ホスニー・ムバーラクのソースを表示

{{大統領
| 人名 = ムハンマド・ホスニー・ムバーラク
| 各国語表記 = Muhammad Husnī Mubārak
| 画像 = Hosni_Mubarak_ritratto.jpg
| 画像サイズ =
| キャプション = 
| 国名 = {{flagicon|EGY}} [[エジプト|エジプト・アラブ共和国]]
| 代数 = 第2
| 職名 = [[近代エジプトの国家元首の一覧#共和政|大統領]]
| 就任日 = [[1981年]][[10月14日]]
| 退任日 = [[2011年]][[2月11日]]
| 副大統領 = 
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| 国名2 = {{flagicon|EGY}} [[エジプト|エジプト・アラブ共和国]]
| 代数2 = 
| 職名2 = 副大統領
| 就任日2 = [[1975年]][[4月16日]]
| 退任日2 = [[1981年]][[10月14日]]
| 副大統領2 = 
| 副大統領職名2 = 
| 元首2 = [[アンワル・アッ＝サーダート]]大統領
| 国名3 = {{flagicon|EGY}} [[エジプト|エジプト・アラブ共和国]]
| 代数3 = 第8
| 職名3 = 首相<br />（共和政エジプト第16代首相）
| 就任日3 = [[1981年]][[10月7日]]
| 退任日3 = [[1982年]][[1月2日]]
| 副大統領3 = 
| 副大統領職名3 = 
| 元首3 = ホスニー・ムバーラク大統領（兼務）
| 国名4 = [[国民民主党 (エジプト)|国民民主党]]
| 代数4 = 第2
| 職名4 = 総裁
| 就任日4 = [[1982年]]
| 退任日4 = [[2011年]][[2月11日]]
| 副大統領4 = 
| 副大統領職名4 = 
| 元首4 = 
| 出生日 = {{生年月日と年齢|1928|5|4}}
| 生地 = {{EGY1922}}、[[ミヌーフィーヤ県]]<br />カフル・エル・ムスリフ
| 死亡日 = 
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| 配偶者 = [[スーザーン・ムバーラク]]
| 政党 = [[国民民主党 (エジプト)|国民民主党]]
| サイン = Hosni Mubarak Signature.svg
}}
'''ムハンマド・ホスニー・ムバーラク'''（{{lang-ar|&#1605;&#1581;&#1605;&#1583; &#1581;&#1587;&#1606;&#1610; &#1605;&#1576;&#1575;&#1585;&#1603;}}, [[ラテン文字]]表記: {{lang|la|Muhammad Husn&#299; Mub&#257;rak}}, [[1928年]][[5月4日]] - ）は、[[エジプト]]の[[軍人]]、[[政治家]]。共和政エジプト第4代[[近代エジプトの国家元首の一覧#共和政|大統領]]（第2代エジプト・アラブ共和国大統領）として約30年にもわたる長期政権を維持したが、2011年の[[エジプト革命 (2011年)|革命]]によって失脚した。日本では'''ムバラク'''と表記されることが多い。

== 経歴 ==
=== 軍人として ===
[[ミヌーフィーヤ県]]のカフル・エル・ムスリフ村に生まれた。父は小さな地主で、県の法務局で働いていた。父はムバラクに[[カイロ大学]]へ進学することを勧めていたが、[[1948年]]の[[第一次中東戦争]]が状況を変えた。戦後、アラブ軍の無能力が明らかになり、有能な人材を集めるために中産階級にも将校への道が開かれた。ムバラクは[[飛行士]]の道を進み、[[1949年]]に[[士官学校]]を優等で卒業した。

士官学校卒業後は[[シナイ]]で勤務し、その後空軍士官学校の教官となった。[[1950年代]]にはソ連に留学し、各種ソ連機の操縦に習熟した。[[1956年]]、[[第二次中東戦争]]に従軍。

[[1959年]]、[[Tu-16 (航空機)|Tu-16爆撃機]]の飛行隊長に任命され、数年後、旅団長となった。[[1962年]]に[[北イエメン内戦]]が勃発すると、ムバラクも派遣部隊に編入され、戦闘行動に参加した。[[1964年]]から[[1965年]]にかけて、ソ連のフルンゼ名称軍事アカデミーで教育を受けた。

