ボルツァーノ自治県のソースを表示

{{イタリアの県
|nome_ja = ボルツァーノ
|nome_j2 = 自治
|nome = autonoma di Bolzano
|stemma =Suedtirol CoA.svg
|siglaRegione = TAA
|capoluogo = [[ボルツァーノ]]
|superficie = 7,399.97 <ref name="kmq">{{Cite web|author=[[国立統計研究所 (イタリア)|国立統計研究所（ISTAT）]]|url=http://dawinci.istat.it/MD/dawinciMD.jsp?a1=m0I040WI0&a2=mG0y8048f8&n=1UH90007S04&v=1UH0D807RN40000|title=Tavola: Superficie territoriale (Kmq) - Bolzano - Bozen (dettaglio comunale) - Censimento 2001.|language=イタリア語|accessdate=2013-02-24}}</ref>
|popolazione = 507,657 <ref name="demo.istat">{{Cite web|author=[[国立統計研究所 (イタリア)|国立統計研究所（ISTAT）]]|url=http://demo.istat.it/pop2011/index1_e.html|title=Total Resident Population on 1st January 2011 by sex and marital status|language=英語|accessdate=2012-07-06}}</ref>
|anno = 2011-01-01
|densita = 68.6
|comuni = 116
|principali = [[メラーノ]]、[[ブレッサノーネ]]、[[ライヴェス]]、[[ブルーニコ]]、[[アッピアーノ・スッラ・ストラーダ・デル・ヴィーノ]]
|sigla = BZ
|ISO 3166-2:IT = IT-BZ
|cap = 39100
|prefisso = 0471 - 0474
|istat = 021
|presidente = 
|mappa = Map Province of Bolzano.svg
|sito = http://www.provincia.bz.it/
}}
'''ボルツァーノ自治県'''（{{lang-it|'''Provincia autonoma di Bolzano'''}}）は、[[イタリア|イタリア共和国]][[トレンティーノ＝アルト・アディジェ州|トレンティーノ＝アルト・アディジェ特別自治州]]に属する[[イタリアの地方行政区画|県]]。県都は[[ボルツァーノ]]。

歴史的に[[チロル|ティロル]]と呼ばれた地域の一部で、'''南ティロル'''とも呼ばれる。[[ドイツ語]]を母語とする[[ドイツ人|ドイツ系]]住民が人口の半分以上を占めるほか、[[ラディン語]]（[[レト・ロマンス語群]]の言語）の話者もおり、3つの公用語を併用する県である。

== 名称 ==
県名の正式表記は、3つの公用語で以下のようになる。
*{{lang-de|Autonome Provinz Bozen - Südtirol}}
*{{lang-it|Provincia autonoma di Bolzano - Alto Adige}}
*[[ラディン語]]: {{lang|it|Provinzia autonoma de Balsan/Bulsan - Südtirol}}

この地域は、[[ティロル]]地方の南部に位置することから'''南ティロル'''（標準[[ドイツ語]]・[[アレマン語]]: {{lang|de|Südtirol}} ; [[バイエルン・オーストリア語|バイエルン語]]: {{lang|de|Sidtiroul}}）とも呼ばれる。[[イタリア語]]では、「[[アディジェ川]]上流」を意味する'''アルト・アディジェ'''（{{lang|it|Alto Adige}}）の名でも呼ばれ、これが州名の由来になっている。

== 地理 ==
=== 位置・広がり ===
[[File:Tirol-Suedtirol-Trentino.png|thumb|200px|ティロル地方]]
[[File:Übersichtskarte Südtirol.png|thumb|350px|ボルツァーノ/南ティロル自治県 （地名表示はドイツ語）]]
[[トレンティーノ＝アルト・アディジェ特別自治州]]に属する2つの県のうちの北側の県で、イタリア共和国最北端の県でもある。県都[[ボルツァーノ]]は、州都[[トレント]]の北北東約51km、[[インスブルック]]の南約86km、[[サンモリッツ]]の東約116km、[[ヴェネツィア]]の北北西約139kmに位置する。

