ベドルジハ・スメタナのソースを表示

{{翻訳直後|1=[http://en.wikipedia.org/w/index.php?title=Bed%C5%99ich_Smetana&oldid=532007367 英語版 "Bedřich Smetana" 20:19, 8 January 2013 (UTC)]|date=2013年2月}}
{{Infobox Musician <!--プロジェクト:音楽家を参照-->
| Name                = ベドジフ・スメタナ<br />{{lang|cs|Bedřich Smetana}}
| Img                 = Bedrich Smetana.jpg
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| Alias               = フリードリヒ・スメタナ <small>(ドイツ語名)</small><br />{{lang|de|Friedrich Smetana}}
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| Born                = [[1824年]][[3月2日]]<br />{{AUT1804}} [[リトミシュル]]
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| Genre               = [[国民楽派|チェコ国民楽派]]<br />[[ロマン派音楽|ロマン派]]
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[[File:Smetana signature.jpg|thumb|right|280px|スメタナのサイン]]
{{Portal クラシック音楽}}
'''ベドジフ・スメタナ'''（または'''ベドルジハ'''・- / '''ベトルジヒ'''・-、{{lang-cs|'''Bedřich Smetana'''}} {{IPA2|[ˈbɛdr̝ɪx ˈsmɛtana]}} {{Audio|Cs-Bedrich_Smetana.ogg|発音}}、[[1824年]][[3月2日]] - [[1884年]][[5月12日]]）は、[[チェコ]]の[[作曲家]]・[[指揮者]]・[[ピアニスト]]。ドイツ語名、フリードリヒ・スメタナ ({{lang|de|'''Friedrich Smetana'''}})でも知られる。スメタナは、チェコの独立国家への願望、民族主義と密接に関係する[[国民楽派]]を発展させた先駆者である。そのため、出身地であるチェコにおいて、広くチェコ音楽の祖とみなされている。国際的には、6つの[[交響詩]]から成る『[[わが祖国 (スメタナ)|わが祖国]]』と、[[オペラ]]『[[売られた花嫁]]』、[[弦楽四重奏曲]]『[[弦楽四重奏曲第1番 (スメタナ)|弦楽四重奏曲第1番 「わが生涯より」]]』で知られる。『わが祖国』は、スメタナの祖国であるチェコの歴史、伝説、風景を描写した作品で、第2曲の「ヴルタヴァ」（モルダウ）が特に著名である。

スメタナは、元々ピアニストとして素晴らしい才能を持っており、6歳の時にピアノ公演をしている。通常の学業を終えてから、彼は[[プラハ]]で[[ヨゼフ・プロクシュ]]の下で音楽を学んだ。彼の最初の[[民族主義]]的な楽曲は、彼もわずかに関係した[[1848年革命#ドイツ3月革命|1848年プラハ反乱]]の中で書かれた。この時は、プラハで名声を得ることができず、スメタナは[[スウェーデン]]へと向かう。スウェーデン・[[ヨーテボリ]]で、スメタナは音楽教師、[[聖歌隊]]指揮者として著名になる。そして、この頃から規模の大きい[[オーケストラ]]音楽の作曲を開始している。

[[1860年代]]初頭、[[ボヘミア]]における、より[[自由主義]]的な政治姿勢を受けて、スメタナはプラハへと戻った。それから、彼はプラハで、チェコオペラの新たなるジャンルの最も優れた作曲家として、人生を過ごした。[[1866年]]に、彼は自身初のオペラ作品、『[[ボヘミアのブランデンブルク人]]』と『売られた花嫁』が、プラハの[[仮劇場]]で初演されている。前述のように、後者は後に大きな人気を得ることになる。同年には、スメタナは同劇場の指揮者に就任しているが、彼の指揮者ぶりは論争の的となった。プラハの音楽関係者たちのある派閥は、彼をチェコのオペラスタイルの発展とは反目する[[フランツ・リスト]]や[[リヒャルト・ワーグナー|リヒャルト・ヴァーグナー]]の前衛的なアイデアを用いる指揮者であると考えていた。その対立は、スメタナの創作業に影響し、健康状態を急速に悪化させた。それによって、[[1874年]]には、同劇場を辞めることになった。

1874年末頃に、スメタナは完全に失聴してしまうが、劇場の義務と、それに関連する論争から自由となった。彼は、残りの人生のほとんどを作曲に費やすようになる。彼のチェコ音楽への貢献は、ますます著名になり名声を得るようになった。しかし、精神を蝕む病によって、[[1884年]]には保護施設へと収監され、それから間もなく亡くなった。彼の祖国であるチェコでは、スメタナのチェコ音楽の創始者としての名声は持続し、彼の同世代たちと後継者たちよりも上に位置付けられている。しかしながら、スメタナの作品はその内の少数が国際的に知られるのみで、チェコ国外においては、[[アントニン・ドヴォルザーク|アントニーン・レオポルト・ドヴォジャーク]]がより重要なチェコの作曲家であるとされることが多い。

== 生涯 ==
=== 家族背景と少年時代 ===
ベドジフ・スメタナは[[1824年]][[3月2日]]、[[ボヘミア]]北部、現在の[[パルドゥビツェ州]]に位置する都市、[[リトミシュル]]で生まれた。リトミシュルは[[プラハ]]の東に位置し、[[ボヘミア]]と[[モラヴィア]]の歴史的境界の近い町で、当時は[[オーストリア帝国]]（[[ハプスブルク君主国]]）領であった。父はフランチシェック・スメタナ（1777-1857）で、母はフランチシェックの3番目の妻であるバルボラ・リンコヴァである。ベドジフは、彼と彼女の間の3番目の子供で長男であった。フランチシェックには、前の2人の妻との間に8人の子供がおり、内5人の娘が幼少期を生き残っている。フランチシェックとバルボラはその後10人の子供をもうけており、内7人が成人になっている<ref name=Clap9>Clapham (1972), pp. 9–11</ref><ref name="Large395" />。この時、[[ハプスブルク家]]の敷いた制度により、[[ドイツ語]]がボヘミアの公用語であった。フランチシェックは[[チェコ語]]を話すことができたが、仕事と社会的な理由から実際にはドイツ語を使用していた。そのため、彼の子供達は、かなり年を取るまで正式なチェコ語を知らないままであった<ref name="Large, p. 3">Large, p. 3</ref>。
[[File:Zámek Litomyšl 1.JPG|thumb|left|alt=Large rectangular building of pale stonework, multiple rectangular windows and ornamental features at the roof level|スメタナの生地、リトミシュルにあるヴァルトシュタイン家の城]]
スメタナの家族は、ボヘミアの[[フラデツ・クラーロヴェー]]から移住してきている。フランチシェックは、最初ビールの醸造業者の商取引を学び、[[ナポレオン戦争]]中に[[フランス第一帝政|フランス帝国]]軍に衣類と食糧を供給することによって、中流階級の富を獲得した。その後、[[1823年]]にリトミシュルに移る前まで、彼はいくつかのビール醸造業者の経営を行っていた。リトミシュルには、当地を中世の城（[[リトミシュル城]]）を中心に治めていた、[[ヴァルトシュタイン伯]]のビール醸造者として移っている<ref name=Clap9 /><ref name=Steen694>Steen, p. 694</ref>。

フランチシェックは、若い頃に少しばかりヴァイオリンを習った程度であったが、音楽に関しては才能が有り、仕事を終えた直後に友人たちと一緒に弦楽四重奏を演奏することを楽しんでいた程の音楽好きであった<ref name=Ottlov1>{{cite encyclopedia|last= Ottlová|first= Marta|title= Smetana, Bedrich|encyclopedia=[[Grove Music Online]], ed. Laura Macy|url= http://www.oxfordmusiconline.com/public/|accessdate=12&nbsp;May 2009}} (Section 1)</ref>。ベドジフは、父の影響から早くに音楽に触れたこともあって、幼少期から音楽的才能を開花させ、早い時期から[[ヴァイオリン]]を学んでいる<ref group = "注釈">ヴァイオリンは5歳の時にアントニーン・フメリーク(1777-1849)によって習っている。</ref>。スメタナも父と友人たちとの演奏に参加しており、[[弦楽四重奏曲]]などを演奏していた。のちに[[ピアノ]]も本格的に習って上達し、ヴァイオリンよりもピアノの方を気に入ったという<ref group = "注釈">ただし、当初ピアノはヴァイオリンほど好きにはなれなかったとも伝えられている。</ref>。[[1830年]]、6歳の時に、ベドジフは公の場で演奏している<ref name = "guraham4">{{Cite music release notes |Name=Bedřich Smetana: Polkas |type=CD |Artist=アンドラーシュ・シフ |Year=1992年 |Title=ボヘミアの思い出～スメタナ：ポルカ集 |Last=Melville-Mason |First=Graham |Pages=p.4-5 |Format=アルバムノーツ |Publisher=テルデック |PID=WPCS-10114 |Location= |Language=日本語 }} 訳：寺西 基之</ref>。このコンサートはリトミシュルの哲学学校で行われ、ベドジフは[[フランソワ・オーベール]]の[[オペラ]]『[[ポルティチの唖娘]]』の[[序曲]]のピアノ[[編曲]]版を演奏し、熱狂的な反応を得た<ref>Clapham (1972), p. 12</ref><ref>Newmarch, p. 54</ref>。なおヴァイオリンを習っている時に[[即興]]で[[ワルツ]]を弾いて、教師が書きとったものがスメタナの最初の作品であるとされている。[[1831年]]にフランチシェックがチェルニン伯に仕えることとなり、スメタナ一家はリトミシュルから、ボヘミア南部の{{仮リンク|インドジフーフ・フラデツ|en|Jindřichův Hradec|cs|Jindřichův Hradec}}へ移る<ref name=" Steen694" /><ref name=Large5 /><ref name = "guraham4" />。当地は、[[グスタフ・マーラー]]の出身地である[[イフラヴァ]]の南東50kmほどにある小さな町である。スメタナは、この地で、小学校に通い、その後[[ギムナジウム]]に入学、またこれと並行して、音楽教育が継続して行われ、ヴァイオリンとピアノを学んでいる。また、[[ヴァイオリニスト]]で[[オルガン]]奏者のフランチシェック・イカヴェッツ（1800-1860）に作曲などを習い、[[1832年]]（当時8歳）には『ギャロップ』と題された[[ニ長調]]の短い小品を作曲しており、同曲はスケッチの形で現存している<ref name=Large5>Large, p. 5</ref><ref name=Clap13>Clapham (1972), pp. 13–14</ref><ref name = "guraham4" />。

[[1835年]]に、父フランチシェックがボヘミアの南東地域の農場に退く<ref name=Clap13 />。そこには、適当な学校が無かったため、スメタナは[[イフラヴァ]]のギムナジウムに通うようになる。しかし、ホームシックとなり、勉強を行うことができなくなってしまった。そのため、[[1836年]]にはニェメツキー・ブロト（現{{仮リンク|ハヴリーチュクーフ・ブロト|en|Havlíčkův Brod|cs|Havlíčkův Brod}}）の[[カトリック教会|カトリック]][[修道会]]・[[:en:Premonstratensian|Premonstratensian]]の学校に再度転校している<ref name = "guraham4" />。この学校では、ホームシックに苦しむこともなく、幸せな少年期を過ごしている<ref name=Clap13 />。この地で友人となった者の中には、後にチェコの進歩派の[[作家]]となる[[カレル・ハヴリーチェク・ボロフスキー]]がいる。ハヴリーチェクは、[[1838年]]に[[プラハ]]へと旅立ち、スメタナ自身の[[首都]]への憧れを刺激した。