[[1967年]]の[[第三次中東戦争]]で[[エジプト空軍]] ([[:en:Egyptian Air Force|en]]) は事実上壊滅した。戦後、ムバラクは[[カリュービーヤ県]]ビルベイス ([[:en: Bilbeis|en]]) の軍大学校長に任命され、パイロット数の増員、訓練期間の短縮（4年から2年）という課題が与えられた。この成果が当時の[[ガマール・アブドゥル＝ナーセル]]大統領に認められ、[[1969年]]、空軍大将に昇進し、エジプト空軍参謀長に任命された。[[アンワル・アッ＝サーダート]]政権発足後の[[1972年]]、空軍司令官兼国防次官に就任。

[[1973年]]の[[第四次中東戦争]]では、[[イスラエル]]軍防衛陣地への[[電撃作戦]]で戦局を有利に導き、国民的英雄となった。戦後、最高勲章である「シナイの星」勲章を授与され、空軍元帥に昇進した。

=== 大統領 ===
第四次中東戦争の緒戦における電撃作戦の功績をサダト大統領に評価されたムバラクは、[[1975年]]4月、[[副大統領]]に任命された。さらに[[1978年]]には、アラブ社会主義同盟に代わって創設された[[国民民主党 (エジプト)|国民民主党]]の副総裁となり、サダトの後継者として有力視されるようになる。

[[1981年]][[10月6日]]にサダト大統領が暗殺されたことを受け、[[10月14日]]、後継の大統領に就任し、[[1982年]]には国民民主党総裁に正式に就任した。以来約30年間、安定政権を維持し続け、「現代のファラオ」と呼ばれた。

大統領に就任したムバラクは、サダトの[[親米]]・親イスラエル路線を継承し、イスラエルと[[パレスチナ]]の中東和平交渉では両者の調停役として尽力した。イスラエルとの交渉の結果、1982年4月には、第三次中東戦争でイスラエルに奪われた[[シナイ半島]]の返還を実現している。[[冷戦]]期のムバラクの外交路線は基本的には[[西側]]寄りであるが、[[1984年]]にはソビエト連邦との外交関係を修復している。冷戦終結後はより親米路線に傾斜し、[[1991年]]1月の[[湾岸戦争]]ではアメリカ・イギリスを中心とする多国籍軍へのエジプト軍の参加を決断。また、[[2001年]][[9月11日]]の[[アメリカ同時多発テロ]]ではアメリカへの支持を表明し、イスラム過激派の取り締まりにも積極的であった。こうした親米・親イスラエル路線は欧米諸国の高評価につながり、ムバラクが[[2000年]]以降、外貨導入を積極的に図ってエジプトの国内総生産の一定的な成長を達成し得る一因となった。

一方、ムバラクはサダト暗殺を契機に、大統領就任当初からエジプト全土に[[非常事態宣言]]を発令し続け、強権的な統治体制を敷いた。長期にわたる強権体制の結果、政権の要職はムバラクの腹心で固められて人事は硬直し、貧富の差も固定化していった<ref>『産経新聞』2011年2月13日付朝刊総合面、3ページ。</ref>。このような親米・親イスラエル路線、そして独裁政治は、自由を制限された貧困者層による批判の対象となり、ムバラクは何度か[[イスラーム主義|イスラーム主義者]]による暗殺未遂事件に見舞われた。

ムバラクの支配が長期化し、自身が高齢になると、万一に備えて次男である国民民主党政策委員長の[[ガマール・ムバラク]]に大統領職を譲り、世襲させるのではないかという予測が広まっていった。

[[2010年]]3月には訪問した[[ドイツ]]で痛みを訴え、検査した結果、[[胆嚢]]に炎症が起きていたために摘出手術を受けるなど<ref>{{cite news|url=http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20100306-OYT1T00784.htm|title=エジプト大統領、ドイツで胆のう摘出手術|newspaper=YOMIURI ONLINE|publisher=[[読売新聞社]]|date=2010-03-06|accessdate=2010-03-07}}{{リンク切れ|date=2012年11月}}</ref>体調は優れなくなっていったが、同年12月には「国民生活の向上こそ最も大切な仕事」と述べ引退撤回を示唆し、政権継続の意思を表明した。

