ペレのソースを表示

{{otheruses}}
{{サッカー選手
|名前=ペレ
|画像= Pelé Africa do Sul Cropped.jpg
|画像サイズ=225px
|本名=エドソン・アランチス・ドゥ・ナシメント<br />Edson Arantes do Nascimento
|愛称=ペレ<br/>王様 (O Rei)<br />サッカーの王様 (O Rei do Futebol)
|カタカナ表記=
|アルファベット表記=Pelé
|原語名=
|原語表記=
|国={{BRA}}
|生年月日={{生年月日と年齢|1940|10|23}}
|出身地=[[ミナスジェライス州]]{{仮リンク|トレス・コラソンエス|pt|Três Corações}}
|身長=171cm
|体重=73kg
|血液型=
|所属チーム名=
|ポジション=[[フォワード (サッカー)|FW]]/[[ミッドフィールダー|MF]]
|背番号=
|利き足=右足
|ユースクラブ1={{flagicon|BRA}} {{仮リンク|バウルAC|en|Bauru Atlético Clube}}
|ユース年1=1953-1956
|クラブ1={{flagicon|BRA}} [[サントスFC|サントス]]
|クラブ2={{flagicon|USA}} [[ニューヨーク・コスモス]]
|年1=1956-1974|年2=1975-1977
|出場1=438 |得点1=474|出場2=64 |得点2=37
|クラブ成績更新日=
|代表1={{BRAf}}
|代表年1=1956-1971<ref name="rsssf.com">{{en icon}} {{Cite web|title=Edson Arantes do Nascimento "Pele" - Goals in International Matches|publisher=The Rec.Sport.Soccer Statistics Foundation|url=http://www.rsssf.com/miscellaneous/pele-intlg.html |accessdate=2012年8月25日}}</ref>
|代表出場1=92 |代表得点1=77<ref name="rsssf.com"/>
|代表成績更新日=
}}
'''ペレ''' (Pelé) こと、'''エドソン・アランチス・ドゥ・ナシメント'''（Edson Arantes do Nascimento, [[1940年]][[10月23日]] - ）は、[[ブラジル]]の元[[プロフェッショナル (サッカー)|サッカー選手]]。[[アフリカ系ブラジル人]]。

[[サッカーブラジル代表]]のエースとして3度の[[FIFAワールドカップ]]優勝。15歳でデビューしてから1977年に引退するまで、実働22年間で通算1363試合に出場し1281得点を記録した<ref name="FIFA">{{en icon}}{{cite web|url=http://www.fifa.com/classicfootball/players/player=63869/bio.html |archiveurl=http://web.archive.org/web/20121107161114/http://www.fifa.com/classicfootball/players/player=63869/bio.html|title=Pele The King of football |publisher=FIFA.com |archivedate=2012年11月7日 |accessdate=2014年8月9日}}</ref>その実績から「'''サッカーの王様'''（{{lang-en|The King of football}}、{{lang-pt|O Rei do Futebol}}）<ref name="FIFA"/>」、あるいは「20世紀最高のサッカー選手」と評され、多くのサッカー選手、サッカーファンから「サッカー史上最高の選手の一人」と見做されている選手である<ref>{{en icon}}{{Cite web|date=2009年6月19日|url=http://www.rsssf.com/miscellaneous/bestbest.html|title=The Best of The Best|publisher=Rsssf.com|accessdate=2010年11月7日}}</ref><ref>{{en icon}}{{Cite web|date=2000年1月30日|url=http://www.rsssf.com/miscellaneous/iffhs-century.html#world|title=IFFHS' Century Elections|publisher=Rsssf.com|accessdate=2010年11月7日}}</ref><ref>{{en icon}}{{Cite web|date=2001年2月1日|url=http://www.rsssf.com/miscellaneous/best-x-players-of-y.html#ff-poc|title=The Best x Players of the Century/All-Time|publisher=Rsssf.com|accessdate=2010年11月7日}}</ref><ref>{{en icon}}{{Cite web|date=2006年6月12日|url=http://newsvote.bbc.co.uk/sport2/hi/football/world_cup_2006/5051768.stm|title=Pele tops World Cup legends poll|publisher=[[BBC]]|accessdate=2010年11月7日}}</ref><ref>{{en icon}}{{Cite web|date=2007年11月6日|url=http://news.bbc.co.uk/hi/spanish/deportes/newsid_7081000/7081524.stm|title=Pelé "es el mejor"|publisher=[[BBC]]|accessdate=2010年11月7日}}</ref><ref>{{es icon}}{{Cite web|date=2007年4月11日|url=http://es.fifa.com/classicfootball/news/newsid=510053.html|title=Acerca de ... Pelé|publisher=FIFA.com|accessdate=2010年11月7日}}</ref><ref>{{es icon}}{{Cite web|date=2009年12月27日|url=http://www.elgrancampeon.com.ar/index.php?option=com_content&view=article&id=9392%3Amenotti-qpele-fue-el-mas-grande-&catid=24%3Adt&Itemid=28|title=MENOTTI: "“Pelé fue el más grande”.|publisher=el Gran Campeon|accessdate=2010年11月7日}}</ref>。

== 生い立ち ==
ブラジル南東部の[[ミナスジェライス州]]トレス・コラソンエスで生まれる。出生と同じ時期に町に電気が敷設されたことから、発明王の[[トーマス・エジソン]]にちなんで「エドソン (Edson)」と名付けられた<ref name="ペレ自伝17">[[#ペレ 2008|ペレ 2008]]、17頁</ref>。しかしペレの出生証明書には「エジソン (Edison)」と表記されており、この誤表記は現在も訂正されていない<ref name="ペレ自伝17"/>。

父親のジョアン・ラモス・ド・ナシメント（通称{{仮リンク|ドンジーニョ|en|Dondinho}}）はサッカー選手でポジションはセンターフォワードを務めていた<ref name="ペレ自伝18-19">[[#ペレ 2008|ペレ 2008]]、18-19頁</ref>。180cm以上ある長身を生かし1試合にヘディングだけで5得点を決めたこともあるヘディングの名手であり<ref name="ペレ自伝18-19"/><ref name="リベイロ、レモス21-22">[[#リベイロ、レモス 2008|リベイロ、レモス 2008]]、16頁</ref>、ミナスジェライス州の州都[[ベロオリゾンテ]]を本拠地とする強豪クラブの[[アトレチコ・ミネイロ]]に所属していたこともあった<ref name="WebGalo">{{pt icon}}{{cite web|url=http://webgalo.comze.com/1941.php |title=Campeonato Mineiro 1941 |publisher=WebGalo |date= |accessdate=2010-11-17}}</ref>が膝を痛めて退団<ref name="WebGalo"/>。その後は小規模なクラブに所属し低い給与でプレーするなどサッカー選手としての成功とは無縁の人生だった<ref name="ペレ自伝18-19"/>{{#tag:ref|ブラジルのサッカーは[[イギリス]]人の父を持つ{{仮リンク|チャールズ・ウィリアム・ミラー|en|Charles William Miller}}が[[1894年]]に英国留学から帰国後に競技の普及に努め、白人の富裕層のスポーツとして親しまれるようになった<ref name="沢田64-75">[[#沢田 2002|沢田 2002]]、64-75頁</ref>。イタリア系やドイツ系やポルトガル系などの移民がそれぞれのクラブを設立し競い合ったが、その中のメンバーには黒人や黒人との混血児は除外されていた<ref name="沢田64-75"/><ref name="松岡54-55">[[#松岡 1994|松岡 1994]]、54-55頁</ref>。[[1909年]]にドイツ系と黒人との混血である[[アルツール・フリーデンライヒ]]が初めてサッカークラブでプレーする事を認められ<ref name="沢田64-75"/>、[[1917年]]にCRヴァスコ・ダ・ガマが初めて黒人選手の導入に踏み切った<ref name="沢田64-75"/>が、白人と黒人が共にプレーをするようになった後も人種差別は残されていた<ref name="松岡54-55"/>。[[1930年代]]にはブラジル国内でプロリーグ設立の動きが始まったことで、多くの黒人選手や混血の選手がプロ選手としてクラブと契約<ref name="沢田64-75"/>。プロ選手として活躍することで社会的地位は向上させることが可能となり<ref name="松岡54-55"/>、その中で[[レオニダス・ダ・シルバ]]が黒人選手として最初のスター選手となった<ref name="沢田64-75"/>。ペレの父であるドンジーニョはブラジルのプロサッカー黎明期の選手にあたる。|group=注}}。

[[1944年]]に[[サンパウロ州]]の[[バウル]]のサッカークラブに移籍したことを契機に家族でバウルへ引越し、選手としてプレーを続けたが後に膝の故障が基で現役を引退した<ref>[[#ペレ 2008|ペレ 2008]]、22頁</ref>。これにより収入が途絶え生活に困窮したが、ペレはドンジーニョの再就職先が見つかるまでの間、靴磨きの仕事で家計を助けていた<ref>[[#ペレ 2008|ペレ 2008]]、22-25頁</ref>。母親は厳格な人物でペレに対し経済的に不安定なサッカー選手ではなく高い教育を受け真っ当な職業に就くように厳しく躾けていた<ref>[[#ペレ 2008|ペレ 2008]]、25頁</ref>。ペレは当初は飛行機の[[操縦士]]になることを夢見ていた<ref name="ペレ 26-27">[[#ペレ 2008|ペレ 2008]]、26-27頁</ref>が、やがて父と同じサッカー選手を志すようになり、母の目を盗んで父からサッカーに必要な技術や心構えを学んでいった<ref name="ペレ 46">[[#ペレ 2008|ペレ 2008]]、46-47頁</ref>。

「'''ペレ'''」の愛称は父親の所属していたサッカークラブ、ヴァスコ・デ・サンロレンソの[[ゴールキーパー (サッカー)|GK]]の「ビレ (Bilé) 」のファンであったことに由来している<ref name="ペレ自伝50">[[#ペレ 2008|ペレ 2008]]、50-52頁</ref>。当時のペレは幼かったことや、ミナス・ジェライス訛りもあって「B」の発音が出来ず「P」と発音していた。いつしかクラスメイトから自身も「'''Pelé'''」と呼ばれるようになったが、本人は少年時代はこの呼び名を好んでおらず、「エドソン」と呼ばれることを望んでいた。そのため、時にはペレと呼んだ友人を殴り2日間の停学処分を受けた<ref name="ペレ自伝50"/>。
またペレの愛称が定着するまでは父親の愛称である「ドンジーニョの息子」<ref>[[#ペレ 2008|ペレ 2008]]、53頁</ref>、家族からは「ジッコ」と呼ばれていた<ref name="リベイロ、レモス21-22"/><ref>[[#ペレ 2008|ペレ 2008]]、50頁</ref><ref>[[#ウィリアムズ 2007|ウィリアムズ 2007]]、61頁</ref>。

[[1950年]]、ペレが9歳の時に地元ブラジルで[[1950 FIFAワールドカップ]]が開催された。優勝候補の本命と目されていた<ref name="ペレ自伝54-56">[[#ペレ 2008|ペレ 2008]]、54-56頁</ref>同国は1次リーグの[[サッカースイス代表|スイス]]戦を引き分けた以外は無敗で勝ち上がり、最終戦の[[サッカーウルグアイ代表|ウルグアイ]]戦を迎えていたが、最終戦を前にブラジルはウルグアイに対し勝点でも得失点差でも上回っており、この試合で引分けに終わっても優勝が決まる状況だった。同年[[7月16日]]のウルグアイ戦当日はペレの家にブラジルの勝利を祝おうと父の友人達が大勢訪れパーティを開きラジオの実況に聞き入っていたが、幼かったペレは大人と一緒にラジオの実況に聞き入るより外で友人達とサッカーをして遊ぶことに夢中になっていた<ref name="ペレ自伝54-56"/>。そしてブラジルが終了間際に失点し1-2で敗れ優勝を逃すと（[[マラカナンの悲劇]]）家中が深い悲しみに包まれ、パウルの街全体も静まりかえった<ref name="ペレ自伝54-56"/>。ペレはこの光景にショックを受けたものの、悲しみにくれる父を励まそうと{{Quotation|悲しまないで。いつか僕がブラジルをワールドカップで優勝させてあげるから。|ペレ<ref name="ペレ自伝54-56"/>}}と約束したという。

10代になると、バウル市の内外の複数のクラブを渡り歩き、2から3チームを掛け持ちしてプレーをするほどだったが、学業の方は疎かになり、母の意向に反して落第生になっていた。[[1954年]]に地元の{{仮リンク|バウルAC|en|Bauru Atlético Clube}}が下部組織（通称バキーニョ）を創設することに伴い、同チームに入団。そこで父の古くからの友人であり元ブラジル代表選手の{{仮リンク|ヴァウデマール・デ・ブリト|en|Waldemar de Brito}}に出会い指導を受けることになった。ヴァウデマールはペレの才能に着目し、体のあらゆる部位を使ったボールコントロールの重要性、試合の流れを読むコツ、ボールのない所（[[オフ・ザ・ボール]]）での動きなどを厳しく教え<ref>[[#ペレ 2008|ペレ 2008]]、62頁</ref>、選手として成長する上で父と同様に影響を与えることになった<ref>[[#ペレ 2008|ペレ 2008]]、61頁</ref>。ヴァウデマールは他のクラブの指導をすることになりバキーニョを去っていったが、その後も連絡を取り合い15歳の時に両親を説得して[[サントスFC]]への入団を取り持った<ref>[[#ペレ 2008|ペレ 2008]]、68頁</ref>。

== クラブ経歴 ==
=== サントスFC ===
==== プロデビュー ====
[[1956年]]にサントスに入団。しかし体重が60kgに満たない華奢な体躯であった<ref name="ペレ自伝80">[[#ペレ 2008|ペレ 2008]]、80頁</ref>こともあって直ぐにトップチームでプレーすることは叶わずリザーブチームやユースチームでトレーニングを積むことになった。月給6000クルゼイロで仮契約を結び<ref>[[#ペレ 2008|ペレ 2008]]、84頁</ref>、それまで生活していたバウルを離れてクラブの合宿所での生活に入った<ref name="ペレ自伝80"/>。数ヶ月後、同年9月7日のコリンチャンスとの親善試合でデビューを果たし（試合は7-1でサントスの勝利）この試合で初得点を決めた。国内のリーグ戦でFWのヴァスコンセロスが骨折し戦列を離れたことをきっかけに出場機会を得るようになった<ref name="ペレ自伝89">[[#ペレ 2008|ペレ 2008]]、89頁</ref>。ヴァスコンセロスはペレの入団以来、先輩として友人として親しく接していた<ref name="ペレ自伝89"/>が、この怪我からの復帰後も以前のようなプレーを取り戻す事は出来ず、他のクラブへ移籍した<ref name="ペレ自伝89"/>。[[1957年]]の[[カンピオナート・パウリスタ|サンパウロ州選手権]]では得点王となり、同年[[4月8日]]に正式契約を結んだ。

[[1958年]]には同じくFWを務めていた{{仮リンク|エマヌエレ・デル・ヴェッキオ|en|Emanuele Del Vecchio}}が欧州のクラブに移籍したことでポジションを不動のものとし、サンパウロ州選手権では38試合に出場し58得点を決め2年連続得点王を獲得すると共に優勝に貢献した。同年には[[ジョゼ・エリ・デ・ミランダ|ジト]]、[[ジョゼ・マシア|ペペ]]、[[アントニオ・ウィルソン・オノリオ|ジウマール]]らと共にブラジル代表としてワールドカップに出場し初優勝に貢献（後述）。ブラジル代表での活躍もあってクラブには世界中から親善試合のオファーが殺到し、定期的に世界ツアーを行うようになった。サントスFCは収容人数の少ないスタジアムしか保有していなかったことから、ブラジル国内の公式戦の他にも毎年のように世界中に遠征して親善試合を行い、必要な収入を確保しなければならなかった。ペレはそれらの全ての試合で奇跡を起こすことを期待されていた<ref>[[#ウィリアムズ 2006|ウィリアムズ 2006]]、69頁</ref>が、[[1959年]]に行われた最初の欧州ツアーは6週間に22試合をこなす過密日程だった。

