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フィードバック奏法
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'''フィードバック奏法'''(フィードバックそうほう)とは、[[エレクトリックギター]]を[[演奏]]する際、本来は演奏に有害であるとされる、[[フィードバック]]によって生じる[[発振]]音([[ノイズ]])を、[[楽音]]として積極的に取り入れる[[奏法]]をいう。「キーン」や「ギーン」などという[[擬音]]が最も近い[[音]]。一種の[[効果音]]であり[[ハードロック]]や[[ヘヴィメタル]]では、かなりの頻度で利用される。[[ギタリスト]]の間では単に「フィードバック」と称する。 いわゆる[[ノイズミュージック]]にも用いられるテクニックであるが、フィードバックの音色そのものは多くの人間にとっては不快とは感じられず、むしろロック音楽には不可欠な要素の一つである。近年では[[フェルナンデス (楽器メーカー)|フェルナンデス]]の[[サスティナー]]の様に、小音量でもフィードバックを得られる(ギターの内部でフィードバックと同様の効果を発生させる)デバイスが開発される等、フィードバックの更なる音楽的な進化が続いている。 == 電気弦楽器におけるフィードバック == エレクトリックギターや[[エレクトリックベース]]などの[[電気楽器|電気弦楽器]]は、[[楽器]]単体で[[弦 (楽器)|弦]][[振動]]を演奏音へ[[増幅]]する機構を持たず、[[ピックアップ (楽器)|ピックアップ]]にて弦振動を[[電気信号]]に変え、[[電線#電気機器用|シールド線]]で接続された[[アンプ (楽器用)|アンプ]]で増幅後、アンプに内蔵された[[スピーカー]]から演奏音を発音する。フィードバックの発生原理は次の2種類がある。 ;音(空気振動)を介するフィードバック :スピ-カーの演奏音>楽器の胴や弦への[[共振]]>アンプでの[[増幅]]>スピ-カーの演奏音 とのフィードバックループを辿る。原理は[[マイクロフォン]]で起きる[[ハウリング]]と似ているが、エレクトリックギターのピックアップは空気の振動を拾うものではないので、実際はスピーカーから出力された演奏音が弦を共振させることにより起こる。その結果、弦振動の持続音の状態となることが特徴的である。したがって[[エレクトリックギター#種類|ソリッドギター]]よりも、胴に共鳴用の空間を持つその他の[[エレクトリックギター#種類|種類]]のギターにおいて、より生じやすい。奏法への用法は「音量を上げる」「スピーカー(モニタースピーカー)へ近づく」などが用いられる。 ;[[磁気]]を介するフィードバック :ピックアップおよびスピーカーは磁気を利用しており、互いを近付けることで[[電磁誘導]]の一種である[[電磁結合]]が起こりフィードバックループが形成される。 スピ-カーの[[ボイスコイル]]からの[[漏洩磁束]]>ピックアップ[[コイル]]への電磁結合>正相信号の励起>アンプでの[[発振]]>スピ-カーボイスコイルへの電流 とのフィードバックループを辿る。マイクロフォンで起きるハウリングとは発生原理が異なる。弦や空気などの物理的な振動を介さないため、弦を張っていない楽器でも発生する。奏法への用法は「ピックアップをスピーカーに正対させる」などがある。[[ハム音|ハムノイズ]]を防ぐために正相信号の励起を抑止した[[ハムバッキング]]ピックアップでは、この原理によるフィードバックも起きにくい。 いずれの発生原理も奏法への用法は明確に区別されておらず、実際のフィードバックも二つの発生原理の複合によって生じるが、磁気によるフィードバック音は弦振動を止めても持続するため、奏法によってはフィードバック途中にその音質を変えることができる。 なおエレクトリックベースでも原理的には発生するが、奏法として用いられることは少ない。 == 発祥 == エレキギターには元来、演奏の一部として音をフィードバックさせる意図も大出力の機材もなく、フィードバックの発生は偶然性が大きかった。 初期のフィードバックとして有名な[[ビートルズ]]の「[[アイ・フィール・ファイン]]」のイントロ前のパートは、直前の練習で偶然発生したものを取り入れようと[[ポール・マッカートニー]]が作曲者の[[ジョン・レノン]]に提案したものである。この曲では、イントロが始まる前にマッカートニーがベースを鳴らし、その音の出る[[ヴォックス (楽器メーカー)|ヴォックス]]のベースアンプにレノンがピックアップつきの[[アコースティックギター]]([[ギブソン・J-160E]]。[[ピックアップ]]は[[P-90 ]]を搭載し、[[圧電素子|ピエゾ素子]]は搭載しないので機械的には[[エレクトリックアコースティックギター]]ではなく通常のエレクトリックギター)を近づけることで発生したフィードバックを取り入れている。これはフィードバックが意図的にレコーディングされた初の例と言われる。レノンはこれを挙げて、「俺たちはザ・フーやヘンドリックスの前からフィードバックをやっていたんだよ」と述べている。[[1966年]]の[[日本武道館|武道館]]公演で、レノンはこの技を日本のファンの前で披露した。 ギターで使われる高音のフィードバック奏法は、イギリスのロックバンドである[[ザ・フー]]の[[ギタリスト]]、[[ピート・タウンゼント]]がはじめて行ったというのが通説のひとつである。ただしタウンゼント以前にも、アメリカのジャズやブルースのミュージシャンがフィードバックを使用していたという話もあるため一概には言えないようである。60年代当時は[[ガボール・ザボ]]と[[キース・レルフ]]がフィードバック奏法の発明者として有名であった。 [[ローリング・ストーンズ]]もセカンドシングル、「[[アイ・ウォナ・ビー・ユア・マン|彼氏になりたい]]」のB面「STONED」でフィードバックを取り入れている。ちなみに、「彼氏になりたい」の発売は[[1963年]]なので、[[ビートルズ]]より前である。 フィードバック奏法の名手と言われる[[ジミ・ヘンドリックス]]は、母国アメリカでの下積み時代からフィードバックを使用していたと言われるが、その当時まだザ・フーはレコードデビューしておらず、ヘンドリックスがザ・フーのサウンドを聴いていた可能性は非常に低い。 上記のギタリスト以外にも、[[ジェフ・ベック]]などが'60年代からフィードバック奏法を行っており、フィードバック奏法の明確な発祥については諸説が存在する。 == 関連項目 == * [[フィードバック]] * [[シングルコイル]] * [[ハムバッキング]] * [[エレクトリックギター]](エレキギター) * [[ザ・フー]] * [[ジミ・ヘンドリックス]] * [[ノイズミュージック]] * [[シューゲイザー]] [[Category:ギターの奏法|ふいとはつくそうほう]] [[en:Guitar feedback]]
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