ヨハン・サンタナのソースを表示

{{Infobox baseball player 
|選手名             = ヨハン・サンタナ
|英語表記           = Johan Santana
|所属球団           = ボルチモア・オリオールズ
|背番号             = 57
|選手写真ファイル名 = Johan Santana on April 5, 2012.jpg
|写真サイズ         = 280
|国籍               = {{VEN}}
|出身地             = [[メリダ州]][[トバル (メリダ州)|トバル]] 
|生年月日           = {{生年月日と年齢|1979|3|13}}
|身長               = {{フィートとcm (身長用変換)|6|0}}
|体重               = {{ポンドとkg (体重用変換)|210}}
|守備位置           = [[投手]]
|プロ入り年度       = 1995年
|ドラフト順位       = アマチュア・フリーエージェントとして[[ヒューストン・アストロズ]]と契約
|打席               = 左
|利き腕             = 左
|初出場             = 2000年4月3日 [[タンパベイ・レイズ|デビルレイズ]]戦
|年俸               = $23,145,011（2012年）<ref>{{Cite web|url=http://espn.go.com/mlb/player/_/id/4280/johan-santana|title=Johan Santana Stats, News, Pictures, Bio, Videos|work=[[ESPN|ESPN.com]]|language=英語|accessdate=2013年1月2日}}</ref>
|経歴               = <nowiki></nowiki> 
* [[ミネソタ・ツインズ]] (2000 - 2007)
* [[ニューヨーク・メッツ]] (2008 - 2012)
|代表チーム={{Flagicon|VEN}} [[野球ベネズエラ代表|ベネズエラ]]
|WBC=[[2006 ワールド・ベースボール・クラシック|2006年]]
}}
'''ヨハン・アレクサンダー・サンタナ'''（Johan Alexander Santana, [[1979年]][[3月13日]] - ）は、[[ベネズエラ|ベネズエラ・ボリバル共和国]]・[[メリダ州]][[トバル (メリダ州)|トバル]]出身の[[プロ野球選手]]（[[投手]]）。左投左打。[[メジャーリーグベースボール|MLB]]・[[ボルチモア・オリオールズ]]所属。

{{by|2004年}}と{{by|2006年}}の2度[[サイ・ヤング賞]]を受賞しており、ともに満票での選出だったが、複数回の同賞満票受賞は史上5人目である<ref>過去の4選手は[[サンディー・コーファックス]]、[[グレッグ・マダックス]]、[[ロジャー・クレメンス]]、[[ペドロ・マルティネス]]。</ref>。現在のMLBにおける最高の先発投手のひとり<ref>Mike Bauman, "[http://mlb.mlb.com/news/article.jsp?ymd=20090614&content_id=5321878&vkey=perspectives&fext=.jsp&c_id=mlb Yanks wait for the best to show their best / Unmatched pounding of Santana proves club's potential]," ''MLB.com'', June 14, 2009. 2009年10月18日閲覧。</ref><ref name="numbertrade">[[李啓充]] 「[http://number.bunshun.jp/mlb/column/view/189/ ヨハン・サンタナ移籍 「売り時」を見誤ったツインズ新任GM]」 『[[Sports Graphic Number|Number Web]]』、2008年2月6日。2009年10月18日閲覧。</ref>だが、近年は度重なる故障に苦しんでいる。

== 経歴 ==
=== プロ入りまで ===
1979年3月13日、ベネズエラのメリダ州トバルで誕生。同国は[[野球]]が盛んな国であるが、トバルはプロの野球選手を輩出したことがない町だった<ref>[[:en:Jayson Stark|Jayson Stark]], "[http://sports.espn.go.com/mlb/columns/story?columnist=stark_jayson&id=2013056 Summit could be just the start for Santana]," ''ESPN.com'', March 15, 2005. 2009年10月18日閲覧。</ref>。幼少期は[[サッカー]]や野球に親しむが、地元のアマチュアチームで[[遊撃手]]をしていた父ヘススに憧れ、11歳のころに地元[[リトルリーグ]]のトライアウトを受験する<ref name="antonenusatoday">Mel Antonen, USA TODAY, "[http://www.usatoday.com/sports/baseball/al/twins/2004-07-26-santana-cover_x.htm Santana leaves 'em fanning]," ''[[USAトゥデイ|USATODAY.com]]'', July 26, 2004. 2009年10月18日閲覧。</ref>。父親の右利き用[[グラブ (野球)|グラブ]]を使って遊撃手としてプレイしていたサンタナだが、コーチに左利きであることを見抜かれると、[[外野手]]（[[中堅手]]）へ転向した<ref name="slugger79">SLUGGER 「ツインズが育てた無名の奪三振王 ヨハン・サンタナ」 『[[スラッガー (雑誌)|月刊スラッガー]]』2004年11月号、[[日本スポーツ企画出版社]]、2004年、[[雑誌コード|雑誌]]15509-11、26-29頁。</ref>。

