane.html ロタキサンの解説(有機化学美術館)] *[http://www.org-chem.org/yuuki/rotaxane/machine.html ロタキサンの分子マシーンへの応用(有機化学美術館)] [[Category:超分子|ろたきさん]]
ロタキサン
に戻る。
案内メニュー
個人用ツール
ログイン
名前空間
ページ
議論
変種
表示
閲覧
ソースを表示
履歴表示
その他
検索
案内
メインページ
コミュニティ・ポータル
最近の出来事
新しいページ
最近の更新
おまかせ表示
sandbox
commonsupload
ヘルプ
ヘルプ
井戸端
notice
bugreportspage
sitesupport
ウィキペディアに関するお問い合わせ
ツール
リンク元
関連ページの更新状況
特別ページ
ページ情報