県域は東西に長く、面積は約 7,400 km² とイタリアの県の中で最大である。北から東にかけて[[オーストリア]]と、西に[[スイス]]と、それぞれ境界を接する。[[トレント自治県]]も含めた広義の[[ティロル]]地方の中央に位置するが、この広域地名は本県中西部の[[メラーノ]]近郊に位置する[[ティローロ]]（ドイツ語名: ドルフ・ティロール）が発祥の地となっている。

隣接する県、およびそれに相当する行政区画は以下の通り。

*{{仮リンク|インスブルック＝ラント郡|en|Innsbruck-Land District}} （オーストリア・[[ティロル州]]） - 北
*[[シュヴァーツ郡]] （ティロル州） - 北東
*[[ツェル・アム・ゼー郡]] （オーストリア・[[ザルツブルク州]]） - 北東
*[[リエンツ郡]] （ティロル州） - 東
*[[ベッルーノ県]] （[[ヴェネト州]]） - 南東
*[[トレント自治県]] - 南
*[[ソンドリオ県]] （[[ロンバルディア州]]） - 南西
*{{仮リンク|イン郡|en|Inn District, Switzerland}} （スイス・[[グラウビュンデン州]]） - 西
*[[イムスト郡]] （ティロル州） - 北西

=== 県内の地域と主要な都市 ===
2001年の国勢調査に基づく居住地区（{{lang|it|Località abitata}}）別人口統計<ref name="istat2001">{{Cite web|author=[[国立統計研究所 (イタリア)|国立統計研究所（ISTAT）]]|url=http://dawinci.istat.it/daWinci/jsp/MD/dawinciMD.jsp?a1=m0GG0c0I0&a2=mG0Y8048f8&n=1UH90T07S25&v=1UH07B07RN50000|title=Tavola: Popolazione residente - Bolzano - Bozen (dettaglio loc. abitate) - Censimento 2001.|language=イタリア語|accessdate=2012-11-03}}</ref>によれば、人口5000人以上の都市・集落は以下の通り。（　）内は所属コムーネ（自治体）名を示すが、都市・集落名と同一の場合は省いた。

*[[ボルツァーノ]] / ボーツェン - 91,497人
*[[メラーノ]] / メラン - 30,087人
*[[ブレッサノーネ]] / ブリクセン - 14,160人
*[[ブルーニコ]] / ブルネック - 10,881人
*[[ライヴェス]] / ライフェルス - 9,927人
*[[ラーナ]] / ラーナ - 7,988人
*[[カルダーロ・スッラ・ストラーダ・デル・ヴィーノ]] / カルテルン - 5,460人
*サン・ミケーレ / ザンクト・ミヒャエル （[[アッピアーノ・スッラ・ストラーダ・デル・ヴィーノ]]） - 5,268人
{{gallery
|width=180
|height=180
|lines=1
|File:Luftbild Bolzano.jpg|ボルツァーノ
|File:Meran 1.jpg|メラーノ
|File:Brixen 1.jpg|ブレッサノーネ
|File:Panorama Brunico.JPG|ブルーニコ
}}
== 歴史 ==
=== 先史時代 ===
[[水上コテージ]]が住居として使用されていた。また、オーストリアとの国境地帯である[[エッツタール|エッツ渓谷]]で[[アイスマン]]が発見されている。

=== 前近代 ===
現在のボルツァーノ県域は、中世において[[神聖ローマ帝国]]のティロル伯領の一部であった。もともと、現在のイタリアとオーストリアにまたがる歴史的な「ティロル地方」は、[[ティローロ]]（ティロル）の伯爵が一帯を支配していたことに由来する。