また、クラブでのプレーと平行して[[徴兵制度|兵役]]の義務を負わなければならなかった<ref name="ペレ自伝129-131">[[#ペレ 2008|ペレ 2008]]、129-131頁</ref>。ペレは「ブラジル代表として国の為に戦ったのだから再び国に仕える義務はない」と主張した<ref name="ペレ自伝129-131"/>が、医学的に正当な理由がない限り義務が免除されることは許されず<ref name="ペレ自伝129-131"/>。サントスの沿岸防衛部隊に配属され同年11月には軍選抜チームに選ばれ南米軍人選手権に出場した<ref name="ペレ自伝129-131"/>。

同年にはサントス、ブラジル代表、サンパウロ選抜、兵役で配属された沿岸防衛部隊のチーム、そして軍選抜の合計5チームの選手として年間通算で103試合に出場<ref name="ペレ自伝132-133">[[#ペレ 2008|ペレ 2008]]、129-131頁</ref>。24時間に2試合に出場することが9回ほどあり、時には48時間に3試合に出場するなど、多忙な日々を送った<ref name="ペレ自伝132-133"/>。

==== 国外からのオファー ====
[[ファイル:PELÉ - 1963.jpg|thumb|right|180px|サントス時代のペレ]]
[[1961年]][[3月5日]]、[[エスタジオ・ド・マラカナン|マラカナン・スタジアム]]で行われたリオ・サンパウロ選手権の[[フルミネンセFC]]戦。自陣のペナルティエリア外でボールを受けると、そのままドリブルを開始し相手選手を次々に振り切りゴールキーパーを含めた6人抜きドリブルから得点を決めた<ref name="ペレ自伝137">[[#ペレ 2008|ペレ 2008]]、137頁</ref><ref name="リベイロ、レモス21-22">[[#リベイロ、レモス 2008|リベイロ、レモス 2008]]、21-22頁</ref>。サンパウロの『{{仮リンク|オ・エスポルチ|pt|O Esporte}}』紙から「マラカナンの歴史上最も美しいゴール」と賞賛され<ref name="ペレ自伝137"/>、この得点を記念して同スタジアムには「ペレはこのマラカナン・スタジアムにおいて歴史上、最も美しい得点を決めた」と刻まれたプレートが設置された<ref name="ペレ自伝137"/><ref name="リベイロ、レモス21-22"/>。この時の得点は後に「ゴウ・ジ・プラッカ」（gol de placa、プレートのゴールの意）と呼ばれるようになり<ref name="ペレ自伝137"/>、ペレのサッカー人生において最も美しいゴールの一つとされている<ref name="ペレ自伝137"/>。

また同年のサンパウロ州選手権、[[グアラニFC]]では自身のシュートがゴールラインを割っていないにも関わらず主審により得点が認められる珍事もあった<ref name="ペレ自伝138">[[#ペレ 2008|ペレ 2008]]、138頁</ref>。ペレは浮き球で2人の相手DFを翻弄した後で3人目のDFを振り切りシュートを放ったが、クロスバーに当たった後に地面に叩きつけられておりゴールラインを割っていたか否かは微妙な状況だった<ref name="ペレ自伝138"/>。グアラニの選手やファンは猛抗議をしたが主審は「あれだけ見事なプレーなのだから、ゴールを割っていようがいまいが関係ない」と主張した<ref name="ペレ自伝138"/>ため判定は覆らずゴールが認められた<ref name="ペレ自伝138"/>。

こうした活躍からヨーロッパの有力クラブの関心を集め、[[スペイン]]の[[レアル・マドリード]]は会長を務める[[サンティアゴ・ベルナベウ]]が直接オファー<ref name="背番号10 2">[[#ウィリアムズ 2007|ウィリアムズ 2007]]、68-69頁</ref>。1961年に[[イタリア]]に遠征した際には[[インテルナツィオナーレ・ミラノ]]から4000万クルゼイロ、[[ユヴェントスFC|ユヴェントス]]会長の{{仮リンク|ウンベルト・アニエッリ|en|Umberto Agnelli}}からは百万ドルから数千万ドルの移籍の申し入れがあった<ref name="ペレ自伝139">[[#ペレ 2008|ペレ 2008]]、139-140頁</ref>。

ペレはこれらのオファーに乗り気ではなく、所属クラブのサントスもペレを放出する意思がないことを示したが、この移籍騒動は、後にブラジル政府が「ペレは輸出対象外の国宝である」と公式に宣言して移籍を阻止する事態にまで発展した<ref name="ペレ自伝139"/><ref name="Football Italia"/>。また所属するサントスFCはペレを慰留させるための多額の金銭を工面した<ref name="背番号10 2"/>。なおペレは欧州のクラブでプレーをしなかった理由について「[[ヴァルディール・ペレイラ|ジジ]]がレアル・マドリード、[[ジノ・サニ]]と[[ジョゼ・アルタフィーニ]]が[[ACミラン]]へ移籍したように欧州のクラブでプレーをした選手が何人かいたが、私はサントスFCでの生活に満足していた<ref name="FourFourTwo">{{en icon}}{{cite web|url=http://fourfourtwo.com/interviews/one-on-one/89/article.aspx
|title=Pele - One-On-One - Interviews |publisher=FourFourTwo |date= |accessdate=2010-12-14}}</ref>」「欧州に移籍することも考えたが、サントスFCと共にあることを選んだ<ref name="Football Italia">{{en icon}}{{cite web|url=http://www.football-italia.net/sw/lostgeneration.html|title=The lost generation |publisher=Football Italia|date= |accessdate=2010-12-14}}</ref>」と発言している。

[[1980年代]]頃まで世界中の多くのクラブでは外国人枠は「2人」までに設定されていた<ref>{{cite web|url=http://hsyf610muto.seesaa.net/article/124647941.html|title=Jリーグ移籍制度改変について（中） |publisher=武藤文雄のサッカー講釈 |date= |accessdate=2010-12-14}}</ref>が、欧州のサッカー先進国ではその時代によって国外からの選手移籍に制限を加えようとする動きも見られ<ref name="サッカーで燃える国 野球で儲ける国">ステファン・シマンスキー、アンドリュー・ジンバリスト著、田村勝省訳『サッカーで燃える国 野球で儲ける国--スポーツ文化の経済史』[[ダイヤモンド社]]、2006年、129頁 ISBN 978-4478220047</ref>、イングランドでは[[1978年]]まで旧植民地以外の国からの選手移籍を制限<ref name="サッカーで燃える国 野球で儲ける国"/>。イタリアでは[[FIFAワールドカップ]]での代表チームの成績不振を理由に[[1966年]]から[[1980年]]の間[[イタリア系アルゼンチン人]]以外の外国籍選手との契約を禁止<ref name="Football Italia"/><ref name="サッカーで燃える国 野球で儲ける国"/>、スペインでも[[1965年]]から1970年代初頭まで外国籍選手との契約を禁止<ref>ロジャー・マクドナルド著、[[サッカーマガジンZONE|サッカーマガジン編集部]]訳『写真で見るサッカーの歴史 グローバル・スポーツそのメモリアル・シーン』、[[ベースボールマガジン]]、1982年、125頁</ref>するなど、他国のリーグでプレーをする機会は必ずしも多くは無かった。

ペレは他の多くの選手と同様にブラジル国内に留まってプレーを続けて、国内のリーグ戦で世界トップレベルの技術を磨いていた<ref name="沢田213-214">[[#沢田 2002|沢田 2002]]、213-214頁</ref>{{#tag:ref|現在ではペレらの時代とは異なり、ブラジル国内の若手選手は国内のリーグ戦で活躍を見せると、直ぐに欧州のクラブへ移籍する傾向がある<ref name="沢田213-214"/>。かつてはブラジル国内で選手同士が切磋琢磨し、若手選手はベテランからブラジルサッカー伝統の駆け引きやテクニックを学んでいった<ref name="沢田213-214"/><ref>[[#ベロス 2006|ベロス 2006]]、308-309頁</ref>が、今日では選手が青田買いをされ早くから欧州スタイルのフィジカルを重視した戦術に馴染んでしまうため<ref name="沢田213-214"/>、ブラジルスタイルのサッカーを身に付けることが出来ない<ref name="沢田213-214"/>。そのため標準レベルの選手は登場してもスケールの大きな選手が現れにくくなってしまうとの意見がある<ref name="沢田213-214"/>。|group=注}}。

==== 国際タイトルの獲得 ====
{| style="float: right; margin-left: 1em; margin-bottom: 0.5em; width: 180px; border: #99B3FF solid 1px"
|-
|<div style="position: relative">
[[ファイル:Soccer.Field Transparant.png|200px]]
{{Image label|x=0.36|y=1.07|scale=220|text=[[ジウマール・ドス・サントス・ネヴェス|<span style="font-size: 80%; color: white">'''ジウマール'''</span>]]}}
{{Image label|x=0.75|y=0.83|scale=220|text=[[アントニオ・リマ・ドス・サントス|<span style="font-size: 80%; color: white">'''リマ'''</span>]]}}
{{Image label|x=0.55|y=0.91|scale=220|text=[[マウロ・ラモス・ジ・オリヴェイラ|<span style="font-size: 80%; color: white">'''マウロ'''</span>]]}}
{{Image label|x=0.30|y=0.91|scale=220|text=[[ラウル・ドナザール・カウヴェ|<span style="font-size: 80%; color: white">'''カウヴェ'''</span>]]}}
{{Image label|x=0.12|y=0.83|scale=220|text=[[ダルモ・ガスパール|<span style="font-size: 80%; color: white">'''ダルモ'''</span>]]}}
{{Image label|x=0.50|y=0.66|scale=220|text=[[オラヴォ・マルチンス・ジ・オリヴェイラ|<span style="font-size: 80%; color: white">'''オラヴォ'''</span>]]}}
{{Image label|x=0.32|y=0.66|scale=220|text=[[ジョゼ・エリ・デ・ミランダ|<span style="font-size: 80%; color: white">'''ジト'''</span>]]}}
{{Image label|x=0.32|y=0.44|scale=220|text=[[ペレ|<span style="font-size: 80%; color: white">'''ペレ'''</span>]]}}
{{Image label|x=0.65|y=0.35|scale=220|text=[[ドルヴァウ・ロドリゲス|<span style="font-size: 80%; color: white">'''ドルヴァウ'''</span>]]}}
{{Image label|x=0.42|y=0.25|scale=220|text=[[アントニオ・ウィルソン・オノリオ|<span style="font-size: 80%; color: white">'''コウチーニョ'''</span>]]}}
{{Image label|x=0.10|y=0.35|scale=220|text=[[ジョゼ・マシア|<span style="font-size: 80%; color: white">'''ペペ'''</span>]]}}
</div>
|-
|{{smaller|[[1962年]][[10月11日]]、[[インターコンチネンタルカップ (サッカー)|インターコンチネンタルカップ]]第2戦、[[SLベンフィカ]]戦のスタメン。ペレを下がり目のFWに配した4-2-4の布陣。}}
|}

[[1962年]]、南米のクラブ王者を決める[[コパ・リベルタドーレス]]に出場し決勝に進出。ウルグアイの[[ペニャロール]]との対戦となったが、1勝1分で迎えた最終戦でペレの2得点などで勝利し、ブラジル勢として初のタイトルを獲得した<ref name="ペレ自伝151-152">[[#ペレ 2008|ペレ 2008]]、151-152頁</ref>。この勝利により[[インターコンチネンタルカップ (サッカー)|インターコンチネンタルカップ]]への出場権を得て[[エウゼビオ]]を擁するポルトガルの[[SLベンフィカ]]と対戦。ホームでの第1戦は自身の2得点などで3-2と勝利。敵地[[リスボン]]での第2戦も好調なプレーを維持<ref name="ペレ自伝151-152"/>。ベンフィカの守備陣を翻弄し3得点1アシストという活躍で5-2と勝利を収め、クラブ世界一となった。なおリスボンで行われた試合を「私のキャリアにおいて最高の試合」「素晴らしい内容で、生涯忘れることの出来ない芸術的な試合」と語っている<ref name="ペレ自伝151-152"/>。

翌[[1963年]]にもコパ・リベルタドーレスに出場してアルゼンチンの[[ボカ・ジュニアーズ]]を下して大会2連覇、インターコンチネンタルカップにおいてもイタリアの[[ACミラン]]を下して2年連続クラブ世界一となった。

一方で数々のタイトルを獲得し著名になっていったことで、ペレは対戦相手から執拗なマークを受けるようになった<ref name="ペレ自伝154-155">[[#ペレ 2008|ペレ 2008]]、154-155頁</ref>。かつてのような新進気鋭の若手選手ではなく打倒すべき勝利者とみなされ、クラブや代表チームでもいかにペレの動きや周囲とのコンビネーションを止めるかに焦点が当たるようになった<ref name="ペレ自伝154-155"/>。相手DFはペレがどこのポジションに付いていても終始マンマークを付けてラフプレーも辞さない激しいプレーを仕掛け<ref name="ペレ自伝154-155"/>、時には言葉による挑発を仕掛けて故意に退場を誘おうとする選手もいた<ref name="ペレ自伝154-155"/>。

この頃にはブラジル国内においても高額の収入を得るようになっていた<ref name="ペレ自伝140-141">[[#ペレ 2008|ペレ 2008]]、140-141頁</ref>が、「ペレ」の愛称が多くの価値を生み出すことに気が付き、[[商標|商標権]]を獲得して様々な商品に名前の使用を認めることで更に多くの収入を得るようになった<ref name="ペレ自伝140-141"/>。またサントスFCのチームメイトを誘い投機事業に出資を行うなどした<ref name="ペレ自伝140-141"/>が、一切の財産管理を一任していた人物が投機に失敗し多額の借金を背負うことになった<ref name="ペレ自伝163-165">[[#ペレ 2008|ペレ 2008]]、163-165頁</ref>。ペレはクラブの役員会で事情を説明し、クラブ側に有利な条件で契約を更改するかわりに借金を肩代わりしてもらうことになった<ref name="ペレ自伝163-165"/>。

==== アフリカ遠征 ====
クラブは必要な資金を捻出するために依然として国外への遠征ツアーを続けていたが、それまでの欧州や南米だけでなく[[北アメリカ|北米]]や[[アジア]]、[[アフリカ]]といった後進地域のチームとも試合を行うようになった。特に自らのルーツであるアフリカに遠征した際には世界観が変わっただけでなく、社会における自分の立場のあり方を考える契機になった<ref>[[#ペレ 2008|ペレ 2008]]、212-213頁</ref>。ペレは人種差別のない国で黒人が社会的に成功を収める事が出来る生きた証として崇拝の対象となり<ref name="松岡161">[[#松岡 1994|松岡 1994]]、161頁</ref><ref name="ヤロップ128">[[#ヤロップ 1999|ヤロップ 1999]]、128頁</ref>、アフリカの人々はペレの姿を一目見ようとスタジアムだけでなく空港まで押し寄せるなど各地で熱狂的に迎えられた<ref name="松岡161"/><ref name="ヤロップ128"/>。

[[1969年]]1月、最初の遠征地であるコンゴは[[コンゴ民主共和国]]と[[コンゴ共和国]]の間で紛争状態にあった<ref name="リベイロ、レモス23-25">[[#リベイロ、レモス 2008|リベイロ、レモス 2008]]、23-25頁</ref>が、双方の指導者は試合観戦のために休戦に合意した<ref name="リベイロ、レモス23-25"/>。サントスFCはコンゴで数試合を行い、同月23日の[[サッカーコンゴ民主共和国代表|コンゴ民主共和国代表]]戦では2-3で敗れたが、この試合を記念して同国大統領の[[モブツ・セセ・セコ]]は「国民のスポーツの日」と定めた<ref name="リベイロ、レモス23-25"/>。次の遠征先は[[ビアフラ戦争]]により内戦状態にあった[[ナイジェリア]]だったが、同国と[[ビアフラ共和国]]との間で試合前後の48時間は停戦し、ペレらが滞在する首都の[[ラゴス]]へは侵攻しないとの合意がなされ、親善試合は予定通り行われた<ref>[[#ペレ 2008|ペレ 2008]]、221頁</ref>。