=== 政権の終焉 ===
{{Main|エジプト革命 (2011年)}}

[[2011年]]1月に発生した[[チュニジア]]での[[ジャスミン革命]]の影響を受け、ムバラクの長期独裁に対する国民の不満はついに爆発し、同年[[1月25日]]よりムバーラクの辞任を求める暴動が断続的に発生した。ムバラクは[[アフマド・ナズィーフ]]内閣を総辞職させて国民の不満を逸らせようとする一方、自身の退陣は拒否した。しかし、首都カイロでのデモが拡大すると、ムバラクは[[2月1日]]夜に行った国営テレビでの演説で、同年9月に予定されている次期大統領選挙への不出馬を表明し、政権の歴史は30年で終止符が打たれることになった。さらに[[2月10日]]には、大統領職の即時辞任は否定したものの、大統領権限を[[オマル・スレイマン]]副大統領に移譲する考えを表明した<ref>{{Cite news
|url=http://sankei.jp.msn.com/world/news/110211/mds11021107120005-n1.htm
|title=ムバラク大統領、辞任を拒否 11日のデモ混乱は避けられず
|newspaper=MSN産経ニュース
|publisher=[[産経新聞]]
|date=2011-02-11
|accessdate=2011-02-12
}}{{リンク切れ|date=2012年11月}}</ref>。だが、野党勢力はあくまでも大統領の即時辞任を求める姿勢を崩さず、権限委譲表明の翌日の[[2月11日]]、スレイマン副大統領より国営テレビを通じ、ムバラクの大統領辞任が発表された。権限委譲など野党勢力に対して譲歩を示したものの、最終的は内外から高まる辞任圧力に抗しきれなかったものと見られている<ref>{{Cite news
|url=http://sankei.jp.msn.com/world/news/110212/mds11021201100000-n1.htm
|title=ムバラク氏が辞任、軍が全権掌握
|newspaper=MSN産経ニュース
|publisher=[[産経新聞]]
|date=2011-02-12
|accessdate=2011-02-12
}}{{リンク切れ|date=2012年11月}}</ref>。

ムバラクの大統領在職中、ムバラク一家は欧米に無数の不動産や銀行口座を保有し、資産総額は約700億ドル（約5兆8400億円）とも言われた。政変を受けて[[スイス銀行]]（スイス政府）は2月11日、国家資産が横領されるのを防ぐため、一家の銀行口座と不動産を対象に3年間資産を凍結することを決定した<ref>{{Cite news
|url=http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20110212-OYT1T00631.htm
|title=ムバラク一家、資産総額は5兆8400億円？
|newspaper=YOMIURI ONLINE
|publisher=[[読売新聞]]
|date=2011-02-13
|accessdate=2011-02-13
}}</ref>。

4月12日より、一連の騒動でのデモ隊に対する暴力行為への関与、また不正蓄財の容疑で検察による取り調べが開始されたが、その最中に心臓発作を起こし入院<ref>{{Cite news
|url=http://www.afpbb.com/article/politics/2795486/7081259
|title=エジプトのムバラク前大統領、事情聴取中に心臓発作
|work=AFPBB News
|publisher=[[フランス通信社]]
|date=2011-04-12
|accessdate=2011-04-13
}}</ref>。大事は至らず、翌13日には身柄を息子二人と共に拘束された<ref>{{Cite news
|url=http://www.47news.jp/CN/201104/CN2011041301000577.html
|title=ムバラク氏を１５日間拘束　事情聴取でエジプト検察
|work=47NEWS
|newspaper=[[共同通信]]
|date=2011-04-13
|accessdate=2011-04-13
}}</ref>。2012年1月5日の公判では革命のさなかデモ隊の殺害に関与したとして死刑を求刑され<ref>{{Cite news
|url=http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20120106-OYT1T00028.htm
|title=エジプト・ムバラク前大統領に死刑求刑
|work=YOMIURI ONLINE
|newspaper=[[読売新聞]]
|date=2012-01-06
|accessdate=2012-01-06
}}</ref>、6月2日、終身刑を言い渡された<ref>{{Cite news
|url=http://sankei.jp.msn.com/world/news/120602/mds12060217330001-n1.htm
|title=ムバラク前大統領に終身刑
|work=MSN産経ニュース
|newspaper=[[産経新聞]]
|date=2012-06-02
|accessdate=2012-06-02
}}</ref>。

