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{{栄養価 | name=バター(salted) | image = [[ファイル:NCI butter.jpg|200px|バターとバターナイフ]] | water =15.87 g| kJ =2999| protein =0.85 g| fat =81.11 g| carbs =0.06 g| fiber =0 g| sugars =0.06 g| calcium_mg =24| iron_mg =0.02| magnesium_mg =2| phosphorus_mg =24| potassium_mg =24| sodium_mg =714| zinc_mg =0.09| manganese_mg =0| selenium_μg =1| vitC_mg =0| thiamin_mg =0.005| riboflavin_mg =0.034| niacin_mg =0.042| pantothenic_mg =0.11| vitB6_mg=0.003| folate_ug =3| choline_mg =18.8| vitB12_ug =0.17| vitA_ug =684| betacarotene_ug =158| lutein_ug =0| vitE_mg =2.32| vitD_iu =60| vitK_ug =7| satfat =51.368 g| monofat =21.021 g| polyfat =3.043 g| transfat =3.278 g| opt2n = [[コレステロール]]| opt2v = 215 mg| omega3fat =0.315 g| omega6fat =2.166 g| right=1 | source_usda=1 }} {| class="wikitable" style="float:right; clear:right" |+ バター(100g中)の主な[[脂肪酸]]の種類<ref>[http://ndb.nal.usda.gov/ USDA National Nutrient Database]</ref> |- ! 項目 !! 分量(g) |- | [[脂肪]] || 81.11 |- | [[飽和脂肪酸]] || 51.368 |- | 4:0([[酪酸]]) || 3.226 |- | 6:0([[カプロン酸]])|| 2.007 |- | 8:0([[カプリル酸]]) || 1.19 |- | 10:0([[カプリン酸]])|| 2.529 |- | 12:0([[ラウリン酸]]) || 2.587 |- | 14:0([[ミリスチン酸]]) || 7.436 |- | 16:0([[パルミチン酸]])|| 21.697 |- | 18:0([[ステアリン酸]]) || 9.999 |- | [[不飽和脂肪酸|一価不飽和脂肪酸]] || 21.021 |- | 18:1([[オレイン酸]]) || 19.961 |- | [[多価不飽和脂肪酸]] || 3.043 |- | 18:2([[リノール酸]]) || 2.728 |- | 18:3([[α-リノレン酸]]) || 0.315 |} {| style="float:left" |__FORCETOC__ |} [[バター]]とは、[[乳]]を原料とした食用[[油脂]]で[[乳製品]]のひとつである。乳中の脂肪分を凝固させて作り、[[常温]]ではわずかに黄色味をおびた白色の[[固体]]である。バター (butter) という語は {{Lang-la|butyrum}} を元としており、牛のチーズを意味する {{Lang-el|boutyron}} を由来としている。また[[漢語]]では'''牛酪'''である。このような表記が行われることからも明らかなように、バターは[[ウシ]]の[[乳汁]]、つまり[[牛乳]]を原料とするのが一般的である。なお、ウシ以外の乳汁を原料としたバターが作られる場合もあるものの、本稿では以降、特に断りがない限り、牛乳を原料としたバターについて記述する。 牛乳から100gのバターを得るために、原料乳は約4.8リットル必要とされる。[[ビタミンA]]をはじめ各種[[ビタミン]]や栄養素を豊富に含んでいる。 [[日本]]では近年、低脂肪乳が好まれるようになり、副産物の乳脂肪は生産過剰気味と言われていたが、2007年末からしばらくの間、[[乳牛]]の生産調整などの悪条件が重なり、バター不足が発生した。詳細については[[バター#バター不足|バター不足]]を参照のこと。 == 歴史 == [[ファイル:Maslnice MRK Suszec.jpg|thumb|left|200px|かつてのヨーロッパでバター製造に使われた桶。中にクリームを入れ、中央の棒を上下させて攪拌する]] 『[[聖書]]』や『[[マハーバーラタ]]』(乳脂として)にも記述が存在するのでその時代には存在していたとされるが、容器に入れた[[生乳]]が偶然揺れただけでもバターは出来る為、起源は不明。