==== 1000得点達成 ====
[[ファイル:Huellas de Pelé.jpg|thumb|225px|right|[[エスタジオ・ド・マラカナン|マラカナン・スタジアム]]50周年を記念して設立された殿堂に展示されている足型を模ったプレート]]
同年の夏になると通算1000得点が成るかにメディアやファンの注目が集まった<ref name="ペレ自伝222">[[#ペレ 2008|ペレ 2008]]、222頁</ref>。10月に990得点を達成し、[[11月14日]]にレシフェで行われた[[ボタフォゴFC (パライバ州)|ボタフォゴFC]]戦で999得点目を決めて1000得点まで王手をかけると遠征先の都市では1000得点の瞬間を祝おうとカーニバルが催され、スタジアムは宛らワールドカップ決勝のように熱狂して迎えた<ref>[[#ペレ 2008|ペレ 2008]]、224頁</ref>。メディアによる報道も加熱し「ペレは1000得点を達成し不老不死となる」と大仰に書き立てる新聞もあった<ref name="ペレ自伝222"/>。

[[11月19日]]、マラカナンスタジアムで行われた[[CRヴァスコ・ダ・ガマ]]戦では6万5千人の観客が見守る中、後半33分にペレがペナルティエリア内で倒されペナルティキックを獲得<ref name="ペレ自伝226-227">[[#ペレ 2008|ペレ 2008]]、226-227頁</ref>。これを自らゴール右すみに決め1000得点を達成した<ref name="ペレ自伝226-227"/>{{#tag:ref|近年の研究によると1969年11月19日のCRヴァスコ・ダ・ガマで達成した1000得点と、[[1971年]][[1月28日]]の{{仮リンク|SVトランスヴァール|en|SV Transvaal}}戦で達成した1000試合出場は、それ以前の試合で達成されていた可能性があると言われている<ref name="ペレ414">[[#ペレ 2008|ペレ 2008]]、414頁</ref>。|group=注}}。この際にペレが放ったシュートはキックの瞬間に一瞬動きを止めてキーパーの動きを確認してから、その動きと反対方向に決めるという物だった<ref name="ペレ自伝226-227"/>が、この技は後に「[[パラディーニャ (サッカー)|パラディーニャ]]」（ポルトガル語で小休止の意）と呼ばれるようになった<ref name="ペレ自伝226-227"/>。

1000得点が達成されるとスタジアム中が熱狂した。試合は中断され記者やレポーターがペレに殺到しコメントを求めた<ref name="ペレ自伝227-228">[[#ペレ 2008|ペレ 2008]]、227-228頁</ref>。ペレは{{Quotation|この得点をブラジルの子供たちに捧げる。神のご加護に報いるためにも貧困に苦しむ子供たちを守ろう。|ペレ<ref name="ペレ自伝227-228"/><ref name="ベロス157-158">[[#ベロス 2006|ベロス 2006]]、157-158頁</ref>}}と答えるとウイニングランを行ってサポーターの声援に応じた。この発言は物議を醸し「偽善者だ」「民衆を扇動しようとしている」と批判を受けた<ref name="ペレ自伝227-228"/>が、ペレは自著の中で「その日が誕生日だった母に捧げるというべきだったが、咄嗟に思いつかなかった」「私のような立場の人間がメッセージを発することは重要だ」と述べている<ref name="ペレ自伝227-228"/>。その後、ブラジル郵政省からは[[記念切手]]が発行され<ref name="松岡161"/>、ブラジル政府は1000得点を達成したペレに勲章を与え翌日を休日とした<ref name="松岡161"/>。サンパウロ市はこの記録を記念して[[1995年]]に11月19日を「ペレの日」と定めた。

==== サントスFCでの引退 ====
所属するサントスFCはリベルタドーレス杯とインターコンチネンタル杯で2連覇を達成した当時の選手達が去り<ref name="ペレ256-261">[[#ペレ 2008|ペレ 2008]]、256-261頁</ref>、長期的な展望もなく監督が短期間のうちに次々と入れ代わるなど徐々に衰退を始めていた<ref name="ペレ256-261"/>。このような状況もあって、かつてほどサッカーを楽しめなくなり、引退後の生活を考えるようになった<ref name="ペレ256-261"/>。1970年代には大学や企業の招きを受けて講演を行う機会が増えていたが、高い教育を受けた人物と交流するうちに学業への意欲が芽生えるようになり<ref name="ペレ253-255">[[#ペレ 2008|ペレ 2008]]、253-255頁</ref>、サントスFCでフィジカルコーチを務めていた{{仮リンク|ジュリオ・マゼイ|en|Júlio Mazzei}}の指導を受けて試合や練習の合間に勉強を続け、大学入試資格に必要な中等教育課程を修了<ref name="ペレ253-255"/>。大学入試試験にも合格し体育学を専攻した<ref name="ペレ253-255"/>。

[[1973年]]には[[ペプシコーラ]]との間で世界中の子供たちを対象とした「インターナショナル・ユース・フットボール・プログラム」というプロジェクトの契約を結んだ<ref name="ペレ自伝264">[[#ペレ 2008|ペレ 2008]]、264頁</ref>。この契約は当初1年間の予定だったが、更に5年間延長されペレはマゼイと共に世界64か国を訪問しサッカー教室を開き、サッカーの普及に努めた<ref name="ペレ自伝264"/>。また「ペレ--キングの法則」と題した教則映画は数々の賞を受賞した<ref name="ペレ自伝264"/>。

[[1974年]][[10月2日]]、18年間を過ごしたサントスFCでの最後の試合となった[[ポンチ・プレッタ]]戦。試合開始20分に中盤でボールを受けると両手でキャッチしてセンターサークルへと向かい、ボールを置くとピッチに跪き両手を広げ十字架のようなポーズをとり集まったファンへの感謝の意を示すと共に別れを告げた<ref>[[#ペレ 2008|ペレ 2008]]、271-273頁</ref><ref name="リベイロ、レモス23-25">[[#リベイロ、レモス 2008|リベイロ、レモス 2008]]、27頁</ref>。

=== ニューヨーク・コスモス ===

[[1975年]]、[[北米サッカーリーグ]] (NASL) に所属する[[ニューヨーク・コスモス]]に移籍。これは[[アトランティック・レコード]]の創設者であるアーティガン兄弟や[[ワーナー・ブラザーズ]]社長でニューヨーク・コスモスのチェアマンを務めていたスティーヴ・ロスからの勧誘を受けてのもので、2年契約で移籍金は900万ドル<ref name="ペレ自伝278">[[#ペレ 2008|ペレ 2008]]、278頁</ref>。この契約の背後には[[アメリカ合衆国国務長官]]で熱狂的なサッカーファンの[[ヘンリー・キッシンジャー]]の存在があった<ref name="ペレ自伝278"/>。1970年代当時、サッカー不毛の地と呼ばれたアメリカにサッカーを普及させ、いずれワールドカップを招致したいという思惑があり<ref>[[#ペレ 2008|ペレ 2008]]、262頁</ref>、ペレのニューヨーク・コスモスへの移籍についても「わが国でプレーする事で発展に協力して欲しい」との旨を記した公文書を発行し移籍を支援した<ref name="ペレ自伝278"/>。

同年6月15日に行われたトロント・メトロス戦には2万5千人の観客が集まり、この後も北米リーグの平均観客数は2万人台を維持した。2年後には西ドイツから[[フランツ・ベッケンバウアー]]、ブラジルから[[カルロス・アウベルト]]が加わりオールスターチームの陣容を呈し、[[1977年]]には同チームの北米選手権のタイトルを獲得。サッカー不毛の地と言われた[[アメリカ合衆国|アメリカ]]でサッカーの伝道師としての役割を果たし人気選手となり活躍<ref>{{cite web|url=http://www.time.com/time/specials/packages/article/0,28804,1916608_1916614_1916641,00.html |title=Pelé - Top 10 Sports Comebacks |publisher=TIME |date=2009-8-17 |accessdate=2010-09-12}}</ref>したことで、ニューヨーク市の名誉市民に選ばれた。

同年10月1日に[[ジャイアンツ・スタジアム]]で行われた引退試合のコスモス対サントスFC戦には7万5千人の観衆が詰掛けた。ペレは前半はコスモスの選手として後半はサントスの選手としてプレーし前半に1得点をあげ自らの引退の花道を飾った。試合後のセレモニーでは「愛を!皆に愛を!世界に愛を!」の言葉で締めくくった<ref>[[#ペレ 2008|ペレ 2008]]、293頁</ref>。

== 代表経歴 ==
[[ファイル:Pelé jump 1958.jpg|thumb|225px|right|[[1958 FIFAワールドカップ]]決勝、[[サッカースウェーデン代表|スウェーデン]]戦でのペレ]]
[[ファイル:Djalma Santos, Pelé and Gilmar 1958.jpg|thumb|225px|right|優勝を果たし[[ジウマール・ドス・サントス・ネヴェス|ジウマール]]の肩にもたれかかり涙を流すペレ（中央）。左側の人物は[[ジャウマ・サントス]]]]
[[サッカーブラジル代表|ブラジル代表]]デビューは[[1957年]][[7月7日]]の[[サッカーアルゼンチン代表|アルゼンチン]]戦。16歳9ヶ月での代表デビューは当時の史上最年少出場記録であった。試合は1-2で敗れたが、ペレ自身は唯一の得点を決める活躍を見せた。その後、所属クラブでの活躍もあって代表チームに定着していった。

=== 1958 FIFAワールドカップ ===
サンパウロ州選手権2年連続得点王の実績もあって[[1958年]]の[[1958 FIFAワールドカップ|スウェーデン大会]]の代表メンバーに招集され、背番号は10番を与えられた。大会直前のテストマッチで膝の故障もあってグループリーグの2試合を欠場したが、第3戦の[[サッカーソビエト連邦代表|ソビエト連邦]]戦でワールドカップ初出場を果たした。なお17歳でのワールドカップ出場は[[1982年]]の[[1982 FIFAワールドカップ|ワールドカップ・スペイン大会]]で[[サッカー北アイルランド代表|北アイルランド]]の[[ノーマン・ホワイトサイド]]によって塗り替えられるまで史上最年少記録であった<ref>{{en icon}}{{Cite web|author=Steve Bradley|date=2003年10月10日|url=http://soccernet.espn.go.com/feature?id=280042&cc=4716|title=From heroes to zeroes|publisher=[[ESPN]]|accessdate=2010年11月7日}}</ref>。

準々決勝の[[サッカーウェールズ代表|ウェールズ]]戦にも先発出場を果たすと、66分にペナルティエリア内からシュートを決め、ワールドカップ史上最年少となる17歳と239日での得点を記録。続く準決勝の[[サッカーフランス代表|フランス]]戦では52分、64分、75分と立て続けに得点を決め[[ハットトリック]]の活躍を見せた。

決勝の[[サッカースウェーデン代表|スウェーデン]]戦では、55分に浮き球で相手DFを交わしてからボレーシュート決めて追加点、終了間際には[[マリオ・ザガロ]]とのパス交換から駄目押しとなるヘディングシュートを決め5-2の勝利に貢献。大会通算6得点の活躍で同国にワールドカップ初優勝をもたらした。なお、この試合の55分にペナルティエリア内で相手選手の[[ベングト・グスタフソン]]{{enlink|Bengt Gustavsson||en}}の頭上にボールを浮かして置き去りにしてから決めたボレーシュートは全キャリアの中でもベストゴールのひとつだったと語っている<ref>[[#ペレ 2008|ペレ 2008]]、114頁</ref>。この優勝の後、ペレは世界中の新聞や雑誌の表紙を飾り「新たなキングの誕生」と称された<ref>[[#ペレ 2008|ペレ 2008]]、118頁</ref>。

なおこの大会でペレは「背番号10」でプレーし、以降のサッカー界で背番号10番はエースナンバーと見なされるようになったが<ref>{{ja icon}}{{Cite web|date=2010年7月2日|url=http://www.sponichi.co.jp/soccer/news/2010/07/02/01.html|title=世界驚かせた！新エース本田が「10番」継承へ|publisher=[[スポーツニッポン]]|accessdate=2010年11月7日}}</ref>、これは大会当時、チーム内の抽選で割り振られたという全くの偶然から生まれたものであった<ref>{{ja icon}}{{Cite web|url=http://www.mainichi-ok.co.jp/develop/yagai/football/nots/020.html|title=猪井（いのい）監督のサッカーノート （20）|publisher=[[毎日新聞]]|accessdate=2010年11月7日}}</ref><ref>{{pt icon}}{{Cite web|url=http://www.duplipensar.net/dossies/historia-das-copas-do-mundo/1958-copa-da-suecia.html|title=Copa do Mundo de 1958 na Suecia|publisher=Duplipensar|accessdate=2010年11月7日}}</ref>。

=== 1962 FIFAワールドカップ ===
[[1962年]]の[[1962 FIFAワールドカップ|ワールドカップ・チリ大会]]では1次リーグ初戦の[[サッカーメキシコ代表|メキシコ]]戦で1得点1アシストと好調を維持していたが、続く第2戦の[[サッカーチェコスロバキア代表|チェコスロバキア]]戦の25分にドリブル突破からミドルシュートを放った直後に太股の筋肉を痛めた。当時の規定で交代出場は認められておらずピッチに留まったが、負傷したことを知ったチェコスロバキアの[[ヨゼフ・マソプスト]]と[[ヤーン・ポプルハール]]らはペレを故意に痛めつけようとはしなかった<ref name="ペレ自伝
144">[[#ペレ 2008|ペレ 2008]]、144頁</ref><ref name="松岡128">[[#松岡 1994|松岡 1994]]、128頁</ref>。ペレはチェコスロバキアの選手達の行為を「真のスポーツマンシップ」と賞賛した<ref name="ペレ自伝 144"/><ref name="松岡128"/>が、後の試合に出場することは難しくなった<ref name="松岡128"/>。ブラジルはペレを欠いたものの[[ガリンシャ]]らの活躍もあって大会2連覇を成し遂げた。一方でブラジル代表チームは2度目のワールドカップ優勝を成し遂げたことで国民と国家のシンボル的存在となった<ref name="山田254">[[#山田 1986|山田 1986]]、254頁</ref>。

=== 1966 FIFAワールドカップ ===
1966年の[[1966 FIFAワールドカップ|ワールドカップ・イングランド大会]]では25歳と選手としてピークを迎えていたが、大会前から怪我を抱えていた。初戦の[[サッカーブルガリア代表|ブルガリア]]戦で1得点を決めたものの相手DFの{{仮リンク|ドブロミル・ジェチェフ|en|Dobromir Zhechev}}の激しいマークもあって負傷し、第2戦の[[サッカーハンガリー代表|ハンガリー]]戦は首脳陣の判断もあってペレを温存する事となった。ペレを欠いたブラジルは1-3で敗れ、決勝トーナメント進出が厳しくなると最終戦の[[サッカーポルトガル代表|ポルトガル]]戦では怪我をおして出場することになった。この試合でペレは相手DFの{{仮リンク|ジョアン・ペドロ・モライス|en|João Morais}}の執拗なマークに苦しみ前半途中に膝を負傷したが、その後もモライスのペレに対するラフプレーは続き、負傷退場せざるえなくなった。当時のルールで選手交代は認められておらず<ref>[[#リベイロ、レモス 2008|リベイロ、レモス 2008]]、20頁</ref>ペレを欠いたブラジルは10人で試合を進めたが、1-2で敗れ大会3連覇を逃した。

メディアからは「ブラジルの世界支配は終わりを告げた<ref name="松岡146">[[#松岡 1994|松岡 1994]]、146頁</ref>」と酷評され、選手や監督の自宅は暴徒化したファンの襲撃を受けた<ref name="松岡146"/>。また[[ギリシャ]]ではブラジル人女子留学生がブラジルの敗退を苦に船から身投げをする事態まで起こった<ref name="松岡146"/>。ペレは度重なるラフプレーの横行や、それを見逃す審判員たちに嫌気が差し失意のあまり「ワールドカップには二度と出場しない」と宣言するほどだった<ref>[[#ペレ 2008|ペレ 2008]]、174頁</ref>。