{{by|1994年}}、サンタナは15-16歳クラスの全国大会に[[一塁手]]兼中堅手として出場<ref name="antonenusatoday" />。このとき、[[ヒューストン・アストロズ]]のスカウトを務めていたアンドレス・レイナーがサンタナの強肩ぶりに目をつける<ref name="nytimesinstinct">Jack Curry, "[http://www.nytimes.com/2008/01/31/sports/baseball/31scout.html Scout Listens to His Instincts, Not to His Boss, and Uncovers a Star]," ''[[ニューヨーク・タイムズ|New York Times]]'', January 31, 2008. 2009年10月18日閲覧。</ref>。当時のMLBは[[メジャーリーグ選手会|選手会]]による[[1994年から1995年のMLBストライキ|ストライキ]]の最中だったため、予算を凍結していた球団はトバルへの旅費すら出さない姿勢でいたが、何度も何度も説得を試みるレイナーの熱意に最後は折れ、[[ゼネラルマネージャー|GM]]の[[ボブ・ワトソン]]が旅費を自費で用意した<ref name="antonenusatoday" /><ref name="slugger79" /><ref name="nytimesinstinct" />。レイナーはトバルへ赴き、サンタナと交渉。{{by|1995年}}1月、サンタナは[[カラボボ州]][[バレンシア (ベネズエラ)|バレンシア]]にあるアストロズのアカデミーに送り込まれ、そこで3か月を過ごす<ref name="antonenusatoday" />。

サンタナと契約した時、彼を外野手と投手のどちらにすべきかレイナーは先述のこともあり、迷ったという<ref name="nytimesinstinct" />。サンタナ自身は外野手を望んでいたが、サンタナのスピードは野手としては物足りないとレイナーはみなしていた<ref name="antonenusatoday" />。結局レイナーは、当時のサンタナの球速が最速でも82mph（約132.0km/h）しか出なかったにもかかわらず、腕の振りが速いことに将来性を見出し、投手として契約を結ぶことにした<ref name="nytimesinstinct" />。

=== マイナーリーグ ===
{{by|1996年}}、サンタナは[[ドミニカ共和国]]の[[ドミニカン・サマーリーグ]]に送り込まれ、そこでプロデビュー。[[リリーフ|救援投手]]として40イニングを投げ[[防御率]]2.70・[[三振|奪三振率]]11.5という好成績を残した<ref>Ben Badler, "[http://www.baseballamerica.com/today/prospects/international-affairs/2009/267780.html DSL Prospects: Projecting Pitchers]," ''[[:en:Baseball America|BaseballAmerica.com]]'', March 26, 2009. 2009年11月17日閲覧。</ref>。翌{{by|1997年}}に[[アメリカ合衆国]]へ渡り、主に[[先発投手]]として[[マイナーリーグ]]で3シーズンを過ごす。{{by|1999年}}にはA級[[グレートレイクス・ルーンズ|ミシガン]]でチーム最多の26試合に先発し、防御率4.66・奪三振率8.4・[[WHIP]]1.35を記録。チームメイトの[[ロイ・オズワルト]]に次ぐ先発2番手として活躍する<ref name="slugger79" />。

同年12月、この年のリーグ最低勝率だった[[ミネソタ・ツインズ]]が、[[ドラフト会議 (MLB)#ルール・ファイブ・ドラフト|ルール5ドラフト]]指名対象となっていたサンタナに注目。1位指名権を持っていたツインズはサンタナの指名を決定する。しかしここで、2位指名権を有していた[[マイアミ・マーリンズ|フロリダ・マーリンズ]]が、自球団の有望株[[ジャレッド・キャンプ]]をツインズに指名される可能性を恐れ、ツインズに取引を提案。それは「ツインズがマーリンズからキャンプを指名→マーリンズがアストロズからサンタナを指名→キャンプとサンタナ＋金銭を[[トレード]]」というものだった。当初の予定に加えて金銭も得られるツインズはこれを受諾、こうしてサンタナはルール5ドラフトでマーリンズに指名され、即日トレードでツインズへ移籍した<ref name="slugger79" />。

