フランツ・クサヴァー・シャルヴェンカのソースを表示

{{Infobox Musician <!--プロジェクト:音楽家を参照-->
|Name              = フランツ・クサヴァー・シャルヴェンカ<br/>Franz Xaver Scharwenka
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{{Portal クラシック音楽}}

'''フランツ・クサヴァー・シャルヴェンカ'''（'''Franz Xaver Scharwenka''', [[1850年]][[2月6日]] - [[1924年]][[12月8日]]）は、[[ポーランド]]系の[[ドイツ]]の[[作曲家]]、[[ピアニスト]]<ref>Xaver Scharwenka, ''Sounds From My Life: Reminiscences of a Musician'', 7</ref>、音楽教師である。兄の{{仮リンク|フィリップ・シャルヴェンカ|label=ルートヴィヒ・フィリップ・シャルヴェンカ|en|Ludwig Philipp Scharwenka}}も作曲家である。

== 生涯 ==
クサヴァー・シャルヴェンカは[[プロイセン王国|プロイセン]]の[[ポーゼン]]管区{{仮リンク|ザムター|de|Landkreis Samter}}（現在のポーランド・[[ヴィエルコポルスカ県]]、{{仮リンク|シャマトゥウィ|pl|Szamatuły}}）に生まれた。彼は3歳の頃には耳で聞いた音を元にピアノを演奏するなど音楽の才能を示していたが、決して裕福な家庭ではなくピアノは独学に過ぎなかった<ref name=hyperion1>{{Cite web|url=http://www.hyperion-records.co.uk/al.asp?al=CDA67508 |title=Hyperion The Romantic Piano Concerto |accessdate=2013-2-25}}</ref>。[[1865年]]、15歳で家族と共に[[ベルリン]]へ移った彼は、兄と共に[[テオドール・クラク]]の音楽院に入学し、ピアノを[[カール・ツェルニー|ツェルニー]]門下だったクラクに、作曲を[[フェリックス・メンデルスゾーン|メンデルスゾーン]]門下の[[リヒャルト・ヴュルスト]]に師事した。

音楽院で才能を開花させたシャルヴェンカは[[1867年]]にクラク音楽院を卒業し、[[1868年]]には教員として母校に加わることになる。[[1869年]]には、[[ベルリン・ジングアカデミー]]の演奏会でメンデルスゾーンの「[[ピアノ協奏曲第2番 (メンデルスゾーン)|ピアノ協奏曲第2番]]」を演奏し、ピアニストとしてデビューを果たした<ref name=hyperion1 />{{refnest|group= "注"|[[1867年]]とする説もある<ref name=hyperion1>{{Cite web|url=http://www.hyperion-records.co.uk/dc.asp?dc=D_CDA67508&vw=dc |title=Hyperion The Romantic Piano Concerto, Vol. 38 |accessdate=2013-2-27}}</ref>。}}。更に同年、彼の自作曲である「ピアノ三重奏曲 作品1」、「ヴァイオリンソナタ 作品2」、「ポーランド舞曲集 作品3」がドイツの楽譜出版社、[[ブライトコプフ・ウント・ヘルテル]]によって出版された。中でも作品3のポーランド舞曲集第1曲「コン・フォーコ ''[[wikt:con fuoco|Con fuoco]]''」は大人気を呼び発行部数は100万を記録した。この成功はシャルヴェンカにとって作曲家としての地位を得るきっかけとなった。彼は[[1873年]]に兵役に就くまで音楽院で教鞭を執り、[[1874年]]に兵役を終えるとコンサートピアニストとして演奏旅行を開始した。シャルヴェンカの演奏は音色の美しさを称賛されており、[[フレデリック・ショパン|ショパン]]作品の解釈には定評があった<ref name="suttoni22339">Suttoni, [[ニューグローヴ世界音楽大事典]] (2001), 22:339.</ref>。[[1877年]]には自作の「[[ピアノ協奏曲第1番 (シャルヴェンカ)|ピアノ協奏曲第1番]] 作品32」を初演。この曲は作曲家の[[フランツ・リスト]]へ献呈されている<ref name=hyperion1 />。