伯位は、[[1363年]]に[[ハプスブルク家]]の[[ルドルフ4世 (オーストリア公)|ルドルフ4世]]の手に渡って以来、[[1918年]]までハプスブルク家の歴代当主に継承され、[[ティロル]]地方はドイツ語圏の一部として支配された。しかし、県域となる南ティロルはイタリア語圏との交錯地域であり、イタリア語を母語とする少数派住民もいた。

=== 「未回収のイタリア」 ===
[[1861年]]、[[イタリア統一運動]]によって[[イタリア王国]]が建国される。しかし、建国当初のイタリア王国は、イタリア語を母語とする「[[イタリア人]]」が暮らす領域すべてを統治範囲とはできなかった。[[オーストリア・ハンガリー帝国]]領内には依然として多くの「イタリア人」の住む領域が残され、これらの地域はさらなる「イタリア統一」を進めようとする立場から「[[未回収のイタリア]]」と呼ばれた。イタリア王国はこれらの地域を王国に統合することを目標とする。[[1866年]]の[[普墺戦争]]では賠償として[[ヴェネツィア]]を中心とする[[ヴェネト州]]はオーストリアから割譲させることに成功した。

この「未回収地」には、南ティロル地方もその南に隣接する[[トレント自治県|トレンティーノ地方]]と一体のものとして含まれていた。しかし、イタリアは[[フランス]]と敵対するようになると、ドイツやオーストリアとの友好関係を築かざるを得ず、[[1882年]]に両国と[[三国同盟 (1882年)|三国同盟]]を締結すると、未回収地問題は封印された。

[[第一次世界大戦]]においてイタリアは、当初は中立を宣言したが、[[1915年]]4月にロンドンにおいて[[三国協商|協商国]]側との間でオーストリアからの「未回収地」の割譲を条件として参戦する旨の秘密協定（[[ロンドン条約 (1915年)|ロンドン条約]]）を締結し、[[5月24日]]に参戦した。[[1918年]][[11月3日]]の休戦協定以降、イタリアは軍を南ティロルに駐留させ、[[1919年]][[9月10日]]調印の[[サン＝ジェルマン条約]]で正式にイタリア領となった。

=== イタリア王国による統治 ===
[[1922年]]に[[ベニート・ムッソリーニ|ムッソリーニ]]政権が誕生すると、ボルツァーノ県ではイタリア化政策が推進され、ドイツ語の使用は禁止され、人名、地名はすべてイタリア語に変えられ、教育もイタリア語で行われるようになった。さらに、イタリア南部からの移住も推奨され、徐々にイタリア語系住民の比率が高まった。[[1939年]]、ムッソリーニは[[アドルフ・ヒトラー]]から、ドイツ語系住民に、ドイツへの移住か、イタリアに留まりイタリア人との同化政策を受け容れるかの選択をさせることを提案され、同意した。住民は、故郷を捨てるか、母語を捨てるかという苦渋の選択を迫られた。

[[第二次世界大戦]]後期の[[1943年]]、イタリア王国（[[ピエトロ・バドリオ|バドリオ]]政権）が連合国に降伏すると（[[イタリアの降伏|イタリアの講和]]）、直ちにドイツ軍はイタリア北部を占領する。ボルツァーノ県域は、名目上[[イタリア社会共和国]]に属するとされたものの、ドイツ軍のアルペンフォーラント作戦地域{{enlink|Operationszone Alpenvorland||de}}（首府：ボルツァーノ/ボーツェン）が設置され、その占領統治下に置かれた。

=== 第二次世界大戦後 ===
[[1945年]]5月のドイツ降伏に先立ち、[[4月27日]]にドイツからの独立を宣言したオーストリアの臨時政府（[[連合軍軍政期 (オーストリア)]]参照）は、[[1938年]]の[[アンシュルス|独墺合邦]]の無効を宣言し、[[ティロル州]]もオーストリア領に復した。ボルツァーノ県の住民も[[南ティロル人民党]]を結成するなどオーストリアへの復帰を望んだが、国際情勢がそれを許さなかった。