=== ツインズ時代 ===
{{by|2000年}}4月3日、サンタナは[[タンパベイ・レイズ|デビルレイズ]]戦でメジャーデビューを果たす。しかしこの年は2勝、翌{{by|2001年}}も1勝しか挙げることができなかった。{{by|2002年}}、開幕をAAA級[[ラウンドロック・エクスプレス|エドモントン]]で迎えたサンタナは、投手コーチの[[ボビー・クェイヤー]]から[[チェンジアップ]]を習得し<ref>{{Cite book|和書|author=[[友成那智]]、[[村上雅則]]|year=2008|title=メジャーリーグ・完全データ選手名鑑2008|publisher=廣済堂出版|pages=147頁|id=ISBN 978-4-331-51300-2}}</ref>、5月にメジャーへ復帰した。この年リーグ最多の15個の[[暴投]]を記録したものの先発で7勝を挙げ、その一方でリリーフ登板もこなし、ツインズ11年ぶりの地区優勝の一員となった。続く{{by|2003年}}のシーズン開幕前、ツインズ首脳陣はサンタナに[[先発ローテーション]]入りを明言する。しかしその後[[フリーエージェント (プロスポーツ)|FA]]となっていた先発投手の[[ケニー・ロジャース]]がツインズと契約したことからサンタナはリリーフ陣に戻される。この仕打ちに不信感を抱いたサンタナは、球団にトレードを要求することも一時は考えた<ref name="slugger79" />。結局、前半戦はほとんどリリーフで登板、先発に定着したのは7月途中のことだった。8月・9月の2か月間で8勝を挙げ、[[ポストシーズン]]でも先発したサンタナだったが、肘を傷めたためシーズン終了後左肘の骨片除去手術を受ける。

{{by|2004年}}は開幕から先発ローテーションに定着し、前半戦は7勝6敗・防御率3.78という成績を残す。後半戦にはさらに成績を伸ばし、15試合で13勝無敗・防御率1.21を記録、
[[ピッチャー・オブ・ザ・マンス|月間最優秀投手賞]]を7月から9月の3か月連続で受賞している。最終的には20勝6敗・防御率2.61・265奪三振（リーグ1位・球団新記録<ref>"[http://www.baseball-reference.com/teams/MIN/leaders_pitch.shtml Minnesota Twins Pitching Leaders]," ''Baseball-Reference.com''. 2008年1月8日閲覧。</ref>）で[[最優秀防御率 (MLB)|最優秀防御率]]・[[最多勝利 (MLB)|最多勝]]の2タイトルを獲得した。3年連続地区優勝を果たしたツインズのエースとして、ポストシーズンでは[[ニューヨーク・ヤンキース|ヤンキース]]との[[2004年のアメリカンリーグディビジョンシリーズ|地区シリーズ]]第1戦に先発し勝利。さらに第2戦・第3戦とチームが連敗して後がなくなった状況では、監督の[[ロン・ガーデンハイアー]]に直訴して中3日で第4戦に先発したが<ref>{{Cite book|和書|author=友成那智、村上雅則|year=2005|title=メジャーリーグ・完全データ選手名鑑2005|publisher=廣済堂出版|pages=96頁|id=ISBN 978-4-331-51093-3}}</ref>、この試合ではチームは延長戦の末に敗戦、5回1失点のサンタナはチームの窮地を救うことができなかった<ref>"[http://www.baseball-reference.com/boxes/MIN/MIN200410090.shtml Oct 9, 2004, Yankees at Twins Box Score and Play by Play]," ''Baseball-Reference.com''. 2008年9月21日閲覧。</ref>。チームを[[2004年のワールドシリーズ|ワールドシリーズ]]へ導くことはできなかったサンタナだが、シーズン終了後には[[サイ・ヤング賞]]を満票で初受賞し、4年4,000万ドルというツインズ投手史上最高額での再契約も手に入れた。

{{by|2005年}}は、前年から続いていた記録が、連続先発試合3失点以下（MLB歴代2位）が4月5日に22で、連勝が5月1日に17で、それぞれ途切れるという滑り出し<ref>"[http://www.baseballlibrary.com/ballplayers/player.php?name=Johan_Santana_1979&page=chronology Johan Santana from the Chronology]," ''BaseballLibrary.com''. 2008年9月21日閲覧。</ref>。7月に[[2005年のMLBオールスターゲーム|オールスター]]初選出を果たすと、前年同様に後半戦に強さを見せ、シーズン通算では前年よりやや成績を落としたものの、2年連続奪三振王となるなど16勝7敗・238奪三振・防御率2.87（リーグ2位）という成績を残した。サイ・ヤング賞の投票では、2年連続受賞こそ逃したものの[[バートロ・コローン]]と[[マリアノ・リベラ]]に次ぐ3位に入った<ref>"[http://www.baseball-reference.com/awards/awards_2005.shtml#ALcya Baseball Awards Voting for 2005]," ''Baseball-Reference.com''. 2008年1月8日閲覧。</ref>。