=== 1970 FIFAワールドカップ ===
2年間のブランクの後、再び頂点に立ちたいとの意識が芽生え代表に復帰を決意。3度目の優勝を果たせばジュール・リメ杯を永久保持する権限が与えられる事も重要な動機の一つとなった。

[[1970年]]の[[1970 FIFAワールドカップ|ワールドカップ・メキシコ大会]]ではペレを筆頭に[[ロベルト・リベリーノ|リベリーノ]]、[[ジェルソン・デ・オリヴェイラ・ヌーネス|ジェルソン]]、[[トスタン]]、[[ジャイルジーニョ]]という攻撃陣を擁して雪辱を賭ける。1次リーグ初戦でチェコスロバキアに4-1と大勝すると、第2戦では前回優勝国の[[サッカーイングランド代表|イングランド]]を1-0で退けて決勝トーナメント進出を決める。準々決勝では[[サッカーペルー代表|ペルー]]、準決勝では[[サッカーウルグアイ代表|ウルグアイ]]を下し2大会ぶりの決勝進出を果たした。ペレ自身は決勝まで3得点に終わったが、周囲のタレントを生かすゲームメーカー役を務めていた<ref>[[牛木素吉郎]]『サッカー世界のプレー』[[講談社]]、1970年、142-147頁</ref>。

決勝の[[サッカーイタリア代表|イタリア]]戦では18分にヘディングで先制点を決めると、71分のジャイルジーニョの得点をアシスト、88分のカルロス・アウベルトの得点をアシストする活躍で3度目のワールドカップ制覇に貢献。試合終了後には興奮した観客がピッチに乱入し選手達を担いでウイニングランを行い優勝を祝福した。ワールドカップで3度目の優勝を果たしたことは、「ブラジルの奇跡」と評された高度経済成長期と重なったこともあり熱狂的に受け入れられ<ref name="山田254"/>、ブラジルの国威高揚に大きな役割を果たした<ref>[[#山田 1986|山田 1986]]、247頁</ref>。

=== 代表引退 ===
その後、[[1971年]]7月18日にマラカナン・スタジアムで行われた[[サッカーユーゴスラビア代表|ユーゴスラビア]]戦を最後にブラジル代表からの引退を表明した。ブラジル代表としては国際Aマッチ92試合に出場し77得点を記録<ref name="rsssf.com"/>。通算成績は67勝14引分け11敗。ブラジル代表はペレが去った後、24年間ワールドカップの優勝から遠ざかることになった。

== 引退後 ==
[[File:Pele - World Economic Forum Annual Meeting Davos 2006.jpg|thumb|220px|right|[[世界経済フォーラム]]で講演を行うペレ（2006年）]]
[[File:Pelé & Lula.jpg|thumb|220px|right|ペレと[[ブラジル]]の[[ルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルヴァ]]大統領（2008年）]]
引退後は[[国際サッカー連盟]] (FIFA) の大使、フェアプレー委員会の一員として世界中で広報活動に携わったほか、[[国際連合児童基金]]（ユニセフ）の親善大使に任命され子供の基本的権利の保護を訴えたイベントに関わった。[[2001年]]にはFIFAとユニセフがパートナーシップを締結したが、ペレはこの仕事に携わっている<ref>[[#ペレ 2008|ペレ 2008]]、298-299頁</ref>。

芸術面での才能を生かし、映画出演を度々行っている。[[1978年]]に公開された『Os Trombadinhas』では脚本を担当、[[1981年]]に公開された『[[勝利への脱出]]』では[[マイケル・ケイン]]や[[シルベスター・スタローン]]と競演し、サッカーシーンのテクニカルアドバイザーを担当した<ref>[[#ペレ 2008|ペレ 2008]]、308-309頁</ref>。また特技の[[ギター]]演奏を生かして作曲した楽曲が[[エリス・レジーナ]]や[[セルジオ・メンデス]]、{{仮リンク|ジャイール・ロドリゲス|en|Jair Rodrigues}}といった著名なミュージシャンに演奏されたこともある<ref>[[#ペレ 2008|ペレ 2008]]、307頁</ref>。

[[1993年]]、ペレは自身が経営するマーケティング会社が[[カンピオナート・ブラジレイロ|ブラジル全国選手権]]の放映権を獲得するにあたり<ref>[[#ペレ 2008|ペレ 2008]]、316頁</ref>[[ブラジルサッカー連盟]] (CBF) から100万ドルの賄賂を要求されたとして、ブラジルサッカー界の腐敗ぶりを告発した<ref name="ベロス159">[[#ベロス 2006|ベロス 2006]]、159頁</ref><ref name="ベロス480">[[#ベロス 2006|ベロス 2006]]、480頁</ref><ref name="ヤロップ294-295"/>。ペレは賄賂を要求した人物を特定しなかった<ref name="ヤロップ294-295"/>が、これによりCBF会長の[[リカルド・テイシェイラ (サッカー組織の幹部)|リカルド・テイシェイラ]]とテイシェイラの妻の父である[[ジョアン・アベランジェ]]とも対立することとなり<ref name="ベロス480"/><ref name="ペレ自伝317-318">[[#ペレ 2008|ペレ 2008]]、317-318頁</ref>、FIFA会長を務めていたアベランジェは報復として同年12月に[[ロサンゼルス]]で行われた[[1994 FIFAワールドカップ]]抽選会からペレを除外した<ref name="ヤロップ294-295">[[#ヤロップ 1999|ヤロップ 1999]]、294-295頁</ref>。

[[1995年]]、[[フェルナンド・エンリケ・カルドーゾ]]大統領の下で[[スポーツ省 (ブラジル)|スポーツ大臣]]に就任。ペレはブラジル史上初の黒人閣僚として[[1998年]]までの3年間この職務を務めた。在任期間中は、「オリンピック・ヴィレッジ」と呼ばれる各地方政府と協力してスポーツ施設を建設する公共事業や、ペレ法 (Lei Pelé) の制定に取り組んだ。ヨーロッパにおける[[ボスマン判決]]のブラジル版ともいえるペレ法は選手がクラブに契約で拘束されず自由に移籍を行えるようにした法律で、1998年[[4月29日]]に可決され、3年後の[[2001年]][[3月26日]]から施行された<ref>[[#ペレ 2008|ペレ 2008]]、319-235頁</ref>。これにより従来のパス（選手保有権）が廃止され、契約終了後の移籍金が発生することはなくなった。

一方でスポーツ大臣としてサッカー関連の法制定に取り組んだことでアベランジェとテイシェイラとの関係は更に悪化し、ペレの会社はビジネスの場から事実上締め出されていたが、2001年1月に和解が成立し8年間に及んだ争いに終止符を打った<ref name="ベロス159"/>。しかしメディアからは「王が平民に成り下がった」「スポーツ倫理と戦ってきた我々に対する最大の裏切り」と批判された<ref name="ベロス484-485">[[#ベロス 2006|ベロス 2006]]、484-485頁</ref>。

多くの名誉職に任命されたほか、[[1998年]]にはサッカーにおける功績と数々の[[ボランティア]]活動を讃えられ[[イギリス]]政府から[[大英帝国勲章]]を授与された<ref>[[#ペレ 2008|ペレ 2008]]、324頁</ref>。またペプシコーラ、[[プーマ]]、[[マスターカード]]、[[コカコーラ]]など世界各国で数々の大企業の[[広告]]に出演するなど引退後もCM出演依頼が後を絶たない<ref name="ペレ351-354">[[#ペレ 2008|ペレ 2008]]、351-354頁</ref>。[[2002年]]には製薬会社の[[ファイザー]]から依頼を受けて[[勃起不全]] (ED) 治療のスポークスマンを務めた<ref name="ペレ351-354"/><ref>{{cite web|url=http://www.47news.jp/feature/medical/news/1029ED.html|title=EDの悩みはみんな同じ ペレ氏、相談を呼び掛け |publisher=[[共同通信社]] |year=2002 |accessdate=2010-09-09}}</ref>。「ペレ・カフェ」というコーヒーブランドを持っているが、これは1960年代にブラジル・コーヒー協会がヨーロッパへ進出した際に立ち上げたもので、東欧や中東など世界中で飲用されている<ref name="ペレ351-354"/>。

[[2010年]]8月1日、選手時代に在籍したニューヨーク・コスモスが再建されることに伴い、同クラブの名誉会長に就任することになった<ref>{{cite web|url=http://www.nejinews.co.jp/news/business/archive/eid3358.html |title=ニューヨークの有名サッカークラブが復活、ペレ選手が名誉会長に |publisher=産業ニュース : ファスニングジャーナル |date= |accessdate=2010-09-12}}</ref>。

=== 現役復帰説 ===
ペレは、ニューヨーク・コスモスでの現役引退後に慈善試合や、[[1980年]][[9月24日]]に行われたベッケンバウアー引退記念試合<ref>[[#ペレ 2008|ペレ 2008]]、271-273頁</ref>や、[[1987年]]1月に地元ブラジルで開催されたシニア・ワールドカップ<ref name="ペレ414"/>など8試合に出場している<ref name="ペレ295">[[#ペレ 2008|ペレ 2008]]、271-273頁</ref>。また引退から9年後の[[1986 FIFAワールドカップ]]の際には、ブラジル代表のメンバーとして出場する可能性があり<ref name="ペレ295"/>、当時の[[テレ・サンターナ]]監督も「控え選手として上手く起用出来ればありえない話ではない」と発言していた<ref name="ペレ295"/>。この時、既に45歳を迎えていたペレの大会出場が実現すればワールドカップ最年少出場記録と最高齢出場記録を保持することになったが、最終的に参加は見送られた<ref name="ペレ295"/>。[[1990年]][[10月31日]]には生誕50周年を祝してイタリア・[[ミラノ]]にある[[スタディオ・ジュゼッペ・メアッツァ]]で記念試合が行われ、ブラジル代表の10番として世界選抜と対戦し前半42分までプレーしたが<ref name="ペレ295"/>
<ref>「海外ホットニュース ブラジル」『サッカーマガジン』1991年1月号、217頁</ref>、これが最後の試合出場となっている<ref name="ペレ414"/>。

[[2011年]]、古巣のサントスFCがコパ・リベルタドーレスを48年ぶりに制し同年12月に[[日本]]で開催される[[FIFAクラブワールドカップ2011]]への出場権を獲得したが、同大会へのペレの出場が取り沙汰された<ref name="goal.com20110804">{{cite web|url=http://www.goal.com/jp/news/124/南米/2011/08/04/2604115/ペレ氏現役復帰でクラブw杯に出場 |title=ペレ氏、現役復帰でクラブW杯に出場 !? サントスが衝撃のアイディアを明かす |publisher=Goal.com |date=2011年8月4日 |accessdate=2011年8月12日}}</ref>。同年8月に同クラブの会長は「70歳という年齢から、長い時間プレーすることは難しいが、皆を感動させるには彼のたった一つのプレーだけで十分である」とペレの現役復帰の可能性を示唆し<ref name="goal.com20110804"/>、最終的な判断は監督の[[ムリシ・ラマーリョ]]に一任すると述べた<ref name="goal.com20110804"/>。

その一方で、ペレの代理人はメディアの取材に対し「ペレのスケジュールは1年間を通じて全て埋まっており、実現は不可能である」と会長の発言を否定<ref>{{cite web|url=http://www.goal.com/jp/news/124/南米/2011/08/05/2605972/ペレ代理人クラブw杯参加はない|title=ペレ代理人：「クラブW杯参加はない」サントスの提案は不可能と強調 |publisher=Goal.com |date=2011年8月5日 |accessdate=2011年8月12日}}</ref>。同年11月にラマーリョ監督によりFIFAクラブワールドカップに出場する23名の選手が発表されたが、ペレの名前はなかった<ref>{{cite web|url=http://www.goal.com/jp/news/124/南米/2011/11/29/2779557/サントスクラブw杯に臨む23名を発表|title=サントス、クラブW杯に臨む23名を発表
 |publisher=Goal.com |date=2011年11月29日 |accessdate=2011年12月3日}}</ref>。

== 人物 ==
=== プレースタイル ===
[[ファイル:Pelé 1960.jpg|thumb|225px|right|1960年のペレ]]
身長171センチと小柄な体躯であるが身体能力が高く<ref name="ペレ 46">ペレ,46-49頁</ref><ref name="背番号10 2">ウィリアムズ,63頁</ref>、バランス感覚に優れ<ref name="背番号10 2"/>自身より大柄な相手ディフェンダーの激しいタックルにも当たり負けしなかった。また跳躍力を生かした打点の高いヘディングも得意としていた<ref name="ペレ 46"/>。ペレは100m走を10秒台で走る俊足と<ref name="背番号10 2"/>、アフリカ系黒人選手特有の瞬発力や脚の筋力を生かし<ref name="後藤24">[[#後藤 2010|後藤 2010]]、24頁</ref>、リズムを急激に変えることでDFのマークを外すドリブル突破を得意としたが<ref name="背番号10 2"/>、ドリブルの際には大きなスライドでなく常に足下にボールを置き細かなステップでコントロールしていた<ref name="ペレ 46"/>。打点の高いヘディングや足下に吸い付くようなドリブル、左右両足から放つ正確なキックといったフォワードとしての基本技術は、ペレと同じく現役時代にセンターフォワードを務めていた父親のドンジーニョの教えによるものだった<ref name="ペレ 46"/><ref name="沢田128">[[#沢田 2002|沢田 2002]]、128頁</ref>。

身体能力や得点能力が際立つが背番号9タイプの古典的センターフォワードのように前線で孤立してチャンスを待つのではなく、下がり目の位置から前線に飛び出すプレーを好んだ<ref name="ペレ 46"/>。ペレは自著の中で{{Quotation|得点数だけを見て純粋なセンターフォワードと評するものもいるが、そうではない。私は攻撃的MFであり、守備範囲の広いセンターフォワードだった。|ペレ}}とプレースタイルについて語っている<ref name="ペレ 46"/>。一方で{{Quotation|サッカーで一番大事なことはインスピレーション<ref name="西部102">[[#西部 2010|西部 2010]]、102頁</ref>。|ペレ}}と語るように独創的なプレーの持ち主でもあった<ref name="西部102"/>。1958年ワールドカップのスウェーデン戦でみせた、突進するDFの頭上にボールを浮かせてから相手の背後に回りこむ「[[ドリブル#シャポー（Chapeau）|シャペウ]]」（ポルトガル語で帽子の意）あるいは「レンソウ」（ポルトガル語でハンカチの意）とも言われるプレー<ref>{{Cite book|和書|author=柴田勗|year=2001|title=ブラジルサッカー総覧 ブラジルサッカーの歴史から用語まで|publisher=[[河出書房新社]]|isbn=978-4309264684|page=8}}</ref><ref name="沢田132-134">[[#沢田 2002|沢田 2002]]、132-134頁</ref><ref>{{cite web|url=http://www.youtube.com/watch?v=4NYFncumAvc|title=Pele Brazil vs Sweden 5-2 Final World Cup 1958|work=YouTube|publisher=|accessdate=2010年11月9日}}</ref>、1970年ワールドカップ準決勝のウルグアイ戦で相手GKの[[ラディスラオ・マズルキヴィッチ|ラディスラオ・マズルケビッチ]]と1対1になった場面で、ボールを意図的にスルーしてGKの予測の裏を突き、反対側をすり抜けてシュートを放った<ref name="後藤25">[[#後藤 2010|後藤 2010]]、25頁</ref><ref>{{cite web|url=http://www.youtube.com/watch?v=-UzRsvCsC4c|title=Pele dummy and miss v Uruguay|work=YouTube|publisher=|accessdate=2010年11月9日}}</ref>「ドリブレ・ダ・バッカ」（ポルトガル語で牛のドリブルの意）の変形ともいえるプレー<ref name="沢田128-129">[[#沢田 2002|沢田 2002]]、128-129頁</ref>など、予測のつかないプレーを一瞬で判断して実行した<ref name="西部103-104">[[#西部 2010|西部 2010]]、103-104頁</ref>。またトップスピードで走る複数の選手が[[パス (サッカー)#その他の特殊なパス|壁パス]]を繋ぎながらゴール前に迫る「タベリーニャ」と呼ばれるコンビネーションプレーを考案したと言われる<ref name="ヒラタ33">ネルソン・ヒラタ「ペレの神話」『ペレのサッカー--ペレの技術を学ぼう』ペレ著、[[牛木素吉郎]]、ブラビス・インターナショナル訳、[[講談社]]、1975年、33頁</ref>。

