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'''ハム音'''または'''ハムノイズ'''(単に'''ハム'''とも)とは、電源周波数に準じた低い「ブーン」という[[雑音]]のこと。 *一般に[[正弦波]]に近い倍音の少ないものをハムと称する。 *倍音を含んだノイズはバズ(Buzz)と称する。 英単語の'''Hum'''に由来し、ノイズ(雑音)とした場合には、主に2通りの意味がある。 #[[機械]]類の動作に伴って聞こえる低周波の音。 #[[ラジオ]]や[[増幅器|アンプ]][[スピーカー]]など[[音]]を出すための機器から、音声に混じって聞こえる。本項で主に述べる。 *語感から、スピーカーから出力された音が[[マイクロフォン]]に拾われ、無制限に拡大されて甲高い音となる現象と混同されることがあるが、それに関しては[[ハウリング]]または[[発振回路]]の項を参照すること。 ==概要== この音は、[[交流]]電源などの振幅によって発生する電磁波に由来し、[[商用電源]]に由来するものでは、日本では交流電源の周波数により、50ないし60[[ヘルツ]]の[[低周波|低音]]として聞こえる。 <!-- 一般的でないように思います 交流電源由来のものは常に低音として聞こえることから'''バス音'''(音楽用語の[[バス (声域)|バス]]と同じ「低音」の意で、やや誤用のように思われる)ともいう。 --> ===語源=== 同語となっている'''hum'''は元々[[ミツバチ]]が飛ぶ「ブンブン」という羽の音を指したが、機械類の立てるブンブンとうなる音も指し、これに関連して「景気良く活動している様子」を指す場合もある。 <!-- ただHumという単語自体には #ザワザワという音 #モゴモゴとはっきりしない口調 #[[鼻歌]]を歌う #ハミング(合唱)する #腐りかけた肉などが臭う様子・ニオイが臭い(英[[俗語]]・[[ハエ]]が「ブンブン」?) といった様々な意味があり、やや誤解を招きやすい語といえよう。 --> ==原理== 空間中にある[[電磁波]]が[[導体]]と衝突した際に電流となって、先に挙げた音を出すための機器の[[電気回路|回路]]内に[[ノイズ (電子工学)|電気的ノイズ]]として現れ、これがスピーカーに電気信号として流れることによって人の[[耳]]に聞こえる音となる。 より詳しく説明すると、交流電流が流れている電源線・[[変圧器]]等からは[[磁場]]の形でノイズが発生するわけだが、これが導体にあたることによって[[フレミングの法則|フレミングの右手の法則]]に従い電流が発生する。この磁場強度は交流電流であるため一定ではなく、(極めて短いサイクルだが)周期的に変化する。当然ながらそれに影響されて発生する電流の量も同じ周期性で変動し、その電流の周期的な強弱がスピーカーにて[[フレミングの法則|フレミングの左手の法則]]に従いスピーカーコイルの運動に変換・[[スピーカー|スピーカーコーン]]から一定の音として聞こえることとなる。 家庭内におけるこれらの磁気的ノイズの発生源としては、電流の流れている電灯線はもちろんのこと、[[蛍光灯]]を利用する[[照明器具]]内に組み込まれた変圧トランスや[[ACアダプター]]に内蔵された変圧トランス等が挙げられるが、このほかにも一定速度で動作中の[[電動機|モーター]]からも同じようなノイズが出ている。しかしこれは、モーターの回転速度にもよるため、一般的に認識され得るハム音とは音域などの面で異なる場合もある。 また磁気的ノイズではなく[[電波]]的ノイズによる場合は、[[無線機]]や[[放電]]を利用する機器(蛍光灯や[[ネオンサイン]]など)から発生する電波が由来とされる。特に[[整流]]されていなかったり、整流がいいかげんな直流電流を利用した機器からは、周期的に変動する電波が発せられるが、これが他機器の回路上に、周期的に変動する電流となって現れることとなる。 程度によっては耳障りという程の音にはならないが、特に正確な再現性が求められるオーディオセットなどにおいては、視聴に際して気分や雰囲気を損なう場合も見られ、ノイズとして軽減することを追求する向きもある。([[#防止策|下記]]参照) 中には、機器設計上の不具合からこのハム音が出やすいアンプ内蔵スピーカーも見られるが、これはアンプ回路と電源回路間の[[絶縁 (電気)|絶縁]]や[[シール (工学)|シールド]]の不具合から起きるとされ、特に小型[[音響機器]]でも質の低い製品にあっては、この問題を抱える[[不良品]]も見られる。ただ、どんな高価な音響機器でも「信号/ノイズ比([[S/N比]])」によって一定の品質を保っている部分もあるため、何も楽曲などを再生させていない状態で音量を上げた場合には、程度問題で聞こえてしまう。 ==防止策== ノイズ源の対策は、たとえば原因が磁気結合の場合はトランス等のノイズ源に対して珪素鋼板などで磁気シールドを施すなどがある。 機器側の対策としてはシールド線やツイスト線などのノイズ対策が施されたケーブルを必要な長さだけ使う、[[平衡回路]]を使って伝送中のノイズを打ち消すといったことがある。また、使用上の対策として電源ケーブルや[[映像信号]]ケーブルなどと音声ケーブルを至近距離で平行して敷設しない、音声とノイズ源のケーブルが交差せざるを得ない場合は、直角に交差させてその影響を少なくする、ノイズ源から音響機器を遠ざけるなどがある。 まれに電源にモーター由来の低周期的な[[電圧]]や[[電流]]の変動が現れる場合もあるが、これもハム音の原因として現れるケースもある。この場合には整流[[インバータ]]とも呼ばれる電源補償を行う機器([[無停電電源装置|交流無停電電源装置]]とも呼ばれる)を利用することで解消することが可能である。 またこれらハム音が常に一定の周波数であるため、[[フィルタ回路]]や[[イコライザー (音響機器)|イコライザ]]で該当周波数の音だけを減衰させるといった対策もとられる。この場合、再生すべき音声・楽曲にその周波数が含まれている場合はそれらまで減衰してしまうため、再生品質に問題が出る場合がある。 == 関連項目 == * [[ハムバッキング]] [[Category:音響工学|はむおん]] [[Category:ノイズ|はむおん]]
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