フィールズ賞のソースを表示

{{Infobox award
|name = フィールズ賞
|image = FieldsMedalFrontArchimedes.jpg
|imagesize = 200px
|caption = フィールズ・メダルには[[アルキメデス]]の肖像が描かれている。
|description = 数学研究者
|presenter = [[国際数学者会議]]
|country =
|year = [[1936年]]
|website = http://www.mathunion.org/general/prizes/fields/details/
}}
'''フィールズ賞'''（フィールズしょう）は、若い数学者のすぐれた業績を顕彰し、その後の研究を励ますことを目的に、[[カナダ]]人[[数学者]][[ジョン・チャールズ・フィールズ]] (John Charles Fields) の提唱によって[[1936年]]に作られた[[賞]]のことである<ref name ="IMU"/><ref name="kotobank"/>。

== 概要 ==

4年に一度開催される[[国際数学者会議]] (ICM) において、顕著な業績を上げた40歳以下<ref group="注">正確な規定は次の通り：受賞年の1月1日より前に40歳の誕生日を迎えたものは候補となれない。</ref>の若手の数学研究者（2名以上4名以下）に授与される<ref name ="IMU"/>。ICMで同時に授与される賞としては、[[ネヴァンリンナ賞]]、[[ガウス賞]]、[[チャーン賞]]などがある。

数学の[[ノーベル賞]]といわれることもあり、数学に関する賞では最高の権威を有する。しかし、若い数学者のすぐれた業績を顕彰し、その後の研究を励ますことが目的で、「4年に一度」「40歳以下<ref group="注">1998年に[[アンドリュー・ワイルズ]]は45歳で特別賞を受賞した。</ref>」「2名以上4名以下<ref group="注">ただし1998年には[[アンドリュー・ワイルズ]]に特別賞が与えられた。</ref>」といった制限がついていることから、賞としての性格は異なる。すなわち、ノーベル賞は功成り名遂げたその分野の権威が受賞することが多いが、フィールズ賞はその時点でまさに活躍中の「若手」数学研究者が受賞している。実際、ほとんどのフィールズ賞受賞者は受賞後にも著しい成果を上げている。なお、ノーベル賞は業績ごとに選考されるので、一つの業績に対して複数の共同受賞者がでることがしばしばある。また、一人で（異なる業績に対して）複数回受賞することも可能である。しかし、フィールズ賞ではそのような事例はない<ref group="注">数学においても、他の自然科学分野と同様、異なる研究者がほぼ同時に同じ発見をすることがある。このような場合でも、フィールズ賞は選考委員会が選んだ一名にしか与えられていない。</ref>。

受賞者の一覧を参照すると明らかだが、これは本来西ヨーロッパとアメリカの数学者につくグループを讃える賞であったことが分かる。1959年に[[東欧]]と[[ソ連]]で[[国際数学オリンピック]]が開始されたことにも明らかなように、共産圏への数学者への西側からの評価は現在よりもはるかに困難であった。そのしがらみが破れたのは1970年であり、初めてアメリカとソ連の数学者が同時に受賞した。現在は[[ロシア]]の受賞が勢いを増している。

== 日本人の受賞者 ==
[[日本人]]の受賞者は、2010年現在、[[小平邦彦]]（[[1954年]]）、[[広中平祐]]（[[1970年]]）、[[森重文]]（[[1990年]]）の3人である。日本は国籍別順位では5位であるが、24年以上受賞者が出ていない。

東洋系の受賞者は上記の3名以外に、[[丘成桐]]（中国系米国人）（[[1982年]]）、[[陶哲軒]]（中国系オーストラリア人）（[[2006年]]）、[[ゴ・バオ・チャウ]]（ベトナム人）（[[2010年]]）、[[マリアム・ミルザハニ]]（イラン人）（[[2014年]]）、[[マンジュル・バルガヴァ]]（インド系カナダ・米国人）（2014年）の5人がいる。