{{by|2006年}}春、国際大会の[[2006 ワールド・ベースボール・クラシック|第1回ワールド・ベースボール・クラシック（WBC）]]に[[2006 ワールド・ベースボール・クラシック・ベネズエラ代表|母国ベネズエラ代表]]の一員として参加。[[2006 ワールド・ベースボール・クラシック・ドミニカ共和国代表|ドミニカ共和国]]戦と[[2006 ワールド・ベースボール・クラシック・キューバ代表|キューバ]]戦の2試合に先発したが2敗を喫した。その後始まったMLBのレギュラーシーズンでは、19勝・防御率2.77・奪三振245と主要三部門すべてでリーグトップとなり（勝利数は[[王建民]]と[[引き分け|タイ]]）、[[三冠 (野球)|投手三冠]]を獲得。シーズン終了後には、2年ぶりにサイ・ヤング賞を受賞した。シーズン終了後の11月には、[[日本]]で開催される[[日米野球]]にMLB選抜の一員として参加する予定だったが、3月のWBCから投げ続けて例年以上に肩を酷使していることから、球団首脳陣がサンタナの参加に反対したためやむなく辞退した<ref>{{Cite book|和書|author=友成那智、村上雅則|year=2007|title=メジャーリーグ・完全データ選手名鑑2007|publisher=廣済堂出版|pages=110頁|id=ISBN 978-4-331-51213-5}}</ref>。

{{by|2007年}}は球速が低下気味だったことが影響して成績を落とし<ref name="changeup2008">Jack Curry, "[http://www.nytimes.com/2008/03/03/sports/baseball/03santana.html Santana’s Changeup: Hitters Never See It Coming]," ''New York Times'', March 3, 2008. 2009年11月17日閲覧。</ref>、リーグワーストの33[[本塁打]]を浴びて防御率が前年から0.50以上悪化、さらに自身初の2桁敗戦となる13敗を喫した。シーズン最終登板となった9月26日の[[デトロイト・タイガース|タイガース]]戦では3回を投げきったところで降板。2004年5月29日以来続いていた連続試合先発・5イニング以上登板の記録が、過去50年では歴代3位となる123試合で途切れた<ref>Kelly Thesier / MLB.com, "[http://mlb.mlb.com/news/article.jsp?ymd=20070926&content_id=2232100 Start possibly Santana's last with Twins / Organization's decision regarding ace left-hander unclear]," ''MLB.com'', September 27, 2007. 2010年9月23日閲覧。</ref>。また、地区首位を争う[[クリーブランド・インディアンス|インディアンス]]との試合に6度先発して0勝5敗と、ツインズが地区連覇を逃した要因にもなった。それでもWHIPはリーグ最高、奪三振数もリーグ2位だった。8月19日の[[テキサス・レンジャース|レンジャース]]戦では17奪三振を挙げ、1試合の奪三振数で球団記録を更新している<ref>Kelly Thesier / MLB.com, "[http://mlb.mlb.com/news/article.jsp?ymd=20070819&content_id=2158166 Santana fans 17 Rangers in finale / Twins ace sets club strikeout record in eight shutout innings]," ''MLB.com'', August 19, 2007. 2010年9月23日閲覧。</ref>。

=== メッツ時代 ===
ツインズはオフに4年8,000万ドルでの契約延長をオファーしたものの、サンタナがこれを拒否。財政力の乏しいツインズは、{{by|2008年}}のシーズン終了後にFAで出て行かれる前にトレードでサンタナを放出し、見返りに他球団から将来有望な若手選手を数人獲得することにした。サンタナ獲得にはニューヨーク・ヤンキースや[[ボストン・レッドソックス]]など、資金力の豊富な球団が手を挙げた。しかしツインズ側が交換相手を欲張りすぎたため交渉は決裂、その後[[ニューヨーク・メッツ]]が前述の2球団よりも見劣りする交換相手を提示し、ツインズはこれを飲まざるを得なくなった<ref name="numbertrade" />。トレードの正式成立には健康診断のパスと2月1日午後5時までの契約延長合意が条件だった。サンタナとメッツは当日になり交渉期限を午後7時まで延長した末、投手史上最高額となる6年1億3,750万ドルでの契約延長に合意した<ref>[[AP通信|Associated Press]], "[http://sports.espn.go.com/espn/wire?section=mlb&id=3226937 Mets and LHP Johan Santana agree to $137.5 million, 6-year contract]," ''ESPN.com'', February 2, 2008. 2008年2月2日閲覧。</ref>。