ブラジル代表時代の同僚だったガリンシャとの比較において、「ドリブルの技術ではガリンシャの方が上<ref name="後藤24"/>」との声もあるが、自由奔放にプレーをしていたガリンシャとは異なり年齢と共にポジションを下げチームプレーに徹し<ref name="後藤24"/>、状況に応じて積極的な守備を行う知性を持ち合わせていた<ref name="後藤24"/>。また恵まれた反射神経を生かしてゴールキーパーを務めることもあり<ref name="ペレ224">[[#ペレ 2008|ペレ 2008]]、224頁</ref>、サントスFCでは4試合、ブラジル代表では1試合に出場した<ref name="ペレ224"/>。

=== 家系 ===
ペレの祖先の出自には[[アンゴラ]]出身とする説とナイジェリア出身とする説がある<ref name="ペレ自伝213">[[#ペレ 2008|ペレ 2008]]、213頁</ref>。ナシメントという姓は祖先がアフリカ大陸からブラジルに奴隷として連れられた際に、最初に働いていた農場の経営者の姓だと言われている<ref name="ペレ自伝213"/>。ブラジルで奴隷制度が廃止されたのは[[1888年]]であり<ref name="ペレ自伝213"/>、この頃に生まれたペレの祖母らは生まれながらに自由を獲得できた最初の世代となった<ref name="ペレ自伝213"/>。

父ドンジーニョは前述のように元サッカー選手であり、伯父のフランシスコも元サッカー選手であり才能豊かな選手だったが早逝した<ref>[[#ペレ 2008|ペレ 2008]]、19頁</ref>。弟のジャイール（通称ゾカ）も一時はサッカー選手を志しポジションは[[ミッドフィールダー]]を務めていた<ref name="ペレ自伝135">[[#ペレ 2008|ペレ 2008]]、135頁</ref>。兄と同様にサントスFCに入団し将来を嘱望されていた<ref name="ペレ自伝135"/>が、マスコミから兄と比較される続けることに嫌気が差し若くして引退<ref name="ペレ自伝135"/>。その後は[[弁護士]]に転身した<ref name="ペレ自伝135"/>。

=== 私生活 ===
1966年に白人女性と最初の結婚をし一男二女に恵まれたが[[1978年]]に離婚。長男の{{仮リンク|エドソン・ショルビ・ナシメント|label=エジーニョ|en|Edson Cholbi Nascimento}}は後にサッカー選手を志し、父親の古巣であるサントスFCのテストを受けて合格。父親とは違いゴールキーパーを務めていたが、怪我の影響もあって1999年に現役を引退した<ref name="ペレ329">[[#ペレ 2008|ペレ 2008]]、328-338頁</ref>。エジーニョは引退後は父の経営するサッカー事業に携わっていたが、[[2005年]]に麻薬密売に関わっていた容疑で逮捕され<ref>{{cite web|url=http://www.nikkeyshimbun.com.br/2005/050608-22brasil.html
|title=ペレーの息子を逮捕＝麻薬密売と関係か＝スポーツ界に衝撃走る＝聖州 |publisher=ニッケイ新聞 |date= |accessdate=2010-12-14}}</ref><ref>{{cite web|url=http://www.nikkeyshimbun.com.br/2005/050609-22brasil.html
|title=「サッカーの王様」の目に涙＝麻薬組織の一員だった息子＝「慙愧の念に堪えない」と心情吐露 |publisher=ニッケイ新聞 |date= |accessdate=2010-12-14}}</ref>刑務所に収監された<ref name="ペレ329"/>。仮釈放後は麻薬中毒のリハビリを受けていたが[[2006年]]に麻薬密売組織の[[資金洗浄]]に関わった容疑で再逮捕された<ref>{{cite web|url=http://www.nikkeyshimbun.com.br/2006/060204-24brasil.html
|title=ペレ―の長男を再逮捕＝今度は資金洗浄の容疑で |publisher=ニッケイ新聞 |date= |accessdate=2010-12-14}}</ref>。

最初の妻との離婚後、ドイツ系ブラジル人のマリア・ダ・ガラサ・メネゲルと交際した<ref name="ペレ303">[[#ペレ 2008|ペレ 2008]]、303-304頁</ref>。彼女は{{仮リンク|シュシャ|en|Xuxa}}という芸名でモデルとして活動しており、1980年代初頭には『[[PLAYBOY]]』誌の表紙を飾った。後にブラジルの[[子供]]番組の[[司会者]]に抜擢されると、ペレは彼女の経歴を懸念しPLAYBOY誌と独占インタビューに応じる代わりに彼女の写真のネガを引き渡す取引を行った<ref name="ペレ303"/>。シュシャはこの番組出演を皮切りに映画出演や歌手としても成功を収め、ペレ自身も彼女の番組に特別出演した<ref name="ペレ303"/>。シュシャはペレと別れた後は[[フォーミュラ1|F1ドライバー]]の[[アイルトン・セナ]]と交際したが、このことからシュシャを巡ってペレとセナの間でトラブルがあったとの噂が広まった<ref name="ペレ303"/>。

[[1994年]]4月に心理学者で[[ゴスペル (音楽)|ゴスペル]]歌手の{{仮リンク|アシリア・セイシャス・レモス|pt|Assíria Nascimento}}と再婚し、[[1996年]]に双子が生まれた。アシリアは[[2006年]]にゴスペル界のグラミー賞といわれるGMA賞にノミネートされた<ref>[[#ペレ 2008|ペレ 2008]]、313頁</ref>。

これまでに2度強盗事件に見舞われている。[[1999年]]10月にサンパウロ市内で自動車[[強盗]]に遭遇したが、その際にペレは着用していた黒い帽子を脱ぎ顔を露わにすると強盗は謝罪して何も盗らず逃走したという<ref>{{cite web|url=http://www1.folha.uol.com.br/fsp/cotidian/ff1910199919.htm|title=Pelé sofre tentativa de assalto em SP|publisher=Folha de S.Paulo |date=1999年10月19日|accessdate=2014年7月12日}}</ref>。[[2008年]]6月13日には[[サンパウロ州]]グアルジャで渋滞にあった際に10人程度の自動車強盗団の襲撃を受け、[[時計]]や[[ネックレス]]、[[携帯電話]]などを奪われかけたものの、強盗団のうち数人がペレであることに気づきその場で返却した。しかしネックレスを奪ったものはペレであることに気づかずにそのまま逃走した<ref>{{cite web|url=http://www.nikkansports.com/soccer/world/news/f-sc-tp3-20080623-375324.html |title= ペレ氏、路上で強盗に遭い被害 |publisher=nikkansports.com |date=2008-06-23 |accessdate=2010-09-12}}</ref>。

=== 人となり ===
努力家であるが<ref name="ベロス159"/>、その一方で非常に負けず嫌いな人物である<ref name="ペレ355">[[#ペレ 2008|ペレ 2008]]、355頁</ref>。また、ピッチの上でも外でも自分を神のような存在であろうとする人物とも評される<ref name="ベロス159"/>。短く刈り上げたヘアスタイルが特徴であるが、これは父親に敬意を示したものであり<ref>[[#ペレ 2008|ペレ 2008]]、230頁</ref>、メキシコで「ペレカット」として流行したことがある<ref>[[#ペレ 2008|ペレ 2008]]、252頁</ref>。また「エンテンデ ?」（entende、「分かるかな ?」という意）というフレーズが口癖であるが、ブラジル国内ではしばしば物真似をされている<ref name="ベロス159"/>。

== 人間関係 ==
=== マラドーナとの関係 ===
{{main|ディエゴ・マラドーナ#交友関係}}

1980年代から1990年代のスター選手である[[アルゼンチン]]の[[ディエゴ・マラドーナ]]とはしばしば比較対象とされている<ref name="イレブン">シュレーダー、6-12頁</ref><ref>[[#ペレ 2008|ペレ 2008]]、365頁</ref><ref>{{Cite web|date=2010年10月23日|url=http://www.goal.com/jp/news/2959/castrol-football-zone/2010/10/23/2179050/castrol-spペレvsマラドーナ数字は語る|title=Castrol SP：ペレ vs マラドーナ〜数字は語る|publisher=goal.com|accessdate=2010年11月7日}}</ref>。[[2000年]]12月にFIFA20世紀最優秀選手が発表されることになったが、ペレはFIFAの役員を始めとしたサッカー関係者による投票では72.25%の投票率を得て2位の[[アルフレッド・ディ・ステファノ]]と3位のマラドーナを上回ったものの、FIFA公式サイトによるインターネット投票ではマラドーナが53.6%の投票率を得たのに対しペレは18.53%と下回った。FIFAは当初、最優秀選手を一人だけ選ぶ事にしていたが、双方の結果に対しブラジルとアルゼンチンの両国間で激しい論争となった。事態の沈静化に乗り出したFIFAは最終的にペレをFIFA選考委員会による最優秀選手とし、マラドーナはインターネット投票による最優秀選手として賞を分け合うことに決め、両者はイタリアの[[ローマ]]で行われた授賞式に出席した<ref>{{cite web|url=http://www.fcjapan.co.jp/news/001212_07.html|title=20世紀最優秀選手にペレとマラドーナ|publisher=FC JAPAN |date= |accessdate=2010-09-12}}</ref><ref>{{en icon}}{{Cite web|author=JACK BELL|date=2000年12月12日|url=http://select.nytimes.com/gst/abstract.html?res=FB071EF9395B0C718DDDAB0994D8404482|title=SOCCER: NOTEBOOK; MetroStars' Dooley Calls It Quits Retires|publisher=[[NYタイムズ]]|accessdate=2010年11月7日}}</ref><ref>{{en icon}}{{Cite web|date=2000年12月17日|url=http://sportsillustrated.cnn.com/inside_game/gabriele_marcotti/news/2000/12/12/marcotti_insider/|title=The great FIFA swindle|publisher=[[CNN]]|accessdate=2010年11月7日}}</ref>。

このように両者並び立つ存在として評価され、お互いに偉大な選手として一定のレベルで認め合う存在ではあるが<ref name="hihan">{{cite web|date=2009年9月18日|url=http://www.afpbb.com/article/sports/soccer/soccer-others/2643119/4614282|title=ペレ氏 「史上最高の選手はマラドーナではなくディ・ステファノ」|publisher=[[フランス通信社]]|language=日本語|accessdate=2010年11月7日}}</ref><ref name="hihan2">{{Cite web|date=2000年12月17日|url=http://news.livedoor.com/article/detail/3607072/|title=ペレがマラドーナを批判「タイトルは剥奪されるべき」|publisher=[[ガゼッタ・デロ・スポルト]]|accessdate=2010年11月7日}}</ref>、その一方で長年事あるごとに批判や非難の応酬を繰り返している。ペレは[[2008年]]にマラドーナの[[ディエゴ・マラドーナ#薬物と健康問題|薬物違反]]について「彼はドーピング検査で陽性反応が出ている以上、受賞したタイトル全てを剥奪されるべきだった。ドーピング検査で陽性反応となったオリンピック選手らはメダルを剥奪されているのだから、マラドーナが剥奪されないのはおかしい」とマラドーナを批判し<ref name="hihan2"/>、[[2009年]]9月には、マラドーナが「彼はW杯を多く勝ち取っているが、欧州でプレーするのはまた別のことだ」とペレの記録を軽視する発言をした直後に、ペレは「マラドーナは偉大な選手だが、右足で蹴ることができず、ヘディングでの得点はなかった。彼がヘディングで決めた唯一の重要な得点はハンドだったことが判明している」と反論<ref name="hihan"/>。[[2010年]]6月には、[[2010 FIFAワールドカップ]]の開催を過去に疑問視していた時期があったペレを<ref name="hihan3">{{Cite web|date=2010年6月16日|url=http://hochi.yomiuri.co.jp/soccer/world/news/20100616-OHT1T00004.htm|title=マラドーナvsペレ、英雄2人の終わらない罵り合い|publisher=[[報知新聞]]|accessdate=2013年6月17日|archiveurl=http://web.archive.org/web/20100618210313/http://hochi.yomiuri.co.jp/soccer/world/news/20100616-OHT1T00004.htm|archivedate=2010-06-18}}</ref>マラドーナが大会開幕後に当時の発言を持ち出して批判すると<ref name="hihan3"/><ref name="hihan4">{{Cite web|date=2010年6月15日|url=http://www.goal.com/jp/news/125/ワールドカップ/2010/06/15/1976881/ペレマラドーナは金のために監督になった|title=ペレ：「マラドーナは金のために監督になった」|publisher=goal.com|accessdate=2010年11月7日}}</ref>、これに対しペレは「彼が代表監督を引き受けたのは、金と仕事を必要としていて、再び世間の注目を集めたいと思っていただけだ。監督にしたのは大間違いだ」「私にもっと敬意を払うべきだ」と反論<ref name="hihan3"/><ref name="hihan4"/>。更にマラドーナも自分の監督手腕を疑問視されたことで「（ペレは）博物館へ戻るべきだ」<ref name="hanron">{{Cite web|date=2010年6月17日|url=http://jp.reuters.com/article/sportsNews/idJPJAPAN-15861020100617|title=サッカー＝マラドーナ監督、ペレとプラティニに反論|publisher=[[ロイター]]|accessdate=2010年11月7日}}</ref>とコメントし、非難の応酬を繰り返した。

=== ガリンシャとの関係 ===
{{main|ガリンシャ#死後の評価}}
[[ファイル:Benbella-pele-garrincha.jpg|thumb|220px|左側からペレ、[[アルジェリア|アルジェリア民主人民共和国]]大統領の[[ベン・ベラ|アフメド・ベン・ベラ]]、ガリンシャ（1965年6月17日）]]
ペレは当初ガリンシャのプレースタイルについて「次に何のプレーを選択するのか読めない」と当惑していたが、何度も話し合いを持つうちにやがて名コンビとなり<ref name="ペレ自伝111"/>、ブラジル代表で二人が揃って出場した試合は負け知らずという記録を残した<ref name="ペレ自伝111"/>。しかし、このことは当の本人達は一切知らず、話題にも上らなかった<ref name="ペレ自伝111"/>。また、後にガリンシャの妻となるサンバ歌手の{{仮リンク|エルザ・ソアレス|pt|Elza Soares}}とペレが交際していたとの噂が広まったこともあった<ref name="ペレ自伝146">[[#ペレ 2008|ペレ 2008]]、146頁</ref>が、ペレの自著によると根拠のないゴシップだとしている<ref name="ペレ自伝146"/>。ブラジル国内では比較対象とされることの多い<ref name="ベロス153-156">[[#ベロス 2006|ベロス 2006]]、153-156頁</ref>二人だが、現役時代は活動拠点がそれぞれ異なっていたこともあって、ブラジル代表を離れると交流機会は少なかった<ref name="ペレ自伝111">[[#ペレ 2008|ペレ 2008]]、111頁</ref>。

引退後は全く異なる人生を送っていたがガリンシャの死の2か月前、1982年末にブラジルの{{仮リンク|プラカール|en|Placar}}誌により二人の特集が企画され再会を果たした<ref name="サッカーマガジン">{{cite book|和書|chapter=追悼 偉大な"小鳥"ガリンシャよ、永遠に|title=[[サッカーマガジンZONE|サッカーマガジン]]|volume=1983年3月号|page=120-123}}</ref>。一方で翌1983年1月の葬儀にリオデジャネイロ選手組合会長の[[ジーコ]]らと同じく姿を見せなかったことが地元メディアの話題となった<ref name="サッカーマガジン"/>。