=== 音楽家の下積み時代 ===
==== 第一歩 ====
スメタナは[[1839年]]にフランチシェックの賛成を得て（当初は抵抗していたが）、[[プラハ]]へ赴く。プラハでは、[[ヨセフ・ユングマン]]が教鞭をとるアカデミック・グラマー・スクールに在籍した。ユングマンは、[[:en:Czech National Revival|チェコ国家復興運動]]の第一人者となる著名な詩人で言語学者であった<ref name=Large7>Large, pp. 7–10</ref>。ユングマンの学校が好ましくないと分かり（スメタナは、出身地のマナーに関してクラスメートから嘲笑の対象となっていた）<ref name=Large7 /> 、スメタナはすぐに学校に行かなくなった。彼は、[[演奏会|コンサート]]に通い、[[オペラ]]に通い、[[軍楽隊]]の演奏を聞き、彼の作曲した曲のためにアマチュア弦楽四重奏に参加していた<ref name=Large7 />。[[フランツ・リスト]]が、プラハでピアノリサイタルを行った後、スメタナは音楽家の道が、唯一自身が喜びを見出すことのできる道であると確信するようになる<ref name=Large7 /><ref name = "guraham4" />。彼は日記に、「作曲では[[ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト|モーツァルト]]、テクニックではリストになるために」と書いている<ref name="Schonberg77" /><ref name=Rosa56>Newmarch, p. 56</ref>。しかし、フランチシェックに学校の無断欠席がばれてしまったため、プラハから連れ戻されてしまい、スメタナのプラハでの充実した生活は終わりを迎える<ref name=Large7 />。フランチシェックはこの時、音楽を気晴らしの娯楽として考えており、職業としては見ていなかった<ref name="Large, p. 3" />。スメタナは短期間、彼の叔父と[[:en:Nové Město nad Metují|Nové Město nad Metují]]で暮らしていた。その地で彼は従姉妹のルイサとの短期間のロマンスを楽しんだ。彼は、その情熱を『ルイサのポルカ』({{lang|cs|Louisina Polka}})で表現している。この曲は、スメタナの作曲した楽曲で完全に残っている物のうち、もっとも初期のものである<ref>Large, pp. 10–11</ref>。

年上の従兄、[[プルゼニ]]のカトリック修道会・[[:en:Premonstratensian|Premonstratensian]]の学校で教師をしていたヨゼフ・スメタナが、ベドジフの残った学校の就学期間中、彼を監督することを申し出た。[[1840年]]夏にスメタナはプルゼニに移った<ref name=Ottlov1 />。[[1843年]]に、学校を卒業するまで、スメタナはプルゼニで過ごした。スメタナのピアニストとしての技巧は、プルゼニの多くの[[夜会]]で求められるまでになっていた。スメタナ自身は、この多忙な人生を楽しんでいた<ref name=Rosa56 />。この中には、いくつものロマンスも含まれており、最も重要なものはカテジナ・コラージョヴァーとのものである。彼女は、幼い時期から少しではあるが知っている人物であった。スメタナは完全に彼女に魅了されており、彼は日記に「彼女の傍に居ないとき、私は赤く熱された石炭の上に座っているかのように、平穏でない」と書いている<ref>Large, p. 17</ref>。彼は彼女のためにいくつかの楽曲を作曲している。その中には2つの[[カドリーユ]]、デュエット、左手のための不完全なピアノ[[練習曲]]がある<ref name=Large19>Large, p. 19</ref>。スメタナは、また、初めて[[管弦楽曲]]（[[メヌエット]]）を作曲している<ref name=Clap15>Clapham (1972), pp. 15–16</ref>。

==== 学生と教師 ====
スメタナが学校を卒業するまでに、彼の父の富は減っていった。フランチシェックは、この頃には彼の息子が音楽家の道を追うことに賛成していたものの、金銭的な支援を行うことができなくなっていた<ref name=Rosa56 /><ref name=Large19 />。[[1843年]][[8月]]、スメタナは20[[ガルデン]]を持って<ref>Newmarch, p. 57</ref><ref>It is difficult to equate the value of a mid-19th century Austro-Hungarian gulden to 21st century dollars or sterling. A general assessment might be made on the basis of Smetana's annual salary in 1866, when he was appointed conductor of the Czech Provisional Theatre – 1,200 gulden. Clapham (1972), p. 34</ref>プラハに移るが、短期間で成功する展望は無かった<ref name=Clap17>Clapham (1972), p. 17</ref>。正式な音楽教育を完全に受けていなかったことから、スメタナは教師を必要とし、前述のカテジナ・コラージョヴァーの母から、カテジナがちょうど在籍している[[プラハ音楽大学]]の長である[[ヨゼフ・プロクシュ]]を紹介される<ref name=Ottlov1 /><ref name=Large19 />。プロクシュは、当時、最も新しい指導法を用いており、[[ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン|ベートーヴェン]]や[[フレデリック・ショパン|ショパン]]、[[エクトル・ベルリオーズ|ベルリオーズ]]、更にリストの[[ライプツィヒ]]サークルの楽曲を利用していた<ref name=Ottlov1 />。[[1844年]][[1月]]、プロクシュはスメタナを生徒にとることに同意し、同時に貴族であるトゥーン卿の家族の音楽教師の職を確保し、スメタナの経済的困窮を救おうとした<ref name=Ottlov1 />。

それからの3年間、スメタナは、トゥーン家の子供たちのピアノ教育の他に、プロクシュの下で理論と作曲法を学んだ。この期間に彼が作曲した楽曲には、[[歌曲]]、[[ダンス]]、[[バガテル]]、[[即興曲]]、[[ピアノソナタ]][[ト短調]]がある<ref>Large, pp. 29–35</ref>。[[1846年]]、スメタナはベルリオーズがプラハで行ったコンサートに出席しており、可能性の域を出ないが、プロクシュによってレセプションでこのフランスのマエストロに面会したとされる<ref name=Clap19>Clapham (1972), p. 19</ref><ref name = "guraham4" />。また、トゥーン卿の家で、[[ロベルト・シューマン|ロベルト]]と[[クララ・シューマン|クララ]]のシューマン夫妻に面会しており、この時、前述のピアノソナタト短調を夫妻に見せている。しかし、その曲はあまりにもベルリオーズからの影響が強すぎるとして、夫妻から認められることはなかった<ref name=Ottlov1 />。このような日々の中で、カテジナとの関係がより親密になる。[[1847年]][[6月]]、スメタナはトゥーン家の音楽教師の職を辞した上で、後任にカテジナを推薦した。彼は、その時、西ボヘミアへの演奏旅行に出発し、コンサート・ピアニストとしての名声を確立することを望んでいた<ref>Large, p. 39</ref>。

=== 音楽家としての活動初期 ===
==== 革命への傾倒 ====
スメタナの西ボヘミアでの演奏旅行は、サポートが貧弱であったため、彼はそれを中止しプラハへ戻った。プラハでは、彼は私的に音楽の生徒をとり、また時折、[[室内楽]]コンサートに伴奏者として出演し生計を立てていた<ref name=Clap19 />。また、スメタナは初めての一流の管弦楽曲、[[前奏曲]][[ニ長調]]の作曲を始めた<ref>Clapham (1972), p. 21</ref>。
[[File:Praha Barricades Charles Bridge panel 1848.jpg|thumb|left|1848年、プラハのカレル橋に設けられたバリケードの様子。スメタナは少しではあるが、この蜂起に参加した。]]
[[1848年]]の短期間、スメタナは革命運動に傾倒していた。同年に[[ヨーロッパ]]を席巻した[[1848年革命|政治的変化と動乱の風潮]]の中、プラハでは[[民主化]]運動がおこり、この中でスメタナは、旧友であるカレル・ハヴリーチェク・ボロフスキーと再会した。ボフロフスキーは、政治的自治を得るためにハプスブルク家の専制支配に終止符を打つことを主張していた<ref name=Large42 />。この市民兵たち（"Svornost"）は、想定されうる攻撃に対してプラハを守るための防御策を講じた。スメタナは、愛国的な楽曲のシリーズを書いた。その中にはチェコ国家の番人と[[プラハ大学]]の学生グループそれぞれに捧げられた[[行進曲]]、[[ヤーン・コラール]]の詞に楽曲を付けた『''{{lang|cs|Píseň svobody}}''』がある<ref name=Steen696>Steen, p. 696</ref>。1848年6月、ハプスブルク家の軍が反乱の動きを鎮圧するために動き始め、プラハは[[アルフレート1世・ツー・ヴィンディシュ＝グレーツ]]に指揮されたオーストリア軍の攻撃にさらされるようになった。市民兵のメンバーとして、スメタナは[[カレル橋]]の[[バリケード]]の人員を助けた<ref name=Large42>Large, pp. 42–43</ref>。この初期の蜂起はすぐに鎮圧されたが、スメタナはハヴリーチェクのようなリーダー達が受けたような国外追放や投獄を免れた<ref name=Large42 />。市民兵におけるスメタナの僅かな仕事の間、彼は[[作家]]であり急進派の先鋒であった[[カレル・サビナ]]に会っている。彼は後に、スメタナの最初の2つのオペラに[[リブレット (音楽)|リブレット]]を提供することになる<ref name=Large42 />。

==== ピアノ学校 ====
1848年初頭、スメタナはフランツ・リストに手紙を書いている。スメタナは彼に会ったことはなかったが、新しく作曲したピアノ曲『{{lang|cs|''Šest charakteristických skladeb''}}』の献呈を受けてもらい、加えてそれを出版社に薦めてもらうように頼んだ。更には、音楽学校開校のために400グルデンの借金の依頼も行った。このスメタナからの手紙に対して、リストは真摯な返事を出しており、その中で、献呈を受け、出版社を見つけることを助ける約束したが、金銭的援助は断った<ref>Steen, pp. 695–96</ref><ref name=Ottlov2>{{cite encyclopedia|last= Ottlová|first= Marta|title= Smetana, Bedrich|encyclopedia= Grove Music Online, ed. Laura Macy|url= http://www.oxfordmusiconline.com/public/|accessdate=12&nbsp;May 2009}} (Section 2)</ref>。この激励は、スメタナの後のキャリアにおいて非常に大きな価値を持つ友人関係の始まりでもあった<ref>Clapham (1972), p. 20</ref>。リストからの資金援助は受けられなかったものの、1848年8月終わり頃に、スメタナは12人の生徒でピアノ学校を始めた<ref>Large, p. 48</ref>。混乱の時期の後、その学校の評判は高まっていき、特にチェコの民族主義を主張する者たちの間で短い間であるが流行するようになった。プロクシュは、人々の大義のためのスメタナのサポートについて手紙を書いており、彼は「私のアイデアをチェコ語に変換する有能な者になるかもしれない」と述べている<ref name=Large48>Large, pp. 48–49</ref>。[[1849年]]、スメタナの音楽学校はカテジナの両親の家に移転し、著名な訪問者が訪れるようになった。たとえば、リストは定期的に訪れており、前[[オーストリア皇帝]]で退位後プラハに住んでいた、[[フェルディナント1世 (オーストリア皇帝)|フェルディナント1世]]は、学校のマチネー・コンサートに出席している<ref name=Large48>Large, pp. 48–49</ref>。これらのコンサートでのスメタナのパフォーマンスは、プラハでの音楽家としての生活の著名なものとなった。金銭的に安定したこの時期の[[1848年]][[8月27日]]、スメタナはカテジナと結婚した。結婚後、[[1851年]]から[[1855年]]に4人の娘が2人の間に生まれている<ref name=Ottlov2 />。

==== 新進気鋭の作曲家 ====
[[1850年]]、スメタナの革命に近い思想にもかかわらず、彼は[[プラハ城]]におけるフェルディナント1世の常任宮廷ピアニストの職を手に入れる<ref name="Steen696" /><ref name=Large48 />。スメタナは、ピアノ学校での教鞭をとりながら、ますます作曲に打ち込むようになった。彼の楽曲は、主にピアノのための楽曲で、その中には3パートからなる『''{{lang|cs|Svatební scény}}''』や、後に『[[売られた花嫁]]』に使われる楽曲のいくつかがこの時期に作曲されている<ref name=Large51>Large, pp. 51–54</ref>。またスメタナは、多くの実験的作品を書き、『''{{lang|cs|Šest lístků do památníku}}''』という名前に集めている。また、[[ポルカ]]のシリーズも書いている<ref name=Large51 />。[[1853年]]から[[1854年]]の間、スメタナは管弦楽曲『[[祝典交響曲]]』の作曲を行っている。同曲は、[[フランツ・ヨーゼフ1世]]の成婚を記念して作曲された<ref name=Ottlov2 />。この交響曲は、当時のオーストリア帝国国歌『[[神よ、皇帝フランツを守り給え]]』の参照が十分目立っていないという理由で、皇帝側から受け取りを拒否された。上演阻止はされなかったため、スメタナは自費でオーケストラを雇い、[[1855年]][[2月26日]]、プラハのコンヴィクト・ホールで同交響曲を上演している。この交響曲は冷淡な反応を受け、コンサートは金銭的失敗に終わった<ref>Large, pp. 57–62</ref>。