メッツは前年のシーズン、9月12日時点では2位[[フィラデルフィア・フィリーズ|フィリーズ]]に7ゲーム差をつけての地区首位にいながら、そこから同月30日のシーズン最終戦まで5勝12敗と低迷し、フィリーズに逆転されてポストシーズン進出を逃していた。そんな中でのサンタナの加入は、メッツに漂うネガティブな空気を払拭する明るいニュースとなった<ref>[[杉浦大介]] 「サンタナがメッツにもたらすもの」 『月刊スラッガー』2008年5月号、日本スポーツ企画出版社、2008年、雑誌15509-5、22-25頁。</ref>。高い期待が寄せられた移籍1年目の2008年は選手生命を左右する可能性もあるほど悪い状態の左ひざ痛を抱えながらも<ref>[http://www5.nikkansports.com/baseball/mlb/tetsuya/70102.html][[鉄矢多美子]]『Field of Dreams』、2008年10月10日.。</ref>リーグ最多の234.1イニングを投げ、防御率2.53と[[クオリティ・スタート]]28回がそれぞれリーグ1位という安定した投球を披露。特に後半戦に成績が上向き、8月・9月はともに月間防御率が1点台で、9月には月間最優秀投手に選出されている。奪三振率が6年ぶりに9.00を下回ったり自己ワーストの63四球を与えたりと、成績が落ちた部分もあるが、フィリーズなどの強打のチームと多く対戦したサンタナの投球内容は、この年のサイ・ヤング賞を受賞した[[ティム・リンスカム]]よりも内容は上だった、という見方もある<ref>[[出野哲也]] 「ナ・リーグサイ・ヤング賞その他の候補」 『月刊スラッガー』2008年12月号、日本スポーツ企画出版社、2008年、雑誌15509-12、25頁。</ref>。しかしそれでもメッツは前年同様、8月終了時点で地区首位につけていながら9月にフィリーズに逆転され、またもポストシーズン進出を逃した。

シーズン終了後、サンタナは左ひざの手術を受けたため、{{by|2009年}}春開催の[[2009 ワールド・ベースボール・クラシック|第2回WBC]]は欠場した<ref>Marty Noble / MLB.com, "[http://newyork.mets.mlb.com/news/article.jsp?ymd=20090214&content_id=3828664&vkey=news_nym&fext=.jsp&c_id=nym Mets didn't keep Johan out of Classic]," ''mets.com'', February 14, 2009. 2010年9月23日閲覧。</ref>。こうして臨んだMLBレギュラーシーズンでは開幕から好調。史上4人目となる「開幕4試合で防御率0.75以下かつ奪三振36以上」という成績を残し、4月の月間最優秀投手賞を受賞<ref>"[http://newyork.mets.mlb.com/news/press_releases/press_release.jsp?ymd=20090505&content_id=4571252&vkey=pr_nym&fext=.jsp&c_id=nym Johan Santana named NL Pitcher of the Month for April]," ''mets.com'', May 5, 2009. 2010年9月23日閲覧。</ref>。7月11日の[[シンシナティ・レッズ|レッズ]]戦では通算119勝目を挙げ、[[フレディ・ガルシア]]が保持していた[[ベネズエラ出身のメジャーリーグ選手一覧|ベネズエラ出身メジャーリーガー]]の通算勝利数記録を更新した<ref>ESPN.com news services, "[http://sports.espn.go.com/mlb/recap?gameId=290711121 Newly acquired Francoeur backs Santana as Mets shut out Reds]," ''ESPN.com'', July 11, 2009. 2010年9月23日閲覧。</ref>。しかしその後、左ひじを痛めたため8月25日に[[故障者リスト]]入りして復帰せず、ひじの手術を受けた<ref>Associated Press, "[http://sports.espn.go.com/mlb/news/story?id=4421928 Santana, Putz both out for season]," ''ESPN.com'', August 25, 2009. 2010年9月23日閲覧。</ref>。

{{by|2010年}}も2完封を記録するなど好調なシーズンを過ごしていたものの、秋に入ってまたしても左肩を痛め、9月2日の試合を最後に戦線離脱して手術<ref>Anthony DiComo / MLB.com, "[http://newyork.mets.mlb.com/news/article.jsp?ymd=20100914&content_id=14651896&vkey=news_nym&fext=.jsp&c_id=nym Mets deem Santana's surgery successful]," ''mets.com'', September 14, 2010. 2010年9月23日閲覧。</ref>。これでメッツ移籍後3年連続で、故障によって手術を受けることになった。