== 受賞者の一覧 ==
名前の読み（名前の綴り、生年 - 没年）、国籍の順。国籍は受賞時の国名で記す。
;[[1936年]]（[[オスロ]]）
*[[ラース・ヴァレリアン・アールフォルス]]（Lars Valerian Ahlfors, [[1907年]] - [[1996年]]）{{FIN}}
*[[ジェス・ダグラス]]（Jesse Douglas, [[1897年]] - [[1965年]]）{{USA}}
;[[1950年]]（[[ケンブリッジ]]）
*[[ローラン・シュワルツ]]（Laurent Schwartz, [[1915年]] - [[2002年]]）{{FRA}}
*[[アトル・セルバーク]]（Atle Selberg, [[1917年]] - [[2007年]]）{{NOR}}
;[[1954年]]（[[アムステルダム]]）
*[[小平邦彦]]（Kunihiko Kodaira, [[1915年]] - [[1997年]]）{{JPN}}
*[[ジャン＝ピエール・セール|ジャン=ピエール・セール]]（Jean-Pierre Serre, [[1926年]] - ）{{FRA}}
;[[1958年]]（[[エディンバラ]]）
*[[クラウス・フリードリッヒ・ロス]] （Klaus Friedrich Roth, [[1925年]] - ）{{GBR}}（[[ヴロツワフ]]生まれ。当時は[[ドイツ]]領、現在は[[ポーランド]]領）
*[[ルネ・トム]]（René Thom, [[1923年]] - [[2002年]]）{{FRA}}
;[[1962年]]（[[ストックホルム]]）
*[[ラース・ヘルマンダー]]（Lars H&ouml;rmander, [[1931年]] - ）{{SWE}}
*[[ジョン・ウィラード・ミルナー]]（John Willard Milnor, 1931年 - ）{{USA}}
;[[1966年]]（[[モスクワ]]）
*[[マイケル・フランシス・アティヤ]]（Michael Francis Atiyah, [[1929年]] - ）{{GBR}}
*[[ポール・コーエン (数学者)|ポール・コーエン]]（Paul Joseph Cohen, [[1934年]] - [[2007年]]）{{USA}}
*[[アレクサンドル・グロタンディーク]]（Alexander Grothendieck, [[1928年]] - ）無国籍（主にフランスで活動、ドイツ出身）
*[[スティーヴン・スメイル]]（Stephen Smale, [[1930年]] - ）{{USA}}
;[[1970年]]（[[ニース]]）
*[[アラン・ベイカー]]（Alan Baker, [[1939年]] - ）{{GBR}}
*[[広中平祐]]（Heisuke Hironaka, 1931年 - ）{{JPN}}
*[[セルゲイ・ノヴィコフ (数学者)|セルゲイ・ノヴィコフ]]（Sergei Novikov, [[1938年]] - ）{{SSR}}
*[[ジョン・G・トンプソン|ジョン・グリッグス・トンプソン]]（John Griggs Thompson, [[1932年]] - ）{{USA}}
;[[1974年]]（[[バンクーバー (ブリティッシュコロンビア州)|バンクーバー]]）
*[[エンリコ・ボンビエリ]]（Enrico Bombieri, [[1940年]] - ）{{ITA}}
*[[デヴィッド・ブライアント・マンフォード]]（David Bryant Mumford, [[1937年]] - ）{{GBR}}
;[[1978年]]（[[ヘルシンキ]]）
*[[ピエール・ルネ・ドリーニュ]]（Pierre René Deligne, [[1944年]] - ）{{BEL}}
*[[チャールズ・ルイス・フェファーマン]]（Charles Louis Fefferman, [[1949年]] - ）{{USA}}
*[[グレゴリー・マルグリス|グレゴリ・アレキサンドロヴィッチ・マルグリス]] （Gregori Aleksandrovi（t?）ch Margulis, [[1946年]] - ）{{SSR}}
*[[ダニエル・キレン]] （Daniel G. Quillen, [[1940年]] - [[2011年]]）{{USA}}
;[[1982年]]（[[ワルシャワ]]）
*[[アラン・コンヌ]]（Alain Connes, [[1947年]] - ）{{FRA}}
*[[ウィリアム・サーストン]]（William P. Thurston, 1946年 - 2012年）{{USA}}
*[[丘成桐]]（Shing-Tung Yau, 1949年 - ）{{USA}}（中国系）
;[[1986年]]（[[バークレー]]）
*[[サイモン・ドナルドソン]]（Simon K. Donaldson, [[1957年]] - ）{{GBR}}
*[[ゲルト・ファルティングス]]（Gerd Faltings, [[1954年]] -）{{DEU}}
*[[マイケル・フリードマン]]（Michael H. Freedman, [[1951年]] - ）{{USA}}
;[[1990年]]（[[京都]]）
*[[ウラジーミル・ドリンフェルト]]（Vladimir Drinfeld, 1954年 - ）{{SSR}}（[[ウクライナ]]出身）
*[[ヴォーン・ジョーンズ]]（Vaughan F. R. Jones, [[1952年]] - ）{{NZL}}
*[[森重文]] （Shigefumi Mori, 1951年 -）{{JPN}}
*[[エドワード・ウィッテン]]（Edward Witten, 1951年 - ）{{USA}}
;[[1994年]]（[[チューリッヒ]]）
*[[ジャン・ブルガン]]（Jean Bourgain, 1954年 - ）{{BEL}}
*[[ピエール＝ルイ・リオン|ピエール=ルイ・リオン]]（Pierre-Louis Lions, [[1956年]] - ）{{FRA}}
*[[ジャン＝クリストフ・ヨッコス|ジャン=クリストフ・ヨッコス]]（Jean-Christophe Yoccoz, [[1957年]] - ）{{FRA}}
*[[エフィム・ゼルマノフ]]（Efim Zelmanov, [[1955年]] - ）{{RUS}}
;[[1998年]]（[[ベルリン]]）
*[[リチャード・ボーチャーズ ]]（Richard E. Borcherds, [[1959年]] - ）{{GBR}}（[[南アフリカ共和国|南アフリカ]]出身）
*[[ウィリアム・ティモシー・ゴワーズ]]（William Timothy Gowers, [[1963年]] - ）{{GBR}}
*[[マキシム・コンツェビッチ]]（Maxim Kontsevich, [[1964年]] - ）{{RUS}}
*[[カーティス・マクマレン]]（Curtis T. Mcmullen, [[1958年]] - ）{{USA}}
*[[アンドリュー・ワイルズ]]（Andrew J. Wiles, [[1953年]] - ）（特別表彰）{{GBR}}
;[[2002年]]（[[北京]]）
*[[ローラン・ラフォルグ]]（Laurent Lafforgue, [[1966年]] - ）{{FRA}}
*[[ウラジーミル・ヴォエヴォドスキー]]（Vladimir Voevodsky, 1966年 - ）{{RUS}}
;[[2006年]]（[[マドリード]]）
*[[テレンス・タオ|陶哲軒]]（Terence Tao, [[1975年]] - ）{{AUS}}（中国系）
*[[グリゴリー・ペレルマン]]（Grigori Perelman, [[1966年]] - ）{{RUS}}（本人は受賞を辞退）
*[[アンドレイ・オクンコフ|アンドレイ・オコンコフ]] （Andrei Okounkov, [[1969年]] - ）{{RUS}}
*[[ウェンデリン・ウェルナー]]（Wendelin Werner, [[1968年]] - ）{{FRA}}（ドイツ出身）
;[[2010年]]（[[ハイデラバード]]）
*[[エロン・リンデンシュトラウス]]（Elon Lindenstrauss, [[1970年]] - ）{{ISR}}
*[[スタニスラフ・スミルノフ]]（Stanislav Smirnov, [[1970年]] - ）{{RUS}}
*[[ゴ・バオ・チャウ]]（Ngô Bảo Châu, [[1972年]] - ）{{FRA}}{{VNM}}
*[[セドリック・ヴィラニ]]（Cédric Villani, [[1973年]] - ）{{FRA}}
;[[2014年]]（[[ソウル]]）
*[[マリアム・ミルザハニ]]（Maryam Mirzakhani, [[1977年]] - ）{{IRN}} （女性初）
*[[アルトゥル・アビラ]]（Artur Avila, [[1979年]] - ）{{BRA}}{{FRA}}
*[[マンジュル・バルガヴァ]]（Manjul Bhargava, [[1974年]] - ）{{CAN}}{{USA}}
*[[マルティン・ハイラー]]（Martin Hairer, [[1975年]] - ）{{AUT}}