==== プライベートでの不幸と職への幻滅 ====
[[File:Smetana1854portrait.jpg|thumb|upright|スメタナの肖像画（油絵、1854年）]]
1854年から[[1856年]]の間、スメタナは次々と家庭の不幸に見舞われる。1854年[[7月]]、次女ガブリエレが[[結核]]で2歳で死去。翌年には、音楽的才能を見せていた長女のベドジーシカが、[[猩紅熱]]により4歳でこの世を去っている<ref name=Clap22>Clapham (1972), p. 22</ref>。スメタナは、彼女の思い出を偲んで、[[ピアノ三重奏曲]]ト短調を作曲している。同曲は、1855年[[12月3日]]にプラハで演奏されたが、スメタナによれば、リストには称賛されたものの、[[音楽評論家|評論家]]たちには厳しい評価を返されたという<ref name=Ottlov1 /><ref>Large, pp. 63–65</ref>。現在では、同曲は深い感情が満たされた傑作と評価されている。この後もスメタナには不幸が続く。ベドジーシカの死から少しして、四女カテジナが生まれたものの、1856年6月に亡くなっている。その上、この時期には、妻であるカテジナも結核の診断を受けている<ref name=Clap22 />。

1856年7月、スメタナは旧友であり、革命運動を共にした友人、カレル・ハヴリーチェク・ボロフスキーが死去したというニュースを聞いている<ref name=Large67>Large, pp. 67–69</ref>。プラハの政治的風潮は、更なる陰鬱の原因となっていた。具体的には、より賢明な政府及びフランツ・ヨーゼフ1世の1848年の即位に伴う社会改革への希望は、[[アレクサンダー・フォン・バッハ]][[男爵]]の下のオーストリア絶対主義によって色褪せていた<ref name=Large67 />。ピアノ学校の名声とは裏腹に、スメタナのコンサート・ピアニストとしての地位は、同世代のピアニスト、[[アレクサンダー・ドライショク]]よりも下であると一般的には考えられていた<ref name=Large67 />。評論家たちは、リストよりもショパンに通じるスメタナの「繊細で、透き通るような指使い」を評価していたものの、彼の身体的な脆さが彼のコンサートピアニストへの野心には深刻な欠点となっていると確信していた<ref name=Large51 />。この時期の、スメタナの成功した演奏としては、1856年1月の[[ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト|モーツァルト]]生誕100周年記念コンサートにおける、『[[ピアノ協奏曲第20番 (モーツァルト)|ピアノ協奏曲第20番]]』の演奏であった<ref name=Large67 />。スメタナのプラハへの幻滅は大きくなり、そして、おそらく[[スウェーデン]]でのドライショクの評価に影響されて、スメタナは同地での成功を目指すことに決めた。両親へ「プラハは私を認めようとはしない。だから私はそこを離れる」と手紙を書き、1856年[[10月11日]]、スウェーデン・[[ヨーテボリ]]へ旅立った<ref name=Ottlov3>{{cite encyclopedia|last= Ottlová|first= Marta|title= Smetana, Bedrich|encyclopedia= Grove Music Online, ed. Laura Macy|url= http://www.oxfordmusiconline.com/public/|accessdate=12&nbsp;May 2009}} (Section 3)</ref>。

=== 海外での活動 ===
==== ヨーテボリ ====
スメタナは最初、カテジナ抜きでヨーテボリに向かった。リストへの書簡によると、彼は、そこの人々は音楽的には洗練されていないと述べている。しかし、彼はそれを「自分がプラハで達成できなかっただろう衝撃を与える」良い機会だとみなしていた。彼が到着してから数週間のうちに、彼は最初のリサイタルを開き、音楽学校を開いた<ref name=Large71>Large, pp. 71–75</ref>。そして、ヨーテボリの''Gothenburg Society for Classical Choral Music'' (英語)の指揮者にもなった<ref name=Large71 />。数か月のうちに、スメタナはヨーテボリで、職業的にも社会的にも認められるようになった。作曲にはほとんど時間を割くことができなかったものの、仮に『''Frithjof''』と『''The Viking's Voyage''』と題された2つのオーケストラ曲を目指した。しかしながら、この2曲はスケッチは作成されたが、途中で放棄された<ref>Large. p. 78</ref>。1857年に同地で2回[[ピアノ]]の演奏会を行っており、同年4月17日に行われた演奏会ではベートーヴェンの[[ピアノ協奏曲第3番 (ベートーヴェン)|ピアノ協奏曲第3番]]を演奏し、批評家たちから大いに絶賛されている。
[[File:Göteborg.jpg|thumb|left|スウェーデン・ヨーテボリの街並み。スメタナは1856年から1861年の間滞在した。]]
[[1857年]]5月にスメタナはプラハに一時帰国し、体調を崩しているカテジナに面会した。また、6月には父・フランチシェックが亡くなっている<ref>Clapham (1972), p. 25</ref>。9月末に、スメタナはカテジナと娘のゾフィーと共にヨーテボリに戻る。ただし、ヨーテボリに行く前に、[[ヴァイマル]]のリストを訪問している。この時には、カール・アウグスト・ゲーテ＝シラー・ジュビリー式典の機会があり、スメタナは演奏に出演し、リストの『[[ファウスト交響曲]]』、交響詩『[[理想 (リスト)|理想]]』を演奏した<ref name="Large, p. 79">Large, p. 79</ref>。リストは、スメタナのこの後の創作活動を通して最も影響力のある音楽家であった。そして、この時、彼の魂は完全に復活し、ヨーテボリでの比較的芸術家から隔絶された彼を救った<ref name=Ottlov3 />。

スウェーデンに戻ってから、スメタナは、生徒の中の若い主婦と親しくなる。彼女は、フレーダ・ベネッケ ({{lang|sv|Fröjda Benecke}})と言い、彼を物思いにふけるようにし、最終的に彼の愛人となった。彼女のために、スメタナは、[[フランツ・シューベルト|シューベルト]]の歌曲集『[[美しき水車小屋の娘]]』から2曲を編曲し、加えてスメタナの初期のピアノ曲を『''{{lang|cs|Vidění na plese}}''』とタイトルされたポルカに編曲した<ref>Large, pp. 80–82</ref>。併せて彼は、より大規模な作曲を始めた。[[1858年]]、彼は交響詩『[[リチャード三世 (交響詩)|リチャード三世]]』を完成された。続いて、スメタナは[[フリードリヒ・シラー]]の三部作『{{仮リンク|ウォーレンスタイン|en|Wallenstein (play)}}』に触発されて、『ヴァレンシュタインの陣営』を作曲し<ref>Newmarch, p. 60</ref>、更に3番目の交響詩『ハーコン・ヤルル』の作曲を始める。『ハーコン・ヤルル』は、[[デンマーク]]の[[詩人]]、{{仮リンク|アダム・エーレンスレーヤー|en|Adam Oehlenschläger}}の悲劇を基にしている<ref name=Clap28 />。スメタナは更に2曲の大規模なピアノ曲、『''Macbeth and the Witches''』とリストスタイルの[[エチュード]]を作曲した<ref name=Large84>Large, pp. 84–94</ref>。

==== 死別、再婚とプラハへの帰国 ====
{{Listen
| filename    = Smetana - polka a minor op 12.ogg
| title       = Polka in A minor from ''Memories of Bohemia in Polka Form'', Op.&nbsp;12, 1859
| description = Piano: Veronika Ptáčková
}}
カテジナの健康は徐々に悪化し、[[1859年]]の春には最悪の状態になった。彼女は故郷に帰りたいと切望していたため、[[ドレスデン]]に戻り、同地で1859年4月19日に亡くなった<ref>スメタナの手紙によれば朝5時に亡くなっている。</ref>。スメタナは、彼女が死んだことについて、「gently, without our knowing anything until the quiet drew my attention to her.」と書いている<ref>Large, pp. 95–97</ref>。娘ゾフィーがカテジナに付き添うようになった後、スメタナはヴァイマルでリストと過ごしている。そこで彼は、リストの生徒である[[ペーター・コルネリウス]]によって書かれた[[コミック・オペラ]]『バグダッドの理髪師』を紹介されている<ref>According to [[Gerald Abraham]], Smetana had met Cornelius at Weimar two years previously, while the latter was working on ''Der Barbier''. Reportedly the two composers discussed the need for "a modern type of comic opera as a complement to Wagner." Abraham, p. 29</ref>。この楽曲は、スメタナの後の音楽家としての人生をオペラ作曲家にするように影響したと考えられている<ref>Large, pp. 98–99 and p. 160</ref>。同年後半には、彼は弟のカレルのもとに滞在し、カレルの義理の姉妹で16歳年下のバルボラ（ベッティーナ）・フェルディナンディオヴァと恋に落ちた。スメタナは彼女にプロポーズし、1859年から[[1860年]]にかけての冬、ヨーテボリに戻ってから、彼女から受諾を得た<ref name=Ottlov3 />。スメタナと彼女がスウェーデンに戻った後、1860年7月10日に結婚した。[[1861年]]4月には、[[ベルナドッテ王朝|スウェーデン王家]]から招待され、[[ストックホルム]]でピアノ演奏をするなど、絶頂期を迎える。同年9月には、スメタナとバルボラとの間の最初の娘、ズデンカが誕生している<ref name=Clap28>Clapham (1972), pp. 28–30</ref>。

このような中で、[[1859年]]、フランツ・ヨーゼフ1世率いるオーストリア帝国軍は[[ソルフェリーノの戦い]]で敗れ、ハプスブルク君主国は弱体化しつつあり、フォン・バッハの力も落ちつつあった<ref>Large, p. 114</ref>。このことは、徐々にプラハにより開放的な空気を持ち込むようになり、[[1861年]]には、スメタナはチェコの民族主義と文化によりよい展望を見出している<ref name=Schonberg77>Schonberg, p. 77</ref><ref name=Clap28 />。スメタナがこれからのことを決める前、9月に、スメタナは[[オランダ]]と[[ドイツ]]で演奏旅行を敢行した。彼はまだ、ピアニストとして名声を得ることを望んでいたが、再び挫折を経験することとなった<ref name=Clap28 />。プラハに戻り、[[1862年]][[1月]]、Žofín島コンサートホールで、『リチャード三世』と『ヴァレンシュタインの陣営』とを指揮した。この時の観客は、控えめな反応を示したという。評論家たちは、主にリストに代表される"[[新ロマン主義音楽|新ドイツ楽派]]"を信奉しすぎているとして、スメタナを批判した<ref>Clapham (1980) p. 393</ref>。スメタナは、「預言者は、自身の土地では敬われないのです。」と返している<ref name=Clap28 />。1862年3月、スメタナはヨーテボリを短期間訪れた。しかし、スメタナはヨーテボリをそれほど重要視しなかった。これは、ヨーテボリが彼には田舎の僻地であるように思えたからであった。そして、どんなに困難であっても、プラハで音楽家としての道を進む決意を固めた。スメタナは、「私の祖国が、私が本当の満足を得ることができる唯一の場所であると、心の中にしっかりと根付いている。」と語っている<ref>Large, p. 120</ref>。