=== アベランジェとの関係 ===
[[ファイル:Международная Леонардо-премия 32.jpg|thumb|220px|ジョアン・アベランジェ、右側の人物は[[アレクサンドル・ヤコブレフ]]（1995年）]]
1958年ワールドカップの際に17歳だったペレをブラジル代表メンバーに抜擢するように主張したのは当時ブラジルサッカー連盟 (CBF) 副会長を務めていたジョアン・アベランジェと言われている<ref>[[#ヤロップ 1999|ヤロップ 1999]]、39-40頁</ref>。また1966年のワールドカップでペレが「二度と代表チームではプレーをしない」と宣言した際には、あらゆる手を尽くして代表に復帰するように粘り強く説得した<ref name="ヤロップ122-123">[[#ヤロップ 1999|ヤロップ 1999]]、122-123頁</ref>。これらの経緯からアベランジェは「ペレは私に大きな貸がある」と考え<ref name="ヤロップ122-123"/>、ペレ自身も敬意を示していた<ref name="ヤロップ122-123"/><ref name="ペレ自伝317-318">[[#ペレ 2008|ペレ 2008]]、317-318頁</ref>。

アベランジェがFIFA会長選挙立候補のためにアフリカ諸国を訪問した際にペレもこれに同行してアベランジェへの投票を陳情するなど全面的に協力<ref name="ペレ自伝317-318"/><ref name="ヤロップ128-129">[[#ヤロップ 1999|ヤロップ 1999]]、128-129頁</ref>。反[[アパルトヘイト]]を掲げて<ref name="ヤロップ128-129"/>理事達の支持を得て1974年に南米出身者として初めてFIFA会長の座についた。アベランジェは各年代別の国際大会創設やスポンサーの獲得など手腕を発揮したが<ref name="小倉52-53">{{cite book|和書|author=[[小倉純二]]|title=サッカーの国際政治学|publisher=[[講談社]]|year=2004|isbn=978-4061497306|page=52-53}}</ref>、後に独裁ぶりが非難をされるようになった<ref name="小倉52-53"/>。

== 影響 ==
ペレの後継者と目される選手や、その国を代表とする攻撃的なポジションの選手は「○○のペレ」との異名が付けられることがある。ペレの現役時代には7歳年下の[[トスタン]]がゲームメイク能力と得点能力を併せ持った事から「白いペレ」<ref>国吉好弘『サッカーマルチ大辞典 改等版』ベースボール・マガジン社、2006年、315頁</ref>、ソビエト連邦のストライカーだった[[エドゥアルド・ストレリツォフ]]が「ロシアのペレ」<ref>{{en icon}}{{cite web|url=http://www.guardian.co.uk/world/2001/aug/26/theobserver
|title=Loyal fans fight to clear name of Russia's Pele |publisher=The Observer |date= |accessdate=2010-12-14}}</ref>の異名で呼ばれた。

1980年代から[[1990年代]]にはジーコが「白いペレ」<ref>{{en icon}}{{cite web|url=http://www.fifa.com/worldfootball/clubfootball/news/newsid=568540.html
|title=Zico: I'm living out my passion |publisher=FIFA.com |date= |accessdate=2010-12-14}}</ref><ref>{{en icon}}{{cite web|url=http://www.fifa.com/classicfootball/clubs/matchreport/newsid=512056.html
|title=Toyota Cup 1981|publisher=FIFA.com|date= |accessdate=2010-12-14}}</ref>、[[サウジアラビア]]の[[マジェド・アブドゥラー]]が「砂漠のペレ（アラブのペレ）」<ref>国吉好弘『サッカーマルチ大辞典 改等版』ベースボール・マガジン社、2006年、194頁</ref>の異名で呼ばれた。[[ガーナ]]の[[アベディ・ペレ]]は10代の時に国外遠征に赴くためにパスポートを発給する際に本名の「アイェウ」を隠して偽名で「ペレ」を名乗ったが、そのプレーぶりが「ペレ」を名乗るのに相応しかったこともあって、「アベディ・ペレ」という選手名として定着していった<ref name="国吉433">国吉好弘『サッカーマルチ大辞典 改等版』ベースボール・マガジン社、2006年、433頁</ref>。その後、[[1991年]]から3年連続で[[アフリカ年間最優秀選手賞]]に選ばれるなど、20世紀のアフリカを代表する選手の一人と評されるようになった<ref name="国吉433"/>。また[[1990年]]に同国の[[ニイ・ランプティ]]が16歳で欧州のクラブと契約してプロデビューを果たし<ref>{{cite web|url=http://news.bbc.co.uk/sport2/hi/football/africa/1338589.stm
|title=Lamptey could return to Belgium|publisher=BBC SPORT|date= |accessdate=2010-12-14}}</ref>、翌1991年に17歳以下のガーナ代表として[[1991 FIFA U-17世界選手権|FIFA U-17世界選手権]]で優勝し大会最優秀選手に選ばれた際にはペレ自ら後継者に指名した<ref>{{cite web|url=http://www.guardian.co.uk/football/2008/feb/03/africannationscup2008.africannationscup1
|title=Boy wonder's lost years |publisher=The Observer|date= |accessdate=2010-12-14}}</ref>。

[[2000年代]]に入った後もブラジル国内では[[ロビーニョ]]や[[ネイマール・ダ・シウバ・サントス・ジュニオール|ネイマール]]といった若手選手が「新しいペレ」「ペレ二世」として紹介されることがあり<ref>{{en icon}}{{cite web|url=http://www.fifa.com/worldfootball/clubfootball/news/newsid=636021.html
|title=Robinho magic extends Real lead |publisher=FIFA.com |date= |accessdate=2010-12-14}}</ref><ref>{{en icon}}{{cite web|url=http://www.footballfancast.com/2010/04/football-blogs/summers-most-wanted-neymar-and-paulo-henrique-ganso
|title=‘Summer’s Most Wanted’ ? Neymar and Paulo Henrique Ganso lead |publisher=FootballFanCast.com|date=|accessdate=2010-12-14}}</ref>、両者は比較の対象となっている<ref>{{cite web|url=http://200.218.30.171/nikkey/html/show/100212-22brasil.html
|title=金星確保のため契約更新＝サントスの新鋭ネイマール＝神様ペレを超える可能性も|publisher=[[ニッケイ新聞]]|date= |accessdate=2010-12-14}}</ref>。イングランドの[[ウェイン・ルーニー]]は「白いペレ」と呼ばれており<ref>{{en icon}}{{cite web|url=http://www.fifa.com/worldcup/archive/southafrica2010/news/newsid=1230573/ |title=Playing the name game
 |publisher=FIFA.com |date= |accessdate=2010-12-14}}</ref><ref>{{en icon}}{{cite web|url=http://www.dailymail.co.uk/sport/football/article-1246894/Is-Wayne-Rooney-white-Pele-Theres-way-God-given-potential.html|title=Is Wayne Rooney the white Pele?There's some way to go but he has the God-given potential|publisher=Mail Online |date= |accessdate=2010-12-14}}</ref>、彼が所属する[[マンチェスター・ユナイテッドFC]]のサポーターが唄うルーニーの[[チャント]]（応援歌）の中にも「白いペレ」の名が取り入れられている<ref>{{en icon}}{{cite web|url=http://fanchants.com/football-songs/manchester_united-chants/he-goes-by-the-name/|title=He Goes By The Name Of Wayne Rooney  |publisher=FAN CHANTS.com |date= |accessdate=2010-12-14}}</ref>。また、[[サッカーブラジル女子代表|ブラジル女子代表]]のエースストライカー・[[マルタ・ビエイラ・ダ・シルバ|マルタ]]は、2007年の[[パンアメリカン競技大会]]優勝時に、ペレ自身から「[[スカート]]を穿いたペレ」 (Pelé de saia) という異名を与えられた。これは従前からファンの間で両者を比較する声があり、大会終了後、ペレがこの比較に同意しながら「世界最高のサッカー選手は間違いなくスカートを穿いたペレだ」というコメントを出したものである<ref>{{en icon}}{{cite web|url=http://pan2007.globo.com/PAN/Noticias/0,,MUL78950-3873,00.html |title=Pelé diz que Marta é Pelé de saias
 |publisher=GLOBOESPORTE.COM |accessdate=2011-6-25}}</ref>。

また選手の中では[[ロナウジーニョ]]<ref>[[藤原清美]]『感動!ブラジルサッカー』[[講談社]]、2006年、17頁 ISBN 4061498355</ref>、[[ロベルト・カルロス・ダ・シウバ|ロベルト・カルロス]]<ref>{{en icon}}{{cite web|url=http://www.fifa.com/worldfootball/news/newsid=1326223.html
|title=Maradona, as others see him |publisher=FIFA.com|date= |accessdate=2010-12-14}}</ref>、[[ウィントン・ルーファー]]<ref>{{cite web|url=http://www.gekkannz.net/gekkannz/backnumbers/091-2/interview/
|title=ウィントン・ルーファー「世界の指導」|publisher=GEKKAN New Zealand ザッツ・ニュージーランド |accessdate=2014年7月14日}}</ref>、{{仮リンク|マフムード・アル・ハタビ|en|Mahmoud El Khatib}}<ref>{{en icon}}{{cite web|url=http://www.fifa.com/classicfootball/stories/doyouremember/news/newsid=1316969.html|archiveurl=http://web.archive.org/web/20121224032028/http://www.fifa.com/classicfootball/stories/doyouremember/news/newsid=1316969.html|title=El Khatib, Egypt's footballing royalty|publisher=FIFA.com|archivedate=2012年12月24日|accessdate=2014年7月14日}}</ref>、[[セルジオ越後]]<ref>{{cite web|url=http://www.ntv.co.jp/zoomin/info/index_100304.html
|title=セルジオさんも応援します!人生の中で忘れられないものを! |publisher=ズームイン!!SUPER|date= |accessdate=2010-12-14}}</ref>、[[吉村大志郎]]<ref>{{cite web|url=http://www.nikkeyshimbun.com.br/2002/020528-62colonia.html
|title=海を渡ったサムライたち（1）--日伯セレソン物語--ネルソン・吉村-1-「王国」の薫り持ち越んだ男-外国籍第1号だった|publisher=ニッケイ新聞|date= |accessdate=2010-12-14}}</ref>、[[与那城ジョージ]]<ref>{{cite web|url=http://www.nikkeyshimbun.com.br/2002/020601-62colonia.html
|title=海を渡ったサムライたち―日伯セレソン物語（4）―ジョルジ与那城-1-チグリーニョの異名-兄とサロン、式で技磨く
|publisher=ニッケイ新聞|date= |accessdate=2010-12-14}}</ref>、それ以外の分野では<!--[[ゴレオ6世]]（ドイツ、マスコット）<ref>{{en icon}}{{cite web|url=http://www.fifa.com/worldcup/archive/germany2006/news/newsid=14297.html
|title='This match had everything' |publisher=FIFA.com|date= |accessdate=2010-12-14}}</ref>、-->[[ブランドン・ラウス]]（アメリカ合衆国、俳優）<ref>{{en icon}}{{cite web|url=http://www.fifa.com/worldcup/archive/germany2006/news/newsid=23834.html|archiveurl=http://web.archive.org/web/20100430112610/http://www.fifa.com/worldcup/archive/germany2006/news/newsid=23834.html|title='I'd love to be there'|publisher=FIFA.com|archivedate=2010年4月30日|accessdate=2014年7月14日}}</ref><!--、{{仮リンク|ロトフィ・ブシュナーク|en|Lotfi Bouchnak}}、[[チュニジア]]、歌手）<ref>{{en icon}}{{cite web|url=http://www.fifa.com/worldcup/archive/germany2006/news/newsid=14756.html
|title='The Africans haven't taken their chances' |publisher=FIFA.com|date= |accessdate=2010-12-14}}</ref>、{{仮リンク|アヌアル・ブラヘム|fr|Anouar Brahem}}、チュニジア、[[ウード]]奏者）<ref>{{en icon}}{{cite web|url=http://www.fifa.com/worldcup/archive/germany2006/news/newsid=22504.html
|title='Maradona was a genuine footballing virtuoso' |publisher=FIFA.com|date= |accessdate=2010-12-14}}</ref>、[[デフ・レパード]]（イギリス、ロックバンド）<ref>{{en icon}}{{cite web|url=http://www.fifa.com/worldcup/archive/germany2006/news/newsid=24813.html
|title='Thankfully we broke them down in the end' |publisher=FIFA.com|date= |accessdate=2010-12-14}}</ref>、[[ジャイモン・フンスー]]（アメリカ合衆国、俳優）<ref>{{en icon}}{{cite web|url=http://www.fifa.com/worldcup/archive/germany2006/news/newsid=24813.html
|title='It's historical for the African continent!' |publisher=FIFA.com|date= |accessdate=2010-12-14}}</ref>、[[ミハイル・ゴルバチョフ]]（[[ロシア]]、政治家）<ref>{{en icon}}{{cite web|url=http://www.fifa.com/worldcup/archive/germany2006/news/newsid=30684.html
|title='Football is a symbol of solidarity' |publisher=FIFA.com|date= |accessdate=2010-12-14}}</ref>、{{仮リンク|メイウェイ|fr|Meiway}}、[[コートジボワール]]、歌手）<ref>{{en icon}}{{cite web|url=http://www.fifa.com/worldcup/archive/germany2006/news/newsid=15967.html
|title='If we play with our hearts, we can compete with anyone' |publisher=FIFA.com|date= |accessdate=2010-12-14}}</ref>-->らがペレのファン、あるいはペレに影響を受けたことを公言している。

== ペレの予想 ==
[[FIFAワールドカップ]]の優勝国予想がことごとく外れることで知られている<ref name="goal.com">{{cite web|url=http://www.goal.com/en-india/news/3102/opinion/2010/06/07/1963329/top-10-wrong-pele-predictions |title=Top 10 Wrong Pele Predictions |publisher=Goal.com |date=2010-06-7 |accessdate=2010-09-12}}</ref><ref>{{cite web|url=http://news.livedoor.com/article/detail/3558350/ |title=ペレ発言にロナウド喜ぶ「常に外れるからね」 |publisher=livedoorスポーツ |date=2008-03-18 |accessdate=2010-09-09}}</ref>。[[1994 FIFAワールドカップ]]では[[サッカーコロンビア代表|コロンビア]]の優勝を予想したがグループリーグで敗退した<ref name="goal.com"/>。この他に[[サッカードイツ代表|ドイツ]]を有力候補に挙げ、[[サッカーブラジル代表|ブラジル]]については「優れた選手を有するがチームとして機能していない」ことを理由に候補から外していたが、ドイツは準々決勝で敗退しブラジルが優勝した<ref name="Guardian20100605">{{cite web|url=http://www.theguardian.com/football/2010/jun/05/world-cup-2010-pele-predictions|title=World Cup 2010: Pele's predictions|publisher=The Guardian|date=2010年6月5日|accessdate=2014年6月12日}}</ref>。

[[1998 FIFAワールドカップ]]では最も注目しているチームとして[[サッカースペイン代表|スペイン]]を挙げていたがグループリーグで敗退した<ref name="goal.com"/>。イギリスの日刊紙『[[ガーディアン]]』によればペレはこの大会でスペインを優勝候補の筆頭に挙げ決勝の相手はブラジルになると予想、開催地の利のある[[サッカーフランス代表|フランス]]や[[サッカーイングランド代表|イングランド]]を有力候補に挙げていたとしている<ref name="Guardian20100605"/>。

[[2002 FIFAワールドカップ]]ではアルゼンチンとフランスが決勝に進出すると予想しブラジルは優勝できないと予想したが、アルゼンチンとフランスはグループリーグ敗退に終わり優勝できないと断言したブラジルが優勝した<ref name="goal.com"/>。また、[[サッカーイタリア代表|イタリア]]や[[サッカーポルトガル代表|ポルトガル]]を有力候補として挙げていたがイタリアは決勝トーナメント1回戦で、ポルトガルはグループリーグで敗退した<ref name="Guardian20100605"/>。