シャルヴェンカは、[[1881年]]に[[ヴァイオリニスト]]の{{仮リンク|グスタフ・ホーレンダー|de|Gustav Hollaender}}、[[チェリスト]]の[[ハインリッヒ・グリュンフェルト]]と共同で[[室内楽]]と[[ソロ (音楽)|独奏]]による毎年のコンサートシリーズを立ち上げ、成功を収めた。また、同年10月にはベルリンに[[クリントヴォルト＝シャルヴェンカ音楽院|音楽学校]]を創設している。[[1886年]]には、初となる管弦楽曲の一連の演奏会で[[指揮 (音楽)|指揮]]を行い、[[ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン|ベートーヴェン]]、[[エクトル・ベルリオーズ|ベルリオーズ]]、[[フランツ・リスト|リスト]]らの大作曲家の作品を中心に取り上げた。一方、[[指揮者]]の[[ハンス・リヒター]]やヴァイオリニストの[[ヨーゼフ・ヨアヒム]]といった音楽家達と共に、広く演奏旅行を行い自作を披露して回った。このような、作曲・演奏・教育の3分野にわたる活動は、その後もキャリアを通して継続していくことになる<ref>Suttoni, ニューグローヴ世界音楽大事典 (2001), 22:439–440.</ref>。

[[1891年]]、シャルヴェンカは初めて[[アメリカ合衆国|アメリカ]]への演奏旅行を行う。ピアニストとしては[[メトロポリタン歌劇場]]で[[アントン・ザイドル]]指揮の下、「ピアノ協奏曲第1番」を演奏してデビューを飾る一方<ref name=hyperion1 />、[[ニューヨーク]]市にシャルヴェンカ音楽院の分校を設立した。アメリカ滞在中の[[1893年]]にベルリンの音楽院が合併により[[クリントヴォルト＝シャルヴェンカ音楽院]]となり、[[1898年]]に帰国した彼は音楽院の理事となった。[[1914年]]にW.ペツェット（Petzet）と共同で設立した音楽学校には、ピアノ教師のための学校が併設されていた<ref>A. Eaglefield-Hull, ''Dictionary of Modern Music and Musicians'' (Dent, London 1924).</ref>。シャルヴェンカ門下には[[ジョゼ・ヴィアナ・ダ・モッタ]]、[[:en: Fridtjof Backer-Grøndahl|Fridtjof Backer-Grøndahl]]<ref group= "注">訳注：[[1885年]]生まれ、[[ノルウェー]]のピアニスト、作曲家。[[アガーテ・バッケル＝グロンダール|アガーテ・バッケル＝グレンダール]]の息子。</ref>{{仮リンク|ゼルマー・ヤンソン|en|Selmar Janson}}らがいる。著書「ピアノ奏法 ''Methodik des Klavierspiels''」は、[[1907年]]に[[ライプツィヒ]]で出版された<ref>Suttoni, ニューグローヴ世界音楽大事典 (2001), 22:440.</ref>。

[[1910年]]と[[1913年]]には[[コロムビア・レコード]]に録音を行っており、自作の他、ショパン、メンデルスゾーン、[[カール・マリア・フォン・ウェーバー|ウェーバー]]、リストの作品の演奏を遺しており<ref>Methuen-Campbell, James: Catalogue of recordings by classical players, Vol. 1 (1984)</ref>、中でもショパンの「[[幻想即興曲]]」の演奏は名高い。また、{{仮リンク|ウェルテ＝ミニョン|en|Welte-Mignon}}社の[[ピアノロール]]には、彼の演奏でも有名なショパンの「[[ワルツ第5番 (ショパン)|ワルツ Op.42]]」と「[[幻想曲 (ショパン)|幻想曲]]」が遺されている<ref>J. Methuen-Campbell, ''Chopin Playing from the Composer to the Present Day'' ([[:en: Gollancz|Gollancz]], London 1981), 101-2.</ref>。自作の「ポーランド舞曲第1番」変ホ短調 Op.3-1の演奏も、[[1921年]]にアンピコ社（Ampico）の[[自動ピアノ]]に記録されている。