少なくとも[[メソポタミア文明]]の時代には存在していた。バターが作られだした当初は[[皮]]製の[[袋]]に生乳を入れて[[木]]に吊るし、それを棒で打って揺すって作っていたと見られる。バターは[[古代ギリシア]]時代に[[スキタイ]]から[[西洋]]に渡ったようだが、[[野蛮人]]の食べ物と見られた事、[[オリーブオイル]]が普及していた事、[[チーズ]]と違い[[保存性]]が無い事などから、西洋では髪や体に塗る[[薬]]、[[化粧品]]、[[潤滑油]]として、ごく一部で使われていた。 その後、次第に[[食用]]としてのバターは普及し始めたが、やはり野蛮人の食べ物と言う見方は変わらず、貧しい者の食べ物とみなされていた。9世紀頃にフランスで本格的に食用として利用されだすと、ようやく貴族もバターを食べ始めたが、現在でもヨーロッパではオリーブオイルが主流の地域とバターが主流の地域がはっきりと分かれている。基本的に、バターを保存しやすい寒冷な土地でバターが普及していると見てもいい。それ故、[[スカンジナビア]]では少なくとも[[12世紀]]頃にバターの輸出が始まった。[[16世紀]]に[[四旬節]]の期間中にバターを食べてもいい事になり、これがきっかけで貴族がバターを食べる事が更に一般的になった。 [[File:ButterLamps.jpg|left|thumb|チベット仏教で用いられるバターランプ]] また、バターは[[ランプ (照明器具)|ランプ]]の油の代用ともされた。[[ルーアン]]大聖堂([[:fr:Cathédrale Notre-Dame de Rouen|fr]])の『バターの塔』は16世紀の四旬節に実際にランプの油にバターを使っていた事からこう名付けられたとされる<ref>Soyer, Alexis (1977) [1853]. The Pantropheon or a History of Food and its Preparation in Ancient Times. Wisbech, Cambs.: Paddington Press. p. 172. ISBN 0-448-22976-5.</ref>。また[[チベット仏教]]の寺院では、蝋燭ではなくバターランプが使われる<ref>[http://www.jica.go.jp/information/disaster_msg/bhu.html 国王陛下主催のバターランプ点火式から小学生のマーチまで ―ブータンの人びとも被災者を応援―]</ref>。 日本では江戸時代に[[徳川吉宗]]が、明治時代には[[エドウィン・ダン]]が日本でバターを試作している。江戸時代にはごくわずかではあるが生産されており、[[オランダ語]]に由来する「ぼうとろ」、あるいは「白牛酪」という名称で呼ばれ、購入者は削って食べたり、湯に溶かして飲んだ<ref>歴史の謎を探る会・編『江戸の食卓』61頁・河出書房新社。</ref>。本格的にバターが[[日本]]に広まったのは[[明治維新]]の後、[[明治政府]]が外国人相手に[[乳製品]]を供給する為、[[酪農]]の普及を指示してからである。{{要出典範囲|date=2010年12月|ただ、初期の明治の一般庶民の多くはバターを生理的に受け付けられず、甚だしくは香りを嗅いだだけで吐く者も多かった。}} [[19世紀]]末、戦争の混乱でバターの価格が高騰し、[[ナポレオン3世]]の命令で、バターの安価な代用品として作られたのが[[マーガリン]]である。 == 種類 == {|class="wikitable" style="font-size:small; text-align:center" |- ! !! 発酵 !! 無発酵 |- ! 有塩 | 発酵・有塩バター | 無発酵・有塩バター<br>(日本で通常市販されるバター) |- ! 食塩不使用<br>(かつての無塩バター) | 発酵・食塩不使用バター | 無発酵・食塩不使用バター |} 原料乳を[[乳酸]][[発酵]]させてから作る発酵バター(醗酵クリームバター)と、そのまま作る無発酵バター(スイートクリームバター)とがあり、それらに[[食塩]]を添加した有塩バターと添加しない食塩不使用バターの4種類に分かれる。 食塩不使用バターは、かつて無塩バターと称していたが、無塩で製造しても生乳に由来する塩分が微量含まれることから、[[厚生労働省]]の[[栄養表示基準]]により食品の正規表示が求められ、「無塩」という言葉が使えなくなった。 日本で市販されているバターは「無発酵、有塩」または「無発酵、食塩不使用」が多く、発酵バターはほとんど流通していない。 == 性質 == * バターに含まれる[[脂肪酸]]は様々な種類がある。([[融点]]がバラバラな脂肪酸が含まれている。)ただし、[[パルミチン酸]]が3割弱、[[オレイン酸]]が4分の1弱、[[ミリスチン酸]]と[[ステアリン酸]]が1割強を占めており、以上の4種で、バターに含まれる脂肪酸のほぼ75%を占めている。このため、次のような性質を持つ。 ** [[酸化]]によって劣化する。 ** [[冷蔵庫]]等で冷やすと、[[バターナイフ]]で切るのに多少力が要るほど固くなる。 ** 15[[セルシウス度|℃]]前後になると、[[可塑性]]のある状態となる。 ** 室温(20℃程度)にすると、[[固体脂指数]]が15%に近づき、十分に柔らかな状態となる。[[パン]]に塗ったり、洋菓子を作る際にはこの状態がよく使われる。 ** 30℃前後になると、[[融解]]が始まる。 ** 40℃に近づくと、固体脂指数は0%、つまり完全に[[液体]]となる。なお、この液体になった状態のバターを「溶かしバター」と言う。 * 溶かしバターを凝固しない温度で放置すると、乳脂肪以外の[[蛋白質]]など([[乳漿]])が底に沈む。上澄みは透き通った黄色っぽい色をしており、これを「'''澄ましバター'''」と言う。澄ましバターは、通常のバターでは風味が強すぎるような場合に使われる。 * 独特の香りを持つ。なお、醗酵バターの香り成分としては、[[ジアセチル]]などが知られる。 == 製造方法 == # [[牛乳]]から[[クリーム (食品)|クリーム]]を分離する。 # 攪拌機に入れて攪拌し、脂肪の塊をつくる。 # 冷水で洗浄し、脂肪分以外の[[バターミルク]]<ref>アメリカ等ではスーパーで市販されているが日本では[[食品衛生法]]の[[乳及び乳製品の成分規格等に関する省令|乳等省令]]等では記載がなく利用されず廃棄される。[http://okwave.jp/qa/q3873294.html なぜバターミルクは市販されないのでしょうか]参照。</ref>を除去する。 * 手作りの場合 {{Gallery |ファイル:Butter-making 1.jpg|動物性の生クリームなどを瓶にいれ、暫く振ると、脂肪が分離する |ファイル:Butter-making 2.jpg|分離した脂肪がくっつきだし、振ったときの感触が変わる |ファイル:Hand-made butter.jpg|練って水分を抜いた後、好みで塩を入れて完成した手作りバター }} * 乳脂肪分を細かくしてコロイド状に分離を防ぐための均質化([[:en:Homogenization|Homogenization]])の工程を経ている牛乳についてはクリームを分離することができない。日本で市販されている牛乳については「ノンホモ(ジナイズド)」等の表示がない限り均質化を受けており、牛乳から作ることは困難である。 * [[ミキサー (調理器具)|ミキサー]]で撹拌すると瓶に入れて振るよりも手早くできる。また、ホイップクリーム([[:en:Chantilly cream|Chantilly cream]])をミキサーで製造中に、過度の撹拌のために脂肪分が固まることがある。 なお家庭でも上記の方法で市販の動物性[[生クリーム]]から作ることは可能だが、市販品に比べて割高となる。 == 用途 == [[調味料]]のほか、パンなどの[[スプレッド]]、[[ソース (調味料)|ソース]]の材料、[[ソテー]]の焼き油や炒め油など、幅広く使われる。食塩不使用バターは[[洋菓子]]によく使われる。[[トースト]]や[[ホットケーキ]]などに使うのも有塩のものが多いが、塩分を控えている人などや、海外の例では食塩不使用のものを使う場合もある。バターに砂糖、ときには卵白も含めて練り合わせ、空気を入れて撹拌させてクリーム状にしたものは'''バタークリーム'''(Buttercream)と呼ばれ、ケーキのアイシング(糖衣)や詰め物に使われる<ref>「バター‐クリーム」『[[大辞泉]]』[[小学館]]。</ref><ref>「bútter・crèam」『ランダムハウス英語大辞典』</ref><ref>「バタークリーム」『[[イミダス|情報・知識事典imidas]]』集英社。</ref>。 そのほか、バターの中に[[レーズン]]を入れた[[レーズンバター]]もある。[[クラッカー (食品)|クラッカー]]の上などにそのかたまりを乗せて食べる場合などに利用される。[[パセリ]]バター、[[レモン]]バター、[[にんにく]]バターなどもあり、[[オードブル]]のほかに[[ステーキ]]や[[カレーライス]]などに添えられる。 [[ラーメン]]に使われることもある。これは[[ラード]]の代わりにバターを使ったことがきっかけ。[[香港]]や[[台湾]]の「[[ラード]]ごはん」のように、[[飯|米飯]]にバターと[[醤油]]をまぶして食べる人もいる([[バターご飯]])。 また既述の通り、歴史的にはランプの燃料として使用された例もある。 == 保存法 == 10℃以下での保存が望ましいとされる。冷凍庫に入れておくと長持ちする。レストランなどではバターディッシュやバタークーラーなどの容器に入れてテーブルに供されることもある。 == 代用バター == 「[[マーガリン]]」は [[植物油]]など他の材料から作られ、バターの安価な代替品として使われる場合がある。マーガリンは[[冷蔵庫]]内などの低温下においても固くならない性質があり、使用し易い面がある。しかし風味の点でマーガリンはバターに及ばない。マーガリンの風味は[[香料]]であることが多いので熱を加えると飛んでしまうが、バターは熱を加えることによってかえって風味が増す。 