[[2006 FIFAワールドカップ]]では優勝候補の筆頭としてブラジルを挙げ、イングランドやイタリアや[[サッカーオランダ代表|オランダ]]やフランスについてはエース級の選手の代役となり得る選手が存在しない点を理由に優勝の可能性は低いと評した<ref>{{cite web|url=http://www.theguardian.com/football/2006/may/20/sport.comment3|title='As I get older, I'd like to make Edson and Pele better friends' |publisher=The Guardian|date=2006年5月20日|accessdate=2014年6月12日}}</ref>。その一方でブラジル、アルゼンチン、イングランド、フランスを優勝候補に挙げていたが、いずれも準々決勝で敗れている<ref name="Guardian20100605"/>。

[[2010 FIFAワールドカップ]]では[[サッカーメキシコ代表|メキシコ]]が優勝<ref>{{cite web|url=http://www1.folha.uol.com.br/folha/esporte/ult92u113539.shtml |title=Para Pelé, seleção do México pode vencer Copa de 2010 |publisher=Folha Online - Esporte |date=2007-11-3 |accessdate=2010-09-12}}</ref>と予想したもののベスト16で敗退した。この他にも「アフリカ勢が[[2000年]]までにワールドカップで優勝する」と予想していたが、2014 FIFAワールドカップに至るまでアフリカ勢は準決勝進出すら果たしていない<ref name="goal.com"/><ref name="Guardian20100605"/>。

また、ガーナの[[ニイ・ランプティ]]やイングランドの[[ニック・バーンビー]]のように「ワールドクラスの選手になる」と才能を高く評価した若手選手が伸び悩むこともある<ref name="goal.com"/>。[[2008年]]に「これ以上サッカーを続けることは難しいだろう」と予想していた[[ロナウド]]が、[[2009年]]3月に[[コリンチャンス]]に移籍しサンパウロ州選手権で14試合に出場し10得点を上げるなど復活を果たした<ref name="goal.com"/>。

[[2014 FIFAワールドカップ]]では地元開催のブラジルを筆頭にドイツとスペインを優勝候補に挙げ<ref name="The FA">{{cite web|url=http://www.thefa.com/news/england/2014/jun/pele-backs-england-to-get-out-of-group-100614|title=Pele backs Brazil in his World Cup predictions|publisher=The FA|date=2014年6月14日 |accessdate=2014年6月12日}}</ref>、アルゼンチンと[[サッカーチリ代表|チリ]]も注目のチームとしていた<ref name="The FA"/>。また、イングランドについては「難しい組み合わせとなったがグループリーグを突破できるだろう」との見解を示した<ref name="The FA"/>。スペインはグループリーグ敗退、ブラジルは準決勝敗退という結果となったが、ドイツの優勝を的中させた<ref>{{cite web|url=http://www.bbc.com/sport/0/football/28181689|title=Germany 1-0 Argentina (aet) |publisher=BBC Sport|date=2014年7月14日|accessdate=2014年7月14日}}</ref>。

== 評価 ==
[[テレビ]]や[[インターネット]]が普及していない情報伝達の遅い時代に様々なプレーを考案し実行した先駆的存在である<ref>[[#後藤、加部、亘 2010|後藤、加部、亘 2010]]、14頁</ref>一方、ペレのプレーを止める為にラフプレーが横行し蔓延する結果となり<ref name="ペレ自伝377-378">[[#ペレ 2008|ペレ 2008]]、377-378頁</ref>、その対策として選手交代やイエローカードとレッドカードの制度が導入される<ref name="ペレ自伝377-378"/>など、その存在がサッカー競技に変化をもたらした<ref name="ペレ自伝377-378"/>。ブラジル代表ではペレ以降背番号10がエースナンバーとなったが、後に引き継いだ選手には相当のプレッシャーとなったという<ref>[[#後藤、加部、亘 2010|後藤、加部、亘 2010]]、59頁</ref>{{#tag:ref|ブラジルでは攻撃的な内容で勝利しなければ、仮に勝利を収めたとしてもメディアやファンが納得しないと言われる<ref name="沢田45-47">[[#沢田 2002|沢田 2002]]、45-47頁</ref>。1994年のワールドカップでブラジル代表が24年ぶり4回目の優勝を果たした際には「守備的で手堅いサッカー<ref>{{Cite book|和書|author=アンジェロ・イシ|title=ブラジルを知るための55章|publisher=[[明石書店]]|year=2001|page=59|isbn=978-4750314150}}</ref>」「消極的すぎてブラジルらしくない」と批判を受けた<ref name="沢田213-214"/>。|group=注}}。

当時の選手では殆ど前例がない中、引退後の生活を考えて企業の広告塔として活動したこともあって[[1970年代]]に欧州で行われたブランドとしての知名度の調査ではペレの名前はコカコーラに次いで第2位にランクされた<ref name="ベロス156-157">[[#ベロス 2006|ベロス 2006]]、156-157頁</ref>。1973年にブラジル国内で行われた知名度の調査では{{仮リンク|エミリオ・ガラスタズ・メディチ|en|Emílio Garrastazu Médici}}や[[リチャード・ニクソン]]を上回りペレが1位を獲得<ref name="二十世紀の千人">{{Cite book|和書|author=松岡完|chapter=第二のペレを寄せ付けない技術と人格|title=二十世紀の千人 第9巻 スターからアイドルへ|publisher=[[朝日新聞社]]|year=1995|page=362-265|isbn=978-4022586070}}</ref>。引退後の1993年に世界109か国991人のスポーツ記者を対象に行われたワールドカップ史上最も偉大な選手の投票において第1位に選ばれた<ref name="二十世紀の千人"/>。知名度の高さについて自ら「[[イエス・キリスト]]より有名かもしれない」と発言したこともある<ref>{{cite web|url=http://www.nikkeyshimbun.com.br/0809brasil.html|title=ブラジル国内ニュース|publisher=ニッケイ新聞|accessdate=2010-12-14}}</ref>。

かつてビアフラとナイジェリアの内戦を一時的に停止させるなど政治家以上の影響力を持ち<ref name="南米サッカー">{{Cite book|和書|author=クリストファー・ヒルトン、イアン・コール|year=2002|title=南米サッカーのすべて 3rd edition|publisher=DAI-X出版|isbn=978-4812512654 }}</ref>、引退後はブラジル大統領に就くことを公言してきた<ref name="南米サッカー"/>。1990年代にはブラジルのスポーツ大臣として利権者たちと対決して腐敗を告発し、一時期ブラジルサッカー界の近代化のための旗手となった<ref name="ベロス159">[[#ベロス 2006|ベロス 2006]]、159頁</ref>。[[1999年]]には[[タイム (雑誌)|タイム誌]]の選ぶ「20世紀の最も影響力のある100人」の一人に選ばれるなど、サッカーの枠を超えた影響力のある人物と評価されている。また[[バスケットボール]]の[[マイケル・ジョーダン]]や[[ボクシング]]の[[モハメド・アリ]]と匹敵する存在であると評する者もいる<ref name="背番号10">[[#ウィリアムズ 2007|ウィリアムズ 2007]]、85頁</ref>。

選手時代から病院や公共施設に多額の寄付を行い<ref name="二十世紀の千人"/>、孤児のための基金を設立するなどの功績により人徳者として紹介される<ref name="二十世紀の千人"/>一方で、前述のようにブラジルサッカー界の腐敗を正す立場にありながらあっさりと権力者と手を結んでしまった姿勢<ref name="ベロス518-519">[[#ベロス 2006|ベロス 2006]]、518-519頁</ref>や、ブラジル代表や現役としてプレーする選手たちへの辛辣な発言が物議を醸すことがあり<ref name="ベロス159"/><ref>{{cite web|url=http://www.nikkeyshimbun.com.br/2004/040306-31brasil.html
|title=サッカー王国に泥塗るペレー＝自らの人選を急きょ訂正＝国民、同僚から非難集中 |publisher=ニッケイ新聞 |date= |accessdate=2010-12-14}}</ref>、一部で人間性に疑問の声も出ている<ref name="ベロス159"/><ref>フランクリン・フォア著、伊達淳訳『サッカーが世界を解明する』[[白水社]]、2006年、145-147頁 ISBN 978-4560049754</ref>。ペレについてはかつてのチームメイトや対戦相手だけでなく政治家や芸術家など様々な分野の人間がそれぞれの立場からコメントを残している。
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ファイル:Franz Beckenbauer in Moscow.jpg|「私は素晴らしい経験をしている。それはペレと共にプレーをしたことだ」 - [[フランツ・ベッケンバウアー]]（ドイツ）<ref name="FIFA100">『フットボールの歴史 FIFA創立100周年記念出版』、講談社、2004年、''Players Portraits''</ref>
ファイル:Bobby Charlton.jpg|「時々、サッカーという競技は彼の為に創造されたのではと考えることがある」 - [[ボビー・チャールトン]]（イングランド）<ref>[[#ペレ 2008|ペレ 2008]]、153頁</ref>
ファイル:Johan Cruijff 2013 Catalonia.jpg|「ペレは論理の限界を超えた唯一の選手だ」 - [[ヨハン・クライフ]]（オランダ）<ref name="FIFA20101023">{{cite web|url=http://www.fifa.com/world-match-centre/news/newsid/132/191/7/index.html|title=What they said about Pele|publisher=FIFA.com|date=2010年10月23日|accessdate=2014年7月12日}}</ref>
ファイル:Ferenc Puskás.jpg|「史上最高の選手は[[アルフレッド・ディ・ステファノ|ディ・ステファノ]]だが、ペレはその枠に収めることは出来ない」 - [[フェレンツ・プスカシュ]]（ハンガリー）<ref name="FIFA20101023"/>
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ファイル:Just Fontaine.jpg|「ペレのプレーを見たときから引退を考えるようになった<ref group="注">1958 FIFAワールドカップ準決勝でのプレーについて。</ref>」 - [[ジュスト・フォンテーヌ]]（フランス）<ref>[[#ペレ 2008|ペレ 2008]]、117頁</ref>
ファイル:Bundesarchiv Bild 183-N0619-0034, Fußball-WM, Argentinien - Italien 1-1.jpg|「相手は我々と変わらない同じ人間だと考えていた。でも、それは間違いだったんだ<ref group="注">1970 FIFAワールドカップ決勝でのプレーについて。</ref>」 - [[タルチシオ・ブルニチ|タルチジオ・ブルニチ]]、イタリア、1970年）<ref>[[#ペレ 2008|ペレ 2008]]、209頁</ref>
ファイル:Football pictogram.svg|「マンマークで付くとゴム鞠のように弾き返された。今、思い出しただけでも身震いがする<ref group="注">[[1972年]][[5月26日]]に日本で行われた[[サッカー日本代表|日本]]対サントスFC戦でのプレーについて。</ref>」 - [[山口芳忠]]（日本、1972年）<ref>{{cite book|和書|author=後藤忠弘|title=あの一言がすごかった!スポーツ編|publisher=[[中経出版]]|year=2002|isbn=978-4806117483|page=46}}</ref>
ファイル:Zito 2008.jpg |「ペレは別格だった。完璧な人間や選手は、この世に存在しないが、殆どのプレーを完璧にこなし、相手の意表をつくことも出来た」 - [[ジョゼ・エリ・デ・ミランダ|ジト]]（ブラジル）<ref>{{cite book|和書|author=[[武智幸徳]]|title=サッカー依存症|publisher=[[日本経済新聞出版社]]|year=2010|isbn=978-4532167417|page=192-193}}</ref>
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<gallery>
ファイル:Diego Maradona.jpg |「選手としては偉大だったが（中略）、一人の選手が一国の大統領になろうと考えるべきではない」 - [[ディエゴ・マラドーナ]]（アルゼンチン）<ref>{{cite book|和書|author=[[ディエゴ・マラドーナ|ディエゴ・アルマンド・マラドーナ]]、[[金子達仁]]監修、藤坂ガルシア千鶴訳|title=マラドーナ自伝|publisher=[[幻冬舎]]|year=2002|isbn=978-4344002029|page=405}}</ref>
ファイル:Zico.JPG |「私は様々な国を訪れた経験があるが、その中にはペレをブラジルという国と同義語として認識している国もあった」 - [[ジーコ]]（ブラジル）<ref>{{Cite book|和書|author=ジーコ|year=2003|title=ジーコイズム|publisher=小学館|isbn=4-09-379593-2 |pages=169頁 }}</ref>
ファイル:Dunga061115.jpg |「彼は我々に嫉妬しているのさ。皆が言ってるよ「私が、私が、私が」のペレだってね<ref group="注">1994 FIFAワールドカップでブラジル代表が優勝したにも関わらず、その後もブラジル国内では「守備的」として批判を受けた。その国内の批判派の中にブラジル代表OBのペレが加わっていたことについて。</ref>」 - [[ドゥンガ]]（ブラジル、1994年）<ref>{{cite book|和書|author=安藤正純|title=サッカーについて僕たちが本音で語った本|publisher=[[東邦出版]]|year=2008|isbn=978-4809406737|page=104-105}}</ref>
ファイル:RomarioCongress.jpg|「彼は黙っていれば詩人のようだが（中略）、自分の口に靴を突っこんでいればいい<ref group="注">2005年にペレが「ロマーリオは引退をするべきだ」と勧告したことについて。</ref>」 - [[ロマーリオ]]（ブラジル、2005年）<ref>{{cite web|url=http://espnfc.com/news/story?id=321894&cc=4716|title=Romario tells Pele to 'put a shoe in it'|publisher=ESPN FC|date=2005年1月14日|accessdate=2014年2月28日}}</ref>
</gallery>
<gallery>
ファイル:Official Portrait of President Reagan 1981.jpg |「自己紹介の必要はありません。あなたのことを知らない者などいませんから」 - [[ロナルド・レーガン]]（アメリカ合衆国）<ref>[[#ペレ 2008|ペレ 2008]]、369頁</ref>
ファイル:JimmyCarterPortrait.jpg |「ペレはアメリカのサッカーをかつてないレベルにまで導いてくれた。彼でなければ果たせなかった任務だ」 - [[ジミー・カーター]]（アメリカ合衆国）<ref>[[#ペレ 2008|ペレ 2008]]、277頁</ref>
ファイル:Andy Warhol 1977.jpg |「彼は私の理論に反する数少ない人物の一人だ」 - [[アンディ・ウォーホル]]（アメリカ合衆国）<ref>[[#ペレ 2008|ペレ 2008]]、343頁</ref>
ファイル:HM The Queen of Denmark.jpg|「民衆により即位したただ一人の「王」に会えることを光栄に思う」 - [[マルグレーテ2世 (デンマーク女王) |マルグレーテ2世]]（デンマーク）<ref name="FIFA100"/>
</gallery>