=== 全国的な名声 ===
==== 名声の模索 ====
1861年、チェコオペラの本拠地として、仮劇場の建設がアナウンスされた<ref>この劇場の公式名称は、"Royal Provincial Czech Theatre"であった。 ({{cite encyclopedia|last= Ottlová|first= Marta|title= Smetana, Bedrich|encyclopedia= Grove Music Online, ed. Laura Macy|url= http://www.oxfordmusiconline.com/public/|accessdate=12&nbsp;May 2009}} (Section 4))</ref>。スメタナは、これをオペラを書く良い機会であり、[[ミハイル・グリンカ]]のオペラにおけるロシアの生活の描写と同じように、ステージオペラにチェコの国民性を反映するものにすると考えた<ref name=Schonberg77 />。彼は、仮劇場の指揮者の地位を望んでいたが、結局そのポストには、[[ヤン・ネポムク・マイール]]が就くことになった。これは、明らかに、この劇場のプロジェクト内の保守派が、スメタナをリストやヴァーグナーのような前衛的な作曲達のとりことなっている"危険な[[モダニズム|モダニスト]]"であるとみなしたためであった<ref name=Clap32>Clapham (1972), pp. 32–33</ref><ref>Large, p. 126</ref>。そして、スメタナは、オペラコンテストに力を注ぐようになった。このコンテストは、[[ヤン・フォン・ハラハ]][[伯爵]]によって開催されており、チェコ文化を下敷きにした歴史オペラと喜劇のそれぞれの最優秀作品に選ばれると、600ガルデンの賞金が授与されるものであった<ref name=Clap32 />。作品を基礎づけるような有用なモデルは無かった（当時は、チェコオペラはジャンルとしてはほとんど存在していなかった）が、スメタナは自身のスタイルを作り上げた。スメタナは、1848年のカレル橋のバリケードで同志であった、カレル・サビナを[[劇作家]]として起用し<ref name=Large140>Large, pp. 140–43</ref>、1862年2月に台本を受け取っている。その台本の内容は、[[13世紀]]、[[オットー2世 (ブランデンブルク辺境伯)|オットー2世]]によるボヘミア侵攻を題材としたものだった。[[1863年]]4月、そのオペラを『[[ボヘミアのブランデンブルク人]]』と題して、スコアを出版した<ref name=Large140 /><ref name=Ottlov4 />。[[File:Na Rejdišti str, Prague Old Town.jpg|thumb|プラハ音楽院 (2007年撮影): スメタナは同院の指導者に応募したが落選している。]]

彼のキャリアの中で、この時期、スメタナのチェコ語による指示は不十分であった。チェコにおいて、彼の世代は、ドイツ語による教育を受けており<ref>Grout, p. 532</ref>、彼はおそらく、母国語で彼自身を表現するのが困難であった<ref name=Ottlov4>{{cite encyclopedia|last= Ottlová|first= Marta|title= Smetana, Bedrich|encyclopedia= Grove Music Online, ed. Laura Macy|url= http://www.oxfordmusiconline.com/public/|accessdate=12&nbsp;May 2009}} (Section 4)</ref>。この言語の欠点を克服するために、スメタナはチェコ語[[文法]]の勉強を始め、毎日、必ずチェコ語を書き、チェコ語で話すようにした。スウェーデンからの帰国後すぐにスメタナは民族主義的なフラホル合唱協会のコーラスマスターとなった。また、彼のチェコ語の流暢さが徐々に上達し、彼は社会のための愛国的なコーラスを作曲した。この『''{{lang|cs|Tři jezdci}}''』と『''{{lang|cs|Odrodilec}}''』は、1863年初めに上演された<ref name=Large121>Large, pp. 121–25</ref>。同年3月、スメタナは、チェコの芸術協会である{{lang|cs|Umělecká Beseda}}の音楽部門のトップに選ばれた<ref name=Ottlov4 />。1864年までに、スメタナはチェコ語を流暢に話すことができるようになり、主要なチェコ語の新聞、{{lang|cs|Národní listy}}の音楽評論家になるまでになっていた<ref>Newmarch, p. 62</ref>。その間、ベッティーナとの間に娘、ボジェナが生まれている<ref>Clapham (1972), p. 33</ref>。

[[1864年]][[4月23日]]、スメタナは[[ウィリアム・シェイクスピア]]の生誕300周年記念コンサートで、ベルリオーズの合唱[[交響曲]]『[[ロメオとジュリエット (ベルリオーズ)|ロメオとジュリエット]]』を指揮している。この時、プログラムに自身の楽曲『''{{lang|cs|Pochod k slavnosti Shakespearově}}''』を追加している<ref name=Clap32 /><ref name=Ottlov4 />。同年、スメタナは[[プラハ音楽院]]の指導者に応募するも落選。スメタナは、この職をとても期待していた。彼は、スウェーデンの友人への手紙で、「私の友人たちは、その地位はその地位は私のために特別に作られたのだろうといって私を説得しようとしています」と書いている<ref>Large, p. 134</ref>。彼の期待は、彼が急進的と考えられていたリスト派であるとされ、打ち砕かれた。そのポストには、保守的な愛国者、ヨゼフ・クレイチーが就任した<ref>Clapham (1980), p. 394</ref>。

スメタナがハラハのオペラのコンテストの勝者であると発表されるまで約3年の月日が経過した<ref name=Clap32 />。その前の[[1866年]][[1月5日]]、『ボヘミアのブランデンブルク人』を、仮劇場で熱烈な歓迎の下、上演した。この上演について、仮劇場の指揮者であるマイールは強く反対し、この演目のリハーサルや指揮を拒否した。<!--The idiom was too advanced for Maýr's liking, -->結局、このオペラは作曲家であるスメタナ自身の指揮の下で上演された<ref name=Clap32 />。スメタナは、「私はステージに9回呼ばれた」と書いている。チケットは完売し、評論家たちはこぞって称賛したと記録に残っている<ref name=Large145>Large, p. 145</ref>。しかしながら、このオペラは、徐々に上演されなくなった。音楽史家の[[ローザ・ニューマーチ]]は、『ボヘミアのブランデンブルク人』は長期にわたって上演されるような作品ではなかったものの、スメタナのオペラの芸術性の起源全てを含む作品であったと考えている<ref>Newmarch, p. 64</ref>。

==== オペラ・マエストロ ====
1863年7月、サビナは2作目のオペラの[[リブレット (音楽)|リブレット]]を送った。このオペラは、『売られた花嫁』と題されたライト・[[コメディ]]であった。スメタナは、次の3年間でこのオペラの作曲を行った。『ボヘミアのブランデンブルク人』の成功によって、仮劇場の運営者は、新しいオペラの上演に簡単に同意した。『売られた花嫁』は、1866年[[5月30日]]に、セリフ付きのオリジナルの二部構成版で上演された<ref name=Ottlov4 />。このオペラは、いくつかの改訂と再構成が行われ、最終的に三部構成となり、やがて、スメタナの国際的な名声を確立するに至った<ref name=Large167>Large, pp. 167–68</ref><ref>Large, pp. 399–408</ref>。ただ、このオペラの初演は失敗に終わった。当時は、ボヘミアが[[プロイセン王国]]による侵攻の脅威にさらされており、[[普墺戦争]]の開戦目前という緊迫した時期な上<ref>約1週間後の[[6月7日]]にシュレースヴィヒで普墺戦争が勃発した。</ref>、この年の中でも最も暑い夕方であったことが原因と言われる。当然、観客の入りは悪く、支出を賄うこともできず、赤字であった<ref name=Large165>Large, pp. 165–67</ref>。[[1870年]]9月、改訂後の最終版を仮劇場で上演した際は、途方もない成功を収めている<ref name="Newmarch, p. 69">Newmarch, p. 69</ref>。

1866年、スメタナは、ドイツ軍の侵略を内容に含んでいる『ボヘミアのブランデンブルク人』の作曲家として、自身がプロイセン侵略軍の標的にされるのではないかと考え、交戦が終わるまでプラハから避難した<ref name=Large165 />。[[8月23日]]に[[プラハ条約 (1866年)|プラハ条約]]が締結され、普墺戦争は3か月弱で終戦となった。終戦によって、スメタナは9月にプラハに戻り、それからすぐに、仮劇場の首席指揮者としての職を得て、長年の野心を達成した。この職で、年1200ガルデンの報酬が支払われた<ref name=Clap34 />。またこのオーケストラには、[[ヴィオラ]]奏者として活動していた[[アントニン・ドヴォルザーク|アントニーン・ドヴォジャーク]]が在籍しており、ドヴォジャークは直接教えを受けている。適切なチェコオペラの骨子が無い中で、最初のスメタナは[[カール・マリア・フォン・ウェーバー|ヴェーバー]]や、モーツァルト、[[ガエターノ・ドニゼッティ|ドニゼッティ]]、[[ジョアキーノ・ロッシーニ|ロッシーニ]]、グリンカの作品を上演している。この時には、自身の『売られた花嫁』の再上演も行っている<ref name=Large167 /><ref name=Clap34>Clapham (1972), pp. 34–36</ref>。スメタナによるグリンカのオペラ『[[皇帝に捧げた命]]』のプロダクションのクオリティは、グリンカの擁護者であった[[ミリイ・バラキレフ]]を激怒させている。これは、長年にわたる2人の間の対立の原因となった<ref name=Clap34 /><ref>Large, pp. 209–10</ref>。[[1868年]][[10月16日]]、チェコの音楽家を代表するスメタナは、将来の国民劇場の礎石を築くことに貢献した<ref name="Newmarch, p. 69" />。スメタナは、この時のために『''{{lang|cs|Slavnostní sbor}}''』を書いた。これと同じ日の夕方、スメタナの3番目のオペラ、『[[ダリボル]]』が、プラハの{{lang|cs|Novoměstské divadlo}}<!--訳名は不明-->で初演されている<ref name=Ottlov4 />。最初の反応は、温かいものであったが、その評判は芳しくなく、スメタナはその失敗を受け入れざるを得なかった<ref name=Large197>Large, p. 197</ref>。このオペラはすぐに、仮劇場の指揮者の地位から引きずりおろそうとする圧力に続いて、スメタナへの一連の攻撃の基礎となった<ref name=Clap34 />。

=== 対立 ===
指揮者活動初期、スメタナにはプラハ歌唱学校の指導者、フランチシェック・ピヴォダという強敵がいた。以前はスメタナの支援者だったが、スメタナがピヴォダの学校からよりも海外から[[歌手]]を募集したことで、ピヴォダは不当な扱いを受けた<ref>Steen, p. 701</ref><ref>Clapham (1980) p. 394</ref>。ますます辛辣になる公的なやりとりの中で、ピヴォダはスメタナが、他の作曲家を犠牲にして、彼の経歴をよりよくするために、自身の地位を利用していると主張した<ref name=Clap40>Clapham (1972), pp. 38–40</ref>。

そして、ピヴォダは、『ダリボル』に関する論争の中で、それを極端な"ヴァグネリズム"の一例であると呼び、そして、チェコの国民的オペラのモデルとしては不適当であるとしている<ref>Newmarch, p. 71</ref>。"ヴァグネリズム"とは、ヴァーグナーの理論を採用していたことを意味している<!--"Wagnerism" meant the adoption of Wagner's theories of a continuous role for the orchestra and the building of an integrated musical drama, rather than a stringing together of lyrical numbers.--><ref name=Ottlov4 /><ref name=Newmarch65 />。仮劇場の主宰、フランチシェック・リーガルは、『ボヘミアのブランデンブルク人』の初演後、スメタナをヴァグネリストの傾向があるとして非難していた<ref name=Large145 />。そして、その問題点がついにプラハの音楽界を二分するまでになった。音楽評論家、オタカル・ホスチンスキーはヴァーグナーの理論は民族のオペラの基礎になるだろうと信じていたし、『ダリボル』が、正しい方向に進み始めた作品であると主張していた。ピヴォダ率いる、対立グループは、イタリアオペラの原則を推奨した。それでは、オーケストラより歌唱の方が、ドラマティックなオペラには重要であるとされていた<ref name=Ottlov4 />。

仮劇場の中でさえ、意見は真っ二つに割れていた。リーガルはスメタナを首席指揮者から解任し、マイールを再任するキャンペーンを行った。そして、[[1872年]]12月、スメタナの解任を請願する請願書が、86名の署名と共に提出された<ref name=Clap40 />。これに対して、仮劇場の副主宰であるアントニーン・チーセックによる強いサポートと、ドヴォジャークらのような卓越した音楽家らからの主張によって、スメタナは仮劇場の地位を保証された。[[1873年]]1月、スメタナはより高給でより大きな責任を負う、芸術監督として再雇用された<ref name=Ottlov4 /><ref name=Clap40 />。