== 国籍別の受賞者数 ==
受賞時の国籍が基準。二重国籍はそれぞれの国に1個。国旗は現在のもの。ただし、消滅した国の国旗は最後の受賞者の受賞時のもの。
{|class="wikitable"
!国!!style="white-space:nowrap"|受賞数
|-
|{{USA}}||13
|-
|{{FRA}}||12
|-
|{{RUS}}<br/>（{{SSR}}を含む）||9
|-
|{{GBR}}||7
|-
|{{JPN}}||3
|-
|{{BEL}}||2
|-
|{{AUS}}<br>{{AUT}}<br>{{BRA}}<br>{{CAN}}<br>{{FIN}}<br>{{GER}}<br>{{IRN}}<br>{{ISR}}<br>{{ITA}}<br>{{NOR}}<br>{{NZL}}<br>{{SWE}}<br>{{UKR}}<br>{{VIE}}||1
|}

== 脚注 ==
=== 注釈 ===
<references group="注">
</references>
=== 出典 ===
<references>
<ref name ="IMU">{{Cite web
|url=http://www.mathunion.org/general/prizes/fields/details/
|title=Fields Medal
|accessdate=2014-08-13
|publisher=[[国際数学連合]]}}
</ref>
<ref name="kotobank">{{Cite |和書
|title=[[世界大百科事典]]
|edition=第2
|url=http://kotobank.jp/word/%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%82%BA%E8%B3%9E?dic=sekaidaihyakka&oid=00289037
|accessdate=2014-08-13}}
</ref>
</references>

== 関連文献 ==
*{{Cite book|和書
|author = マイケル・モナスティルスキー
|translator = 眞野元 
|date = 2013-06-10
|title = フィールズ賞で見る現代数学
|series = ちくま学芸文庫
|publisher = [[筑摩書房]]
|isbn = 978-4-480-09543-5
|ref = {{Harvid|モナスティルスキー|2013}}
}}

== 関連項目 ==<!--項目の50音順-->
*[[アーベル賞]]
*[[ガウス賞]]
*[[チャーン賞]]
*[[コール賞]]
*[[ショック賞]]
*[[ネヴァンリンナ賞]]
*[[ラマヌジャン賞]]

== 外部リンク ==
*{{Kotobank|フィールズ賞|2=世界大百科事典 第2版}}
*[http://www.mathunion.org/general/prizes/fields/details/ 公式サイト]（英語）

{{フィールズ賞}}
{{数学}}
{{DEFAULTSORT:ふいいるすしよう}}
[[Category:数学の賞]]
[[Category:数学に関する記事]]