ノスリのソースを表示

{{生物分類表
|省略=鳥綱
|名称 = ノスリ
|画像=[[ファイル:Buteo japonicus1.jpg|250px]]
|画像キャプション = ノスリ ''Buteo japonicus''
|status = <!--UR-->
|status_text = <!--[[IUCN]] Red List-->
|目 = [[タカ目]] {{sname||Accipitriformes}}
|科 = [[タカ科]] {{sname||Accipitridae}}
|属 = [[ノスリ属]] {{snamei||Buteo}}
|種 = '''ノスリ''' {{snamei|B. japonicus}}
|学名 = ''Buteo japonicus''<br /> {{AUY|[[コンラート・ヤコブ・テミンク|Temminck]] & [[ヘルマン・シュレーゲル|Schlegel]]|1844}}
|和名 = ノスリ
|英名 = Eastern Buzzard
}}

'''ノスリ'''（鵟、学名 {{snamei|Buteo japonicus}}）は、[[鳥類]][[タカ目]][[タカ科]][[ノスリ属]]の1種である。

従来、ノスリ属の[[タイプ_(分類学)|模式種]][[ヨーロッパノスリ]] {{snamei||Buteo buteo}} などと同種とされていたが、2008年の[[分子系統]]により別種と判明した<ref name="IOC">{{cite | url=http://www.worldbirdnames.org/n-raptors.html | chapter=Raptors | title=IOC World Bird Names | version=2.6 | editor-link=:en:Frank Gill (ornithologist) | editor-first=Frank | editor-last=Gill | editor2-first=David | editor2-last=Donsker |  year=2010 }}</ref>。

== 分布 ==
中央・南[[シベリア]]、[[モンゴル国|モンゴル]]、[[中華人民共和国|中国]]、[[日本]]に棲息する<ref name="IOC"/>。夏季は亜寒帯や温帯域で繁殖し、冬季は熱帯や温帯へ[[渡り]]をおこない越冬する。

日本では亜種ノスリ、亜種[[ダイトウノスリ]]、亜種[[オガサワラノスリ]]が生息する。亜種ノスリは、[[北海道]]、[[本州]]中部以北、[[四国]]の山地で繁殖し、繁殖地では[[留鳥]]である。この他[[南西諸島]]を除く全国に[[冬鳥]]として飛来する。亜種ダイトウノスリは大東諸島に[[留鳥]]として生息したとされていたが、すでに[[絶滅]]しているとされる。亜種オガサワラノスリは[[小笠原諸島]]に[[留鳥]]として周年生息する。

[[ファイル:Buteo buteo dis.PNG|thumb|left|300px|ノスリ、ヨーロッパノスリ、{{snamei|B. refectus}} を合わせた生息域。
{{Legend|#00FF00|繁殖地（夏鳥）}}
{{Legend|#008000|年間を通じ棲息（留鳥）}}
{{Legend|#0080FF|越冬地（冬鳥）}}
]]{{clear}}

== 形態 ==
全長50–60[[センチメートル|cm]]。翼開長100–140cm。[[体重]]500–1300[[グラム|g]]。オスよりもメスの方が大型になる。背面は褐色、腹面は淡褐色の羽毛に覆われる。喉の羽毛は黒い。

[[虹彩]]は褐色。
; {{snamei|B. j. oshiroi}} ダイトウノスリ
:全体的に[[黄土色]]がかり、背面や翼の羽毛の赤みが強い。
; {{snamei|B. j. toyoshimai}} オガサワラノスリ
:やや小型。背面の羽毛の色彩が淡く、全体的に白っぽい。

==系統と分類==
[[ファイル:Buteo buteo 5 (Marek Szczepanek).jpg|thumb|250x250px|かつてノスリに近縁と考えられたヨーロッパノスリ]]
[[File:Madagascar buzzard.jpg|thumb|ノスリに近縁なマダガスカルノスリ]]
系統は {{en|Lerner ''et al''. (2008)}}<ref>{{cite | last=Lerner | first=H.R.L. | first2=M.C. | last2=Llaver | first3=D.P. | last3=Mindell | year=2008 | title=Molecular Phylogenetics of the Buteonine Birds of Prey (Accipitridae) | journal=[[:en:Auk (journal)|Auk]] | volume=304 | page=304–315 | url=http://www.bioone.org/doi/abs/10.1525/auk.2008.06161 }}</ref>、種はIOC<ref name="IOC"/>より。

{{Clade | style=font-size:small; line-height:1em; white-space:nowrap
  |{{Clade
    |{{Clade
      |[[アカケアシノスリ]] {{snamei||Buteo regalis}}
      |[[ケアシノスリ]] {{snamei||Buteo lagopus}}
    }}
    |[[アフリカアカオノスリ]] {{snamei||Buteo auguralis}}
    |[[ヨーロッパノスリ]] {{snamei||Buteo buteo}}
    |[[ニシオオノスリ]] {{snamei||Buteo rufinus}}
    |{{Clade
      |[[マダガスカルノスリ]] {{snamei||Buteo brachypterus}}
      |'''ノスリ''' {{snamei|Buteo japonicus}}
    }}
    |{{Clade
      |[[オオノスリ]] {{snamei||Buteo hemilasius}}
      |{{snamei|Buteo refectus}}
    }}
    |{{Clade
      |[[アカクロノスリ]] {{snamei||Buteo rufofuscus}}
      |[[ヨゲンノスリ]] {{snamei||Buteo augur}}
    }}
  }}
}}