2012年6月11日、収監されているカイロ郊外のトラ刑務所で健康状態が悪化していると伝えられた<ref>[http://mainichi.jp/select/news/20120612k0000m030085000c.html エジプト:ムバラク前大統領、2回心停止で治療] 毎日新聞 2012年6月12日閲覧{{リンク切れ|date=2012年11月}}</ref>。6月19日には刑務所からカイロ市内の軍の病院に移送された後、意識不明の重体になったことが伝えられた<ref>[http://www.asahi.com/international/update/0620/TKY201206200106.html ムバラク前大統領、意識不明の重体に] 朝日新聞 2012年6月20日閲覧</ref>ものの、その後体調が回復し、7月16日には刑務所への再収監が決定した<ref>{{Cite news
|url=http://sankei.jp.msn.com/world/news/120716/mds12071623170007-n1.htm
|title=ムバラク前大統領、健康改善で再び収監
|work=MSN産経ニュース
|newspaper=[[産経新聞]]
|date=2012-07-16
|accessdate=2012-07-17
}}</ref>。

2013年1月13日、エジプトの最高裁判所は終身刑の判決を覆し、裁判のやり直しを命じた。同じく終身刑の判決を下されていたアドリ元内相や、無罪とされていた9人の共同被告人についても裁判のやり直しを命じた<ref>{{Cite news
|url=http://jp.wsj.com/article/SB10001424127887324050504578240683720950250.html
|title=エジプト最高裁、ムバラク前大統領らの裁判やり直し命令
|newspaper=ウォール・ストリート・ジャーナル
|date=2013-1-14
|accessdate=2013-1-14
}}</ref>。

2013年8月22日午後、収監先の刑務所からカイロ南部マーディにある軍病院にヘリコプターで移送された。勾留先には支持者が集まり、出所を歓迎した。

== 逸話 ==
* ムバラクはエジプトの保養地である[[シャルム・エル・シェイク]]をお気に入りの地としている。大統領在任時代、休暇をこの地で過ごすほか、閣僚を呼び寄せて政務を執ったり、各国の首脳会議をこの地で行ったりすることもあった。また辞任後の逃亡先もこの地に定めた。
* 政権時代、[[パレスチナ]]の[[ガザ地区]]や[[カイロ地下鉄|カイロの地下鉄]]には、ムバラクの名を冠した病院や駅があった。

== 脚注 ==
<references />

== 外部リンク ==
{{Commons|Hosni Mubarak}}
*[http://www.presidency.gov.eg/html/the_president.html エジプト政府 - ホスニー・ムバラク]

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{{先代次代|{{Flagicon|EGY}} [[近代エジプトの国家元首の一覧#共和政|エジプト・アラブ共和国<br />大統領]]|[[1981年]] - [[2011年]]|{{仮リンク|スーフィー・アブー・ターリブ|en|Sufi Abu Taleb}}<br />（代行、人民議会議長）|[[ムハンマド・フセイン・タンターウィー]]<br />（代行、軍最高評議会議長）}}
{{先代次代|{{Flagicon|EGY1972}} [[エジプト・アラブ共和国]]<br />副大統領|[[1975年]] - [[1981年]]|フセイン・エル＝シャーフィイー
([[:en:Hussein el-Shafei|en]])|[[オマル・スレイマーン]]<br />（2011年まで空席）}}
{{先代次代|{{Flagicon|EGY1972}} [[エジプト・アラブ共和国]]<br />首相|[[1981年]] - [[1982年]]|[[アンワル・アッ＝サーダート]]<br />（第2次）|[[アフマド・ファード・モハジン]]}}
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{{エジプト大統領}}
{{Politician-stub}}
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[[Category:エジプトの軍人]]
[[Category:エジプトの政治家]]
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[[Category:湾岸戦争の人物]]
[[Category:1928年生]]
[[Category:存命人物]]