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バアル
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{{参照方法|date=2012年1月}} [[ファイル:Temple of Bel in Palmyra.JPG|thumb|right|250px|[[シリア]]の[[パルミラ]]にあるバアルの神殿<br/>([[ベル神殿]])]] '''バアル'''({{仮リンク|聖書ヘブライ語|en|Biblical Hebrew}}: '''ba‘alu'''、[[ウガリット語]]: '''{{lang|uga|b‘l}}''')は、[[カナン]]地域を中心に各所で崇められた嵐と慈雨の神。その名は[[セム語]]で「主」を意味する<ref name="パルミラの遺跡p13">[[#パルミラの遺跡|パルミラの遺跡 (1988)、49頁]]</ref>。'''バール'''や、[[バビロニア]]式発音の'''ベール'''<ref name="パルミラの遺跡p13"/>、および'''ベル'''とも表記される。 == 歴史 == [[ファイル:Baal Ugarit Louvre AO17330.jpg|thumb|right|130px|バアル像<br/>([[ルーヴル美術館]]蔵)]] もともとはハッドゥまたはハダドという名で、アッカドの雷神アダドの前身でもある。この名は恐らく雷鳴の擬音と考えられる。しかしハッドゥが主神、すなわちバアルと呼ばれ崇められているうちに、その呼称が固有名詞化し、後にはもっぱらバアルと呼ばれるようになった。 本来、[[カナン人]]の高位の神だったが、その信仰は周辺に広まり、[[旧約聖書]]の[[列王記]]下などにもその名がある。また、[[ヒクソス]]による[[エジプト第15王朝]]・[[エジプト第16王朝]]では[[エジプト神話]]にも取り入れられ同じ嵐の神の[[セト]]と同一視された。[[フェニキア]]やその植民地[[カルタゴ]]の最高神[[バアル・ハモン|バアル・ハンモン]]を[[モレク]]と結びつける説もある。さらに[[古代ギリシア|ギリシア]]でもバアル({{lang-grc|Βάαλ}})の名で崇められた。足を前後に開き右手を挙げている独特のポーズで表されることが多い。 ==ウガリット神話におけるバアル== [[ウガリット神話]]では最高神[[エール (神)|イル]]と全ての神々の母[[アーシラト]]または[[アスタルト]]の息子と呼ばれる。また[[ダゴン]]の子バアル(b‘l bn dgn)とも呼ばれる。勝利の女神[[アナト]]の兄にして夫。またアスタルトを妻とする解釈もある。 彫像などでは、右手で矛を振りかざし、左手に稲妻を握る戦士の姿で表される。豊穣神として崇められ、竜神{{仮リンク|ヤム・ナハル|en|Yam (god)}}や死の神[[モート]]の敵対者とされる。ヤムとの戦いは彼が荒々しい自然界の水を征する利水・治水の神であることを象徴し、モートとの戦いは彼が慈雨によって実りをもたらし、命を養う糧を与える神であることを象徴する。 武器である稲妻・[[ヤグルシ]]と矛・[[マイムール]]は命じると相手の元へ飛んでいき、その相手を叩きのめす。 バアルはイルを追放すると、イルに唆されたヤム・ナハルの使者が他の神々を操っているのを見た。 その使者から「ヤム・ナハルは神々の支配者であり、バアルはヤム・ナハルの奴隷である」との宣告を受けて憤るが、アスタルトとアナトに止められる。その後バアルは追放されるが、イルに逆らった工芸神コシャル・ハシスの作った武器・ヤグルシとマイムールを受け取るとヤム・ナハルの元へ行き、激闘の末ヤム・ナハルの頭を粉砕してこれを打ち倒す。 ヤム・ナハルを倒し、晴れて神々の王となったバアルだったが、自分の神殿がないことを嘆き、アナトの協力を得て神殿建設の許可を得ると、コシャル・ハシスにこれを建設させた。建設の途中、先の戦いで捕らえたヤム・ナハルとその娘達を逃がさないように神殿に窓を付けないようにコシャル・ハシスに命じたが、彼はバアルに「あなたが雲に乗って出かけるには窓が必要」と助言し、結局その通りに神殿には窓が付けられた。後に、ヤム・ナハルはアスタルトの進言によりバラバラにされて撒かれた。 その後、バアルの元にモートからの使者が送り込まれ、モートの「自分は神々の支配者である」との主張を受けて激怒したバアルははモートとの戦いを決意する。まずバアルはモートの送り込んだ7頭蛇[[レヴィアタン|ロタン]]を打ち倒した。その後バアルの神殿で行われる祝宴に招かれたモートは肉料理が出されなかったことを責め、バアルに冥界に来るよう使者に告げさせた。 バアルはモートを恐れ、太陽神[[シャプシュ|シャパシュ]]([[ウガリット語]]: Shapash)に助言を求めると、彼女は身代わりを用意するよう助言し、バアルは牝牛との間に身代わりの息子をもうけた。身代わりや娘たちと冥界に行ったバアルは一度は死ぬが、アナトの尽力によって復活した。そして再びモートと対決するが、シャパシュの説得によって和解した。 [[ハルナイム]]の王{{仮リンク|ダニルウ|en|Danel}}が世継ぎがいないことを気にし、6日間もの間儀式をして神々に供物を捧げた際には、ダニルウに息子を与えるようイルにとりなした。その後、ダニルウの息子アクハトが生まれ、[[アナト]]が彼の持つ特別な弓を手に入れようとして失敗し、復讐の為[[ワシ|鷲]]にアクハトを殺させた際には、アクハトの妹[[プガト]]の祈りを聞き入れてその鷲たちを倒して地上に落とした。 ==聖書におけるバアル== 旧約聖書の列王記下では、預言者[[エリヤ]]がバアルの預言者と争い、神の偉力をもってバアル信者を打ち滅ぼしたことが書かれている。バアルは旧約聖書の著者達から嫌われており、もともと「バアル・ゼブル」(崇高なるバアル)と呼ばれていたのを「[[ベルゼブブ|バアル・ゼブブ]]」(蝿のバアル)と呼んで嘲笑した。 この呼称が定着し、後世にはベールゼブブと呼ばれる悪魔の1柱に位置づけられている。