[[1946年]][[9月5日]]、パリにおいてイタリアの[[アルチデ・デ・ガスペリ|デ・ガスペリ]]首相兼外相とオーストリアの[[カール・グルーバー|グルーパー]]外相との間で会談が行われ、同県のイタリア領有およびドイツ語系住民への自治権の付与について合意に達した。

[[1948年]]1月の法律で自治が保障されたが、パリでの合意に及ぶものではなく、ドイツ語系住民にとっては不十分な内容であった。また、中央政府が南イタリアからの移住を推進したことに対しても不満があった。このため、完全自治あるいはティロル再統一を要求する組織が作られ、1950年代半ば以降[[テロ]]活動が続き、1960年代には激しさを増した。[[1960年]]には[[国際連合]]でも議題にあげられ、国連総会決議1497号で平和的解決が求められた。

その後、[[1969年]]11月に政府はオーストリアとの合意に基づいて自治権の拡大、ドイツ語の地位引き上げ等の解決策を示し、それらの施策は徐々に実行に移された。

== 文化 ==
=== 言語・民族 ===
[[File:Trilingual road sign in Val Gardena.jpg|thumb|250px|3言語で3つの地名が書かれた道路標識（ヴァル・ガルデーナ）。上からラディン語、ドイツ語、イタリア語。左下のVal Badiaはイタリア語とラディン語が同形のため、Gadertal（ドイツ語）と2つの名称で表示されている]]
[[File:Language distribution in South Tyrol, Italy 2011, en.png|thumb|250px|ボルツァーノ自治県の言語状況（2011年）。コムーネの多数派言語で色分けされ、その比率で濃淡が付けられている。{{legend|green|[[ドイツ語]]}} {{legend|blue|[[ラディン語]]}} {{legend|red|[[イタリア語]]}} ]]
イタリアでは唯一、3つの[[公用語]]（イタリア語・ドイツ語・ラディン語）を併用する県である。

2006年の[[国立統計研究所 (イタリア)|国立統計研究所（ISTAT）]]の統計によれば、6歳以上の住民の家庭内での会話における言語状況は以下の通り<ref>{{cite web|url=http://www.istat.it/salastampa/comunicati/non_calendario/20070420_00/testointegrale.pdf#page=5|author=[[国立統計研究所 (イタリア)|国立統計研究所（ISTAT）]]|title=La lingua italiana, i dialetti e le lingue stranieri|language=イタリア語|format=pdf|page=5|accessdate=2012-12-02}}</ref>。イタリア語（{{lang|it|Italiano}}）、地方言語（{{lang|it|Dialetto}}）、他の言語（{{lang|it|Altra lingua}}）についてのデータで、左列が全国平均、右列がボルツァーノ自治県の数値である。
{| class="wikitable" style="text-align:right; font-size:85%"
!|家庭内の会話における使用言語
!width="50"|全国
!width="50"|県
|-
|| イタリア語のみ、あるいは主にイタリア語 
|| 45.5%
|| '''25.2%'''
|-
|| 地方言語のみ、あるいは主に地方言語
|| 16.0%
|| '''1.5%'''
|-
|| イタリア語と地方言語の双方
|| 32.5%
|| '''4.1%'''
|-
|| 他の言語
|| 5.1%
|| '''65.5%'''
|-
|}
上記のように、[[イタリア語]]話者は約25%と少数である。住民・言語構成の多数を占めるのは[[ドイツ人|ドイツ系住民]]／[[ドイツ語]]話者で、後述の「言語集団調査」では約70%の住民がドイツ語話者との自己認識を有している。また、山間部に{{仮リンク|ラディン人|en|Ladin people}}／[[ラディン語]]話者がおり、人口の約5%を占める。

