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トーラス
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{{otheruses|トーラス}} [[Image:Torus.png|thumb|トーラス]] [[Image:Not-star-shaped.svg|thumb|90px|アニュラス]] '''トーラス'''(''torus''、複数形:''tori'')、'''多重連結空間'''、'''円環面'''とは、[[種数]] (''genus'') が 1 の[[閉曲面]]。 あるいは、その面に内部を加えたもの。正確には、こちらは'''トーラス体''' (solid torus) と呼ぶ。まれに、面のほうを'''トーラス面''' (torus surface) と呼ぶこともある。 '''輪環(面/体)'''、'''円環(面/体)'''などともいう。ただし円環という言葉は[[アニュラス]](''annulus''、環帯)という別の図形に用いることもある。 == トーラスの例 == [[画像:Donut.jpg|thumb|ドーナツ]] [[トポロジー]]的な意味でのトーラスは、[[ユークリッド幾何学]]的にはきわめて多様な図形であるが、その中でもよく知られたものがいくつかある。 ===ドーナツ型=== [[Image:Torus 3d.png|thumb|R = 大半径、r = 小半径]] [[画像:torus_cycles.png|thumb|赤色の線がメリディアン、桃色の線がロンジチュード]] 最もありふれたトーラスは、[[円 (数学)|円]](周)の外側に[[回転軸]]を置き得られる[[回転体]]、いわゆる「[[ドーナツ]]型」である。 トーラスの形と大きさを示すには大円の半径である大半径 ''R'' と、小円の半径である小半径 ''r'' (''R'' > ''r'') の2つの値が必要である(図)。小円とは回転体の断面の円、大円は小円の中心がなす円のことである。大円はトーラスの'''中心曲線'''(ちゅうしんきょくせん、core curve)ともいわれる。このトーラスは、''xz'' 平面上の円 ''C'' :<math>C: (x - R)^2 + z^2 = r^2 \quad (R>r>0)</math> を''z''軸の周りで回転することによって得られ、その方程式は :<math>T: \left(\sqrt{x^2 + y^2} - R \right)^2 + z^2 = r^2</math> となる。 また、右図のように、[[媒介変数]] ''t'' , ''p'' (0≦''t''≦2π , 0≦''p''≦2π)を使えば :<math> x = R\cos{t} + r\cos{p}\cos{t} \, </math> :<math> y = R\sin{t} + r\cos{p}\sin{t} \, </math> :<math> z = r \sin{p} \, </math> と表示することもできる(''t'' , ''p'' を消去すれば前述の方程式になる)。 ここで媒介変数 ''t'' を一定としたときのトーラス上の閉曲線を'''メリディアン'''(meridian)または'''経線'''(けいせん)といい、 ''p'' を一定にしたときのトーラス上の閉曲線を'''ロンジチュード'''(longitude)または'''緯線'''(いせん)という。トポロジー的には、トーラス上で ''t'' (または ''p'') を固定した曲線と同位な閉曲線はすべてメリディアン(またはロンジチュード)と考える。 このトーラスの表面積 ''S'' と体積 ''V'' は、 :<math>S = 4 \pi^2 rR = (2 \pi r) (2 \pi R) \,</math> :<math>V = 2 \pi^2 r^2 R = (\pi r^2) (2 \pi R) \,</math> である。それぞれ、小円の円周と面積に大円の円周を掛けた値になっている。 ===平坦トーラス=== '''平坦トーラス''' (flat torus) は、[[円柱]]面を[[平坦]]なまま曲げて、両側の端を合わせ貼り付けることで得られる。「平坦」とは「[[曲率]]0」ということで、円柱面のように1方向にしか曲がっていない面は曲率0なので平坦である。平坦な面は[[可展]]、つまり、伸縮なしで[[平面]](や他の平坦な面)に変形可能である。3次元空間内で円柱面を曲げるにはどうやっても伸縮が必要で、曲率のあるドーナツ型しか作れない。平坦トーラスを作るには、4次元空間が必要である。 平坦トーラスは[[長方形]]から作ることもできる。丸めて左右の辺を張り合わせて円柱面にし、あとは同じようにすればいい。円柱面の端とは元の長方形の上下の辺なので、上と下、右と左を貼り付けたことになる。ここで順序を変えて、まず右と左、次に上と下を貼り付けても平坦トーラスができ、このトーラスは元のトーラスと[[合同]]である。3次元空間内で考えれば、順序を変えると縦横が入れ替わり戻せないように思えるかもしれないが、4次元空間内では[[回転]]により重ね合わすことができる。つまり、上下・左右どちらを先に貼り付けても結果は同じである。 平坦トーラスを作る作業は4次元空間内であるため図示も想像も難しいが、実際に曲げずに、単に上と下、右と左が繋がっていると考えれば、平面幾何に関する限り同じことである。あるいは、同じ長方形が上下左右に無限に繰り返していると考えてもいい。家庭用ゲーム・[[ドラゴンクエストシリーズ]]などの[[コンピュータRPG]]に登場する、世界地図の右端と左端だけでなく上端と下端が同じ向き付けで繋がっているような世界は、[[地球]]のような[[球面]]ではなく平坦トーラスである。 