[[士師記]]にも記述が見られ、バアルの祭壇を破壊した[[士師]][[ギデオン]]はエルバアル(バアルは自ら争う)と呼ばれた<ref>士師記 6.32</ref>。新約聖書ではイエス・キリストが悪霊のかしらベルゼブルの力を借りて悪霊を追い払っているとの嫌疑をかけられている。聖書においては異教(他国)の神々は否定的に描かれていることが多い。 また、人身供犠を求める偶像神として否定的に描かれ、[[アブラハムの宗教]]に対する「異教の男神」一般を広く指す普通名詞としてバアルの名が使われる場合もある。 [[ファイル:Baal (Demon).jpg|thumb|right|200px|[[コラン・ド・プランシー]]著『地獄の辞典』第6版の挿絵におけるバエルの姿]] ==グリモワールにおけるバアル== バアルは旧約聖書に現れる異教の神として[[悪魔学]]でも重視される。 [[グリモワール]]のひとつ『[[ソロモンの小さな鍵]]』の第一書とされる『[[ゴエティア]]』では'''バエル'''('''Baël''')の名で現れる。東方を支配し、66の軍団を率いる序列1番の大いなる王とされる。強さ、支配、法と正義の調和、大胆、勇気、破廉恥、復讐、決断、不穏、高慢、感受性、野心、聡明を司るとされる。 『大奥義書』でも、6柱の上級精霊に仕える18柱の下位精霊に名前を挙げられており、[[ルキフゲ・ロフォカレ]]の支配下にあるという<ref>Arthur Edward Waite, ''The Book of Ceremonial Magic''(1913), [http://www.sacred-texts.com/grim/bcm/bcm51.htm p187]</ref>。 さまざまな姿で現れ、[[カエル]]、[[ネコ|猫]]、または人間に似た姿、もしくはこれら全てを併せ持った姿を取るという<ref>『[[悪魔の偽王国]]』では、カエル、ネコ、人間の3つの頭を持った姿で現れると書かれている。</ref>。[[コラン・ド・プランシー]]著『地獄の辞典』の挿絵では、ネコ、[[王冠]]を被った人間、カエルの頭をもった[[クモ|蜘蛛]]の姿で描かれている。しわがれた声で話し、人を透明にしたり、知恵を与えたりする力を持つという<ref> Johann Weyer, [http://www.esotericarchives.com/solomon/weyer.htm ''Pseudomonarchia Daemonum'']</ref>。戦いに強いと言われることもある<ref>『地獄の辞典』p216-217、「バエル」の項</ref>。 == 脚注 == {{脚注ヘルプ}} <references/> == 参考文献 == * {{Cite book|和書 |author=アドナン=ブンニ、ハレド=アル=アサド |translator=小玉新次郎 |year=1988 |title=パルミラの遺跡 |publisher=[[東京新聞出版局]] |ref=パルミラの遺跡}} * グスタフ・ディヴィッドスン著『天使事典』吉永進一訳、[[創元社]]、2004年、ISBN 978-4-422-20229-7 * コラン・ド・プランシー著『地獄の辞典』床鍋剛彦訳、[[講談社]]、1990年、ISBN 978-4-06-201297-3 * 『バアルの物語』谷川政美訳、[[新風舎]]、1998年、ISBN 978-4-7974-0327-5 * Arthur Edward Waite, ''The Book of Ceremonial Magic''(1913), [http://www.sacred-texts.com/grim/bcm/index.htm The Internet Sacred Text Archive 内の文書](英文) * S.L. MacGregor Mathers and Aleister Crowley, ''The Lesser Key of Solomon''(1904),[http://www.sacred-texts.com/grim/lks/lks05.htm p22] [http://www.sacred-texts.com/grim/lks/index.htm The Internet Sacred Text Archive 内の文書](英文) * Johann Weyer, ''Pseudomonarchia Daemonum'', [http://www.esotericarchives.com/solomon/weyer.htm Twilit Grotto: Archives of Western Esoterica 内の文書](ラテン語および英文) * ''Goetia'', [http://www.esotericarchives.com/solomon/goetia.htm Twilit Grotto: Archives of Western Esoterica 内の文書](英文) == 関連項目 == * [[キリスト教]] * [[ヤハウェ]] * [[ベルゼブブ]] * [[ハンニバル]] == 外部リンク == * [http://schneidtbach.web.infoseek.co.jp/Elias&OT01.htm エリヤと旧約聖書のおはなし(1)] * [http://schneidtbach.web.infoseek.co.jp/Elias&OT02.htm エリヤと旧約聖書のおはなし(2)] * [http://www5b.biglobe.ne.jp/~moonover/bekkan/mania/barl.htm バアルの変遷~本来の姿とエジプトでの姿] {{DEFAULTSORT:はある}} [[Category:カナン神話の神]] [[Category:豊穣神]] [[Category:風神]] [[Category:ゴエティアの悪魔]] [[Category:ウガリット]] [[Category:列王記]] {{ゴエティアの悪魔}}
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