;ドイツ語
:「ドイツ語話者」は県人口の約70%を占める。2011年の「言語集団調査」によれば、県の116コムーネのうち、103コムーネでドイツ語話者が過半数を占める<ref name="astatinfo1238" />。住民のほぼすべてがドイツ語話者であるコムーネも多く、ドイツ語話者が人口の90%以上を占めるコムーネが77コムーネ、98%以上を占めるコムーネが26コムーネある<ref name="astatinfo1238" />。[[マルテッロ]]ではドイツ語話者100%（回答者全員が「ドイツ語話者」と申告した）となっている<ref name="astatinfo1238" />。
:公文書や教育・メディアなどでは[[ドイツ語|標準ドイツ語]]が用いられている。ただし、この地域で話されている「ドイツ語」は方言で、県内でも地方ごとに差異があり、東部は[[バイエルン人]]／[[バイエルン・オーストリア語|バイエルン語]]話者、西部は[[アラマンニ人|アレマン人]]／[[アレマン語]]話者が多い。

;イタリア語
:イタリア語話者は県人口の約25%で、県都[[ボルツァーノ]]をはじめとする南部に多い。2011年の「言語集団調査」によれば、イタリア語話者が過半数を占めるのは5コムーネで、ボルツァーノ (73.80%)、[[ライヴェス]] (71.50%)、[[ブロンツォーロ]] (62.01%)、[[サロルノ]] (61.85%) 、[[ヴァーデナ]] (61.50%) である<ref name="astatinfo1238" />。これに次ぐのは[[メラーノ]] (49.06%) で、ドイツ語話者と拮抗している<ref name="astatinfo1238" />。

;ラディン語
:[[ラディン語]]は[[レト・ロマンス語群]]の言語で、[[イタリア語]]とは同じ[[ロマンス諸語]]に含まれる。ラディン語話者は[[オルティゼーイ]]をはじめとする県東南部の{{仮リンク|ヴァル・ガルデーナ|en|Val Gardena|it|Val Gardena}}および{{仮リンク|ヴァル・バディーア|en|Val Badia|it|Val Badia}}に集住しており、8コムーネで過半数（いずれも80%以上）を占める<ref name="astatinfo1238" />。2011年の「言語集団調査」によれば、ラディン語話者が最大の比率を占めるのは[[ラ・ヴァッレ]] (97.66%) である<ref name="astatinfo1238" />。8コムーネ以外では、オルティゼーイに隣接する[[カステルロット]]で15.37%を占める<ref name="astatinfo1238" />。
:ラディン語話者はボルツァーノ自治県、[[トレント自治県]]、[[ベッルーノ県]]にまたがる山間地域に集まっており、これらの地域は「{{仮リンク|ラディニア|en|Ladinia}}」と呼ばれる。ラディン語話者は全体で約3万人とされており<ref name="unesco-languages-atlas">{{cite web|url=http://www.unesco.org/culture/languages-atlas/index.php|title=UNESCO Atlas of the World's Languages in Danger|publisher=[[国際連合教育科学文化機関]] (UNESCO)|accessdate=2014-07-09}}</ref>、[[国際連合教育科学文化機関|ユネスコ]]の「[[危機に瀕する言語]]」では「危険」（Definitely endangered）と評価されている<ref name="unesco-languages-atlas" />。ボルツァーノ県にはこのうち約2万人が暮らす<ref name="astatinfo1238" />。