ここまで長方形を例に挙げたが、実は[[平行四辺形]]なら平坦トーラスを作るのに[[必要十分]]である。たとえば、二重周期を持つ[[楕円関数]]は、二つの基本周期が描く平行四辺形から構成される平坦トーラスの上で、自然に定義される関数であると解釈される。 <gallery> 画像:MUFFIL-1 Verheftung und Form des 2-Torus.png|[[正方形]]から円筒を、円筒からトーラスをつくる。 Image:TorusAsSquare.svg|AとA、BとB(あるいはBとB、AとA)を繋げる。 Image:Inside-out_torus_(animated,_small).gif|繋げる順序が違うトーラス間の変形([[アニメGIF]])。4次元空間では穴あけ・伸縮なしでこの変形が可能である。 </gallery> ==トポロジー的なトーラス== トポロジー的には、トーラスはどれだけ伸縮してもいい。有名な例は、ドーナツと[[コーヒーカップ]]は[[同相]]である、というものである。つまり、コーヒーカップ(の表面)もトーラスである。 また、下図のように、[[結び目理論|結び目]]状になっているトーラスを考えることもできる。全ての結び目が円周に同相なように、結び目状になっているトーラスも標準的なトーラスと同相になる。ただし中心曲線の結び目が異なれば3次元空間上ではそれらは同位にならない。 トーラスは、2次元球面から2つの円板を除去し、その境界にシリンダー ''S''<sup>1</sup>×''I'' の両端を貼り付けることによってつくることもできる。トーラスに対してさらにもう1つシリンダーをつけた曲面は'''二つ穴トーラス''' (double torus) と呼ぶことがある。これを繰り返してさらに多くの穴を持ったトーラスを考えることができ、穴の個数のことを[[種数#位相幾何学|種数]]という。また、シリンダーをつける操作は、新たなトーラスを[[連結和]]によって加えていることに相当する。 <gallery> Image:Mug and Torus morph.gif|コーヒーカップとドーナツは同相である Image:KnottedTorus.png|[[三葉結び目]]状のトーラス Image:Triple torus illustration.png|3つ穴トーラス </gallery> ==性質== * トーラスの[[基本群]]は <''x'', ''y'' | ''xyx''<sup>-1</sup>''y''<sup>-1</sup>> である。 ==''n''次元トーラス== [[円周]]あるいは[[曲線|単純閉曲線]] ''S''<sup>1</sup> を 1 次元トーラスという。冒頭で述べた意味でのトーラスは ''S''<sup>1</sup> × ''S''<sup>1</sup> とあらわすことができる(片方の ''S''<sup>1</sup> をメリディアン、もう片方の ''S''<sup>1</sup> をロンジチュードと考えればよい)。一般に、''n'' 次元トーラスあるいは簡単に ''n''-トーラス ''T''<sup>''n''</sup> とは ''S''<sup>1</sup> の ''n'' 個の直積 :<math>T^n = S^1 \times S^1 \times \cdots \times S^1</math> のことである。この語法に従えば、冒頭で述べた意味でのトーラスは 2-トーラスということになる。 [[代数学]]においては、絶対値が 1 に等しい[[複素数]]が[[複素数平面]]上で描く軌跡はしばしば ''S''<sup>1</sup> = ''T''<sup>1</sup> とみなされる。また、''T''<sup>1</sup> は線分 [0, 1] の両端を同一視したもの、あるいは同じことだが実数体 '''R''' を有理整数環 '''Z''' で割った剰余環 '''R''' / '''Z''' とも同一視される。このとき、1-トーラス ''T''<sup>1</sup> は積に関して[[コンパクト (数学)|コンパクト]]な[[位相群]]となる。 これをさらに一般化して、位相体のコンパクトな乗法群の直積に同型となるコンパクト群をトーラスと呼ぶことがある。たとえば、位相体上の ''n'' 次[[一般線型群]] ''GL''<sub>''n''</sub> に属する[[対角行列]]全体の作る群は ''n'' 次元トーラス(分裂トーラス)である。 フーリエ級数とは、コンパクト群としての 1-トーラス ''T''<sup>1</sup> 上で定義される、[[ハール測度]]に関して自乗可積分な関数の、''T''<sup>1</sup> の指標(1 次元表現)による展開であると解釈することができる。 ==関連項目== {{Commons|Category:Torus}} * [[位相幾何学]] * [[多様体]] * [[フーリエ解析]] * [[トーラス結び目]] * [[トーラス分解]] * [[宇宙]] == 外部リンク == * [http://mathworld.wolfram.com/Torus.html Torus -- From MathWorld(トーラス)](英語) * [http://www.geometrygames.org/TorusGames/index.html.ja トーラス・ゲームズ] トーラス空間上のゲームで遊ぶことができるゲーム・ソフト(日本語) {{多面体}} {{DEFAULTSORT:とらす}} [[Category:閉曲面]] [[Category:回転体]] [[Category:高次元図形]] [[Category:数学に関する記事]]
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