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ヤマハ・YZR500
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[[file:Wayne Rainey.jpg|300px|right|thumb|YZR500を駆る[[ウェイン・レイニー]](1990年[[アメリカグランプリ (ロードレース)|アメリカGP]])]] '''ヤマハ・YZR500'''(ワイゼットアールごひゃく)は、[[ヤマハ発動機]]がオートバイ[[ロードレース世界選手権]]、[[全日本ロードレース選手権]]500ccクラスに開発・投入した、競技専用二輪車両([[オートバイ]])の車種名。YZRとは“Y”ヤマハの“Z”究極の“R”ロードレーサーの意。 なお、ヤマハでは前年のYZRのスペックを反映した競技専門車[[ヤマハ・TZ|TZ]]をプライベートライダー向けに1980年から1983年に発売しており、YZR500の市販車とも言えるTZ500が存在する(価格は1983年型で280万円)。 == YZR500の歴史 == [[ファイル:YAMAHA YZR500 OW20.JPG|thumb|right|200px|初代YZR (OW20)]] [[ファイル:Kenny Roberts.JPG|thumb|right|180px|[[ケニー・ロバーツ]]とYZR(1981年[[ドイツグランプリ (ロードレース)|西ドイツGP]])]] [[ファイル:Yamaha YZR500 (2002).jpg|thumb|180px|最後の2002年型 (OWL9)]] [[1973年]]、YZR500の第一号車として[[水冷エンジン|水冷]][[2ストローク機関|2ストローク]][[直列4気筒|並列4気筒]]エンジンを搭載した'''0W20'''(オーダブル20)がデビュー。[[ヤーノ・サーリネン]]の手により、同年のフランスGPで初勝利。以後YZR500は[[1981年]]までピストンバルブ並列4気筒エンジンで進化を続け、その間に[[ジャコモ・アゴスチーニ]]([[1975年]])、[[ケニー・ロバーツ]]([[1978年]]~[[1980年]])というチャンピオンを生んだ。日本車が世界GPの500ccクラスでライダータイトルを獲得したのは、1975年のアゴスチーニ+YZR500が初(メーカータイトルは[[ホンダ]]が[[1966年]]に獲得している)。排気系はオーソドックスな前方排気から、複雑にとぐろを巻いた排気管でチャンバー容量を稼ぐようになり、さらには2気筒前方排気、2気筒後方排気へと変貌していった。 [[1981年]]シーズンにスクエア4ロータリーディスクバルブエンジン搭載の'''0W54'''がデビュー。最終戦で[[バリー・シーン]]が優勝に導く。 [[1982年]]、前年デビューしたスクエア4エンジンの熟成型'''0W60'''に加えて、新たにV4([[V型4気筒]])エンジンを搭載した'''0W61'''が登場する。しかし早すぎた投入となったか、3年連続チャンピオン経験者のケニー・ロバーツや2年連続チャンピオン経験者のバリー・シーンにすら手に余る難題を抱えていた。同時出走したスクエア4の0W60は[[グレーム・クロスビー]](ロバーツの補佐役)によりランキング2位を得る。なお0W61などのヤマハV4は、正確に言うとV4(1本のクランクシャフトに4つのピストン)ではなく、スクエア4の変形タイプ(2本のクランクシャフトを持つ)だった。 [[1983年]]。2ストローク500cc・ロータリーディスクバルブの2軸クランクV4エンジン(スクエア4の変形)を、新設計のセミ・モノコック型アルミフレーム([[アルミニウム|アルミ]]・デルタボックスフレーム)に搭載した'''0W70'''がデビューする。この「デルタボックスとV4エンジン」というパッケージは、その後のYZR500の基本形となった。[[ケニー・ロバーツ]]が6勝をマークしランキング2位。[[1984年]]、V4エンジンはシーズン途中にロータリーディスクバルブからクランクケースリードバルブに仕様変更を受け、メインフレームも大きく進化。ロバーツの後輩である[[エディ・ローソン]]がシーズン4勝を上げ世界タイトルを獲得する。[[1985年]]以降も毎年熟成を重ね、[[1986年]]/[[1988年]]にローソン、[[1990年]]~[[1992年]]に[[ウェイン・レイニー]]がそれぞれライダースチャンピオンを獲得している。 {{MGP|1992}}、ヤマハはヨーロッパの有力コンストラクターに対して1990年型YZR500(0WC1)のエンジン販売を開始し、同時に0WC1の車体情報を公開した。これにより1992年のグリッドにはROCやハリスといった自社製のフレームにYZRのエンジンを搭載したマシンが並び、500ccクラスの活性化に貢献した。1992年から{{MGP|1994}}までのコンストラクターズタイトルでは、ROCヤマハとハリスヤマハがそれぞれ4位・5位を占めている<ref>[http://www.yamaha-motor.co.jp/profile/sports/race/history/philosophy/0009.html ヤマハ発動機株式会社 - YZR500の足跡にみるヤマハフィロソフィー]</ref>。 [[2002年]]、WGP最高峰クラスがGP500から4ストロークマシン主体の[[MotoGP]]へ移行。2ストローク500ccマシンにも参戦の道は残されたが、レギュレーションの関係から4ストロークマシンでなければ勝てない状況となり、ヤマハの最高峰グランプリマシンの座を4ストロークの[[YZR-M1]]に譲り30年の歴史に終止符を打った。 {{-}} ==特徴== * YZR500の{{MGP|1983}}モデルである0W70は始動性が悪かった。当時のスタート時のエンジン始動は押しがけであったが、[[ダッチTT]](オランダGP)において、[[ケニー・ロバーツ]]は押しがけ17歩目にして、やっとYZR500に乗ることができた。それに対して、[[フレディ・スペンサー]]は5歩目で[[ホンダ・NS500|NS500]]に乗っていた。ケニーは予選でポール・ポジションを獲得していたのだが、9位にまで落ちてしまい、シェブロン・ブリッジを過ぎる時には16位にまで落ちていた<ref>『片山敬済の戦い - オランダGPの16ラップ』(p42 - p47)より。</ref>。YZR500の始動性の悪さについて、当時は、NS500の3気筒に比べてV形4気筒のエンジンレイアウトを持つYZRの特性によるもの、と言われていた<ref>『片山敬済の戦い - オランダGPの16ラップ』(P92)より。</ref>。<!-- スタートでは後方に沈んでしまいやすく、予選での好位置を生かせないことが多かった。-->一説に0W70がロータリーディスクバルブを採用していたのが原因だという<ref>『レーサーズ Vol.02』(三栄書房、2009年)ISBN 978-4-7796-0821-6(p.61)</ref>(NS500はリードバルブ)。K・ロバーツ(シニア)は予選で好位置を得ながらもスタートで後続に沈んでしまい、レコードを連発しながらも結局はトップに届かないレース展開が多かった。 * 80年代後半からのホンダ・NSRとスズキ・RGV-Γとの熾烈な争いでは、エンジンパワーに優れ最高速重視のNSR、軽快な車体で強力なブレーキングを得意とするRGV-Γに対してYZRは優れたハンドリングによる高いコーナーリング性能を武器としていた。 == 歴代モデル == 各モデルの説明はヤマハ発動機のWGP参戦50周年アーカイブ[http://global.yamaha-motor.com/jp/race/wgp-50th/race_archive/machines/]を参考にする。 ;OW20 (1973 - 1974) :ヤマハ初のワークス500ccマシン。[[ヤマハ・TZ|TZ750]]と同時開発。[[クロムモリブデン鋼|クロムモリブデン]]鋼管フレームに[[水冷エンジン|水冷]][[2ストローク]][[並列4気筒]]・ピストンリードバルブエンジン (494cc、最高馬力80PS以上) を搭載。 :[[ファイル:Giacomo Agostini Yamaha YZR500 (6391624073).jpg|thumb|right|160px|OW23]] ;OW23 (1974 - 1975) :1974年[[ベルギーグランプリ (ロードレース)|ベルギーGP]]から登場。500cc専用に設計され、カセットミッションの採用により整備性が向上した。1974年、1975年にメーカータイトルを獲得。 ;OW35 (1977) :エンジンのボア×ストローク変更(54×54mmから56×50.6mm)、シリンダーピッチの変更、パワージェット付き[[キャブレター]]の採用などにより高出力化を図る(最高出力100PS以上)。 :[[ファイル:Yamaha YZR500 1978.jpg|thumb|right|160px|OW35K]] ;OW35K (1977 - 1978) :1977年終盤より投入。排気タイミングを制御する[[YPVS]](ヤマハパワーバルブシステム)を採用。 ;OW45 (1979) :市販[[ヤマハ・TZ|TZ500]]のベースモデル。YPVSの信頼性向上、VMキャブレターを採用し加速特性を改善。 ;OW48 / OW48R (1980) :軽量化を図り、シーズン中に角型アルミパイプフレームを採用。OW48Rはエンジンの左右外側1番・4番シリンダーを後方排気とする(Rはリバースの略)。 ;OW53 (1981) :並列4気筒YZR500の最終モデル。OW48ベースの角型アルミフレームにOW48Rの両外側後方排気エンジンを搭載。 ;OW54 (1981) :ヤマハ初の[[U型エンジン#スクエア4気筒|スクエア4]]エンジンを搭載し、ロータリーディスクバルブ吸気を採用。OW53と併用された。 ;OW60 (1982) :スクエア4エンジンを継続使用し、ベルクランクを介する新型サスペンションを採用。 ;OW61 (1982) :500ccGPレーサーとしては初の2ストローク[[V型4気筒]]エンジンモデル。アンダーループのないフレーム構造、横置きリアサスペンションなどの新機軸にも挑戦。 :[[ファイル:Yamaha YZR500 (OW70).jpg|thumb|right|160px|OW70]] ;OW70 (1983) :OW61の発展系で、アルミ製デルタボックスフレームを採用。前輪は17インチホイール。後期型ではサスペンションをボトムリンク式に変更。 ;OW76 (1984) :シーズン中にクランクリードバルブ吸気を投入し、出力特性と始動性を改善。 ;OW81 (1985 - 1986) :2本の[[クランクシャフト]]を互いに逆回転させ、ハンドリングに影響する[[ジャイロ効果|ジャイロモーメント]]を抑制。エンジンケースをストレスメンバー化。供給先がワークスのマールボロ・ヤマハの他に、ソノート・ヤマハ、チーム・ロバーツへも拡大され、1975年以来のメーカータイトルを獲得。 ;OW86 (1987) :新レギュレーションの騒音規制に対応。ラジエターの冷却性能を上げ、カウルのエアダクトを拡大。メーカータイトルを2連覇。 ;OW98 (1988) :エンジンVバンク角を60°→70°に変更。下側排気管を右2本出しとし、左右非対称型リアアームを採用。[[イギリスグランプリ (ロードレース)|イギリスGP]]より[[炭素繊維強化プラスチック|カーボン]][[ディスクブレーキ]]を投入。メーカータイトル3連覇。 :[[ファイル:Yamaha YZR500 1989.jpg|thumb|right|160px|OWA8]] ;OWA8 (1989) :走行状態を記録する[[データロガー]]を搭載。 ;OWC1 (1990) :ディメンジョンを変更し操縦安定性を改善。メーカータイトルを獲得。プライベーターの[[ROC]]やハリスにエンジンを供給する際のベースモデルとなる。メーカータイトル獲得。 ;OWD3 (1991) :最低重量130kgへの引き上げに対応。電子制御リアサスペンション(CES)を装備。メーカータイトル連覇。 :[[ファイル:Yamaha YZR500 1992.jpg|thumb|right|160px|OWE0]] ;OWE0 (1992) :[[ホンダ・NSR500]]に続き、[[ハンガリーグランプリ (ロードレース)|ハンガリーGP]]より位相同爆式エンジン(ビッグバンエンジン)を投入。 ;OWF2 (1993) :アルミ押出し材の「目の字」断面パイプを採用して剛性強化。エースライダーの[[ウェイン・レイニー]]はフレームの感触を好まず、第8戦以降は0WC1ベースのROCフレームに変更。メーカータイトルを獲得。 ;OWF9 (1994 - 1995) :フレームを展伸材(パネル材)に変更。1995モデルは走行風でエンジン吸気を加圧する手法を採用。 ;OWJ1 (1996) :エンジンのボア・ストロークを56×50.6mm→54×54mmに変更。ピストンは耐熱性に優れるパウダーメタル鍛造。フレームのシートレールを廃す。 ;OWH0 (1997) :エンジンVバンク角を70°→75°に変更。ドライブ軸位置を上昇。 ;OWK1 (1998 - 1999) :新規定の[[無鉛ガソリン]]に対応。エンジンVバンク角を75°→70°に再変更。