==== 言語集団調査 ====
{{bar box
|title=言語集団調査（2011年） <ref name="astatinfo1238">{{cite journal| url=http://www.provinz.bz.it/astat/it/popolazione/442.asp?NewsDemoG_action=300&NewsDemoG_image_id=563170 | title = Astat Censimento della popolazione 2011 - Determinazione della consistenza dei tre gruppi linguistici della Provincia Autonoma di Bolzano-Alto Adige - giugno 2012 | format=pdf | journal = astatinfo | volume= 2012 |number = 38 | date = 2012-06 | publisher=Istituto provinciale di statistica, Provincia Autonoma di Bolzano-Alto Adige | accessdate=2014-07-08}}</ref>
|titlebar=#ddd
|float=right
|bars=
{{bar percent|[[ドイツ語]]|green|69.41}}
{{bar percent|[[イタリア語]]|red|26.06}}
{{bar percent|[[ラディン語]]|blue|4.53}}
}}
2011年の国勢調査に際して、[[国立統計研究所 (イタリア)|イタリア国立統計研究所]]（{{lang|it|Istituto nazionale di statistica, ISTAT}}）は、ボルツァーノ自治県統計研究所（{{lang|it|Istituto provinciale di statistica, ASTAT}}）と協力し、住民が3つの「言語集団」（{{lang-it-short|gruppi linguistici}} / {{lang-de-short|Sprachgruppen}}）のいずれに属するかについての調査を行った<ref name="astatinfo1238" />。これは、自治州憲章に定められた3言語（ドイツ語・イタリア語・ラディン語）の保障を実現するために状況を確認し、また公的資源・公的雇用を言語／民族比によって配分する際の参考にするためのもので、2011年10月9日時点で県内に居住するイタリア市民を対象に行われた<ref name="astatinfo1238" />。

調査に対する回答は匿名で行われ、回答用紙は密封された封筒で提出される<ref name="astatinfo1238" />。いずれかの言語集団への「帰属表明」（{{lang|it|Dichiarazioni di appartenenza}} / {{lang|de|Sprachgruppenzugehörigkeitserklärungen}}）のほか、「帰属」するという自己認識をしていない住民はいずれかの言語集団への「集約表明」（{{lang|it|Dichiarazioni di aggregazione}} / {{lang|de|Sprachgruppenzuordnungserklärungen}}）を行うことができる<ref name="astatinfo1238" />。「帰属」と「集約」は法的に差異がないものとされており、統計上は最終的に合算される<ref name="astatinfo1238" />。14歳未満の子供は親権者がその「言語集団」を別種の封筒で回答するが、たとえば共同親権下にあって両親の「言語集団」が異なるというような場合には白紙で出すことも可能である<ref name="astatinfo1238" />。

調査では45万8641件の封筒が回収された<ref name="astatinfo1238" />。国勢調査による県人口50万5067人よりも約5万人（人口の約10%）少ないが、国勢調査の対象になっている外国人が言語集団調査には含まれていないことや、調査時点で不在の住民がいること、また特定の言語集団に属すると表明することを望まない住民がいることによると考えられている<ref name="astatinfo1238" />。白紙や無効回答、何も封入せずに提出された封筒（無回答）を除き、45万3272件が有意な回答とみなされた<ref name="astatinfo1238" />。内訳は、いずれかの言語集団への「帰属」を表明した回答44万5647件、「集約」を表明した回答7625件である<ref name="astatinfo1238" />。調査結果は、県単位では以下の実数と内訳が公表されており、コムーネ単位ではパーセンテージが公表される<ref name="astatinfo1238" />。

{| class="wikitable" style="text-align:right; font-size:85%"
|-
!rowspan="2" width="100"| 言語集団
!colspan="2"| 「帰属」
!colspan="2"| 「集約」
!colspan="2"| 合計
|-
!width="80"| 回答数 
!width="50"| 比率
!width="80"| 回答数 
!width="50"| ※
!width="80"| 回答数 
!width="50"| 比率
|-
! ドイツ語 
| 310,360 || 69.64% || 4,244 || (1.35%) || 314,604 || 69.41%
|-
! イタリア語 
| 115,161 || 25.84% || 2,959 || (2.51%) || 118,120 || 26.06%
|-
! ラディン語 
| 20,126 || 4.52% || 422 || (2.05%) || 20,548 || 4.53%
|-
! 合計
| 445,647 || 100.00% || 7,625 || (1.68%) || 453,272 || 100.00%
|-
|}