スメタナは、仮劇場の演目に、新進気鋭のチェコの作曲家たちによるオペラを採用したが、自身の作品についてはそれほど扱わなかった<ref name=Clap40 />。1872年までに、スメタナは、4番目のオペラである『[[リブシェ (オペラ)|リブシェ]]』を完成させた。この作品は、スメタナの作品の中で最も野心的なものであったが<ref>Clapham (1972), p. 99</ref>、将来の[[国民劇場 (プラハ)|国民劇場]]のオープニングのプレミアショーのためにすぐに上演されなかった<ref>Large, p. 220</ref>。ピヴォダの策略とその支援者たちは、スメタナを作曲に注力できない状況に追い込み<ref name=Clap40 />、その上、[[1871年]]1月の[[サンクトペテルブルク]]における『売られた花嫁』の上演に関して、スメタナは相当な不快感を抱えることとなった。これは、観客は熱狂的な反応を返したものの、紙面では酷評されたためであった。その中の一つでは、この作品を「才能のある14歳の少年の作品よりも悪い」と評している<ref name=Large171>Large, p. 171</ref>。スメタナは、深く傷つき、彼の古くからの敵であるバラキレフが、このオペラへの酷評を扇動していると非難した<ref name=Large171 />。

=== 晩年 ===
[[ファイル:Smetana.jpg|thumb|150px|right|1878年のスメタナ]]

==== 失聴 ====
仮劇場の芸術監督として再任された後、その職務の中の幾ばくかの期間を使って、スメタナは5番目のオペラ『[[二人のやもめ]]』を書き上げた。作曲は、[[1873年]]6月から[[1874年]]1月の間に行われた<ref name=Clap41>Clapham (1972), pp. 41–42</ref>。このオペラは、1874年[[3月27日]]に仮劇場で初演され、この舞台の後、スメタナの支援者たちは、彼に装飾の施された指揮棒 (baton)<!--英文ではbatonですが、もし違うものでしたら訂正お願いいたします-->を贈呈している<ref name=Ottlov4 />。しかし、スメタナと対立する者たちは、彼への攻撃を続けていた。具体的には、マイール体制と比べて、彼の指揮者ぶりを非難し、スメタナの下で「チェコオペラは、あとわずかで死んでしまう病に罹りつつある」と主張した<ref name=Clap41 />。同年夏ごろまでに、スメタナは病に伏せることになる。咽喉感染症に続いて、発疹、耳に明らかな閉塞が起こった。8月中ごろまで、働くこともできず、彼の仕事は代理として、[[アドルフ・チェフ]]が担当した。各新聞は、スメタナは「最近の特定の人々によって引き起こされた、精神的な苦痛の結果、病気になった」と書いている<ref name=Clap41 />。

9月になると、スメタナは健康状態が改善されるまで、職を辞することを仮劇場に伝えた<ref name=Clap43>Clapham (1972), pp. 43–45</ref>。スメタナの右耳は、既に完全に失聴しており、10月になると残る左耳も同じく完全に失聴し、[[中途失聴者]]となった。仮劇場を辞した後、仮劇場は、スメタナに、彼のオペラを、彼がしぶしぶ承諾した構成で上演し続ける対価として、年1200ガルデンの年金を支給することを申し出た<ref>Clapham (1972), p. 44. It appears (Clapham, 1972, pp. 48–49) that this pension was withheld from time to time, causing Smetana much financial hardship.</ref>。また、これに加えて、以前のプラハの生徒たちと以前愛人だったヨーテボリのフレーダ・ベネッケによる、1244ガルデンに達する支援もあった<ref>Large, pp. 294–95</ref> 。この支援は、スメタナが海外で治療を探すことを可能にしたが、結局それは、できなかった<ref name=Ottlov4 />。[[1875年]]1月、スメタナは彼の日記に、「もし私の病が不治のものだったとしたら、私はこの人生から解放されるべきなのだろうか」と書き残している<ref>Large, p. 303</ref>。彼の精神は、主にお金の問題に加えて、ベッティーナとの関係の悪化によって、この時かなり悪化していた<ref>Large, pp. 322–23</ref>。「私を嫌悪したり迫害する人と、同じ屋根の下で生活することなど出来ない」とスメタナは彼女に伝えた<ref>Large, p. 374, from an undated letter to Bettina</ref>。離婚が協議されたものの、結局、二人は不幸な結婚生活を続けることとなった<ref>Large, p. 374</ref>。

{{Double image aside|right|Narodni divadlo Praha 1881.jpg|150|Národní divadlo prg.jpg|150|1881年開場の国民劇場（左）、火災焼失後1883年に再建された国民劇場（右）}}

==== 遅い開花 ====
悪化する健康の中、スメタナは作曲を続けた。[[1876年]]6月、彼とベッティーナ、2人の娘はプラハを離れ、{{仮リンク|ヤブケニセ|en|Jabkenice}}に引っ越した。この地には、前妻のカテジナとの娘、ゾフィーの家があった。静かな環境に囲まれ、スメタナは平穏の中で仕事をすることができた<ref>Steen, p. 702</ref>。プラハを離れる前、スメタナは交響詩『[[わが祖国 (スメタナ)|わが祖国]]』の作曲を開始した<ref>元々、この交響詩は『祖国』({{lang|cs|Vlast}})と題されていた。[[1883年]]5月に、"{{lang|cs|Má}}"が追加され、『わが祖国』 ({{lang|cs|Má vlast}}) と改題された。 Large, pp. 266–67</ref>。このうち、最初の2曲、「ヴィシェフラド」（{{lang|cs|Vyšehrad}}）と「ヴルタヴァ」（{{lang|cs|Vltava}}）の2曲は、プラハ滞在中に完成しており、[[1875年]]中にプラハで2曲とも演奏されている<ref name=Clap47>Clapham (1972), p. 47</ref>。ヤブケニセで、スメタナは残りの4曲を作曲し、[[1882年]][[11月5日]]に、アドルフ・チェフの指揮の下、初演されている<ref name=Ottlov5 />。この時期の他の著名な楽曲としては、『[[弦楽四重奏曲第1番 (スメタナ)|弦楽四重奏曲第1番 ホ短調「わが生涯より」]]』、ピアノ曲『チェコ舞曲集』、いくつかの合唱曲、そして3つのオペラ『[[口づけ (オペラ)|口づけ]]』、『[[秘密 (オペラ)|秘密]]』、『[[悪魔の壁]]』がある。これらは全て、1876年から1882年の間に初演されている<ref name=Ottlov5>{{cite encyclopedia|last= Ottlová|first= Marta|title= Smetana, Bedrich|encyclopedia= Grove Music Online, ed. Laura Macy|url= http://www.oxfordmusiconline.com/public/|accessdate=12&nbsp;May 2009}} (Section 5)</ref>。

[[1881年]][[6月11日]]、プラハで国民劇場が開場され、長い間先延ばしされていた、スメタナのオペラ『リブシェ』がついに初上演された。スメタナには、最初チケットが渡されていなかったが、間際になって劇場監督の席が用意された。聴衆は、その楽曲に熱狂し、スメタナは繰返しステージに呼ばれた<ref>Clapham (1972), p. 51</ref><ref>Large, pp. 222–23</ref>。その出来事から少しして、新しく開場した国民劇場は火災によって焼失した。スメタナは自身が病床にあるにもかかわらず、同劇場の再建のために資金調達を助けた<ref name=Ottlov5 /><ref>Steen, pp. 702–03</ref>。その結果、[[1883年]][[11月18日]]に国民劇場は再建の上、再開場した。再開場の際には、再び『リブシェ』が上演された<ref name=Ottlov5 />。

これらの数年で、スメタナは、チェコ[[国民楽派]]を代表する音楽家であると認知されるようになった<ref name=Ottlov5 />。この地位は、スメタナの最晩年の間に様々なイベントで褒め称えられている。[[1880年]][[1月4日]]には、プラハで、スメタナの初公演から50周年を祝う特別コンサートが行われ、スメタナも出席し、[[1855年]]の作品『[[ピアノ三重奏曲 (スメタナ)|ピアノ三重奏曲 ト短調]]』を演奏している。[[1882年]]5月には、『売られた花嫁』が100回目の上演を記録した。100回目もの上演が行われたオペラは、チェコオペラ史において、先例のない出来事で、このオペラの人気の高さを示している<ref name=Ottlov5 />。[[1884年]]3月にスメタナの60歳の誕生日を記念して、[[ガラコンサート]]と宴会が敢行されたが、スメタナ自身は病が悪化し出席できなかった<ref name=Ottlov5 />。

[[File:Smetana-old-age.jpg|thumb|left|175px|死去直前（1883年頃）のスメタナ]]
[[画像:Bedrich Smetana Vysehrad.jpg|thumb|right|スメタナの墓（[[プラハ]]の[[ヴィシェフラット民族墓地]]）]]
[[File:Smetana Embankment, Prague crop.jpg|thumb|left|175px|プラハのヴルタヴァ川の河畔にある[[スメタナ・ミュージアム]]]]
==== 病と死 ====
[[File:Smetana Bedrich Gravestone.jpg|thumb|スメタナの墓標]]
1879年、友人であるチェコ人[[詩人]]の[[ヤン・ネルダ]]への手紙には、スメタナの狂気の芽吹きに対する恐怖が表れている<ref name=Large370>Large, pp. 370–72</ref>。1882年から1883年の冬の間には、スメタナの頭には血がたまるようになり、眩暈や、痙攣、言葉や記憶の喪失と共に、[[鬱]]や[[不眠]]、[[幻覚]]などの症状が現れるようになった<ref name=Large370 />。1883年に、彼は新作[[交響組曲]]『プラハの謝肉祭』の作曲を始める。しかし、イントロダクションと[[ポロネーズ]]より先の作曲はなされなかった<ref name=Clap54>Clapham (1972), pp. 54–56</ref>。更に、1874年に一度手を付けたものの、すぐに作曲を中断していたオペラ『[[ヴィオラ (オペラ)|ヴィオラ]]』の作曲を再開した。この曲は、シェイクスピアの「[[十二夜]]」のキャラクターをモデルとしていた<ref>Newmarch, p. 89</ref>。しかし、スメタナの精神状態が徐々に悪化してしまい、結局、このオペラはオーケストレーションが施された15ページ分の楽譜と、50ページほどの歌声部（弦楽の伴奏付き）のみが書かれただけであった。[[1883年]]10月、プラハで行われたプライベート・レセプションでのスメタナの態度は、彼の友人たちを動揺させた<ref name=Clap54 />。1884年2月中ごろになると、スメタナは正気を失いつつあり、定期的に暴力的になった<ref name=Large394>Large, pp. 390–94</ref>。同年[[4月20日]]に、一時躁暴状態となり、彼の看病を行うことが不可能になったスメタナの家族は、[[4月23日]]、スメタナをプラハのKateřinky Lunatic Asylum（精神病院）に入院させた。収容されたスメタナは次第に衰弱し、正気に戻れないまま5月12日にこの病院でその生涯を終えた<ref name=Ottlov5 /><ref name=Large394 /><ref>http://sekinehideo.blog23.fc2.com/blog-entry-17.html 2013年2月14日閲覧</ref>。{{没年齢|1824|3|2|1884|5|12}}。

スメタナの収容された病院は、スメタナの死の原因を[[老人性認知症]]と記録している<ref name=Large394 />。しかしながら、スメタナの家族は、彼の体と精神の状態の悪化は、[[梅毒]]が原因であると信じていた<ref name=Large394 />。[[ドイツ]]の[[神経学者]]、エルンスト・レヴィン博士が[[1972年]]に出版した、司法解剖記録の研究では、同じ結論に達している<ref>Clapham (1972), p. 151</ref>。[[20世紀]]後半にエマヌエル・ヴルチェック教授が、スメタナの遺体から採取した筋肉組織のサンプルに対して行った実験は、その病気のさらなる証拠を与えた。しかし、チェコの医師、イジー・ランバ博士はこの研究に反論している。ランバは、年齢と組織の状態、そして梅毒とは関係のないスメタナの症状の報告を引用して、ヴルチェックの研究は正確な結論に至る根拠に欠けると主張している<ref>{{cite book|title=Slavné české lebky (Famous Czech Skulls)|last=Ramba|first=Jiří|year=2009 (2nd edition)|publisher=Galén|location=Prague|isbn=978-80-7262-325-9|pages=151–299|url=}} {{cs icon}}</ref>。