== 獲得タイトル ==
; クラブ
* [[カンピオナート・パウリスタ|サンパウロ州選手権]]優勝 11回（1956年、1958年、1960年、1961年、1962年、1964年、1965年、1967年、1968年、1969年、1973年）<ref name="FIFA"/>
* {{仮リンク|トルネイオ・リオ＝サンパウロ|label=リオ・サンパウロ選手権|en|Torneio Rio – São Paulo}}優勝 4回（1959年、1963年、1964年、1966年）<ref name="FIFA"/>
* [[タッサ・ブラジル]]優勝 5回（1961年、1962年、1963年、1964年、1965年）<ref name="FIFA"/>
* [[コパ・リベルタドーレス]]優勝 2回（1961年、1962年）<ref name="FIFA"/>
* [[インターコンチネンタルカップ (サッカー)|インターコンチネンタルカップ]]優勝 2回（1962年、1963年）<ref name="FIFA"/>
* {{仮リンク|インターコンチネンタルスーパーカップ|en|Intercontinental Supercup}}優勝 1回（1968年）<ref>{{es icon}}{{cite web|url=http://www.conmebol.com/competiciones_evento_partidos.jsp?evento=1183&ano=1968&slangab=S|archiveurl=http://web.archive.org/web/20090604011234/http://www.conmebol.com/competiciones_evento_partidos.jsp?evento=1183&ano=1968&slangab=S|title=Supercopa de Campeones Intercontinentales - 1968|publisher=Confederación Sudamericana de Fútbol|archivedate=2009年6月4日|accessdate=2014年8月9日}}</ref>
* [[北米サッカーリーグ]]優勝 1回（1977年）<ref name="FIFA"/>
; 代表
* [[FIFAワールドカップ]]優勝 3回（1958年、1962年、1970年）<ref name="FIFA"/>
; 個人
* FIFAワールドカップ・[[FIFAワールドカップにおける賞#最優秀若手選手賞|最優秀若手選手賞]] 1回（1958年）<ref>{{en icon}} {{Cite web|title=Best Young Player Award - FIFA World Cup Final |publisher=[[国際サッカー連盟|FIFA.com]] |url=http://www.fifa.com/classicfootball/awards/golden/award=byp/idcup=17/pastcupawards.html|archiveurl=http://web.archive.org/web/20130106150518/http://www.fifa.com/classicfootball/awards/golden/award=byp/idcup=17/pastcupawards.html|archivedate=2013年1月6日|accessdate=2014年7月16日}}</ref>
* サンパウロ州選手権得点王 10回（1957年、1958年、1959年、1960年、1961年、1962年、1963年、1964年、1965年、1973年）<ref name="FIFA"/>
* タッサ・ブラジル得点王 3回（1961年、1963年、1964年）<ref name="FIFA"/>
* リオ・サンパウロ選手権得点王 1回（1963年）<ref name="FIFA"/>
* コパ・リベルタドーレス得点王 1回（1965年）<ref name="FIFA"/>
* [[南米年間最優秀選手賞]] 1回（1973年）<ref name="FIFA"/>
* 北米サッカーリーグ最優秀選手賞 1回（1976年）<ref name="FIFA"/>
* BBC選定年間最優秀スポーツ選手（1970年）
* アメリカ合衆国サッカー殿堂（1993年）
* 大英帝国勲章（1997年）
* 国際連合児童基金選定20世紀最優秀サッカー選手（1999年）
* タイム誌選定20世紀の最も影響力のある100人（1999年）
* [[ワールドサッカー (雑誌)#20世紀の偉大なサッカー選手100人|20世紀の偉大なサッカー選手100人]] 1位（ワールドサッカー誌選出 1999年）
* [[国際サッカー歴史統計連盟]] (IFFHS) 選定20世紀最優秀サッカー選手（1999年）
* 国際サッカー歴史統計連盟 (IFFHS) 選定20世紀最優秀南米サッカー選手（1999年）
* [[国際オリンピック委員会]] (IOC) 選定20世紀最優秀アスリート（1999年）<ref name="FIFA"/>
* [[国際サッカー連盟]] (FIFA) 選定20世紀最優秀サッカー選手（2000年）
* [[ローレウス世界スポーツ賞]]・[[ローレウス世界スポーツ賞#生涯功労賞|生涯功労賞]]部門 （2000年）
* [[FIFA 100]] （2004年）<ref name="FIFA"/>
* BBC年間最優秀スポーツ選手生涯功績賞（2005年）

== 個人成績 ==
国際サッカー連盟 (FIFA) 公式サイトによると、1954年に14歳でデビューしてから1977年に引退するまで、実働23年で通算1363試合出場、1281ゴール<ref name="FIFA"/>。公式記録として残っているものの中では、世界最高の記録である（非公式では[[ゲルト・ミュラー]]1461点、[[アルツール・フリーデンライヒ]]の1329ゴールなど上回る記録はある）。1試合5得点が6回、4得点が30回、ハットトリックは92回、1試合最多得点は8点としている<ref name="FIFA"/>。

{| class="wikitable" style="text-align:center; font-size:small"
!rowspan="2"|年度!! rowspan="2"|クラブ!! colspan="2"|[[カンピオナート・パウリスタ|サンパウロ州<br/>選手権]]<ref>{{cite web|url=http://www.rsssfbrasil.com/tablesrz/sptops.htm |title= São Paulo State - List of Topscorers |publisher=RSSSF Brazil.com |date= |accessdate=2010-09-12}}</ref> !! colspan="2"|リオ・サンパウロ<br/>選手権!!colspan="2"|タッサ・ジ・<br/>プラタ!! colspan="2"|[[カンピオナート・ブラジレイロ|全国選手権]]!! colspan="2"|[[タッサ・ブラジル|タッサ・<br/>ブラジル]]!! colspan="2"|[[コパ・リベルタドーレス|リベルタ<br/>ドーレス杯]]!! colspan="2"|[[インターコンチネンタルカップ (サッカー)|インター<br/>コンチ<br/>ネンタル杯]]!!colspan="2"|スーペル・<br/>コパ!! colspan="2"|合計
|-
!出場!!得点!!出場!!得点!!出場!!得点!!出場!!得点!!出場!!得点!!出場!!得点!!出場!!得点!!出場!!得点!!出場!!得点
|-
|1956||rowspan="19"|[[サントスFC|サントス]]||0||0||colspan="2"|-||colspan="2"|-||colspan="2"|-||colspan="2"|-||colspan="2"|-||colspan="2"|-||colspan="2"|-||0||0
|-
|1957||14+15||'''19+17''' ||9||5||colspan="2"|-||colspan="2"|-||colspan="2"|-||colspan="2"|-||colspan="2"|-||colspan="2"|-||38||41
|-
|1958||38||'''58'''||8||8||colspan="2"|-||colspan="2"|-||colspan="2"|-||colspan="2"|-||colspan="2"|-||colspan="2"|-||46||66
|-
|1959||32||'''45'''||7||6||colspan="2"|-||colspan="2"|-||4||2||colspan="2"|-||colspan="2"|-||colspan="2"|-||43||53
|-
|1960||30||'''33'''||3||0||colspan="2"|-||colspan="2"|-||0||0||colspan="2"|-||colspan="2"|-||colspan="2"|-||33||33
|-
|1961||26||'''47'''||7||8||colspan="2"|-||colspan="2"|-||5||7||colspan="2"|-||colspan="2"|-||colspan="2"|-||38||62
|-
|1962||26||'''37'''||0||0||colspan="2"|-||colspan="2"|-||5||2||4||4||2||5||colspan="2"|-||37||48
|-
|1963||19||'''22'''||8||14||colspan="2"|-||colspan="2"|-||4||8||4||5||1||2||colspan="2"|-||36||51
|-
|1964||21||'''34'''||4||3||colspan="2"|-||colspan="2"|-||6||7||colspan="2"|-||colspan="2"|-||colspan="2"|-||31||44
|-
|1965||30||'''49'''||7||5||colspan="2"|-||colspan="2"|-||4|||2||7||'''8'''||colspan="2"|-||colspan="2"|-||48||64
|-
|1966||14||13||0||0||colspan="2"|-||colspan="2"|-||5||2||colspan="2"|-||colspan="2"|-||colspan="2"|-||19||15
|-
|1967||18||17||colspan="2"|-||14||9||colspan="2"|-||0||0||colspan="2"|-||colspan="2"|-||colspan="2"|-||32||26
|-
|1968||21||17||colspan="2"|-||18||12||colspan="2"|-||0||0||colspan="2"|-||colspan="2"|-||3||2||42||31
|-
|1969||25||'''26'''||colspan="2"|-||12||12||colspan="2"|-||0||0||colspan="2"|-||colspan="2"|-||6||2||43||40
|-
|1970||15||7||colspan="2"|-|||13||4||colspan="2"|-||0||0||colspan="2"|-||colspan="2"|-||colspan="2"|-||28||11
|-
|1971||19||8||colspan="2"|-||colspan="2"|-||21||1||0||0||colspan="2"|-||colspan="2"|-||colspan="2"|-||40||9
|-
|1972||20||9||colspan="2"|-||colspan="2"|-||16||5||0||0||colspan="2"|-||colspan="2"|-||colspan="2"|-||36||14
|-
|1973||19||'''11'''||colspan="2"|-||colspan="2"|-||30||19|||0||0||colspan="2"|-||colspan="2"|-||colspan="2"|-||49||30
|-
|1974||10||1||colspan="2"|-||colspan="2"|-||17||9||0||0||colspan="2"|-||colspan="2"|-||colspan="2"|-||27||10
|-
!通算
!colspan="1"|ブラジル
|412||470||53||49||57||37||84||34||33||30||15||17||3||7||9||4||666||648
|}

{| class="wikitable" style="text-align:center; font-size:small"
|-
!rowspan="2"|年度!! rowspan="2"|クラブ!!rowspan="2"|リーグ<ref>{{cite web|url=http://www.nasljerseys.com/Players/P/Pele.htm |title= North American Soccer League Players-Pele |publisher=nasljerseys.com |date= |accessdate=2010-09-12}}</ref> !! rowspan="2"|背番号!! colspan="2"|リーグ戦!! colspan="2"|その他!!colspan="2"|合計
|-
!出場!!得点!!出場!!得点!!出場!!得点
|-
|1975||rowspan="3"|[[ニューヨーク・コスモス|ニューヨーク]]||rowspan="3"|[[北米サッカーリーグ|NASL]]||10||9||5||14||10||23||15
|-
|1976||10||24||15||18||11||42||26
|-
|1977||10||31||17||11||6||42||23
|-
!通算
!colspan="3"|NASL
|64||37||43||27||107||64
|}

=== 統計 ===
RSSSF (The Rec.Sport.Soccer Statistics Foundation) による統計<ref>{{cite web|url=http://www.rsssf.com/players/prolific.html |title= Prolific Scorers Data |publisher=RSSSF.com |date= |accessdate=2010-09-12}}</ref> 。なお、上記の個人成績表との誤差については不明。

{| class="wikitable" style="text-align:center; font-size:small"
|-
!rowspan="2"|チーム !! rowspan="2"|期間 !! colspan="2"|公式戦 !! colspan="2"|親善試合 !! colspan="2"|合計
|-
!出場!!得点!!出場!!得点!!出場!!得点
|-
|[[サントスFC]]||1956-1974||659||643||456||446||1115||1089
|-
|サントス・バスコ連合||1957||0||0||4||6||4||6
|-
|[[サッカーブラジル代表|ブラジル代表]]||1957-1976||92||77||20||18||112||95
|-
|軍選抜チーム||1959||3||1||8||13||11||14
|-
|サンパウロ州選抜||1959-1969||13||9||0||0||13||9
|-
|サンパウロ体育組合||1961-1962||0||0||2||3||2||3
|-
|[[ニューヨーク・コスモス]]||1975-1977||64||37||41||26||105||63
|-
|アメリカ選抜||1976||0||0||2||0||2||0
|-
|チャリティーマッチ||1977-1990||0||0||8||5||8||5
|-
|フルミネンセ||1978||0||0||2||0||2||0
|-
|フラメンゴ||1979||0||0||1||0||1||0
|-
|- style="font-weight:bold"
| colspan="2"|総合計 || 831 || 767 || 544 || 517 || 1375 || 1284
|}

== 関連情報 ==
[[ファイル:Pele-Clinton 1997.jpg|thumb|180px|right|ペレ（右）とアメリカの[[ビル・クリントン|クリントン大統領]]]]

=== 映画 ===
* ''O Barao Otelo no Barato dos Bilhoes''：1971年
* ''A Marcha''：1973年
* ''Os Trombadinhas''：1978年
* 『[[勝利への脱出]]』(''Escape to Victory'')：1981年
* 『ヤング・ジャイアンツ〜奇跡のイレブン〜』(''A Minor Miracle'')：1983年
* ''Pedro Mico''：1985年
* ''Os Trapalhoes e o Rei do Futebol''：1986年
* 『炎のストライカー』(''Hot Shot'')：1986年
* ''Solidao, Uma Linda Historia de Amor''：1990年
* ''Mike Bassett: England Manager''：2001年
* ''Pele Eterno''：2004年
* 『[[ペレを買った男]]』(''Once in a Lifetime'')：2006年

=== 書籍 ===
* 『サッカーわが人生--ペレ自伝』（''My life and the beautiful game''、[[奈良原武士|鈴木武士]]訳、[[講談社]]、1977年）
* 『ワールドカップ殺人事件』（''World cup Murder''、安藤由紀子訳、[[東京創元社]]、1990年）
* 『ペレ自伝』（伊藤淳翻訳、[[白水社]]、2008年）

== 脚注 ==
=== 注釈 ===
<references group="注"/>

=== 出典 ===
{{Reflist|2}}

== 参考文献 ==
* {{Cite book|和書|author=リチャード・ウィリアムズ著、町田敦夫訳|year=2007|title=背番号10のファンタジスタ|publisher=[[ベースボール・マガジン社]]|isbn=978-4583100104 |ref=ウィリアムズ 2007}}
* {{Cite book|和書|author=[[後藤健生]]「「王様」の称号に相応しい万能のフットボーラー」|year=2010|title=ワールドカップ伝説 4 永久保存版 70年代編 -- 偉大なる開拓者たちの時代|publisher=[[ベースボール・マガジン社]]|isbn=978-4583616797|ref=後藤 2010}}
* {{Cite book|和書|author=後藤健生、加部究、[[亘崇詞]]|year=2010|title=ワールドカップ最強伝説--歴史を変えた選手・チーム・戦術--|publisher=[[白夜書房]]|isbn=978-4861916267 |ref=後藤、加部、亘 2010}}
* {{Cite book|和書|author=沢田啓明|year=2002|title=情熱のブラジルサッカ--華麗・独創・興奮|publisher=[[平凡社]]|isbn=978-4582851311 |ref=沢田 2002}}
* ウルフェルト・シュレーダー「PELE vs MARADONA 新旧キングを徹底比較 ペレvsマラドーナ」『イレブン』1988年2月号、[[日本スポーツ出版社]]、1988年
* {{Cite book|和書|author=西部謙司|year=2010|title=神の足 サッカースーパースター技術録|publisher=コスミック出版|isbn=978-4774790398 |ref=西部 2010}}
* {{Cite book|和書|author=ペレ著、伊達淳 訳|year=2008|title=ペレ自伝|publisher=[[白水社]]|isbn=978-4560026304|ref=ペレ 2008}}
* {{Cite book|和書|author=アレックス・ベロス著、土屋晃、対馬妙訳|year=2006|title=フチボウ 美しきブラジルの蹴球|publisher=[[ソニー・マガジンズ]]|isbn=978-4789728546|ref=ベロス 2006}}
* {{Cite book|和書|author=松岡完|year=1994|title=ワールドカップの国際政治学|publisher=[[朝日新聞社]]|isbn=978-4022595973|ref=松岡 1994}}
* {{Cite book|和書|author=山田睦男|year=1986|title=概説ブラジル史|publisher=[[有斐閣]]|isbn=978-4641024953 |ref=山田 1986}}
* {{Cite book|和書|author=デヴィッド・ヤロップ著、[[二宮清純]]監修、小林令子訳|year=1999|title=盗まれたワールドカップ|publisher=アーティストハウス|isbn=978-4901142076|ref=ヤロップ 1999}}
* {{Cite book|和書|author=アンドレ・リベイロ、ヴラジール・レモス著、市之瀬敦訳|year=2008|title=背番号10 サッカーに「魔法」をかけた名選手たち|publisher=[[白水社]]|isbn=978-4560026403|ref=リベイロ、レモス 2008}}

== 外部リンク ==
{{Commons|Pelé}}
* {{FIFA player|63869}}
* {{imdb name|0671446}}
* [http://national.soccerhall.org/famers/edson_nacmento.htm National Soccer Hall of Fame - Pelé]
* [http://www.life.com/image/first/in-gallery/32492/pele-a-legend-looks-back Pelé: A Legend Looks Back] - [[ライフ (雑誌)|LIFE.com]]''
* [http://www.rsssf.com/miscellaneous/pele-intlg.html List of Goals for Brazil]
* [http://www.360soccer.com/pele/ Play Soccer with Pele]
* [http://www.ifhof.com/hof/pele.asp International Football Hall of Fame]
* [http://www.planetworldcup.com/LEGENDS/pele.html Planet World Cup]

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