{{by|2011年}}シーズンはリハビリと静養に費やし、復帰する事はなかった。

{{by|2012年}}に左肩の手術から復活し、5月26日の[[サンディエゴ・パドレス]]戦で4安打完封勝利をあげると、続く6月2日の[[セントルイス・カージナルス]]戦で5四球を与えたものの9回134球を投げ切り、[[ノーヒットノーラン]]を達成<ref>[http://www.cnn.co.jp/showbiz/30006815.html CNN.co.jp メッツのサンタナ投手が球団初のノーヒット・ノーラン]</ref>。6月30日のドジャーズ戦でも8回無失点に抑えるなど完全復活を印象づけたが、7月以降は一転不安定な投球が続き、5試合連続で6失点以上を喫すると、8月22日に腰の炎症を理由に故障者リスト入りしてそのままシーズンを終えた。

{{by|2013年}}は開幕を目前に控えた3月から肩の不調を訴えていたが、3月30日に肩の手術を受けることが発表され、3月31日に15日間の故障者リスト入りし、4月3日に手術を受けた。4月6日に60日間の故障者リストへ異動。同年中の復帰は絶望的となった。11月1日にFAとなった。

=== オリオールズ時代 ===
{{by|2014年}}3月4日に[[ボルチモア・オリオールズ]]とマイナー契約を結んだ<ref>{{cite web|url=http://baltimore.orioles.mlb.com/news/article.jsp?ymd=20140304&content_id=68667522&vkey=pr_bal&c_id=bal|title=Orioles Sign Free Agent Lhp Johan Santana To A Minor League Contract With An Invitation To Spring Training|work=MLB.com Orioles Press Release|author=|date=March 4, 2014|accessdate=March 5, 2014}}</ref>。マイナーでの登板がないまま、6月2日にオリオールズとメジャー契約を結び、同日に15日間の故障者リスト入りした<ref>{{cite web|url=http://baltimore.orioles.mlb.com/news/article.jsp?ymd=20140602&content_id=77907754&vkey=pr_bal&c_id=bal|title=Orioles select contract of LHP Johan Santana and place him on the 15-day disabled list|work=MLB.com Orioles Press Release|author=|date=June 2, 2014|accessdate=July 19, 2014}}</ref>。6月9日に60日間の故障者リストへ異動した<ref>{{cite web|url=http://baltimore.orioles.mlb.com/news/article.jsp?ymd=20140609&content_id=78979672&vkey=pr_bal&c_id=bal|title=Orioles Select Contract Of RHP Josh Stinson From Triple-A Norfolk; RHP Brad Brach Optioned To Triple-A Norfolk|work=MLB.com Orioles Press Release|author=|date=June 9, 2014|accessdate=July 19, 2014}}</ref>。

== 選手としての特徴 ==
[[ファイル:Johan Santana 20060602.jpg|160px|thumb|投球フォーム]]
主な球種は[[速球|速球（フォーシーム）]]とパラシュートチェンジ（チェンジアップの一種）、そしてスラーブ（スライダーとカーブの混ざり）である。ツインズの正捕手としてサンタナの球を受けていた[[ジョー・マウアー]]は「どれをとっても彼の球種は平均を遥かに上回る」と評している<ref>[[阿部寛子]] 「最強左腕の静かな情熱 ヨハン・サンタナ」 『月刊スラッガー』2007年1月号、日本スポーツ企画出版社、2006年、雑誌15509-1、48-51頁。</ref>。その中でも軸となるのが、同じ腕の振りから繰り出される速球とチェンジアップの組み合わせである。

速球の平均球速は、サイ・ヤング賞を2度受賞したツインズ時代でも93.5mph（約150.5km/h）とMLB全体の平均と同じ程度だが、チェンジアップの平均球速は77.5mph（約124.7km/h）で、速球との球速差16mph（約25.7km/h）は当時のMLBで一番大きかった<ref>「解析データ＆打者の証言 最強左腕サンタナの攻略法を探せ！」 『月刊スラッガー』2007年7月号、日本スポーツ企画出版社、2007年、雑誌15509-7、16-18頁。</ref>。このチェンジアップは2007年、ア・リーグ各球団監督を対象に行われたアンケートでも「リーグで1番のチェンジアップ」に選ばれている<ref>Baseball America Staff, "[http://www.baseballamerica.com/today/majors/features/264575.html American League Best Tools]," ''BaseballAmerica.com'', August 1, 2007. 2008年2月6日閲覧。</ref>。[[ジェイソン・ジアンビ]]は「彼のチェンジアップが厄介なのは、コントロールがいいことだ。ワンバウンドさせてしまうような投げ損じがない。途中まで速球のような軌道で来て、そこから落ちる」と評している<ref name="changeup2008" />。ただ、メッツへ移籍後は球速差が縮まっており、2010年は速球が89.2mph（約143.5km/h）、チェンジアップが79.3mph（約127.6km/h）、その差は9.9mph（約15.9km/h）となっている<ref>Michael Salfino / SNY.tv, "[http://web.sny.tv/news/article.jsp?ymd=20100622&content_id=11445116&oid=36018&vkey=9 Changeup, not fastball, hurting Santana / Smaller difference in velocity affecting lefty's performance]," ''[[:en:SportsNet New York|SNY.tv]]'', June 22, 2010. 2010年9月23日閲覧。</ref>。

