ポール・ディラックのソースを表示

{{Infobox scientist
| name              = ポール・エイドリアン・モーリス・ディラック
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| doctoral_advisor  = ラルフ・ファウラー（Ralph Fowler）
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| doctoral_students = [[ホーミ・J・バーバー]]<br>ハリッシュ・キャンドラ（Harish Chandra Mehta）<br>デニス・シアマ（Dennis Sciama）<br>[[フレッド・ホイル]]<br />Behram Kurşunoğlu<br>ジョン·ポーキングホーン（John Polkinghorne）
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| known_for         = [[ディラック方程式]]<br>[[くし型関数]]<br>[[ディラックのデルタ関数]]<br>[[フェルミ分布関数]]<br>[[ディラックの海]]<br />[[ディラック・スピノル]]<br> Dirac measure <br>[[ブラ-ケット記法]]<br> Dirac adjoint <br />[[大数仮説]]<br /> Dirac fermion <br> Dirac string <br> Dirac algebra <br> Dirac operator <br /> Abraham-Lorentz-Dirac force <br /> Dirac bracket <br> Incomplete Fermi–Dirac integral|Fermi–Dirac integral <br> Negative probability <br />[[相互作用描像]]<br> Breit equation|Dirac-Coulomb-Breit Equation <br> Kapitsa–Dirac effect 
| awards            = {{nowrap|[[ノーベル物理学賞]] (1933)<br>[[コプリ・メダル]] (1952)<br>[[マックス・プランク・メダル]] (1952)<br> [[王立協会]] (1930)}}
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  {{thumbnail:ノーベル賞受賞者|1933年|ノーベル物理学賞|原子の理論における新しい生産的な理論形式の発見}}
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'''ポール・エイドリアン・モーリス・ディラック'''（'''Paul Adrien Maurice Dirac''', [[1902年]][[8月8日]]・[[ブリストル]] - [[1984年]][[10月20日]]）は[[イギリス]]の[[理論物理学者]]。[[量子力学]]及び量子電磁気学の基礎づけについて多くの貢献をした。[[1933年]]に[[エルヴィン・シュレーディンガー]]と共に[[ノーベル物理学賞]]を受賞している。

彼は[[ケンブリッジ大学]]の[[ルーカス教授職]]を務め、最後の14年間を[[フロリダ州立大学]]の教授として過ごした。 

== 生涯 ==
=== 生い立ち ===
ディラックは1902年に, [[イギリス]]の[[ブリストル]]で, [[スイス]]からの移民の父チャールズとイギリス人の母のもとに生まれた。 妹と、後に自殺した兄がいた。
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=== 教育 ===
[[ブリストル大学]]で[[電気工学]]と[[数学]]を、[[ケンブリッジ大学]]で[[物理学]]を学んだ。
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=== 個人的生活 ===
家庭生活では、ディラックは1937年に、[[ユージン・ウィグナー]]の妹、 Margitと結婚した。 結婚当時、Margitには二人の連れ子がおり、またディラック自身は彼女との間に二人の娘をもうけた。
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物理学以外の事柄には余り関心を持たなかったと言われ、友人であった[[ロバート・オッペンハイマー|オッペンハイマー]]が詩を愛好するのを批判して、「誰も知らないことを誰でもわかる言葉で語るのが物理学だ。誰もが知ることを誰にもわからない言葉で語るのが詩だ。」と言ったことがある。

また、有名になることを極度に避けていたと言われ、[[ノーベル賞]]が決まった際には、有名になることを恐れて受賞を辞退しようとした。その際、師である[[アーネスト・ラザフォード|ラザフォード]]が「もしノーベル賞を断ったら、君はノーベル賞をもらった場合より、もっと有名になる。」と言って説得した結果、渋々賞を受けたと伝えられる。

== 業績 ==
ハイゼンベルクによる量子力学の定式化([[行列力学]])を受け、[[1925年]]に量子力学での力学変数の間の交換子と古典力学での[[ポアソン括弧]]の関係を見出した。[[1926年]]にシュレーディンガーによって提案されていた[[波動力学]]と行列力学との間の等価性を、シュレーディンガーと独立に証明した。また、[[パウリの排他原理|パウリの排他律]]を満す粒子の統計力学（フェルミ・ディラック統計）をフェルミと独立に考察した。ここでディラックはある粒子系の[[波動関数]]が粒子の入れ換えについて対称（反対称）である事が、その粒子がボース・アインシュタイン統計（フェルミ・ディラック統計）を満すことと対応する事を見出している。

[[1928年]]に[[電子]]の相対論的な[[量子力学]]を記述する方程式として[[ディラック方程式]]を考案した。この方程式から導かれる電子の負エネルギー状態についていわゆるディラックの海と呼ばれる解釈を提案した。この解釈では電子の電荷と符号が逆で大きさは同じ電荷を持ち、電子と同じ質量を持つ粒子(反粒子)の存在が予言される。ディラックは当初この予言された新粒子を陽子ではないかと考えたが、後に電子の反粒子である[[陽電子]]がアンダーソンにより[[1932年]]に実験的に発見された。