スメタナの葬儀は、[[5月15日]]に[[:en:Old Town (Prague)|プラハの旧市街]]にある[[:en:Church of Our Lady before Týn|ティーン教会]]で行われた。それに続いて、[[ヴィシェフラット民族墓地]]への行列は、松明を掲げたフラホルのメンバーに先導され、多くの人々がそれに続いた<ref name=Large394 />。遺体は、ヴィシェフラット民族墓地後に埋葬された。後に、スメタナの墓は、プラハへ音楽関係で訪問した人々の巡礼地となった<ref>Newmarch, p. 90</ref>。葬儀の日の夕方、国民劇場で予定されていた『売られた花嫁』の上演は、予定通りに行われたが、ステージはスメタナへの敬意を表して黒い布で覆われていた<ref name=Large394 />。

スメタナは、ベッティーナと娘であるズデンカ、ボジェナ、ゾフィーによって支えられていた。ただ、彼女たちのだれも、スメタナの音楽家としての生活の中では重要な役割は果たしていない。ベッティーナはスメタナの死後20年以上存命し、1908年に亡くなっている。最初の妻との娘であるゾフィーは、ヨゼフ・シュワルツと[[1874年]]に結婚したが、義母であるベッティーナより先の[[1902年]]に亡くなっている<ref name=Large395>Large, p. 395</ref>。残り2人の娘は、結婚したことまでは分かっているが、それ以降の記録は残っていない<ref name=Large395 />。スメタナの生涯の記録と、その作品は、プラハにある[[スメタナ・ミュージアム]]で展示されている。このミュージアムは、[[1926年]]に建設され、元々、[[プラハ・カレル大学|カレル大学]]の音楽史研究所も併設されていた<ref name=museum>{{cite web|title= Stálé expozice Národního muzea|url= http://www.nm.cz/expozice-detail.php?f_id=72|publisher=Národní Muzeum|accessdate=6&nbsp;June 2009}} {{cs icon}}</ref>。[[1936年]]に、ミュージアムが独立し、[[ヴルタヴァ川]]の河畔にある、以前は水道設備用として使われていた建物に移転した。[[1976年]]からは、チェコの音楽ミュージアムの一部となっている<ref name=museum />。

== 音楽 ==
[[ファイル:SmetanaStatuePilsen.jpg|right|thumb|[[プルゼニ]]にあるスメタナの象]]
''[[スメタナの楽曲一覧]]、[[スメタナのオペラ作品一覧]]も参照''

ニューマーチによると、スメタナが作り上げた芸術の基礎にあるものは、民族主義と[[リアリズム]]、[[ロマン主義]]である<ref name=Newmarch90>Newmarch, pp. 90–91</ref>。スメタナの後期のすべての音楽の中に通じる特徴として、叙情的な性質を挙げることができる。オペラを除くスメタナの著名な作品すべては、プログラムのために書かれており、その多くが、明確に自叙伝体である<ref>Newmarch, pp. 100–01</ref>。スメタナの擁護者たちは、スメタナが主に影響を受けたのは、[[フランツ・リスト]]や[[リヒャルト・ワーグナー|リヒャルト・ヴァーグナー]]、[[エクトル・ベルリオーズ]]ら、先進的であると認識されていた作曲家たちであると考えている。しかし、そのように主張する人々は、しばしば[[ジョアキーノ・ロッシーニ]]や[[ガエターノ・ドニゼッティ]]、[[ジュゼッペ・ヴェルディ]]、[[ジャコモ・マイアベーア]]らのような、伝統的な作曲家からの影響を軽視することがある<ref name=Tyrrell10>{{cite encyclopedia|last= Tyrrell|first= John|title= Smetana, Bedrich|encyclopedia= Grove Music Online, ed. Laura Macy|url= http://www.oxfordmusiconline.com/public/|accessdate=12&nbsp;May 2009}} (Section 10)</ref>。

=== ピアノ曲 ===
[[ヨーテボリ]]へ旅立つ前にスメタナが作曲したほとんどの作品が[[ピアノ曲]]である.<ref>See Large, pp. 425–30 Appendix G: Works in order of composition</ref>。この初期に作曲されたいくつかの作品は、音楽史家の[[ハロルド・C・ショーンバーグ]]によって、「リストの影響を受けた、仰々しい美辞麗句の名手」との評価を下されている<ref>Schonberg, p. 78</ref>。しかしながら、[[ヨゼフ・プロクシュ]]の下で、スメタナは、より上達し、[[1846年]]に作曲した『ピアノソナタ ト短調』と『ポルカ』でその成長を見せている。[[1848年]]に発表した、『{{lang|cs|Šest charakteristických skladeb}}』はリストに捧げられ、リストは同曲について、「the most outstanding, finely felt and finely finished pieces that have recently come to my note.」と述べている<ref>Large, p. 41</ref>。この時期のスメタナは、[[フレデリック・ショパン]]の[[前奏曲 (ショパン)|前奏曲]]の様式に従った、全ての[[調性|長調と短調]]を用いた短い小品による、いわゆる「{{lang|cs|Skladby psané do památníku}}」と呼ばれる作品集を計画していた<ref name=Clap58>Clapham (1972), pp. 58–64</ref>。この計画は、やや混乱することになった。それは、各曲の作曲は終了したものの、いくつかの調性が繰り返され、いくつかの調性が現れなくなっていた<ref name=Clap58 /><ref name=Ottlov9>{{cite encyclopedia|last= Ottlová|first= Marta|title= Smetana, Bedrich|encyclopedia= Grove Music Online, ed. Laura Macy|url= http://www.oxfordmusiconline.com/public/|accessdate=12&nbsp;May 2009}} (Section 9)</ref> 。スメタナがヨーテボリから帰国した後は、スメタナはチェコオペラの開拓に主眼を置くようになってしまい、13年間ピアノ曲の作曲を行っていない<ref name=Ottlov9 />。

スメタナは最後の10年間で、3つの充実したピアノ曲集を作曲している。1つ目が、[[1875年]]に発表された、『{{lang|cs|Sny: Šest charakteristických skladeb}}』である。この楽曲は、[[ロベルト・シューマン]]や、ショパン、リストらのような[[1840年代]]の作曲家達をモデルにしたオマージュであり、医療費を賄うために金銭的に苦労していた、かつての弟子に捧げられた<ref name=Ottlov9 />。そして、残り2つの曲集は、『チェコ舞曲集』の第1集と第2集である。第1集が[[1877年]]、第2集は[[1879年]]に発表された。第1集発表時には、出版社に対して、「ショパンが[[マズルカ (ショパン)|マズルカ]]でのように、ポルカを理想的に表現する」という目的を持っていた<ref name=Ottlov9 /> 。第2集では、チェコの人々が知っているであろう"チェコに実際に存在する踊りの"タイトルが各曲につけられている<ref name=Ottlov9 /> 。

=== 声楽曲と合唱曲 ===
スメタナの初期の歌曲は、[[ドイツ語]]の歌詞で、1人の歌手が歌う形式のものであった。1848年に『{{lang|cs|Píseň svobody}}』を発表してから、ヨーテボリに滞在するようになるまでの間、スメタナは完全な合唱曲を書くことなかった。ヨーテボリに滞在した後、Hlahol合唱協会のために数多くの楽曲を作曲するまで、完全な合唱曲を書くことはなかった。Hlahol合唱協会のために作曲された楽曲のほとんどが、無伴奏の男声歌曲であった<ref>Large, pp. 122–25</ref>。スメタナの合唱曲は、一般的に民族主義的性質であるとされる。また、スケールも、反乱軍で同志であり友人でもあった[[カレル・ハヴリーチェク・ボロフスキー]]の死の後に書かれた、『Ceremonial Chorus』のような短い作品から、合唱ドラマの性質を持つ、『{{lang|cs|Pisen ma moriPíseň na moři}}』のような楽曲まで幅広い<ref name=Clap87>Clapham (1972), pp. 87–89</ref>。

スメタナの人生がおわにり近づくにつれて、スメタナはシンプルな楽曲を作曲する方向に回帰する。この時期の作品としては、『{{lang|cs|Večerní písně}}』と題された5曲で、詩人の{{仮リンク|ヴィーチェスラフ・ハーレク|en|Vítězslav Hálek}}の詩を使っている。完成した最後の楽曲である、『{{lang|cs|Naše píseň}}』では、4曲の最後にJosef Srb-Debrnovによる文章に楽曲が付けられている。スメタナの健康状態にかかわらず、これは、チェコの音楽とダンスによる明るい祝賀曲となっている。この楽曲は、長年の間失われていたが、[[1924年]]に再発見され、再発見後に初演された唯一の作品である<ref>Large, p. 378</ref>。

=== 室内楽曲 ===
少年時代の、ヴァイオリンとピアノのための[[幻想曲]]以降、スメタナが作曲した重奏曲は4曲のみである。しかしながら、これらそれぞれが、深い個人的な意義がある作品である<ref name=Ottlov8>{{cite encyclopedia|last= Ottlová|first= Marta|title= Smetana, Bedrich|encyclopedia= Grove Music Online, ed. Laura Macy|url= http://www.oxfordmusiconline.com/public/|accessdate=12&nbsp;May 2009}} (Section 8)</ref>。[[1855年]]発表の『[[ピアノ三重奏曲 (スメタナ)|ピアノ三重奏曲 ト短調]]』は、娘であるベドジーシカの死の後に書かれた作品で、全体の曲調は哀調的である。様式は、[[ロベルト・シューマン]]に近く、リストの影響も垣間見られる<ref>Clapham (1972), pp. 65–66</ref>。この後、スメタナが、次の室内楽曲を作曲するまでに20年の歳月が経過している。[[1876年]]に『[[弦楽四重奏曲第1番 (スメタナ)|弦楽四重奏曲第1番 ホ短調「わが生涯より」]]』を発表。同曲は、副題からも推察されるように、自叙伝的な性質を持っており、作曲者であるスメタナの芸術に対する若々しい情熱や、彼の友情や恋が描かれている。しかし、最終楽章では、その雰囲気を一転させ、不吉な弦楽器の[[トレモロ]]を用い、長く高い[[ホ (音名)|E]]を用いて、彼の難聴の発症が表現されている<ref>{{cite journal|last= Katz|first= Derek|title= Smetana's Second String Quartet: Voice of Madness or Triumph of Spirit|journal=The Musical Quarterly|volume= 81|issue= 4|pages= 516–36|location= Oxford|year= 1997|url= http://mq.oxfordjournals.org/cgi/pdf_extract/81/4/516|accessdate=24&nbsp;May 2009|publisher=OUP|doi= 10.1093/mq/81.4.516}}</ref>。医師からの音楽活動の休止の忠告を無視して<ref name=Large376>Large, pp. 376–77</ref><ref>Clapham (1972), p. 54</ref>、[[1882年]]から[[1883年]]の間に作曲された『[[弦楽四重奏曲第2番 (スメタナ)|弦楽四重奏曲第2番 ニ短調]]』は、短い時間を見つけては作曲していた作品で、「聴力を失った男の音楽の渦」<ref name=Clap68>Clapham (1972), pp. 68–70</ref>である。この曲は、スメタナの人生の挫折を表現しているが、完全に陰鬱なわけではなく、明るいポルカも含まれている<ref name=Clap68 />。この作品は、スメタナ最晩年の作品の一つである。2つの弦楽四重奏曲の間には、スメタナは、ヴァイオリンとピアノの二重奏曲『{{lang|cs|Z domoviny}}』を作曲している。同曲は、チェコの民俗音楽と強いかかわりのある陽気さと陰鬱さを混合させた作品となっている<ref name=Clap68 />。