2009年からは打線の援護が減り、2年連続で規定投球回到達者中リーグワーストの[[得点援護率|RS（得点援護率）]]をマークしている<ref>[http://espn.go.com/mlb/stats/pitching/_/year/2009/league/nl/sort/runSupportAvg/count/241/qualified/false/type/expanded-2/order/false ESPN MLB Player Pitching Stats - 2009]</ref><ref>[http://espn.go.com/mlb/stats/pitching/_/league/nl/sort/runSupportAvg/count/201/qualified/false/type/expanded-2/order/false ESPN MLB Player Pitching Stats - 2010]</ref>。

== 人柄 ==
[[File:Melvin Mora and Johan Santana on June 16, 2009.jpg|thumb|250px|2009年6月16日の試合前、同じベネズエラ出身の[[メルビン・モーラ]]（[[ボルチモア・オリオールズ|オリオールズ]]）とじゃれあう]]
非常に明るく人懐っこい性格である。先発投手が登板日の試合前にインタビューを受けることは普通は考えられないことであるが、サンタナを取材した[[SHEILA]]によると、サンタナはインタビューを受けたり歌を歌ったりと楽しそうにしているという<ref>「[http://sportsnavi.yahoo.co.jp/baseball/mlb/column/200611/at00011420.html 男がほれる男、大投手サンタナの魅力 SHEILAの「キャッチ・ザ・ハート」第5回]」 『[http://sportsnavi.yahoo.co.jp スポーツナビ]』、2006年11月28日。2008年5月20日閲覧。</ref>。また、人を和ませるイタズラをすることもある。2005年には、チームメイトの[[フランシスコ・リリアーノ]]がメジャー初登板で先頭打者[[ゲイリー・マシューズ・ジュニア]]に本塁打を打たれると、サンタナは試合終了後、リリアーノのロッカーに「ゲイリー・マシューズより」と書かれたバラバラの[[ボール (野球)|ボール]]を置いた。これをきっかけにしてリリアーノはチームに打ち解けることとなり、リリアーノはそのボールを実家に飾ったという<ref name="withliriano">阿部寛子 「ヨハン・サンタナ＆フランシスコ・リリアーノ［ツインズ］黄金の左腕デュオ」 『月刊スラッガー』2006年10月号、日本スポーツ企画出版社、2006年、雑誌15509-10、32-35頁。</ref>。

ベネズエラで高校に通っていたときには野球だけでなく[[サッカー]]もしていたため<ref>"[http://newyork.mets.mlb.com/team/player_career.jsp?player_id=276371 Biography and Career Highlights]," ''The Official Site of The New York Mets''. 2008年5月20日閲覧。</ref>、サッカーが好き。[[2006 FIFAワールドカップ|2006年のFIFAワールドカップ]]開催中には、試合前のクラブハウスでワールドカップ中継を観戦していたサンタナがひとりはしゃいでいる姿が目撃されている<ref name="withliriano" />。