彼は数学の分野にも大きな影響を与えた。「ディラックのデルタ関数」と呼ばれる[[ディラックのデルタ関数|δ関数]]は、数学における[[超関数]]理論へと発展し、ディラック方程式においては[[スピノル]]など新しい数学的概念を生み出した。また波動関数の位相に関する考察から量子力学の枠内で磁荷を持つ粒子、[[モノポール|磁気単極子]]、の記述を考案し、更に磁気単極子の存在が電荷の量子化を説明する事を見出した。ここでの彼の考察は数学者によって独立に考えられた[[ファイバー束]]の数学と本質的に同一であった。磁気単極子を扱った論文で、彼は物理学における[[数学的な美]]の重要性を強調している。<!--また、[[数学的な美]]の追求から単一の電荷に対応して単一の磁荷もあって良いのではないかと考えそれを[[モノポール]]と名付けた。ディラックの考えた素粒子としての素朴な[[モノポール]]の存在については多くの物理学者は否定的だが、その後の理論的発展により大統一理論において量子場の配位としてのモノポールは存在し得ることがわかり精力的に研究されている。-->

量子力学に関する洞察をそのまま記号形式に置き換えたような[[ブラ-ケット記法|ブラベクトル、ケットベクトル]]を駆使して記述した著書『量子力学』(''Principles of Quantum Mechanics'')は、名著と言われている。[[ファインマン]]はこの著書からヒントを得て[[経路積分]]を考案した。<!--量子力学への貢献の多いディラックではあるが、珍しいところでは[[一般相対性理論]]の教科書なども書いている。--><!--[[インド]]の[[数学者]][[ハリシュ・チャンドラ]]も元々はディラックの弟子であり、彼の代数での業績はディラックの非コンパクト群の無限次元ユニタリ表現などの業績が影響していると考えられる。-->

他に、基礎的な[[物理定数]]から求められる[[無次元数]]に'''10の40乗'''という値が現れることから[[大数仮説]]を提示した。

彼を記念して、[[ディラック賞]]が1985年に設立された。
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== 著作 ==
*{{Cite book|和書|others=[[江沢洋]]訳|year=1977|month=1|title=一般相対性理論|publisher=東京図書}}
**{{Cite book|和書|others=江沢洋訳|year=1985|month=12|title=一般相対性理論|publisher=東京図書|isbn=4-489-00154-1}}
**{{Cite book|和書|others=江沢洋訳|year=2005|month=12|title=一般相対性理論|series=ちくま学芸文庫|publisher=筑摩書房|isbn=4-480-08950-0|url=http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480089502/}}
*{{Cite book|和書|others=[[有馬朗人]]・[[松瀬丈浩]]共訳|year=1985|month=9|title=現代物理学講義|publisher=培風館|isbn=4-563-02167-9}}
**{{Cite book|和書|others=[[岡村浩]]訳|year=2008|month=2|title=ディラック現代物理学講義|series=ちくま学芸文庫|publisher=筑摩書房|isbn=978-4-480-09132-1|url=http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480091321/}}
*{{Cite book|和書|others=[[喜多秀次]]訳|year=1986|month=10|title=ヒルベルト空間のスピノル|series=物理学叢書52|publisher=吉岡書店|isbn=4-8427-0182-X|url=http://www3.ocn.ne.jp/~yoshioka/phys/ISBN4-8427-0284-2.html}}ISBN 4-8427-0000-9 (set)。
*{{Cite book|和書|others=[[仁科芳雄]]等訳|year=1936|title=量子力学|publisher=岩波書店}}
**{{Cite book|和書|others=[[朝永振一郎]]など共訳|year=1954|title=量子力学|publisher=岩波書店}}
**{{Cite book|和書|others=朝永振一郎など共訳|year=1968|title=量子力学|edition=第4版|publisher=岩波書店|isbn=4-00-006123-2|url=http://www.iwanami.co.jp/.BOOKS/00/2/0061230.html}}

== 関連項目 ==
{{Commons|Paul Dirac}}
* [[ディラック定数]]
* [[ブラ-ケット記法]]
* [[ディラック賞]]
* [[大数仮説]]
* [[ルーカス教授職]]

{{ノーベル物理学賞受賞者 (1926年-1950年)}}

{{Academic-bio-stub}}
{{DEFAULTSORT:ていらつく ほおる}}
[[Category:イギリスの物理学者]]
[[Category:ノーベル物理学賞受賞者]]
[[Category:メリット勲章]]
[[Category:ケンブリッジ大学の教員]]
[[Category:フロリダ州立大学の教員]]
[[Category:ブリストル大学出身の人物]]
[[Category:ブリストル出身の人物]]
[[Category:1902年生]]
[[Category:1984年没]]
{{Link FA|ru}}
{{Link FA|ka}}
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