=== 管弦楽曲 ===
スメタナ自身は、最初に発表した大規模な管弦楽曲、『{{lang|cs|Velká předehra}}』の出来に満足しておらず<ref>Large, p. 46</ref>、[[ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン]]や[[フェリックス・メンデルスゾーン]]、[[カール・マリア・フォン・ウェーバー]]、ベルリオーズらの作品の一節を研究し、[[1853年]]に『[[祝典交響曲|勝利交響曲]]<!--直訳です。正しいタイトルに訂正をお願いいたします-->』を作曲した<ref name=Ottlov7>{{cite encyclopedia|last= Ottlová|first= Marta|title= Smetana, Bedrich|encyclopedia= Grove Music Online, ed. Laura Macy|url= http://www.oxfordmusiconline.com/public/|accessdate=12&nbsp;May 2009}} (Section 7)</ref>。この曲は、ローザ・ニューマーチから、「ハプスブルク家の姫君への[[祝婚歌]]」であると酷評されている一方で<ref>Newmarch, p. 59</ref>、スメタナの伝記作家である{{仮リンク|ブライアン・ラージ|en|Brian Large}}は、この曲の中の多くが、作曲者のより円熟した仕事を特徴づけていると考えている<ref>Large, p. 62</ref>。皇帝から受け取りを拒否された交響曲であり、その初演は生ぬるい反応をされたにも関わらず、スメタナはこの曲を破棄することはしなかった。この曲は、1860年のヨーテボリでは好評を博し<ref>Large, p. 108</ref>、改訂版が[[1882年]]にプラハで上演されている。この際には、"勝利"に当たる部分を抜いたタイトルで、[[アドルフ・チェフ]]の指揮で行われた<ref name=Ottlov7 />。そのため、今日では、この作品はしばしば祝典交響曲と呼ばれる。

スメタナが、[[ヴァイマル]]でリストに会った[[1857年]]夏、スメタナはリスト作曲の『[[ファウスト交響曲]]』と『[[理想 (リスト)|交響詩 理想]]』を聞き、スメタナの管弦楽曲の構成の方針転換のきっかけとなった。これらの作品は、スメタナに、管弦楽曲構成に関係する作曲上の多くの問題の解答をスメタナにもたらした<ref name="Large, p. 79" />。更に、これらの作品は、スメタナに単純な音楽による装飾よりも、音楽と文章の間の統合によって、文学的な主題を表現するための手法を提示した<ref name=Ottlov7>{{cite encyclopedia|last= Ottlová|first= Marta|title= Smetana, Bedrich|encyclopedia= Grove Music Online, ed. Laura Macy|url= http://www.oxfordmusiconline.com/public/|accessdate=12&nbsp;May 2009|dateformat= dmy p. 11}}</ref><ref>Large, p. 85</ref>。これらの見識は、スメタナにヨーテボリで3つの交響詩、『[[リチャード三世 (交響詩)|リチャード三世]]』、『[[ヴァレンシュタインの陣営]]』、『[[ハーコン・ヤルル]]』を書くことを可能にした。これらの楽曲において、スメタナは、主にサロンピースの作曲家から、現代的な[[新ロマン主義音楽#新ドイツ楽派|新ロマン主義]]の作曲家へと変貌を遂げ、大規模編成の扱いが可能になり、最新の音楽概念を実行に移すことができるまでになった<ref name=Ottlov7 />。
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|header = Live recordings of Smetana's works:
|filename = Bedrich Smetana - ma vlast - iii. sarka.ogg
|title = ''Má vlast''::''Šárka''
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|filename2 = Smetana, Má vlast - Vltava - The Moldau.ogg
|title2 = ''Má vlast'':: ''Vltava''
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[[1862年]]から、スメタナはかなりの部分をオペラに費やし、いくつかの短い作品を除いて<ref>Clapham (1972), p. 138</ref>、[[1872年]]に、『[[わが祖国 (スメタナ)|わが祖国]]』の作曲を始めるまで、純粋なオーケストラ曲に戻ることはなかった。彼の正規版スコアの冒頭で、フランチシェック・バルトルは、『わが祖国』とオペラ『[[リブシェ (オペラ)|リブシェ]]』を、「民族闘争達成の直接的なシンボル」としてひとくくりに扱っている<ref name=Clap76>Clapham (1972), pp. 76–84</ref>。『わが祖国』は、スメタナの円熟した大規模な作品としては最初の作品で、文章からは独立しており、以前のスメタナの作品よりも、その作品のアイデアは大胆なものとなっている<ref>Large, p. 288</ref>。音楽研究家のジョン・クラップハムは、その曲集について、『チェコの歴史と伝説、チェコの風景の印象の断面図であり、加えて・・・国家の偉大さや精神に対するスメタナの見解を生き生きと我々に伝えている』と述べている<ref>Clapham (1972), p. 76</ref>。ニューマーチによれば、その民族主義的な連想にもかかわらず、この曲は、『[[売られた花嫁]]』の序曲を除く他のスメタナのどの曲よりも、スメタナの名前をはるか高みへと引き上げた<ref>Newmarch, p. 91</ref>。スメタナは、『わが祖国』をプラハの街に捧げた。この曲が[[1882年]]11月に初演された後、この曲はチェコ国家様式を正真正銘に表現しているとして、チェコの音楽愛好者たちから絶賛された<ref name=Ottlov7 />。その中でも、第2曲目、プラハを通り[[エルベ川]]へと注ぐ[[ヴルタヴァ川]]を描写している「ヴルタヴァ」（ドイツ語名のモルダウとしても著名）は、スメタナの管弦楽曲の中でも最も知られ、国際的にも高い人気を誇る作品となった<ref>Clapham, p. 80</ref>。

=== 歌劇 ===
''[[スメタナのオペラ一覧]]も参照''

スメタナは、実質的に[[フランティシェク・シュクロウプ]]に端を発するチェコオペラの断片を知らなかった。そもそも、シュクロウプの作品は、1回か2回の上演を超えて上演され続けるものはほとんどなかった<ref name=Tyrrell6 />。新たなる基準を作り上げるという課題の中で、彼の自国語とのつながりを確立するために、伝統的な民俗音楽を使うよりも、スメタナは彼の若い時代に著名だったダンス音楽、特に[[ポルカ]]を使うようになった<ref name=Tyrrell6>{{cite encyclopedia|last= Tyrrell|first= John|title= Smetana, Bedrich|encyclopedia= Grove Music Online, ed. Laura Macy|url= http://www.oxfordmusiconline.com/public/|accessdate=12&nbsp;May 2009}} (Section 6)</ref>。スメタナは、存在するヨーロッパの文化、特にスラヴ文化やフランス文化を描いた。しかしながら、[[アンサンブル]]と[[合唱]]を彼のスコアの基礎にするため、極一部に[[アリア]]を利用している。
[[File:Prodana cover 1919.JPG|thumb|upright|left|『売られた花嫁』の1919年版のスコア表紙]]
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|header = Live recording of Smetana's works
|filename = Smetana - Bartered Bride overture.ogg
|title = Overture: ''The Bartered Bride''
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ヴァーグナーが再構築したオペラのジャンルの後継者であり、スメタナはそれがオペラの救済になると考えていた<ref name=Newmarch65>Newmarch, p. 65</ref>。しかしながら、スメタナは過度のヴァグネリズムであるという非難を一蹴し、十分に「スメタニズム<!-- for that is the only honest style! -->」に占められていると主張した<ref>Letter to Adolf Cech 4, December 1882, quoted in Clapham (1972), p. 100</ref>。最初の4つのオペラの主な"愛国的"性格は、後に書かれたオペラにおいては、叙情的なロマンティシズムによってより強化されている<ref>Clapham (1972), p. 104</ref>。特に最後のオペラ3作品は、スメタナが病に伏せていた時期に作曲された。その最後の3作品中、最初に書かれた『[[口づけ (オペラ)|口づけ]]』は、スメタナが苦痛を伴う薬物治療を受けていた時期に書かれたもので、ニューマーチに澄み渡った美しさを持つ作品であると評されている。この作品の中では、涙と笑顔がスコアを通して、代わる代わる現れる<ref>Newmarch, pp. 83–84</ref>。『口づけ』の台本作家は、若き[[フェミニスト]]の[[エリシュカ・クラースノホルスカー]]である。彼女は、スメタナの最後のオペラ2作品の台本も手掛けている。彼女は、病に臥せっているスメタナの優位に立っていた。事実、スメタナは、主題や、声の性質やソロ、デュエット、アンサンブルの間のバランスなどについて、何一つ意見をしていない<ref name=Tyrrell6 />。それにも関わらず、スメタナのチェコ語の熟達は、オペラでの言葉の使い方が、初期のオペラよりもさらに洗練されてきたことを示している一方で、評論家たちはこれらの作品について、スメタナの力の衰えをいくつかの部分で指摘している<ref name=Tyrrell6 />。

スメタナの8作のオペラは、チェコオペラの根本を作り上げたが、その中でも『[[売られた花嫁]]』が、スメタナの出身地外において、上演されるだけである。[[1892年]]に[[ウィーン]]で上演され、更に[[1895年]]には[[ロンドン]]でも上演されるなど、『売られた花嫁』は、急速に世界中の主なオペラ場におけるレパートリーの一つとなった。ニューマーチは、『売られた花嫁』は、"本当の宝石"ではないが、それでも"その宝石のように、完璧にカットされ磨かれた石"であると述べている<ref name=Newmarch67>Newmarch, p. 67</ref>。『売られた花嫁』の中でも特に知られる序曲は、リブレットの草稿をスメタナが受け取る前にピアノ曲として作曲されたものである。この序曲をニューマーチは、"その向こう見ずな快活さによって、私たちの歩みを鼓舞する"と述べている<ref name=Newmarch67 />。クラップハムは、これはオペラの歴史全体における先例の要素は少ないと考えている<ref>Clapham (1972), p. 94</ref>。スメタナ自身は、後に、自身の業績を軽視する傾向を示しており、「『売られた花嫁』は、単によどみなく書かれた子供の遊びだ。」と述べている<ref name=Newmarch67 />。ドイツの評論家、ウィリアム・リッターの視点によると、スメタナの創作力は、3作目のオペラ『[[ダリボル]]』で頂点に達したと考えられている<ref>Newmarch, p. 72</ref>。

=== 受容 ===
スメタナの出身地においても、一般的な人々にスメタナが認知されるのには時間がかかった。若き作曲家でありピアニストとして、スメタナは、プラハの音楽サークルの中で認知され、リストやプロクシュらのような音楽家には認められる存在であったが、一般聴衆の認知の欠落は、自身に課したスウェーデンへの出国に隠れた重要な事実であった。帰国後、スメタナは特に真剣に考えられることもなく<ref name=Large121 />、新作楽曲の聴衆を集めるのにも苦労することになった。そのため、空に近いホールでの上演や、それと大差ない[[1862年]]1月のŽofín島における『[[リチャード三世 (交響詩)|リチャード三世]]』と『[[ヴァレンシュタインの陣営]]』の演奏会の後、彼の"名誉なき預言者"と評された<ref>Large, p. 119</ref>。

スメタナ最初の記録すべき公での成功は、スメタナ最初のオペラ『[[ボヘミアのブランデンブルク人]]』の[[1866年]]の上演である。この時、スメタナは既に42歳になっていた。彼の2作目のオペラ『[[売られた花嫁]]』の初演は、[[普墺戦争]]の開戦目前という不運な時期に行われたが、その後、今でも人気を得る大成功となった。それまでとは異なるスタイルのオペラである3作目『ダリボル』は、ヴァーグナーの音楽ドラマに近く、聴衆にはたやすく理解することができず、チェコオペラは民俗音楽をベースにするべきであると信じきっている評論家たちからは、激しい非難にさらされることとなった<ref>Large, pp. 204–05</ref><ref name=Clapham36 />。『ダリボル』は、数回の上演を行っただけで、その後は姿を消した<ref name=Clapham36>Clapham (1972), p. 36</ref>。それ以来、仮劇場の指揮者というスメタナの地位に付随する陰謀は、彼の創造的な作品が発表される[[1874年]]まで制限されることになった。ただし、『ダリボル』はスメタナが死去してから、2年が経過した[[1886年]]に復活公演がなされると、成功を収めている<ref name="Jellinek">{{cite journal|url=http://oq.oxfordjournals.org/cgi/reprint/14/1/174|last=Jellinek| first=George|authorlink=George Jellinek|title=''Dalibor''. Bedřich Smetana|journal=The Opera Quarterly|volume=14|issue=1|pages=174–176|date=1997|accessdate=17 October 2007}}</ref>。[[1890年代]]には、[[ザグレブ]]、[[ミュンヘン]]、[[ハンブルク]]でも上演された<ref>John Clapham, "Smetana: A Century after". ''The Musical Times'', '''125(1694)''', pp. 201, 203–205 (April 1984).</ref>。[[作曲家]]であり[[指揮者]]でもあった[[グスタフ・マーラー]]は、[[1892年]]に[[ウィーン]]において、ダリボルの指揮を行っている<ref name="Jellinek" />。