又、マーガリンには食べるプラスティックとも言われる[[トランス脂肪酸]]を8%程含んでいるため、体には悪い。 口語ではマーガリンを指してバターと呼ぶこともあるが誤用である。また、バターを含まないが、[[ピーナッツバター]]のように用途が似ていたり、バター[[ラッカセイ|ピーナッツ]]など実際には[[パーム油]]などが使われるが、バターに似た風味を持たせた食品に名前が使われることもある。マーガリン等と区別する為、本来のバターを「'''本バター'''」と呼称することもある。 その他の類似のものとして、[[ジアセチル]]という食品用[[香料]]もあり、バター風味の[[ポップコーン]]などに多く用いられている。 == バター不足 == 日本では2007年末からバターの原材料である生乳([[酪農|酪農家]]が牛から搾る乳)生産量の減少によりバター不足が業界各メーカーで発生している。これは以前の牛乳余剰を原因とする2006年度からの生産調整で[[乳牛]]が削減されているのに加え、国内の[[猛暑]]や輸入元の[[オーストラリア]]や[[ヨーロッパ]]の[[旱魃]]により生産が減少したためである。各メーカーでは出荷数量の制限や価格の改定を実施している。 [[小売|小売店]]においても特売の減少や一人当たりの購入数量の制限、在庫切れによる販売中止など、一般消費者にも影響が生じている。またバターを使用した[[ケーキ]]類の値上げなどの影響も出た。 これらのバター不足に対して当時[[農林水産大臣]]だった[[若林正俊]]は、乳業メーカーに対し、バターの増産を要請した。また、[[農畜産業振興機構]]は業務用の冷凍バターの輸入を前倒しして実施し、追加輸入を行う等の対策を行った(バターは日本では[[関税割当制]]指定物品)。これらの対策の結果、少し時間はかかったもののバター不足は収まった。 [[ノルウェー]]や[[フィンランド]]等の[[北欧]]諸国では2011年秋からバターの供給不足による価格高騰が発生した。これは、北欧諸国で昨今の健康志向で油脂類の摂取を控えるようになってバターの消費量が落ち込んだ上に、この年の夏の長雨が原因で[[生乳]]の生産量が落ち込んでバターの供給量が減った所に、今度は[[炭水化物]]抜き[[ダイエット]]([[アトキンスダイエット]])の流行が冬場の[[クリスマス]]シーズン(北欧ではクリスマスに大量の焼き菓子を作る風習があるのと、高カロリーの食事を取らないと冬の寒さをしのげない)を直撃したためである。これらの国では乳製品市場が特定企業による[[寡占]]状態なのと、バターの輸入にかかる関税が高い事もあって現時点では品薄状態が解消される目処が立たず、ロシア等からバターを密輸しようとして逮捕される者も出てきている。 == 生産地 == インド433万トン、EU圏206万トン、アメリカ82万トン、ニュージーランド47万トン、日本6.3万トン。(2011年)<ref>[http://www.fas.usda.gov/report.asp USDA FAS『Dairy: World Markets and Trade』]</ref> インドでは[[ヒンドゥー教]]の教義によって、牛肉の食用が制限されているため、[[菜食主義]]者が多い。彼らは足りない栄養を主に殺生せずに得られる牛乳やバターで補う。 == 象徴 == 国民生活向上の象徴として「バター」という言葉が用いられることがある。「大砲かバターか」という言葉は軍事(大砲)か国民生活(バター)のどちらを優先するかという意味で用いられる。 また、脂肪分の多い物の象徴ともなっており、例えば、[[ペカン]]は[[脂肪]]分の多いナッツが採れることから、俗に「バターの木」と呼ばれる<ref>印南 敏 監修 『Cook 料理全集別巻 材料の事典』 p.141 千趣会 1979年発行</ref>。 他にも、[[アボカド]]は[[果肉]]に[[脂肪]]分が約16%も含まれているのが特徴だが、これほど果肉に脂肪が豊富なことは、いわゆる「果物」の範疇に入るものとしては珍しい<ref name="in_crbz_p143">印南 敏 監修 『Cook 料理全集別巻 材料の事典』 p.143 千趣会 1979年発行</ref>。このため、俗に「バターフルーツ」とも「森のバター」とも呼ばれる。 == 関連項目 == {{Commonscat|Butter}} * [[ショートニング性]] * [[クリーミング性]] * [[乳製品]] * [[ラード]]と[[ショートニング]] * [[カカオバター]] - バターに似た食品 * [[シアバター]] - バターに似た食品 * [[酪酸]] * [[バターナイフ]] * [[ギー]] - インドやアフガニスタン地域の乳製品 == 出典 == {{Reflist}} {{DEFAULTSORT:はたあ}} [[Category:乳製品]] [[Category:食用油脂]] [[Category:動物性油脂]] [[Category:スプレッド]] {{Link FA|he}}
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