他には圧縮比、マフラー形状、キャブレター([[ミクニ]]→[[ケーヒン]]製)などを変更。 ;OWK6 (2000) :OWK1をベースに車体各部の見直し、カウル形状の刷新。1993年以来7年ぶりのメーカータイトル獲得。 :[[ファイル:Nori Abe Yamaha YZR500 (6391090221).jpg|thumb|right|160px|OWL6]] ;OWL6 (2001) :車体ディメンジョンほかを各部を見直し、ライディングスタイルに合わせて2種類のリアアーム(ショート/ロング)を用意。 ;OWL9 (2002) :28代目の最終モデル。エンジン搭載位置を前進し、フロント荷重を増加。 == 主なライダー == '''太字'''はチャンピオンを獲得したライダー(括弧内は年度)。他メーカーでチャンピオンを獲得した年度は除く。 === ロードレース世界選手権 === {{Col| *[[ヤーノ・サーリネン]] *[[金谷秀夫]] *'''[[ジャコモ・アゴスチーニ]]'''({{MGP|1975}}) *[[チューボ・ランシボリ]] *[[ジョニー・チェコット]] *スティーブ・ベーカー *'''[[ケニー・ロバーツ]]'''({{MGP|1978}}、{{MGP|1979}}、{{MGP|1980}}) *[[片山敬済]] *[[クリスチャン・サロン]] *[[高井幾次郎]] *[[バリー・シーン]] *[[グレーム・クロスビー]] *マルク・ファンタン *'''[[エディ・ローソン]]'''({{MGP|1984}}、{{MGP|1986}}、{{MGP|1988}}) *[[バージニオ・フェラーリ]] *[[レイモン・ロッシュ]] *[[ロブ・マッケルニア]] *[[マイク・ボールドウィン]] *[[ランディ・マモラ]] *[[平忠彦]] *[[ディディエ・デ・ラディゲス]] *[[ケビン・マギー]] *[[パトリック・イゴア]] *'''[[ウェイン・レイニー]]'''({{MGP|1990}}、{{MGP|1991}}、{{MGP|1992}}) *[[フレディ・スペンサー]] *[[ニール・マッケンジー]] | *[[ジャン=フィリップ・ルジア]] *[[ファン・ガリガ]] *[[アドリアン・モリラス]] *[[ダグ・チャンドラー]] *[[ジョン・コシンスキー]] *[[ベルナール・ガルシア]] *[[ルカ・カダローラ]] *[[ダリル・ビーティー]] *[[阿部典史]] *[[ジャン=ミシェル・バイル]] *[[ケニー・ロバーツJr.]] *[[ロリス・カピロッシ]] *[[セテ・ジベルノー]] *[[トロイ・コーサー]] *[[レジス・ラコーニ]] *[[サイモン・クラファー]] *[[カルロス・チェカ]] *[[マックス・ビアッジ]] *[[ギャリー・マッコイ]] *[[ホセ・ルイス・カルドソ]] *[[オリビエ・ジャック]] *[[中野真矢]] *[[芳賀紀行]] *[[ジョン・ホプキンス]] *[[ペラ・リバ]] }} == 参考文献 == <!-- 参考文献の定義:本項目の執筆に際して参考とした文献 --> * [[泉優二]]、[[竹島将]]『片山敬済の戦い - オランダGPの16ラップ』[[ソニー・マガジンズ#CBS・ソニー出版時代|CBS・ソニー出版]]、1984年4月21日 発行、ISBN 978-4789701358 == 脚注 == {{脚注ヘルプ}} {{reflist}} ==関連項目== {{Commonscat|Yamaha YZR500}} *[[ヤマハ・YZR250]] *[[ヤマハ・YZR-M1]] *[[ヤマハ・TZ]] ==外部リンク== * [http://global.yamaha-motor.com/jp/race/wgp-50th/ WGP参戦50年の歩み] - ヤマハ発動機 * [http://skylinezero17.cocolog-nifty.com/blog/2011/11/yzr500-15b8.html YZR500の歴史を画像で見る事ができます] - Motorcycle racers {{Motorcycle-stub}} {{ヤマハのオートバイの車種}} {{DEFAULTSORT:やまは・YZR500}} [[Category:レーサー (オートバイ)]] [[Category:ヤマハのオートバイの車種|YZR500]]
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