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[[ファイル:Inferno_Canto_3_Charon_strikes_lines_107-108.jpg|thumb|right|250px|『神曲』地獄篇の挿絵]] '''ペトロの黙示録'''(ペテロのもくしろく、聖ペテロ黙示録)とは、[[使徒]]の[[ペトロ]](ペテロ)による[[天国]]と[[地獄 (キリスト教)|地獄]]の旅についての[[新約聖書]]の[[外典]]である。 == 概要 == 原典は[[ギリシャ語]]で、[[2世紀]]前半に成立したと考えられている。エジプトのアクミムの墳墓から[[エノク書]]のギリシャ語版と共に発見された。著作全体を含むものは[[エチオピア|エチオピア語]]と[[アラビア語]]で書かれているものしか残存していない。[[ナグ・ハマディ写本]]にその一部が含まれていた。 かつては非常に重要とされた文書で、2世紀末から[[3世紀]]末にかけて活躍したアレクサンドリアのクレメンスはこれを引用しており、[[5世紀]]のパレスチナ教会では復活祭直前の金曜日の礼拝に朗読された。また2世紀末頃に編まれたとされる新約文書『ムラリト断片』にも聖典の一つとして挙げられている。 しかし、後者にはその正典性に疑問が投ぜられていたこともある。 == 内容 == 使徒[[ペトロ]]が他の弟子たちと共に[[キリスト]]を囲んで座っていたときに乞うた願いに応じて、キリストが終末における彼の再臨、それに伴う死者の復活について啓示したことを伝える。キリストは終末の前兆として彼の名を騙って民衆を惑わす偽預言者の出現を指摘する。また、終末には死者となっているものは生き返らせて神の前に引き出されて、生前の所業を裁かれ、悪人と断罪された者は永遠の責めを受けるべく地獄へ送られる。悪人は罪状に応じていくつかの組に分けられ、それぞれ別の場所で、別々の刑罰を受ける。この文書ではこの様子が精密に描写されている。そしてキリストは、義人たちがどのような扱いを受けるかを対照的に啓示し、彼ら義人たちの住処として約束されている天国を見ることも弟子たちは許される。そこの住人として[[モーセ]]や[[エリヤ]]が彼らの前に現われる。 中世においてペトロの黙示録の世界像は少なからずの影響を及ぼし、[[ダンテ・アリギエーリ|ダンテ]]の『[[神曲]]』の地獄編は、これを参考に書かれている。 == 参考文献 == * 荒井献『新約聖書外典』講談社〔新版〕版(1997年) ISBN 978-4061975972 * レオンハルト・ロスト/ボーライケ(著)『旧約・新約聖書大事典』 教文館 (1989年) ISBN 4-7642-4006-8 * 日本聖書学研究所 (編集)『聖書外典偽典〈別巻 〔二〕〉補遺 』教文館 (1982年)ASIN: B000J7IJ52 == 関連項目 == * [[黙示]] {{DEFAULTSORT:へとろのもくしろく}} [[Category:外典]] [[Category:黙示]]
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