かつての広義のノスリ {{snamei|B. buteo}} は、系統的に離れたヨーロッパノスリ {{snamei|B. buteo}}、ノスリ {{snamei|B. japonicus}}、{{snamei|B. refectus}} の3種に分割された。ノスリはマダガスカルノスリに、{{snamei|B. refectus}} はオオノスリに近縁である。

ヨーロッパノスリは[[ユーラシア]]の広域で繁殖し、[[アフリカ]]や[[東洋区|熱帯アジア]]でも越冬する。{{snamei|B. refectus}} は[[ヒマラヤ山脈|ヒマラヤ]]に棲息する。

かつて別種とされることがあったソウゲンノスリ {{snamei|B. b. vulpinus}} は、ヨーロッパノスリにとどめられる。

== 亜種 ==
* {{snamei|Buteo japonicus japonicus}} {{AUY|[[コンラート・ヤコブ・テミンク|Temminck]] & [[ヘルマン・シュレーゲル|Schlegel]]|1844}} ノスリ
* {{snamei|Buteo japonicus oshiroi}} {{AUY|[[黒田長久|Kuroda]]|1971}} ダイトウノスリ
**日本（[[大東諸島]]）[[固有種|固有亜種]]
* {{snamei|Buteo japonicus toyoshimai}} {{AUY|Momiyama|1927}} オガサワラノスリ 
**日本（[[小笠原諸島]]）固有亜種
等 ?

亜種ダイトウノスリは1970年代初めから記録がなく、絶滅した可能性もある。また、分類の基準となる[[タイプ標本]]が存在しないため、そもそも亜種としての存在を疑問視する声もある。

== 生態 ==
平地から[[山地]]の[[森林]]に生息する。群れは形成せず、単独もしくはペアで生活する。

食性は動物食で、[[昆虫類]]、[[節足動物]]、陸棲の[[貝類]]、[[ミミズ]]、[[両生類]]、[[爬虫類]]、鳥類、小型[[哺乳類]]等を食べる。

繁殖期には縄張りを形成する。樹上や断崖の上に木の枝を組み合わせた巣を作り、日本では5月に2–4個の卵を産む。主にメスが抱卵（雌雄とも抱卵することもある）し、抱卵期間は33–35日。雛は孵化後50–55日で飛翔できるようになり、その40–55日後に独立する。生後2–3年で性成熟する。

== 保全状況評価 ==
種とされて日が浅いため、[[IUCN]] Red List ではUR (Under Review) である。

;ダイトウノスリ　''B. j. oshiroi''
:*{{絶滅}}
:* 国内[[希少野生動植物種]]（[[絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律|種の保存法]]） - 1993年
;オガサワラノスリ　''B. j. toyoshimai''
:*{{絶滅危惧IB類}}
:* 日本国指定の[[天然記念物]]（[[文化財保護法]]）
:* 国内希少野生動植物種（種の保存法） - 1993年

== 人間との関係 ==
人里近くにも生息するため環境破壊による生息地や獲物の減少の影響を受けやすく、生息数は減少している。

鷹と似ているが[[鷹狩]]に使えない為、役に立たない鷹として、奈良時代には「くそとび」と呼ばれていた<ref>安部直哉『山渓名前図鑑 野鳥の名前』(山と渓谷社) 253頁 ISBN 978-4-635-07017-1</ref>。

== 関連項目 ==
{{Commons|Buteo_japonicus}}
{{Wikispecies|Buteo_buteo|ヨーロッパノスリ}}
* [[鳥類天然記念物一覧]]
* [[鳥類レッドリスト (環境省)]]
* [[日本の野鳥一覧]]
* [[チュウヒ]]

==出典==
{{reflist}}

== 参考文献 ==
* 『原色ワイド図鑑4 鳥』、[[学研ホールディングス|学習研究社]]、1984年、108頁。
* [[黒田長久]] 監修、[[:en:Chris Perrins|C.M.ペリンズ]]、A.L.A.ミドルトン 編 『動物大百科7 鳥I』、[[平凡社]]、[[1986年]]、183頁。
* 『小学館の図鑑NEO 鳥』、[[小学館]]、2002年、39頁。
* [[川上洋一]] 『絶滅危惧の野鳥事典』、[[東京堂出版]]、2008年
* [[真木広造]]、[[大西敏一]] 『日本の野鳥590』 [[平凡社]]、2000年

== 外部リンク ==
* [http://www.cites.org/ CITES homepage]
** [http://www.cites.org/eng/app/appendices.shtml ワシントン条約掲載種、タクソンリスト]
* [http://www.bunka.go.jp/ 文化庁]
** [http://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/index_pc.asp 国指定文化財等データベース]
* [http://www.biodic.go.jp/index.html 環境省 自然環境局 生物多様性センター]
** [http://www.biodic.go.jp/rdb_fts/2000/73-107.html 絶滅危惧種情報(動物)- ダイトウノスリ -]
** [http://www.biodic.go.jp/rdb_fts/2000/73-096.html 絶滅危惧種情報(動物)- オガサワラノスリ -]

{{DEFAULTSORT:のすり}}
[[Category:タカ科]]
{{Link GA|de}}