== 詳細情報 ==
=== 年度別投手成績 ===
{|{{投手成績|リーグ=メジャーリーグベースボール}}
|-
|style="text-align:center;"|{{by2|2000}}
|rowspan="8" style="text-align:center;"|[[ミネソタ・ツインズ|MIN]]
|30||5||0||0||0||2||3||0||0||.400||398||86.0||102||11||54||0||2||64||5||2||64||62||6.49||1.81
|-
|style="text-align:center;"|{{by2|2001}}
|15||4||0||0||0||1||0||0||0||1.000||195||43.2||50||6||16||0||3||28||3||0||25||23||4.74||1.51
|-
|style="text-align:center;"|{{by2|2002}}
|27||14||0||0||0||8||6||1||3||.571||452||108.1||84||7||49||0||1||137||'''15'''||2||41||36||2.99||1.23
|-
|style="text-align:center;"|{{by2|2003}}
|45||18||0||0||0||12||3||0||5||.800||644||158.1||127||17||47||1||3||169||6||2||56||54||3.07||1.10
|-
|style="text-align:center;"|{{by2|2004}}
|34||34||1||1||0||20||6||0||0||.769||881||228.0||156||24||54||0||9||'''265'''||7||0||70||66||'''2.61'''||'''0.92'''
|-
|style="text-align:center;"|{{by2|2005}}
|33||33||3||2||2||16||7||0||0||.696||910||231.2||180||22||45||1||1||'''238'''||8||0||77||74||2.87||'''0.97'''
|-
|style="text-align:center;"|{{by2|2006}}
|34||'''34'''||1||0||0||'''19'''||6||0||0||.760||923||'''233.2'''||186||24||47||0||4||'''245'''||4||1||79||72||'''2.77'''||'''1.00'''
|-
|style="text-align:center;"|{{by2|2007}}
|33||33||1||1||1||15||13||0||0||.536||878||219.0||183||'''33'''||52||0||4||235||7||1||88||81||3.33||'''1.07'''
|-
|style="text-align:center;"|{{by2|2008}}
|rowspan="4" style="text-align:center;"|[[ニューヨーク・メッツ|NYM]]
|34||'''34'''||3||2||1||16||7||0||0||.696||'''964'''||'''234.1'''||206||23||63||5||4||206||9||2||74||66||'''2.53'''||1.15
|-
|style="text-align:center;"|{{by2|2009}}
|25||25||0||0||0||13||9||0||0||.591||701||166.2||156||20||46||3||3||146||1||0||67||58||3.13||1.21
|-
|style="text-align:center;"|{{by2|2010}}
|29||29||4||2||0||11||9||0||0||.550||817||199.0||179||16||55||2||2||144||2||2||67||66||2.98||1.18
|-
|style="text-align: center;"|{{by2|2012}}
|21||21||2||2||1||6||9||0||0||.400||499||117.0||117||17||39||1||0||111||1||0||65||63||4.85||1.33
|-
!colspan="2"|通算：12年
|360||284||15||10||5||139||78||1||8||.641||8262||2025.2||1726||220||567||13||36||1988||68||12||773||721||3.20||1.13
|}
* 2012年度シーズン終了時
* 各年度の'''太字'''はリーグ最高

=== 獲得タイトル・表彰 ===
* [[三冠 (野球)|投手三冠]] 1回：2006年
* [[アメリカンリーグ]][[最多勝利 (MLB)|最多勝利]] 1回：2006年
* アメリカンリーグ[[最優秀防御率 (MLB)|最優秀防御率]] 2回：2004年、2006年
* [[ナショナルリーグ]]最優秀防御率 1回：2008年
* アメリカンリーグ[[最多奪三振 (MLB)|最多奪三振]] 3回：2004年、2005年、2006年
* アメリカンリーグ [[サイ・ヤング賞]] 2回：2004年、2006年
* [[MLBオールスターゲーム]]選出 4回：[[2005年のMLBオールスターゲーム|2005年]] - [[2007年のMLBオールスターゲーム|2007年]]、[[2009年のMLBオールスターゲーム|2009年]]
* アメリカンリーグ [[ゴールドグラブ賞]]（投手部門） 1回：2007年
* [[ピッチャー・オブ・ザ・マンス]] 8回：2003年8月、2004年7月・8月・9月、2006年6月・9月、2008年9月、2009年4月
* [[ウォーレン・スパーン賞]] 2回：2004年、2006年
* [[フィールディング・バイブル・アワード]] 1回：2007年

=== 記録 ===
* [[ノーヒットノーラン]] :1回

== 脚注 ==
{{Reflist|2}}

== 外部リンク ==
{{commonscat|Johan Santana}}
{{MLBstats |mlb=276371 |espn=4280 |br=s/santajo02 |fangraphs=755 |cube=S/Johan-Santana}}

{{ボルチモア・オリオールズ}}
{{Navboxes|title=業績
|list1=
</span>
{{アメリカンリーグ サイ・ヤング賞}}
{{アメリカンリーグ最優秀防御率}}
{{ナショナルリーグ最優秀防御率}}
{{アメリカンリーグ最多勝投手}}
{{アメリカンリーグ最多奪三振}}
{{アメリカンリーグ ゴールドグラブ賞 (投手)}} 
}}
{{2006 ワールド・ベースボール・クラシックベネズエラ代表}}

{{Good article}}

{{DEFAULTSORT:さんたな よはん}}
[[Category:ベネズエラの野球選手]]
[[Category:ミネソタ・ツインズの選手]]
[[Category:ニューヨーク・メッツの選手]]
[[Category:最優秀防御率 (MLB)]]
[[Category:最多勝利 (MLB)]]
[[Category:最多奪三振 (MLB)]]
[[Category:サイ・ヤング賞]]
[[Category:MLBオールスターゲーム選出選手]]
[[Category:1979年生]]
[[Category:存命人物]]