シャルヴェンカがこの世を去ったのは、[[1924年]]、ベルリンであった。

== 作品 ==
[[File:VonWerner-FXScharwenka.jpg|thumb|left|170px|{{仮リンク|アントン・フォン・ヴェルナー|en|Anton von Werner}}による肖像画]]
シャルヴェンカの作品には、[[オペラ]]「''Mataswintha''」や交響曲、4つのピアノ協奏曲、室内楽（全てにピアノパートがある）、数多くのピアノ曲がある。

4曲あるピアノ協奏曲は主要な作品である。「[[ピアノ協奏曲第1番 (シャルヴェンカ)|第1番 変ロ短調]] Op.32」は<ref>Referred to as "Scharwenka's B-flat-minor horror" by [[グレン・グールド|Glenn Gould]] in: Tim Page (ed.), ''The Glenn Gould Reader'' (Knopf, New York 1984), 74.</ref>、兵役の最中の[[1874年]]に完成されて翌年に初演されている。この曲は元来幻想曲として着想されたが、出版社と折り合いが会わずに出版の見込みが立たなかったことから、書き改めてピアノ協奏曲へと仕立てられた<ref name=hyperion1 />。曲はリストに献呈されており、リストはこれを受け入れてベルリンで自ら演奏している<ref>Frank Cooper, 1970 ''Sleevenote'' to RCA SB 6815.</ref>。また、[[グスタフ・マーラー]]がピアノ協奏曲の[[ソロ (音楽)|ソリスト]]を務めたと記録が残る、唯一の曲である<ref name=hyperion1 />。この曲が始めて録音されたのは[[1968年]]、[[アール・ワイルド]]のピアノ、[[エーリヒ・ラインスドルフ]]指揮の[[ボストン交響楽団]]の演奏であった。ワイルドは幼少期にこの協奏曲について学んでいるが、指導した[[ゼルマー・ヤンソン]]はシャルヴェンカ自身から曲の指導を受けた人物であった。ラインスドルフがワイルドにこの曲の録音の話を持ちかけた際、ワイルドはこう述べることが出来た。「私は誰かがこの曲を自分に演奏してくれと頼んでこないかと、40年間電話の側で待ち続けていたんですよ<ref>[http://etd.ohiolink.edu/send-pdf.cgi/Arder%20Debora.pdf?osu1232546711 Debora Arder, The Piano Teaching of Earl Wild]</ref>。」

「[[ピアノ協奏曲第4番 (シャルヴェンカ)|ピアノ協奏曲第4番 ヘ短調]] Op.82」は、[[1908年]][[10月18日]]にベルリンのベートーヴェンザールで初演された。シャルヴェンカは指揮をし、独奏は弟子のマルタ・シーボルト（Martha Siebold）が受け持った。[[1910年]][[11月27日]]のニューヨークでは、訪米中の作曲者自身が[[グスタフ・マーラー]]の指揮で演奏している。

シャルヴェンカの死後しばらく、彼の作品は演奏回数が少なくなり、「ポーランド舞曲 Op.3-1」が大きな人気を保っていた以外は時折ピアノの小品が取り上げられるくらいになる。しかし、[[1990年代]]中ごろ以降、彼の音楽に対する関心が再び盛り上がりを見せ、CD録音で、ピアノ独奏曲や協奏曲の難曲が紹介されるようになった。現在では作品の大半が録音されて入手可能となっている。中でも、[[スティーヴン・ハフ]]の独奏、[[ローレンス・フォスター]]指揮、[[バーミンガム市交響楽団]]の演奏による「ピアノ協奏曲第4番」の録音は、[[イギリス]]の音楽雑誌「グラモフォン ''[[:en: Gramophone (magazine)|Gramophone]]''」誌の[[1996年]]の最優秀録音（レコード・オブ・ザ・イヤー）となった。「交響曲 ハ短調 Op.60」のCD初録音は[[2004年]]になされている。