スメタナ最後の10年は、体調の悪化に関わらず、彼の音楽家人生の中でも最も実り多い時期であり、スメタナは、遅くはなったものの、国家的に認知された。彼の後期のオペラ、『[[二人のやもめ]]』と『秘密』は、熱烈な歓迎を受けたが<ref>Clapham (1972) p. 41 and p. 49</ref>、『口づけ』は"圧倒的な喝采"で歓迎された<ref name=Ottlov5 />。儀式的なオペラ『リブシェ』は、スメタナへの轟くような喝采に迎えられている。この頃（1881年）、スメタナの音楽に関する論争は減っており、一般には、チェコ音楽の創始者としての名誉ある人であると認知されてきていた<ref>Large, p. 348</ref>。それにもかかわらず、明らかにリハーサル不足であった『悪魔の壁』の[[1882年]]10月に行われた上演は、混沌としたものとなった<ref>Clapham (1972), p. 53</ref>。そして、スメタナは、"恥辱と落胆"を感じながら離れることになった<ref>Large, p. 370</ref>。しかし、同年11月に行われた、『[[わが祖国 (スメタナ)|わが祖国]]』の全曲初演に続いて送られた喝采によって、この失望がすぐに和らげることとなった。"誰もが立ちあがり、鳴り止まない喝采の嵐が、6つの楽曲ごとに繰り返された... 「ブラニーク」（最終楽曲）の最後には、聴衆はそれ自体を忘れ、人々は作曲家と挨拶をして別れることができなかった。"<ref>Large, p. 268</ref>

== 人物と評判 ==
スメタナの伝記作家は、スメタナを身体的に虚弱で外見も印象的ではなかったが、若いときには少なくとも、彼は、女性が明らかに魅力を感じる''joie-de-vivre''を持っていたと述べている<ref>Large, p. 3 and p. 10</ref>。彼はまた激しやすく、多情多感で、頑固な人物であった。これらが、スメタナにビール醸造者か公務員になることを望んだ父の願いを越えて、彼の苦難に満ちた音楽家としてのキャリアを決めた。彼はキャリアを通して、自身の立ち位置を変えることはなかった。たとえば、『ダリボル』に対する厳しい批判が起こった際には、スメタナは、よりヴァーグナーの音楽ドラマの形式と手法を基礎にしたオペラ『[[リブシェ (オペラ)|リブシェ]]』を作曲している<ref>Large, p. 205</ref>。彼の私生活は、ストレスの多いものであった。ベッティーナとの結婚は愛情のないものであり、病気に苦しめられる時期には、完全に破たんしていた。これは、スメタナの人生が終わりに向かうにつれて、貧困に陥っていたことも関係しているといわれる<ref>Large, pp. 304–05</ref>。彼の子供たちとの関係はわずかしか記録されていない。その記録によると、スメタナが精神病院に入った日、娘のゾフィーは「彼女の心が壊れたかのように泣いている」と記されている<ref>Large, p. 391</ref>。
[[File:Prague Vltava 2001.jpg|thumb|プラハを流れる[[ヴルタヴァ川]]]]
スメタナが、それまで存在しなかったチェコオペラの基準を作り、明確にチェコの個性の現れた音楽を書いた最初の作曲家であると、大多数の評論家たちの間で、広く認知されている<ref name=Tyrrell10 /><ref>Clapham (1972), p. 123</ref><ref>Large, preface p. xvii</ref>。そのため、チェコ[[国民楽派]]の開祖とされる。別の視点による見解が、音楽ライターのマイケル・スティーンによって述べられている。スティーンは、"民族主義的な音楽"は実際に存在するかどうかと疑問に思っている。「我々は、音楽が究極的には表現であるにもかかわらず、それ自身で、具体的な物体や概念を説明することは苦手であると考えている<ref name=Steen690>Steen, pp. 690–91</ref>。」彼は、多くの音楽がそう聞くように慣らされた聴き手に依存していると結論付けている<ref name=Steen690 />。

音楽学者の{{仮リンク|ジョン・ティレル|en|John Tyrrell (professor of music)}}によると、スメタナは、チェコの民族主義と強い一体感を持っていた。そして、彼の出身地において、彼の晩年の悲劇的な事情が、特に彼の仕事が評価される客観性に影響を及ぼす傾向があった<ref name=Tyrrell10 />。ティレルはほとんどの象徴的な地位が、スメタナの出身地で、<!--"monumentalized him into a figure where any criticism of his life or work was discouraged"-->チェコ当局によって、彼に授与されていると主張している。20世紀後半という時期になってさえ同様である<ref name=Tyrrell10 />。この結果、チェコ音楽の見解として、同世代の作曲家や、[[アントニン・ドヴォルザーク|アントニーン・ドヴォジャーク]]や[[レオシュ・ヤナーチェク]]、[[ヨセフ・スク (作曲家)|ヨセフ・スク]]のような成功者、もしくは彼らよりは知名度の劣る作品などが軽視されて宣伝されたと、ティレルは主張している<ref name=Tyrrell10 />。このチェコでの認識は、チェコ国外における認識とは異なっている。海外においては、ドヴォジャークの方がより頻繁に演奏され、知られた作曲家である。[[ハロルド・C・ショーンバーグ]]は、「スメタナは、チェコ音楽を作り上げた一人であった。しかし、アントニーン・ドヴォジャークは...それを普及した一人だった」と述べている<ref name="Schonberg77" />。

また、[[1985年]]から[[1993年]]まで発行されていた旧[[チェコスロバキア]]の1000コルナ紙幣に肖像が使用されていた。

== 位置づけ ==
スメタナは、明確にチェコの個性の現れた音楽を書いた最初の作曲家であるといわれる。そのため、チェコ[[国民楽派]]の開祖とされる。

彼の[[歌劇]]の多くは、チェコの題材に基いており、中でも『[[売られた花嫁]]』は喜劇として最もよく知られている。彼は、チェコの民俗舞踊のリズムを多用し、また、彼の書いた旋律は時として[[民謡]]を彷彿とさせる。彼は、同じ様にチェコの題材をその作品中に用いた作曲家として知られる [[アントニン・ドヴォルザーク|アントニーン・ドヴォジャーク]]に大きな影響を与えた。

==主な作品==
''詳細は[[スメタナの楽曲一覧]]、及び[[スメタナのオペラ一覧]]を参照''

=== 歌劇 ===
* 『[[ボヘミアのブランデンブルク人]]』（1862年）
* 『[[売られた花嫁]]』（1863年）
* 『[[ダリボル]]』（1867年）
* 『[[リブシェ (オペラ)|リブシェ]]』（1872年）
* 『[[二人のやもめ]]』（1874年）
* 『[[口づけ (オペラ)|口づけ]]』（1876年）
* 『[[秘密 (オペラ)|秘密]]』（1878年）
* 『[[悪魔の壁]]』（1882年）
* 『[[ヴィオラ (オペラ)|ヴィオラ]]』（1874年、1883-84年、未完）
** [[シェイクスピア]]の「[[十二夜]]」による。[[絶筆]]。

===管弦楽曲===
*[[祝典交響曲]] 作品6（1853-54年）
:ボヘミアの独立支持を期待して[[フランツ・ヨーゼフ1世]]の成婚を祝して彼に献呈しようとしたが、チェコ人であることを理由に政府からは却下された。[[神よ、皇帝フランツを守り給え|当時のオーストリア国歌]]が第1、2、4楽章に用いられている。
*交響詩『リチャード三世』（Richard III）作品11（1857-58年）
*交響詩『ヴァレンシュタインの陣営』作品14（1858-59年）
*交響詩『ハーコン・ヤルル』（Hakon Jarl）作品16 (1861-62年）
*[[わが祖国 (スメタナ)|連作交響詩『わが祖国』]]（Má Vlast）（6曲）（1874-79年）
*祝典序曲 ニ長調 作品4（1848-49年）
*プラハの謝肉祭（1884年）

===室内楽曲===
*[[弦楽四重奏曲第1番 (スメタナ)|弦楽四重奏曲第1番ホ短調『わが生涯より』]]（1876年）
*[[弦楽四重奏曲第2番 (スメタナ)|弦楽四重奏曲第2番ニ短調]]（1882-83年）
*[[ピアノ三重奏曲 (スメタナ)|ピアノ三重奏曲ト短調]]作品15（1855年）
*『わが故郷から』（ヴァイオリンとピアノのための、2曲）（1880年）

===ピアノ曲===
*[[ポルカ]]『[[ピルゼンの思い出]]』（1843年）
*ピアノソナタト短調（1846年）
*2台ピアノ8手のためのソナタ断章ホ短調（1851年）
*チェコ舞曲集第1集（全4曲、1877年）
*チェコ舞曲集第2集（全10曲、1879年）

== 注釈 ==
<references group = "注釈" />

== 脚注 ==
=== 出典 ===
{{colbegin|3}}
<references />
{{colend}}

=== 参考文献 ===
* {{cite book|authorlink= Gerald Abraham|last= Abraham|first= Gerald|title= Slavonic and Romantic Music|publisher=Faber and Faber|location= London|year= 1968}}
* {{cite encyclopedia|last= Clapham|first= John|title= Bedrich Smetana|encyclopedia= New Grove Music and Musicians (Special English edition) ed. Stanley Sadie|volume= 17|pages= 391–403|publisher=Macmillan|location= London|year= 1980|isbn= 0-333-23111-2}}
* {{cite book|last= Clapham|first=John|title= Smetana (Master Musicians series)|publisher=J.M. Dent|location= London|year= 1972|isbn= 0-460-03133-3}}
* {{cite book|last= Grout|first= Donald Jay and Hermine Wegel Williams|title= A Short History of Opera|url= http://books.google.com/?id=l_b2vIXHsUkC&pg=PA534&lpg=PA534&dq=Karel+Sebor|publisher=Columbia University Press|location= New York|year= 2003|isbn= 0-231-11958-5|accessdate=10&nbsp;June 2009}}
* {{cite journal|last= Katz|first= Derek|title= Smetana's Second String Quartet: Voice of Madness or Triumph of Spirit|journal=The Musical Quarterly|volume= 81|issue= 4|pages= 516–36|location= Oxford|year= 1997|url= http://mq.oxfordjournals.org/cgi/pdf_extract/81/4/516|accessdate=24&nbsp;May 2009|publisher=OUP|doi= 10.1093/mq/81.4.516}} {{Subscription}}
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* {{cite book|last= Steen|first= Michael|title= The Lives and Times of the Great Composers|publisher=Icon Books|location= London|year= 2003|isbn= 978-1-84046-679-9}}
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* {{cite encyclopedia|last= Tyrrell|first= John|title= Smetana, Bedrich|encyclopedia= Grove Music Online, ed. Laura Macy|url= http://www.oxfordmusiconline.com/public/|accessdate=12&nbsp;May 2009}} {{Subscription}}

== 関連項目 ==
* [[スメタナ (小惑星)]]

== 参考資料 ==
* 『大音楽家・人と作品19:スメタナ/ドヴォルジャーク』（渡鏡子著,[[音楽之友社]]）

== 外部リンク ==
* {{IMSLP|id=Smetana%2C_Bedrich|cname=ベドジフ・スメタナ}}
* [http://www.interq.or.jp/classic/classic/data/perusal/saku/Smetana.html ベドルジハ・スメタナ簡易作品表]


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