※「帰属」と「集約」を合算した回答のうち、「集約」を表明した者の割合。

== 社会 ==
=== 政治 ===
政治的には[[第二次世界大戦]]後、一貫して[[地域政党]]の[[南ティロル人民党]]が県政を担っている。

== 行政区画 ==
[[File:Comunità comprensoriali Alto Adige.svg|thumb|350px|Comunità comprensoriale]]
=== Comunità comprensoriale ===
ボルツァーノ県には、県とコムーネの中間に {{lang|it|[[:it:Comunità comprensoriale|Comunità comprensoriale]]}} という行政区画が置かれており、その数は8つである。以下は、地区のイタリア語名 / ドイツ語名、県内の位置、所属するコムーネの例と数を示している。

* ヴァル・ヴェノスタ ([[:it:Val Venosta|Val Venosta]]) / ヴィンシュガオ ([[:de:Vinschgau|Vinschgau]]) : 最西部。[[シランドロ]]など13コムーネ。
* ブルグラヴィアート ([[:it:Burgraviato|Burgraviato]]) / ブルクグラーフェナムト ([[:de:Burggrafenamt|Burggrafenamt]]) : 中西部。[[メラーノ]]など26コムーネ。
* オルトラディジェ＝バッサ・アテシーナ ([[:it:Oltradige-Bassa Atesina|Oltradige-Bassa Atesina]]) / ユーベレチュ＝ウンターラント ([[:de:Überetsch-Unterland|Überetsch-Unterland]]) : 南部。[[エーニャ]]など18コムーネ。
* [[ボルツァーノ]] : 1コムーネ単独。
* サルト＝シリアル ([[:it:Salto-Sciliar|Salto-Sciliar]]) / ザルテン＝シュレルン ([[:de:Salten-Schlern|Salten-Schlern]]) : 中部。[[オルティゼーイ]]など13コムーネ。
* ヴァッレ・イザルコ ([[:it:Valle Isarco|Valle Isarco]]) / アイザックタール ([[:de:Eisacktal|Eisacktal]]) : 中東部。[[ブレッサノーネ]]など13コムーネ。
* アルタ・ヴァッレ・イザルコ ([[:it:Wipptal|Alta Valle Isarco]]） / ヴィップタール ([[:de:Wipptal|Wipptal]]） : 北部。[[ヴィピテーノ]]など6コムーネ。
* ヴァル・プステリア ([[:it:Val Pusteria|Val Pusteria]]) / プステルタール ([[:de:Pustertal|Pustertal]]) : 東部。[[ブルーニコ]]など26コムーネ。

=== コムーネ ===
[[File:Map of South Tyrol (de).png|thumb|350px|ボルツァーノ/南ティロル自治県 （地名表示はドイツ語）]]
トレント県には116のコムーネが属する。主要なコムーネ（人口5000人以上）は下表の通り。左端の数字はISTATコードを示す。人口は2011年1月1日現在<ref name="demo.istat" />。

{| class="wikitable" style="text-align:left"
!| コード
!| 自治体名（イタリア語）
!width="60"| 人口
|-
|021008|| [[ボルツァーノ]] || align=right| 104,029
|-
|021051|| [[メラーノ]] || align=right| 38,229
|-
|021011|| [[ブレッサノーネ]] || align=right| 20,689
|-
|021040|| [[ライヴェス]] || align=right| 17,197
|-
|021013|| [[ブルーニコ]] || align=right| 15,523
|-
|021004|| [[アッピアーノ・スッラ・ストラーダ・デル・ヴィーノ]] || align=right| 14,235
|-
|021041|| [[ラーナ]] || align=right| 11,230
|-
|021015|| [[カルダーロ・スッラ・ストラーダ・デル・ヴィーノ]] || align=right| 7,609
|-
|021072|| [[レノン (イタリア)|レノン]] || align=right| 7,600
|-
|021086|| [[サレンティーノ]] || align=right| 6,903
|-
|021019|| [[カステルロット]] || align=right| 6,464
|-
|021115|| [[ヴィピテーノ]] || align=right| 6,419
|-
|021093|| [[シランドロ]] || align=right| 5,998
|-
|021108|| [[ヴァッレ・アウリーナ]] || align=right| 5,884
|-
|021056|| [[ナトゥルノ]] || align=right| 5,554
|}