== 主要作品 ==
=== 協奏曲 ===
* [[ピアノ協奏曲第1番 (シャルヴェンカ)|ピアノ協奏曲第1番]] 変ロ短調 Op.32 1876年
* [[ピアノ協奏曲第2番 (シャルヴェンカ)|ピアノ協奏曲第2番]] ハ短調 Op.56 1881年
* [[ピアノ協奏曲第3番 (シャルヴェンカ)|ピアノ協奏曲第3番]] 嬰ハ短調 Op.80 1889年
* [[ピアノ協奏曲第4番 (シャルヴェンカ)|ピアノ協奏曲第4番]] ヘ短調 Op.82 1908年

=== 管弦楽曲 ===
* 序曲 ト長調 ScharWV 123 1869年
* アンダンテ・レリジオーソ Op.46a/ScharWV 120 チェロソナタからの作曲者自身による改作 1881年
* 交響曲 ハ短調 Op.60/ScharWV 121 1885年

=== オペラ ===
* 「''Mataswintha''」 ScharWV 150 3幕形式、{{仮リンク|フェリックス・ダーン|en|Felix Dahn}}原作、エルンスト・コッペルの[[リブレット (音楽)|リブレット]] 1896年

=== 室内楽曲 ===
* ピアノ三重奏曲第1番 嬰へ短調 Op.1 1868年
* ヴァイオリンソナタ ニ短調 Op.2 1868年
* ピアノ四重奏曲 ヘ長調 Op.37 1876年-1877年?
* チェロソナタ ホ短調 Op.46 1877年
* ピアノ三重奏曲第2番 イ短調 Op.45 1878年
* ヴァイオリンとピアノのためのセレナーデ Op.70 1895年

=== ピアノ曲 ===
* 5つのポーランド舞曲 Op.3
* スケルツォ ト長調 Op.4
* 「ピアノでのお話 ''Stories at the Piano''」 Op.5
* ピアノソナタ第1番 嬰ハ短調 Op.6 1872年
* ポロネーズ 嬰ハ短調 Op.12
* 舟歌 ホ短調 Op.14
* 即興曲 ニ長調 Op.17
* 2つのピアノ曲 Op.22 （ノヴェレッテ、メロディ）
** ノヴェレッテ
** メロディ
* ヴァルス＝カプリス イ長調 Op.31
* ピアノソナタ第2番 変ホ長調 Op.36 1878年
* 舞踏組曲 Op.41
* ポロネーズ Op.42
* ポーランド舞曲 Op.47
* 主題と変奏 Op.48
* 4つのポーランド舞曲 Op.58
** [[wikt:moderato|モデラート]]
** [[wikt:lento|レント]]
** [[wikt:allegro|アレグロ]]・[[wikt:non|ノン]]・[[wikt:tanto|タント]]
** モデラート
* Eglantine Waltz Op.84
* 3つのピアノ曲 Op.86
** ノクターン
** セレナーデ
** メルヘン

== 脚注 ==
'''注釈'''
{{Reflist|group= "注"}}
'''出典'''
{{Reflist}}

== 外部リンク ==
{{Commonscat|Xaver Scharwenka}}
* {{IMSLP|id=Scharwenka%2C_Xaver|cname=フランツ・クサヴァー・シャルヴェンカ}}
* {{PTNA|composers|232|シャルヴェンカ}}
* {{DNB-Portal|117110450|TYP=Werke von und über}}
* [http://www.klassika.info/Komponisten/Scharwenka/index.html Komplettes Werkverzeichnis auf ''klassika.info'']
* {{Internet Archive|20041129154112|http://members.aol.com/etrenkner/xaver.htm|Xaver Scharwenka}} 
* [http://www.scharwenka-stiftung.de/ Scharwenka-Stiftung Bad Saarow]

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{{DEFAULTSORT:しやるうえんか くさうあ}}
[[Category:ロマン派の作曲家]]
[[Category:ドイツの作曲家]]
[[Category:ポーランドの作曲家]]
[[Category:クリントヴォルト＝シャルヴェンカ音楽院の教員]]
[[Category:1850年生]]
[[Category:1924年没]]