== 人物 ==
[[File:Carolina Kostner 01.jpg|thumb|オルティゼーイ出身のカロリーナ・コストナーは、母語であるラディン語のほか、国・州の公用語であるイタリア語・ドイツ語、さらにフランス語・英語を話す。]]
=== 著名な出身者 ===
* [[ヴァルター・フォン・デア・フォーゲルヴァイデ]]<!--（1170年頃 - 1230年頃）--> - 12～13世紀の詩人。南ティロル出身との説がある。
* [[ゲルトルート・フォン・アンデクス]]<!--（1185年 - 1213年）--> - ハンガリー王[[アンドラーシュ2世|エンドレ2世]]の妃。現在の[[メラーノ]]生まれ。
* {{仮リンク|オスヴァルト・フォン・ヴォルケンシュタイン|en|Oswald von Wolkenstein}}<!--（1377年頃 - 1445年）--> - 13～14世紀の詩人・作曲家。現在の[[キエーネス]]生まれ。
* [[ヤーコプ・フッター]]<!--（1500年 - 1536年）--> - 16世紀初頭の宗教指導者、[[フッター派]]創始者。現在の[[サン・ロレンツォ・ディ・セバート]]生まれ。
* {{仮リンク|アンドレアス・ホーファー|en|Andreas Hofer}}<!--（1767年 - 1810年）--> - [[ナポレオン戦争]]期ティロルの農民蜂起指導者。現在の[[サン・レオナルド・イン・パッシーリア]]生まれ。
* {{仮リンク|マックス・ヴァリエ|en|Max Valier}}<!--（1895年 - 1930年）--> - 20世紀初頭のロケット技術者。現在の[[ボルツァーノ]]生まれ。
* [[ジョルジオ・モロダー|ジョルジョ・モローデル]]<!--（1940年生まれ）--> - シンセサイザー奏者・作曲家・音楽プロデューサー。[[オルティゼーイ]]生まれ。
* ギルバート・プロッシュ<!--（1943年生まれ）--> - 現代美術家ユニット「[[ギルバート&ジョージ]]」の一人。[[サン・マルティーノ・イン・バディーア]]生まれ。
* [[ラインホルト・メスナー]]<!--（1944年生まれ）--> - 登山家・冒険家・作家。[[ブレッサノーネ]]生まれ。
* [[グスタヴォ・トエニ]]<!--（1951年生まれ）--> - アルペンスキー選手。[[ステルヴィオ]]生まれ。
* [[ナンニ・モレッティ]]<!--（1953年生まれ）--> - 映画監督・俳優・脚本家。[[ブルーニコ]]生まれ。
* [[カロリーナ・コストナー]]<!--（1987年生まれ）--> - [[フィギュアスケート]]選手。オルティゼーイ生まれ。

== 脚注 ==
{{Reflist}}
== 外部リンク ==
{{commonscat|Province of South Tyrol}}
*[http://www.provincia.bz.it/ 県公式サイト] {{it icon}}

{{Geographic Location
| Centre    = ボルツァーノ自治県
| North     = {{flagicon|AUT}} [[インスブルック＝ラント郡]]
| Northeast = {{flagicon|AUT}} [[シュヴァーツ郡]]<br />{{flagicon|AUT}} [[ツェル・アム・ゼー郡]]
| East      = {{flagicon|AUT}} [[リエンツ郡]]
| Southeast = [[ベッルーノ県]]
| South     = [[トレント自治県]]
| Southwest = [[ソンドリオ県]]
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{{トレンティーノ＝アルト・アディジェ州}}
{{ボルツァーノ県}}

{{DEFAULTSORT:ほるつあのけん}}
[[Category:イタリアの県]]
[[Category:トレンティーノ＝アルト・アディジェ州]]
[[Category:ボルツァーノ県|*]]
[[Category:オーストリアの歴史的地域]]